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審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1340039
審判番号 不服2017-9732  
総通号数 222 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-06-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-07-03 
確定日 2018-05-07 
事件の表示 特願2015- 16073「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 8月 8日出願公開、特開2016-140379〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成27年1月29日の出願であって、平成28年12月7日付けで拒絶の理由が通知され、平成29年2月10日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、平成29年3月24日付け(発送日:平成29年4月4日)で拒絶査定がなされ、それに対して、平成29年7月3日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。

第2 平成29年7月3日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成29年7月3日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 本件補正の概要
本件補正は、特許請求の範囲の請求項1を補正する内容を含んでおり、本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、平成29年2月10日付けの手続補正書における、

「【請求項1】
可変表示を行い、遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であって、
可変表示に関する情報を保留情報として記憶可能な保留記憶手段と、
可変表示に対応した画像を表示可能な表示手段とを備え、
前記表示手段は、可変表示に対応した画像を共通態様により表示した後に、期待度に応じて、第1画像を表示することにより第1可変表示に対する第1演出、または第2画像を表示することにより第2可変表示に対する第2演出を実行可能であることを特徴とする遊技機。」

から、平成29年7月3日付けの手続補正書における、

「【請求項1】
A 可変表示を行い、遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であって、
B 可変表示に関する情報を保留情報として記憶可能な保留記憶手段と、
C 可変表示に対応した画像を表示可能な表示手段とを備え、
D 前記表示手段は、可変表示に対応した画像を複数回の可変表示に亘って共通態様により表示した後に、期待度に応じて、第1画像を第1動作態様で動作させることにより第1可変表示に対する第1演出、または前記第1画像とは異なる第2画像を前記第1動作態様とは異なる第2動作態様で動作させることにより第2可変表示に対する第2演出を実行することを特徴とする遊技機。」

に補正された(下線部は補正箇所を示す。また、A?Dは、分説するために当審にて付した。)。

2 補正の適否
本件補正は、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「可変表示に対応した画像を共通態様により表示した後に」に関して、共通態様による表示を「複数回の可変表示に亘って」すると限定し、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「第1画像を表示することにより第1可変表示に対する第1演出」に関して、第1画像の表示を「第1動作態様で動作させる」ものに限定し、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「第2画像を表示することにより第2可変表示に対する第2演出」に関して、第2画像を「前記第1画像とは異なる」ものに限定するとともに、第2画像の表示を「前記第1動作態様とは異なる第2動作態様で動作させる」ものに限定し、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「実行可能であること」を「実行すること」に限定したものである。
また、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一である。
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そして、本件補正は、新規事項を追加するものではない。

3 独立特許要件について
本件補正後の請求項1に記載された発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(1)本願補正発明
本願補正発明は、上記1の本件補正の概要において示したとおりのものである。

(2)刊行物
原査定の拒絶の理由に引用文献1として引用され、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2014-236814号公報(以下「刊行物1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている(下線は当審で付した。以下同じ。)。

(1-a) 「【0012】
以下、適宜図面を参照しつつ、本発明の一実施形態に係るパチンコ遊技機1ついて説明する。なお、以下では、パチンコ遊技機1を、単に、遊技機1という場合がある。」

(1-b) 「【0064】
ここで、本実施形態における遊技機1の遊技状態について説明する。遊技機1の遊技状態としては、通常状態と、電サポ状態と、確変状態と、大当り遊技状態とが少なくとも存在する。通常状態とは、基本となる通常の遊技状態であり、特別図柄抽選の当選確率が通常の低確率(1/300:高確率は1/30)に設定され、又、電動チューリップ27が開放状態になり難い設定にされた遊技状態である。電サポ状態とは、典型的には、通常状態に対して、普通図柄抽選(電動チューリップ27の開放抽選)の実行時間が短縮され、普通図柄抽選の当選確率が上がり、普通図柄抽選に当選した場合に電動チューリップ27が長時間開放されるように制御されることによって、電動チューリップ27が頻繁に長時間開放されて第2始動口22に遊技球が頻繁に入賞する遊技状態である。つまり、電サポ状態は、通常状態よりも電動チューリップ27が開放状態になり易く設定された遊技状態である。確変状態は、特別図柄抽選の当選確率が高確率(1/30:低確率は1/300)に設定された遊技状態である。なお、電サポ状態と確変状態とが並存する場合もあり、この並存する状態を電サポ確変状態(又は時短確変状態)という。大当り遊技状態とは、特別図柄抽選に当選して(大当りして)大入賞口23が開放される大当り遊技(特別遊技)が実行されているときの遊技状態である。」

