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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  B65H
管理番号 1340157
異議申立番号 異議2017-700996  
総通号数 222 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2018-06-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2017-10-18 
確定日 2018-05-11 
異議申立件数
事件の表示 特許第6117518号発明「折込用広告束紙揃え搬送装置、及び折込用広告束紙揃え搬送装置付き丁合機」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6117518号の請求項1ないし14に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
本件特許6117518号(以下「本件特許」という。)に係る特許出願は、平成24年11月2日に特許出願され、平成29年3月31日にその特許権の設定登録がされ、その後、同年10月18日に特許異議申立人株式会社デュプロ(以下「異議申立人」という。)による特許異議の申立てがされ、平成30年2月15日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である同年4月19日に意見書が提出されたものである。

2.本件発明
本件特許の請求項1ないし14に係る発明(以下「本件発明1」ないし「本件発明14」という。)は、特許請求の範囲の請求項1ないし14に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。

「【請求項1】
複数の棚部からそれぞれ折込用広告紙を給紙して給紙方向の下流側で待機している親紙を2つ折りにしつつ前記複数枚の折込用広告紙の前記給紙方向の先端を前記親紙で挟み込んで折込用広告束を作成する丁合機の排出口に接続され、
前記排出口から排出された前記折込用広告束を積み上げる積上部と、
前記積上部に積上げられた複数の前記折込用広告束の前記親紙により挟み込んだ先端側の側面と直交する第1の側面を叩いて紙揃えする叩き板、および前記折込用広告束の前記第1の側面と反対の第2の側面に対向した移動式側壁を有する紙揃え機構と、
前記折込用広告束の前記第2の側面に対向した閉鎖位置と前記第2の側面を開放する開放位置との間で前記移動式側壁を移動させる移動機構と、
前記移動式側壁を前記開放位置へ移動させた状態で、複数の前記折込用広告束をその第1の側面から第2の側面に向かう方向に移動させて前記積上部から搬出する搬送機構と、
を備えたことを特徴とする折込用広告束紙揃え搬送装置。
【請求項2】
前記叩き板は、前記移動式側壁と平行を保持した状態で、前記移動式側壁に対して近接、離間する方向に往復動可能である、
請求項1に記載の折込用広告束紙揃え搬送装置。
【請求項3】
前記紙揃え機構は、前記積上部に積上げられた前記折込用広告束の前記先端側の側面と
反対の第3の側面を叩いて紙揃えする他の叩き板、および前記折込用広告束の前記第3の側面と反対の前記先端側の側面に対向した固定側壁をさらに有し、
前記移動式側壁および前記固定側壁は、互いにほぼ直角に配置してあり、
前記2つの叩き板は、叩き板駆動機構により、それぞれ対向した前記移動式側壁および前記固定側壁に対して接近、離間する方向に、一方の前記叩き板が接近しているときは他方の前記叩き板が離間するように交互に往復動自在に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の折込用広告束紙揃え搬送装置。
【請求項4】
前記移動機構は、前記閉鎖位置に配置した前記移動式側壁を前記第2の側面に沿って上方に回動させて前記開放位置へ移動させる、
請求項1に記載の折込用広告束紙揃え搬送装置。
【請求項5】
前記紙揃え機構には、前記紙揃え機構の作動を接断させるオンオフスイッチが設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の折込用広告束紙揃え搬送装置。
【請求項6】
前記紙揃え機構は、前記叩き板駆動機構が停止したとき、2つの前記叩き板のうちの前記搬送機構の搬送方向に沿って設けられた前記他の叩き板が、該他の叩き板に対向した前記固定側壁に対して離間した位置に配置されることを特徴とする請求項3に記載の折込用広告束紙揃え搬送装置。
【請求項7】
折込用広告紙を載せる複数の棚部と、
前記棚部のそれぞれから折込用広告紙を給紙する給紙機構と、
前記複数の棚部から給紙された複数枚の折込用広告紙の給紙方向の先端を親紙で挟み込んで折込用広告束を作成する挟み機構と、
前記折込用広告束を排出する排出口に対向して設けられ、前記排出口から排出された折込用広告束を積み上げる積上部と、
前記積上部に積上げられた複数の前記折込用広告束の前記親紙により挟み込んだ先端側の側面と直交する第1の側面を叩いて紙揃えする叩き板、および前記折込用広告束の前記第1の側面と反対の第2の側面に対向した移動式側壁を有する紙揃え機構と、
前記折込用広告束の前記第2の側面に対向した紙揃え位置と前記第2の側面を開放する開放位置との間で前記移動式側壁を移動させる移動機構と、
前記移動式側壁を前記開放位置へ移動させた状態で、複数の前記折込用広告束をその第1の側面から第2の側面に向かう方向に移動させて前記積上部から搬出する搬送機構と、
前記搬送機構で搬出された前記折込用広告束が載せられる受台と、
前記受台を上下動させる広告束昇降機構と、
を備えたことを特徴とする折込用広告束紙揃え搬送装置付き丁合機。
【請求項8】
前記叩き板は、前記移動式側壁と平行を保持した状態で、前記移動式側壁に対して近接、離間する方向に往復動可能である、
請求項7に記載の折込用広告束紙揃え搬送装置付き丁合機。
【請求項9】
前記紙揃え機構は、前記積上部に積上げられた前記折込用広告束の前記先端側の側面と反対の第3の側面を叩いて紙揃えする他の叩き板、および前記折込用広告束の前記第3の側面と反対の前記先端側の側面に対向した固定側壁をさらに有し、
前記移動式側壁および前記固定側壁は、互いにほぼ直角に配置してあり、
前記2つの叩き板は、叩き板駆動機構により、それぞれ対向した前記移動式側壁および前記固定側壁に対して接近、離間する方向に、一方の前記叩き板が接近しているときは他方の前記叩き板が離間するように交互に往復動自在に設けられていることを特徴とする請求項7に記載の折込用広告束紙揃え搬送装置付き丁合機。
【請求項10】
前記移動機構は、前記紙揃え位置に配置した前記移動式側壁を前記第2の側面に沿って上方に回動させて前記開放位置へ移動させる、
請求項7に記載の折込用広告束紙揃え搬送装置付き丁合機。
【請求項11】
前記紙揃え機構には、前記紙揃え機構の作動を接断させるオンオフスイッチが設けられていることを特徴とする請求項7乃至請求項10のいずれか1項に記載の折込用広告束紙揃え搬送装置付き丁合機。
【請求項12】
前記紙揃え機構は、前記叩き板駆動機構が停止したとき、2つの前記叩き板のうちの前記搬送機構の搬送方向に沿って設けられた前記他の叩き板が、該他の叩き板に対向した前記固定側壁に対して離間した位置に配置されることを特徴とする請求項9に記載の折込用広告束紙揃え搬送装置付き丁合機。
【請求項13】
前記給紙機構は、各給紙機構が他の給紙機構から独立して給紙動作を可能とするテストモードによる動作が可能であり、前記テストモード時には、前記給紙機構が給紙動作を行っても前記紙揃え機構は作動しないこととしたことを特徴とする請求項7乃至請求項12のいずれか1項に記載の折込用広告束紙揃え搬送装置付き丁合機。
【請求項14】
前記積上部、前記紙揃え機構、前記移動機構、および前記搬送機構を支持した基台と、
前記基台を丁合機本体の前記排出口に対して着脱可能に連結した結合機構と、
をさらに有することを特徴とする請求項7乃至請求項12のいずれか1項に記載の折込用広告束紙揃え搬送装置付き丁合機。」

3.取消理由の概要
当審において、本件発明1ないし14に係る特許に対して通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。

本件発明1、2、7及び8は、甲第1号証ないし甲第7号証(以下、甲第1号証を「甲1」といい、同様に甲第2号証ないし甲第13号証をそれぞれ「甲2」ないし「甲13」という。また、甲第4号証の1ないし甲第4号証の6をそれぞれ「甲4の1」ないし「甲4の6」という。)に記載された発明及び周知技術に基いて、
本件発明3、6、9及び12は、甲1ないし甲8に記載された発明及び周知技術に基いて、
本件発明4及び10は、甲1ないし甲10に記載された発明及び周知技術に基いて、
本件発明5、11及び13は、甲1ないし甲12に記載された発明及び周知技術に基いて
本件発明14は、甲1ないし甲13に記載された発明及び周知技術に基いて、
それぞれ当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明1ないし14に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであって、取り消すべきものである。

