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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F |
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管理番号 | 1339742 |
審判番号 | 不服2017-5737 |
総通号数 | 222 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2018-06-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2017-04-20 |
確定日 | 2018-05-21 |
事件の表示 | 特願2012- 22456「情報処理装置、その制御方法、システムおよびコンピュータプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 8月19日出願公開、特開2013-161244、請求項の数(9)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成24年2月3日の出願であって、平成28年6月20日付けで拒絶理由通知がされ、平成28年8月22日付けで手続補正がされ、平成29年1月16日付けで拒絶査定がされ、これを不服として、平成29年4月20日に審判の請求がされ、同時に手続補正がされたものである。 第2 原査定の概要 原査定(平成29年1月16日付け拒絶査定)の拒絶の理由の概要は次のとおりである。 1.本願請求項1-10に係る発明は、特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記 引用文献1.特開2007-179282号公報 引用文献2.特表2006-526819号公報 引用文献3.特開2012-14267号公報 引用文献4.特開2003-295966号公報 第3 本願発明 本願請求項1-9に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明9」という。)は、平成29年4月20日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1-9に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりの発明である。 「【請求項1】 情報処理装置であって、 複数のタブを表示するWebブラウザに表示されているアドレス情報であって、当該Webブラウザの前記複数のタブのうちアクティブなタブが表示しているページのアドレス情報を表示するアドレスバーに表示されているアドレス情報を、前記タブがアクティブに切り替えられると、当該アドレスバーに当該アドレス情報を設定するために発行された情報をインターセプトし、インターセプトされた当該情報に基づいて、取得するアドレス情報取得手段と、 前記アドレス情報取得手段により取得されたアクティブなタブのアドレス情報を記録する履歴記録手段と を備えたことを特徴とする情報処理装置。 【請求項2】 前記インターセプトされた情報は、ウインドウメッセージであり、 前記アドレス情報取得手段は、前記ウインドウメッセージから前記アドレス情報を取得することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。 【請求項3】 さらに、 前記情報処理装置を操作しているユーザの識別情報または当該情報処理装置の識別情報をオペレーティングシステムから取得する識別情報取得手段を備え、 前記履歴記録手段は、前記アドレス情報と、前記識別情報取得手段により取得された識別情報とを関連付けて前記ユーザの操作履歴とすることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。 【請求項4】 前記アドレス情報取得手段は、前記Webブラウザが発行するウインドウメッセージからグローバルフックによってインターセプトすることを特徴とする請求項3に記載の情報処理装置。 【請求項5】 前記アドレス情報取得手段にて取得された前記Webブラウザが発行するウインドウメッセージが文字列としてhttpまたはftpを含むか否かを判定する判定手段をさらに備え、 前記判定手段にて、文字列としてhttpまたはftpを含むと判定された場合、前記アドレス情報取得手段は、前記Webブラウザが発行するウインドウメッセージのうち、文字列としてhttpまたはftpを含むウインドウメッセージを抽出し、抽出したウインドウメッセージから前記アドレス情報を取得することを特徴とする請求項4に記載の情報処理装置。 