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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  B32B
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  B32B
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  B32B
審判 全部申し立て 特174条1項  B32B
管理番号 1340131
異議申立番号 異議2016-701014  
総通号数 222 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2018-06-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2016-10-25 
確定日 2018-04-10 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第5907437号発明「積層フィルムおよび包装体」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第5907437号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり訂正後の請求項〔1-3〕について訂正することを認める。 特許第5907437号の請求項1?3に係る特許を維持する。 
理由 第1.手続の経緯
特許第5907437号(以下、「本件特許」という。)の請求項1?3に係る特許についての出願は、平成22年7月22日(優先権主張 平成22年7月16日)に出願した特許出願第2010-165358号の一部を平成26年11月4日に新たな特許出願としたものであって、平成28年4月1日にその特許権の設定登録がされ、その後、特許異議の申立て期間内である同年10月25日に特許異議申立人中西恒裕(以下、「申立人」という。)により特許異議の申立てがされ、同年12月8日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である平成29年2月10日に意見書の提出及び訂正の請求がされ、その訂正の請求に対して申立人から同年3月22日に意見書が提出され、同年5月31日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である同年7月27日付けで意見書の提出及び訂正の請求があり、その訂正の請求に対して申立人から同年9月19日に意見書が提出され、同年11月10日に取消理由通知(決定の予告)が通知され、その指定期間内である平成30年1月11日に意見書の提出及び訂正の請求があり、その訂正の請求に対して申立人から同年2月21日に意見書提出がされたものである。
なお、平成29年2月10日付け訂正請求書及び平成29年7月27日付け訂正請求書による訂正の請求は、特許法第120条の5第7項の規定により、取り下げられたものとみなす。

第2.訂正の適否についての判断
平成30年1月11日付け訂正請求書による訂正の請求(以下、「本件訂正請求」という。)による訂正は、次のとおりである。
1.訂正の内容
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「前記第1隣接層と接して積層されるバリア層とを備え、前記第1隣接層は、前記バリア層と前記酸素吸収層とを接着する接着層であり、」を追加する。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項1に「前記バリア層はエチレン酢酸ビニル共重合体ケン化物を含み、」を追加する。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項1に「前記酸素吸収層の前記酸化防止剤の含有量は、前記酸素吸収層に対して重量比率で35ppm以下であり」と記載されているのを、「前記酸素吸収層の前記酸化防止剤の含有量は、前記酸素吸収層に対して重量比率で5ppm以上35ppm以下であり」に訂正する。
(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項1に「5℃環境下で7日間保管された場合における酸素吸収量が0.042cc/cm^(2)以上0.099cc/cm^(2)以下」を追加する。
(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項2から「ガスバリア性を有するバリア層をさらに備え、前記第1隣接層は、前記バリア層と前記酸素吸収層とを接着する接着層であり、」を削除する。
(6)訂正事項6
明細書の段落0032において、「酸素吸収層150の酸化防止剤の含有量は、酸素吸収層150に対して重量比率で0ppm以上170ppm以下であることが好ましく、5ppm以上120ppm以下であることがより好ましく、35ppm以上60ppm以下であることがさらに好ましい。」と記載されているのを「酸素吸収層150の酸化防止剤の含有量は、酸素吸収層150に対して重量比率で0ppm以上170ppm以下であることが好ましく、5ppm以上120ppm以下であることがより好ましい。」に訂正する。

2.訂正の目的の適否、一群の請求項、新規事項の追加の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)訂正事項1について
訂正事項1は、バリア層の存在及び第1隣接層の内容を具体的に特定しさらに限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。
また、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「願書に添付した明細書等」という。)の請求項2の記載に基づくものであるから、新規事項の追加に該当せず、同法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合する。
(2)訂正事項2について
訂正事項2は、バリア層の内容を具体的に特定しさらに限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。
また、訂正事項2は、願書に添付した明細書等の段落0023、0036の記載に基づくものであるから、新規事項の追加に該当せず、同法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合する。
(3)訂正事項3について
訂正事項3は、酸素吸収層の酸化防止剤の含有量の数値範囲を、酸素吸収層に対して重量比率で「35ppm以下」から「5ppm以上35ppm以下」と下限値を定めてその範囲を狭めて限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。
また、訂正事項3は、願書に添付した明細書等の0032、0060の記載に基づくものであるから、新規事項の追加に該当せず、同法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合する。
(4)訂正事項4について
訂正事項4は、積層フィルムについて、「5℃環境下で7日間保管された場合における酸素吸収量が0.042cc/cm^(2)以上0.099cc/cm^(2)以下」であることを特定しさらに限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。
また、訂正事項4は、願書に添付した明細書等の段落0042、0114の表1の記載に基づくものであるから、新規事項の追加に該当せず、同法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合する。
(5)訂正事項5について
訂正事項5は、訂正事項1において請求項1に「前記第1隣接層と接して積層されるバリア層とを備え、前記第1隣接層は、前記バリア層と前記酸素吸収層とを接着する接着層であり、」を追加することに伴って、当該請求項1を引用する請求項2から「ガスバリア性を有するバリア層をさらに備え、前記第1隣接層は、前記バリア層と前記酸素吸収層とを接着する接着層であり、」を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。
(6)訂正事項6について
ア.訂正事項6は、訂正事項3に係る訂正に伴い特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。
また、訂正事項6は、願書に添付した明細書等の段落0032の記載に基づくものであるから、新規事項の追加に該当せず、同法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合する。
イ.申立人の主張について
平成30年2月21日付け意見書の「3(6-2)」において申立人は、本件訂正前の段落0032の「35ppm以上60ppm以下であることがさらに好ましい。」との記載と、酸化防止剤の含有量の上限値が35ppmであるとする根拠とされる表1等の記載と、どちらが正しいかは当業者にとって明らかではないから、「35ppm以上60ppm以下であることがさらに好ましい。」との記載を削除する訂正は、新規事項を追加するものである旨を主張する。
しかし、本件発明1は、酸素吸収層の酸化防止剤の含有量は、酸素吸収層に対して重量比率で0ppm以上170ppm以下とすることで、積層フィルムの酸素吸収量が多くなるという効果を得るものである(段落0032、0117参照)。0ppm以上170ppm以下の範囲であれば、35ppm以上60ppm以下の範囲以外であっても一定の効果を得られることは明らかであるから、訂正前の段落0032から「35ppm以上60ppm以下であることがさらに好ましい。」との記載を削除する訂正は、新たな技術的事項を導入するものとまではいうことはできない。
よって、申立人の主張は当を得たものではなく、採用することができない。
(7)一群の請求項について
訂正前の請求項1?3は、請求項2、3が訂正前の請求項1の記載を引用する関係にあるから、一群の請求項に該当するものである。したがって、訂正事項1?3に係る訂正の請求は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項ごとにされたものである。また、本件訂正は、訂正事項6による明細書の訂正に係る請求項1?3の全てについて行われたものであり、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第4項の規定に適合する。
(8)小括
したがって、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号又は第3号に規定する事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、及び、同条第9項で準用する同法第126条第4項から第6項の規定に適合するので、訂正後の請求項〔1-3〕について訂正を認める。

第3.特許異議の申立てについて
1.本件発明
上記第2.のとおり本件訂正は認められるから、本件特許の請求項1?3に係る発明(以下、「本件発明1」等という。)は、本件訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲の請求項1?3に記載された事項により特定されるとおり、以下のとおりのものである。
「【請求項1】
酸素吸収性樹脂と、酸素吸収反応触媒とを含む酸素吸収層と、
前記酸素吸収層の一方の面と接して積層される第1隣接層と、
前記酸素吸収層の他方の面と接して積層される第2隣接層と、
前記第1隣接層と接して積層されるバリア層とを備え、
前記第1隣接層は、前記バリア層と前記酸素吸収層とを接着する接着層であり、
前記酸素吸収反応触媒の含有量は、前記酸素吸収層に対して重量比率で10ppm以上であり、
前記酸素吸収層は酸化防止剤を含み、
前記バリア層はエチレン酢酸ビニル共重合体ケン化物を含み、
前記第1隣接層と前記第2隣接層とにはいずれも酸化防止剤を含まず、かつ、
前記酸素吸収層の前記酸化防止剤の含有量は、前記酸素吸収層に対して重量比率で5ppm以上35ppm以下であり、
前記酸素吸収性樹脂が、エチレン系不飽和炭化水素ポリマー、主鎖エチレン系不飽和炭化水素ポリマー、ポリエーテルユニットポリマー、エチレンと歪んだ環状アルキレンのコポリマー、ポリアミド樹脂、酸変性ポリブタジエン、およびヒドロキシアルデヒドポリマーからなる群から選ばれ、
5℃環境下で7日間保管された場合における酸素吸収量が0.042cc/cm^(2)以上0.099cc/cm^(2)以下であることを特徴とする積層フィルム。
【請求項2】
前記第2隣接層は、シール層である請求項1に記載の積層フィルム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の積層フィルムを備えることを特徴とする包装体。」