甲第1号証:特開2005-330097号公報
甲第2号証:特開2001-63904号公報
甲第3号証:特開2007-70009号公報
甲第4号証の1:「取扱説明書 新聞折込広告中入れ機用スタッカー スタッカー DI-STF」、株式会社デュプロ発行
甲第4号証の2:「取扱説明書 新聞折込広告中入れ機用スタッカー スタッカー DI-STF」、株式会社デュプロ作成
甲第4号証の3:甲第4号証の2の「新聞折込広告中入れ機用スタッカー スタッカー DI-STF 取扱説明書」の「署名とタイムスタンプのプロパティ」の表示画面、株式会社デュプロ作成
甲第4号証の4:デュプロ株式会社(福岡)ウェブサイトの「デュプロ株式会社(福岡)」、「ニュース一覧|デュプロ株式会社(福岡)」及び「DS-3100GS|新聞広告丁合機/中入機/包装機/エアージョガー|製品情報|デュプロ(グループ)」の項
甲第4号証の5:「DS-3100GS 新聞折込広告中入機/インサータ」パンフレット、株式会社デュプロ、2012年9月発行
甲第4号証の6:デュプロ株式会社からシャープファイナンス株式会社宛の「売上伝票(控)」
甲第5号証:特開2008-74528号公報
甲第6号証:特開昭63-127975号公報
甲第7号証:特開平8-217307号公報
甲第8号証:特開2002-87686号公報
甲第9号証:特開2011-256031号公報
甲第10号証:特開2012-41134号公報
甲第11号証:特開平8-133559号公報
甲第12号証:実願平5-37553号(実開平7-2355号)のCD-ROM
甲第13号証:特開2003-335453号公報

4.甲各号証の記載
(1)甲1
取消理由で通知した本件特許の出願日前に頒布された刊行物である甲1(特開2005-330097号公報)には、図面と共に次の事項が記載されている(下線は当審で付した。以下同じ。)。

ア.「【0004】
また、近年では、折込みちらしの配達対象を全戸一律ではなく、家族向け(集合住宅所在地区)、単身者向け(ワンルームマンション所在地区)、転居者向け(新築集合住宅・新市街造成地区などの新規顧客開拓)などの区域毎に分けたいという、ちらし配布依頼先の多様な要望に応じる必要がある。このため、区域設定モードにより配達区域毎に設定数を決めて丁合し、区域分を丁合し終わるとブザーなどにより報知し、次の区域のための丁合に切換わるようにしている。この場合、折込みちらしセットが所定の部数に達すると丁合運転を停止させて、区域毎に割り当てられた配達員の仕分け作業が楽に行われるように配慮している。
また、折込みちらしの紙質がザラ紙からコート紙といったように幅広い特性を持っていることから、各給紙棚の給紙圧などの調整が必要となるため、丁合運転に先立って、あるいは丁合中でもテストモードにより給紙棚の給紙状態を各段毎にチェックできるようにしている。」

イ.「【0029】
図1ないし図10、図13ないし図27は本発明の実施例1を示す。図1および図2に示すように、管理モニター付き丁合機1(以後、単に丁合機1と称す)は、前後の正面に付設されたスタート/ストップスイッチWの投入により、モーターRが始動し運転が開始されるもので、両側に側板2、3を立設した下板4を有する。下板4の前側には、搬送ベルト24および排紙ガイド6aが設けられており、シート紙として丁合された折込みちらしSの束が折込みちらしセット5となって載置される紙受けホッパー6が取付けられている。紙受けホッパー6の上方には折り紙用給紙棚7が折り段として設けられ、折り紙用給紙棚7の上方には、互いに前後に対向するように配置された上下複数段の給紙棚7a-7kおよび給紙棚8a-8kが取付けられている。
【0030】
給紙棚7a-7k、8a-8kの内側端部には、図2および図3に示すように捌き板9の上部に給紙部10を配置している。給紙部10は、図4に示すブラケット10aにより上下揺動可能に設けられ、タイミングベルト11により連結された主動給紙ローラ12および従動給紙ローラ13を給紙ローラとして備えている。給紙部10の主動給紙ローラ12に隣接するようにして搬送ローラ14、15が上下に摺接する状態に配置されている。前後に対向する給紙部10の間には、互いに摺接する一対の縦搬送ローラ16、17(図2参照)が給紙棚7a-7k、8a-8kの段数に対応して設けられている。
【0031】
給紙棚7a-7k、8a-8kに積載された折込みちらしSは、図2および図3に示すように従動給紙ローラ13により送り出されて主動給紙ローラ12と捌き板9とに挟まれ、搬送ローラ14、15の間から搬送経路に案内される。搬送経路に案内された折込みちらしSは、縦送り装置を構成する縦搬送ローラ16、17を介して下方に送られて最下段のシート折り部18に至る。折り紙用給紙棚7から給送されて折りボックス19aに至った折り紙Gは、上下動する折込み用ナイフ19により中央部が下方に撓むように折られる。撓みにより二つ折り状態になった折り紙Gには、各給紙棚7a-7k、8a-8kから給送されて束になった折込みちらしSが折り込まれて折りローラ20、21により挟み込まれる。折りローラ20、21に挟み込まれた折込みちらしセット5は、駆動ローラ22、23により駆動される搬送ベルト24で運ばれて、図5に示す紙受けホッパー6に排紙ガイド6aに案内されながら放り込まれるように排出される。」

ウ.「【0043】
図11は、丁合機1に搬送昇降装置59が付設された例を示す。搬送昇降装置59は、例えば特許第3372678号公報に記載されているように、排紙ガイド6aの引き上げ装置59aを内蔵した踏箱60が設けられたベルトコンベヤー61および渡受け部62を左右に有し、渡受け部62には駆動柱部63が立設されている。駆動柱部63には、紙受台65を支持する左右一対のフォーク64が上下方向に移動可能に設けられている。搬送昇降装置59を付設する場合、紙受けホッパー6が置かれた位置にベルトコンベヤー61を配置する。ベルトコンベヤー61上の折込みちらしセット5は、その積載高さが所定(例えば15cm)になると、ホッパー満載スイッチ66が紙受部満載として検知し(図5参照)、丁合機1の丁合動作を停止し、渡受け部62に運び渡されて紙受台65上に置かれる。」

上記の記載事項を総合すると、甲1には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されているものと認められる。

「互いに前後に対向するように配置された上下複数段の給紙棚7a-7kおよび給紙棚8a-8kに積載された折込みちらしSは、搬送経路に案内され、下方に送られて最下段のシート折り部18に至り、
折り紙Gは、上下動する折込み用ナイフ19により中央部が下方に撓むように折られ、撓みにより二つ折り状態になった折り紙Gには、各給紙棚7a-7k、8a-8kから給送されて束になった折込みちらしSが折り込まれて折りローラ20、21により挟み込まれ、
折りローラ20、21に挟み込まれた折込みちらしセット5は、紙受けホッパー6に排紙ガイド6aに案内されながら放り込まれるように排出される管理モニター付き丁合機1に付設され、
ベルトコンベヤー61および渡受け部62を左右に有し、
紙受けホッパー6が置かれた位置にベルトコンベヤー61を配置し、ベルトコンベヤー61上の折込みちらしセット5は、その積載高さが所定(例えば15cm)になると、渡受け部62に運び渡されて紙受台65上に置かれる
搬送昇降装置59。」

