• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H05B
管理番号 1340715
審判番号 不服2017-4342  
総通号数 223 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-07-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-03-28 
確定日 2018-05-25 
事件の表示 特願2012-238232号「電源装置および照明装置」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 5月15日出願公開、特開2014- 89844号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本願は、平成24年10月29日を出願日とする特許出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
平成28年6月28日付け:拒絶理由通知書
平成28年9月 5日 :意見書、手続補正書の提出
平成29年1月 5日付け:拒絶査定
平成29年3月28日 :審判請求書、手続補正書の提出

第2.平成29年3月28日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成29年3月28日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1.本件補正について(補正の内容)
本件補正は、特許請求の範囲の請求項1を以下のように補正することを含むものである。 なお、下線部は補正箇所である。
(1)本件補正前の請求項1
「発光素子を点灯させる直流出力を生成する直流出力生成手段と;
発光素子に流れる電流を一定に制御する定電流制御手段と;
発光素子に印加される負荷電圧および発光素子に投入される負荷電力のいずれか一方を一定に制御する負荷制御手段と;
調光手段から任意の調光度の調光信号を入力し、予め設定された調光度よりも浅い調光度領域では定電流制御手段によって定電流制御するとともに、予め設定された調光度よりも深い調光度領域では負荷制御手段によって定電圧制御および定電力制御のいずれか一方で制御するものであって、予め設定された調光度よりも浅い調光度領域で定電流制御している発光素子の点灯状態において発光素子の消灯に相当する最も深い調光度の調光信号を入力したときには、定電流制御と定電圧制御および定電力制御のいずれか一方とによって直前の調光度から発光素子の光出力を徐々に低下させて発光素子を消灯させる制御手段と;
を具備していることを特徴とする電源装置。」

(2)本件補正後の請求項1
「発光素子を点灯させる直流出力を生成する直流出力生成手段と;
発光素子に流れる電流を一定に制御する定電流制御手段と;
発光素子に印加される負荷電圧および発光素子に投入される負荷電力のいずれか一方を一定に制御する負荷制御手段と;
調光手段から任意の調光度の調光信号を入力し、予め設定された調光度よりも浅い調光度領域では定電流制御手段によって定電流制御するとともに、予め設定された調光度よりも深い調光度領域では負荷制御手段によって定電圧制御および定電力制御のいずれか一方で制御するものであって、予め設定された調光度よりも浅い調光度領域で定電流制御している発光素子の点灯状態において発光素子の消灯に相当する最も深い調光度の調光信号を入力したときには、定電流制御と定電圧制御および定電力制御のいずれか一方の制御とによってこれら制御を切り換えて直前の調光度から発光素子の光出力を徐々に低下させて発光素子を消灯させる制御手段と;
を具備していることを特徴とする電源装置。」

2.補正の適否
(1)上記請求項1の補正は、本件補正前の「制御手段」に関し、補正前に「予め設定された調光度よりも浅い調光度領域で定電流制御している発光素子の点灯状態において発光素子の消灯に相当する最も深い調光度の調光信号を入力したときには、定電流制御と定電圧制御および定電力制御のいずれか一方とによって直前の調光度から発光素子の光出力を徐々に低下させて発光素子を消灯させる」とあったものを「予め設定された調光度よりも浅い調光度領域で定電流制御している発光素子の点灯状態において発光素子の消灯に相当する最も深い調光度の調光信号を入力したときには、定電流制御と定電圧制御および定電力制御のいずれか一方の制御とによってこれら制御を切り換えて直前の調光度から発光素子の光出力を徐々に低下させて発光素子を消灯させる」とするものである。

(2)「定電流制御と定電圧制御および定電力制御のいずれか一方の制御」とは、請求項1の「発光素子に流れる電流を一定に制御する定電流制御手段と;発光素子に印加される負荷電圧および発光素子に投入される負荷電力のいずれか一方を一定に制御する負荷制御手段と」との特定事項によれば、「定電流制御」と「定電圧制御」の組合せ、又は「定電流制御」と「定電力制御」の組合せと解される。

