• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G01C
管理番号 1340501
審判番号 不服2016-9263  
総通号数 223 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-07-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-06-22 
確定日 2018-05-16 
事件の表示 特願2015-500416「動的ナビゲーション・サービスのための方法、コンピュータ・プログラム、機械可読記憶媒体、装置およびシステム」拒絶査定不服審判事件〔平成25年10月 3日国際公開、WO2013/147916、平成27年 4月30日国内公表、特表2015-513096〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1 手続の経緯
本願は、2012年3月31日を国際出願日とする出願であって、平成26年9月12日に国内書面が提出され、平成27年8月21日付けで拒絶理由が通知されたのに対し、平成27年11月19日に意見書及び手続補正書が提出されたが、平成28年2月16日付けで拒絶査定がされ、平成28年6月22日に拒絶査定不服審判が請求され、その後、当審において平成29年6月7日付けで拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)が通知され、平成29年9月7日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。

2 本願発明
本願の特許請求の範囲の請求項1ないし16に係る発明は、平成29年9月7日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲、平成27年11月19日に提出された手続補正書により補正された明細書及び国際出願日における図面(平成26年9月12日に提出された図面の翻訳文を含む。)の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし16に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められるところ、特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、下記の【請求項1】のとおりである。

「 【請求項1】
動的ナビゲーション・サービスを実装する方法であって:
ユーザー位置情報生成手段がユーザー位置情報を生成する段階であって、前記ユーザー位置情報はユーザーの現在位置に基づく、段階と;
送信手段が方向案内の要求を含むナビゲーション問い合わせを動的ナビゲーション・サービス・サーバーに送信する段階と;
決定手段が前記ユーザー位置情報に基づいて関連コミュニティのユーザーを決定する段階であって、前記ユーザー位置情報に基づく関連コミュニティに含められるユーザーは、該含められるユーザーの装置から送信される情報に基づいて決定される該含められるユーザーが夜間に一貫して位置している土地に基づいて検証される、段階と;
コミュニティ・ユーザー挙動データ生成手段がコミュニティ・ユーザー挙動データを生成する段階であって、前記コミュニティ・ユーザー挙動データは前記関連コミュニティのユーザーのルート使用挙動に基づく、段階と;
コミュニティ・ユーザー提案ルート生成手段がコミュニティ・ユーザー提案ルートを生成する段階であって、前記コミュニティ・ユーザー提案ルートは前記コミュニティ・ユーザー挙動データに基づく、段階と;
前記動的ナビゲーション・サービス・サーバーの問い合わせ結果生成手段が前記コミュニティ・ユーザー提案ルートを含む問い合わせ結果を生成する段階と;
前記動的ナビゲーション・サービス・サーバーの送信手段が前記問い合わせ結果をユーザーの装置に送信する段階とを含む、
方法。」

3 引用文献
(1)引用文献の記載
当審拒絶理由で引用され、本願の出願前に国内において頒布された刊行物である特開2008-152467号公報(以下、「引用文献」という。)には、「情報作成システム」に関して、図面とともに概ね次の記載がある。なお、下線は、理解の一助のため当審で付した。

ア 「【0001】
本発明は、概して、1台以上の車両から通信を利用して情報を収集し、収集した情報から所定の情報を作成する情報作成システムに係り、特に、地元ユーザ特有の「抜け道」ルートに関する情報を作成する情報作成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、1台以上の車両から通信を利用して情報(例えば位置情報や車速情報など)を収集し、収集した情報から所定の情報(例えば道路情報や渋滞情報など)を作成するシステムが知られている(例えば、特許文献1参照)。このようなシステムは、各走行車両がプローブ(センサ)の役割を果たすことから、プローブカーシステムと呼ばれている。
【0003】
特許文献1には、2点間の複数の経路の走行履歴から最短時間の経路を抽出する際に、タクシー等の職業や対象地域に住所を持つユーザの走行履歴を優先的に選択・蓄積し、「抜け道」として目的地までの最短経路を案内するシステムが開示されている。
【特許文献1】特開2003-337036号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示された従来システムによれば、地元車両と非地元車両が混在して走行する経路上に渋滞等の交通異常が生じたときに、地元ユーザが当該交通異常を回避するのに利用する地元特有の「抜け道」ルート(渋滞している道路を一旦外れ、その後再び当該道路に戻ってくるルート)を抽出することができない。
【0005】
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、地元ユーザ特有の「抜け道」ルートに関する情報を作成する情報作成システムを提供することを主たる目的とする。」(段落【0001】ないし【0005】)

