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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1340732
審判番号 不服2017-11021  
総通号数 223 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-07-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-07-25 
確定日 2018-05-24 
事件の表示 特願2015- 24014号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 7月16日出願公開、特開2015-128609号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は,平成17年11月8日に出願した特願2005-324034号の一部を平成22年7月28日に新たな特許出願である特願2010-169727号とし,さらにその一部を平成23年3月16日に新たな特許出願である特願2011-057794号とし,さらにその一部を平成27年2月10日に新たな特許出願である特願2015-24014号としたものであって,その手続の経緯は以下の通りである。

平成28年2月23日付け :拒絶理由通知書
平成28年4月26日 :意見書,手続補正書の提出
平成28年10月11日付け:拒絶理由(最後の拒絶理由)通知書
平成28年12月13日 :意見書,手続補正書の提出
平成29年5月19日付け :平成28年12月13日の手続補正
についての補正の却下の決定,拒絶査定
(発送日:平成29年6月6日)
平成29年7月25日 :審判請求書,手続補正書の提出


第2 平成29年7月25日の手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成29年7月25日の手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 本件補正の概要
本件補正は特許請求の範囲の請求項1の記載を含む補正であり,平成28年4月26日の手続補正と本件補正の特許請求の範囲の請求項1の記載はそれぞれ,以下のとおりである(下線部は補正箇所を示す。)。

(本件補正前である平成28年4月26日の手続補正)
「【請求項1】
所定の確率により大当り状態に遷移させる大当り抽選手段を含み,所定の抽選により該大当り状態が終了した後も一定期間前記所定の確率よりも高い確率で大当り状態に遷移させる確率変動状態とする主制御手段と,所定の演出態様により演出制御対象を制御する副制御手段と,所定の演出態様により演出図柄の変動表示を制御する表示制御手段と,前記演出図柄の変動表示を行なう表示手段とを備えた遊技機であって,
前記主制御手段は,前記所定の抽選の結果に応じてグループ化した前記演出図柄を指定するグループ化コマンドを前記副制御手段に送信し,
前記副制御手段は,前記主制御手段から前記グループ化コマンドを受信したときは,該受信した前記グループ化コマンドが前記確率変動状態への移行を示唆するコマンド群に含まれるか否かを判定し,前記確率変動状態への移行を示唆するコマンド群に含まれると判定したときは,前記確率変動状態用の前記演出図柄を所定の選択比率に基づいて選択して,該選択した前記演出図柄を前記表示手段に表示するための演出図柄指定コマンドを前記表示制御手段に送信することを特徴とする遊技機。」

(本件補正である平成29年7月25日の手続補正)
「【請求項1】
所定の確率により大当り状態に遷移させる大当り抽選手段を含み,所定の抽選により該大当り状態が終了した後も一定期間前記所定の確率よりも高い確率で大当り状態に遷移させる確率変動状態とする主制御手段と,所定の演出態様により演出制御対象を制御する副制御手段と,所定の演出態様により演出図柄の変動表示を制御する表示制御手段と,前記演出図柄の変動表示を行なう表示手段とを備えた遊技機であって,
前記主制御手段は,前記所定の抽選の結果に応じてグループ化した前記演出図柄を指定するグループ化コマンドを前記副制御手段に送信し,
前記副制御手段は,前記主制御手段から前記グループ化コマンドを受信したときは,該受信した前記グループ化コマンドが前記確率変動状態への移行を示唆するコマンド群に含まれるか否かを判定し,前記確率変動状態への移行を示唆するコマンド群に含まれると判定したときは,前記確率変動状態用の前記演出図柄を所定の選択比率に基づいて選択して,該選択した前記演出図柄を前記表示手段に表示するための演出図柄指定コマンドを前記表示制御手段に送信し,前記表示制御手段によって表示される前記確率変動状態用の前記演出図柄は,非確率変動状態用の演出図柄と同一の形態である場合を含み,当該場合には,前記グループ化コマンドは,前記確率変動状態への移行を示唆するコマンド群に含まれる場合と含まれない場合とで異なるデータであり,前記演出図柄指定コマンドは,前記確率変動状態へ移行する場合と移行しない場合であっても同一のデータであることを特徴とする遊技機。」