(3)「これら制御を切り換えて」との補正事項は、「定電流制御」と「定電圧制御」の組合せ、又は「定電流制御」と「定電力制御」の組合せにおいて、どの制御をどのタイミングで切り換えるのか不明であり、また下記(4)のように多義的に解釈できるため不明確である。上記補正事項に関連する記載として、本件明細書の段落【0029】に「このとき、直前の調光度がどのような調光度であったとしても、定電流制御と定電圧制御とによって、直前の調光度からLED素子11の光出力を徐々に低下させてLED素子11を消灯させることにより、滑らかにフェードアウトできる。」との記載があるが、この記載からでは、どの制御をどのタイミングで切り換えるのか不明であるから、この明細書の記載を参酌しても、上記補正事項は、不明確であるから、特許請求の範囲の減縮(請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであって、補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるもの。)(以下「限定的減縮」という。)を目的とするものとはいえない。また、請求項の削除、誤記の訂正又は明りょうでない記載の釈明を目的とするものということもできない。

(4)上記(3)のように「これら制御を切り換えて」との補正事項は多義的に解釈できるため不明確であるが、「直前の調光度から発光素子の光出力を徐々に低下させて発光素子を消灯させる」際に、一応、以下のア.又はイ.の態様があると解釈できるので、各態様についても検討を加える。

ア.請求項1の「予め設定された調光度よりも浅い調光度領域では定電流制御手段によって定電流制御するとともに、予め設定された調光度よりも深い調光度領域では負荷制御手段によって定電圧制御および定電力制御のいずれか一方で制御する」との特定事項を参酌して、「浅い調光度領域」では「定電流制御」を行い、「浅い調光度領域」から「深い調光度領域」に移り変わるときには、「定電流制御」から「定電圧制御および定電力制御のいずれか一方の制御」に「切り換え」る態様。

イ.「定電流制御」と「定電圧制御および定電力制御のいずれか一方の制御」とを、「浅い調光度領域」及び「深い調光度領域」とを区別することなく「切り換え」る態様。

ア.の態様の場合についての検討
請求項1の「予め設定された調光度よりも浅い調光度領域では定電流制御手段によって定電流制御するとともに、予め設定された調光度よりも深い調光度領域では負荷制御手段によって定電圧制御および定電力制御のいずれか一方で制御する」との特定事項を参酌すれば、補正前の請求項1の「定電流制御と定電圧制御および定電力制御のいずれか一方とによって」との特定事項も、補正後の解釈と同様に、「浅い調光度領域」では「定電流制御」を行い、「浅い調光度領域」から「深い調光度領域」に移り変わるときには、「定電流制御」から「定電圧制御および定電力制御のいずれか一方の制御」に「切り換え」る態様であると解釈できるので、補正後において、「制御手段」に関し、何ら限定が加えられたものではないから、上記補正事項は、限定的減縮を目的とするものとはいえない。また、請求項の削除、誤記の訂正又は明りょうでない記載の釈明を目的とするものということもできない。

イ.の態様の場合についての検討
「定電流制御」と「定電圧制御および定電力制御のいずれか一方の制御」とを、「浅い調光度領域」及び「深い調光度領域」とを区別することなく「切り換え」る態様は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「当初明細書等」という。)には記載なく、当初明細書等から自明でもないから、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものである。

(5)むすび
以上のとおり、「これら制御を切り換えて」との補正事項は、不明確なものであるから、限定的減縮を目的とするものとはいえない。また、請求項の削除、誤記の訂正又は明りょうでない記載の釈明を目的とするものということもできないから、特許法第17の2第5項各号のいずれかを目的とするものでない。
仮に、「これら制御を切り換えて」との補正事項を上記ア.の態様と解釈した場合でも限定的減縮を目的とするものとはいえないし、請求項の削除、誤記の訂正又は明りょうでない記載の釈明を目的とするものということもできない。また、補正事項を上記イ.の態様と解釈した場合には、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてするものとはいえないから、特許法第17条の2第3項の規定する要件を満たしていない。
したがって、本件補正は、特許法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3.本願発明について
1.本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1?6に係る発明は、平成28年9月5日に提出された手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1?6に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、そのうちの請求項1及び4に係る発明(以下「本願発明1」及び「本願発明4」という。)は、以下のとおりである。
「【請求項1】
発光素子を点灯させる直流出力を生成する直流出力生成手段と;
発光素子に流れる電流を一定に制御する定電流制御手段と;
発光素子に印加される負荷電圧および発光素子に投入される負荷電力のいずれか一方を一定に制御する負荷制御手段と;
調光手段から任意の調光度の調光信号を入力し、予め設定された調光度よりも浅い調光度領域では定電流制御手段によって定電流制御するとともに、予め設定された調光度よりも深い調光度領域では負荷制御手段によって定電圧制御および定電力制御のいずれか一方で制御するものであって、予め設定された調光度よりも浅い調光度領域で定電流制御している発光素子の点灯状態において発光素子の消灯に相当する最も深い調光度の調光信号を入力したときには、定電流制御と定電圧制御および定電力制御のいずれか一方とによって直前の調光度から発光素子の光出力を徐々に低下させて発光素子を消灯させる制御手段と;
を具備していることを特徴とする電源装置。」