2.取消理由の概要
請求項1?3に係る特許に対して平成28年12月8日付け、平成29年5月31日付け及び同年11月10日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。
なお、特許異議申立書(以下、「申立書」という。)に記載された申立理由は、すべて通知した。
以下、甲第1号証等、甲第1号証等に記載された発明、甲第1号証等に記載された事項を、それぞれ「甲1」等、「甲1発明」等、「甲1事項」等という。

《取消理由1》
平成27年9月25日付け手続補正書による、請求項1及び請求項1を引用する請求項2、3について「前記酸素吸収層の前記酸化防止剤の含有量は、前記酸素吸収層に対して重量比率で35ppm以下であり、」とする補正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「当初明細書等」という。)に記載した事項の範囲においてしたものではないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。
《取消理由2》
本件発明1?3は、甲1発明又は甲2発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
《取消理由3》
本件発明1?3は、甲1発明に基いて、又は甲1発明及び甲2事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
また、本件発明1?3は、甲2発明に基いて、又は甲2発明及び甲1事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
《取消理由4》
本件発明1?3は、特許権者(出願人)が主張した効果を奏さない範囲のものを含むもので、発明の詳細な発明に記載した範囲を超えるものであるから、本件特許は、特許請求の範囲の記載が不備であり、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。

甲1:国際公開第2009/032418号
(訳文として、パテントファミリーの甲3:特表2010-537849号公報を参照)
甲2:国際公開第2007/126157号

3.当審の判断
(1)取消理由1について
ア.平成27年9月25日付け手続補正書による、請求項1及び請求項1を引用する請求項2、3についての補正は、「前記酸素吸収層の前記酸化防止剤の含有量は、前記酸素吸収層に対して重量比率で120ppm以下であり、」を「前記酸素吸収層の前記酸化防止剤の含有量は、前記酸素吸収層に対して重量比率で35ppm以下であり、」に減縮するものである。出願当初の明細書の段落0114の表1には酸素吸収層の酸化防止剤の含有量を酸素吸収層に対して重量比率で0ppm、35ppm、60ppm、120ppm、170ppmとする実施例が記載されているところ、表1に実施例として開示した範囲のうち35ppmを上限範囲として、補正前の120ppm以下から35ppm以下へと減縮するものであって、新たな技術的事項を導入するものではないから、この補正は当初明細書等に記載した事項の範囲においてしたものであるといえる。
したがって、本件特許は、特許法第17条の2第3項の規定に違反してされたものではなく、特許法第113条第1号に該当しない。
イ.申立人の主張について
平成30年2月21日付け意見書の「3(6-1)」において申立人は、下記のように主張する。
「このように、本件出願当初明細書には、酸化防止剤の含有量の境界値としての35ppmは、好適な下限値としての記載があるのみである。すなわち、「酸化防止剤の含有量の上限値が35ppmであるという技術的事項」、換言すれば・・・(中略)・・・は、本件出願当初明細書の表1等の記載に基づいて、出願後に始めて導き出された技術的事項である。」
しかし、当該補正は、上記ア.に示したとおり表1に実施例として開示した範囲のうち35ppmを上限範囲として、補正前の120ppm以下から35ppm以下へと減縮するものであって、35ppmが好適な上限値であることを新たな技術的事項として追加するものではない。
よって、申立人の主張は当を得たものではなく、採用することができない。

(2)取消理由2
ア.甲1を主たる引用例とする取消理由2について
(ア)甲1の記載
甲1の第9頁第18?30行、第12頁第12?21行、第15頁第1?2行、第32頁第11行?第33頁第24行、第35頁の表、第43頁第1?18行、第44頁第17?19行、第46頁第23行?第47頁第12行等の記載から、甲1には以下の甲1発明が記載されていると認められる。
《甲1発明》
「2つの対向するパッシブ酸素バリヤー層の間に配置されているアクティブ酸素バリヤー層を含む多層酸素バリヤー構成要素を含み、
前記アクティブ酸素バリヤー層は
(A)実質的に主鎖中に炭素-炭素二重結合を有する熱可塑性樹脂、
(B)遷移金属塩、及び
(C)酸素バリヤーポリマー
のブレンドである脱酸素組成物からなり、
前記多層酸素バリヤー層構成要素が外側シーラント層と外側酷使層の間に配置されており、
遷移金属塩(B)は鉄塩、ニッケル塩、銅塩、マンガン塩及びコバルト塩、並びにその組合せからなる群から選択される少なくとも1つの金属塩を含み、
組成物中に含まれる遷移金属塩(B)の量は熱可塑性樹脂(A)の重量に対して金属元素に換算して約10から5,000ppmの比率で含まれているものであり、
熱可塑性樹脂(A)はポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン及びポリオクテニレンからなる群から選択される少なくとも1つの樹脂である、
多層アクティブ酸素バリヤーフィルム。」
(イ)本件発明1について
a.対比
本件発明1と甲1発明とを対比すると、両者は少なくとも下記の点で相違する。
《相違点1》
本件発明1が「前記酸素吸収層の前記酸化防止剤の含有量は、前記酸素吸収層に対して重量比率で5ppm以上35ppm以下」であるのに対し、甲1発明は、アクティブ酸素バリヤー層(本件発明1における「酸素吸収層」に相当。)が抗酸化剤(本件発明1における「酸化防止剤」に相当。)を含有することは明らかでない点。
b.判断
上記a.のとおり、本件発明1と甲1発明とは少なくとも相違点1で相違し、相違点1は、酸化防止剤の含有の有無及びその含有量という物理量の相違についてのものであるから実質的な相違点であるから、実質的な相違点である。
よって、本件発明1は、甲1発明であるとはいえない。
(ウ)本件発明2、3について
本件発明2、3は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに限定されたものであるから、本件発明1についてと同様の理由で、甲1発明であるとはいえない。

イ.甲2を主たる引用例とする取消理由2について
(ア)甲2の記載
甲2の請求の範囲1、第9頁第9?13行、第10頁第24行?第11頁第6行、第118頁第17?18行、第23頁第11行?第24頁第12行、第26頁第7?16行、第45頁第18行?第47頁第16行、第98頁第13?16行、第99頁第22?26行、第100頁の表8等の記載、及び参考例3.1に着目すると、甲2には、以下の甲2発明が記載されていると認められる。
《甲2発明》
「酸素吸収機能を有する熱可塑性樹脂(A)と、触媒として酸素掃去機能を果たす遷移金属塩(B)とを含む酸素吸収性樹脂組成物からなる層を含む多層フィルムおよび当該多層フィルムからなる多層容器であって、
機械的特性、水蒸気バリア性、さらなる酸素バリア性などの特性を付与するという観点から、他の層と積層して多層構造体として用いるものであり、層構成としては、本発明の樹脂組成物以外の樹脂からなる層をx層、本発明の樹脂組成物層をy層、接着性樹脂層をz層とすると、x/z/y/z/xであり、
遷移金属塩(B)は熱可塑性樹脂(A)の質量を基準として10?5000ppmの範囲で含有され、
熱可塑性樹脂層(A)は酸化防止剤(C)を含み、
x層に使用される樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン一プロピレン共重合体、エチレンまたはプロピレン共重合体(エチレンまたはプロピレンと次の単量体の少なくとも1種との共重合体:1-ブテン、イソブテン、4-メチル-1-ペンテン、1-へキセン、1-オタテン等のα-オレフィン;イタコン酸、メタクリル酸、アタリル酸、無水マレイン酸等の不飽和カルボン酸、その塩、その部分または完全エステル、そのニトリル、そのアミド、その無水物;ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ビニルブチレート、ビニルオクタノエート、ビニルドデカノエート、ビニルステアレート、ビニルアラキドネート等のカルポン酸ビニルエステル類;ビュルトリメトキシシラン等のビニルシラン系化合物;不飽和スルホン酸またはその塩;アルキルチオール類;ビュルピロリドン類等)、ポリ(4-メチル-1-ペンテン)、ポリ(1-ブテン) 等のポリオレフイン;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル;ポリε-力プロラタタム、ポリへキサメチレンアジパミド、ポリメタキシリレンアジパミド等のポリアミ ド;ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリカーボネート、ポリアクリレート等の熱可塑性樹脂が使用され、
熱可塑性樹脂(A)は酸化防止剤(C)を10ppm含み、
熱可塑性樹脂(A)がポリオクテニレンである、
多層フィルム。」
(イ)本件発明1について
a.対比
本件発明1と甲2発明とを対比すると、両者は少なくとも下記の点で相違する。
《相違点2》
本件発明1は、第1隣接層と接して積層されるバリア層が「エチレン酢酸ビニル共重合体ケン化物」を含むものであるのに対し、甲2発明は、x層(本件発明1における「バリア層」に相当。)が「エチレン酢酸ビニル共重合体ケン化物」を含むことは明らかでない点。
b.判断
上記a.のとおり、本件発明1と甲2発明とは少なくとも相違点2で相違し、相違点2は、「エチレン酢酸ビニル共重合体ケン化物」の有無という含有物質の相違についてのものであるから、実質的な相違点である。
よって、本件発明1は、甲2発明であるとはいえない。
(ウ)本件発明2、3について
本件発明2、3は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに限定されたものであるから、本件発明1についてと同様の理由で、甲2発明であるとはいえない。