【請求項6】 前記履歴記録手段は、前記情報処理装置が備える記憶装置またはネットワーク上のサーバに前記操作履歴として記録することを特徴とする請求項3ないし5のいずれか1項に記載の情報処理装置。 【請求項7】 情報処理装置において履歴情報を取得する方法であって、 複数のタブを表示するWebブラウザに表示されているアドレス情報であって、当該Webブラウザの前記複数のタブのうちアクティブなタブが表示しているページのアドレス情報を表示するアドレスバーに表示されているアドレス情報を、前記タブがアクティブに切り替えられると、当該アドレスバーに当該アドレス情報を設定するために発行された情報をインターセプトし、インターセプトされた当該情報に基づいて、取得するアドレス情報取得工程と、 前記アドレス情報取得工程において取得されたアクティブなタブのアドレス情報を記録する履歴記録工程と を備えたことを特徴とする方法。 【請求項8】 情報処理装置において実行されるコンピュータプログラムであって、 複数のタブを表示するWebブラウザに表示されているアドレス情報であって、当該Webブラウザの前記複数のタブのうちアクティブなタブが表示しているページのアドレス情報を表示するアドレスバーに表示されているアドレス情報を、前記タブがアクティブに切り替えられると、当該アドレスバーに当該アドレス情報を設定するために発行された情報をインターセプトし、インターセプトされた当該情報に基づいて、取得するアドレス情報取得手段と、 前記アドレス情報取得手段により取得されたアクティブなタブのアドレス情報を記録する履歴記録手段として前記情報処理装置を機能させることを特徴とするコンピュータプログラム。 【請求項9】 複数の情報処理装置と、当該複数の情報処理装置から履歴情報を収集するサーバとを備えたシステムであって、 前記複数の情報処理装置のそれぞれは、 複数のタブを表示するWebブラウザに表示されているアドレス情報であって、当該Webブラウザの前記複数のタブのうちアクティブなタブが表示しているページのアドレス情報を表示するアドレスバーに表示されているアドレス情報を、前記タブがアクティブに切り替えられると、当該アドレスバーに当該アドレス情報を設定するために発行された情報をインターセプトし、インターセプトされた当該情報に基づいて、取得するアドレス情報取得手段と、 前記アドレス情報取得手段により取得されたアクティブなタブのアドレス情報を前記サーバに送信する送信手段とを備え、 前記サーバは、 前記複数の情報処理装置のそれぞれから送信された前記アドレス情報を受信する受信手段と、 前記受信手段が受信したアドレス情報を記録する履歴記録手段と を備えたことを特徴とするシステム。」 第4 引用文献、引用発明等 1.引用文献1について 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。 「【発明を実施するための最良の形態】 【0017】 以下、添付図面に従って本発明に係る実施形態を詳細に説明する。 【0018】 図2は実施形態における情報端末のブロック構成図である。実施形態では、この情報端末としてPC(パーソナルコンピュータ)を例にして説明するが、携帯電話やPDA等の携帯端末でも良いし、その種類は問わない。 【0019】 図示において、本装置は、CPU1、ROM2、RAM3、外部記憶装置としてのHDD(ハードディスク)4、キーボード及びポインティングデバイス(PD)5を備える。また、この装置は、ビデオメモリとそのビデオメモリへの描画処理及びビデオメモリから読出したデータをビデオ信号として出力する表示制御部6、ビデオ信号を受信して表示する表示装置7を備える。そして、この装置は、更に、インターネットやイントラネットと通信するためのネットワークインタフェース8を有する。 【0020】 本装置に電源が投入されると、CPU1はROM2に格納されたBIOS及びブートプログラムに従ってHDD4内に格納されたオペレーティングシステム(OS)をRAM3にロードし、情報処理装置として機能することになる。HDD4には、ブラウザプログラム及び実施形態の特徴部分であるブラウザ管理プログラム40が格納されている。これ以外にも、各種アプリケーションやデータファイルを格納しているが、本発明には直接には関係しないので、図示せず、且つ、その説明は省略する。 【0021】 ブラウザプログラム4aとしては、インターネットエクスプローラ(登録商標)、ネットスケープ(登録商標)、モジラ(登録商標)、オペラ(登録商法)が知られており、いずれを使用しても構わない。 【0022】 また、実施形態におけるブラウザ管理プログラム40は、2つのモジュールで構成される。1つは、ブラウザプログラム4aにアドオンされるモジュールであり、ブラウザプログラムを監視するものである。もう1つはブラウザプログラムの閲覧履歴を記憶管理すると共に、ブラウザの起動やURLを外部から設定するモジュールである。これ以降、前者を監視モジュール、後者を管理モジュールと呼ぶ。 