「【請求項4】
発光素子を点灯させる直流出力を生成する直流出力生成手段と;
発光素子に流れる電流を一定に制御する定電流制御手段と;
発光素子に印加される負荷電圧および発光素子に投入される負荷電力のいずれか一方を一定に制御する負荷制御手段と;
調光手段から任意の調光度の調光信号を入力し、予め設定された調光度よりも浅い調光度領域では定電流制御手段によって定電流制御するとともに、予め設定された調光度よりも深い調光度領域では負荷制御手段によって定電圧制御および定電力制御のいずれか一方で制御するものであって、予め設定された調光度よりも浅い調光度領域で定電流制御している発光素子の点灯状態において入力電源のオフ時には、定電流制御と定電圧制御および定電力制御のいずれか一方とによって直前の調光度から発光素子の光出力を徐々に低下させて発光素子を消灯させる制御手段と;
を具備していることを特徴とする電源装置。」

2.原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1?6に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明及び引用文献2?5に記載された周知技術に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

引用文献1:特開2009-232623号公報
引用文献2:特開2011-176911号公報
引用文献3:特開2012-54223号公報
引用文献4:特開2011-249174号公報
引用文献5:特開2006-41043号公報

3.引用文献の記載事項
(1)引用文献1
ア.原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。 (下線は当審で付与した。以下同様。)
(ア)「【請求項1】
半導体発光素子を点灯させる直流出力を生成する直流出力生成手段と;
調光深度の異なる調光信号を発生し、前記半導体発光素子の光量を調整する調光手段と;
前記半導体発光素子に流れる電流を一定に制御する定電流制御手段と;
前記半導体発光素子に印加される負荷電圧を一定に制御する定電圧制御手段と;
前記調光手段による調光信号の調光深度に応じて前記定電流制御手段による定電流制御及び前記定電圧制御手段による定電圧制御を切り替える制御手段と;
を具備したことを特徴とする電源装置。」

(イ)「【0001】
本発明は、例えば発光ダイオードなどの半導体発光素子の駆動に最適な調光機能を有する電源装置及び照明器具に関するものである。」

(ウ)「【0031】
基準信号出力部36は、調光操作部39の調光信号kによる調光深度k1?k7(ここでは、調光深度k1が最も浅く、調光深度k7に向かうほど深い)に応じて図4に示すような基準信号Vref1及び基準信号Vref2を出力する。この場合、基準信号Vref1は、全光時の最大電流に相当する信号値から調光深度が最も深い時の最小電流に相当する信号値まで変化する。また、基準信号Vref2は、全光時の最大電流時の負荷電圧に相当する信号値から調光深度が最も深い時の最小電流に相当する信号値まで変化する。この場合、電流が全く流れなくなる消灯状態に移行した時点でも発光ダイオードのオン電圧が残るために、基準信号Vref2はゼロとならない。つまり、この場合、図6に示すように発光ダイオードのV-I特性Aに対して電流制御レンジB及び電圧制御レンジCがそれぞれ得られるようにしている。
【0032】
制御回路30は、基準信号Vref1、Vref2に応じた比較器34、35の出力によりスイッチングトランジスタ15のオンオフ動作を制御し、整流平滑回路18より発光ダイオード19?21に供給される出力を制御する。これにより、電源装置として、図5に示すように調光信号kの調光深度k1、k2、…k7に応じて異なる負荷特性を得られる。この場合、調光深度k1、k2、…k7に対応するそれぞれの負荷特性は、電圧Vfの変化に対し電流Ifが一定で、電圧Vfが所定電圧に達すると電圧Vfを一定にする。また、調光深度k1、k2、…k7に対応する負荷特性は、発光ダイオード19?21のV-I特性Aとの関係が、図5のようにも設定されている。この場合、調光深度k1?k4に対応する負荷特性とV-I特性Aとの交点の動作点a1?a4は電流モードの制御となり、調光深度k5に対応する負荷特性とV-I特性Aとの交点の動作点a5は臨界点、調光深度k6、k7に対応する負荷特性とV-I特性Aとの交点の動作点a6、a7は電圧モードの制御となる。」