(2)甲2
取消理由で通知した本件特許の出願日前に頒布された刊行物である甲2(特開2001-63904号公報)には、図面と共に次の事項が記載されている。

ア.「【0002】
【従来の技術】新聞折込広告用の数種類のちらしを一枚ずつ寄せ集めてセットにする丁合機としては、一般に上下に複数段にわたって設けた給紙台上のちらしを給紙装置により順次1枚ずつ送り出して縦送り装置により下方へ搬送しつつ重ね合わせ、最下段部で2つ折りにしたちらしの中にはさみ込んだちらしのセットを、紙排出口部より側方へ排出して紙受装置により集積する縦型の丁合機が用いられている。
【0003】そして上記紙受装置としては、図7に示すように丁合機1の紙排出口2の下部側方に紙受台3を設け、この紙受台3の前端部に複数枚(一般に3枚)の背板4a?4cを間隔5をおいて並設固着し、先端部が間隔5部を貫通して背板4(背板4a?4cの総称)の外側に延びる帯板状の一対のガイド6,6の基部を、丁合機1のフレーム7に水平軸線8のまわりに揺動自在に支持した紙受装置9が用いられている。上記のガイド6,6は、丁合機1の搬出コンベヤ10により矢印Xで示すように横向きに高速で排出される丁合ずみのちらしcを案内して紙受台3上へ集積させるためのものである。
【0004】ところが上記の紙受装置9においては、排出されるちらしcが短時間間隔(たとえば1秒おき)で高速でガイド6に衝突するためガイド6がはね上り、またちらしcは背板4に衝突してはね返るため、これらを抑制するためにガイド6の先端部寄りの位置におもり11をねじ止めなどにより取付けて用いている。しかし左右のガイド6,6は別個にはね上りを繰返す(振動する)ため、ちらしcの左右でガイドに当るタイミングがずれて、集積状態でのちらしcの先端縁が揃わなかったり左右にずれた不揃状態となることが多く、またおもり11は背板4に当ったちらしcのはね返り防止用を兼ねているが、上記のガイド6のはね上りを抑制するためにおもり11を重くすると、ちらしcが軽いものである場合は、おもり11によって押付けられたガイド6の先端部下面との摩擦でちらしcが背板4まで到達せず、ちらしcの先端部が前後にずれる不揃いをひきおこしていた。」

上記の記載事項を総合すると、甲2には、次の事項(以下「甲2記載事項」という。)が記載されているものと認められる。

「2つ折りにしたちらしの中にはさみ込んだちらしのセットを排出して紙受装置により集積する丁合機の紙受装置においては、集積状態でのちらしの先端縁が揃わなかったり左右にずれた不揃状態となることが多いこと。」

(3)甲3
取消理由で通知した本件特許の出願日前に頒布された刊行物である甲3(特開2007-70009号公報)には、図面と共に次の事項が記載されている。

ア.「【請求項1】
一次処理装置から連続して第1方向に搬送されてきた用紙を、受け入れて積載しながら一時貯留し、二次処理装置に向けて、第1方向に対して略直交する第2方向へ、最下層の用紙から1枚ずつ搬出する、中間バッファ装置であって、
四方に位置するガイド板で囲まれた積載面上に用紙を受け入れるようになっており、
四方に位置するガイド板が、
用紙の第1方向の前縁が当接するよう位置する、第1サイドガイド板と、
用紙の第1方向の後縁が当接するよう位置する、第2サイドガイド板と、
用紙の第2方向の前縁が当接するよう位置する、突き当てガイド板と、
用紙の第2方向の後縁が当接するよう位置する、後端ガイド板と、であり、
後端ガイド板が、用紙の第2方向の後縁を間欠的に叩くよう、第2方向に往復動作を行うようになっていることを特徴とする中間バッファ装置。」

イ.「【0003】
ところで、一次処理装置から連続して第1方向に搬送されてきた用紙を、二次処理装置に向けて、第1方向に対して略直交する第2方向へ、再給紙する際においては、用紙が斜行しないように、再給紙を行う前に用紙を整える必要がある。」

ウ.「【0024】
四方に位置するガイド板2、3、4、5は、用紙10の第1方向の前縁101に当接するよう位置する、第1サイドガイド板2と、用紙10の第1方向の後縁102に当接するよう位置する、第2サイドガイド板3と、用紙10の第2方向の前縁103に当接するよう位置する、突き当てガイド板4と、用紙10の第2方向の後縁104に当接するよう位置する、後端ガイド板5と、である。
【0025】
図2は図1のII-II断面図である。中間バッファ装置1の積載面11は、補助ローラー111、底ガイド板112、及び複数の搬送ベルト113で、構成されている。搬送ベルト113は、端部ローラー114、115及び中間ローラー116に巻回されている。底ガイド板112と搬送ベルト113とは、略同じ高さに位置している。補助ローラー111は、底ガイド板112及び搬送ベルト113よりも少し高い位置にある。
【0026】
突き当てガイド板4は、端部ローラー115に対向した給紙ローラー117の直前の位置に、立設されている。」

エ.「【0039】
また、上記作動において、用紙10が積載面11上に落下していく際には、図3に示すように、後端ガイド板5が、偏心ローラー55の回転によって、往復動作している。このため、落下途中の用紙10の後縁104が、後端ガイド板5によって叩かれる。これにより、図2に示すように、用紙10の前縁103が、突き当てガイド板4に突き当てられる。したがって、用紙10は、突き当てガイド板4に対して揃えられることとなり、第2方向に対して斜めの状態となるのが防止される。これにより、用紙10が斜めの状態で再給紙されること、すなわち、用紙10の斜行を防止できる。したがって、用紙10を、ジャムを生じさせることなく、安定して再給紙できる。」

オ.「【0042】
また、上記作動において、用紙10が積載面11上に落下していく際には、用紙10は、図4に示すように、前縁101側が斜め下向きになって、前縁101が第1サイドガイド板2に当接し、後縁102が第2サイドガイド板3に擦れながら、落下していく。このとき、中間バッファ装置1においては、第2サイドガイド板3が、偏心ローラー57の回転によって、往復動作している。このため、落下途中の用紙10の後縁102が、第2サイドガイド板3によって叩かれる。」

カ.「【0054】
(6)中間バッファ装置1を、一列に並んだ一次処理装置8と二次処理装置9との間に、それらと一列に並ぶよう設けた場合でも、再給紙の方向を変えることができないこと以外は、上記構成の中間バッファ装置1と同様の効果を発揮できる。」

キ.上記ア.とウ.とを対照すると、上記ア.における「用紙の第1方向の前縁」、「第1サイドガイド板」、「用紙の第1方向の後縁」、「第2サイドガイド板」、「用紙の第2方向の前縁」、「突き当てガイド板」、「用紙の第2方向の後縁」及び「後端ガイド板」は、それぞれ上記ウ.における「用紙の第1方向の前縁101」、「第1サイドガイド板2」、「用紙の第1方向の後縁102」、「第2サイドガイド板3」、「用紙の第2方向の前縁103」、「突き当てガイド板4」、「用紙の第2方向の後縁104」及び「後端ガイド板5」に対応する。

上記の記載事項を総合すると、甲3には、次の発明(以下「甲3発明」という。)が記載されているものと認められる。

「一次処理装置から連続して第1方向に搬送されてきた用紙を、受け入れて積載しながら一時貯留し、二次処理装置に向けて、第1方向に対して略直交する第2方向へ、最下層の用紙から1枚ずつ搬出する、中間バッファ装置であって、
四方に位置するガイド板で囲まれた積載面上に用紙を受け入れるようになっており、
四方に位置するガイド板が、
用紙の第1方向の前縁101が当接するよう位置する、第1サイドガイド板2と、
用紙の第1方向の後縁102が当接するよう位置する、第2サイドガイド板3と、
用紙の第2方向の前縁103が当接するよう位置する、突き当てガイド板4と、
用紙の第2方向の後縁104が当接するよう位置する、後端ガイド板5と、であり、
後端ガイド板5が、用紙の第2方向の後縁104を間欠的に叩くよう、第2方向に往復動作を行うようになっており、
用紙10が積載面11上に落下していく際には、落下途中の用紙10の後縁104が、後端ガイド板5によって叩かれ、これにより、用紙10の前縁103が、突き当てガイド板4に突き当てられ、用紙10は、突き当てガイド板4に対して揃えられることとなり、第2方向に対して斜めの状態となるのが防止され、これにより、用紙10が斜めの状態で再給紙されること、すなわち、用紙10の斜行を防止でき、用紙10を、ジャムを生じさせることなく、安定して再給紙できる
中間バッファ装置。」