イ 「【0006】
上記目的を達成するための本発明の第一の態様は、1台以上の車両から通信を利用して情報を収集し、収集した情報から所定の情報を作成する情報作成システムであって、上記1台以上の車両のうち所定の目的地へ向かう1台以上の車両から、車両位置情報と当該車両の地元度情報とから成る走行軌跡情報を取得する情報取得手段と、この情報取得手段によって取得された上記走行軌跡情報を地図情報に照らしてリンクごとに地元車両の走行量と非地元車両の走行量とを算出する算出手段と、この算出手段による算出結果に基づいて、上記所定の目的地までの経路のうち上記地元ユーザに特有の1以上のリンクから成る経路を抜け道情報として抽出する抽出手段とを有する情報作成システムである。
【0007】
上記第一の態様において、地元度とは、ユーザ毎に且つ所定の領域毎に付与される指標であって、当該領域における道路形状や交通状況などの車両走行に関するあらゆる情報について当該ユーザが総合的に認知している程度を表す指標であり、地元度が高いほど当該領域の交通事情に精通しており、地元度が低いほど当該領域の交通事情に対する精通度合が希薄となり、よって幹線道路を優先的に利用する傾向が生じる、ように付与される。
【0008】
また、上記第一の態様において、上記地元度情報は、例えば、A)当該車両の自動車登録番号に基づいて決定されてもよく、或いは、B)当該車両の所有者又は使用者の住所に基づいて決定されてもよく、或いは、C)当該車両が過去の所定期間内に所定のエリア内を走行した割合(例えば、当該車両の過去1週間の走行の8割は現在位置から半径5キロメートル以内の範囲である、など)に基づいて決定されてもよく、或いは、D)上記A)?C)のうちの任意の2以上の組み合わせであってもよい。
【0009】
また、上記第一の態様において、上記算出手段は、当該車両の現在位置から上記所定の目的地までの各リンクについて、全ユーザの走行率と、地元ユーザの走行率とを算出し、上記抽出手段は、上記各リンクのうち地元ユーザの走行率の方が全ユーザの走行率よりも高いリンクを抽出することによって、上記抜け道情報を抽出する。このとき、上記算出手段は、各リンクについて地元ユーザの走行率を求めるとき、車両走行回数に上記地元度情報に応じた、地元度が大きくなるほど大きい重み付け係数を乗じて得られた値に基づいて算出することが好ましい。全ユーザの走行率を求めるときには、車両走行回数に基づいて算出されてもよく、或いは、地元度が小さくなるほど大きい重み付け係数を乗じて得られた値に基づいて算出されてもよい。
【0010】
上記第一の態様によれば、各車両の走行軌跡を分析するときに各車両の地元度を考慮するようにしたため、地元ユーザ特有の抜け道である可能性が高いルートを抽出することができる。
【0011】
上記目的を達成するための本発明の第二の態様は、上記第一の態様に係る情報作成システムであって、上記抽出手段によって抽出された上記抜け道情報を、所定のタイミングで、上記所定の目的地へ向かう車両に提供する情報提供手段を更に有する、情報作成システムである。
【0012】
上記第二の態様において、上記所定のタイミングとは、例えば、a)車両から要求されたとき、或いは、b)当該車両の現在位置と上記所定の目的地との間に交通異常が検出されたときであり、上記情報提供手段は、前者a)の場合、上記抜け道情報を要求した車両に、後者b)の場合、当該車両の現在位置と上記所定の目的地との間を走行している車両に、それぞれ上記地元ユーザ特有のルートを提供するように構成される。
【0013】
上記第二の態様によれば、ユーザは、初めて訪れた地域など交通事情に精通していない地域を走行する場合であっても、当該地域を地元とするユーザに特有の抜け道ルートを利用することができる。
【0014】
なお、上記第二の態様において、上記情報取得手段は、更に、上記1台以上の車両から車幅情報を取得し、上記抽出手段は、上記車幅を所定値以上上回る道路幅を持つリンクのみを上記地元ユーザ特有の1以上のリンクとして抽出するようにしてもよい。なお、上記第二の態様において、上記抽出手段は、道路幅が所定長未満のリンクは上記地元ユーザ特有の1以上のリンクとして抽出しないことが好ましい。
【0015】
さらに、上記第二の態様において、渋滞等の交通異常の発生は時間帯に応じて傾向が異なるとの観点から、上記算出手段が、上記走行量を時間帯ごとに求め、上記算出手段が、上記算出手段により求められた時間帯ごとの上記走行量に基づいて、時間帯ごとの上記抜け道情報を抽出するようにしてもよい。
【0016】
なお、上記第一及び第二の態様において、上記の各手段は、各車両と無線通信を行う地上固定局装置内に設けられてもよく、或いは、各車両(すなわち、移動局)内に設けられてもよい。
【0017】
上記目的を達成するための本発明の第三の態様は、1台以上の車両から通信を利用して情報を収集し、収集した情報から所定の情報を作成する情報作成システムであって、上記1台以上の車両から、車両位置情報と当該車両の地元度情報とを取得し、所定の地点間の存在する1以上の経路について、地元車両と非地元車両とが混在して走行している第一の経路と、該第一の経路から分岐して該第一の経路に回帰する経路であって且つ非地元車両よりも地元車両が多く走行している第二の経路とを抽出し、上記第二の経路を上記第一の経路に対する抜け道として記憶する、情報作成システムである。
【0018】
上記第三の態様において、地元度とは、ユーザ毎に且つ所定の領域毎に付与される指標であって、当該領域における道路形状や交通状況などの車両走行に関するあらゆる情報について当該ユーザが総合的に認知している程度を表す指標であり、地元度が高いほど当該領域の交通事情に精通しており、地元度が低いほど当該領域の交通事情に対する精通度合が希薄となり、よって幹線道路を優先的に利用する傾向が生じる、ように付与される。
【0019】
また、上記第三の態様において、上記地元度情報は、例えば、A)情報送信元車両の自動車登録番号に基づいて決定されてもよく、或いは、B)当該車両の所有者又は使用者の住所に基づいて決定されてもよく、或いは、C)当該車両が過去の所定期間内に所定のエリア内を走行した割合(例えば、当該車両の過去1週間の走行の8割は現在位置から半径5キロメートル以内の範囲である、など)に基づいて決定されてもよく、或いは、D)上記A)?C)のうちの任意の2以上の組み合わせであってもよい。
【0020】
また、上記第三の態様においては、例えば、上記所定の地点間の各リンクについて、全ユーザの走行率と、地元ユーザの走行率とが算出され、上記各リンクのうち地元ユーザの走行率の方が全ユーザの走行率よりも高いリンクから成る経路が上記第二の経路として抽出される。このように、各リンクについて地元ユーザの走行率を求めるとき、車両走行回数に上記地元度情報に応じた、地元度が大きくなるほど大きい重み付け係数を乗じて得られた値に基づいて算出されることが好ましい。全ユーザの走行率を求めるときには、車両走行回数に基づいて算出されてもよく、或いは、地元度が小さくなるほど大きい重み付け係数を乗じて得られた値に基づいて算出されてもよい。
【0021】
上記第三の態様によれば、各車両の走行軌跡を分析するときに各車両の地元度を考慮するようにしたため、地元ユーザ特有の抜け道である可能性が高いルートを抽出することができる。」(段落【0006】ないし【0021】)