(3)取消理由3について
ア.甲1を主たる引用例とする取消理由3について
(ア)本件発明1について
a.対比
本件発明1と甲1発明とを対比すると、両者は上記(2)ア.(イ)a.に示した《相違点1》について少なくとも相違する。
b.判断
甲1には、アクティブ酸素バリヤー層(本件発明1における「酸素吸収層」に相当。)において、抗酸化剤(本件発明1における「酸化防止剤」に相当。)の含有量を、アクティブ酸素バリヤー層に対して重量比率で5ppm以上35ppm以下とすることは、記載されていないし、示唆もされていない。
甲2には、参考例3.1として、熱可塑性樹脂(A)(本件発明1における「酸素吸収性樹脂」に相当。)と、遷移金属塩(B)(同、「酸素吸収反応触媒」に相当。)とを含む酸素吸収性樹脂組成物からなる層(本件発明1における「酸素吸収層」に相当。)において、熱可塑性樹脂(A)が酸化防止剤(C)を10ppm含むことが記載されている。
しかし、甲1発明は、アクティブバリヤー組成物中に存在させる抗酸化剤の量は、通常はアクティブバリヤー組成物の全重量に基づいて約0.01から1重量%、特に約0.02から0.5重量%とするものであり、抗酸化剤の量が多すぎると、アクティブ酸素バリヤー組成物と酸素の反応が阻害され、本発明の樹脂組成物の脱酸素機能が製造時にすぐに不活性となり得るものである(甲1の第15頁第10?23行)。
よって、このような甲1発明において、アクティブバリヤー組成物中の酸化防止剤の含有量を10ppmにまで高めるという甲2事項を組み合わせることには、阻害事由がある。
これに対し、本件発明1は、エチレン酢酸ビニル共重合体ケン化物を含むバリア層の存在によって酸素吸収層が単位時間あたりに吸収すべき酸素吸収量を低減させながら(段落0012、0023)、酸素吸収層における酸化防止剤の量を5?35ppmとすることで、「5℃環境下で7日間保管された場合における酸素吸収量が0.042cc/cm^(2)以上0.099cc/cm^(2)以下」(段落0114の表1)という、酸素吸収層の酸素吸収性が長時間維持される格別な作用効果を奏するものである。
よって、本件発明1は、甲1発明に基いて、又は甲1発明及び甲2事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(イ)本件発明2、3について
本件発明2、3は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに限定されたものであるから、本件発明1についてと同様の理由で、甲1発明に基いて、又は甲1発明及び甲2事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

イ.甲2を主たる引用例とする取消理由3について
(ア)本件発明1について
a.対比
本件発明1と甲2発明とを対比すると、両者は上記(2)イ.(イ)a.に示した《相違点2》について少なくとも相違する。
b.判断
甲2には、x層(本件発明1における「バリア層」に相当。)について、「エチレン酢酸ビニル共重合体ケン化物」を含むものとすることは記載はされていないし、示唆する記載もない。
ここで、甲2発明は、熱可塑性樹脂(A)(本件発明1における「酸素吸収性樹脂」に相当。)が酸化防止剤(C)を10ppm含むものであるが、甲2においては参考例としての位置づけである参考例3.1として示されたものであり、当該参考例3.1は、シート外観について、着色が×(シートが著しく着色)、ゲルが△(シート中に多少ゲルが存在する)というものである(第100頁の表8)。
このような参考例としての位置づけである参考例3.1に着目した甲2発明については、当業者はその組成や機能を変更して性能を高めようとする対象とはしないものといえる。そうすると、甲2発明について、そのx層(本件発明1における「バリア層」に相当。)に「エチレン酢酸ビニル共重合体ケン化物」を含むものとするような変更を施そうとする動機づけは生じ得ない。
また、甲1にも、甲2発明を変更することの動機づけとなる記載があるとはいえない。
よって、本件発明1は、甲2発明に基いて、又は甲2発明及び甲1事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
なお、甲2に実施例として記載されているものは、いずれも熱可塑性樹脂(A)が酸化防止剤(C)を500?5,000ppm含むものであり(第100頁の表8、第102頁の表9)、これらを引用発明とした場合には、本件発明1とは少なくとも上記相違点1において相違することとなるから、上記相違点1について示した判断と同様に、やはり当業者が容易に想到し得たものとはならない。
(イ)本件発明2、3について
本件発明2、3は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに限定されたものであるから、本件発明1についてと同様の理由で、甲2発明に基いて、又は甲2発明及び甲1事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(ウ)申立人の意見について
平成30年2月21日付け意見書の「3(5-2)」において申立人は、甲2にはガスバリア性や酸素バリア性などの特性を付与するために、ガスバリア性に優れる樹脂の層を設けた多層構造体とする動機づけとなる記載があり、エチレン酢酸ビニル共重合体ケン化物(EVOH)がガスバリア性に優れることは周知である旨を主張する。
しかし、甲2には、y層(本件発明1における酸素吸収層に相当。)やz層(本件発明1における隣接層に相当。)にEVOHを用いることは記載されているが(第27頁第10行?第29頁第6行、第47頁第3?16行参照)、x層(本件発明1におけるバリア層に相当。)にEVOHを用いることは記載されてない(第46頁第6行?第47頁第2行参照)。
また、平成30年2月21日付け意見書の「3(5-2)」において申立人は、甲1にも本件発明1のバリア層に相当するパッシブバリヤー層の成分としてEVOHが挙げられている旨を主張する。
しかし、上記(ア)b.に示したとおり、甲2においては参考例としての位置づけである参考例3.1に着目した甲2発明については、当業者はその組成や機能を変更して性能を高めようとする対象とはしないものといえる。そうすると、甲2発明について、そのx層(本件発明1における「バリア層」に相当。)に「エチレン酢酸ビニル共重合体ケン化物」を含むものとするような変更を施そうとする動機づけは生じ得ない。
よって、申立人が提出した証拠によっては、本件発明1は当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。
また、平成30年2月21日付け意見書の「3(5-5-2)」、「3(5-5-3)」において申立人は、本件発明1の酸化防止剤の含有量を5ppm以上35ppm以下とすることによる効果は、際立って優れた効果ではなく、数値範囲に臨界的意義があるものでもないこと、またバリア層にエチレン酢酸ビニル共重合体ケン化物を選択して用いたことによる効果は実施例などにおいて裏付けられたものではない旨を主張する。
しかし、本件発明1は、エチレン酢酸ビニル共重合体ケン化物を含むバリア層の存在によって酸素吸収層が単位時間あたりに吸収すべき酸素吸収量を低減させながら(段落0012、0023)、酸素吸収層における酸化防止剤の量を5?35ppmとすることで、「5℃環境下で7日間保管された場合における酸素吸収量が0.042cc/cm^(2)以上0.099cc/cm^(2)以下」(段落0114の表1)という、酸素吸収層の酸素吸収性が長時間維持される格別な作用効果を奏するものである。
よって、申立人の主張は当を得たものではなく、採用することはできない。

(4)取消理由4について
本件訂正により、本件発明1?3は、酸素吸収層の酸化防止剤の含有量は、酸素吸収層に対して重量比率で5ppm以上であることが特定され、よって、本件発明の効果を奏する範囲内といえるものとなった。
また、本件発明1?3は、酸素吸収層の酸化防止剤にヒンダードフェノール系酸化防止剤以外のものが用いられる場合であっても、酸素吸収量が多くなるという効果自体は得られるものと認められる。
以上のことから、本件発明1?3は、発明の詳細な発明に記載した範囲を超えるものということはできず、本件発明1?3に係る請求項1?3の記載は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たすものである。
したがって、本件発明1?3に係る特許は、特許法第113条第4号の規定に該当せず、取り消すことはできない。