2 補正の適否
(1)補正事項
本件補正は,補正前の請求項1について,以下に挙げる補正事項を含むものである。

ア 補正前の請求項1に記載された発明特定事項に加えて,「前記表示制御手段によって表示される前記確率変動状態用の前記演出図柄は,非確率変動状態用の演出図柄と同一の形態である場合を含み,当該場合には,前記グループ化コマンドは,前記確率変動状態への移行を示唆するコマンド群に含まれる場合と含まれない場合とで異なるデータであり,前記演出図柄指定コマンドは,前記確率変動状態へ移行する場合と移行しない場合であっても同一のデータである」との記載を追加する補正。

(2)補正の目的等についての検討
ア 上記補正事項アは補正前の発明特定事項である「前記表示制御手段」によって「表示」される「前記確率変動状態用の前記演出図柄」に関し,「非確率変動状態用の演出図柄と同一の形態である場合を含」むと限定する補正であり,さらに,そのような場合において「グループ化コマンド」は「前記確率変動状態への移行を示唆するコマンド群に含まれる場合と含まれない場合とで異なるデータであ」るとともに,「演出図柄指定コマンド」は「前記確率変動状態へ移行する場合と移行しない場合であっても同一のデータである」と限定する補正である。
また,本件補正後の請求項1に記載された発明は,補正前の請求項1に記載された発明と,産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので,特許法第17条の2第5項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

そして,本件補正は,本願の願書に最初に添付した特許請求の範囲,明細書及び図面(以下,「当初明細書等」という。)の段落【0087】?【0089】,【図7】の記載に基づくものであるから,新規事項を追加するものではない。

3 独立特許要件
そこで,本件補正後の請求項1に記載された発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か,すなわち,特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか否か,について以下に検討する。

(1)本件補正後の請求項1に係る発明
本件補正後の請求項1に係る発明(以下,「本願補正発明」という。)は,上記「1.本件補正の概要」に本件補正である請求項1として記載したとおりのものである(A?Eは,本願補正発明を分説するために当審で付した。)。

「【請求項1】
A 所定の確率により大当り状態に遷移させる大当り抽選手段を含み,所定の抽選により該大当り状態が終了した後も一定期間前記所定の確率よりも高い確率で大当り状態に遷移させる確率変動状態とする主制御手段と,所定の演出態様により演出制御対象を制御する副制御手段と,所定の演出態様により演出図柄の変動表示を制御する表示制御手段と,前記演出図柄の変動表示を行なう表示手段とを備えた遊技機であって,
B 前記主制御手段は,前記所定の抽選の結果に応じてグループ化した前記演出図柄を指定するグループ化コマンドを前記副制御手段に送信し,
C 前記副制御手段は,前記主制御手段から前記グループ化コマンドを受信したときは,該受信した前記グループ化コマンドが前記確率変動状態への移行を示唆するコマンド群に含まれるか否かを判定し,前記確率変動状態への移行を示唆するコマンド群に含まれると判定したときは,前記確率変動状態用の前記演出図柄を所定の選択比率に基づいて選択して,該選択した前記演出図柄を前記表示手段に表示するための演出図柄指定コマンドを前記表示制御手段に送信し,
D 前記表示制御手段によって表示される前記確率変動状態用の前記演出図柄は,非確率変動状態用の演出図柄と同一の形態である場合を含み,当該場合には,前記グループ化コマンドは,前記確率変動状態への移行を示唆するコマンド群に含まれる場合と含まれない場合とで異なるデータであり,前記演出図柄指定コマンドは,前記確率変動状態へ移行する場合と移行しない場合であっても同一のデータであることを特徴とする
E 遊技機。」

(2)引用文献1に記載された事項
原査定の平成28年10月11日付け拒絶理由に引用された本願の遡及日前に頒布された刊行物である特開2003-340060号公報(以下,「引用文献1」という。)には,図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。

