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審決分類 |
審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 特許、登録しない。 H04W 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない。 H04W |
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管理番号 | 1339956 |
審判番号 | 不服2016-10866 |
総通号数 | 222 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2018-06-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2016-07-19 |
確定日 | 2018-05-10 |
事件の表示 | 特願2014-156255「キャリアアグリゲーションをサポートする通信システムにおいてセルを切り替える方法、デバイス及びシステム」拒絶査定不服審判事件〔平成26年11月27日出願公開、特開2014-222946〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、2011年(平成23年)6月1日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2010年(平成22年)7月27日、中国)を国際出願日とする出願である特願2013-518938号の一部を、平成26年7月31日に新たな特許出願としたものであって、平成27年9月15日付けで拒絶理由が通知され、平成27年11月30日に意見書及び手続補正書が提出され、平成28年4月22日付けで拒絶査定がされ、これに対し、平成28年7月19日に拒絶査定不服審判が請求され、同時に手続補正がされ、その後、当審において平成29年7月25日付けで拒絶理由が通知され、平成29年10月2日に意見書及び手続補正書が提出された後、さらに、当審において平成29年11月7日付けで拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)が通知され、平成30年1月15日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。 第2 当審において通知した拒絶理由 当審拒絶理由の概要は、以下のとおりである。 1.(サポート要件)この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。 2.(明確性)この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 3.(実施可能要件)この出願は、発明の詳細な説明の記載が下記の点で、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。 (4.?6.は省略) 記 第1 理由1(サポート要件)、理由2(明確性)、理由3(実施可能要件)について、 1.本願発明は、発明の詳細な説明の段落0052記載の「通信システムが処理する必要がある測定結果の数を減少することができ、通信線路の伝送負荷及びソース基地局の処理負荷を低減する。」との課題に対し、段落0054ないし0056に記載された、 ソース基地局が連続的キャリアアグリゲーション方式である場合、ある測定結果がソース基地局の全てのセルのうち何れかのセルの性能より優れると、ソース基地局に当該測定結果を発送し、さもなければ、ソース基地局に当該測定結果を発送せず、 ソース基地局が非連続的キャリアアグリゲーション方式である場合、ある測定結果がソース基地局の全てのセルの性能より優れると、ソース基地局に当該測定結果を発送し、さもなければ、ソース基地局に当該測定結果を発送しない との手段を備えることにより前記発明の課題を解決していると認められるが、請求項1に記載された「前記測定対象の測定結果を、1以上のサービスセルのキャリア周波数に基づいて前記電子装置のメインアクセスセルと共にアグリゲーションされる1以上のサービスセルの性能と比較し、 前記比較に基づく前記測定結果の前記ソース基地局への測定報告をトリガするように構成される」との発明特定事項から、ある測定結果と、ソース基地局のキャリアアグリゲーション方式に基づいて特定されるソース基地局のセルの性能とを比較するとの技術事項、及び比較結果に基づいて測定結果を発送しないとの技術事項を把握することはできず、上記課題を解決するための手段が反映されているとはいえない。 「1以上のサービスセルのキャリア周波数に基づいて、端末のメインアクセスセルと共にアグリゲーションされる1以上のサービスセルの性能との測定対象の測定結果の比較に基づく前記測定対象の測定結果を含む前記端末の測定報告」と記載された請求項9に係る発明、「前記測定対象の測定結果を、1以上のサービスセルのキャリア周波数に基づいてメインアクセスセルと共にアグリゲーションされる1以上のサービスセルの性能と比較することと、 前記比較に基づく前記測定結果の前記ソース基地局への測定報告をトリガすることと、」と記載された請求項18、20に係る発明、「前記測定報告は、1以上のサービスセルのキャリア周波数に基づいて、端末のメインアクセスセルと共にアグリゲーションされる1以上のサービスセルの性能との測定対象の測定結果の比較に基づく前記測定対象の測定結果を含む」と記載された請求項19に係る発明、及び請求項1、9に従属する請求項2-8、10-17に係る発明についても同様である。 したがって、請求項1-20には、発明の詳細な説明に記載された、課題を解決するための手段が反映されておらず、請求項1-20に係る発明は、発明の詳細な説明に記載した範囲を超えることとなる。 よって、請求項1-20に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものでない。(サポート要件) 2.発明の詳細な説明には、「端末は各測定結果とソース基地局の全てのセルの性能を比較し」(段落0055)、「端末は各測定結果とソース基地局の全てのセルにおける何れか一つの性能を比較する」、「ある測定結果がソース基地局の全てのセルのうちランダムに選択した何れかのセルの性能より優れるか」(段落0056)(段落0059にも同様の記載)、「端末は各測定結果と性能が最もよい一つのセルの性能を比較する」(段落0058)、「当該近隣セルの測定結果が一定の閾値(Th1)より高いか或いは端末がアクセスした何れかのセルの測定結果より優れると、端末が基地局に当該測定結果を発送する。」(段落0130)、「実際の実行過程で、基地局或いは端末は端末がアクセスしたセルにおける一つのセルをランダムに指定して比較待ちの対象とし、近隣セルの測定結果と比較することができる。」(段落0131)「近隣セルの測定結果が一定の閾値(Th1)より高いか或いは端末が位置した何れかのセルの測定結果より優れると、端末が基地局に当該測定結果を発送する。」(段落0142)、「実際の実行過程で、基地局或いは端末は端末がアクセスしたセルにおける一つのセルをランダムに指定して比較待ちの対象とし、近隣セルの測定結果と比較することができる。」(段落0143)、「近隣セルの測定結果が一定の閾値(Th1)より高いか或いは端末が位置する全てのセルの測定結果より優れると、端末が基地局に測定報告を発送する。」(段落0156)、「実際の実行過程で、基地局或いは端末は測定結果が最もよい一つのセルを選択して比較待ちの対象とし、近隣セルの測定結果と比較することができる。」(段落0157)との記載はあるものの、測定対象の測定結果を、電子装置のある特定のメインアクセスセルと区別して、「電子装置のメインアクセスセルと共にアグリゲーションされる1以上のサービスセルの性能と比較」する事項については記載も示唆もされていない。 