第4.むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由によっては、本件発明1?3に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明1?3に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
積層フィルムおよび包装体
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層フィルムおよび包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、食品および飲料などを保存する包装容器としてプラスチック容器が用いられる。このプラスチック容器で食品および飲料などを包むとき、プラスチック容器の内部に酸素が残存するおそれがある。また、プラスチック容器は、金属容器およびガラス容器に比べると、酸素バリア性に劣る。このため、酸素が外部からプラスチック容器の内部に侵入しやすい。プラスチック容器の内部の酸素は、内容物である食品および飲料を酸化させて変質させる。
【0003】
このプラスチック容器の内部の酸素によって発生する問題に対して、例えば、特許文献1には、酸素吸収性樹脂を含み、酸素吸収反応触媒を含有しない酸素吸収層を備え、酸素吸収層に隣接する層が酸素バリア層、熱可塑性樹脂層および接着剤層からなる群より選ばれる酸素吸収性多層体が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-12443号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この特許文献1に記載の酸素吸収性多層体を備えるプラスチック容器は、酸素吸収層でプラスチック容器の内部の酸素を吸収することができる。しかし、酸素吸収性多層体にはさらに高い酸素吸収性が求められている。
【0006】
本発明の目的は、酸素吸収性に優れる積層フィルムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)
本発明の一局面に係る積層フィルムは、酸素吸収層と、第1隣接層と、第2隣接層とを備える。酸素吸収層は、酸素吸収剤と、酸素吸収反応触媒とを含む。第1隣接層は、酸素吸収層の一方の面と接して積層される。第2隣接層は、酸素吸収層の他方の面と接して積層される。酸素吸収反応触媒の含有量は、酸素吸収層に対して重量比率で10ppm以上である。第1隣接層の酸化防止剤と、第2隣接層の酸化防止剤との合計含有量は、上記の2つの層(第1隣接層、第2隣接層)の合計量に対して重量比率で800ppm以下である。
【0008】
本願発明者の鋭意検討の結果、酸素吸収反応触媒の含有量を、酸素吸収層に対して重量比率で10ppm以上とし、かつ、第1隣接層の酸化防止剤と、第2隣接層の酸化防止剤との合計含有量を、2つの層(第1隣接層、第2隣接層)の合計量に対して重量比率で800ppm以下とすることにより、積層フィルムは酸素吸収量が多くなることが明らかとなった。このため、積層フィルムは、酸素吸収性に優れる。
【0009】
(2)
上述(1)の積層フィルムにおいて、酸素吸収層の酸化防止剤の含有量は、酸素吸収層に対して重量比率で170ppm以下である。
【0010】
本願発明者の鋭意検討の結果、酸素吸収層の酸化防止剤の含有量を、酸素吸収層に対して重量比率で170ppm以下とすることにより、積層フィルムは酸素吸収量が多くなることが明らかとなった。このため、積層フィルムは、酸素吸収性により優れる。
【0011】
(3)
上述(1)または(2)の積層フィルムにおいて、バリア層をさらに備える。バリア層は、ガスバリア性を有する。第1隣接層は、接着層である。接着層は、バリア層と酸素吸収層とを接着する。第2隣接層は、シール層である。
【0012】
ガスバリア性を有するバリア層は、酸素の透過速度を低くすることができる。このため、バリア層は、酸素吸収層が単位時間あたりに吸収すべき酸素吸収量を低減させることができる。したがって、酸素吸収層は、酸素吸収性を長期間維持することができる。
【0013】
(4)
上述(1)?(3)のいずれかの積層フィルムにおいて、酸素吸収剤は、酸素吸収性樹脂からなる。
【0014】
酸素吸収剤は、酸素吸収性樹脂からなる。酸素吸収性樹脂は、鉄粉などの酸素吸収剤と異なり、酸素吸収層を固有の色相に着色しない。このため、酸素吸収性樹脂は、酸素吸収層に透明性を付与することができる。
【0015】
(5)
本発明の一局面に係る包装体は、上述(1)?(4)のいずれかの積層フィルムを備える。
【0016】
この包装体は、上記の積層フィルムを備える。このため、包装体は酸素吸収性に優れる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る積層フィルムおよび包装体は、酸素吸収性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態に係る積層フィルムの断面図である。
【図2】積層フィルムを備える包装体の断面図である。
【図3】図2に示した包装体のA部分の拡大図である。
【図4】包装体の内部の酸素吸収量を食品用微量酸素分析計で測定している状態を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本実施形態に係る積層フィルム100は、図1に示されるように、主に、外層110、第1接着層120、バリア層130、第1隣接層である第2接着層140、酸素吸収層150、第2隣接層であるシール層160が、この順に積層されて形成される。図2、3に示されるように、この積層フィルム100は、包装体200の底材300に用いられる。以下、積層フィルム100の各構成について、それぞれ詳しく説明する。
【0020】
<外層>
外層110の材料としては、底材300としての強度を有しているものであればよく、例えば、ポリエステル系樹脂が用いられる。ポリエステル系樹脂からなる外層110は、剛性が高い。また、ポリエステル系樹脂からなる外層110を備える積層フィルム100は、透明性および表面光沢度が良好である。このため、包装体200は、見栄えおよび質感に優れたものとなる。
【0021】
外層110に用いられるポリエステル系樹脂としては、飽和ポリエステル樹脂が用いられる。飽和ポリエステル樹脂は、酸成分としてテレフタル酸などの2価の酸、またはエステル形成能を持つそれらの誘導体と、グリコール成分として炭素数2?10のグリコール、その他の2価のアルコールまたはエステル形成能を有するそれらの誘導体とから得られる。具体的に、ポリエステル系樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂、ポリヘキサメチレンテレフタレート樹脂などのポリアルキレンテレフタレート樹脂、共重合ポリエステル樹脂などが用いられる。
【0022】
<第1接着層>
第1接着層120の材料としては、公知の接着性樹脂が用いられ、例えば、接着性ポリオレフィン系樹脂などが用いられる。具体的に、第1接着層120の材料としては、例えば、エチレン-メタクリレート-グリシジルアクリレート三元共重合体、または、各種ポリオレフィンに、アクリル酸、メタクリル酸などの一塩基性不飽和脂肪酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などの二塩基性不飽和脂肪酸もしくはこれらの無水物をグラフトさせたもの(マレイン酸グラフト化EVA、マレイン酸グラフト化エチレン-α-オレフィン共重合体など)などが用いられる。
【0023】
<バリア層>
バリア層130は、包装体200の外部から侵入する酸素を遮断する。バリア層130の材料としては、公知の酸素バリア性を有する公知の材料が用いられ、例えば、ポリビニルアルコール樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体ケン化物(以下、「EVOH樹脂」という。)、塩化ビニリデン樹脂、または、ジアミン成分に芳香環を有するポリアミド樹脂などが用いられる。
【0024】
<第2接着層>
第2接着層140の材料としては、公知の接着性樹脂が用いられ、例えば、接着性ポリオレフィン系樹脂などが用いられる。具体的に、第2接着層140の材料としては、例えば、エチレン-メタクリレート-グリシジルアクリレート三元共重合体、または、各種ポリオレフィンに、アクリル酸、メタクリル酸などの一塩基性不飽和脂肪酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などの二塩基性不飽和脂肪酸もしくはこれらの無水物をグラフトさせたもの(マレイン酸グラフト化EVA、マレイン酸グラフト化エチレン-α-オレフィン共重合体など)などが用いられる。
【0025】
第2接着層140は、酸化防止剤を含有していてもよいし、酸化防止剤を含有していなくてもよい。第2接着層140が酸化防止剤を含有する場合、酸化防止剤としては、公知の酸化防止剤が用いられ、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤などが、単体でまたは2種類以上混合して用いられる。第2接着層140の酸化防止剤の含有量については後述する。
【0026】
<酸素吸収層>
酸素吸収層150は、酸素吸収剤である酸素吸収性樹脂と、酸素吸収反応触媒とを含む。酸素吸収性樹脂としては、不飽和ポリオレフィン系酸素吸収樹脂などが用いられる。具体的に、酸素吸収性樹脂としては、例えば、エチレン系不飽和炭化水素ポリマー、主鎖エチレン系不飽和炭化水素ポリマー、ポリエーテルユニットポリマー、エチレンと歪んだ環状アルキレンのコポリマー、ポリアミド樹脂、酸変性ポリブタジエン、ヒドロキシアルデヒドポリマー等が、単体でまたは酸素吸収性樹脂以外の透明性に影響しないベース樹脂と混合して用いられる。
【0027】