(1-c) 「【0133】
ステップS112において、CPU401は、ステップS111の処理で受信した保留増加コマンドに応じて、画像音響制御部500に指示して、画像表示部6に特別図柄抽選の保留を示す保留画像を追加表示させる保留画像表示処理を行う。以下、具体的に説明する。まず、CPU401は、ステップS111の処理で、第1保留数増加コマンドを受信した場合、RAM403に、第1特別図柄抽選の保留を示すデータ(保留データ)を時系列順で1つ累積記憶させ、一方、第2保留数増加コマンドを受信した場合、RAM403に、第2特別図柄抽選の保留を示すデータ(保留データ)を時系列順で1つ累積記憶させる。また、その際に、CPU401は、保留増加コマンドに含まれる事前判定情報を抽出して上記した各保留データに含めて、RAM403に記憶する。その後、CPU401は、RAM403に第1特別図柄抽選の保留を示す保留データを累積記憶させた場合、画像
音響制御部500に指示して画像表示部6にこの保留データに対応する第1特別図柄抽選の保留を示す保留画像(図16等参照)を1つ追加表示させ、一方、RAM403に第2特別図柄抽選の保留を示す保留データを累積記憶させた場合、画像音響制御部500に指示して画像表示部6にこの保留データに対応する第2特別図柄抽選の保留を示す保留画像を1つ追加表示させる。なお、この画像音響制御部500への指示は、コマンドをRAM403にセットすることで行われる。その後、処理はステップS113に移る。」

(1-d) 「【0154】
まず、ステップS1131において、演出制御部400のCPU401は、直近の図11のステップS112の処理でRAM403に記憶された事前判定情報に基づいて、図20?図22を用いて後述する保留画像変化示唆演出を実行するか否かを抽選等によって判定する。例えば、CPU401は、事前判定情報に含まれる大当りか否かの情報を毎回考慮することで、保留画像変化示唆演出を10000回実行した場合に結果として300回大当りする計算となる抽選方法によって(つまり、保留画像変化示唆演出の大当り信頼度が3%になる抽選によって)、保留画像変化示唆演出を実行するか否かを判定する。なお、ステップS1131の処理において、CPU401は、RAM403に記憶されている特別図柄抽選の保留数(保留データの数)が1である場合、保留画像変化示唆演出を実行する時間的余裕がないため、一律に、保留画像変化示唆演出を実行しないと判定する。ステップS1131での判定がYESの場合、処理はステップS1132に移り、この判定がNOの場合、処理は図14のステップS1142に移る。
【0155】
ステップS1132において、CPU401は、保留画像変化示唆演出の実行タイミングを設定する。具体的には、CPU401は、何れの報知演出で保留画像変化示唆演出を実行するのかを設定する。図21及び図22を用いて後述する例では、保留画像変化示唆演出の対象である保留画像RI3に対応する報知演出の3つ前の報知演出(保留画像RI0に対応する報知演出)で保留画像変化示唆演出を実行すると設定されている。その後、処理はステップS1133に移る。」

(1-e) 「【0165】
図14のステップS1142において、CPU401は、直近の図11のステップS112の処理でRAM403に記憶された事前判定情報に基づいて、図23を用いて後述する変動権利画像変化示唆演出を実行するか否かを抽選等によって決定する。例えば、CPU401は、事前判定情報に含まれる大当りか否かの情報を毎回考慮することで、変動権利画像変化示唆演出を10000回実行した場合に結果として100回大当りする計算となる抽選方法によって(つまり、変動権利画像変化示唆演出の大当り信頼度が1%になる抽選によって)、変動権利画像変化示唆演出を実行するか否かを決定する。ステップS1142での判定がYESの場合、処理はステップS1143に移り、この判定がNOの場合、処理は図11のステップS114に移る。」