(ア)「【0013】このパチンコ遊技機1の遊技部は,前面扉2の上部ガラスの内側に遊技盤3を配置し,その盤面上に各種入賞領域を配設して構成されている。遊技盤3のほぼ中央には,遊技に必要な図柄(以下「特別図柄」という。)の変動表示及び遊技に関連した演出表示を行う表示手段としての液晶表示装置(以下「LCD」という。)4が配置されている。遊技盤3に配置される各部の詳細については図2を参照して後で説明する。」

(イ)「【0016】また,大当りとなる停止態様(以下「大当り停止態様」という。)を構成する特別図柄(以下「当り停止図柄」という。)が特定の特別図柄(以下「特定当り停止図柄」という。)であるときは,更に有利な「確変大当り」となる。「確変大当り」となった場合は,「大当り遊技状態」が終了した後の一般遊技状態が,大当りの発生確率が高い状態となる。本実施例では,“0”から“11”までの12種類の特別図柄を設定し,そのうちの“1”,“3”,“5”,“7”,“9”,“11”の6種類の特別図柄を「特定当り停止図柄」とし,“0”,“2”,“4”,“6”,“8”,“10”の6種類の特別図柄を「通常当り停止図柄」とする。なお,通常当り停止図柄によって大当り停止態様が表示された場合は,「確変大当り」ではなく,通常の「大当り」となる。」

(ウ)「【0031】主制御回路30は,所定の信号入力に応じてLCD4の表示に関する制御指令(以下「コマンド」という。)を出す。具体的には,主制御回路30は,始動入賞球センサ6Sからの入力信号が検知されたとき加算処理を行う始動記憶数カウンタ101と,LCD4で行われる図柄変動の停止結果を大当りとするか否かを判定する大当り判定手段102と,図柄変動の停止結果が外れのときにリ-チを発生させるか否かを判定するリ-チ判定手段103と,図柄変動の停止結果が大当りのときに停止図柄を特定当り停止図柄及び通常当り停止図柄のいずれにするかを選択する停止図柄種別選択手段104と,特別図柄の変動態様及び演出の表示内容(以下,まとめて「変動パターン」という。)を選択する変動パターン選択手段105と,上記の判定結果及び選択結果に応じたコマンドを生成するコマンド生成手段106と,生成されたコマンドを副制御回路40に向けて送信するコマンド送信手段107とを含み構成される。
【0032】副制御回路40は,主制御回路30から出されたコマンドに基づいてLCD4の表示制御を行う。具体的には,主制御回路から送られたコマンドを受信するコマンド受信手段201と,受信したコマンドに基づきLCD4で行われる図柄変動が停止したときの停止図柄を選択する停止図柄選択手段202と,その選択された停止図柄とコマンドに基づきLCD4の表示制御を行う表示制御手段203とを含み構成される。」

(エ)「【0036】パチンコ遊技機1の遊技動作は,一つの回路基板上に配置された主制御回路30により制御される。主制御回路30は,演算処理装置としてのCPU(以下「メインCPU」という。)31,読み出し専用の記憶手段としてのROM(以下「メインROM」という。)32,及び読み書き可能な記憶手段としてのRAM(以下「メインRAM」という。)33を主たる構成要素として構成される。メインRAM33としては,ダイナミック型メモリ(DRAM)が用いられる。主制御回路30に接続された各種センサからの入力信号は,この主制御回路30内のメインCPU31に入力され,メインCPU31は,入力信号に応じた処理をメインROM32に格納されている制御プログラムに従って実行する。」