したがって、「測定対象の測定結果を、1以上のサービスセルのキャリア周波数に基づいて電子装置のメインアクセスセルと共にアグリゲーションされる1以上のサービスセルの性能と比較」と記載された請求項1、18、20に係る発明、「1以上のサービスセルのキャリア周波数に基づいて、端末のメインアクセスセルと共にアグリゲーションされる1以上のサービスセルの性能との測定対象の測定結果の比較」と記載された請求項9、19に係る発明、及び、請求項1、9に従属する請求項2-8、10-17に係る発明は、発明の詳細な説明に記載された発明とはいえない。(サポート要件) 3.明細書には「メインアクセスセル」について、段落0149ないし0151にRRC接続再配置が発起されたメインアクセス待ちセルに対応するセルであって、メインアクセス待ちセルについては段落0090で「メインアクセス待ちセルとは複数のアクセス待ちセルが存在する場合に端末がセル切り替えを行う際に最初にアクセスするセルである。」と、また、段落0112には「例えば、セル選択装置1404は選択した一つ或いは複数のアクセス待ちセルのうち、対応するキャリアコンポーネントが上記端末のカレントサービスセルに対応するキャリアコンポーネントと同じ周波数帯域内に位置するセルがあるか否かを判断することができる。肯定の場合、当該セルを選択してメインアクセス待ちセルとし、さもなければ、上記性能測定報告に基づいて上記ターゲット基地局に従属する全ての近隣セルのうち性能が最もよい一つを選択してメインアクセス待ちセルとする。」と記載されているが、メインアクセス待ちセル及びメインアクセスセルが特定されていない測定報告を発送する時点で、請求項1、9、18-20記載の「メインアクセスセル」、及び、「メインアクセスセルと共にアグリゲーションされる1以上のサービスセル」が、ソース基地局によりサービスが行われているセルのうち、それぞれどのセルを特定しているのか明らかでない。 また、技術常識を踏まえると「メインアクセスセル」、及び「メインアクセスセルと共にアグリゲーションされる1以上のサービスセル」が、キャリアアグリゲーション方式における「プライマリーセル」、及び「セカンダリーセル」を意味する可能性もあるが、明細書の記載と整合せず、それぞれのセルを特定し得ない。 したがって、請求項1、9、18-20及び、請求項1、9に従属する請求項2-8、10-17に係る発明は明確でない。(明確性) また、「メインアクセスセル」、及び「メインアクセスセルと共にアグリゲーションされる1以上のサービスセル」を発明特定事項とする請求項1-20記載の発明を当業者が実施し得る程度に発明の詳細な説明が記載されているともいえない。(実施可能要件) 4.請求項1、18、20の「前記測定対象の測定結果を、1以上のサービスセルのキャリア周波数に基づいて前記電子装置のメインアクセスセルと共にアグリゲーションされる1以上のサービスセルの性能と比較」との発明特定事項において、基づいてが「アグリゲーションされる」、「比較」のいずれを修飾しているのか明らかでなく、また、測定対象の測定結果と、どのサービスセルの性能とを比較しているのか明らかでない。 また、単に「基づいて」との記載では、上記発明特定事項において、「1以上のサービスセルのキャリア周波数」がどのように機能しているのか特定できない。 請求項9の「1以上のサービスセルのキャリア周波数に基づいて、端末のメインアクセスセルと共にアグリゲーションされる1以上のサービスセルの性能との測定対象の測定結果の比較に基づく前記測定対象の測定結果を含む前記端末の測定報告を取得し」との発明特定事項において、基づいてが「アグリゲーションされる」、「取得し」のいずれを修飾しているのか明らかでなく、また、測定対象の測定結果と、どのサービスセルの性能とを比較しているのか明らかでない。 また、単に「基づいて」との記載では、上記発明特定事項において、「1以上のサービスセルのキャリア周波数」がどのように機能しているのか特定できない。 同様に、請求項19の「前記測定報告は、1以上のサービスセルのキャリア周波数に基づいて、端末のメインアクセスセルと共にアグリゲーションされる1以上のサービスセルの性能との測定対象の測定結果の比較に基づく前記測定対象の測定結果を含む」との発明特定事項において、基づいてが「アグリゲーションされる」、「含む」のいずれを修飾しているのか明らかでなく、また、測定対象の測定結果と、どのサービスセルの性能とを比較しているのか明らかでない。 また、単に「基づいて」との記載では、上記発明特定事項において、「1以上のサービスセルのキャリア周波数」がどのように機能しているのか特定できない。 したがって、請求項1、9、18-20及び請求項1、9を引用する請求項2-8、10-17に係る発明は明確でない。(明確性) また、これらの請求項1、9、18-20記載の発明特定事項が、発明の詳細な説明のどの記載事項と対応しているのか明らかでなく、請求項1-20記載の発明は発明の詳細な説明に記載された発明とはいえない。(サポート要件) 5.請求項1、18、20の「前記比較に基づく前記測定結果の前記ソース基地局への測定報告をトリガする」との発明特定事項において、基づくが「測定結果」、「測定報告」、「トリガする」のいずれを修飾しているのか明らかでない。 また、単に「基づく」との記載では、上記発明特定事項において、「比較」がどのように機能しているのか特定できない。 したがって、請求項1、18、20及び請求項1を引用する請求項2-8に係る発明は明確でない。(明確性) また、上記発明特定事項が、発明の詳細な説明のどの記載事項に対応しているのか明らかでないから、請求項1-8、18、20記載の発明は、発明の詳細な説明に記載された発明とはいえない。(サポート要件) 6.(省略) 7.測定報告を行う際にメインアクセス待ちセルが特定できているのであれば、メインアクセス待ちセルを特定するための情報である測定対象の測定結果を報告する必要はなく、また、「メインアクセス待ちセル」は、測定報告に含まれる測定結果に基づいて特定されるものであり、測定報告を取得する時点で、特定され得ない「メインアクセス待ちセル」を測定報告に含む請求項10、及び請求項10に従属する11-14、16-17に係る発明は明確とはいえない。 また、請求項10を引用する請求項13-14に記載された「メインアクセス待ちセル」が、どの時点でどのように特定されるセルなのか明確でない。(明確性) 発明の詳細な説明に記載された発明においては、「メインアクセス待ちセル」は、測定報告に含まれる測定結果に基づいて特定されるものであるが、測定報告を基地局が取得する時点で、特定され得ない「メインアクセス待ちセル」を測定報告に含む請求項10-14、16-17に係る発明が、発明の詳細な説明に記載されているとはいえない。(サポート要件) 「メインアクセス待ちセル」は、測定報告に含まれる測定結果に基づいて特定されるものであり、測定報告を取得する時点で、特定され得ない「メインアクセス待ちセル」を、測定報告に含む点について、発明の詳細な説明には何ら記載されておらず、発明の詳細な説明は、請求項10-14、16-17に係る発明を当業者が実施し得る程度に記載されているとはいえない。(実施可能要件) 8.請求項11の「前記1以上のターゲットセルの周波数に基づく前記1以上のターゲットセルの情報を含む切り替え要求メッセージを生成する」との発明特定事項において、基づくが何をどのように修飾しているのか明らかでなく、切り替え要求メッセージにどのような情報を含むのか明らかでない。 また、単に「基づく」との記載では、上記発明特定事項において「1以上のターゲットセルの周波数」がどのように機能するのか特定できない。 加えて、請求項11、14に記載された「周波数」が何を意味しているのか明らかでない。他の請求項に記載された「キャリア周波数」と同じ技術事項を意味しているのであれば、用語を統一されたい。 したがって、請求項11、及び請求項11を引用する請求項12-14、16-17に係る発明は明確でない。