(1-f) 「【0175】
まず、本実施形態による特徴的動作の具体的な説明の前に、図16を用いて、パチンコ遊技機1において行われる装飾図柄の変動表示、保留画像の表示、および変動権利画像の表示の概要について説明する。図16は、特別図柄抽選が行われてその結果を報知するために装飾図柄DIが変動表示される様子、特別図柄抽選が保留されていることを示す保留画像RIが消化される様子、および装飾図柄DIによる変動表示(報知演出)の実行権利が行使されて変動表示が行われていることを示す変動権利画像が表示される様子を説明するための図である。装飾図柄DIは、特別図柄抽選の判定結果を演出的に報知するための図柄(本実施形態では数字の「1」?「9」等を表す図柄)であり、本実施形態では3つの装飾図柄DI1?DI3の列を用いて特別図柄抽選の結果を演出的に報知する。このように、装飾図柄DIが変動表示されてから停止表示されることによって特別図柄抽選の結果を報知する演出を、報知演出(変動演出)という。また、報知演出は、様々な演出画像の表示や様々な演出音声の出力等を含む場合がある。なお、以下では、特別図柄抽選として第1特別図柄抽選が行われ、又、保留画像として第1特別図柄抽選が保留されていることを示す画像が表示されると共に変動権利画像として第1特別図柄抽選が実行されていることを示す画像が表示される場合を例に説明するが、特別図柄抽選として第2特別図柄抽選が行われる場合も同様である。
【0176】
まず、図16(1)に示すように、画像表示部6の表示画面(以下、単に、画像表示部6という)には、装飾図柄DI(DI1?DI3)、保留画像RI(RI1?RI4)、変動権利画像KI、ステージST(ST0?ST4)が表示される。装飾図柄DIは、3つの(3列の)装飾図柄DI1?DI3から構成されて画像表示部6に表示される。より具体的には、左側に左装飾図柄DI1が表示され、右側に右装飾図柄DI2が表示され、中央に中装飾図柄DI3が表示される。この左右中装飾図柄DI1?DI3は、特別図柄の変動表示に応じて(変動表示に同期して)変動表示される。
【0177】
特別図柄の変動表示が表示器4により開始すると(つまり、報知演出が開始されると)、左右中装飾図柄DI1?DI3が変動表示される。そして、特別図柄の変動表示が開始されてから所定時間が経過すると、図16(1)に示すように、左装飾図柄DI1として、例えば数字「1」が描かれた図柄が仮停止する。さらに所定時間経過すると、図16(2)に示すように、右装飾図柄DI2として、例えば数字「6」が描かれた図柄が仮停止する。さらに所定時間が経過すると、中装飾図柄DI3として、例えば数字「2」が描かれた図柄が仮停止した後、図16(3)に示すように、3つの装飾図柄DI1?DI3が完全に停止する(確定停止表示する)。このタイミングで、今回の特別図柄の変動表示が終了して(つまり、今回の報知演出が終了して)、第1特別図柄抽選の結果が遊技者に報知される。具体的には、装飾図柄DIが、当り目となる特定の図柄(典型的にはゾロ目「777」等)で揃うことで第1特別図柄抽選の結果が大当りであることが報知され、特定の図柄で揃わない(ハズレ目:典型的にはバラケ目)ことで、第1特別図柄抽選の結果がハズレであることが報知される。そして、図16(4)に示すように、以降同様に次の特別図柄の変動表示に応じて装飾図柄DIの変動表示が開始される。なお、仮停止とは、装飾図柄DIの変動が仮に停止したと遊技者が認識できる態様で停止されることをいい、完全に停止しているわけではなく、例えば、上下に僅かに変動した状態(揺れ動いている状態)で表示される。これにより、特別図柄が未だ変動中であることが示される。また、図16以降では、装飾図柄DIが上から下に変動している様子を矢印で表現している。
【0178】
保留画像RIは、遊技者に第1特別図柄抽選が保留されている数を示すための画像である。また、画像表示部6には、保留画像RIがそれぞれ表示される位置となる複数のステージST1?ST4が表示される。図16に示した一例では、画像表示部6の下部領域に左右方向にそれぞれ列設された複数のステージST1?ST4の上に、第1特別図柄抽選が保留されている回数それぞれに対応する保留画像RIが表示される。
【0179】
変動権利画像KIは、特別図柄の変動表示の実行権利が行使されて変動表示(装飾図柄DIによる変動表示(報知演出)と考えてもよい)が行われていることを示すための画像である。また、画像表示部6には、変動権利画像KIが表示される位置となるステージST0が表示される。図16に示した一例では、ステージST1の右側に配置されたステージST0の上に、変動権利画像KIが表示される。変動権利画像KIは、第1特別図柄抽選における特別図柄の変動が終了するまで(つまり、報知演出が終了するまで)表示される。
・・・
【0181】
ステージST1?ST4にそれぞれ表示された保留画像RIは、第1特別図柄抽選が終了するごとに、順次表示位置を変更する(つまり、シフト移動する)。以下、具体的に説明する。まず、図16(1)?(3)に示す装飾図柄DIの変動表示(報知演出)において、この変動表示に対応する変動権利画像KIがステージST0上に表示されている。そして、図16(1)?(3)に示す装飾図柄DIの変動表示が終了すると、この変動表示に対応する変動権利画像KIがステージST0上から消滅する(消える)。そして、図16(4)に示すように、装飾図柄DIの次の変動表示(次の報知演出)が開始されると共に、ステージST1に表示されていた保留画像RI1は、変動権利画像KIとしてステージST0へ移動する。より正確には、報知演出の開始に応じて保留画像RI1が消化すると共に、この報知演出の実行権利が行使されて変動表示が行われていることを示す変動権利画像KIがステージST0上に表示される。同様に、ステージST2?ST4に表示されていた保留画像RI2?RI4は、それぞれ、ステージST2?ST4からステージST1?ST3へ移動する。このように、保留画像RIは、第1特別図柄抽選の保留が消化されるごとに、順次ステージSTを移動していく。
・・・
【0183】
図17は、本実施形態における保留画像および変動権利画像の表示態様について説明するための図である。保留画像および変動権利画像は、図17(1)に示すように通常表示態様として白色の丸形状の画像で表示され、図17(2)に示すように先読み予告表示態様として青色、緑色又は赤色の丸形状の画像で表示される。また、変動権利画像は、図17(3)に示すように予告表示態様として炎が燃え上がった形状の画像で表示される。なお、図17(1)及び(2)、図18、図20?図23では、図示都合上、「白」の文字を付して白色を表し、「青」の文字を付して青色を表し、「緑」の文字を付して緑色を表し、「赤」の文字を付して赤色を表している(但し、図20?図23では、白色の保留画像及び変動権利画像には「白」の文字を付していない)。また、図17(2)に示すように、先読み表示態様の画像は、青色、緑色、赤色の順に、信頼度(大当り信頼度)が高い。
・・・
【0185】
図18は、本実施形態において保留画像および変動権利画像の表示態様を変化させるキャラクタの画像について説明するための図である。図18に示すように、本実施形態において保留画像および変動権利画像の表示態様を変化させるキャラクタの画像(キャラ画像という)として、蜂が星を持った画像が使用される。そして、図18(1)?(3)に示すように、蜂が持つ星の色には、青色、緑色および赤色がある。なお、図20?図23を用いて後述するが、本実施形態では、図18に示すキャラ画像を用いて、保留画像が先読み予告表示態様(図17(2)参照)に変化することを期待させる保留画像変化示唆演出を実行し、又、変動権利画像が予告表示態様(図17(3)参照)に変化することを期待させる変動権利画像変化示唆演出を実行する。
・・・
【0187】
図20?図23は、本実施形態において特徴的な保留画像変化示唆演出および変動権利画像変化示唆演出について説明するための図である。以下に、図20?図23を用いて、保留画像変化示唆演出および変動権利画像変化示唆演出について具体的に説明する。なお、図20?図23では、装飾図柄が上から下に変動している様子を矢印で示している。ここで、保留画像変化示唆演出は、星を持った蜂(キャラ画像:図18参照)が星(アイテム)を保留画像に投げて星が保留画像に当った場合は保留画像が先読み予告表示態様(図17(2)参照)に変化するアイテム投げ演出と、星を持った蜂が星を保留画像の上まで運んでから落して必ず当てて保留画像が先読み予告表示態様に必ず変化するアイテム落し演出とのうち、少なくとも一方を実行する演出である。変動権利画像変化示唆演出は、星を持った蜂が星を変動権利画像に投げて星が変動権利画像に当った場合は変動権利画像が予告表示態様(図17(3)参照)に変化して、擬似連演出の実行を報知する演出である。擬似連演出は、1つの報知演出において、装飾図柄(装飾図柄列)の全てを最終的に停止(確定停止)させて特別図柄抽選の結果を報知する前に、変動させている装飾図柄の全てを仮停止させてから再変動させる動作を1回以上行うことで大当りを期待させる演出である。」