(オ)「【0040】また,パチンコ遊技機1は,主制御回路30とは別の一つの回路基板上に配置された副制御回路40を備える。副制御回路40は,主制御回路30と同様に,CPU(以下「サブCPU」という。)41,ROM(以下「プログラムROM」という。)42,及びRAM(以下「ワークRAM」という。)43を主たる構成要素として構成される。
【0041】副制御回路40では,上述の通り,主制御回路30から送信されたコマンドに基づいた停止図柄の選択が行われ,その選択された停止図柄と主制御回路30からコマンドに基づいてLCD4での図柄変動や演出アニメーションの表示制御が行われる。また,副制御回路40では,LCD4の表示制御のほか,主制御回路30から送信されるコマンドに基づいたスピーカ25からの音声出力制御と前面扉2及び遊技盤3に配置される枠LED,盤面上LED等の発光体(ランプ26と総称する。)の動作制御についても行う。主制御回路30から送信されるコマンドを実行する具体的手段として,副制御回路40は,LCD4を制御するための図柄制御部45,スピーカ25を制御するための音声制御部46,及びランプ26を制御するためのランプ制御部47を備える。」

(カ)「【0080】次に,メインCPU31は「コマンド送信処理」を行う(ST19)。このコマンド送信処理では,メインRAM33の送信データ記憶領域に格納されている各種コマンド等の送信データをその指定された送信先に出力する処理を行う(ST19)。例えば,後述のST35又はST41(図21)でメインRAM33の送信データ記憶領域に格納された変動パターン指定コマンド等の各種コマンドを副制御回路40に向けて送信する。」

(キ)「【0088】次に,メインCPU31は,メインRAM33の当り停止図柄種別選択用乱数値記憶領域102(図20)における“変動中”(始動記憶数0)の記憶領域に格納されている乱数値を読み出し,この乱数値(当り停止図柄種別選択用乱数値)を,上記の図7に示した「当り停止図柄種別選択テーブル」に設定されている数値範囲と照合し,当該乱数値が“1”,“3”,“5”,“7”,“9”,“11”のいずれかであれば,停止図柄として特定当り停止図柄を選択し,当り停止当該乱数が“0”,“2”,“4”,“6”,“8”,“10”のいずれかであれば,停止図柄として通常当り停止図柄を選択する(ST36)。
【0089】続いて,メインCPU31は,ST36で選択された当り停止図柄種別(特定当り停止図柄又は通常当り停止図柄)に基づいて,停止図柄の種別(ここでは,特定当り又は通常当り)を指定した停止図柄種別指定コマンドをメインRAM33の送信データ記憶領域に格納する(ST37)。このST37の処理で格納される停止図柄種別指定コマンドは,通常当りを指定した「21H」又は特定当りを指定した「22H」のいずれかのコマンドデータで構成される。」

(ク)「【0111】初めに,サブCPU41は,主制御回路30から受信したコマンドが「外れ」が指定された停止図柄種別指定コマンドかどうか,すなわち上記ST62の処理で受信コマンド記憶領域に格納されたコマンドデータが20Hかどうかを判別する。そのコマンドデータが20Hのとき,すなわち主制御回路30から受信したコマンドが「外れ」が指定された停止図柄種別指定コマンドであるときは(ST81で“YES”),ST85の処理に移り,コマンドデータが21H又は22Hのとき,すなわち主制御回路30から受信したコマンドが「通常当り」又は「特定当り」が指定された停止図柄種別指定コマンドであるときは(ST81で“NO”),ST82の処理に移る。
【0112】ST82の処理では,主制御回路30から受信したコマンドが「特定当り」が指定された停止図柄種別指定コマンドかどうか,すなわち上記ST62の処理で受信コマンド記憶領域に格納されたコマンドデータが22Hかどうかを判別する。ここで“YES”のときは,ST83の処理に移り,“NO”のときはST84の処理に移る。
【0113】ST83の処理では,サブCPU41は,サブ更新乱数記憶領域に格納されている停止図柄決定用乱数値を読み出して,当該乱数値を,プログラムROM42に格納されている特定当り停止図柄決定テーブル(図15)に設定された数値と照合し,特定当りを示す停止図柄の種類を決定する。そして,その停止図柄を表示する表示制御プログラムを作成し,当該プログラムをワークRAM43の所定領域にセットする。
【0114】ST84の処理では,サブCPU41は,サブ更新乱数記憶領域に格納されている停止図柄決定用乱数値を読み出して,当該乱数値を,プログラムROM42に格納されている通常当り停止図柄決定テーブル(図14)に設定された数値と照合し,通常当りを示す停止図柄の種類を決定する。そして,その停止図柄を表示する表示制御プログラムを作成し,当該プログラムをワークRAM43の所定領域にセットする。」