(4)甲4の1ないし甲4の6
甲4の3からは、コンピュータの画面の「Adobe Acrobat Standard」のウインドウに甲4の2の「取扱説明書 新聞折込広告中入れ機用スタッカー スタッカー DI-STF」の画像が表示され、「署名とタイムスタンプのプロパティ」のウインドウに「タイムスタンプ:2010-03-05 12:37:32(UTC+09:00)」と表示されていることを看取することができるから、甲4の2は「2010-03-05 12:37:32(UTC+09:00)」、すなわち、平成22年3月5日12時37分32秒のタイムスタンプが適用されたものであって、当該タイムスタンプの適用の日である平成22年3月5日までに作成されたものであると推認することができる。そして、甲4の1と甲4の2とは、最終ページ右下部に記載された記号が異なる以外は同内容の文献である。
また、甲4の4には「2011/03/15 製品情報 省スペース設計の新聞広告中入機DI-3100GS用新型スタッカー「DI-STF」をリリース致しました。」と記載され、甲4の5には「■フロントサイド・スタッカーDI-STF仕様」(第3ページ中段右欄)及び「このカタログの内容は、2012年9月現在のものです。」(第3ページ右下部)と記載され、甲4の6には「支払日 2011年11月18日」(右上部)、「日付 2011年10月07日」(下部の表内)及び「組込機用スタッカーDI-STF(DI-3100)」(下部の表の「品名・規格」の欄)と記載されているから、これらを総合すると、「DI-STF」は平成23年3月15日に販売が開始され、同年10月7日または11月18日に実際に販売が行われたものと認められる。
そして、製品が販売される際には当該製品の取扱説明書が添付されるのが通常であるから、「DI-STF」の取扱説明書である甲4の1は遅くとも平成23年11月18日までに頒布されたものと推認することができる。

そうすると、甲4の1は本件特許の出願日前に頒布された刊行物であって、甲4の1には、図面と共に次の事項が記載されている。

ア.表紙には「取扱説明書 新聞折込広告中入れ機用スタッカー スタッカー DI-STF」と記載されている。

イ.第1-1ページ下部の表には、「No.」、「名称」、「働き」の欄にそれぞれ以下のように記載されている。
・「[4]」「基準板」「新聞セットを叩いて揃える際の基準となります。」
・「[5]」「バックジョガー」「新聞セットの後端を叩いて、揃えます。」
・「[7]」「サイドジョガー」「新聞セットの側面を叩いて、揃えます。」
・「[8]」「搬送ベルト」「搬送ベルトを回して、新聞セットを排出します。」
・「[12]」「先端ガイド」「排出ユニットより排出された新聞セットを、受け止めます。」
・「[13]」「ローラコンベア」「積載された新聞セットを、スタッカーから受け取ります。」

ウ.上記イ.を踏まえて、第1-1ページ上部の図、及び、第4-10ページの「5-2.新聞セットが基準板に乗り上げるとき」の項の左側の図を総合すると、「バックジョガーは新聞セットの後端側の側面を叩き、先端ガイドは新聞セットの先端側の側面に対向し、サイドジョガーは新聞セットの先端側の側面と直交する第1の側面を叩き、基準板は新聞セットの第1の側面と反対の第2の側面に対向する」ことを看取することができる。

エ.第4-10ページの「5-2.新聞セットが基準板に乗り上げるとき」の項の左側の図からは、「先端ガイドが新聞セットのローラコンベア側への移動を阻む位置にある」点を、また、右側の図からは、「先端ガイドが新聞セットのローラコンベア側への移動を可能とする位置にある」点をそれぞれ看取することができ、これらを総合すると「先端ガイドは両者の位置を移動する」ことを看取することができる。

上記の記載事項を総合すると、甲4の1には、次の発明(以下「甲4の1発明」という。)が記載されているものと認められる。

「新聞セットの後端側の側面を叩いて、揃えるバックジョガーと、
新聞セットの先端側の側面と直交する第1の側面を叩いて、揃えるサイドジョガーと、
新聞セットの先端側の側面に対向し、排出ユニットより排出された新聞セットを、受け止める先端ガイドと、
新聞セットの第1の側面と反対の第2の側面に対向し、新聞セットを叩いて揃える際の基準となる基準板と、
搬送ベルトを回して、新聞セットを排出する搬送ベルトと、
積載された新聞セットを、スタッカーから受け取るローラコンベアを有し、
先端ガイドは新聞セットのローラコンベア側への移動を阻む位置とローラコンベア側への移動を可能とする位置とを移動する
新聞折込広告中入れ機用スタッカー。」

(5)甲5
取消理由で通知した本件特許の出願日前に頒布された刊行物である甲5(特開2008-74528号公報)には、図面と共に次の事項が記載されている。

ア.「【0001】
本発明は、搬送されてきた用紙を一旦停止させて順次積層し用紙の束として揃える用紙処理装置の技術分野に属する。」

イ.「【0016】
以下、本発明の実施例を図面を参照して説明する。
図1は本発明の実施例を説明するための斜視図、図2はその要部の側面図、図3は図2における要部の拡大側面図、図4はこの実施例における用紙処理装置全体の平面図である。
この実施例における用紙処理装置は、搬送ベルト40(図1?図4の各図参照)上流側から搬送されて来た用紙を一旦停止させて順次積層し、用紙の束として揃える装置であって、用紙S(図2参照)の前端に当接してこの用紙Sを停止させるストッパ10(図1、図2、図4参照)と、停止している用紙Sの後端部分に、その後方から打接してこれを揃えるバックジョグ部材20(図1?図4各図参照)と、ストッパ10で用紙Sが停止すると、その後端が自重で落ち込んで、この後端部分を係止(用紙後端係止段差31により)して用紙Sが跳ね返るのを防止する後端係止部材30(図1?図4各図参照)と、を有している。」

上記の記載事項を総合すると、甲5には、次の事項(以下「甲5記載事項」という。)が記載されているものと認められる。

「搬送されてきた用紙を一旦停止させて順次積層し用紙の束として揃える用紙処理装置において、
用紙Sの前端に当接してこの用紙Sを停止させるストッパ10と、
停止している用紙Sの後端部分に、その後方から打接してこれを揃えるバックジョグ部材20とを有すること。」

(6)甲6
取消理由で通知した本件特許の出願日前に頒布された刊行物である甲6(特開昭63-127975号公報)には、図面と共に次の事項が記載されている。

ア.「第1図は本発明に係る用紙集積装置の一実施例である。この装置1は、送給ローラ2,2と載置台3と台状部4とストッパ5,5とから成っている。」(第2ページ左上欄第9?12行)

イ.「ストッパ5,5は用紙6を整えるための基準面になるものであり、必要に応じて載置台3に出没する。」(第2ページ右上欄第14?16行)

ウ.「図示せぬスタート釦により送給ローラ2,2を始動させて、用紙6bを載置台3へ搬入する。搬入された用紙6bは台状部4上をすべりなから載置台3上へ案内され、付勢ローラ11によって用紙6bの先端はストッパ5,5に突き当てられて、用紙6bは用紙集積域7bに収容される。」(第2ページ左下欄第8?14行)

エ.「集積後、ストッパ5,5が回転没入するとともに、排送ローラ12,12が用紙6bの両面に当接して、用紙6bは載置台3から搬送される。」(第2ページ右下欄第2?5行)

上記の記載事項を総合すると、甲6には、次の事項(以下「甲6記載事項」という。)が記載されているものと認められる。

「送給ローラ2,2と載置台3と台状部4とストッパ5,5とから成る用紙集積装置において、
ストッパ5,5は用紙6を整えるための基準面になるものであり、必要に応じて載置台3に出没し、
搬入された用紙6bは台状部4上をすべりなから載置台3上へ案内され、付勢ローラ11によって用紙6bの先端はストッパ5,5に突き当てられて、用紙6bは用紙集積域7bに収容され、
集積後、ストッパ5,5が回転没入するとともに、排送ローラ12,12が用紙6bの両面に当接して、用紙6bは載置台3から搬送されること。」