(明確性) また、上記発明特定事項が、発明の詳細な説明のどの記載事項と対応するのか明らかでなく、請求項11-14、16-17記載の発明は、発明の詳細な説明に記載された発明とはいえない。(サポート要件) 9.(省略) 第3 請求人の対応 当審拒絶理由に対して、請求人は、平成30年1月15日に意見書及び手続補正書を提出した。 1 補正後の特許請求の範囲 平成30年1月15日に手続補正された特許請求の範囲は以下のとおりである。 「【請求項1】 電子装置であって、前記電子装置は、 回路を備え、前記回路は、 前記電子装置のソース基地局による構成に基づいて、1以上の近隣セルに対応する1以上の測定対象の性能を測定することによって、測定結果を取得し、 前記測定対象の測定結果と、1以上のサービスセルのキャリア周波数に基づいて前記電子装置のメインアクセスセルと共にアグリゲーションされる1以上のサービスセルの性能と、を比較し、 前記比較に基づく前記測定結果の前記ソース基地局への測定報告をトリガするように構成され、 前記測定対象の測定結果が、前記メインアクセスセル及び他のセルの性能より優れていなければ、前記測定報告をトリガしない、電子装置。 【請求項2】 前記回路は、前記測定対象の測定結果を、前記1以上のサービスセルのキャリア周波数に基づいて、前記電子装置のメインアクセスセルの性能と比較するようにさらに構成される、請求項1に記載の電子装置。 【請求項3】 前記回路は、移動的制御情報を含むRRC接続再配置メッセージに基づいて、メインアクセス待ちセルを構成するようにさらに構成され、前記メインアクセス待ちセルは、カレントサービスセルの同一周波数上にある、請求項2に記載の電子装置。 【請求項4】 前記回路は、移動的制御情報を含むRRC接続再配置メッセージに基づいて、メインアクセス待ちセルを構成するようにさらに構成され、前記メインアクセス待ちセルは、前記測定結果において、最も良い性能を有する、請求項2に記載の電子装置。 【請求項5】 前記回路は、移動的制御情報を含む前記RRC接続再配置メッセージに基づいて、前記メインアクセス待ちセルと共にアグリゲーションされる1以上のターゲットセルを構成するようにさらに構成される、請求項3に記載の電子装置。 【請求項6】 前記回路は、移動的制御情報を含まないRRC接続再配置メッセージに基づいて、メインアクセス待ちセルと共にアグリゲーションされる前記1以上のターゲットセルを加えるようにさらに構成される、請求項2に記載の電子装置。 【請求項7】 前記回路は、前記測定報告を前記ソース基地局に無線インタフェースを介して送信するようにさらに構成される、請求項1?6のいずれか1項に記載の電子装置。 【請求項8】 前記電子装置は、端末である、請求項7に記載の電子装置。 【請求項9】 電子装置であって、前記電子装置は、 回路を備え、前記回路は、 1以上のサービスセルのキャリア周波数に基づいて、端末のメインアクセスセルと共にアグリゲーションされる、1以上のサービスセルの性能と測定対象の測定結果との比較に基づく前記測定対象の測定結果を含む前記端末の測定報告を取得し、 前記測定報告に基づいて、前記端末に対する1以上のターゲットセルを決定するように構成され、 前記測定対象の測定結果が、前記メインアクセスセル及び他のセルの性能より優れていなければ、前記測定報告が取得されない、電子装置。 【請求項10】 前記測定報告は、前記サービスセルのキャリア周波数に基づく前記端末のメインアクセスセルの性能との前記測定対象の測定結果の比較に基づく前記測定対象の測定結果と、前記端末に対する前記メインアクセスセルを取り替えるためのセルを含む前記ターゲットセルとをさらに含む、請求項9に記載の電子装置。 【請求項11】 前記回路は、ターゲット基地局に対して、前記1以上のターゲットセルのキャリア周波数に基づく前記1以上のターゲットセルの情報を含む切り替え要求メッセージを生成するようにさらに構成される、請求項10に記載の電子装置。 【請求項12】 前記回路は、前記ターゲット基地局から切り替え確認メッセージを取得し、前記切り替え確認メッセージに基づいて、前記端末のRRC接続を再構成するために、RRC接続再配置メッセージを生成するようにさらに構成される、請求項11に記載の電子装置。 【請求項13】 前記RRC接続再配置メッセージは、移動的制御情報を含み、前記メインアクセス待ちセルのRRC接続再配置情報を含み、前記メインアクセス待ちセルは、カレントサービスセルの同一周波数上にある、請求項12に記載の電子装置。 【請求項14】 前記RRC接続再配置メッセージは、1以上のターゲットセルの測定結果および周波数に基づいて、前記メインアクセス待ちセルと共にアグリゲーションされる前記1以上のターゲットセルのRRC接続再配置情報をさらに含む、請求項13に記載の電子装置。 【請求項15】 前記回路は、前記測定報告を前記端末から無線インタフェースを介して受信するようにさらに構成される、請求項9?14のいずれか1項に記載の電子装置。 【請求項16】 前記電子装置は、基地局である、請求項15に記載の電子装置。 【請求項17】 端末における方法であって、前記方法は、 前記端末のソース基地局による構成に基づいて、1以上の近隣セルに対応する1以上の測定対象の性能を測定することによって、測定結果を取得することと、 前記測定対象の測定結果と、1以上のサービスセルのキャリア周波数に基づいてメインアクセスセルと共にアグリゲーションされる1以上のサービスセルの性能とを比較することと、 前記比較に基づく前記測定結果の前記ソース基地局への測定報告をトリガすることと、を含み、 前記測定対象の測定結果が、前記メインアクセスセル及び他のセルの性能より優れていなければ、前記測定報告をトリガしない、方法。 【請求項18】 基地局における方法であって、前記方法は、 端末の測定報告を取得することであって、前記測定報告は、1以上のサービスセルのキャリア周波数に基づいて、端末のメインアクセスセルと共にアグリゲーションされる、1以上のサービスセルの性能と測定対象の測定結果との比較に基づく前記測定対象の測定結果を含む、ことと、 前記測定報告に基づいて、前記端末に対する1以上のターゲットセルを決定することと、を含み、 前記測定対象の測定結果が、前記メインアクセスセル及び他のセルの性能より優れていなければ、前記測定報告が取得されない、方法。 【請求項19】 処理回路によって実行されるときに、端末における方法を実行する命令を記憶した非一時的なコンピュータ読み取り可能な記憶装置であって、前記方法は、 前記端末のソース基地局による構成に基づいて、1以上の近隣セルに対応する1以上の測定対象の性能を測定することによって、測定結果を取得することと、 前記測定対象の測定結果と、1以上のサービスセルのキャリア周波数に基づいてメインアクセスセルと共にアグリゲーションされる1以上のサービスセルの性能とを比較することと、 前記比較に基づく前記測定結果の前記ソース基地局への測定報告をトリガすることと、を含み、 前記測定対象の測定結果が、前記メインアクセスセル及び他のセルの性能より優れていなければ、前記測定報告をトリガしない、非一時的なコンピュータ読み取り可能な記憶装置。」 ([当審注]:下線部は補正箇所を示す。) 2 意見書の主張 平成30年1月15日に提出された意見書において、請求人は、当審拒絶理由に対して、以下のとおり主張している。([当審注]:下線部は意見書のとおり。) 「(3-1) 本件出願人は、本意見書と同日付提出の手続補正書において、請求項1に対し、 「前記測定対象の測定結果が、前記メインアクセスセル及び他のセルの性能より優れていなければ、前記測定報告をトリガしない」 との構成で限定する補正を行いました。当該補正と同趣旨の補正を請求項9、18、19、20に対しても行いました。 また本件出願人は、本意見書と同日付提出の手続補正書において、拒絶理由通知において指摘された修飾関係について、明確にする補正を行いました。 