(ケ)「【0119】初めに,サブCPU41は,「データ出力処理」を行う(ST91)。このデータ出力処理では,サブCPU41は,上記の表示管理処理(図24)又は停止図柄決定処理(図25)においてワークRAM43にセットされた表示制御プログラム,ランプ動作制御プログラム及び音声出力制御プログラムのそれぞれを参照し,各制御プログラムのシーケンスアドレス順に実行コマンドを読み出し,各制御部に出力する。表示制御プログラムから読み出した実行コマンドは図柄制御部45に送られ,音声出力制御プログラムから読み出した実行コマンドは音声制御部46に送られ,ランプ動作制御プログラムから読み出した実行コマンドはランプ制御部47に送られる。
【0120】次に,サブCPU41は,図柄制御部45のVDP51を制御して「特別図柄表示処理」を行う(ST92)。特別図柄表示処理では,VDP51は,上記ST91の処理で表示制御プログラムから読み出した実行コマンドに応じて,特別図柄の表示に必要な画像データを画像データROM54から読み出し,読み出した画像データをLCD4に表示させる。」

(コ)【図14】には通常当り停止図柄決定テーブルにより,通常当り停止図柄として,2,4,6,8,10,12のいずれかを選択しうることが図示され,【図15】には特定当り停止図柄決定テーブルにより,特定当り停止図柄として,1,3,5,7,9,11のいずれかを選択しうることが図示されている。

上記記載事項(ア)?(ケ)及び図示事項(コ)より,以下の事項が導かれる。なお,(a)?(e)は本願補正発明の構成A?Eに対応した事項を示している。

(a)上記段落【0031】には「主制御回路30は,・・・LCD4で行われる図柄変動の停止結果を大当りとするか否かを判定する大当り判定手段102と,・・・図柄変動の停止結果が大当りのときに停止図柄を特定当り停止図柄及び通常当り停止図柄のいずれにするかを選択する停止図柄種別選択手段104と,・・・上記の判定結果及び選択結果に応じたコマンドを生成するコマンド生成手段106と,生成されたコマンドを副制御回路40に向けて送信するコマンド送信手段107とを含み・・・」と記載され,上記段落【0032】には「副制御回路40は,主制御回路30から出されたコマンドに基づいてLCD4の表示制御を行う。」と記載され,上記段落【0013】には「・・・特別図柄・・・の変動表示及び遊技に関連した演出表示を行う表示手段としての液晶表示装置(以下「LCD」という。)4」と記載され,上記段落【0016】には「・・・当り停止図柄・・・が・・・特定当り停止図柄・・・であるときは,・・・「確変大当り」となる。「確変大当り」となった場合は,「大当り遊技状態」が終了した後の一般遊技状態が,大当りの発生確率が高い状態となる。」と記載され,上記段落【0013】には「パチンコ遊技機1」が記載されているから,引用文献1には,LCD4で行われる図柄変動の停止結果を大当りとするか否かを判定する大当り判定手段102と,図柄変動の停止結果が大当りのときに停止図柄を特定当り停止図柄及び通常当り停止図柄のいずれにするかを選択する停止図柄種別選択手段104と,上記の判定結果及び選択結果に応じたコマンドを生成するコマンド生成手段106と,生成されたコマンドを副制御回路40に向けて送信するコマンド送信手段107を含む主制御回路30と,
主制御回路30から出されたコマンドに基づいてLCD4の表示制御を行う副制御回路40と,
特別図柄の変動表示及び遊技に関連した演出表示を行う表示手段としての液晶表示装置であるLCD4を備え,
当り停止図柄が特定当り停止図柄であるときは確変大当りとなるがこの場合は「大当り遊技状態」が終了した後の一般遊技状態が,大当りの発生確率が高い状態となるパチンコ遊技機1が記載されているといえる。