上記(1-a)?(1-f)の記載事項及び図面から、以下(1-g)?(1-i)の事項が導かれる。

(1-g)刊行物1には、「特別図柄抽選が行われてその結果を報知するために装飾図柄DIが変動表示される・・・特別図柄抽選として第1特別図柄抽選が行われ」(段落【0175】)、「装飾図柄DIが、当り目となる特定の図柄(典型的にはゾロ目「777」等)で揃うことで第1特別図柄抽選の結果が大当りであることが報知され」(段落【0177】)、「特別図柄抽選に当選して(大当りして)大入賞口23が開放される大当り遊技(特別遊技)が実行され」(段落【0064】)と記載されているから、刊行物1には、第1特別図柄抽選の結果を報知するために装飾図柄DIが変動表示され、装飾図柄DIが、当り目となる特定の図柄で揃うと、大入賞口23が開放される大当り遊技を実行する点が記載されているといえる。

(1-h)刊行物1には、「保留画像変化示唆演出を10000回実行した場合に結果として300回大当りする計算となる抽選方法によって(つまり、保留画像変化示唆演出の大当り信頼度が3%になる抽選によって)、保留画像変化示唆演出を実行するか否かを判定する。」(段落【0154】)、「CPU401は、保留画像変化示唆演出の実行タイミングを設定する。具体的には、CPU401は、何れの報知演出で保留画像変化示唆演出を実行するのかを設定する。」(段落【0155】)と記載されているから、保留画像変化示唆演出は、抽選によって大当り信頼度が3%になるように、また、設定された実行タイミングで実行されるといえる。
さらに、刊行物1には、「保留画像変化示唆演出は、星を持った蜂(キャラ画像:図18参照)が星(アイテム)を保留画像に投げて星が保留画像に当った場合は保留画像が先読み予告表示態様(図17(2)参照)に変化するアイテム投げ演出と、星を持った蜂が星を保留画像の上まで運んでから落して必ず当てて保留画像が先読み予告表示態様に必ず変化するアイテム落し演出とのうち、少なくとも一方を実行する演出である。」(段落【0187】)と記載されており、当該記載の「星」に関して、「蜂が持つ星の色には、青色、緑色および赤色がある。」(段落【0185】)と記載されており、また、当該記載の「保留画像」と段落【0176】に記載された「保留画像RI」が同じものを指すことは明らかであるから、刊行物1には、抽選によって大当り信頼度が3%になるように保留画像変化示唆演出を設定された実行タイミングで実行し、保留画像変化示唆演出は、青色、緑色または赤色の星を持った蜂が星を保留画像RIに投げて星が保留画像RIに当った場合は保留画像RIが先読み予告表示態様に変化するアイテム投げ演出と、青色、緑色または赤色の星を持った蜂が星を保留画像RIの上まで運んでから落して必ず当てて保留画像RIが先読み予告表示態様に必ず変化するアイテム落し演出とのうち、少なくとも一方を実行する演出である点が記載されているといえる。

