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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F |
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管理番号 | 1340034 |
審判番号 | 不服2017-6898 |
総通号数 | 222 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2018-06-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2017-05-12 |
確定日 | 2018-05-07 |
事件の表示 | 特願2015-544774「電子機器」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 5月 7日国際公開、WO2015/064008〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、2014年(平成26年)9月26日(優先権主張 平成25年10月28日)を国際出願日とする出願であって、平成28年9月14日付けで拒絶理由通知がなされ、平成28年11月18日に意見書が提出され、平成29年2月10日付けで拒絶査定がなされ、平成29年5月12日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。 2.本願発明 本願の請求項1ないし4に係る発明は、特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された事項により特定されるものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。 「【請求項1】 表面および背面にタッチセンサを有する電子機器であって、 背面のタッチセンサの操作を検出すると、表示中の画面をクローズさせる制御部 を備えることを特徴とする電子機器。」 3.引用文献1、引用発明について 原査定の拒絶の理由に引用され、本願優先日前に公開された、特開2013-200882号公報(以下、「引用文献1」という。)には、図面とともに以下の記載がある(下線は、特に着目した箇所を示す。以下同様。)。 (1) 段落【0017】-【0018】 「【0017】 図1は、本発明の一実施形態に係る情報処理装置10の外観の一例を示す斜視図である。また、図2は、情報処理装置10の構成を示す構成ブロック図である。これらの図に示すように、情報処理装置10は、制御部11と、記憶部12と、画像処理部13と、表示部14と、タッチセンサ15と、操作ボタン16と、を含んで構成される。 【0018】 制御部11は、例えばCPU等であって、記憶部12に格納されているプログラムに従って、各種の情報処理を実行する。本実施形態において制御部11が実行する処理の具体例については、後述する。」 (2) 段落【0053】 「【0053】 本実施形態において、画像切り替え操作は、画面Sの一辺に沿った方向を指示する操作である。具体的に、メニュー画像Im又はボード画像Ibが表示された状態において、画面Sの上辺L1及び下辺L4に沿った方向(X軸正方向又はX軸負方向)を指示するスライド操作をユーザが行った場合に、画像切替部24は、このスライド操作を画像切り替え操作として受け付ける。そして、指示された方向がX軸正方向及び負方向のいずれであるかと、選択順記憶領域Mに記憶されているプログラムIDの記憶順序と、に応じて、再表示する画像を決定する。」 (3) 段落【0063】 「【0063】 スクロール制御部25は、ボード画像Ibが表示された状態でユーザがスクロールを指示する操作を行った場合に、当該操作に応じたスクロール制御を行う。具体的に、本実施形態では、スクロール指示の方向はY軸に沿った方向であることとし、ユーザは、ボード画像Ibが表示された状態において、Y軸正方向又はY軸負方向へのスライド操作を行うことで、スクロールを指示する。すなわち、スクロール制御部25は、Y軸正方向へのスライド操作を受け付けた場合には、表示対象範囲RをプログラムボードB内のY軸負方向へ移動させ、Y軸負方向へのスライド操作を受け付けた場合には、表示対象範囲RをY軸正方向へ移動させる。これにより、ユーザは、画像切り替え操作の場合と同様に、ボード表示領域Ab内に表示されている画像を当該スライド操作の方向にすべらせるような感覚で、表示中の画像をスクロールさせることができる。このスクロール指示によって、最初に表示されたボード画像Ibに関連する画像として、最初にボード画像Ibが表示された際には表示されていなかったプログラムボードB内の表示要素を示す画像が画面Sに表示される。」 (4) 段落【0094】-【0097】 「【0094】 次に、ボード画像Ibの表示終了処理、及び表示終了制限処理について、説明する。これまで説明したように、所定の上限数Nを超える数のメニュー項目画像Icが選択されると、過去に選択されたメニュー項目画像Icに対応するボード画像Ibは、古いものから順に、画像切替部24の切り替え対象から除外されていく。しかし、これ以外にも、ユーザは自分が表示させたボード画像Ibの表示を明示的に終了させたい場合がある。そこで、いずれかのボード画像Ibが表示された状態においてユーザが所定の表示終了操作を行った場合には、ボード画像表示制御部22が当該ボード画像Ibの表示を終了するとともに、選択順管理部23が当該ボード画像Ibに対応するプログラムIDを選択順記憶領域Mから削除する。これにより、当該ボード画像Ibは画像切替部24による切り替え対象から除外されることになる。なお、ボード画像Ibの表示を終了する際には、ボード画像表示制御部22は、当該表示を終了するボード画像Ibが表示されていたときに所定方向(例えばX軸正方向)への画像切り替え操作が行われた場合と同様に、当該表示を終了するボード画像Ibに対応するプログラムIDの一つ後に選択順記憶領域Mに格納されたプログラムIDに対応するボード画像Ib又はメニュー画像Imを再表示することとする。 ・・・(中略)・・・ 【0096】 ここで、表示終了操作は、操作の対象となるボード画像Ibがボード表示領域Abに表示された状態において、所定の操作対象領域Acに対して、第1の方向を指示する操作である。具体的に、本実施形態では、表示終了操作は、ボード表示領域Abの右上隅に設けられた操作対象領域Acに対して、斜め左下方向(すなわち、操作対象領域Acから画面Sの中央に向かう方向)を指示するスライド操作であることとする。さらに、表示終了操作は、この操作対象領域Ac内の一点を始点として、当該始点から操作対象領域Ac外へ向かうスライド操作になっている。 【0097】 また、表示終了制限操作は、操作の対象となるボード画像Ibがボード表示領域Abに表示された状態において、表示終了操作と同じ操作対象領域Acに対して、表示終了操作の指示方向である第1の方向とは異なる第2の方向を指示する操作である。具体的に、本実施形態では、表示終了制限操作は、操作対象領域Acに対して、表示終了操作の指示方向とは反対方向である斜め右上方向を指示するスライド操作であることとする。さらに、表示終了操作は、この操作対象領域Ac内の一点を終点として、操作対象領域Ac外から当該終点へ向かうスライド操作になっている。」 (5) 段落【0100】 「【0100】 また、ボード画像表示制御部22は、ユーザによる表示終了操作が開始されたと判定した場合に、当該操作が開始されたことを示す操作中画像Ig2を画面Sに表示させてもよい。そして、ボード画像表示制御部22は、操作中画像Ig2が表示された後、ユーザが左下方向へのスライド操作をさらに続けて実行した場合に、表示中のボード画像Ibの表示を終了してもよい。具体例として、ボード画像表示制御部22は、ユーザが操作対象領域Ac内の始点から開始して左下方向へのスライド操作を行った場合、ユーザの指がタッチセンサ15の検出面に接触している間、スライド操作の操作量に応じて、徐々に変化する操作中画像Ig2を表示する。そして、ユーザが指を離した時点におけるスライド操作の操作量に応じて、ボード画像Ibの表示を終了させる処理を実行するか否かを判定する。すなわち、ボード画像表示制御部22は、スライド操作の操作量が所定の条件を満たすか否かの判定を行い、所定の条件を満たす場合に、ボード画像Ibの表示を終了する。例えば、スライド操作の操作量が所定の閾値を超えていれば表示終了操作が完了したと判定し、表示中のボード画像Ibの表示を終了する。一方、所定の閾値以下であれば、表示終了操作は完了しなかったと判定し、ボード画像Ibの表示を終了させずに、元の操作位置案内画像Igを再表示する。あるいは、操作対象領域Ac内の始点から開始されたスライド操作の終点の位置が、操作対象領域Ac内の基準点(例えばボード表示領域Abの右上隅に対応する点)から所定距離以上離れている場合に、表示終了操作の完了条件を満たすと判定してもよい。こうすれば、ユーザは、誤って表示終了操作を開始してしまった場合に、表示終了操作を完了してしまう前にそのことを知ることができる。そして、操作中画像Ig2が表示された段階ですぐにスライド操作を中断すれば、表示終了操作を中止することができる。なお、この操作中画像Ig2は、操作位置案内画像Igを変化させたものであってもよい。図14は、このような表示終了操作の途中の状態を示す図である。同図の例では、操作中画像Ig2として、操作位置案内画像Igよりも背景画像Iwが大きくめくれた様子を示す画像が表示されている。