(7)甲7
取消理由で通知した本件特許の出願日前に頒布された刊行物である甲7(特開平8-217307号公報)には、図面と共に次の事項が記載されている。

ア.「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は請求項1の上位概念に基づく、ベルトコンベヤ対で外端を保持した袋の送出しのための装置に関する。」

イ.「【0019】プラスチック袋36は、ローラコンベヤ98の上にある堆積物の上に送り出される。堆積物は固定ストップ100(図3を参照)、回し出し可能なストップ102(図4を参照)及び2個の整列スライド104及び106によって制限される。整列スライド104及び106はピストン式シリンダ装置108及び110によって移動させられる。整列スライダは夫々の新しいプラスチック袋を正しい位置に押しやるために、この袋の送出しの後に往復動させられる。回し出し可能なストップ102は、横支持材60に枢着されたピストン式シリンダ装置110によって旋回される。図4の破線の図に回し出し可能なストップ102の回し上げた位置が示されている。この回し上げた位置で完成堆積物は整列スライド104によりローラコンベヤ98からベルトコンベヤ112の上へ搬出される。」

上記の記載事項を総合すると、甲7には、次の事項(以下「甲7記載事項」という。)が記載されているものと認められる。

「ベルトコンベヤ対で外端を保持した袋の送出しのための装置において、
プラスチック袋36は、ローラコンベヤ98の上にある堆積物の上に送り出され、
堆積物は固定ストップ100、回し出し可能なストップ102及び2個の整列スライド104及び106によって制限され、
回し出し可能なストップ102は、横支持材60に枢着されたピストン式シリンダ装置110によって旋回され、
回し上げた位置で完成堆積物は整列スライド104によりローラコンベヤ98からベルトコンベヤ112の上へ搬出されること。」

(8)甲8
取消理由で通知した本件特許の出願日前に頒布された刊行物である甲8(特開2002-87686号公報)には、図面と共に次の事項が記載されている。

ア.「【0040】そして、このポケット部101を中心として、前記したように本発明に係るシート材揃え装置100が設けられている。このシート材揃え装置100は、ポケット部101に対し、シート材Sの前後方向を規制する前後位置規制部61と、その左右方向を規制する左右位置規制部62とを有している。前後位置規制部61は、反転通路部24から送り出されるシート材Sとしての搬送方向(反転通路部24を経た後なので、これまでの説明とは逆方向であって図1の右から左へ向く方向である)に対して、その前後に振り分けられる一対の寄せ片65,66を有している。」

イ.「【0043】このようなことから、この位置決め手段60では、モータ72によってカムフォロワー73を水平円周移動させたときに、図13から明らかなように、前後位置規制部61の前後動台69(カム孔71)に対しては前後方向へ向けた所定ストロークの往復動作を行わせ、また左右位置規制部62の左右動台79(カム孔81)に対しては左右方向へ向けた所定ストロークの往復動作を行わせることになる。従って、前後動台69の前後動に伴い、可動寄せ片66は固定寄せ片65との間で相互近接・離反を行い、また左右動台79の左右動に伴い、可動寄せ片76は固定寄せ片75との間で相互近接・離反を行うものとなる。
【0044】結果として、この切出し部4に送り出されたシート材Sは、その前後端部と左右端部とに軽い殴打状の振動が加えられることになり、これによって積極的な位置矯正がなされる。しかも、これら可動寄せ片66の前後動と可動寄せ片76の左右動とは、互いに同期したものであって、且つ、シート材Sに対しては交互に振動を与えることになっているので、互いの作用が邪魔し合うことがなく、シート材Sの位置矯正は効率よく行われるものである。」

上記の記載事項を総合すると、甲8には、次の事項(以下「甲8記載事項」という。)が記載されているものと認められる。

「シート材揃え装置100において、
前後動台69の前後動に伴い、可動寄せ片66は固定寄せ片65との間で相互近接・離反を行い、また左右動台79の左右動に伴い、可動寄せ片76は固定寄せ片75との間で相互近接・離反を行い、
シート材Sは、その前後端部と左右端部とに軽い殴打状の振動が加えられることになり、これによって積極的な位置矯正がなされ、
これら可動寄せ片66の前後動と可動寄せ片76の左右動とは、互いに同期したものであって、且つ、シート材Sに対しては交互に振動を与えることになっているので、互いの作用が邪魔し合うことがなく、シート材Sの位置矯正は効率よく行われること。」

(9)甲9
取消理由で通知した本件特許の出願日前に頒布された刊行物である甲9(特開2011-256031号公報)には、図面と共に次の事項が記載されている。

ア.「【0013】
シート処理装置Cは、図1に示すように画像形成部Bと原稿読取装置Dとの間に配置され、搬送されるシートを整合し、綴じ処理を行う処理部9と、処理後のシートを積載する積載部10とを備える。本実施形態の画像形成装置500は、積載部10に排出されたシートを画像形成部Bと原稿読取装置Dの間の空間に収納する、胴内搬出機能を有する。このようなシート処理装置Cの処理部9は、図2に示すように、搬送部11と、載置手段である処理トレイ14と、整合部12と、グリッパー・ステープル部13とを備える。そして、搬送部11は画像形成部Bからシートを受け取り、搬送部11の排紙方向下流に位置する処理トレイ14にシートを搬送する。搬送部11により処理トレイ14に搬送されたシートは、整合部12により処理トレイ14のシート載置面である処理トレイ面14a上整合される。そして、グリッパー・ステープル部13により、整合部12で整合されたシートにステープル処理を施す。このような処理部9の各構成部分について、図2ないし図4を用いて説明する。」

イ.「【0015】
次に、図2に示すように、整合部12は、規制手段であるストッパー部材31と、シフト部材30aと、整合部材32とを備える。このうちのストッパー部材31は、支軸31aを支点に回動自在に構成されており、規制位置と、退避位置との間で移動可能である。規制位置は、後述するシフトローラ30がシートを排紙方向上流に搬送させた際シートの排紙方向上流端部が当接可能な位置である(後述する図11の破線部)。退避位置は、整合位置で整合されたシートを排紙方向上流に移動可能にする、処理トレイ14の上方に退避した位置である(後述する図11の実線部)。なお、支軸31aは、シート幅方向(シート面に平行で排紙方向に直角な方向)に向けられた軸である。そして、ストッパー部材31が整合位置に位置する場合、処理トレイ14上に搬出されたシートは、後述するシフトローラ30で一端をストッパー部材31に当接させられることにより、斜行が補正され、シートの排紙方向上流端部が整合される。また、整合部材32は、図4に示すように、処理トレイ14のシート幅方向の一端部に設けられている。処理トレイ14上のシートは、後述するシフトローラ30によりシート幅方向の端部を整合部材32に当接させられ、シート幅方向一端部が整合される。」

上記の記載事項を総合すると、甲9には、次の事項(以下「甲9記載事項」という。)が記載されているものと認められる。

「搬送されるシートを整合し、綴じ処理を行う処理部9を備えるシート処理装置Cにおいて、
処理部9は、整合部12を備え、
整合部12は、規制手段であるストッパー部材31と、シフト部材30aと、整合部材32とを備え、
このうちのストッパー部材31は、支軸31aを支点に回動自在に構成されており、規制位置と、退避位置との間で移動可能であり、規制位置は、シフトローラ30がシートを排紙方向上流に搬送させた際シートの排紙方向上流端部が当接可能な位置であり、退避位置は、整合位置で整合されたシートを排紙方向上流に移動可能にする、処理トレイ14の上方に退避した位置であり、支軸31aは、シート幅方向(シート面に平行で排紙方向に直角な方向)に向けられた軸であり、
ストッパー部材31が整合位置に位置する場合、処理トレイ14上に搬出されたシートは、後述するシフトローラ30で一端をストッパー部材31に当接させられることにより、斜行が補正され、シートの排紙方向上流端部が整合されること。」

(10)甲10
取消理由で通知した本件特許の出願日前に頒布された刊行物である甲10(特開2012-41134号公報)には、図面と共に次の事項が記載されている。

ア.「【0023】
後処理装置Bは画像形成装置Aから送り込まれた用紙Pを上部排紙トレイ10Aや排紙トレイ(積載部)10Bに排出し、上部排紙トレイ10Aや排紙トレイ10B上に用紙Pを積載する。また後処理装置Bはシフト機能、ステイプル機能等を有し、後処理装置Bの内部に一時貯留されるか、排紙トレイ10Bに積載される用紙Pに対して、部毎のシフト処理やステイプル処理等の後処理が行われる。」