(エ)「【0039】
したがって、このようにすれば、調光信号kの調光深度k1、k2、…k7に応じて全光時の最大電流に相当する信号値から調光深度が最も深い時の最小電流に相当する信号値まで変化する基準信号Vref1、全光時の最大電流時の負荷電圧に相当する信号値から調光深度が最も深い時の最小電流に相当する信号値まで変化する基準信号Vref2を用意し、調光深度が浅い全光に近い領域では、基準信号Vref1を選択して電流制御モードにより発光ダイオード19?21を定電流制御し、調光深度が深い領域では基準信号Vref2を選択して電圧制御モードにより発光ダイオード19?21を定電圧制御するようにした。このようにすれば調光信号kの調光深度k1、k2、…k7に応じて定電流制御と定電圧制御をスムーズに切り替えることができるので、調光深度の浅い領域から深い領域までの広い範囲の調光制御を安定して行うことができる。・・・」

イ.上記記載事項及び図面から引用文献1には、次の技術的事項が記載されているものと認められる。
記載事項(ア)における制御手段は、調光深度k1?k7(ここでは、調光深度k1が最も浅く、調光深度k7に向かうほど深い)のうち、臨界点である調光深度k5より調光深度が浅い領域である調光深度k1?k4では定電流制御手段による定電流制御を行い、臨界点である調光深度k5より調光深度が深い領域である調光深度k6?k7では定電圧制御手段による定電圧制御に切り替えて制御を行うものといえる。

ウ.上記ア.イ.から、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「半導体発光素子を点灯させる直流出力を生成する直流出力生成手段と;
調光深度の異なる調光信号を発生し、前記半導体発光素子の光量を調整する調光手段と;
前記半導体発光素子に流れる電流を一定に制御する定電流制御手段と;
前記半導体発光素子に印加される負荷電圧を一定に制御する定電圧制御手段と;
前記調光手段による調光信号の調光深度に応じて、前記定電流制御手段による定電流制御及び前記定電圧制御手段による定電圧制御を切り替えるものであって、調光深度k1?k7(ここでは、調光深度k1が最も浅く、調光深度k7に向かうほど深い)のうち、臨界点である調光深度k5より調光深度が浅い領域である調光深度k1?k4では前記定電流制御手段による定電流制御を行い、臨界点である調光深度k5より調光深度が深い領域である調光深度k6?k7では前記定電圧制御手段による定電圧制御に切り替えて制御を行う制御手段と;
を具備した電源装置」