【0023】 監視モジュールは、ブラウザで閲覧しているホームページが、URLの文字列をキーボードより入力した結果であるのか、それ以前に表示されていたページのリンクを指示した結果であるのか、更には、「お気に入り」に登録したURLを選択した結果であるのかの判別を行なう。また、ブラウザ上に設けられた「戻る」ボタン、「進む」ボタンの押下も監視する。更には、独立したもう1つのブラウザを起動する命令を実行したのかを監視する。そして、上記いずれかを検出した場合には、その後に表示されることになったURLの文字列と、その操作内容を示す情報を管理モジュールに通知する。 【0024】 管理モジュールは、この通知を受けて、履歴情報としてRAM3に格納する。このとき、ブラウザが幾つも起動している場合が起こりえる。従って、通知を受けた際には、どのブラウザからの通知であるのかを検出し、そのブラウザを特定する情報と共に履歴情報を格納する。このとき、受け取った通知がどのブラウザからの通知であるのかの検出(通知元ブラウザの特定)は以下のような方法で行なわれる。ブラウザが起動された際に、そのブラウザにアドインされた監視モジュールは、管理モジュールとの通信用の論理ポートを設定する。管理モジュールは通知を受けた際に、このポート番号によって通知元ブラウザを特定する。ただし、これ以外の手法を利用しても構わない。」 「【0085】 また、実施形態では、ブラウザにアドオンする監視モジュールと、それと通信する管理モジュールの2つで実現する例を説明した。ユーザによる指示でブラウザがどのように処理したかを監視できれば良いので、監視モジュールはOSと各ブラウザ間に位置する共通のミドルウェアとして実現しても良い。例えばブラウザとOSのやり取りをいわゆるフック(ブラウザからのHTTPプロトコルによる送信要求やマウスイベントやキーボードイベントのフック)により検知することで両者のやり取りを監視することが可能になる。また、本実施形態の機能をブラウザ本体に搭載した新規のブラウザでもって実現しても構わない。」 これらの記載、特に、下線部の記載によれば、引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 [引用発明] 「ブラウザプログラム及びブラウザ管理プログラム40が格納されている、情報処理装置として機能する情報端末であって、 ブラウザ管理プログラム40は、ブラウザプログラムを監視する監視モジュールと、ブラウザプログラムの閲覧履歴を記憶管理すると共に、ブラウザの起動やURLを外部から設定する管理モジュールとの2つのモジュールで構成され、 監視モジュールは、ブラウザで閲覧しているホームページが、URLの文字列をキーボードより入力した結果であるのか、それ以前に表示されていたページのリンクを指示した結果であるのか、更には、「お気に入り」に登録したURLを選択した結果であるのかの判別を行ない、また、ブラウザ上に設けられた「戻る」ボタン、「進む」ボタンの押下も監視し、更には、独立したもう1つのブラウザを起動する命令を実行したのかを監視し、そして、上記いずれかを検出した場合には、その後に表示されることになったURLの文字列と、その操作内容を示す情報を管理モジュールに通知し、 管理モジュールは、この通知を受けて、履歴情報としてRAM3に格納し、通知を受けた際には、どのブラウザからの通知であるのかを検出し、そのブラウザを特定する情報と共に履歴情報を格納し、 監視モジュールはOSと各ブラウザ間に位置する共通のミドルウェアとして実現しても良く、例えばブラウザとOSのやり取りをいわゆるフック(ブラウザからのHTTPプロトコルによる送信要求やマウスイベントやキーボードイベントのフック)により検知することで両者のやり取りを監視することが可能になる、 情報端末。」 2.引用文献2について 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2には、以下の事項が記載されている。 「【0054】 図6A及び図6Bからなる図6は、本発明の一実施形態による、エンドユーザによる情報の要求に応じる方法600のフローチャートを示している。ここで一例としてクライアントコンピュータ101及びメッセージサーバコンピュータ103の上述の構成要素を使用して、方法600の各ステップについて説明する。しかし、方法600は、これに限定されるものではなく、他の構成要素を使用しても実施することが可能である、ということが理解されよう。 【0055】 ステップ602で開始して、メッセージサーバコンピュータ103からの1つ又は2つ以上のメッセージユニット301がクライアントコンピュータ101で受信される。一実施形態では、メッセージユニット301は、エンドユーザが特定のウェブサイトへとナビゲートしたことに応じてクライアントコンピュータ101で受信される。その特定のウェブサイトは、例えば、サーチエンジンを含むことが可能である。