酸素吸収反応触媒としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸コバルト、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸亜鉛、アセチルアセトナート亜鉛、アセチルアセトナートコバルトまたはアセチルアセトナート銅などの遷移金属触媒などが用いられる。酸素吸収反応触媒の含有量は、酸素吸収層150に対して重量比率で10ppm以上である。特に、酸素吸収反応触媒の含有量は、酸素吸収層150に対して重量比率で100ppm以上4000ppm未満であることが好ましく、酸素吸収層150に対して重量比率で500ppm以上4000ppm未満であることがより好ましく、酸素吸収層150に対して重量比率で1000ppm以上4000ppm未満であることがさらに好ましく、酸素吸収層150に対して重量比率で2000ppm以上4000ppm未満であることがさらに好ましく、酸素吸収層150に対して重量比率で3000ppm以上4000ppm未満であることがさらに好ましい。
【0028】
酸素吸収層150は、酸化防止剤を含有していてもよいし、酸化防止剤を含有していなくてもよい。酸素吸収層150が酸化防止剤を含有する場合、酸化防止剤としては、公知の酸化防止剤が用いられ、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤などが、単体でまたは2種類以上混合して用いられる。酸素吸収層150の酸化防止剤の含有量については後述する。
【0029】
<シール層>
シール層160は、蓋材400とのシール適性の機能を有し、包装体200に収容される内容物に対して悪影響を及ぼさないものである。シール層160の材料としては、低密度ポリエチレン(LDPE)樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)樹脂、中密度ポリエチレン(MDPE)樹脂、高密度ポリエチレン(HDPE)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)樹脂、エチレン-メチルメタクリレート共重合体(EMMA)樹脂、エチレン-エチルアクリレート共重合体(EEA)樹脂、エチレン-メチルアクリレート共重合体(EMA)樹脂、エチレン-エチルアクリレート-無水マレイン酸共重合体(E-EA-MAH)樹脂、エチレン-アクリレート共重合体(EAA)樹脂、エチレン-メタクリル酸共重合体(EMAA)樹脂、アイオノマー(ION)樹脂などが、単体でまたは2種類以上混合して用いられる。
【0030】
シール層160は、酸化防止剤を含有していてもよいし、酸化防止剤を含有していなくてもよい。シール層160が酸化防止剤を含有する場合、酸化防止剤としては、公知の酸化防止剤が用いられ、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤などが、単体でまたは2種類以上混合して用いられる。シール層160の酸化防止剤の含有量については後述する。
【0031】
<第2接着層、酸素吸収層およびシール層の酸化防止剤の含有量>
第2接着層140の酸化防止剤と、シール層160の酸化防止剤との合計含有量は、第2接着層140およびシール層160の2つの層の合計量に対して重量比率で0ppm以上800ppm以下である。また、第2接着層140の酸化防止剤と、シール層160の酸化防止剤との合計含有量は、第2接着層140およびシール層160の2つの層の合計量に対して重量比率で0ppm以上400ppm以下であることが好ましく、0ppm以上200ppm以下であることがより好ましい。
【0032】
酸素吸収層150の酸化防止剤の含有量は、酸素吸収層150に対して重量比率で0ppm以上170ppm以下であることが好ましく、5ppm以上120ppm以下であることがより好ましい。
【0033】
<包装体>
図2、3に示されるように包装体200は、底材300と、蓋材400とから構成される。底材300は、外層110が外側でシール層160が内側となるようにして、ポケット310が成形された積層フィルム100からなる(図3参照)。
【0034】
蓋材400の材料としては、例えば、2軸延伸したポリプロピレンフィルム(OPPフィルム)、金属酸化物を蒸着した2軸延伸したポリエチレンテレフタレートフィルム(VM-PETフィルム)およびポリエチレン樹脂を積層したフィルム等が用いられる。内部の空気を除去した底材300のポケット310には、食品、飲料または工業用部品などの内容物(図示せず)が収容される。ポケット310に内容物が収容された後、蓋材400が底材300にヒートシールされ、底材300のポケット310が密封される。
【実施例】
【0035】
次に、本発明の積層フィルム100を備える包装体200に係る実施例1?30と、比較例1?6とについて説明する。なお、これら実施例によって本発明は何ら限定されるものではない。
【0036】
(実施例1)
<底材の作製>
外層110を構成する樹脂として共重合ポリエステル樹脂(イーストマンケミカルジャパン株式会社製、品番:GN071)を準備した。第1接着層120を構成する樹脂として接着性ポリオレフィン系樹脂(三井化学株式会社製、品番:SF740)を準備した。バリア層130を構成する樹脂としてEVOH樹脂(株式会社クラレ製、品番:J171B)を準備した。第2接着層140を構成する樹脂として接着性ポリオレフィン系樹脂(三井化学株式会社製、品番:LF308)を準備した。酸素吸収層150を構成する樹脂として、ベース樹脂を80重量%、不飽和ポリオレフィン系酸素吸収樹脂を20重量%の割合で混合したものを準備した。シール層160を構成する樹脂としてLDPE樹脂(宇部丸善ポリエチレン株式会社製、品番:F522N)を準備した。
【0037】
酸素吸収層150のベース樹脂および不飽和ポリオレフィン系酸素吸収樹脂の混合物には、含有率が酸素吸収層150に対して重量比率で1000ppmとなるようにして、酸素吸収反応触媒であるステアリン酸コバルトを添加した。さらに、酸素吸収層150のベース樹脂および不飽和ポリオレフィン系酸素吸収樹脂の混合物には、含有率が酸素吸収層150に対して重量比率で120ppmとなるようにして、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(BASF社製、品番:IRGANOX1010)を添加した。なお、第2接着層140およびシール層160には、酸化防止剤を添加しなかった。
【0038】
シール層160のLDPE樹脂と、酸素吸収層150のベース樹脂および不飽和ポリオレフィン系酸素吸収樹脂の混合物と、第2接着層140の接着性ポリオレフィン系樹脂と、バリア層130のEVOH樹脂と、第1接着層120の接着性ポリオレフィン系樹脂と、外層110の共重合ポリエステル樹脂とをこの順で共押出しし、積層フィルム100を作製した。得られた積層フィルム100において、シール層160の厚さは10μm、酸素吸収層150の厚さは30μm、第2接着層140の厚さは20μm、バリア層130の厚さは40μm、第1接着層120の厚さは20μm、外層110の厚さは90μmであった。
【0039】
深絞り型全自動真空包装機(MULTIVAC社製、型番:R-530)を用いて、成形温度95℃、成形時間3秒の条件で、積層フィルム100にポケット310(長辺160mm×短辺105mm×深さ1.5mm、ポケット内部の表面積240cm^(2))を成形し、底材300を作製した。
【0040】
<蓋材の作製>
LLDPE樹脂(品番:ウルトゼックス2022L、株式会社プライムポリマー製)をTダイ押出法にて製膜し、厚さ30μmのLLDPEフィルムを得た。このLLDPEフィルムと、厚さ30μmの2軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPPフィルム)と、アルミ蒸着を施した厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム5(VM-PETフィルム)をドライラミネート法により貼り合せて、多層のフィルムである蓋材400を作製した。
【0041】
<包装体の作製>
底材300と蓋材400とを、ポケット310の内部の空気を除去することなく、135℃、1.5秒の条件でヒートシールし、包装体200を作製した。包装体200の容積は250cm^(3)であった。
【0042】
<酸素吸収量の測定>
図4に示されるように、食品用微量酸素分析計500(飯島電子工業製、型番:IS-300)を用いて、包装体200の酸素吸収量を測定した。具体的に、食品用微量酸素分析計500の針510を粘着ゴム520を介して蓋材400に突き刺した状態にして、保管温度5℃、サンプリング時間7秒の条件で、包装体200の1日目の酸素吸収量、3日目の酸素吸収量および7日目の酸素吸収量をそれぞれ測定した。3日目の酸素吸収量とは、1?3日目までの包装体200が吸収した酸素の合計量であり、7日目の酸素吸収量とは、1?7日目までの包装体200が吸収した酸素の合計量である。
【0043】
その結果、1日目の酸素吸収量は0.018cc/cm^(2)、3日目の酸素吸収量は0.040cc/cm^(2)、7日目の酸素吸収量は0.065cc/cm^(2)であった(下記表1参照)。
【0044】
(実施例2)
含有率が2つの層(第2接着層140、シール層160)に対して重量比率で400ppmとなるように、シール層160のLDPE樹脂にヒンダードフェノール系酸化防止剤(品番:IRGANOX1010、BASF製)を添加した以外は、実施例1と同様にして包装体200を作製し、実施例1と同様にして包装体200の1、3、7日目の酸素吸収量をそれぞれ測定した。
【0045】
その結果、1日目の酸素吸収量は0.020cc/cm^(2)、3日目の酸素吸収量は0.034cc/cm^(2)、7日目の酸素吸収量は0.071cc/cm^(2)であった(下記表1参照)。
【0046】
(実施例3)
含有率が2つの層(第2接着層140、シール層160)に対して重量比率で400ppmとなるように、第2接着層140の接着性ポリオレフィン系樹脂にヒンダードフェノール系酸化防止剤(品番:IRGANOX1010、BASF製)を添加した以外は、実施例1と同様にして包装体200を作製し、実施例1と同様にして包装体200の1、3、7日目の酸素吸収量をそれぞれ測定した。