4.対比 ・判断
(1)本願発明1について
ア.引用発明との対比
(ア)本願発明1と引用発明とを対比する。
後者の「半導体発光素子」は前者の「発光素子」に相当するから、後者の「半導体発光素子を点灯させる直流出力を生成する直流出力生成手段」は前者の「発光素子を点灯させる直流出力を生成する直流出力生成手段」に相当する。
後者の「調光深度の異なる調光信号を発生し、前記半導体発光素子の光量を調整する調光手段」は前者の「調光手段」に相当する。
後者の「前記半導体発光素子に流れる電流を一定に制御する定電流制御手段」は前者の「発光素子に流れる電流を一定に制御する定電流制御手段」に相当する。
前者の「発光素子に印加される負荷電圧および発光素子に投入される負荷電力のいずれか一方」は、「発光素子に印加される負荷電圧」であることを含むから、後者の「前記半導体発光素子に印加される負荷電圧を一定に制御する定電圧制御手段」は前者の「発光素子に印加される負荷電圧および発光素子に投入される負荷電力のいずれか一方を一定に制御する負荷制御手段」に相当する。
後者の「調光深度k1?k7(ここでは、調光深度k1が最も浅く、調光深度k7に向かうほど深い)」は、該k1?k7の調光深度はユーザーの要望を受けてメーカーが任意に設定できるものであるから、前者の「任意の調光度」に相当し、後者の「臨界点である調光深度k5」は前者の「予め設定された調光度」に相当し、後者の「臨界点である調光深度k5より調光深度が浅い領域である調光深度k1?k4」及び「臨界点である調光深度k5より調光深度が深い領域である調光深度k6?k7」は前者の「予め設定された調光度よりも浅い調光度領域」及び「予め設定された調光度よりも深い調光度領域」に相当する。そうすると、後者の「前記調光手段による調光信号の調光深度に応じて、前記定電流制御手段による定電流制御及び前記定電圧制御手段による定電圧制御を切り替えるものであって、調光深度k1?k7(ここでは、調光深度k1が最も浅く、調光深度k7に向かうほど深い)のうち、臨界点である調光深度k5より調光深度が浅い領域である調光深度k1?k4では前記定電流制御手段による定電流制御を行い、臨界点である調光深度k5より調光深度が深い領域である調光深度k6?k7では前記定電圧制御手段による定電圧制御に切り替えて制御を行う制御手段」と、前者の「調光手段から任意の調光度の調光信号を入力し、予め設定された調光度よりも浅い調光度領域では定電流制御手段によって定電流制御するとともに、予め設定された調光度よりも深い調光度領域では負荷制御手段によって定電圧制御および定電力制御のいずれか一方で制御するものであって、予め設定された調光度よりも浅い調光度領域で定電流制御している発光素子の点灯状態において発光素子の消灯に相当する最も深い調光度の調光信号を入力したときには、定電流制御と定電圧制御および定電力制御のいずれか一方とによって直前の調光度から発光素子の光出力を徐々に低下させて発光素子を消灯させる制御手段」とは、「調光手段から任意の調光度の調光信号を入力し、予め設定された調光度よりも浅い調光度領域では定電流制御手段によって定電流制御するとともに、予め設定された調光度よりも深い調光度領域では負荷制御手段によって定電圧制御および定電力制御のいずれか一方で制御する」「制御手段」の限度で共通する。
後者の「電源装置」は前者の「電源装置」に相当する。

(イ)以上のことから、本願発明1と引用発明との一致点及び相違点は次のとおりのものである。

【一致点】
「発光素子を点灯させる直流出力を生成する直流出力生成手段と;
発光素子に流れる電流を一定に制御する定電流制御手段と;
発光素子に印加される負荷電圧および発光素子に投入される負荷電力のいずれか一方をを一定に制御する負荷制御手段と;
調光手段から任意の調光度の調光信号を入力し、予め設定された調光度よりも浅い調光度領域では定電流制御手段によって定電流制御するとともに、予め設定された調光度よりも深い調光度領域では負荷制御手段によって定電圧制御および定電力制御のいずれか一方で制御する制御手段と;
を具備している電源装置。」

【相違点】
「制御手段」に関し、
本願発明1は、「予め設定された調光度よりも浅い調光度領域で定電流制御している発光素子の点灯状態において発光素子の消灯に相当する最も深い調光度の調光信号を入力したときには、定電流制御と定電圧制御および定電力制御のいずれか一方とによって直前の調光度から発光素子の光出力を徐々に低下させて発光素子を消灯させる」構成であるのに対し、
引用発明は、かかる構成が特定されていない点。