(1-i)刊行物1には、「変動権利画像変化示唆演出を10000回実行した場合に結果として100回大当りする計算となる抽選方法によって(つまり、変動権利画像変化示唆演出の大当り信頼度が1%になる抽選によって)、変動権利画像変化示唆演出を実行するか否かを決定する。」(段落【0165】)と記載されているから、変動権利画像変化示唆演出は、抽選によって大当り信頼度が1%になるように実行されるといえる。
さらに、刊行物1には、「変動権利画像変化示唆演出は、星を持った蜂が星を変動権利画像に投げて星が変動権利画像に当った場合は変動権利画像が予告表示態様(図17(3)参照)に変化して、擬似連演出の実行を報知する演出である。」(段落【0187】)と記載されており、当該記載の「星」に関して、「蜂が持つ星の色には、青色、緑色および赤色がある。」(段落【0185】)と記載されており、また、当該記載の「変動権利画像」と段落【0176】に記載された「変動権利画像KI」が同じものを指すことは明らかであるから、刊行物1には、抽選によって大当り信頼度が1%になるように変動権利画像変化示唆演出を実行し、変動権利画像変化示唆演出は、青色、緑色または赤色の星を持った蜂が星を変動権利画像KIに投げて星が変動権利画像KIに当った場合は変動権利画像KIが予告表示態様に変化する演出である点が記載されているといえる。

上記(1-a)?(1-f)の記載事項及び(1-g)?(1-i)の認定事項を総合すると、刊行物1には、次の発明(以下「刊行物1発明」という。)が記載されていると認められる。(a?dは、本願補正発明のA?Dに対応させて付した。)

「a 第1特別図柄抽選の結果を報知するために装飾図柄DIが変動表示され、装飾図柄DIが、当り目となる特定の図柄で揃うと、大入賞口23が開放される大当り遊技を実行するパチンコ遊技機1であって、(段落【0012】、認定事項(1-g))
b 第1特別図柄抽選の保留を示す保留データを記憶するRAM403と、(段落【0133】)
c 第1特別図柄抽選が保留されている数を示すための画像である保留画像RI、及び、特別図柄の変動表示の実行権利が行使されて装飾図柄DIによる変動表示が行われていることを示すための画像である変動権利画像KIを表示する画像表示部6とを備え、(段落【0176】、【0178】、【0179】)
d ステージST1?ST4にそれぞれ表示された保留画像RIは、白色の丸形状の通常表示態様、または、青色、緑色又は赤色の丸形状の先読み予告表示態様で表示され、第1特別図柄抽選が終了するごとに、順次表示位置を変更し、装飾図柄DIの変動表示に対応する変動権利画像KIがステージST0上に表示され、(段落【0181】、【0183】)
抽選によって大当り信頼度が3%になるように保留画像変化示唆演出を設定された実行タイミングで実行し、保留画像変化示唆演出は、青色、緑色または赤色の星を持った蜂が星を保留画像RIに投げて星が保留画像RIに当った場合は保留画像RIが先読み予告表示態様に変化するアイテム投げ演出と、青色、緑色または赤色の星を持った蜂が星を保留画像RIの上まで運んでから落して必ず当てて保留画像RIが先読み予告表示態様に必ず変化するアイテム落し演出とのうち、少なくとも一方を実行する演出であり、(認定事項(1-h))
抽選によって大当り信頼度が1%になるように変動権利画像変化示唆演出を実行し、変動権利画像変化示唆演出は、青色、緑色または赤色の星を持った蜂が星を変動権利画像KIに投げて星が変動権利画像KIに当った場合は変動権利画像KIが予告表示態様に変化する演出である、パチンコ遊技機1(段落【0012】、認定事項(1-i))」

(3)対比、判断
本願補正発明と刊行物1発明とを対比する(下記の(a)?(d)は、刊行物1発明の構成a?dに対応している。)。

(a)刊行物1発明の「変動表示」、「大入賞口23が開放される大当り遊技を実行する」こと、及び「パチンコ遊技機1」は、それぞれ、本願補正発明の「可変表示」、「遊技者にとって有利な有利状態に制御」すること、及び「遊技機」に相当する。
したがって、刊行物1発明における「第1特別図柄抽選の結果を報知するために装飾図柄DIが変動表示され、装飾図柄DIが、当り目となる特定の図柄で揃うと、大入賞口23が開放される大当り遊技を実行するパチンコ遊技機1」は、本願補正発明における「可変表示を行い、遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機」に相当する。