また本件出願人は、本意見書と同日付提出の手続補正書において、請求項4について「前記メインアクセス待ちセルは、前記測定結果において、最も良い性能を有する、」 とする補正を行いました。 また本件出願人は、本意見書と同日付提出の手続補正書において、請求項10について「前記端末に対する前記メインアクセスセルを取り替えるためのセルを含む前記ターゲットセル」 とする補正を行いました。 また本件出願人は、本意見書と同日付提出の手続補正書において、請求項11について「ターゲット基地局に対して、前記1以上のターゲットセルのキャリア周波数に基づく前記1以上のターゲットセル」 とする補正を行いました。 また本件出願人は、本意見書と同日付提出の手続補正書において、請求項15を削除する補正を行いました。 当該補正により、特許請求の範囲の記載が明確になったものと思量致します。 (3-2) なお、上記拒絶理由通知において、請求項1、9、18?20に係る発明は発明の詳細な説明に記載されたものでは無い、と指摘されました。 本願の出願当初明細書の段落0054には、 「具体的に、同じ周波数帯域に位置するキャリアコンポーネントは一般的に類似する伝播特性を有し、よって、ソース基地局が連続的キャリアアグリゲーション方式である場合、そのセルから任意に一つを選択して比較待ち対象として測定することができ、端末の測定負荷及び処理負荷を低減し、処理速度を向上する。ソース基地局が非連続的キャリアアグリゲーション方式である場合、各セルのキャリアコンポーネントが異なる周波数帯域内に位置するため、各セルの伝播特性は異なる。この場合、ソース基地局の全てのセルを比較待ち対象として測定することができる。」 との記載がございます。 従って、例えば請求項1の「前記測定対象の測定結果と、1以上のサービスセルのキャリア周波数に基づいて前記電子装置のメインアクセスセルと共にアグリゲーションされる1以上のサービスセルの性能と、を比較し」との記載は、発明の詳細な説明の記載から導き出せるものであると思量致します。 (3-3) また上記拒絶理由通知において、「メインアクセスセル」および「メインアクセスセルと共にアグリゲーションされる1以上のサービスセル」がどのようなセルであるか明らかでない、と指摘されました。 拒絶理由通知において指摘されているように、「メインアクセスセル」がキャリアアグリゲーション方式における「プライマリセル」、「メインアクセスセルと共にアグリゲーションされる1以上のサービスセル」がキャリアアグリゲーション方式における「セカンダリセル」に相当します。本願の出願当初明細書の段落0117には「選択した一つ或いは複数のアクセス待ちセルから一つを選択してメインアクセスセルとする」との記載がございます。」 第4 当審の判断 平成30年1月15日にされた手続補正により補正前の請求項15が削除されたため、補正前の請求項16-20に対する拒絶理由は、補正後の番号が繰り上がった請求項15-19に対する拒絶理由として判断する。 1 発明の詳細な説明の記載 本願明細書の発明の詳細な説明には以下の記載がある。なお、下線は当審が付加した。 (1) 「【発明が解決しようとする課題】 【0003】 キャリアアグリゲーションをサポートする通信システム(例えばLTE-A)は各種のキャリアアグリゲーションシーンをサポートすることができ、例えば連続的キャリアアグリゲーションと非連続的キャリアアグリゲーションがある。これにより、通信システムにおける端末のセルを切り替える時のシーンの多様性を招いた。このような多様性で、単一の切り替えアルゴリズムが全てのシーンに適用できなくなった。本発明のいくつかの実施例は、セル切り替えの時に端末が位置する異なるキャリアアグリゲーションシーンに基づいてセル切り替えアルゴリズムを自己適応的に選択する方案を提出する。具体的に、本発明のいくつかの実施例は、キャリアアグリゲーションをサポートする通信システムにおいてセル切り替えを行う方法及びデバイス、並びにこのような方法を使用するか或いはこのようなデバイスを含む端末、基地局、通信システムを提供する。」 (2) 「 【0052】 幾つかの実施例で、端末がソース基地局に測定結果を発送する前に、幾つかの条件に基づいてこれらの測定結果に対して選別することもできる。条件に合う測定結果のみをソース基地局に発送する。これにより、通信システムが処理する必要がある測定結果の数を減少することができ、通信線路の伝送負荷及びソース基地局の処理負荷を低減する。図3?6に、端末が測定結果に対して最適化処理を行う方法の幾つかの具体的な実施例をそれぞれ示す。 【0053】(省略) 【0054】 図4の実施例で、端末或いはそのソース基地局はソース基地局キャリアアグリゲーション方式に基づいて測定結果と比較するための比較待ち対象を指定し、測定結果の選別方法が実際の通信シーンに自己適応するようにし、且つ測定報告の発送をさらに最適化する。具体的に、同じ周波数帯域に位置するキャリアコンポーネントは一般的に類似する伝播特性を有し、よって、ソース基地局が連続的キャリアアグリゲーション方式である場合、そのセルから任意に一つを選択して比較待ち対象として測定することができ、端末の測定負荷及び処理負荷を低減し、処理速度を向上する。ソース基地局が非連続的キャリアアグリゲーション方式である場合、各セルのキャリアコンポーネントが異なる周波数帯域内に位置するため、各セルの伝播特性は異なる。この場合、ソース基地局の全てのセルを比較待ち対象として測定することができる。図4に示すように、ステップ111で、端末或いはソース基地局はソース基地局の全てのセル(或いは端末がカレントアクセスした全てのセル)に対応するキャリアコンポーネントが異なる周波数帯域に位置するかを確定する。 【0055】 ステップ111の判断結果が肯定の場合、ステップ112で、端末は各測定結果とソース基地局の全てのセルの性能を比較し、或いは各測定結果とある閾値を比較する(図3に示す実施例に類似し、当該閾値はシステム、基地局或いは端末により予め確定されるか或いは必要に応じて確定されてもよいが、ここでは省略する)。ある測定結果がソース基地局の全てのセルの性能より優れるか或いは当該閾値より高いと、ステップ115でソース基地局に当該測定結果を発送することができ、さもなければ、ソース基地局に当該測定結果を発送しない。 【0056】 ステップ111の判断結果が否定の場合、即ちソース基地局の全てのセルに対応するキャリアコンポーネントが同じ周波数帯域内に位置すると、ステップ112で、端末は各測定結果とソース基地局の全てのセルにおける何れか一つの性能を比較するか、或いは各測定結果とある閾値を比較する(図3に示す実施例と類似し、当該閾値はシステム、基地局或いは端末により予め確定されるか、必要に応じて確定されてもよく、ここでは省略する)。ある測定結果がソース基地局の全てのセルのうちランダムに選択した何れかのセルの性能より優れるか或いは当該閾値より高いと、ステップ115でソース基地局に当該測定結果を発送し、さもなければ、ソース基地局に当該測定結果を発送しない。」 (3)「【0078】 図9に一つの実施例を示し、キャリアアグリゲーションをサポートする通信システムにおける基地局(ソース基地局と称する)がそれがサービスする端末が発送した当該端末の近隣セルに関する性能測定報告に基づいてターゲット基地局とアクセス待ちセルを選択する方法を示す。 」 (4)「【0090】 例示として、ソース基地局は一つ或いは複数のアクセス待ちセルを選択した後(例えばステップ915の後)、図11の破線ブロック916に示すように、さらに選択したアクセス待ちセルから一つを選択してメインアクセス待ちセルとすることができる。メインアクセス待ちセルとは複数のアクセス待ちセルが存在する場合に端末がセル切り替えを行う際に最初にアクセスするセルである。端末は最初にメインアクセス待ちセルにアクセスすることができる。メインアクセス待ちセルに対するアクセスを完成した後に、端末はキャリアコンポーネントを添加し、アクティブ化する方式を利用して他のアクセス待ちセルにアクセスすることができる。