ウ 「【0027】
図1は、本実施例に係る情報作成システム100の概略構成図である。
【0028】
情報作成システム100は、1台以上の情報収集協力車両Vの各々に搭載された車載装置101と、例えば国や地方公共団体又はこれらから委託を受けた公的団体や或いは民間団体などの事業体により管理・運営された通信局であって、1台以上の車両Vから送信された情報を受信・収集し、集計・統計処理し、所定の情報を作成する情報作成装置(センタ)102と、から成る。
【0029】
車載装置101とセンタ102とは、無線通信を利用して、互いに通信できるように構成される。車載装置101とセンタ102の間の通信接続は、直接的な無線通信接続に限られず、車車間通信、路車間通信、及び/又は衛星通信を介した間接的な通信接続であってもよい。また、採用される通信方式も任意でよい。
【0030】
本実施例における情報作成システム100の動きを概略的に述べると、まず、(1)各車両Vが周期的/定期的に走行軌跡情報(後述)をセンタ102へアップロードする。また、(2)ある車両Vが代替ルートをセンタ102へ要求すると、(3)センタ102はそれまでに収集した各車両Vの走行軌跡情報に基づいて、地元ユーザに特有の抜け道を代替ルートとして抽出し、(4)要求元の車両Vへ送り返す。
【0031】
このように、本実施例に係る情報作成システム100は、概して、各参加車両Vから「地元ユーザに特有の抜け道」情報を作成するのに必要な情報を収集し、これを解析して「地元ユーザに特有の抜け道」情報を作成し、各車両Vへ返すシステムである。
【0032】
図2は、本実施例に係る情報作成システム100において各車両Vに搭載される車載装置101の概略構成図である。
【0033】
車載装置101は、無線通信を利用してセンタ102(図1)との間で情報を送受信するための通信部201を有する。通信部201が備えるアンテナの性能や形状並びに通信に利用する方式や周波数帯域などについては、特段の制限はなく、任意でよい。具体的には、例えば、既存の携帯電話や無線LAN(Wireless Local Area Network)などの通信規格に準拠した無線通信方式を採用することが考えられる。
【0034】
また、通信部201は、例えば既存のVICS(Vehicle Information and Communication System)などからの交通情報を受信して、渋滞情報を取得できるように構成されることが好ましい。
【0035】
車載装置101は、更に、例えばGPS(Global Positioning System;全地球測位システム)を利用して自車両の位置を検出する自車両位置検出部202有する。自車両位置検出部202の検出精度(分解能)は高い(細かい)ほど好ましく、例えばRTK(Real Time Kinematic)-GPSなどの高精度GPSが利用されることが好ましい。
【0036】
車載装置101は、更に、車両運転者が、目的地を入力したり、抜け道に関する情報提供を要求(後述)したりするためのユーザ入力部203を有する。ユーザ入力部203は、運転席に着座中の車両運転者が容易に操作できる位置に設けられることが好ましい。
【0037】
車載装置101は、更に、地図情報を予め記憶保持すると共に、自車両の走行履歴を記憶保持する記憶部204を有する。記憶部204は、例えば、ハードディスクドライブ(HDD)や、メモリ、DVDディスクなどの任意の種類・規格の記憶媒体でよい。記憶部204に記憶保持される地図情報は、例えば通信部201による通信を利用して、最新のバージョン/内容に適宜更新されることが好ましい。
【0038】
車載装置101は、更に、後述する演算・制御部206の指示に基づいて、代替ルート情報を運転者に提供する情報提供部205を有する。情報提供部205は、例えば、A)文字・記号情報をディスプレイ装置上に表示するなどとして視覚的に情報を提供するように構成されてもよく、或いは、B)音声メッセージをスピーカから出力するなどして聴覚的に情報を提供するように構成されてもよく、或いは、C)これらA)及びB)の組み合わせであってもよい。
【0039】
情報提供部205がA)ディスプレイ装置を含む場合、それは任意の種類のディスプレイ装置でよく、例えば液晶ディスプレイ(LCD)である。他の車載システム(例えば、マルチメディアシステムなど)のディスプレイ装置と兼用であってもよい。さらに、当該ディスプレイ装置をユーザ入力部203と一体化させてタッチパネル式ディスプレイ装置として実現することも可能である。
【0040】
情報提供部205がB)スピーカを含む場合、それは車室内に設けられた任意のスピーカでよく、他の車載システム(例えば、オーディオビジュアルシステムなど)のスピーカと兼用であってもよい。
【0041】
車載装置101は、更に、各種の演算を実行すると共に、車載装置101の各構成要素を統括的に制御する演算・制御部206を有する。本実施例において、演算・制御部206は、例えば、ECU(Electronic Control Unit;電子制御装置)である。
【0042】
このような構成の車載装置101において、演算・制御部206は、周期的・定期的に自車両位置検出部202によって検出された自車両位置を検出日時と共に記憶部204に記憶し、自車両の過去所定期間(例えば、過去1年間、過去6ヶ月間、など)分の走行履歴を作成する。」(段落【0027】ないし【0042】)