【0047】
その結果、1日目の酸素吸収量は0.019cc/cm^(2)、3日目の酸素吸収量は0.036cc/cm^(2)、7日目の酸素吸収量は0.067cc/cm^(2)であった(下記表1参照)。
【0048】
(実施例4)
含有率が2つの層(第2接着層140、シール層160)に対して重量比率で800ppmとなるように、シール層160のLDPE樹脂にヒンダードフェノール系酸化防止剤を添加した以外は、実施例1と同様にして包装体200を作製し、実施例1と同様にして包装体200の1、3、7日目の酸素吸収量をそれぞれ測定した。
【0049】
その結果、1日目の酸素吸収量は0.007cc/cm^(2)、3日目の酸素吸収量は0.029cc/cm^(2)、7日目の酸素吸収量は0.047cc/cm^(2)であった(下記表1参照)。
【0050】
(実施例5)
含有率が2つの層(第2接着層140、シール層160)に対して重量比率で800ppmとなるように、第2接着層140の接着性ポリオレフィン系樹脂にヒンダードフェノール系酸化防止剤を添加した以外は、実施例1と同様にして包装体200を作製し、実施例1と同様にして包装体200の1、3、7日目の酸素吸収量をそれぞれ測定した。
【0051】
その結果、1日目の酸素吸収量は0.008cc/cm^(2)、3日目の酸素吸収量は0.033cc/cm^(2)、7日目の酸素吸収量は0.050cc/cm^(2)であった(下記表1参照)。
【0052】
(実施例6)
含有率が2つの層(第2接着層140、シール層160)に対して重量比率で400ppmとなるように、第2接着層140の接着性ポリオレフィン系樹脂にヒンダードフェノール系酸化防止剤を添加し、さらに、含有率が2つの層(第2接着層140、シール層160)に対して重量比率で400ppmとなるように、シール層160のLDPE樹脂にヒンダードフェノール系酸化防止剤を添加した以外は、実施例1と同様にして包装体200を作製し、実施例1と同様にして包装体200の1、3、7日目の酸素吸収量をそれぞれ測定した。
【0053】
その結果、1日目の酸素吸収量は0.005cc/cm^(2)、3日目の酸素吸収量は0.027cc/cm^(2)、7日目の酸素吸収量は0.043cc/cm^(2)であった(下記表1参照)。
【0054】
(実施例7)
酸素吸収層150のベース樹脂および不飽和ポリオレフィン系酸素吸収樹脂の混合物に、ヒンダードフェノール系酸化防止剤を添加しなかった以外は、実施例6と同様にして包装体200を作製し、実施例1と同様にして包装体200の1、3、7日目の酸素吸収量をそれぞれ測定した。
【0055】
その結果、1日目の酸素吸収量は0.004cc/cm^(2)、3日目の酸素吸収量は0.020cc/cm^(2)、7日目の酸素吸収量は0.027cc/cm^(2)であった(下記表1参照)。
【0056】
(実施例8)
含有率が酸素吸収層150に対して重量比率で170ppmとなるように、酸素吸収層150のベース樹脂および不飽和ポリオレフィン系酸素吸収樹脂の混合物にヒンダードフェノール系酸化防止剤を添加した以外は、実施例6と同様にして包装体200を作製し、実施例1と同様にして包装体200の1、3、7日目の酸素吸収量をそれぞれ測定した。
【0057】
その結果、1日目の酸素吸収量は0.002cc/cm^(2)、3日目の酸素吸収量は0.012cc/cm^(2)、7日目の酸素吸収量は0.018cc/cm^(2)であった(下記表1参照)。
【0058】
(実施例9)
酸素吸収層150のベース樹脂および不飽和ポリオレフィン系酸素吸収樹脂の混合物に、ヒンダードフェノール系酸化防止剤を添加しなかった以外は、実施例1と同様にして包装体200を作製し、実施例1と同様にして包装体200の1、3、7日目の酸素吸収量をそれぞれ測定した。
【0059】
その結果、1日目の酸素吸収量は0.018cc/cm^(2)、3日目の酸素吸収量は0.028cc/cm^(2)、7日目の酸素吸収量は0.040cc/cm^(2)であった(下記表1参照)。
【0060】
(実施例10)
含有率が酸素吸収層150に対して重量比率で5ppmとなるように、酸素吸収層150のベース樹脂および不飽和ポリオレフィン系酸素吸収樹脂の混合物にヒンダードフェノール系酸化防止剤を添加した以外は、実施例1と同様にして包装体200を作製し、実施例1と同様にして包装体200の1、3、7日目の酸素吸収量をそれぞれ測定した。
【0061】
その結果、1日目の酸素吸収量は0.020cc/cm^(2)、3日目の酸素吸収量は0.047cc/cm^(2)、7日目の酸素吸収量は0.076cc/cm^(2)であった(下記表1参照)。
【0062】
(実施例11)
含有率が酸素吸収層150に対して重量比率で35ppmとなるように、酸素吸収層150のベース樹脂および不飽和ポリオレフィン系酸素吸収樹脂の混合物にヒンダードフェノール系酸化防止剤を添加した以外は、実施例1と同様にして包装体200を作製し、実施例1と同様にして包装体200の1、3、7日目の酸素吸収量をそれぞれ測定した。
【0063】
その結果、1日目の酸素吸収量は0.030cc/cm^(2)、3日目の酸素吸収量は0.053cc/cm^(2)、7日目の酸素吸収量は0.078cc/cm^(2)であった(下記表1参照)。
【0064】
(実施例12)
実施例11と同様にして包装体200を作製し、保管温度を23℃とした以外は、実施例1と同様にして包装体200の1、3、7日目の酸素吸収量をそれぞれ測定した。
【0065】
その結果、1日目の酸素吸収量は0.051cc/cm^(2)、3日目の酸素吸収量は0.113cc/cm^(2)、7日目の酸素吸収量は0.133cc/cm^(2)であった(下記表1参照)。
【0066】
(実施例13)
実施例11と同様にして包装体200を作製し、保管温度を50℃とした以外は、実施例1と同様にして包装体200の1、3、7日目の酸素吸収量をそれぞれ測定した。
【0067】
その結果、1日目の酸素吸収量は0.165cc/cm^(2)、3日目の酸素吸収量は0.215cc/cm^(2)、7日目の酸素吸収量は0.215cc/cm^(2)であった(下記表1参照)。
【0068】
(実施例14)
含有率が酸素吸収層150に対して重量比率で60ppmとなるように、酸素吸収層150のベース樹脂および不飽和ポリオレフィン系酸素吸収樹脂の混合物にヒンダードフェノール系酸化防止剤を添加した以外は、実施例1と同様にして包装体200を作製し、実施例1と同様にして包装体200の1、3、7日目の酸素吸収量をそれぞれ測定した。
【0069】
その結果、1日目の酸素吸収量は0.032cc/cm^(2)、3日目の酸素吸収量は0.046cc/cm^(2)、7日目の酸素吸収量は0.073cc/cm^(2)であった(下記表1参照)。
【0070】
(実施例15)
含有率が酸素吸収層150に対して重量比率で170ppmとなるように、酸素吸収層150のベース樹脂および不飽和ポリオレフィン系酸素吸収樹脂の混合物にヒンダードフェノール系酸化防止剤を添加した以外は、実施例1と同様にして包装体200を作製し、実施例1と同様にして包装体200の1、3、7日目の酸素吸収量をそれぞれ測定した。
【0071】
その結果、1日目の酸素吸収量は0.005cc/cm^(2)、3日目の酸素吸収量は0.018cc/cm^(2)、7日目の酸素吸収量は0.043cc/cm^(2)であった(下記表1参照)。
【0072】
(実施例16)
含有率が酸素吸収層150に対して重量比率で100ppmとなるように、酸素吸収層150のベース樹脂および不飽和ポリオレフィン系酸素吸収樹脂の混合物にステアリン酸コバルトを添加した以外は、実施例9と同様にして包装体200を作製し、実施例1と同様にして包装体200の1、3、7日目の酸素吸収量をそれぞれ測定した。
【0073】
その結果、1日目の酸素吸収量は0.008cc/cm^(2)、3日目の酸素吸収量は0.016cc/cm^(2)、7日目の酸素吸収量は0.029cc/cm^(2)であった(下記表1参照)。
【0074】
(実施例17)
含有率が酸素吸収層150に対して重量比率で500ppmとなるように、酸素吸収層150のベース樹脂および不飽和ポリオレフィン系酸素吸収樹脂の混合物にステアリン酸コバルトを添加した以外は、実施例9と同様にして包装体200を作製し、実施例1と同様にして包装体200の1、3、7日目の酸素吸収量をそれぞれ測定した。
【0075】
その結果、1日目の酸素吸収量は0.018cc/cm^(2)、3日目の酸素吸収量は0.025cc/cm^(2)、7日目の酸素吸収量は0.039cc/cm^(2)であった(下記表1参照)。
【0076】
(実施例18)
含有率が酸素吸収層150に対して重量比率で2000ppmとなるように、酸素吸収層150のベース樹脂および不飽和ポリオレフィン系酸素吸収樹脂の混合物にステアリン酸コバルトを添加した以外は、実施例9と同様にして包装体200を作製し、実施例1と同様にして包装体200の1、3、7日目の酸素吸収量をそれぞれ測定した。
【0077】
その結果、1日目の酸素吸収量は0.019cc/cm^(2)、3日目の酸素吸収量は0.035cc/cm^(2)、7日目の酸素吸収量は0.043cc/cm^(2)であった(下記表1参照)。
【0078】
(実施例19)
含有率が酸素吸収層150に対して重量比率で3000ppmとなるように、酸素吸収層150のベース樹脂および不飽和ポリオレフィン系酸素吸収樹脂の混合物にステアリン酸コバルトを添加した以外は、実施例9と同様にして包装体200を作製し、実施例1と同様にして包装体200の1、3、7日目の酸素吸収量をそれぞれ測定した。
【0079】
その結果、1日目の酸素吸収量は0.023cc/cm^(2)、3日目の酸素吸収量は0.037cc/cm^(2)、7日目の酸素吸収量は0.047cc/cm^(2)であった(下記表1参照)。
【0080】
(実施例20)
含有率が酸素吸収層150に対して重量比率で3500ppmとなるように、酸素吸収層150のベース樹脂および不飽和ポリオレフィン系酸素吸収樹脂の混合物にステアリン酸コバルトを添加した以外は、実施例9と同様にして包装体200を作製し、実施例1と同様にして包装体200の1、3、7日目の酸素吸収量をそれぞれ測定した。