例えば、移動制御メッセージを含まないRRC接続再配置の方式を使用して他のアクセス待ちセルに対応するキャリアコンポーネントの添加を行うことができ、小さいコストでキャリアアグリゲーションの伝送モードを実現する。」 (5)「 【0115】 図16の実施例で、デバイス1600は図15に示す方法を実施することができる。具体的に、デバイス1600は命令形成装置1605と発送装置1606を含むことができる。 【0116】 命令形成装置1605は当該基地局がサービスする、セル切り替えを行う端末に選択したターゲット基地局に従属する一つ或いは複数のアクセス待ちセルに対応するキャリアコンポーネントが同じ周波数帯域内に位置するかを確定し、肯定の場合、全てのアクセス待ちセルの配置情報を上記端末のセル切り替えを発起する切り替え命令にパッケージングし、さもなければ、上記アクセス待ちセルの一部セル(一つ或いは幾つかのセル)の配置情報を上記切り替え命令にパッケージングする。発送装置1606はターゲット基地局に上記切り替え命令を発送する。当該実施例のデバイスを利用して、選択したアクセス待ちセルに対応するキャリアコンポーネントが同じ周波数帯域内に位置する場合、セル切り替えを行う端末は全てのアクセス待ちセルに同時にアクセスすることができ、端末がセル切り替えた後に直接にキャリアアグリゲーションモードに入るようにする。端末切り替えの前に使用したのがキャリアアグリゲーションの通信モードである場合、ユーザのサービス品質を保証し、切り替え前後のサービス品質差異を減少することができる。 【0117】 例示として、セル切り替えデバイス1600は、選択した一つ或いは複数のアクセス待ちセルから一つを選択してメインアクセスセルとするメインセル選択装置1607を含むことができる。これにより、命令形成装置は切り替え命令を形成する時にメイン切り替えセルの配置情報のみを当該命令にパッケージングする。この場合、端末はまずメインアクセス待ちセルにアクセスすることができる。メインアクセス待ちセルに対するアクセスを完成した後に、端末はキャリアコンポーネントを添加し、アクティブ化する方式で他のアクセス待ちセルにアクセスすることができ、例えば、移動制御メッセージを含まないRRC接続再配置の方式を使用して他のアクセス待ちセルに対応するキャリアコンポーネントの添加を行うことができ、小さいコストでキャリアアグリゲーションの伝送モードを実現する。 【0118】 具体的に、メインセル選択装置1607は性能測定報告に基づいて選択したアクセス待ちセルのうち性能が最もよい一つを選択してメインアクセス待ちセルとする。」 (6)「【0146】 完成段階 【0147】 端末が切り替えの前に一つのセルのみにアクセスするとする。確定したアクセス待ちセルの数は複数であり、且つこれらのアクセス待ちセルに対応するキャリアコンポーネントが異なる周波数帯域内に位置する。ここでFB1が切り替えを行う前のセルの周波数と仮定する。この時、FB1に対応するアクセス待ちセルをメインアクセス待ちセルに選択し、切り替え要求を発送する時に、ソース基地局はメインアクセス待ちセルの情報をターゲット基地局に発送する。 【0148】 ターゲット基地局はアクセス制御の評価を行った後に、アクセスを許可するとACKメッセージをソース基地局に発送する。 【0149】 ソース基地局は当該ACKメッセージを受信した後に、移動的制御情報を含むRRC接続再配置メッセージを発送することにより、メインアクセス待ちセルに対するRRC接続再配置を発起する。 【0150】 再配置完成後、端末は元のセルとの接続を切断し、ターゲット基地局のメインアクセスセルに同期要求を発起し、新しいメインアクセスセルに同期する。 【0151】 端末がターゲット基地局におけるメインアクセスセルとの同期及び相応のアクセス手順を完成すると、データ伝送を行うことができ、この時完全に新しい基地局とセルでそれにサービスを提供する。」 2 当審拒絶理由の「第1 1.」について 発明の詳細な説明の段落0054?0056(上記1(2))には、「連続的キャリアアグリゲーションと非連続的キャリアアグリゲーションをサポートすることにより、通信システムにおける端末のセルを切り替える時のシーンの多様性を招き、このような多様性で、単一の切り替えアルゴリズムが全てのシーンに適用できなくなった」(段落0003(上記1(1)))との前提において、「通信システムが処理する必要がある測定結果の数を減少することができ、通信線路の伝送負荷及びソース基地局の処理負荷を低減する。」(段落0052(上記1(2)))との課題を解決するための、 「ステップ111で、端末或いはソース基地局はソース基地局の全てのセル(或いは端末がカレントアクセスした全てのセル)に対応するキャリアコンポーネントが異なる周波数帯域に位置するかを確定し、 ステップ111の判断結果が肯定の場合、ステップ112で、端末は各測定結果とソース基地局の全てのセルの性能を比較し、 ある測定結果がソース基地局の全てのセルの性能より優れると、ステップ115でソース基地局に当該測定結果を発送することができ、さもなければ、ソース基地局に当該測定結果を発送せず、 ステップ111の判断結果が否定の場合、ステップ112で、端末は各測定結果とソース基地局の全てのセルにおける何れか一つの性能を比較し、ある測定結果がソース基地局の全てのセルのうち何れかのセルの性能より優れると、ステップ115でソース基地局に当該測定結果を発送し、さもなければ、ソース基地局に当該測定結果を発送しない。」 との処理を行う課題解決手段が記載されているといえる。 一方、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、第3「1」に記載された以下の事項により特定される発明である。 「【請求項1】 電子装置であって、前記電子装置は、 回路を備え、前記回路は、 前記電子装置のソース基地局による構成に基づいて、1以上の近隣セルに対応する1以上の測定対象の性能を測定することによって、測定結果を取得し、 前記測定対象の測定結果と、1以上のサービスセルのキャリア周波数に基づいて前記電子装置のメインアクセスセルと共にアグリゲーションされる1以上のサービスセルの性能と、を比較し、 前記比較に基づく前記測定結果の前記ソース基地局への測定報告をトリガするように構成され、 前記測定対象の測定結果が、前記メインアクセスセル及び他のセルの性能より優れていなければ、前記測定報告をトリガしない、電子装置。」(再掲) (1) 本願発明の「前記測定対象の測定結果と、1以上のサービスセルのキャリア周波数に基づいて前記電子装置のメインアクセスセルと共にアグリゲーションされる1以上のサービスセルの性能と、を比較し」との発明特定事項は、「1以上」は「1つ」を含むから、単一のサービスセルのキャリア周波数に基づく処理を含む。 そして、上記発明特定事項は、当審拒絶理由の「第1 3.」及び「第1 4.」に記載したように明確でないが、上記課題解決手段におけるステップ111は、複数のキャリアコンポーネントが異なる周波数帯域に位置する(非連続的キャリアアグリゲーション方式)か、又は、同じ周波数帯域に位置する(連続的キャリアアグリゲーション方式)かを判断する処理であり、単一のキャリアコンポーネントの周波数に基づく処理とはいえず、また、上記課題解決手段には、他にサービスセルのキャリア周波数に基づく処理といえる処理は含まれないから、上記発明特定事項は、上記課題解決手段を反映した事項とはいえない。 (2) 上記(1)の上記発明特定事項における測定結果に対する比較対象は、「1以上のサービスセルのキャリア周波数に基づいて前記電子装置のメインアクセスセルと共にアグリゲーションされる1以上のサービスセルの性能」である。 