(b)刊行物1発明は、「第1特別図柄抽選の結果を報知するために装飾図柄DIが変動表示され」(構成a)るものであるから、刊行物1発明の「第1特別図柄抽選の保留を示す保留データ」は、「変動表示」に関する情報であるといえる。また、刊行物1発明の「保留データを記憶するRAM403」は、本願補正発明の「保留記憶手段」に相当する。
したがって、刊行物1発明における「第1特別図柄抽選の保留を示す保留データを記憶するRAM403」は、本願補正発明における「可変表示に関する情報を保留情報として記憶可能な保留記憶手段」に相当する。

(c)刊行物1発明は、「第1特別図柄抽選の結果を報知するために装飾図柄DIが変動表示され」(構成a)るものであるから、「第1特別図柄抽選が終了するごとに、順次表示位置を変更し」(構成d)、「第1特別図柄抽選が保留されている数を示すための画像である保留画像RI」は、「変動表示」に対応した画像であるといえる。また、刊行物1発明の「変動権利画像KI」は、「特別図柄の変動表示の実行権利が行使されて装飾図柄DIによる変動表示が行われていることを示すための画像である」から、「変動表示」に対応した画像であるといえる。よって、刊行物1発明の「第1特別図柄抽選が保留されている数を示すための画像である保留画像RI」、及び、「特別図柄の変動表示の実行権利が行使されて装飾図柄DIによる変動表示が行われていることを示すための画像である変動権利画像KI」は、共に、本願補正発明の「可変表示に対応した画像」に相当する。また、刊行物1発明の「画像表示部6」は、本願補正発明の「表示手段」に相当する。
したがって、刊行物1発明における「第1特別図柄抽選が保留されている数を示すための画像である保留画像RI、及び、特別図柄の変動表示の実行権利が行使されて装飾図柄DIによる変動表示が行われていることを示すための画像である変動権利画像KIを表示する画像表示部6」は、本願補正発明における「可変表示に対応した画像を表示可能な表示手段」に相当する。

(d)刊行物1発明において、「保留画像変化示唆演出」により「先読み予告表示態様に変化」、あるいは、「変動権利画像変化示唆演出」により「予告表示態様に変化」しない場合においては、「第1特別図柄抽選が終了するごとに、順次表示位置を変更し、装飾図柄DIの変動表示に対応する変動権利画像KIがステージST0上に表示され」る際に、「白色の丸形状の通常表示態様、または、青色、緑色又は赤色の丸形状の先読み予告表示態様で表示され」る「保留画像RI」及び「変動権利画像KI」の表示の態様は、変化しないことは、明らかである。よって、刊行物1発明において、「保留画像変化示唆演出」により「先読み予告表示態様に変化」、あるいは、「変動権利画像変化示唆演出」により「予告表示態様に変化」しない場合における「保留画像RI」及び「変動権利画像KI」の表示の態様は、本願補正発明の「共通態様」に相当し、また、「複数回の可変表示に渡って」表示されるものといえる。
よって、刊行物1発明において、「ステージST1?ST4にそれぞれ表示された保留画像RIは、白色の丸形状の通常表示態様、または、青色、緑色又は赤色の丸形状の先読み予告表示態様で表示され、第1特別図柄抽選が終了するごとに、順次表示位置を変更し、装飾図柄DIの変動表示に対応する変動権利画像KIがステージST0上に表示され」ることは、本願補正発明において、「可変表示に対応した画像を複数回の可変表示に亘って共通態様により表示」することに相当する。また、「保留画像変化示唆演出」及び「変動権利画像変化示唆演出」は、「設定された実行タイミングで実行」されるものであるから、「保留画像RI」が複数表示されている場合、「順次表示位置を変更」して「保留画像RI」が表示された後に、「保留画像変化示唆演出」及び「変動権利画像変化示唆演出」が行われる場合があることは、当業者にとって明らかである。よって、刊行物1発明の構成cは、本願補正発明における「可変表示に対応した画像を複数回の可変表示に亘って共通態様により表示した後に」演出を行う構成を有しているといえる。
そして、刊行物1発明の「保留画像変化示唆演出」及び「変動権利画像変化示唆演出」は、それぞれ、「抽選によって大当り信頼度が3%になるように」及び「抽選によって大当り信頼度が1%になるように」実行される演出であるから、共に「期待度に応じて」実行される演出であるといえる。