【0081】
その結果、1日目の酸素吸収量は0.022cc/cm^(2)、3日目の酸素吸収量は0.038cc/cm^(2)、7日目の酸素吸収量は0.049cc/cm^(2)であった(下記表1参照)。
【0082】
(実施例21)
含有率が酸素吸収層150に対して重量比率で100ppmとなるように、酸素吸収層150のベース樹脂および不飽和ポリオレフィン系酸素吸収樹脂の混合物にステアリン酸コバルトを添加した以外は、実施例11と同様にして包装体200を作製し、実施例1と同様にして包装体200の1、3、7日目の酸素吸収量をそれぞれ測定した。
【0083】
その結果、1日目の酸素吸収量は0.004cc/cm^(2)、3日目の酸素吸収量は0.023cc/cm^(2)、7日目の酸素吸収量は0.042cc/cm^(2)であった(下記表1参照)。
【0084】
(実施例22)
含有率が酸素吸収層150に対して重量比率で500ppmとなるように、酸素吸収層150のベース樹脂および不飽和ポリオレフィン系酸素吸収樹脂の混合物にステアリン酸コバルトを添加した以外は、実施例11と同様にして包装体200を作製し、実施例1と同様にして包装体200の1、3、7日目の酸素吸収量をそれぞれ測定した。
【0085】
その結果、1日目の酸素吸収量は0.020cc/cm^(2)、3日目の酸素吸収量は0.054cc/cm^(2)、7日目の酸素吸収量は0.071cc/cm^(2)であった(下記表1参照)。
【0086】
(実施例23)
含有率が酸素吸収層150に対して重量比率で2000ppmとなるように、酸素吸収層150のベース樹脂および不飽和ポリオレフィン系酸素吸収樹脂の混合物にステアリン酸コバルトを添加した以外は、実施例11と同様にして包装体200を作製し、実施例1と同様にして包装体200の1、3、7日目の酸素吸収量をそれぞれ測定した。
【0087】
その結果、1日目の酸素吸収量は0.019cc/cm^(2)、3日目の酸素吸収量は0.054cc/cm^(2)、7日目の酸素吸収量は0.070cc/cm^(2)であった(下記表1参照)。
【0088】
(実施例24)
含有率が酸素吸収層150に対して重量比率で3000ppmとなるように、酸素吸収層150のベース樹脂および不飽和ポリオレフィン系酸素吸収樹脂の混合物にステアリン酸コバルトを添加した以外は、実施例11と同様にして包装体200を作製し、実施例1と同様にして包装体200の1、3、7日目の酸素吸収量をそれぞれ測定した。
【0089】
その結果、1日目の酸素吸収量は0.025cc/cm^(2)、3日目の酸素吸収量は0.076cc/cm^(2)、7日目の酸素吸収量は0.095cc/cm^(2)であった(下記表1参照)。
【0090】
(実施例25)
含有率が酸素吸収層150に対して重量比率で3500ppmとなるように、酸素吸収層150のベース樹脂および不飽和ポリオレフィン系酸素吸収樹脂の混合物にステアリン酸コバルトを添加した以外は、実施例11と同様にして包装体200を作製し、実施例1と同様にして包装体200の1、3、7日目の酸素吸収量をそれぞれ測定した。
【0091】
その結果、1日目の酸素吸収量は0.027cc/cm^(2)、3日目の酸素吸収量は0.080cc/cm^(2)、7日目の酸素吸収量は0.099cc/cm^(2)であった(下記表1参照)。
【0092】
(実施例26)
含有率が酸素吸収層150に対して重量比率で100ppmとなるように、酸素吸収層150のベース樹脂および不飽和ポリオレフィン系酸素吸収樹脂の混合物にステアリン酸コバルトを添加した以外は、実施例15と同様にして包装体200を作製し、実施例1と同様にして包装体200の1、3、7日目の酸素吸収量をそれぞれ測定した。
【0093】
その結果、1日目の酸素吸収量は0.003cc/cm^(2)、3日目の酸素吸収量は0.015cc/cm^(2)、7日目の酸素吸収量は0.032cc/cm^(2)であった(下記表1参照)。
【0094】
(実施例27)
含有率が酸素吸収層150に対して重量比率で500ppmとなるように、酸素吸収層150のベース樹脂および不飽和ポリオレフィン系酸素吸収樹脂の混合物にステアリン酸コバルトを添加した以外は、実施例15と同様にして包装体200を作製し、実施例1と同様にして包装体200の1、3、7日目の酸素吸収量をそれぞれ測定した。
【0095】
その結果、1日目の酸素吸収量は0.003cc/cm^(2)、3日目の酸素吸収量は0.019cc/cm^(2)、7日目の酸素吸収量は0.035cc/cm^(2)であった(下記表1参照)。
【0096】
(実施例28)
含有率が酸素吸収層150に対して重量比率で2000ppmとなるように、酸素吸収層150のベース樹脂および不飽和ポリオレフィン系酸素吸収樹脂の混合物にステアリン酸コバルトを添加した以外は、実施例15と同様にして包装体200を作製し、実施例1と同様にして包装体200の1、3、7日目の酸素吸収量をそれぞれ測定した。
【0097】
その結果、1日目の酸素吸収量は0.007cc/cm^(2)、3日目の酸素吸収量は0.023cc/cm^(2)、7日目の酸素吸収量は0.048cc/cm^(2)であった(下記表1参照)。
【0098】
(実施例29)
含有率が酸素吸収層150に対して重量比率で3000ppmとなるように、酸素吸収層150のベース樹脂および不飽和ポリオレフィン系酸素吸収樹脂の混合物にステアリン酸コバルトを添加した以外は、実施例15と同様にして包装体200を作製し、実施例1と同様にして包装体200の1、3、7日目の酸素吸収量をそれぞれ測定した。
【0099】
その結果、1日目の酸素吸収量は0.008cc/cm^(2)、3日目の酸素吸収量は0.025cc/cm^(2)、7日目の酸素吸収量は0.050cc/cm^(2)であった(下記表1参照)。
【0100】
(実施例30)
含有率が酸素吸収層150に対して重量比率で3500ppmとなるように、酸素吸収層150のベース樹脂および不飽和ポリオレフィン系酸素吸収樹脂の混合物にステアリン酸コバルトを添加した以外は、実施例15と同様にして包装体200を作製し、実施例1と同様にして包装体200の1、3、7日目の酸素吸収量をそれぞれ測定した。
【0101】
その結果、1日目の酸素吸収量は0.009cc/cm^(2)、3日目の酸素吸収量は0.027cc/cm^(2)、7日目の酸素吸収量は0.049cc/cm^(2)であった(下記表1参照)。
【0102】
(比較例1)
含有率が2つの層(第2接着層140、シール層160)に対して重量比率で1000ppmとなるように、シール層160のLDPE樹脂にヒンダードフェノール系酸化防止剤を添加した以外は、実施例1と同様にして包装体を作製し、実施例1と同様にして包装体の1、3、7日目の酸素吸収量をそれぞれ測定した。
【0103】
その結果、1日目の酸素吸収量は0.000cc/cm^(2)、3日目の酸素吸収量は0.000cc/cm^(2)、7日目の酸素吸収量は0.000cc/cm^(2)であった(下記表1参照)。
【0104】
(比較例2)
含有率が2つの層(第2接着層140、シール層160)に対して重量比率で1000ppmとなるように、第2接着層140の接着性ポリオレフィン系樹脂にヒンダードフェノール系酸化防止剤を添加した以外は、実施例1と同様にして包装体を作製し、実施例1と同様にして包装体の1、3、7日目の酸素吸収量をそれぞれ測定した。
【0105】
その結果、1日目の酸素吸収量は0.000cc/cm^(2)、3日目の酸素吸収量は0.000cc/cm^(2)、7日目の酸素吸収量は0.000cc/cm^(2)であった(下記表1参照)。
【0106】
(比較例3)
含有率が2つの層(第2接着層140、シール層160)に対して重量比率で500ppmとなるように、第2接着層140の接着性ポリオレフィン系樹脂にヒンダードフェノール系酸化防止剤を添加し、さらに含有率が2つの層(第2接着層140、シール層160)に対して重量比率で500ppmとなるように、シール層160のLDPE樹脂にヒンダードフェノール系酸化防止剤を添加した以外は、実施例1と同様にして包装体を作製し、実施例1と同様にして包装体の1、3、7日目の酸素吸収量をそれぞれ測定した。
【0107】
その結果、1日目の酸素吸収量は0.000cc/cm^(2)、3日目の酸素吸収量は0.000cc/cm^(2)、7日目の酸素吸収量は0.000cc/cm^(2)であった(下記表1参照)。
【0108】
(比較例4)
酸素吸収層150のベース樹脂および不飽和ポリオレフィン系酸素吸収樹脂の混合物に、ステアリン酸コバルトを添加しなかった以外は、実施例9と同様にして包装体を作製し、実施例1と同様にして包装体の1、3、7日目の酸素吸収量をそれぞれ測定した。
【0109】
その結果、1日目の酸素吸収量は0.000cc/cm^(2)、3日目の酸素吸収量は0.000cc/cm^(2)、7日目の酸素吸収量は0.003cc/cm^(2)であった(下記表1参照)。
【0110】
(比較例5)
酸素吸収層150のベース樹脂および不飽和ポリオレフィン系酸素吸収樹脂の混合物に、ステアリン酸コバルトを添加しなかった以外は、実施例11と同様にして包装体を作製し、実施例1と同様にして包装体の1、3、7日目の酸素吸収量をそれぞれ測定した。
【0111】
その結果、1日目の酸素吸収量は0.000cc/cm^(2)、3日目の酸素吸収量は0.000cc/cm^(2)、7日目の酸素吸収量は0.004cc/cm^(2)であった(下記表1参照)。
【0112】
(比較例6)
酸素吸収層150のベース樹脂および不飽和ポリオレフィン系酸素吸収樹脂の混合物に、ステアリン酸コバルトを添加しなかった以外は、実施例15と同様にして包装体を作製し、実施例1と同様にして包装体の1、3、7日目の酸素吸収量をそれぞれ測定した。
【0113】
その結果、1日目の酸素吸収量は0.000cc/cm^(2)、3日目の酸素吸収量は0.000cc/cm^(2)、7日目の酸素吸収量は0.001cc/cm^(2)であった(下記表1参照)。
【0114】
【表1】