特にこの操作中画像Ig2は、ユーザがスライド操作を継続するにしたがって、その操作量に応じてより背景画像Iwが大きくめくれていくように更新されてよい。こうすれば、ユーザは、直感的に表示終了操作が行われようとしていることを理解できる。」 (6) 段落【0103】 「【0103】 なお、本発明の実施の形態に係る情報処理装置は、以上説明したものに限られない。例えば情報処理装置10は、画面Sに重ねて配置されるタッチセンサ15に代えて、又はこれに加えて、情報処理装置10の筐体の裏面側(画面Sが配置された面の裏側)にタッチセンサを備えてもよい。この場合、この裏面側のタッチセンサも、画面Sに対応した検出面を備えており、当該タッチセンサ上でユーザは指などを移動させるスライド操作を行うことで、スクロール指示や画像切り替えの指示などを行うことができる。」 (7) 段落【0111】 「【0111】 なお、以上説明したシンボル画像の表示処理や、表示終了操作、及び表示終了制限操作に応じた処理は、以上説明したようなそれぞれプログラムに関連するボード画像Ibに限らず、種々の画像を切り替えて表示する情報処理装置に適用可能である。一例として、複数のタブを切り替えて表示するタブブラウザにこのような技術を適用した場合について、以下に説明する。・・・(以下略)・・・」 よって、上記各記載事項を関連図面に照らし、下線部に着目すれば、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。 「情報処理装置10は、制御部11と、記憶部12と、画像処理部13と、表示部14と、タッチセンサ15と、操作ボタン16と、を含んで構成され、 制御部11は、例えばCPU等であって、記憶部12に格納されているプログラムに従って、各種の情報処理を実行し、 メニュー画像Im又はボード画像Ibが表示された状態において、画面SのX軸正方向又はX軸負方向を指示するスライド操作をユーザが行った場合に、画像切替部24は、このスライド操作を画像切り替え操作として受け付け、 スクロール制御部25は、ボード画像Ibが表示された状態でユーザがスクロールを指示する操作を行った場合に、当該操作に応じたスクロール制御を行い、 具体的に、ユーザは、ボード画像Ibが表示された状態において、Y軸正方向又はY軸負方向へのスライド操作を行うことで、スクロールを指示し、 ユーザは自分が表示させたボード画像Ibの表示を明示的に終了させたい場合、いずれかのボード画像Ibが表示された状態においてユーザが所定の表示終了操作を行った場合には、ボード画像表示制御部22が当該ボード画像Ibの表示を終了し、ボード画像表示制御部22は、当該表示を終了するボード画像Ibに対応するプログラムIDの一つ後に選択順記憶領域Mに格納されたプログラムIDに対応するボード画像Ib又はメニュー画像Imを再表示し、 具体的に、表示終了操作は、ボード表示領域Abの右上隅に設けられた操作対象領域Acに対して、斜め左下方向を指示するスライド操作であり、 ボード画像表示制御部22は、ユーザによる表示終了操作が開始されたと判定した場合に、当該操作が開始されたことを示す操作中画像Ig2を画面Sに表示させ、操作中画像Ig2として、操作位置案内画像Igよりも背景画像Iwが大きくめくれた様子を示す画像が表示され、この操作中画像Ig2は、ユーザがスライド操作を継続するにしたがって、その操作量に応じてより背景画像Iwが大きくめくれていくように更新され、ユーザは、直感的に表示終了操作が行われようとしていることを理解でき、 情報処理装置10は、画面Sに重ねて配置されるタッチセンサ15に代えて、又はこれに加えて、情報処理装置10の筐体の裏面側(画面Sが配置された面の裏側)にタッチセンサを備え、この場合、この裏面側のタッチセンサも、画面Sに対応した検出面を備えており、当該タッチセンサ上でユーザは指などを移動させるスライド操作を行うことで、スクロール指示や画像切り替えの指示などを行う、 情報処理装置。」 4.対比 本願発明と引用発明とを対比する。 (1) 引用発明の「情報処理装置10」は、後述する相違点を除き、本願発明の「電子機器」に対応する。 引用発明の「タッチセンサ15」は、本願発明の「表面」側の「タッチセンサ」に相当する。 引用発明の「情報処理装置10の筐体の裏面側(画面Sが配置された面の裏側)に」備えられる「タッチセンサ」は、本願発明の「裏面」側の「タッチセンサ」に相当する。 よって、「画面Sに重ねて配置されるタッチセンサ15に代えて、又はこれに加えて、情報処理装置10の筐体の裏面側(画面Sが配置された面の裏側)にタッチセンサを備え」る、引用発明の「情報処理装置10」は、本願発明の「表面および背面にタッチセンサを有する電子機器」に相当する。 (2) 引用発明の「例えばCPU等であって、記憶部12に格納されているプログラムに従って、各種の情報処理を実行」する「制御部11」は、後述する相違点を除き、本願発明の「制御部」に対応する。 引用発明の「裏面側のタッチセンサも、画面Sに対応した検出面を備えており、当該タッチセンサ上でユーザは指などを移動させるスライド操作を行うことで、スクロール指示や画像切り替えの指示などを行う」ことは、本願発明の「背面のタッチセンサの操作を検出すると、表示中の画面をクローズさせる制御部」と、「背面のタッチセンサの操作を検出すると、表示中の画面を制御する制御部」である点で共通するといえる。 したがって、本願発明と引用発明との間には、次の一致点・相違点があるといえる。 [一致点] 「表面および背面にタッチセンサを有する電子機器であって、 背面のタッチセンサの操作を検出すると、表示中の画面を制御する制御部 を備えることを特徴とする電子機器。」 [相違点] 本願発明では、背面のタッチセンサの操作を検出すると、「表示中の画面をクローズさせる」のに対して、引用発明では、「裏面側のタッチセンサ」上で、「ユーザは指などを移動させるスライド操作を行うことで、スクロール指示や画像切り替えの指示などを行う」ものであって、裏面側へのタッチセンサの操作を検出すると、「表示中の画面をクローズさせる」ことは、特定がなされていない点。 5.当審の判断 [相違点]について 引用発明では、裏面側のタッチセンサ上でのスライド操作として、「スクロール指示や画像切り替えの指示など」が例示されている。 ここで、引用発明は、表面側のタッチセンサ15に対して、水平方向(X軸方向)と垂直方向(Y軸方向)のスライド操作に、「画像切り替え」と「スクロール指示」を割り当てるとともに、所定の操作対象領域Acからの斜め方向のスライド操作に、「ボード画像Ibの表示を終了」する処理を割り当てるものである。 また、引用発明において、「ボード画像Ibが表示された状態においてユーザが所定の表示終了操作を行った場合には、ボード画像表示制御部22が当該ボード画像Ibの表示を終了し、ボード画像表示制御部22は、当該表示を終了するボード画像Ibに対応するプログラムIDの一つ後に選択順記憶領域Mに格納されたプログラムIDに対応するボード画像Ib又はメニュー画像Imを再表示」することは、「具体的に、表示終了操作は、ボード表示領域Abの右上隅に設けられた操作対象領域Acに対して、斜め左下方向を指示するスライド操作であり」、「ボード画像表示制御部22は、ユーザによる表示終了操作が開始されたと判定した場合に、当該操作が開始されたことを示す操作中画像Ig2を画面Sに表示させ、操作中画像Ig2として、操作位置案内画像Igよりも背景画像Iwが大きくめくれた様子を示す画像が表示され、この操作中画像Ig2は、ユーザがスライド操作を継続するにしたがって、その操作量に応じてより背景画像Iwが大きくめくれていくように更新され、ユーザは、直感的に表示終了操作が行われようとしていることを理解でき」るもの、要するに、斜め下方向へのスライド操作に伴って、現在のボード画像がめくられて(図14参照。)、別のボード画像の表示に切り替わるものであるから、本願発明の「表示中の画面をクローズさせる」制御に相当する。 よって、引用発明の裏面側のタッチセンサについても、表面側のタッチセンサ15と同様に、水平方向(X軸方向)と垂直方向(Y軸方向)のスライド操作に、「画像切り替え」と「スクロール指示」を割り当てるとともに、所定の操作対象領域からの斜め方向のスライド操作に、「ボード画像Ibの表示を終了」する処理を割り当てるように構成することによって、背面のタッチセンサの操作を検出すると、「表示中の画面をクローズさせる」ように構成して、上記[相違点]に係る本願発明の構成とすることは、引用発明の具体化において、当業者であれば容易に推考し得ることである。 さらに、本願発明の効果も、引用発明に基づいて、当業者が予測し得る範囲内のものである。 6.むすび したがって、本願発明は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2018-02-27 |
結審通知日 | 2018-03-06 |
審決日 | 2018-03-19 |
出願番号 | 特願2015-544774(P2015-544774) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(G06F)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 野村 和史、鈴木 大輔、萩島 豪 |
特許庁審判長 |
和田 志郎 |
特許庁審判官 |
稲葉 和生 山澤 宏 |
発明の名称 | 電子機器 |
代理人 | 杉村 憲司 |
代理人 | 福尾 誠 |
代理人 | 太田 昌宏 |