サーチエンジンを有するウェブサイトへのナビゲーションは、エンドユーザがサーチを実行する意図があることを意味し、このため、該ウェブサイトを意図したサーチメッセージユニットの配信を生じさせるものとなる。メッセージ読出手段202は、エンドユーザが訪れたウェブサイトのURLに関してウェブブラウザ201を監視し、それに従って各ウェブサイト毎に利用することができるメッセージユニットについてメッセージサーバコンピュータ103に問い合わせる。メッセージサーバコンピュータ103から受信したメッセージユニット301は、メッセージキャッシュ204に格納することが可能である。既述のように、メッセージユニット301は、そのサーチフィールド352(図5参照)の状態に応じてルールメッセージユニット又はサーチメッセージユニットとすることが可能である。 【0056】 ステップ604で、メッセージ読出手段202は、情報に関するエンドユーザ要求を検出してキーワード処理手段255へ通知する。情報に関するエンドユーザ要求の一例が、インターネットサーチエンジンへ提出されたサーチ要求である。一実施形態では、サーチ要求は、文字列「search」(例えば「...search.domain_name/...」)又は既知のサーチエンジンのドメインネームについてウェブブラウザのアドレスウィンドウ(例えば、図4Aに示すアドレスウィンドウ430を参照)を監視することにより検出される。例えば、エンドユーザが何処にナビゲートしたか、エンドユーザがウェブページ上で何をタイプしているか、エンドユーザがマウス又はキーボードを何時アクティブにしたかの判定といった、エンドユーザのブラウジング活動を監視する仕組みは、一般に当業界で周知のものであり、これ以上本書では説明しない、ということに留意されたい。 【0057】 ステップ606で、キーワード抽出手段252は、情報に関するエンドユーザ要求から1つ又は2つ以上のキーワードを抽出する。該キーワードは、サーチエンジンに提出されたサーチ要求で使用されている単語とすることが可能である。一実施形態では、キーワードは、サーチ要求の提出後にウェブブラウザのアドレスウィンドウ内に現れるURLを解析することにより抽出される。」 3.引用文献3について 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3には、以下の事項が記載されている。 「【0015】 端末装置11は、Webサーバ30が提供するWebサイトを組織内の構成員(ユーザ)が閲覧するために使用する情報処理装置(コンピュータ)である。端末装置11は、WebサイトをWebブラウザによってユーザが閲覧する際に端末装置11へ入力される各種の操作内容を監視して閲覧履歴を取得する監視部14を備えている。監視部14は、己の端末におけるWebサイトの閲覧履歴を記録する記録手段として機能する。閲覧履歴には、たとえば、Webサイトに関する以下のものが含まれる。 ・ マシン名・・・各端末装置に付与された識別情報 ・ ユーザ名・・・各ユーザに付与された識別情報 ・ 閲覧日時・・・Webサイトを閲覧した日時 ・ WebサイトのURL 端末装置11の監視部14は、定期的(たとえば、1分ごと)または閲覧しているWebサイトが変更されるたびに閲覧履歴を取得してログ管理サーバ12に送信する。なお、ログ管理サーバ12に閲覧履歴を送信する条件は、所定時間が経過したとき(たとえば、2時間毎)、所定量以上の閲覧履歴が蓄積されたとき、端末装置11が起動したとき、端末装置11がシャットダウンを指示されたとき、ログ管理サーバ12からの閲覧履歴の送信を要求されたときなど、様々な条件を設定可能である。」 4.引用文献4について 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献4には、以下の事項が記載されている。 「【請求項1】 デジタル画像をイメージ部分と文字部分に分離し、それぞれに対して高縮率の圧縮をかける圧縮ソフトとプリペイドライセンスモジュールとを備え、 前記プリペードライセンスモジュールは、 コンピュータネットワークを用いて前記圧縮ソフトの圧縮回数をライセンス発行サイトから購入する手段と、 該ライセンス発行サイトからの購入圧縮回数とライセンスIDとからなるライセンス購入完了情報を鍵で暗号化し、これをライセンス情報として保存させる手段と、 前記ライセンス情報のライセンスIDが入力したとき、前記保存している全てのライセンス情報を前記ライセンス発行サイトに送信させる手段と、 前記圧縮ソフトを1回用いて前記デジタル画像を圧縮したとき、前記入力したライセンスIDの前記保存している購入圧縮回数から前記圧縮ソフトの使用時の基準圧縮回数を減算させると共に、該減算結果を前記ライセンス発行サイトに送信させる手段と、 とを有することを特徴とする高圧縮ソフト付きweb課金エンコーダプログラムを記憶した記憶媒体。」 