【0115】
実施例1?30に係る包装体200は、比較例1?6に係る包装体に比べて、酸素吸収量が多く、高い酸素吸収性を有していた。また、酸素吸収層150の酸素吸収反応触媒が500ppm以上4000ppm未満、酸素吸収層150の酸化防止剤が5ppm以上120ppm以下、2層(第2接着層140、シール層160)の酸化防止剤が0ppm以上400ppm以下である実施例1?3、実施例10?14、および実施例22?25は、その他の実施例および比較例に比べて、酸素吸収量が多く、より高い酸素吸収性を有していた。また、実施例11?13に係る包装体200の各酸素吸収量から明らかなように、保管温度が低温であっても、包装体200は酸素吸収性を維持することができる。
【0116】
<本実施形態における効果>
以上のように、本実施形態に係る積層フィルム100においては、本願発明者の鋭意検討の結果、酸素吸収反応触媒の含有量を、酸素吸収層150に対して重量比率で10ppm以上とし、かつ、第2接着層140の酸化防止剤と、シール層160の酸化防止剤との合計含有量を、2つの層(第2接着層140、シール層160)の合計量に対して重量比率で800ppm以下とすることにより、積層フィルム100は酸素吸収量が多くなることが明らかとなった。このため、積層フィルム100は、酸素吸収性に優れる。
【0117】
また、本実施形態では、本願発明者の鋭意検討の結果、酸素吸収層150の酸化防止剤の含有量を、酸素吸収層150に対して重量比率で170ppm以下とすることにより、積層フィルム100は酸素吸収量が多くなることが明らかとなった。このため、積層フィルム100は、酸素吸収性により優れる。
【0118】
また、本実施形態では、ガスバリア性を有するバリア層130は、酸素の透過速度を低くすることができる。このため、バリア層130は、酸素吸収層150が単位時間あたりに吸収すべき酸素吸収量を低減させることができる。したがって、酸素吸収層150は、酸素吸収性を長期間維持することができる。
【0119】
また、本実施形態では、酸素吸収剤は、酸素吸収性樹脂からなる。酸素吸収性樹脂は、鉄粉などの酸素吸収剤と異なり、酸素吸収層を固有の色相に着色しない。このため、酸素吸収性樹脂は、酸素吸収層150に透明性を付与することができる。
【0120】
また、本実施形態では、包装体200は、上記の積層フィルム100を備える。このため、包装体200は酸素吸収性に優れる。
【0121】
<変形例>
(A)
酸素吸収剤は、酸素吸収性樹脂ではなく、例えば、主に鉄粉からなる鉄粉系酸素吸収剤が用いられていてもよい。この場合、鉄粉系酸素吸収剤は、公知の熱可塑性樹脂、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリメチルペンテンなどのポリオレフィン類、エラストマー及びこれらの変性物、あるいはこれらの混合樹脂などに添加されて用いられる。
【0122】
(B)
積層フィルム100は、蓋材400に成形されてもよいし、底材300と蓋材400との両方に成形されてもよい。なお、積層フィルム100からなる蓋材400を備える包装体200においては、蓋材400のシール層160が底材300と対向するようにして配置される。
【産業上の利用可能性】
【0123】
本発明に係る積層フィルムは、酸素吸収性に優れるので、食品、飲料、または酸化を嫌う工業用部品などの包装材料として好適に使用できる。
【符号の説明】
【0124】
100 積層フィルム
130 バリア層
140 第2接着層(第1隣接層、接着層)
150 酸素吸収層
160 シール層(第2隣接層)
200 包装体
300 底材
400 蓋材
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸素吸収性樹脂と、酸素吸収反応触媒とを含む酸素吸収層と、
前記酸素吸収層の一方の面と接して積層される第1隣接層と、
前記酸素吸収層の他方の面と接して積層される第2隣接層と、
前記第1隣接層と接して積層されるバリア層とを備え、
前記第1隣接層は、前記バリア層と前記酸素吸収層とを接着する接着層であり、
前記酸素吸収反応触媒の含有量は、前記酸素吸収層に対して重量比率で10ppm以上であり、
前記酸素吸収層は酸化防止剤を含み、
前記バリア層はエチレン酢酸ビニル共重合体ケン化物を含み、
前記第1隣接層と前記第2隣接層とにはいずれも酸化防止剤を含まず、かつ、
前記酸素吸収層の前記酸化防止剤の含有量は、前記酸素吸収層に対して重量比率で5ppm以上35ppm以下であり、
前記酸素吸収性樹脂が、エチレン系不飽和炭化水素ポリマー、主鎖エチレン系不飽和炭化水素ポリマー、ポリエーテルユニットポリマー、エチレンと歪んだ環状アルキレンのコポリマー、ポリアミド樹脂、酸変性ポリブタジエン、およびヒドロキシアルデヒドポリマーからなる群から選ばれ、
5℃環境下で7日間保管された場合における酸素吸収量が0.042cc/cm^(2)以上0.099cc/cm^(2)以下であることを特徴とする積層フィルム。
【請求項2】
前記第2隣接層は、シール層である請求項1に記載の積層フィルム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の積層フィルムを備えることを特徴とする包装体。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2018-03-30 
出願番号 特願2014-224205(P2014-224205)
審決分類 P 1 651・ 55- YAA (B32B)
P 1 651・ 113- YAA (B32B)
P 1 651・ 121- YAA (B32B)
P 1 651・ 537- YAA (B32B)
最終処分 維持  
前審関与審査官 中山 基志  
特許庁審判長 千壽 哲郎
特許庁審判官 蓮井 雅之
谿花 正由輝
登録日 2016-04-01 
登録番号 特許第5907437号(P5907437)
権利者 住友ベークライト株式会社
発明の名称 積層フィルムおよび包装体  
代理人 特許業務法人クレイア特許事務所  
代理人 特許業務法人 クレイア特許事務所  

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