イ.判断
以下、相違点について検討する。
引用発明は、「調光深度k1?k7(ここでは、調光深度k1が最も浅く、調光深度k7に向かうほど深い)」を有するところ、具体的なk1?k7の調光深度は、ユーザーの要望を受けてメーカーが任意に設定できるものであるから、最も深い(最も暗い)「調光深度k7」を消灯に相当する調光深度に設定することには、格別な困難性はない。
また、調光機能付きの照明装置の電源装置において、急激な照度変化の予防等の視覚的効果を得るために、発光素子の点灯状態において入力電源のオフ時には、発光素子の光出力を徐々に低下させて発光素子を消灯させることは、例えば、引用文献2(特に、段落【0059】?【0060】、【図4】、【図6】を参照。)、引用文献3(特に、段落【0070】を参照。)及び引用文献5(段落【0041】?段落【0044】、【図5】(c)を参照。)に記載されているように従来周知の技術であり、調光機能付きの照明装置の電源装置である引用発明の「調光手段」の「調光深度k7」が消灯に相当する調光深度に設定された際には、当該周知技術を適用することは想起し得ることである。
そして、引用発明の「制御手段」は「臨界点である調光深度k5より調光深度が浅い領域である調光深度k1?k4では前記定電流制御手段による定電流制御を行い、臨界点である調光深度k5より調光深度が深い領域である調光深度k6?k7では前記定電圧制御手段による定電圧制御に切り替えて制御を行う」仕様であるところ、既存の制御手段の構成を活かして新たな機能を付加することは、当業者の通常の創作能力の発揮であるから、当該「制御手段」の仕様をそのままにして、引用発明の調光深度k7を上述したように消灯に相当する調光深度に設定した上で記周知技術を適用すれば、引用発明の「制御手段」は、上記仕様に則して、臨界点である調光深度k5より調光深度が浅い領域で定電流制御している半導体発光素子の点灯状態において半導体発光素子の消灯に相当する最も深い調光深度k7の調光信号を入力したときには、調光深度が浅い領域では定電流制御手段による定電流制御を行い、臨界点である調光深度k5より調光深度が深い領域では定電圧制御手段による定電圧制御に切り替えて直前の調光度から半導体発光素子の光出力を徐々に低下させて半導体発光素子を消灯させる構成となり、本願発明1の上記相違点に係る「予め設定された調光度よりも浅い調光度領域で定電流制御している発光素子の点灯状態において発光素子の消灯に相当する最も深い調光度の調光信号を入力したときには、定電流制御と定電圧制御および定電力制御のいずれか一方とによって直前の調光度から発光素子の光出力を徐々に低下させて発光素子を消灯させる」構成を充足するものとなる。
よって、相違点に係る本願発明1の構成は、引用発明及び周知技術に基いて当業者が容易に想到しうるものといえる。
また、本願発明1の作用効果も引用発明及び周知技術から予測可能なものであって、格別顕著なものとはいえない。
したがって、本願発明1は、引用発明、周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(1)本願発明4について
ア.引用発明との対比
(ア)本願発明4と引用発明とを対比する。
後者の「半導体発光素子」は前者の「発光素子」に相当するから、後者の「半導体発光素子を点灯させる直流出力を生成する直流出力生成手段」は前者の「発光素子を点灯させる直流出力を生成する直流出力生成手段」に相当する。
後者の「調光深度の異なる調光信号を発生し、前記半導体発光素子の光量を調整する調光手段」は前者の「調光手段」に相当する。
後者の「前記半導体発光素子に流れる電流を一定に制御する定電流制御手段」は前者の「発光素子に流れる電流を一定に制御する定電流制御手段」に相当する。
前者の「発光素子に印加される負荷電圧および発光素子に投入される負荷電力のいずれか一方」は、「発光素子に印加される負荷電圧」であることを含むから、後者の「前記半導体発光素子に印加される負荷電圧を一定に制御する定電圧制御手段」は前者の「発光素子に印加される負荷電圧および発光素子に投入される負荷電力のいずれか一方を一定に制御する負荷制御手段」に相当する。
後者の「調光深度k1?k7(ここでは、調光深度k1が最も浅く、調光深度k7に向かうほど深い)」は、該k1?k7の調光深度はユーザーの要望を受けてメーカーが任意に設定できるものであるから、前者の「任意の調光度」に相当し、後者の「臨界点である調光深度k5」は前者の「予め設定された調光度」に相当し、後者の「臨界点である調光深度k5より調光深度が浅い領域である調光深度k1?k4」及び「臨界点である調光深度k5より調光深度が深い領域である調光深度k6?k7」は前者の「予め設定された調光度よりも浅い調光度領域」及び「予め設定された調光度よりも深い調光度領域」に相当する。そうすると、後者の「前記調光手段による調光信号の調光深度に応じて、前記定電流制御手段による定電流制御及び前記定電圧制御手段による定電圧制御を切り替えるものであって、調光深度k1?k7(ここでは、調光深度k1が最も浅く、調光深度k7に向かうほど深い)のうち、臨界点である調光深度k5より調光深度が浅い領域である調光深度k1?k4では前記定電流制御手段による定電流制御を行い、臨界点である調光深度k5より調光深度が深い領域である調光深度k6?k7では前記定電圧制御手段による定電圧制御に切り替えて制御を行う制御手段」と、前者の「調光手段から任意の調光度の調光信号を入力し、予め設定された調光度よりも浅い調光度領域では定電流制御手段によって定電流制御するとともに、予め設定された調光度よりも深い調光度領域では負荷制御手段によって定電圧制御および定電力制御のいずれか一方で制御するものであって、予め設定された調光度よりも浅い調光度領域で定電流制御している発光素子の点灯状態において入力電源のオフ時には、定電流制御と定電圧制御および定電力制御のいずれか一方とによって直前の調光度から発光素子の光出力を徐々に低下させて発光素子を消灯させる制御手段」とは、「調光手段から任意の調光度の調光信号を入力し、予め設定された調光度よりも浅い調光度領域では定電流制御手段によって定電流制御するとともに、予め設定された調光度よりも深い調光度領域では負荷制御手段によって定電圧制御および定電力制御のいずれか一方で制御する」「制御手段」の限度で共通する。
後者の「電源装置」は前者の「電源装置」に相当する。