「【0036】 そして、バックアップサーバ10からのライセンス使用許可情報Diの購入圧縮回数を、ライセンス要求情報Fiに付加したプリペードライセンス情報Giが送信されたとき、レジストリの鍵1、2を用いて暗号化し、これを暗号化ライセンス情報Hiとしてレジストリに保存(インストール)する。前述の鍵1,2が保存されていないときは、鍵1,2を生成する。また、インストール処理はOSからマシン名とユーザIDとを取得し、これをレジストリに登録する。」 第5 対比・判断 1.本願発明1について (1)対比 本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。 引用発明の「情報処理装置として機能する情報端末」は、「情報装置」といい得るものであるから、本願発明1と引用発明とは、「情報装置」である点で一致する。 引用発明が備える「監視モジュール」は、「ブラウザで閲覧しているホームページが、URLの文字列をキーボードより入力した結果であるのか、それ以前に表示されていたページのリンクを指示した結果であるのか、更には、「お気に入り」に登録したURLを選択した結果であるのかの判別を行ない、また、ブラウザ上に設けられた「戻る」ボタン、「進む」ボタンの押下も監視し、更には、独立したもう1つのブラウザを起動する命令を実行したのかを監視し、そして、上記いずれかを検出した場合には、その後に表示されることになったURLの文字列と、その操作内容を示す情報を管理モジュールに通知」するものであるから、ブラウザで閲覧しているホームページのURLの文字列を取得するものであるといえる。 したがって、本願発明1の「複数のタブを表示するWebブラウザに表示されているアドレス情報であって、当該Webブラウザの前記複数のタブのうちアクティブなタブが表示しているページのアドレス情報を表示するアドレスバーに表示されているアドレス情報を、前記タブがアクティブに切り替えられると、当該アドレスバーに当該アドレス情報を設定するために発行された情報をインターセプトし、インターセプトされた当該情報に基づいて、取得するアドレス情報取得手段」とは、「Webブラウザが表示しているページのアドレス情報を取得するアドレス情報取得手段」である点で共通するものである。 引用発明が備える「管理モジュール」は、「監視モジュール」から通知された「表示されることになったURLの文字列と、その操作内容を示す情報」の「通知を受けて、履歴情報としてRAM3に格納」するものであり、本願発明1の「前記アドレス情報取得手段により取得されたアクティブなタブのアドレス情報を記録する履歴記録手段」とは、「前記アドレス情報取得手段により取得されたアドレス情報を記録する履歴記録手段」である点で共通する。 したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。 (一致点) 「情報処理装置であって、 Webブラウザが表示しているページのアドレス情報を、取得するアドレス情報取得手段と、 前記アドレス情報取得手段により取得されたアドレス情報を記録する履歴記録手段と を備えたことを特徴とする情報処理装置。」 (相違点) (相違点1)「アドレス情報取得手段」が、本願発明1では、「複数のタブを表示するWebブラウザに表示されているアドレス情報であって、当該Webブラウザの前記複数のタブのうちアクティブなタブが表示しているページのアドレス情報を表示するアドレスバーに表示されているアドレス情報を、前記タブがアクティブに切り替えられると、当該アドレスバーに当該アドレス情報を設定するために発行された情報をインターセプトし、インターセプトされた当該情報に基づいて、取得する」ものであるのに対し、引用発明では、そのようなものではない点。 (相違点2)「履歴記録手段」が、本願発明1では、「前記アドレス情報取得手段により取得されたアクティブなタブのアドレス情報を記録する」ものであるのに対し、引用発明では、アクティブなタブのアドレス情報を記録するものではない点。 (2)相違点についての判断 上記相違点1について検討する。 相違点1に係る本願発明1の特定事項のうち、「複数のタブを表示するWebブラウザ」であって、「前記複数のタブのうちアクティブなタブが表示しているページのアドレス情報を表示するアドレスバー」を備えたものは、例を挙げるまでもなくよく知られたものである。 また、引用発明の「監視モジュール」は、「OSと各ブラウザ間に位置する共通のミドルウェアとして実現しても良く、例えばブラウザとOSのやり取りをいわゆるフック(ブラウザからのHTTPプロトコルによる送信要求やマウスイベントやキーボードイベントのフック)により検知することで両者のやり取りを監視することが可能」なもの、すなわち、ブラウザとOSのやり取りに含まれるURLの文字列をフックにより検知しても良いものである。 