また,上記段落【0036】には「主制御回路30は,・・・メインCPU・・・31,・・・を主たる構成要素として構成される。」と記載され,上記段落【0088】には「メインCPU31は,・・・当り停止図柄種別選択用乱数値・・・を,・・・当り停止図柄種別選択テーブル・・・に設定されている数値範囲と照合し,当該乱数値が“1”,“3”,“5”,“7”,“9”,“11”のいずれかであれば,停止図柄として特定当り停止図柄を選択し,当り停止当該乱数が“0”,“2”,“4”,“6”,“8”,“10”のいずれかであれば,停止図柄として通常当り停止図柄を選択する」と記載されているから,引用文献1には,主制御回路30はメインCPU31を含み,メインCPU31は,当り停止図柄種別選択用乱数値を,当り停止図柄種別選択テーブルに設定されている数値範囲と照合し,当該乱数値が“1”,“3”,“5”,“7”,“9”,“11”のいずれかであれば,停止図柄として特定当り停止図柄を選択し,当り停止当該乱数が“0”,“2”,“4”,“6”,“8”,“10”のいずれかであれば,停止図柄として通常当り停止図柄を選択することが記載されている。

さらに,上記段落【0040】には「副制御回路40は,・・・サブCPU・・・41,・・・を主たる構成要素とし」と記載され,上記段落【0041】には「副制御回路40は,LCD4を制御するための図柄制御部45・・・を備える。」と記載されているから,
副制御回路40は,サブCPU41を含むとともに,LCD4を制御するための図柄制御部45を備えることが記載されている。

してみると,引用文献1には,LCD4で行われる図柄変動の停止結果を大当りとするか否かを判定する大当り判定手段102と,図柄変動の停止結果が大当りのときに停止図柄を特定当り停止図柄及び通常当り停止図柄のいずれにするかを選択する停止図柄種別選択手段104と,上記の判定結果及び選択結果に応じたコマンドを生成するコマンド生成手段106と,生成されたコマンドを副制御回路40に向けて送信するコマンド送信手段107を含む主制御回路30と,
主制御回路30から出されたコマンドに基づいてLCD4の表示制御を行う副制御回路40と,
特別図柄の変動表示及び遊技に関連した演出表示を行う表示手段としての液晶表示装置であるLCD4を備え,
当り停止図柄が特定当り停止図柄であるときは確変大当りとなるがこの場合は「大当り遊技状態」が終了した後の一般遊技状態が,大当りの発生確率が高い状態となるパチンコ遊技機1であって,
主制御回路30はメインCPU31を含み,メインCPU31は,当り停止図柄種別選択用乱数値を,当り停止図柄種別選択テーブルに設定されている数値範囲と照合し,当該乱数値が“1”,“3”,“5”,“7”,“9”,“11”のいずれかであれば,停止図柄として特定当り停止図柄を選択し,当り停止当該乱数が“0”,“2”,“4”,“6”,“8”,“10”のいずれかであれば,停止図柄として通常当り停止図柄を選択し,
副制御回路40は,サブCPU41を含むとともに,LCD4を制御するための図柄制御部45を備えることが記載されているといえる。

(b)上記段落【0089】には「メインCPU31は,・・・停止図柄の種別(ここでは,特定当り又は通常当り)を指定した停止図柄種別指定コマンドをメインRAM33の送信データ記憶領域に格納する・・・」と記載され,上記段落【0080】には「メインCPU31は・・・メインRAM33の送信データ記憶領域に格納されている各種コマンド等の送信データをその指定された送信先に出力する処理を行う」と記載されているから,引用文献1には,メインCPU31は,停止図柄の種別(ここでは,特定当り又は通常当り)を指定した停止図柄種別指定コマンドをメインRAM33の送信データ記憶領域に格納する処理と,
メインRAM33の送信データ記憶領域に格納されている各種コマンド等の送信データをその指定された送信先に出力する処理を行うことが記載されているといえる。