一方、上記課題解決手段のステップ111に続くステップ112で、各測定結果と比較されるのは「ソース基地局の全てのセルの性能」又は「ソース基地局の全てのセルにおける何れか一つの性能」であるが、「ソース基地局の全てのセル」又は「ソース基地局の全てのセルにおける何れか一つ」のセルは、いずれも電子装置のメインアクセスセルと共にアグリゲーションされる1以上のサービスセルとは必ずしも同じものではないから、上記発明特定事項における比較対象は上記課題解決手段のものと異なる。 また、「ソース基地局の全てのセルにおける何れか一つ」のセルを「1以上のサービスセルのキャリア周波数」に基づいて特定する事項は上記(1)で述べたように上記課題解決手段に含まれず、また、段落0054(上記1(2))の「具体的に、同じ周波数帯域に位置するキャリアコンポーネントは一般的に類似する伝播特性を有し、よって、ソース基地局が連続的キャリアアグリゲーション方式である場合、そのセルから任意に一つを選択して比較待ち対象として測定することができ、端末の測定負荷及び処理負荷を低減し、処理速度を向上する。」との記載を踏まえると、「ソース基地局の全てのセルにおける何れか一つ」のセルを特定する際に、あえて「1以上のサービスセルのキャリア周波数」に基づいて特定する合理的な理由もないから、上記発明特定事項は、上記課題解決手段を反映した事項とはいえない。 上記(1)及び(2)を踏まえると、本願発明の「前記測定対象の測定結果と、1以上のサービスセルのキャリア周波数に基づいて前記電子装置のメインアクセスセルと共にアグリゲーションされる1以上のサービスセルの性能と、を比較し」との発明特定事項は、技術常識を踏まえても、上記課題解決手段のステップ111及び112と対応せず、発明の詳細な説明に記載された課題を解決するための手段を反映した発明特定事項とはいえない。 そして、上記(1)及び(2)を踏まえると、本願発明の「前記測定対象の測定結果と、1以上のサービスセルのキャリア周波数に基づいて前記電子装置のメインアクセスセルと共にアグリゲーションされる1以上のサービスセルの性能と、を比較し」との記載は、上記第3「2」の意見書(3-2)で主張されているように発明の詳細な説明の記載から導き出せるものとはいえないから、意見書(3-2)の主張は採用できない。 (3) 本願発明の「前記測定対象の測定結果と、1以上のサービスセルのキャリア周波数に基づいて前記電子装置のメインアクセスセルと共にアグリゲーションされる1以上のサービスセルの性能と、を比較し、 前記比較に基づく前記測定結果の前記ソース基地局への測定報告をトリガするように構成され、 前記測定対象の測定結果が、前記メインアクセスセル及び他のセルの性能より優れていなければ、前記測定報告をトリガしない」との発明特定事項は、性能の優劣が比較により得られることを踏まえれば、下記ア及びイの二つの処理を含むといえる。 ア 測定結果と「1以上のサービスセルのキャリア周波数に基づいて前記電子装置のメインアクセスセルと共にアグリゲーションされる1以上のサービスセルの性能」との比較に基づき測定報告をトリガする処理。 イ (キャリアアグリゲーション方式に係わらず、)測定結果と「前記メインアクセスセル及び他のセルの性能」との比較に基づき測定報告をトリガしない処理。 しかしながら、上記ア及びイの一連の処理は、上記課題解決手段のいずれの処理とも対応せず、上記発明特定事項は上記課題解決手段を反映した事項とはいえない。 したがって、上記(1)?(3)で述べたとおり、本願発明は、ある測定結果と、ソース基地局のキャリアアグリゲーション方式に基づいて特定されるソース基地局のセルの性能とを比較するとの技術事項、及び当該比較結果に基づいて測定結果を発送しないとの技術事項を備える上記課題解決手段が反映されているとはいえない。 また、本願発明は、キャリアアグリゲーション方式との関係が規定されていないから、本願発明が、「連続的キャリアアグリゲーションと非連続的キャリアアグリゲーションをサポートすることにより、通信システムにおける端末のセルを切り替える時のシーンの多様性を招き、このような多様性で、単一の切り替えアルゴリズムが全てのシーンに適用できなくなった」との前提における「通信システムが処理する必要がある測定結果の数を減少することができ、通信線路の伝送負荷及びソース基地局の処理負荷を低減する。」との、発明の詳細な説明に記載された課題を解決できるともいえない。 請求項9、17-19、及び請求項1、9を引用する請求項2-8,10-16に係る発明についても同様である。 したがって、請求項1-19には、発明の詳細な説明に記載された課題を解決するための手段が反映されておらず、請求項1-19に係る発明は、発明の詳細な説明に記載した範囲を超えることとなる。 よって、請求項1-19に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものでなく、当審拒絶理由の「第1 1.」は依然として解消されていない。 3 当審拒絶理由の「第1 2.」について 本願発明は「前記測定対象の測定結果と、1以上のサービスセルのキャリア周波数に基づいて前記電子装置のメインアクセスセルと共にアグリゲーションされる1以上のサービスセルの性能と、を比較し」との事項を発明特定事項とする発明である。すなわち、比較対象となるソース基地局の全てのセル、又はソース基地局のセルにおける何れか一つを、電子装置のある特定のメインアクセスセルと区別して、「メインアクセスセルと共にアグリゲーションされる1以上のサービスセル」として、当該サービスセルの性能と、前記測定対象の測定結果と、を比較することを含むものである。 しかしながら、当審拒絶理由の「第1 2.」に示した発明の詳細な説明の各段落、及び、平成30年1月15日に提出された意見書の(3-2)で引用されている発明の詳細な説明の段落0054(上記1(2))には、端末は各測定結果とソース基地局の全てのセルの性能を比較する事項、又は端末は各測定結果とソース基地局の全てのセルにおける何れか一つの性能を比較する事項が記載されている。 したがって、上記2(2)で述べたことに加え、技術常識を踏まえて発明の詳細な説明全体の記載を考慮しても、比較対象となるソース基地局の全てのセル、又はソース基地局のセルにおける何れか一つを、電子装置のある特定のメインアクセスセルと区別して、「メインアクセスセルと共にアグリゲーションされる1以上のサービスセル」として、当該サービスセルの性能と、前記測定対象の測定結果と、を比較する事項は、発明の詳細な説明に記載も示唆もされているとはいえない。 また、下記4(3)のとおり、「メインアクセスセルと共にアグリゲーションされる1以上のサービスセル」がキャリアアグリゲーション方式における「セカンダリセル」に相当するとの意見書の(3-3)での主張は、発明の詳細な説明に基づくものではなく、採用できない。 以上を踏まえると、上記発明特定事項は、発明の詳細な説明に記載された事項といえないから、上記発明特定事項を含む本願発明は、発明の詳細な説明に記載された発明とはいえない。 「前記測定対象の測定結果と、1以上のサービスセルのキャリア周波数に基づいてメインアクセスセルと共にアグリゲーションされる1以上のサービスセルの性能とを比較すること」との事項を発明特定事項とする請求項17、19に係る発明、「1以上のサービスセルのキャリア周波数に基づいて、端末のメインアクセスセルと共にアグリゲーションされる、1以上のサービスセルの性能と測定対象との測定結果との比較」との事項を発明特定事項とする請求項9、18に係る発明、及び、請求項1、9に従属する請求項2-8、10-16に係る発明も、同様に、発明の詳細な説明に記載された発明とはいえず、当審拒絶理由の「第1 2.」は依然として解消されていない。 4 当審拒絶理由の「第1 3.」について 本願発明は「前記測定対象の測定結果と、1以上のサービスセルのキャリア周波数に基づいて前記電子装置のメインアクセスセルと共にアグリゲーションされる1以上のサービスセルの性能と、を比較し」との事項を発明特定事項とする発明であるところ、本願発明は、測定結果を取得し、前記測定結果のソース基地局への測定報告をトリガする、又はトリガしないとの機能により特定される電子装置の発明であるから、電子装置の測定報告を発送するか否かを判断する時点での機能に係る発明といえる。 (1) 発明の詳細な説明の段落0078(上記1(3))、段落0090(上記1(4))、段落0146?0151(上記1(6))の記載によると、発明の詳細な説明に記載された「メインアクセスセル」は、ソース基地局が、それがサービスする端末が発送した当該端末の近隣セルに関する性能測定報告に基づいてターゲット基地局とアクセス待ちセルを選択し、選択したアクセス待ちセルから一つを選択してメインアクセス待ちセルとし、当該メインアクセス待ちセルに対するRRC接続再配置を発起し、再配置完成したターゲット基地局のセルを特定しているといえるから、「メインアクセスセル」は、端末が発送した性能測定報告に基づいて特定されるセルであり、端末が性能測定報告を発送するか否かを判断する時点では特定し得ないセルといえる。 本願発明は、上記のとおり電子装置の測定報告を発送するか否かを判断する時点での機能に係る発明といえるが、この時点では、測定報告に基づき決定される「メインアクセスセル」は特定し得ないから、発明の詳細な説明に記載された「メインアクセスセル」として解釈した場合、本願発明における「メインアクセスセル」がどのようなセルを特定しているのか明確とはいえない。 そして、特定し得ない「メインアクセスセル」と共にアグリゲーションされる1以上のサービスセルも、同様に特定し得ないセルといえるから、上記発明特定事項における「メインアクセスセルと共にアグリゲーションされる1以上のサービスセル」がどのようなセルを特定しているのかも同様に明確とはいえず、上記発明特定事項における「メインアクセスセルと共にアグリゲーションされる1以上のサービスセル」は明確とはいえない。 (2) 続いて、測定結果との比較対象に関する発明の詳細な説明の記載に基づいて、上記発明特定事項における「メインアクセスセルと共にアグリゲーションされる1以上のサービスセル」が明確といえるか検討する。 上記3で述べたとおり、発明の詳細な説明には、各測定結果との比較対象として、ソース基地局の全てのセルの性能、及び、ソース基地局の全てのセルにおける何れか一つの性能が記載されている。 しかしながら、発明の詳細な説明には、ソース基地局のどのセルが「メインアクセスセル」、又は「メインアクセスセルと共にアグリゲーションされる1以上のサービスセル」であるのかについて記載も示唆もなく、ソース基地局のセルのうち、どのセルが「メインアクセスセル」であり、又は「メインアクセスセルと共にアグリゲーションされる1以上のサービスセル」であるのか特定されていない。 また、技術常識を踏まえれば、メインアクセスセル、及びメインアクセルセルと共にアグリゲーションされるサービスセルの双方を含む「ソース基地局の全てのセル」を「メインアクセスセルと共にアグリゲーションされる1以上のサービスセル」とはいえず、また、上記2(2)で述べたように、段落0054の記載を踏まえると、「ソース基地局の全てのセルにおける何れか一つのセル」をあえて「メインアクセスセルと共にアグリゲーションされる1以上のサービスセル」と特定する合理的な理由もない。 したがって、測定結果との比較対象に関する発明の詳細な説明に基づいても、上記発明特定事項における「メインアクセスセルと共にアグリゲーションされる1以上のサービスセル」は明確とはいえない。 よって、上記(1)及び(2)のとおり、上記発明特定事項における「メインアクセスセル」、及び「メインアクセスセルと共にアグリゲーションされる1以上のサービスセル」は明らかでなく、上記発明特定事項を含む本願発明は明確とはいえない。 また、同様に請求項9、17-19に係る発明、及び、請求項1、9に従属する請求項2-8、10-16に係る発明も明確とはいえない。 そして、「メインアクセスセル」は、端末が発送した性能測定報告に基づいて特定されるセルであり、端末が性能測定報告を発送するか否かを判断する時点では特定し得ないセルであることに鑑みれば、「前記測定対象の測定結果と、1以上のサービスセルのキャリア周波数に基づいて前記電子装置のメインアクセスセルと共にアグリゲーションされる1以上のサービスセルの性能と、を比較し、 前記比較に基づく前記測定結果の前記ソース基地局への測定報告をトリガするように構成され」との事項を発明特定事項とする本願発明を実施することは、当業者といえども不可能である。 (3) 意見書(3-3)について 発明の詳細な説明の段落0117?0118(上記1(5))には、「選択した一つ或いは複数のアクセス待ちセルから一つを選択してメインアクセスセルとするメインセル選択装置1607」、「具体的に、メインセル選択装置1607は性能測定報告に基づいて選択したアクセス待ちセルのうち性能が最もよい一つを選択してメインアクセス待ちセルとする。」、及び、端末はまずメインアクセル待ちセルにアクセスし、メインアクセス待ちセルに対するアクセスを完成した後に、端末はキャリアコンポーネントを添加し、キャリアアグリゲーションの伝送モードを実現するとの事項が記載されている。 そして、キャリアアグリゲーション方式において、端末がアクセスしているセルが、「プライマリセル」、又は「セカンダリセル」として機能することは技術常識といえるが、発明の詳細な説明に、メインアクセスセルがキャリアアグリゲーション方式における「プライマリセル」と特定できる記載はない。 また、発明の詳細な説明の段落0055?0056(上記1(2))に記載された、ステップ112において、各測定結果と比較されるのは「ソース基地局の全てのセルの性能」又は「ソース基地局の全てのセルにおける何れか一つの性能」であるが、技術常識を踏まえればプライマリセル及びセカンダリセル双方を含む「ソース基地局の全てのセル」を「セカンダリセル」とはいえず、また、発明の詳細な説明に「ソース基地局の全てのセルにおける何れか一つ」のセルが、キャリアアグリゲーション方式における「セカンダリセル」であると特定できる記載もない。 そして、段落0054(上記1(2))の「具体的に、同じ周波数帯域に位置するキャリアコンポーネントは一般的に類似する伝播特性を有し、よって、ソース基地局が連続的キャリアアグリゲーション方式である場合、そのセルから任意に一つを選択して比較待ち対象として測定することができ、端末の測定負荷及び処理負荷を低減し、処理速度を向上する。」との記載を踏まえれば、あえて「セカンダリセル」を「ソース基地局の全てのセルにおける何れか一つ」のセルとして特定する合理的な理由もない。 以上を踏まえると、本願発明の「メインアクセスセル」と「メインアクセスセルと共にアグリゲーションされる1以上のサービスセル」が、キャリアアグリゲーション方式における「プライマリセル」と「セカンダリセル」にそれぞれ相当するとの上記第3「2」の意見書(3-3)での主張は、発明の詳細な説明の記載に基づくものとはいえず、採用できない。 したがって、当審拒絶理由の「第1 3.」は依然として解消されていない。 5 当審拒絶理由の「第1 4.」について 請求項1の「前記測定対象の測定結果を、1以上のサービスセルのキャリア周波数に基づいて前記電子装置のメインアクセスセルと共にアグリゲーションされる1以上のサービスセルの性能と比較し」との発明特定事項は、 平成30年1月15日にされた手続補正により、「前記測定対象の測定結果と、1以上のサービスセルのキャリア周波数に基づいて前記電子装置のメインアクセスセルと共にアグリゲーションされる1以上のサービスセルの性能と、を比較し」と補正された。 これにより、補正後の当該発明特定事項において、「1以上のサービスセルのキャリア周波数に基づいて」が「アグリゲーションされる」を修飾する点は明らかになった。 