しかしながら、本願発明1の「アドレスバーに表示されているアドレス情報を、前記タブがアクティブに切り替えられると、当該アドレスバーに当該アドレス情報を設定するために発行された情報をインターセプト」することまでは、引用文献1には記載も示唆もない。引用発明の「フック」により検知する情報は、「アドレスバーに表示されているアドレス情報」であって、「前記タブがアクティブに切り替えられると、当該アドレスバーに当該アドレス情報を設定するために発行された情報」といえるものではない。また、拒絶査定で引用されたその他の引用文献2?4にも、本願発明1の当該技術について記載ないし示唆はされていないし、当業者に周知の技術でもない(前置報告書に記載された特開2009-289077号公報にも記載されていない。)。 したがって、引用発明において、上記相違点1に係る本願発明1の発明特定事項を採用することが当業者に容易に想到し得たとすることはできない。 よって、上記相違点2について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用発明及び引用文献2?4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 2.本願発明2-6について 本願発明2-6も、本願発明1の「複数のタブを表示するWebブラウザに表示されているアドレス情報であって、当該Webブラウザの前記複数のタブのうちアクティブなタブが表示しているページのアドレス情報を表示するアドレスバーに表示されているアドレス情報を、前記タブがアクティブに切り替えられると、当該アドレスバーに当該アドレス情報を設定するために発行された情報をインターセプトし、インターセプトされた当該情報に基づいて、取得するアドレス情報取得手段」と同一の特定事項を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2?4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 3.本願発明7-9について 本願発明7-9は、本願発明1に対応する方法、プログラム、システムの発明であり、本願発明1の「複数のタブを表示するWebブラウザに表示されているアドレス情報であって、当該Webブラウザの前記複数のタブのうちアクティブなタブが表示しているページのアドレス情報を表示するアドレスバーに表示されているアドレス情報を、前記タブがアクティブに切り替えられると、当該アドレスバーに当該アドレス情報を設定するために発行された情報をインターセプトし、インターセプトされた当該情報に基づいて、取得するアドレス情報取得手段」に対応する特定事項を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2?4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 第6 原査定について 1.理由1(特許法第29条第2項)について 審判請求時の補正により、本願発明1-9は「複数のタブを表示するWebブラウザに表示されているアドレス情報であって、当該Webブラウザの前記複数のタブのうちアクティブなタブが表示しているページのアドレス情報を表示するアドレスバーに表示されているアドレス情報を、前記タブがアクティブに切り替えられると、当該アドレスバーに当該アドレス情報を設定するために発行された情報をインターセプトし、インターセプトされた当該情報に基づいて、取得するアドレス情報取得手段」という特定事項又は対応する同様の特定事項を有するものとなっており、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献1-4に基づいて、容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 したがって、原査定の理由1を維持することはできない。 第7 むすび 以上のとおりであるから、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2018-05-09 |
出願番号 | 特願2012-22456(P2012-22456) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(G06F)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 小林 義晴 |
特許庁審判長 |
安久 司郎 |
特許庁審判官 |
千葉 輝久 稲葉 和生 |
発明の名称 | 情報処理装置、その制御方法、システムおよびコンピュータプログラム |
代理人 | 木村 秀二 |
代理人 | 高柳 司郎 |
代理人 | 下山 治 |
代理人 | 大塚 康徳 |
代理人 | 大塚 康弘 |
代理人 | 永川 行光 |