(c)上記段落【0111】には「・・・サブCPU41は,・・・主制御回路30から受信したコマンドが「通常当り」又は「特定当り」が指定された停止図柄種別指定コマンドであるときは・・・ST82の処理に移る。」と記載され,上記段落【0112】には「ST82の処理では,主制御回路30から受信したコマンドが「特定当り」が指定された停止図柄種別指定コマンドかどうか,・・・を判別する。ここで“YES”のときは,ST83の処理に移り,“NO”のときはST84の処理に移る。」と記載され,上記段落【0113】には「ST83の処理では,サブCPU41は,・・・停止図柄決定用乱数値を・・・特定当り停止図柄決定テーブル・・・に設定された数値と照合し,特定当りを示す停止図柄の種類を決定する。そして,その停止図柄を表示する表示制御プログラムを作成し,当該プログラムをワークRAM43の所定領域にセットする。」と記載され,上記段落【0114】には「ST84の処理では,サブCPU41は,・・・停止図柄決定用乱数値を・・・通常当り停止図柄決定テーブル・・・に設定された数値と照合し,通常当りを示す停止図柄の種類を決定する。そして,その停止図柄を表示する表示制御プログラムを作成し,当該プログラムをワークRAM43の所定領域にセットする。」と記載されているから,引用文献1には,サブCPU41は,主制御回路30から受信したコマンドが「通常当り」又は「特定当り」が指定された停止図柄種別指定コマンドであるとき,主制御回路30から受信したコマンドが「特定当り」が指定された停止図柄種別指定コマンドかどうかを判別し,
当該判別結果がYESであるときは,停止図柄決定用乱数値を特定当り停止図柄決定テーブルに設定された数値と照合し,特定当りを示す停止図柄の種類を決定し,
上記判別結果がNOであるときは,停止図柄決定用乱数値を通常当り停止図柄決定テーブルに設定された数値と照合し,通常当りを示す停止図柄の種類を決定して,
その停止図柄を表示する表示制御プログラムを作成し,当該プログラムをワークRAM43の所定領域にセットすることが記載されているといえる。

また,上記段落【0119】には「サブCPU41は,・・・ワークRAM43にセットされた表示制御プログラム,・・・を参照し,・・・実行コマンドを読み出し・・・表示制御プログラムから読み出した実行コマンドは図柄制御部45に送られ,・・・」と記載され,上記【0120】には「図柄制御部45の・・・VDP51は,・・・実行コマンドに応じて,特別図柄の表示に必要な画像データを画像データROM54から読み出し,読み出した画像データをLCD4に表示させる。」と記載されているから,引用文献1には,サブCPU41は,ワークRAM43にセットされた表示制御プログラムを参照し,読み出した実行コマンドを図柄制御部45に送る処理を行い,
図柄制御部45のVDP51は,実行コマンドに応じて,特別図柄の表示に必要な画像データを画像データROM54から読み出し,読み出した画像データをLCD4に表示させることが記載されているといえる。

してみると,引用文献1には,サブCPU41は,主制御回路30から受信したコマンドが「通常当り」又は「特定当り」が指定された停止図柄種別指定コマンドであるとき,主制御回路30から受信したコマンドが「特定当り」が指定された停止図柄種別指定コマンドかどうかを判別し,
当該判別結果がYESであるときは,停止図柄決定用乱数値を特定当り停止図柄決定テーブルに設定された数値と照合し,特定当りを示す停止図柄の種類を決定し,
上記判別結果がNOであるときは,停止図柄決定用乱数値を通常当り停止図柄決定テーブルに設定された数値と照合し,通常当りを示す停止図柄の種類を決定して,
その停止図柄を表示する表示制御プログラムを作成し,当該プログラムをワークRAM43の所定領域にセットし,
サブCPU41は,ワークRAM43にセットされた表示制御プログラムを参照し,読み出した実行コマンドを図柄制御部45に送る処理を行い,
図柄制御部45のVDP51は,実行コマンドに応じて,特別図柄の表示に必要な画像データを画像データROM54から読み出し,読み出した画像データをLCD4に表示させることが記載されているといえる。