刊行物1発明は、「保留画像変化示唆演出を設定された実行タイミングで実行し、保留画像変化示唆演出は、青色、緑色または赤色の星を持った蜂が星を保留画像RIに投げて星が保留画像RIに当った場合は保留画像RIが先読み予告表示態様に変化するアイテム投げ演出と、青色、緑色または赤色の星を持った蜂が星を保留画像RIの上まで運んでから落して必ず当てて保留画像RIが先読み予告表示態様に必ず変化するアイテム落し演出とのうち、少なくとも一方を実行する演出であ」るから、刊行物1発明は、「保留画像変化示唆演出」において、「青色」「の星を持った蜂が星を保留画像RIの上まで運んでから落して必ず当てて保留画像RIが先読み予告表示態様に必ず変化するアイテム落し演出」を実行する場合があるといえる。
また、刊行物1発明は、「変動権利画像変化示唆演出を実行し、変動権利画像変化示唆演出は、青色、緑色または赤色の星を持った蜂が星を変動権利画像KIに投げて星が変動権利画像KIに当った場合は変動権利画像KIが予告表示態様に変化する演出である」から、「変動権利画像変化示唆演出」において、」「緑色」「の星を持った蜂が星を変動権利画像KIに投げて星が変動権利画像KIに当った場合は変動権利画像KIが予告表示態様に変化する演出」を実行する場合があるといえる。
そして、刊行物1発明において、「青色」「の星を持った蜂」と「緑色」「の星を持った蜂」とは、異なるものであるから、刊行物1発明において、「青色」「の星を持った蜂」の画像、及び、「緑色」「の星を持った蜂」の画像は、それぞれ、本願補正発明の「第1画像」及び「前記第1画像とは異なる第2画像」に相当する。また、刊行物1発明において、「蜂が星を」「落」す動作態様と、「蜂が星を」「投げ」る動作態様とは、異なるといえるから、刊行物1発明において、「青色」「の星を持った蜂が星を保留画像RIの上まで運んでから落」す動作態様、及び、「緑色」「の星を持った蜂が星を変動権利画像KIに投げ」る動作態様は、それぞれ、本願補正発明の「第1動作態様」及び「前記第1動作態様とは異なる第2動作態様」に相当する。さらに、刊行物1発明において、「保留画像RI」及び「変動権利画像KI」は、それぞれ、本願補正発明の「第1可変表示」及び「第2可変表示」に対応する画像に相当する。
以上より、刊行物1発明における、「保留画像変化示唆演出」で実行される「青色」「の星を持った蜂が星を保留画像RIの上まで運んでから落して必ず当てて保留画像RIが先読み予告表示態様に必ず変化するアイテム落し演出」は、本願補正発明における、「第1画像を第1動作態様で動作させることにより第1可変表示に対する第1演出」に相当し、「変動権利画像変化示唆演出」において実行される「緑色」「の星を持った蜂が星を変動権利画像KIに投げて星が変動権利画像KIに当った場合は変動権利画像KIが予告表示態様に変化する演出」は、本願補正発明における、「前記第1画像とは異なる第2画像を前記第1動作態様とは異なる第2動作態様で動作させることにより第2可変表示に対する第2演出」に相当する。

したがって、刊行物1発明における「ステージST1?ST4にそれぞれ表示された保留画像RIは、白色の丸形状の通常表示態様、または、青色、緑色又は赤色の丸形状の先読み予告表示態様で表示され、第1特別図柄抽選が終了するごとに、順次表示位置を変更し、装飾図柄DIの変動表示に対応する変動権利画像KIがステージST0上に表示され」、「抽選によって大当り信頼度が3%になるように保留画像変化示唆演出を設定された実行タイミングで実行し、保留画像変化示唆演出は、青色、緑色または赤色の星を持った蜂が星を保留画像RIに投げて星が保留画像RIに当った場合は保留画像RIが先読み予告表示態様に変化するアイテム投げ演出と、青色、緑色または赤色の星を持った蜂が星を保留画像RIの上まで運んでから落して必ず当てて保留画像RIが先読み予告表示態様に必ず変化するアイテム落し演出とのうち、少なくとも一方を実行する演出であり」、「抽選によって大当り信頼度が1%になるように変動権利画像変化示唆演出を実行し、変動権利画像変化示唆演出は、青色、緑色または赤色の星を持った蜂が星を変動権利画像KIに投げて星が変動権利画像KIに当った場合は変動権利画像KIが予告表示態様に変化する演出であ」って、順次表示位置を変更して保留画像RIが表示された後に、保留画像変化示唆演出及び変動権利画像変化示唆演出が行われる場合がある「パチンコ遊技機1」は、本願補正発明における「前記表示手段は、可変表示に対応した画像を複数回の可変表示に亘って共通態様により表示した後に、期待度に応じて、第1画像を第1動作態様で動作させることにより第1可変表示に対する第1演出、または前記第1画像とは異なる第2画像を前記第1動作態様とは異なる第2動作態様で動作させることにより第2可変表示に対する第2演出を実行することを特徴とする遊技機」に相当する。

以上、(a)?(d)の対比より、本願補正発明と刊行物1発明とは、

「A 可変表示を行い、遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であって、
B 可変表示に関する情報を保留情報として記憶可能な保留記憶手段と、
C 可変表示に対応した画像を表示可能な表示手段とを備え、
D 前記表示手段は、可変表示に対応した画像を複数回の可変表示に亘って共通態様により表示した後に、期待度に応じて、第1画像を第1動作態様で動作させることにより第1可変表示に対する第1演出、または前記第1画像とは異なる第2画像を前記第1動作態様とは異なる第2動作態様で動作させることにより第2可変表示に対する第2演出を実行する遊技機。」