イ.「【0027】
後処理後、中間スタッカ20から排出される用紙Pは排紙トレイ10Bに排出され、積載される。図1における30A、30Bは本発明に係る整合手段に含まれる整合部材であり、排紙トレイ10Bに排出された用紙Pを整合するものである。整合部材30A、30Bの中間スタッカ20及び排紙トレイ10Bにおける整合動作に関しては後述する。」

ウ.「【0048】
排紙トレイ10Bの上方には、一対の摺動機構部30の用紙幅方向の往復移動により用紙Pの側端部に接離して整合する一対の整合部材30A、30Bが設置されている(整合部材30Aが第1の整合部材であり、整合部材30Bが第2の整合部材である)。整合部材30A、30Bはそれぞれ回転軸AXを中心にする回転方向に回動(往復動)可能である。前述したように、用紙Pを整合する動作としては、図4(a)に実線で示す用紙整合位置での、排紙トレイ10Bに積載される複数枚の用紙Pを用紙幅方向に整合する動作と、中間スタッカ20に貯留される複数枚の用紙Pを用紙搬送方向に整合する動作がある。また、用紙Pに対する、中間スタッカ20又は排紙トレイ10B上での整合動作が行われないときには、整合部材30A、30Bは図4(a)に破線で示す上方退避位置に移動される。」

上記の記載事項を総合すると、甲10には、次の事項(以下「甲10記載事項」という。)が記載されているものと認められる。

「画像形成装置Aから送り込まれた用紙Pを排紙トレイ(積載部)10Bに排出し、排紙トレイ10B上に用紙Pを積載する後処理装置Bにおいて、
後処理後、中間スタッカ20から排出される用紙Pは排紙トレイ10Bに排出され、積載され、
排紙トレイ10Bの上方には、一対の摺動機構部30の用紙幅方向の往復移動により用紙Pの側端部に接離して整合する一対の整合部材30A、30Bが設置され、
整合部材30A、30Bはそれぞれ回転軸AXを中心にする回転方向に回動(往復動)可能であり、
用紙Pを整合する動作としては、用紙整合位置での、排紙トレイ10Bに積載される複数枚の用紙Pを用紙幅方向に整合する動作と、中間スタッカ20に貯留される複数枚の用紙Pを用紙搬送方向に整合する動作があり、
用紙Pに対する、中間スタッカ20又は排紙トレイ10B上での整合動作が行われないときには、整合部材30A、30B上方退避位置に移動されること。」

(11)甲11
取消理由で通知した本件特許の出願日前に頒布された刊行物である甲11(特開平8-133559号公報)には、図面と共に次の事項が記載されている。

ア.「【0010】
【実施例】以下、本発明の実施例を添付図面に従って説明するに、1は新聞折込広告丁合機Sの内部で機械丁合された被丁合物Xの排出ガイドローラであって、新聞折込広告丁合機Sにおける排出口2の内部横断方向に上下1組を並設支持している。3、4は左右に間隔を隔てて並設した被丁合物Xの排出ガイドバーであって、その基端部の連結軸5を、前記排出ガイドローラ1のほぼ直上部で、折込広告丁合機Sの排出口2の内部横断方向に固定した上で、機外へ張り出し形成している。Cは積み上げられた被丁合物のコンベア装置であって、折込広告丁合機Sの排出口2付近の床面に左右横断方向に配設され、当該コンベア機台6における左側位置に軸受した駆動ローラ7と、右側位置に軸受した従動ローラ8との間に、ベルトコンベア9を掛架支持している。M1は駆動ローラ7の軸端部に軸着したコンベア装置Cの駆動モータである。」

イ.「【0013】43、44はコイルスプリングであって、その上下両端部を、上下1組の回転プーリ18、24、19、25の外周端部に固定した連結ピン45、46に掛架支持している。47、48は上部支持枠14と下部支持枠15に取着した光電センサであって、上下1組の回転プーリ18、24に取着した扇形状の検出板49、50が、光電センサ47、48を遮断することによって、駆動モータM2のON・0FFが制御される。Lは新聞折込広告丁合機Sの隣に立ち上げたリフト装置であって、図1に示すように、ベルトコンベア9の搬出端部に、リフト装置Lの昇降テーブル51を臨設している。
【0014】而して、新聞折込広告丁合機Sが駆動して機械丁合が開始されると、内部で次々と機械丁合された被丁合物Xが、本機の排出口2に設けた上下のガイドローラ1によって機外へ排出される。その排出に当たって、被丁合物Xは排出ガイドバー3、4に案内規制されて送り出されることで、機外に配置したベルトコンベア9の上に次々と積み上げられる。この積み上げの際、排出ガイドバー3、4の先端部は、障壁ボックス10の前部プレート11に開口形成された縦長開口部12、13にフリーに挿通されている。即ち、コイルスプリング43、44に掛架されていない状態であって、コイルスプリング43、44が、上下1組の回転プーリ18、24、19、25の内側中央部寄りの位置に停止位置する図3に示す状態にある。従って、送り出される被丁合物Xが、排出ガイドバー3、4の下面に沿って触接しながら、ベルトコンベア9の上面に積み上げられることで、排出ガイドバー3、4は、徐々に上方へ押し上げられる。このようにして、予め設定時間に見合う部数の、或いは、設定部数の被丁合物Xが、排出ガイドバー3、4を介してベルトコンベア9の上に排出されて積み上げられることで、機械丁合作業が一時停止する。」

ウ.「【0016】そこで、排出ガイドバー3、4の引き上げ停止を感知すると、コンベア装置Cの駆動モータM1が駆動してベルトコンベア9が回転して、その上に積み上げられた被丁合物Xを横移送し、リフト装置Lの昇降テーブル51に移載搬送する。すると、今度は、リフト装置Lが駆動して昇降テーブル51の上に移載された被丁合物Xを、腰の高さ程度の位置まで上昇移動させ、これを作業者が立ち姿勢のまま抱え上げることで、被丁合物Xの取り出し作業時における作業負担が軽減される。」

上記の記載事項を総合すると、甲11には、次の事項(以下「甲11記載事項」という。)が記載されているものと認められる。

「新聞折込広告丁合機Sが駆動して機械丁合が開始されると、内部で次々と機械丁合された被丁合物Xが、機外に配置したベルトコンベア9の上に次々と積み上げられ、
予め設定時間に見合う部数の、或いは、設定部数の被丁合物Xが、排出ガイドバー3、4を介してベルトコンベア9の上に排出されて積み上げられることで、機械丁合作業が一時停止し、
排出ガイドバー3、4の引き上げ停止を感知すると、コンベア装置Cの駆動モータM1が駆動してベルトコンベア9が回転して、その上に積み上げられた被丁合物Xを横移送し、リフト装置Lの昇降テーブル51に移載搬送すること。」

(12)甲12
取消理由で通知した本件特許の出願日前に頒布された刊行物である甲12(実願平5-37553号(実開平7-2355号)のCD-ROM)には、図面と共に次の事項が記載されている。

ア.「【0010】
【作用状態実施例】
先ず広告丁合機1をスイッチ作動させると、丁合いされた折込広告物24は折込広告物繰出し部Aから順次前方へ繰出され、停止している前方のベルトコンベヤ6上に順次アキュムレート(蓄積)されて行く。そして折込広告物24が所定量の厚みになると、広告丁合機1はスイッチリレーで自動的に停止する。そこで次に手動スイッチ22を入れると、電磁石8が消磁されてばね解除装置9で抑えばね3,3が解除されると共にモーター7が回転してベルトコンベヤ6が矢印方向に作動し、所定厚みの折込広告物24が横方向に搬送され、昇降リフト10の昇降板15上に搬送されて停止する。(イの状態)。するとモーター7が停止してベルトコンベヤ6が停止すると共に電磁石8が励磁されて抑えばね3,3が作用し、同時に再び広告丁合機1が作動して再び停止している前方のベルトコンベヤ6上に折込広告物24が順次繰出し蓄積されて行く。また一方スイッチ22を入れることによって昇降板15が上昇して上昇限で停止して折込広告物24を所定の高さ位置(ロ)に上揚できる。そこでこの上揚された折込広告物24を作業台上へ持ち運んでから、フートスイッチ23を入れると昇降板15が降下する。そして再び手動スイッチ22を入れてベルトコンベヤ6を作動させコンベヤ6上に蓄積された次の所定厚みの折込広告物24を昇降リフト10側へ搬送して再び上揚させるものである。」