エ 「【0043】
次いで、本実施例に係る車載装置101による情報送信処理の流れを図3のフローチャートを用いて説明する。図3は、車載装置101からセンタ102への走行軌跡情報のアップロード処理の流れを示すフローチャートである。
【0044】
まず、演算・制御部206は、所定のタイミングが到来したか否かを判定する(S301)。ここで、所定のタイミングとは、例えば、ACC(又はIG)がオフされたタイミングや、所定の周期(例えば5分間)が回ってきたタイミングなどである。
【0045】
上記所定のタイミングが到来したと判定されると(S301の「YES」)、演算・制御部206は、まず、自車両位置検出部202に、その時点での自車両の現在位置を検出させる(S302)。自車両現在位置は、例えば、緯度・経度データや走行中のリンク番号として検出される。
【0046】
次いで、演算・制御部206は、記憶部204に記憶保持された自車両の走行履歴から求めたその時点・その地点における自車両の地元度を判定する(S303)。
【0047】
ここで、地元度とは、ユーザ毎に且つ所定の領域毎に付与される指標であって、当該領域における道路形状や交通状況などの車両走行に関するあらゆる情報について当該ユーザが総合的に認知している程度を表す指標である。例えば、一例として、ユーザの自宅若しくは勤務先等の頻繁に訪れる場所(住所)又はそれらの場所(住所)をユーザが訪れた際に車両を駐車する場所(駐車場)を中心として同心円状の領域を単位として地元度を付与してもよい。より具体的には、例えば、中心(例えば自宅住所)から半径5キロメートル以内の領域、半径5キロメートル超?10キロメートル以内の領域、及び、半径10キロメートル超の領域、という3段階の同心円状領域を設定し、中心に近い領域から順に、「高」、「中」、「低」という地元度を付与してもよい。ユーザ住所は、例えば、自動車登録番号標(ナンバープレート)に表示された地域名(例えば、「品川」、「三河」、など)から推定されてもよい。あるいは、このような所定の住所を中心として同心円状に地元度を付与していく手法に代えて又は加えて、ユーザの過去の走行履歴に基づいて、ユーザが交通事情に精通していると考えられる領域を推定して、地元度を付与するようにしてもよい。あるいは、より簡易な手法として、自動車登録番号標に表示された地域名と車両現在位置との位置関係に基づいて地元度を付与するものとしてもよい。いずれの手法による場合であっても、地元度なる指標は、地元度が高いほど当該領域の交通事情に精通しており、地元度が低いほど当該領域の交通事情に対する精通度合が希薄となり、よって幹線道路を優先的に利用する傾向が生じる、ように付与される。
【0048】
本実施例では、一例として、演算・制御部206が、記憶部204に記憶保持された自車両の過去所定期間分の走行履歴から自車両の地元度を「高」、「中」、「低」の3段階に分類するものとする。演算・制御部206は、例えば、1)記憶部204に記憶保持された過去所定期間分の走行履歴における全走行時間T_(total)と当該走行履歴のうちその時点での自車両現在位置を中心とする所定領域内を走行した時間T_(local)との比率RT(=T_(local)/T_(total))を計算し、その結果が80%以上であれば地元度「高」と判定し、60%以上80%未満であれば地元度「中」と判定し、60%未満であれば地元度「低」と判定するようにしてもよく、或いは、2)記憶部204に記憶保持された過去所定期間分の走行履歴における全走行距離D_(total)と当該走行履歴のうちその時点での自車両現在位置を中心とする所定領域内を走行した距離D_(local)との比率RD(=D_(local)/D_(total))を計算し、その結果が80%以上であれば地元度「高」と判定し、60%以上80%未満であれば地元度「中」と判定し、60%未満であれば地元度「低」と判定するようにしてもよく、或いは、3)これら時間による指標と距離による指標を組み合わせて総合的に判定するようにしてもよい。
【0049】
このようにして、自車両現在位置の検出と地元度の判定が完了すると、次いで、演算・制御部206は、通信部201に、走行軌跡情報をセンタ102へ送信(アップロード)させる。
【0050】
ここで、走行軌跡情報とは、少なくとも、A)S302において検出された自車両現在位置情報と、B)S303において判定された地元度と、C)自車両V(或いは、車載装置101又は自車両運転者)をセンタ102が識別するための識別情報(ID)と、D)送信日時と、を含む。A)自車両現在位置情報の一部として、緯度・経度データに加えて、現在位置の時間変化に基づいて判定された進行方向や、現在位置を地図情報に照らして得られたリンク番号なども情報が含まれると好ましい。また、A)自車両現在位置情報の一部として、自車両が過去の所定期間内に通過した道路のリンク番号履歴に関する情報が含まれてもよい。また、C)識別情報は、当該車両の登録ナンバーであってもよい。
【0051】
このようにして所定タイミング(S301)到来ごとに車載装置101からセンタ102へ送信された走行軌跡情報は、センタ102に記録・蓄積され、後にセンタ102が代替ルートを抽出するのに用いられる。このようなセンタ102における処理については、後に詳述する。」(段落【0043】ないし【0051】)

オ 「【0052】
次いで、本実施例に係る車載装置101による代替ルート要求処理の流れを図4のフローチャートを用いて説明する。図4は、車載装置101からセンタ102への代替ルート要求処理の流れを示すフローチャートである。
【0053】
演算・制御部206は、自車両運転者からユーザ入力部203を通じて代替ルートの情報が要求されたか否かを判定する(S401)。自車両運転者は、例えば、幹線道路を走行中に渋滞に巻き込まれたときなどに、当該渋滞を回避するための代替ルート(すなわち、「抜け道」)を知るために、この要求を行う。
【0054】
自車両運転者から代替ルートが要求されていない場合(S401の「NO」)、次いで、演算・制御部206は、これから走行しようとしている目的地までのルート上に交通異常(例えば、渋滞、事故、工事、車線規制、など)が存在するか否かを判定する(S402)。交通異常は、例えば、センタ102から情報提供されてもよく、或いは、VICSなどの既存のインフラを通じて情報取得してもよい。
【0055】
自車両運転者から手動で代替ルートが要求された場合(S401の「YES」)、又は、ルート上の交通異常が自動的に発見された場合(S402の「YES」)、演算・制御部206は、通信部201に、自車両位置検出部202によって検出されたその時点での自車両現在位置と、ユーザ入力部203を通じて自車両運転者によって入力・設定された目的地とをセンタ102へ送信させると共に、センタ102へ代替ルートに関する情報の提供を要求するリクエスト信号を送信する(S403)。
【0056】
代替ルート要求後、演算・制御部206は、通信部201によりセンタ102から代替ルートが受信されるのを待機し(S404)、受信されると(S404の「YES」)、情報提供部205を通じて自車両運転者に代替ルートを提示する(S405)。
【0057】
なお、本実施例においては、主として、地元車両と非地元車両とが混在して走行する傾向にある道路(例えば、幹線道路)から分岐して再び当該道路に回帰する経路のうち、非地元車両に比べて地元車両の方が多く走行する傾向にある経路を代替ルート、すなわち抜け道として扱うものとする。
【0058】
すなわち、上記代替ルートを受信することによって、たとえ非地元車両であっても、地元ユーザに特有の迂回路を探索することができる。」(段落【0052】ないし【0058】)