である点で一致し、相違点はない。

したがって、本願補正発明は刊行物1発明と同一であり、刊行物1に記載された発明といえる。
また、仮に相違点があったとしても、本願補正発明は刊行物1発明から当業者が容易に想到することができたものであるといえる。

(4)請求人の主張について
請求人は、審判請求書の【請求の理由】、「(3)(d)」において、「まず、「第2画像」を「前記第1画像とは異なる第2画像」と補正したことにより、第1画像と第2画像とが異なることを明確にした。また、「実行可能である」を「実行する」と補正したことにより、第1可変表示には第1画像が対応し、第2可変表示には第2画像が対応することを明確にした。これにより、第1画像と第2画像とがどのように異なることかが特定された。一方、引用文献1に記載された発明において、保留画像、及び変動権利画像に星の画像を投げるのは、いずれも同じ蜂の画像である。
また構成(B)によって、「第1画像を第1動作態様で動作させること」及び「第2画像を前記第1動作態様とは異なる第2動作態様で動作させること」を明確にした。
これにより、「第1画像」と「第1動作態様」とが分けて規定され、「第2画像」と「第2動作態様」とが分けて規定された。すなわち、「第1画像」に「第1動作態様」が含まれず、「第2画像」に「第2動作態様」が含まれない。従って、「第1画像」及び「第2画像」が動画像であると考える余地はなく、「第1画像」と「第2画像」とが同じ蜂の画像である引用文献1に本願請求項1の構成(B)は記載されていない。」との主張をしている。
しかしながら、上記(3)(d)で示した通り、「青色」「の星を持った蜂」の画像(第1画像)と「緑色」「の星を持った蜂」(第2画像)とは、異なる画像であるから、出願人の上記主張は採用することはできない。

(5)まとめ
以上のように、本願補正発明は、刊行物1発明と同一の発明であるか、又は、当業者が刊行物1発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第1項第3号又は第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

4 補正却下の決定についてのむすび
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、平成29年2月10日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲に記載されたとおりのものであり、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は次のとおりである(A?D’は、分説するために当審にて付した。)。

「【請求項1】
A 可変表示を行い、遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であって、
B 可変表示に関する情報を保留情報として記憶可能な保留記憶手段と、
C 可変表示に対応した画像を表示可能な表示手段とを備え、
D’前記表示手段は、可変表示に対応した画像を共通態様により表示した後に、期待度に応じて、第1画像を表示することにより第1可変表示に対する第1演出、または第2画像を表示することにより第2可変表示に対する第2演出を実行可能であることを特徴とする遊技機。」

2 刊行物
刊行物1及びその記載事項並びに刊行物1発明は、上記「第2 3(2)」に記載したとおりである。

3 対比・判断
本願発明は、上記「第2 3(1)」で検討した本願補正発明から、「可変表示に対応した画像を複数回の可変表示に亘って共通態様により表示した後に」に関して、共通態様による表示を「複数回の可変表示に亘って」するとの限定事項を省き、「第1画像を第1動作態様で動作させることにより第1可変表示に対する第1演出」に関して、「第1動作態様で動作させる」との限定事項を実質的に省き、当該事項を含む上位概念である「表示する」とし、「前記第1画像とは異なる第2画像を前記第1動作態様とは異なる第2動作態様で動作させる」に関して、第2画像が「前記第1画像とは異なる」との限定事項を省くとともに、第2画像を「前記第1動作態様とは異なる第2動作態様で動作させる」との限定事項を実質的に省き、当該事項を含む上位概念である「表示する」とし、さらに、「実行すること」との限定事項を実質的に省き、当該事項を含む上位概念である「実行可能であること」としたものである。
そうすると、本願補正発明の発明特定事項を全て包含し、さらに他の限定事項を付加したものである本件補正発明が、上記「第2 3(3)」で検討したとおり、刊行物1発明と同一の発明であるか、又は、当業者が刊行物1発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、刊行物1発明と同一の発明であるか、又は、当業者が刊行物1発明に基づいて容易に発明をすることができたものである。

4 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第1項第3号又は第2項の規定により特許を受けることができない。

したがって、本願は、拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2018-03-02 
結審通知日 2018-03-06 
審決日 2018-03-19 
出願番号 特願2015-16073(P2015-16073)
審決分類 P 1 8・ 113- Z (A63F)
P 1 8・ 575- Z (A63F)
P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 尾崎 俊彦  
特許庁審判長 服部 和男
特許庁審判官 萩田 裕介
樋口 宗彦
発明の名称 遊技機  
代理人 平野 昌邦  
代理人 田▲崎▼ 聡  
代理人 佐伯 義文  
代理人 松沼 泰史  

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