上記の記載事項を総合すると、甲12には、次の事項(以下「甲12記載事項」という。)が記載されているものと認められる。

「折込広告物24が所定量の厚みになると、広告丁合機1はスイッチリレーで自動的に停止し、
そこで次に手動スイッチ22を入れると、モーター7が回転してベルトコンベヤ6が矢印方向に作動し、所定厚みの折込広告物24が横方向に搬送され、昇降リフト10の昇降板15上に搬送されて停止すること。」

(13)甲13
取消理由で通知した本件特許の出願日前に頒布された刊行物である甲13(特開2003-335453号公報)には、図面と共に次の事項が記載されている。

ア.「【0055】次に、判別部(検知部)について説明する。後処理機3には適宜の位置にコネクタ72が設けられている。また、丁合機2には適宜の位置にコネクタ73が設けられており、後処理機3と丁合機2とを接続するときに、このコネクタ72とコネクタ73とを接続する。なお、コネクタは図1に示すように、丁合機及び後処理機の筺体に固定され、丁合機と後処理機とを機械的に連結した時に同時に連結されるものに限らず、後処理機を丁合機との接続位置に設置した後、作業者が手動により連結するコネクタでも良い。」

上記の記載事項を総合すると、甲13には、次の事項(以下「甲13記載事項」という。)が記載されているものと認められる。

「後処理機3には適宜の位置にコネクタ72が設けられ、丁合機2には適宜の位置にコネクタ73が設けられており、後処理機3と丁合機2とを接続するときに、このコネクタ72とコネクタ73とを接続すること。」

5.判断
(1)本件発明1について
ア.対比
本件発明1と甲1発明とを対比する。

後者の「給紙棚7a-7kおよび給紙棚8a-8k」は、その構造、機能、作用等からみて、前者の「棚部」に相当し、同様に、「折込みちらしS」は「折込用広告紙」に、「折り紙G」は「親紙」に、「折込みちらしセット5」は「折込用広告束」にそれぞれ相当する。
後者の「互いに前後に対向するように配置された上下複数段の給紙棚7a-7kおよび給紙棚8a-8kに積載された折込みちらしSは、搬送経路に案内され、下方に送られて最下段のシート折り部18に至り、折り紙Gは、上下動する折込み用ナイフ19により中央部が下方に撓むように折られ、撓みにより二つ折り状態になった折り紙Gには、各給紙棚7a-7k、8a-8kから給送されて束になった折込みちらしSが折り込まれて折りローラ20、21により挟み込まれ」、「シート紙として丁合された折込みちらしSの束が折込みちらしセット5とな」る「管理モニター付き丁合機1」は、前者の「複数の棚部からそれぞれ折込用広告紙を給紙して給紙方向の下流側で待機している親紙を2つ折りにしつつ前記複数枚の折込用広告紙の前記給紙方向の先端を前記親紙で挟み込んで折込用広告束を作成する丁合機」に相当する。
後者においては「折りローラ20、21に挟み込まれた折込みちらしセット5は、紙受けホッパー6に排紙ガイド6aに案内されながら放り込まれるように排出され」るから、後者は折込みちらしセット5を排出する部位を備えているといえ、当該部位は前者の「排出口」に相当する。また、後者の「シート紙として丁合された折込みちらしSの束が折込みちらしセット5となって載置され」る「紙受けホッパー6」は、前者の「前記排出口から排出された前記折込用広告束を積み上げる積上部」に相当する。
前者において、「第1の側面」は「積上部に積上げられた複数の折込用広告束の親紙により挟み込んだ先端側の側面と直交する」面であり、「第2の側面」は「折込用広告束の前記第1の側面と反対」の面であることを踏まえると、後者の「ベルトコンベヤー61および渡受け部62を左右に有し、紙受けホッパー6が置かれた位置にベルトコンベヤー61を配置し、ベルトコンベヤー61上の折込みちらしセット5は、その積載高さが所定(例えば15cm)になると、渡受け部62に運び渡されて紙受台65上に置かれる搬送昇降装置59」と、前者の「前記移動式側壁を前記開放位置へ移動させた状態で、複数の前記折込用広告束をその第1の側面から第2の側面に向かう方向に移動させて前記積上部から搬出する搬送機構と、を備えたことを特徴とする折込用広告束紙揃え搬送装置」とは、「複数の折込用広告束をその第1の側面から第2の側面に向かう方向に移動させて積上部から搬出する搬送機構を備えた折込用広告束搬送装置」との概念で共通する。

したがって、本件発明1と甲1発明とは、
「複数の棚部からそれぞれ折込用広告紙を給紙して給紙方向の下流側で待機している親紙を2つ折りにしつつ前記複数枚の折込用広告紙の前記給紙方向の先端を前記親紙で挟み込んで折込用広告束を作成する丁合機の排出口に接続され、
前記排出口から排出された前記折込用広告束を積み上げる積上部と、
複数の前記折込用広告束をその第1の側面から第2の側面に向かう方向に移動させて前記積上部から搬出する搬送機構と、
を備えた折込用広告束搬送装置。」
の点で一致し、以下の点で相違している。

[相違点1]
前者が「積上部に積上げられた複数の折込用広告束の親紙により挟み込んだ先端側の側面と直交する第1の側面を叩いて紙揃えする叩き板、及び、折込用広告束の第1の側面と反対の第2の側面に対向した移動式側壁を有する紙揃え機構」を有するのに対して、後者はそのようなものでない点。

[相違点2]
前者が「折込用広告束の第2の側面に対向した閉鎖位置と第2の側面を開放する開放位置との間で移動式側壁を移動させる移動機構」を有し、搬送機構が「移動式側壁を開放位置へ移動させた状態で」折込用広告束を移動させて積上部から搬出するのに対して、後者はそのようなものでない点。

イ.判断
相違点1について検討する。

甲2記載事項(「2つ折りにしたちらしの中にはさみ込んだちらしのセットを排出して紙受装置により集積する丁合機の紙受装置においては、集積状態でのちらしの先端縁が揃わなかったり左右にずれた不揃状態となることが多い点。」)によれば、折込用広告束の紙受装置において折込用広告束の先端縁が揃わなかったり左右にずれた不揃状態となることが多いという課題は、本件特許の出願日前に公知であったといえる。

甲3発明においては「一次処理装置から連続して第1方向に搬送されてきた用紙を、受け入れて積載しながら一時貯留し、二次処理装置に向けて、第1方向に対して略直交する第2方向へ、最下層の用紙から1枚ずつ搬出する」から、「第1方向」は用紙が一次処理装置から搬送されて来る方向であり、「第2方向」は第1方向に対して略直交する方向であるといえる。
そうすると、甲3発明の「後端ガイド板5」は「用紙の第2方向の後縁104が当接するよう位置する」もので、「用紙の第2方向の後縁104を間欠的に叩くよう、第2方向に往復動作を行う」から、甲3発明の「後端ガイド板5」と本件発明1の「積上部に積上げられた複数の折込用広告束の親紙により挟み込んだ先端側の側面と直交する第1の側面を叩いて紙揃えする叩き板」とは、「用紙の先端側の側面と直交する第1の側面を叩く叩き板」との概念で共通する。
また、甲3発明の「用紙の第2方向の前縁103が当接するよう位置する、突き当てガイド板4」と甲3発明の「突き当てガイド板4」と本件発明1の「前記折込用広告束の前記第1の側面と反対の第2の側面に対向した移動式側壁」とは、「用紙の第1の側面と反対の第2の側面に対向した側壁」との概念で共通する。
そうすると、甲3発明は、本件発明1の相違点1に係る発明特定事項のうちの「用紙の先端側の側面と直交する第1の側面を叩いて紙揃えする叩き板、及び、用紙の第1の側面と反対の第2の側面に対向した側壁を有する機構」との事項を備えるものの、当該機構は「折込用広告束」を取り扱うものではなく、「側壁」は「移動式」のものではない。