カ 「【0059】
図5は、本実施例に係る情報作成システム100において各車両Vから情報を収集し、車両Vからの要求に応じて地元ユーザに特有の抜け道に関する情報を代替ルートとして作成し、要求元の車両Vへ情報提供するセンタ(情報作成装置)102の概略構成図である。
【0060】
センタ102は、無線通信を利用して各車両Vに搭載された車載装置101(図1)との間で情報を送受信するための通信部501を有する。通信部501が備えるアンテナの性能や形状並びに通信に利用する方式や周波数帯域などについては、特段の制限はなく、任意でよい。具体的には、例えば、既存の携帯電話や無線LANなどの通信規格に準拠した無線通信方式を採用することが考えられる。
【0061】
センタ102は、更に、地図情報を予め記憶保持すると共に、各車両Vから受信された走行軌跡情報を記憶保持する記憶部502を有する。記憶部502は、任意の種類・規格の記憶媒体でよい。また、記憶部502に記憶保持される地図情報は、最新のバージョン/内容に適宜更新されることが好ましい。
【0062】
センタ102は、更に、各種の演算を実行すると共に、センタ102の各構成要素を統括的に制御する演算・制御部503を有する。本実施例において、演算・制御部503は、例えば、ECUである。」(段落【0059】ないし【0062】)

キ 「【0063】
次いで、本実施例に係るセンタ102による代替ルート抽出処理の流れを図6のフローチャートを用いて説明する。
【0064】
まず、演算・制御部503は、通信部501を通じて、情報収集協力車両Vの中のいずれかの車両Vから既述のような代替ルート情報提供の要求が受信されるのを待機する(S601)。
【0065】
代替ルート要求が受信されると(S601の「YES」)、演算・制御部503は、代替ルート要求と共に受信された要求元車両Vの現在位置を記憶部502に記憶保持された地図情報に照らして、当該現在位置直後の主要交差点を代替ルートの開始地点(スタート)に設定する(S602)。
【0066】
また、演算・制御部503は、同じように、代替ルート要求と共に受信された要求元車両Vの目的地を記憶部502に記憶保持された地図情報に照らして、当該目的地直前の主要交差点を代替ルートの終了地点(ゴール)に設定する(S603)。
【0067】
このように、開始地点と終了地点を設定し、走行軌跡に絞りを掛けることによって、例えば幹線道路から外れて自宅に帰るなどといった抜け道でない地元ユーザの走行軌跡を排除し、渋滞等の交通異常が発生した道路を一旦外れて、その後再び当該道路に戻ってくる「抜け道」ルートに限定して分析することができる。
【0068】
次いで、演算・制御部503は、このようにして設定された代替ルート開始地点・終了地点の双方を開始地点、終了地点、の順で通過した走行履歴を含む走行軌跡情報を記憶部502に記憶保持された走行軌跡情報の中から抽出し、抽出した走行軌跡情報を、地元度を考慮せずに、全ユーザを対象として解析して、代替ルート開始地点と終了地点の間に存在する1以上のリンクの各々の走行率を計算する(S604)。
【0069】
また、演算・制御部503は、同じように、抽出した走行軌跡情報を、地元度を考慮して、地元ユーザを対象として解析して、代替ルート開始地点と終了地点の間に存在する1以上のリンクの各々の走行率を計算する(S605)。」(段落【0063】ないし【0069】)

ク 「【0075】
各リンクの全ユーザの走行率及び地元ユーザの走行率は、簡易に計算するのであれば、例えば、地元度が「高」及び「中」の車両を地元ユーザであると仮定し、各リンクが走行された回数をベースとして計算することができる。この手法によれば、例えば図8(a)のリンクL1の場合、全ユーザ(車両A?D)の走行率は50%(4台中2台が走行)、地元ユーザ(車両B及びC)の走行率は100%(2台中2台が走行)、と計算することができる。これをすべてのリンクL1?L5について計算し、全ユーザの走行率よりも地元ユーザの走行率が高いリンクのみを通って開始地点Sから終了地点Gへ到達するルートを代替ルートとして抽出すれば、地元ユーザ特有の抜け道である可能性が比較的高いルートを代替ルートとして代替ルート要求元の車両へ情報提供することができる。」(段落【0075】)