(イ)以上のことから、本願発明4と引用発明との一致点及び相違点は次のとおりのものである。

【一致点】
「発光素子を点灯させる直流出力を生成する直流出力生成手段と;
発光素子に流れる電流を一定に制御する定電流制御手段と;
発光素子に印加される負荷電圧および発光素子に投入される負荷電力のいずれか一方をを一定に制御する負荷制御手段と;
調光手段から任意の調光度の調光信号を入力し、予め設定された調光度よりも浅い調光度領域では定電流制御手段によって定電流制御するとともに、予め設定された調光度よりも深い調光度領域では負荷制御手段によって定電圧制御および定電力制御のいずれか一方で制御する制御手段と;
を具備している電源装置。」

【相違点】
「制御手段」に関し、
本願発明4は、「予め設定された調光度よりも浅い調光度領域で定電流制御している発光素子の点灯状態において入力電源のオフ時には、定電流制御と定電圧制御および定電力制御のいずれか一方とによって直前の調光度から発光素子の光出力を徐々に低下させて発光素子を消灯させる」構成であるのに対し、
引用発明は、かかる構成が特定されていない点。

イ.判断
以下、相違点について検討する。
調光機能付きの照明装置の電源装置において、急激な照度変化の予防等の視覚的効果を得るために、発光素子の点灯状態において入力電源のオフ時には、発光素子の光出力を徐々に低下させて発光素子を消灯させることは、例えば、引用文献2(特に、段落【0059】?【0060】、【図4】、【図6】を参照。)、引用文献3(特に、段落【0070】を参照。)及び引用文献5(段落【0041】?段落【0044】、【図5】(c)を参照。)に記載されているように従来周知の技術であるところ、調光機能付きの照明装置の電源装置である引用発明に当該周知技術を適用することは想起し得ることである。
そして、引用発明の「制御手段」は「臨界点である調光深度k5より調光深度が浅い領域である調光深度k1?k4では前記定電流制御手段による定電流制御を行い、臨界点である調光深度k5より調光深度が深い領域である調光深度k6?k7では前記定電圧制御手段による定電圧制御に切り替えて制御を行う」仕様であるところ、既存の制御手段の構成を活かして新たな機能を付加することは、当業者の通常の創作能力の発揮であるから、当該「制御手段」の仕様をそのままにして、引用発明に上記周知技術を適用すれば、引用発明の「制御手段」は、上記仕様に則して、臨界点である調光深度k5より調光深度が浅い領域で定電流制御している半導体発光素子の点灯状態において入力電源のオフ時には、調光深度が浅い領域では定電流制御手段による定電流制御を行い、臨界点である調光深度k5より調光深度が深い領域では定電圧制御手段による定電圧制御に切り替えて直前の調光度から半導体発光素子の光出力を徐々に低下させて半導体発光素子を消灯させる構成となり、本願発明4の上記相違点に係る「予め設定された調光度よりも浅い調光度領域で定電流制御している発光素子の点灯状態において入力電源のオフ時には、定電流制御と定電圧制御および定電力制御のいずれか一方とによって直前の調光度から発光素子の光出力を徐々に低下させて発光素子を消灯させる」構成を充足するものとなる。
よって、相違点に係る本願発明4の構成は、引用発明及び周知技術に基いて当業者が容易に想到しうるものといえる。
また、本願発明4の作用効果も引用発明及び周知技術から予測可能なものであって、格別顕著なものとはいえない。
したがって、本願発明4は、引用発明、周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

第5.むすび
以上のとおり、本願発明1及び4は、引用発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、その余の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2018-03-26 
結審通知日 2018-03-28 
審決日 2018-04-10 
出願番号 特願2012-238232(P2012-238232)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H05B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 杉浦 貴之  
特許庁審判長 和田 雄二
特許庁審判官 島田 信一
尾崎 和寛
発明の名称 電源装置および照明装置  
代理人 山田 哲也  
代理人 樺澤 襄  
代理人 樺澤 聡  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