そして、甲3発明は一次処理装置から搬送されてきた「用紙」を、「最下層の用紙から1枚ずつ搬出する」ものであって、甲1発明のように管理モニター付き丁合機1から排出された「折込みちらしセット5」を「積載高さが所定(例えば15cm)にな」った状態で運び渡すものではない。そうすると、甲1発明が複数の折込みちらしがセットされたものを複数積載された状態で移動するのものであるのに対して、甲3発明は用紙を1枚ずつ移動するものである点で、両者は属する技術分野が相違する。

また、甲3発明は1枚ずつ搬出される個別の用紙について「用紙10の斜行を防止」することを課題とするものであって、甲2記載事項のように折込用広告束の紙受装置において折込用広告束先端縁が揃わなかったり左右にずれた不揃状態となることが多いという課題の解決を図るものではない。

そうすると、甲2記載事項の課題が公知であることを考慮しても、甲1発明に甲3発明を適用することは、当業者が容易に想到することができたものではない。

甲4の1発明は「新聞折込広告中入れ機用スタッカー」に係るものであって、その「新聞セット」は折込広告が中入れされた新聞のセットであると認められるから、甲4の1発明の「新聞セット」と本件発明1の「折込用広告束」とは、「折込用広告を含む束」との概念で共通する。

そこで、まず甲4の1発明の「バックジョガー」及び「先端ガイド」について検討すると、甲4の1発明の「新聞セットの後端側の側面を叩いて、揃えるバックジョガー」と本件発明1の「前記積上部に積上げられた複数の前記折込用広告束の前記親紙により挟み込んだ先端側の側面と直交する第1の側面を叩いて紙揃えする叩き板」とは、「折込用広告を含む束の側面を叩いて紙揃えする叩き板」との概念で共通する。
また、甲4の1発明においては「先端ガイドは新聞セットのローラコンベア側への移動を阻む位置とローラコンベア側への移動を可能とする位置とを移動する」から、甲4の1発明の「新聞セットの先端側の側面に対向し、排出ユニットより排出された新聞セットを、受け止める先端ガイド」と本件発明1の「前記折込用広告束の前記第1の側面と反対の第2の側面に対向した移動式側壁」とは、「折込用広告を含む束の側面に対向した移動式側壁」との概念で共通する。
しかしながら、甲4の1発明の「バックジョガー」は折込用広告を含む束の「先端側の側面と直交する第1の側面」を叩いて紙揃えするものではなく、甲4の1発明は折込用広告を含む束の「先端側の側面と直交する第1の側面」を叩いて紙揃えする「サイドジョガー」を別途備えるものである。

次に、甲4の1発明の「サイドジョガー」及び「基準板」について検討すると、甲4の1発明の「新聞セットの先端側の側面と直交する第1の側面を叩いて、揃えるサイドジョガー」と本件発明1の「前記積上部に積上げられた複数の前記折込用広告束の前記親紙により挟み込んだ先端側の側面と直交する第1の側面を叩いて紙揃えする叩き板」とは、「折込用広告を含む束の先端側の側面と直交する第1の側面を叩いて紙揃えする叩き板」との概念で共通する。また、甲4の1発明の「新聞セットの第1の側面と反対の第2の側面に対向し、新聞セットを叩いて揃える際の基準となる基準板」と本件発明1の「前記折込用広告束の前記第1の側面と反対の第2の側面に対向した移動式側壁」とは、「折込用広告を含む束の第1の側面と反対の第2の側面に対向した側壁」との概念で共通する。
しかしながら、甲4の1発明の「基準板」は「移動式」のものではなく、甲4の1発明は「移動式」である「先端ガイド」を別途備えるものである。

以上のとおりであって、甲4の1発明はその「バックジョガー」または「サイドジョガー」のいずれが本件発明1の「叩き板」に対応するとした場合にも、上記相違点1に係る本件発明1の発明特定事項を備えるものではないから、甲1発明に甲4の1発明を適用しても、上記相違点1に係る本件発明1の発明特定事項とすることは当業者が容易になし得たことではない。
また、上記の甲3発明についての検討も踏まえると、甲1発明に甲4の1発明を適用した上で、さらに甲3発明を適用することが、当業者にとって容易に想到し得たことともいえない。

甲5記載事項ないし甲7記載事項によれば、シート状物を停止する側壁を閉鎖位置と開放位置との間で移動させる移動機構は、本件特許の出願前に周知の技術であると認められる(以下「周知技術」という。)。しかしながら、甲5ないし甲7は、上記相違点1に係る本件発明1の発明特定事項を開示するものではない。甲8ないし甲13にも、上記相違点1に係る本件発明1の発明特定事項は示されていない。

また、上記相違点1に係る本件発明1の発明特定事項が、当業者にとって設計事項であるとする根拠もない。

そして、本件発明1は、上記相違点1に係る本件発明1の発明特定事項を備えることによって、本件特許明細書に記載の「本発明によれば、設置面積が小さく、省スペースが図れる折込用広告束紙揃え搬送装置付き丁合機を提供できる。又、本発明によれば、折込用広告紙が整えられた状態で、折込用広告束が所定の高さに持ち上げられるので、折込用広告束の折込用広告紙を整える手間を簡略化できる。」(段落【0014】)という作用効果を奏するものである。

したがって、本件発明1は、当業者が甲1発明、甲2記載事項、甲3発明、甲4の1発明、及び、上記周知技術に基づいて容易に発明をすることができたとはいえない。

(2)本件発明2ないし14について
本件発明2ないし6は、本件発明1をさらに限定したものである。
また、本件発明7は、本件発明1の「折込用広告束紙揃え搬送装置」に対応する「折込用広告束紙揃え搬送装置付き丁合機」の発明であって、本件発明1の相違点1に係る「前記積上部に積上げられた複数の前記折込用広告束の前記親紙により挟み込んだ先端側の側面と直交する第1の側面を叩いて紙揃えする叩き板、および前記折込用広告束の前記第1の側面と反対の第2の側面に対向した移動式側壁を有する紙揃え機構」を発明特定事項とするものである。そして、本件発明8ないし14は、本件発明7をさらに限定したものである。

そうすると、上記(1)における本件発明1についての検討を踏まえると、
本件発明2、7及び8は、甲1発明、甲2記載事項、甲3発明、甲4の1発明、及び、上記周知技術に基づいて、
本件発明3、6、9及び12は、甲1発明、甲2記載事項、甲3発明、甲4の1発明、甲8記載事項、及び、上記周知技術に基づいて、
本件発明4及び10は、甲1発明、甲2記載事項、甲3発明、甲4の1発明、甲8記載事項ないし甲10記載事項、及び、上記周知技術に基づいて、
本件発明5、11及び13は、甲1発明、甲2記載事項、甲3発明、甲4の1発明、甲8記載事項ないし甲12記載事項、及び、上記周知技術に基づいて、
本件発明14は、甲1発明、甲2記載事項、甲3発明、甲4の1発明、甲8記載事項ないし甲13記載事項、及び、上記周知技術に基づいて、
それぞれ当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

6.むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件発明1ないし14に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明1ないし14に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2018-05-01 
出願番号 特願2012-242876(P2012-242876)
審決分類 P 1 651・ 121- Y (B65H)
最終処分 維持  
前審関与審査官 西村 賢  
特許庁審判長 黒瀬 雅一
特許庁審判官 畑井 順一
森次 顕
登録日 2017-03-31 
登録番号 特許第6117518号(P6117518)
権利者 株式会社プレッシオ
発明の名称 折込用広告束紙揃え搬送装置、及び折込用広告束紙揃え搬送装置付き丁合機  
代理人 峰 隆司  
代理人 森川 元嗣  
代理人 蔵田 昌俊  
代理人 飯野 茂  
代理人 特許業務法人 谷・阿部特許事務所  
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