ケ 「【0082】
図6に戻る。次いで、演算・制御部503は、このようにして算出された走行率に基づいて、各リンクについて、全ユーザについての走行率と地元ユーザについての走行率とを比較し、地元ユーザ特有の抜け道である可能性が比較的高いと考えられる開始地点Sから終了地点Gまでのルートを抽出する(S606)。
【0083】
より具体的には、比較の結果、全ユーザの走行率の方が地元ユーザの走行率よりも高いリンクについては、例えば、渋滞が頻繁に発生しやすい、信号のタイミングが悪く走りづらい、といった理由により、地元ユーザが開始地点Sから終了地点Gまで走行する際に通るのを避ける傾向にあるリンクであると判断する。また、全ユーザの走行率よりも地元ユーザの走行率の方が高いリンクについては、非地元ユーザはあまり利用しないが、地元ユーザは開始地点Sから終了地点Gまで走行する際によく通る傾向にあり、比較的渋滞が発生しにくい道路として地元のユーザには知られている地元ユーザ特有の抜け道である可能性が比較的高いリンクであると判断する。
【0084】
図11に示した結果をリンクごとに比較した様子を図8(b)に示す。この場合、リンクL1、L3、及びL4が地元ユーザ特有の抜け道である可能性が高いリンクと判断され、開始地点SからリンクL1、リンクL4、を順に通って終了地点Gへ到達するルート(実線)が、代替ルートとして抽出される。
【0085】
このようにして地元ユーザ特有の抜け道である可能性が比較的高いルートがユーザに提示される代替ルートとして抽出されると、次いで、演算・制御部503は、この抽出された代替ルートのリンク番号を、通信部501を通じて、代替ルートを要求してきた要求元車両Vへ送信する(S607)。この後の要求元車両Vにおける処理は、図4のS404?S405に関連して既に説明した通りである。
【0086】
このように、本実施例によれば、プローブカーシステムにおいて、各車両から位置情報(及び/又はリンク情報)のみならず地元度情報をも収集するようにし、この地元度情報を利用して地元ユーザ特有の抜け道である可能性が高いルートを構成するリンクを抽出し、代替ルートに関する情報提供を欲するユーザに提示することができるため、ユーザは初めて訪れた地域など交通事情に精通していない地域を走行する場合であっても、地元ユーザに特有の抜け道を利用して幹線道路の渋滞を回避することができる。」(段落【0082】ないし【0086】)

コ 「【0087】
なお、上記一実施例においては、一例として、地元度を「高」、「中」、「低」の3段階で判定するものとしたが、本発明はこのような実施形態に限定されるものではなく、例えば、単に「地元」か「非地元」かの2段階で分類するものとしてもよく、或いは、3より多くの段階に分類するものとしてもよく、或いは、地元度をランク判定ではなく数値化して数値パラメータとして算出するようにしてもよい。一例として、例えば、山間部などの過疎地域においては、単に「地元」か「非地元」かの2段階に分類することが考えられる。また、例えば、都会部などの過密地域において、3より多くの段階に分類することが考えられる。
(中略)
【0089】
また、上記一実施例においては、一例として、「地元度」なるパラメータを、過去所定期間分の走行履歴における全走行時間と当該走行履歴のうち「地元領域」内を走行した時間との比率、及び/又は、過去所定期間分の走行履歴における全走行距離と当該走行履歴のうち「地元領域」内を走行した距離との比率を用いて決定するものとしたが、本発明はこのような実施形態に限定されるものではない。例えば、より簡易な手法として、1)自動車登録番号標(ナンバープレート)上に表示された地域名(例えば、「品川」、「三河」、「湘南」、など)が車両現在位置の地域名と一致すれば地元ユーザ、一致しなければ非地元ユーザと判断するようにしてもよく、或いは、2)車両所有者(又は使用者)の住所と車両現在位置との直線距離が所定値未満であれば地元ユーザ、所定値以上であれば非地元ユーザと判断するようにしてもよい。
(中略)
【0093】
さらに、上記一実施例においては、一例として、システム全体を統括的に制御する中央制御局としてセンタを設けると共に、「地元度」の判定は各車両において、地元ユーザ特有の抜け道である可能性が高い代替ルートの抽出処理はセンタにおいて、それぞれ行われるものとしたが、本発明はこのような実施形態に限られるものではない。例えば、「地元度」の判定がセンタにおいて行われるものとしてもよく、或いは、代替ルートの抽出処理が各車両のリソースを用いて自律的に分散処理にて行われるものとし、センタなる中央制御局を設けない構成とすることも可能である。
」(段落【0087】ないし【0093】)

(2)引用文献の記載から分かること
上記(1)及び図面の記載から、引用文献には、次の事項が記載されていることが分かる。

サ 上記(1)(特にア、イ及びオを参照。)及び図面の記載から、引用文献には、情報作成システム100により、地元ユーザ特有の抜け道ルートに関する情報を作成し、渋滞時の代替ルート(抜け道)としてユーザに提供する方法が記載されていることが分かる。

シ 上記(1)(特にア、イ、オ及びカを参照。)及び図面の記載から、引用文献に記載された代替ルートに関する情報をユーザに提供する方法は、自車両運転者から代替ルートに関する情報を要求されたときに、代替ルートに関する情報を要求した車両に、地元ユーザに特有の抜け道に関する情報を代替ルートとして提供するように構成されることが分かる。

ス 上記(1)(特にウの段落【0027】ないし【0042】を参照。)及び図面(特に図1及び2)の記載から、引用文献に記載された代替ルートに関する情報をユーザに提供する方法において、情報作成システム100は、通信部201、自車両位置検出部202、ユーザ入力部203、及び演算・制御部206を有する車載装置101、並びにセンタ102を含むものであることが分かる。

セ 上記(1)(特にオの段落【0053】ないし【0055】を参照。)及び図面(特に図4を参照。)の記載から、引用文献に記載された代替ルートに関する情報をユーザに提供する方法において、幹線道路を走行中に渋滞に巻き込まれたときなどに、当該渋滞を回避するための代替ルート、すなわち、「抜け道」を知るために、自車両運転者からユーザ入力部203を通じて代替ルートの情報が要求されたか否か、及び、これから走行しようとしている目的地までのルート上に交通異常(例えば、渋滞、事故、工事、車線規制、など)が存在するか否か、を判定し、自車両運転者から手動で代替ルートが要求された場合、又は、ルート上の交通異常が自動的に発見された場合、自車両位置検出部202は、その時点での自車両現在位置を検出し、通信部201は、自車両位置検出部202によって検出されたその時点での自車両現在位置と、ユーザ入力部203を通じて自車両運転者によって入力・設定された目的地とをセンタ102へ送信させると共に、センタ102へ代替ルートに関する情報の提供を要求するリクエスト信号を送信させることが分かる。