しかしながら、複数のセルを利用するキャリアアグリゲーション技術において、「1以上のサービスセルのキャリア周波数」がどのように機能して「電子装置のメインアクセスセルと共にアグリゲーションされる1以上のサービスセル」を特定しているのか依然として明らかでなく、また、上記4で述べたように、上記補正後の発明特定事項の「メインアクセスセルと共にアグリゲーションされる1以上のサービスセル」が、ソース基地局によりサービスが行われているセルのうち、どのセルを特定しているのか明らかでないから、上記補正後の発明特定事項を含む本願発明は明確とはいえない。 請求項9、17-19に係る発明、及び請求項1、9を引用する請求項2-8、10-16に係る発明についても同様に明確とはいえない。 また、上記補正後の発明特定事項が、発明の詳細な説明のどの記載事項に対応するのかも明らかでなく、上記補正後の発明特定事項を含む請求項1-19に係る発明は、発明の詳細な説明に記載された発明ともいえないから、当審拒絶理由の「第1 4.」は依然として解消されていない。 6 当審拒絶理由の「第1 5.」について (1) 平成30年1月15日に提出された意見書をみても、当審拒絶理由の「第1 5.」について反論しておらず、また、当該拒絶理由に対応する補正もされていない。 そして、請求項1、17、19の「前記比較に基づく前記測定結果の前記ソース基地局への測定報告をトリガする」との発明特定事項において、「基づく」が、「測定結果」、「測定報告」、「トリガする」のいずれを修飾しているのか明らかでなく、また、単に「基づく」との記載では、上記発明特定事項において、「比較」がどのように機能しているのか特定できないから、上記発明特定事項を含む請求項1、17、19及び請求項1を引用する請求項2-8に係る発明は依然として明確でない。 (2) 上記発明特定事項が、発明の詳細な説明のどの記載事項に対応しているのか明らかでないから、請求項1-8、17、19記載の発明は、発明の詳細な説明に記載された発明とはいえない。 したがって、当審拒絶理由の「第1 5.」は依然として解消されていない。 7 当審拒絶理由の「第1 7.」について (1) 請求項10の「前記測定報告は、前記サービスセルのキャリア周波数に基づく前記端末のメインアクセスセルの性能との前記測定対象の測定結果の比較に基づく前記測定対象の測定結果と、前記端末に対する前記メインアクセスセルを取り替えるためのメインアクセス待ちセルを含む前記ターゲットセルとをさらに含む」との発明特定事項は、 平成30年1月15日にされた手続補正により、「前記測定報告は、前記サービスセルのキャリア周波数に基づく前記端末のメインアクセスセルの性能との前記測定対象の測定結果の比較に基づく前記測定対象の測定結果と、前記端末に対する前記メインアクセスセルを取り替えるためのセルを含む前記ターゲットセルとをさらに含む」と補正された。 しかしながら、請求項10が引用する請求項9に「1以上のサービスセルのキャリア周波数に基づいて、端末のメインアクセスセルと共にアグリゲーションされる、1以上のサービスセルの性能と測定対象の測定結果との比較に基づく前記測定対象の測定結果を含む前記端末の測定報告を取得し、 前記測定報告に基づいて、前記端末に対する1以上のターゲットセルを決定するように構成され」と記載されているように、「メインアクセスセルを取り替えるためのセルを含むターゲットセル」は、取得した測定報告に基づいて決定されるセルである。 そして、技術常識を踏まえれば「端末に対するメインアクセスセルを取り替えるためのセルを含むターゲットセル」を決定する前の、測定報告を取得する時点では前記ターゲットセルは決定し得ず、取得する測定報告は、どのようにして、決定し得ない前記ターゲットセルを含むことができるのか明らかではない。 してみると、「メインアクセス待ちセル」を単に「セル」と補正したとしても、決定し得ないターゲットセルに含まれる「メインアクセスセルを取り替えるためのセル」を測定報告に含む補正後の上記発明特定事項は明確とはいえない。 また、ターゲットセルに含まれる「メインアクセスセルを取り替えるためのセル」が決定している場合に、当該セルを決定するため情報である測定報告を取得する必要はないから、「端末に対する前記メインアクセスセルを取り替えるためのセル」を測定報告に含む上記発明特定事項は明確とはいえない。 したがって、「端末に対する前記メインアクセスセルを取り替えるためのセル」を測定報告に含む補正後の上記発明特定事項は、技術常識を考慮しても明らかでなく、補正後の上記発明特定事項を含む請求項10、及び請求項10に従属する11-16に係る発明は明確といえない。 (2) 測定報告を取得する時点で、決定され得ない「端末に対する前記メインアクセスセルを取り替えるためのセル」を、測定報告に含む事項について、発明の詳細な説明には何ら記載されていないから、当該事項を発明特定事項とする請求項10-16に係る発明は、発明の詳細な説明に記載されているとはいえない。 (3) 上記(1)で述べたとおり、測定報告を取得する時点で、「端末に対する前記メインアクセスセルを取り替えるためのセル」は特定し得ず、また、上記(2)で述べたとおり、発明の詳細な説明には、測定報告を取得する時点で、特定され得ない「端末に対する前記メインアクセスセルを取り替えるためのセル」を、測定報告に含む事項について何ら記載されていないから、技術常識を踏まえても、発明の詳細な説明は、当該事項を発明特定事項とする請求項10-16に係る発明を、当業者が実施し得る程度に明確かつ十分に記載されているとはいえない。 したがって、当審拒絶理由の「第1 7.」は依然として解消されていない。 8 当審拒絶理由の「第1 8.」について (1) 請求項11の「前記回路は、ターゲット基地局に対して、前記1以上のターゲットセルの周波数に基づく前記1以上のターゲットセルの情報を含む切り替え要求メッセージを生成するようにさらに構成される」との発明特定事項は、 平成30年1月15日にされた手続補正により「前記回路は、ターゲット基地局に対して、前記1以上のターゲットセルのキャリア周波数に基づく前記1以上のターゲットセルの情報を含む切り替え要求メッセージを生成するようにさらに構成される」と補正された。 しかしながら、補正後の請求項11に係る発明においても、「基づく」が何をどのように修飾しているのか明らかでなく、切り替え要求メッセージにどのような情報を含むのか明らかでない。 また、単に「基づく」との記載では、「1以上のターゲットセルのキャリア周波数」がどのように機能するのか特定できない。 そして、平成30年1月15日に提出された意見書をみても、なんら釈明はなされていない。 したがって、補正後の上記発明特定事項を含む請求項11、及び請求項11を引用する請求項12-16に係る発明は依然として明確でない。 (2) 補正後の上記発明特定事項が、発明の詳細な説明のどの記載事項と対応するのも明らかでなく、上記発明特定事項を含む請求項11-16記載の発明は、発明の詳細な説明に記載された発明とはいえない。 したがって、当審拒絶理由の「第1 8.」は依然として解消されていない。 第5 むすび 以上のとおり、本件出願は、発明の詳細な説明の記載、特許請求の範囲の記載にそれぞれ不備があり、特許法第36条第4項第1号、同条第6項第1号、及び2号に規定する要件を満たしていないから、特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2018-03-08 |
結審通知日 | 2018-03-13 |
審決日 | 2018-03-26 |
出願番号 | 特願2014-156255(P2014-156255) |
審決分類 |
P
1
8・
537-
Z
(H04W)
P 1 8・ 536- Z (H04W) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 齋藤 浩兵 |
特許庁審判長 |
菅原 道晴 |
特許庁審判官 |
松永 稔 川口 貴裕 |
発明の名称 | キャリアアグリゲーションをサポートする通信システムにおいてセルを切り替える方法、デバイス及びシステム |
代理人 | 亀谷 美明 |