ソ 上記(1)(特にイの段落【0019】、カの段落【0059】ないし【0062】、キの段落【0063】ないし【0069】、クの段落【0075】及びコの段落【0089】を参照。)及び図面(特に図5及び6を参照。)の記載から、引用文献に記載された代替ルートに関する情報をユーザに提供する方法において、センタ102は、各車両Vから受信された走行軌跡情報を記憶保持するとともに予め地図情報を記憶保持する記憶部502、車載装置101と送受信を行う通信部501及び演算・制御部503を備え、代替ルート情報提供の要求が受信されると、演算・制御部503は代替ルート要求と共に受信された要求元車両の現在地及び目的地に基づいて代替ルートの開始地点及び終了地点を設定し、自動車登録番号標(ナンバープレート)に基づいて、或いは、車両の所有者又は使用者の住所に基づいて、或いは、当該車両が過去の所定期間内に所定のエリア内を走行した割合に基づいて決定される地元度に基づいて地元ユーザと判定し、設定された代替ルート開始地点・終了地点の双方を、開始地点、終了地点の順で通過した走行履歴を含む走行軌跡情報を記憶部502に記憶保持された走行軌跡情報の中から抽出し、抽出した走行履歴情報を、地元度を考慮して地元ユーザを対象として解析し、代替ルート開始地点と終了地点の間に存在する1以上のリンクの各々の走行率を計算し、走行率が高いリンクのみを通って開始地点から終了地点へ到達するルートを代替ルートとして代替ルート要求元の車両へ情報提供することが分かる。

タ 上記(1)(特にオの段落【0053】ないし【0056】を参照。)及び図面(特に図4を参照。)の記載から、引用文献に記載された代替ルートに関する情報をユーザに提供する方法において、車載装置102の演算・制御部206は、代替ルート要求後、通信部201によりセンタ102から代替ルートが受信されるのを待機し(S404)、受信されると(S404の「YES」)、情報提供部205を通じて自車両運転者に代替ルートを提示する(S405)ことが分かる。

チ 上記(1)(特にキの段落【0063】ないし【0069】、クの段落【0075】及びコの段落【0089】を参照。)及び図面(特に図5及び6を参照。)の記載から、引用文献に記載された代替ルートに関する情報をユーザに提供する方法において、地元ユーザ特有の抜け道である可能性が比較的高いルートがユーザに提示される代替ルートとして抽出されると、センタ102の演算・制御部503は、この抽出された代替ルートのリンク番号を、通信部501を通じて、代替ルートを要求してきた要求元車両Vへ送信する(S607)ことが分かる。

ツ 上記(1)(特にアの段落【0002】を参照。)の記載から、車両の装置から通信を利用して位置情報等の情報を収集する技術が知られていたことが分かる。

テ 上記(1)(特にウの段落【0035】を参照。)の記載から、引用文献には、装置のGPSを利用して位置を検出する技術が記載されていることが分かる。

(3)引用発明並びに引用文献記載の技術1及び2
上記(1)及び(2)から、引用文献には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認める。

「代替ルートに関する情報をユーザに提供する方法であって
自車両位置検出部202が自車両位置を生成する段階であって、自車両位置は自車両Vの現在位置に基づく、段階と、
通信部201が代替ルート要求を含むリクエスト信号をセンタ102に送信する段階と、
演算・制御部503が自車両位置に基づいて地元ユーザを決定する段階であって、前記自車両位置に基づく地元ユーザは、自動車登録番号標に基づいて、或いは、車両の所有者又は使用者の住所に基づいて、或いは、当該車両が過去の所定期間内に所定のエリア内を走行した割合に基づいて決定される地元度に基づいて判断される、段階と、
演算・制御部503が、全ユーザの走行率よりも地元ユーザの走行率が高いリンクを作成する段階であって、全ユーザの走行率よりも地元ユーザの走行率が高いリンクは地元ユーザの走行軌跡に基づく、段階と、
演算・制御部503が、地元ユーザ特有の抜け道である可能性が比較的高いルートを作成する段階であって、地元ユーザ特有の抜け道である可能性が比較的高いルートは全ユーザの走行率よりも地元ユーザの走行率が高いリンクに基づく、段階と、
センタ102の演算・制御部503が地元ユーザ特有の抜け道である可能性が比較的高いルートを含む代替ルートを作成する段階と、
センタ102の通信部501が地元ユーザ特有の抜け道である可能性が比較的高いルートを含む代替ルートを要求元車両Vに送信する段階とを含む、
代替ルートに関する情報をユーザに提供する方法。」

また、引用文献には、次の技術が記載されている。

「装置から、通信を利用して位置情報を収集する技術。」(以下、「引用文献記載の技術1」という。)

「装置のGPSを利用して、位置を検出する技術。」(以下、「引用文献記載の技術2」という。)

4 対比、判断
4-1 対比
本願発明と引用発明を対比する。
引用発明における「代替ルートに関する情報をユーザに提供する方法」は、その構造、機能又は技術的意義からみて、本願発明における「動的ナビゲーション・サービスを実装する方法」に相当し、以下同様に、「自車両位置検出部202」は「ユーザー位置情報生成手段」に、「自車両位置」は「ユーザー位置情報」に、「自車両Vの現在位置」は「ユーザーの現在位置」に、「通信部201」は「送信手段」に、「代替ルート要求」は「方向案内の要求」に、「リクエスト信号」は「ナビゲーション問い合わせ」に、「センタ102」は「動的ナビゲーション・サービス・サーバー」に、「演算・制御部503」は「決定手段」「コミュニティ・ユーザー挙動データ生成手段」及び「コミュニティ・ユーザー提案ルート生成手段」並びに「問い合わせ結果生成手段」に、「地元ユーザ」は「関連コミュニティのユーザー」及び「関連コミュニティに含められるユーザー」並びに「含められるユーザー」に、「判断される」ことは「検証される」ことに、「全ユーザの走行率よりも地元ユーザの走行率が高いリンク」は「コミュニティ・ユーザー挙動データ」に、「作成する」ことは「生成する」ことに、「地元ユーザの走行率」は「コミュニティ・ユーザーのルート使用挙動」に、「地元ユーザ特有の抜け道である可能性が比較的高いルート」は「コミュニティ・ユーザー提案ルート」に、「代替ルート」は「問い合わせ結果」に、「通信部501」は「送信手段」に、「要求元車両V」は「ユーザーの装置」に、それぞれ相当する。

また、引用発明における「自動車登録番号標に基づいて、或いは、車両の所有者又は使用者の住所に基づいて、或いは、当該車両が過去の所定期間内に所定のエリア内を走行した割合に基づいて決定される地元度に基づいて判断される」ことは、本願発明における「該含められるユーザーの装置から送信される情報に基づいて決定される該含められるユーザーが夜間に一貫して位置している土地に基づいて検証される」ことと、「ユーザーの情報に基づいて検証される」という点で共通する。

そうすると、本願発明と引用発明とは、次の<一致点>で一致する。

<一致点>
「動的ナビゲーション・サービスを実装する方法であって
ユーザー位置情報生成手段がユーザー位置情報を生成する段階であって、前記ユーザー位置情報はユーザーの現在位置に基づく、段階と
送信手段が方向案内の要求を含むナビゲーション問い合わせを動的ナビゲーション・サービス・サーバーに送信する段階と
決定手段がユーザー位置情報に基づいて関連コミュニティのユーザーを決定する段階であって、ユーザー位置情報に基づく関連コミュニティに含められるユーザーは、該含められるユーザーの情報に基づいて検証される、段階と
コミュニティ・ユーザー挙動データ生成手段がコミュニティ・ユーザー挙動データを生成する段階であって、コミュニティ・ユーザー挙動データは関連コミュニティのユーザーのルート使用挙動に基づく、段階と
コミュニティ・ユーザー提案ルート生成手段がコミュニティ・ユーザー提案ルートを生成する段階であって、コミュニティ・ユーザー提案ルートはコミュニティ・ユーザー挙動データに基づく、段階と
動的ナビゲーション・サービス・サーバーの問い合わせ結果生成手段がコミュニティ・ユーザー提案ルートを含む問い合わせ結果を生成する段階と
動的ナビゲーション・サービス・サーバーの送信手段が問い合わせ結果をユーザーの装置に送信する段階とを含む、
方法。」

そして、両者は次の<相違点>で相違する。

<相違点>
「ユーザーの情報に基づいて検証される」に関して、本願発明においては、「該含められるユーザーの装置から送信される情報に基づいて決定される該含められるユーザーが夜間に一貫して位置している土地に基づいて検証される」のに対し、引用発明においては、「自動車登録番号に基づいて、或いは、車両の所有者又は使用者の住所に基づいて、或いは、当該車両が過去の所定期間内に所定のエリア内を走行した割合に基づいて決定される地元度に基づいて判断」されるものの、「該含められるユーザーの装置から送信される情報に基づいて決定される該含められるユーザーが夜間に一貫して位置している土地に基づいて検証される」か否か明らかでない点(以下、「相違点」という。)。

4-2 判断
上記相違点について検討する。
本願発明において「ユーザー位置情報に基づく関連コミュニティに含められるユーザーは、該含められるユーザーの装置から送信される情報に基づいて決定される該含められるユーザーが夜間に一貫して位置している土地に基づいて検証される」ということの技術的意義を知るために、本願の明細書を参照する。
本願の明細書には、「ユーザーは、関連コミュニティ・ユーザー204に含めるのに先立って検証されてもよい。たとえば、ユーザーは、ユーザーがどこに住んでいるか(ユーザーが夜間に一貫して位置している土地)を決定するためにユーザー装置情報を利用すること(たとえばスマートフォンへのおよびスマートフォンからの送信)によって検証されてもよい。」(段落【0023】)と記載されている。
すなわち、「ユーザーがどこに住んでいるか」と、「ユーザーが夜間に一貫して位置している土地」とは同義であり、ユーザーがどこに住んでいるかを決定するためにユーザー装置情報を利用することによって検証されてもよいことが分かる。
これに対し、引用発明においては、「自車両位置に基づく地元ユーザは、・・・車両の所有者又は使用者の住所に基づいて、・・・決定される地元度に基づいて判断される」ものであるから、本願発明と同様に、地元ユーザを、住所(すなわちユーザーがどこに住んでいるか)に基づいて判断するものである。
引用発明においては、車両の所有者又は使用者の住所を、どのようにして検知するかについては明確には記載されていないが、引用文献には、「装置から通信を利用して位置情報を収集する技術。」(上記「引用文献記載の技術1」)及び「装置のGPSを使用して、位置を検出する技術」(上記「引用文献記載の技術2」)も記載されていることから、GPSを利用して住所を検知するとみるのが自然であり、そうでないとしても、装置のGPSを利用してユーザーがどこに住んでいるかを決定することは、当業者であれば容易に想到できたことである。
してみれば、本願発明は、引用発明において、引用文献記載の技術1及び2を適用することにより、当業者が容易に発明をすることができたものである。

そして、本願発明を全体としてみても、本願発明が、引用発明並びに引用文献記載の技術1及び2に比して、格別顕著な効果を奏するともいえない。

4-3 まとめ
よって、本願発明は、引用発明並びに引用文献記載の技術1及び2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

5 むすび
上記4の4-1ないし4-3のとおり、本願発明は、引用発明並びに引用文献記載の技術1及び2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願のその他の請求項に係る発明を検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-12-04 
結審通知日 2017-12-05 
審決日 2017-12-18 
出願番号 特願2015-500416(P2015-500416)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G01C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 島倉 理  
特許庁審判長 佐々木 芳枝
特許庁審判官 松下 聡
金澤 俊郎
発明の名称 動的ナビゲーション・サービスのための方法、コンピュータ・プログラム、機械可読記憶媒体、装置およびシステム  
代理人 伊東 忠彦  
代理人 伊東 忠重  
代理人 大貫 進介  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