(d)上記図示事項(コ)のとおり,【図14】には通常当り停止図柄決定テーブルにより,通常当り停止図柄として,2,4,6,8,10,12のいずれかを選択しうることが図示され,【図15】には特定当り停止図柄決定テーブルにより,特定当り停止図柄として,1,3,5,7,9,11のいずれかを選択しうることが図示されているのであるから,引用文献1には,通常当り停止図柄と特定当り停止図柄とは,同一の形態である場合を含まないことが記載されているといえる。

(e)上記(a)で示したとおり,引用文献1の段落【0013】には,パチンコ遊技機1が記載されている。

上記記載事項(ア)?(ケ),図示事項(コ)及び上記の認定事項(a)?(e)から,引用文献1には,次の発明(以下,「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。なお,引用発明1の構成a?eは,それぞれ本願発明の構成A?Eに対応するとともに,引用発明1の構成a1?a3,c1?c2は,それぞれ本願発明の構成A,Cに対応するものである。

「a1 LCD4で行われる図柄変動の停止結果を大当りとするか否かを判定する大当り判定手段102と,図柄変動の停止結果が大当りのときに停止図柄を特定当り停止図柄及び通常当り停止図柄のいずれにするかを選択する停止図柄種別選択手段104と,上記の判定結果及び選択結果に応じたコマンドを生成するコマンド生成手段106と,生成されたコマンドを副制御回路40に向けて送信するコマンド送信手段107を含む主制御回路30と,
主制御回路30から出されたコマンドに基づいてLCD4の表示制御を行う副制御回路40と,
特別図柄の変動表示及び遊技に関連した演出表示を行う表示手段としての液晶表示装置であるLCD4を備え,
当り停止図柄が特定当り停止図柄であるときは確変大当りとなるがこの場合は「大当り遊技状態」が終了した後の一般遊技状態が,大当りの発生確率が高い状態となるパチンコ遊技機1であって,
a2 主制御回路30はメインCPU31を含み,メインCPU31は,当り停止図柄種別選択用乱数値を,当り停止図柄種別選択テーブルに設定されている数値範囲と照合し,当該乱数値が“1”,“3”,“5”,“7”,“9”,“11”のいずれかであれば,停止図柄として特定当り停止図柄を選択し,当り停止当該乱数が“0”,“2”,“4”,“6”,“8”,“10”のいずれかであれば,停止図柄として通常当り停止図柄を選択し,
a3 副制御回路40は,サブCPU41を含むとともに,LCD4を制御するための図柄制御部45を備え,
b メインCPU31は,停止図柄の種別(ここでは,特定当り又は通常当り)を指定した停止図柄種別指定コマンドをメインRAM33の送信データ記憶領域に格納する処理と,
メインRAM33の送信データ記憶領域に格納されている各種コマンド等の送信データをその指定された送信先に出力する処理を行い,
c1 サブCPU41は,主制御回路30から受信したコマンドが「通常当り」又は「特定当り」が指定された停止図柄種別指定コマンドであるとき,主制御回路30から受信したコマンドが「特定当り」が指定された停止図柄種別指定コマンドかどうかを判別し,
当該判別結果がYESであるときは,停止図柄決定用乱数値を特定当り停止図柄決定テーブルに設定された数値と照合し,特定当りを示す停止図柄の種類を決定し,
上記判別結果がNOであるときは,停止図柄決定用乱数値を通常当り停止図柄決定テーブルに設定された数値と照合し,通常当りを示す停止図柄の種類を決定して,
その停止図柄を表示する表示制御プログラムを作成し,当該プログラムをワークRAM43の所定領域にセットし,
c2 サブCPU41は,ワークRAM43にセットされた表示制御プログラムを参照し,読み出した実行コマンドを図柄制御部45に送る処理を行い,
図柄制御部45のVDP51は,実行コマンドに応じて,特別図柄の表示に必要な画像データを画像データROM54から読み出し,読み出した画像データをLCD4に表示させ,
d 通常当り停止図柄と特定当り停止図柄とは,同一の形態である場合を含まない
e パチンコ遊技機1。」

(3)対比
本願補正発明と引用発明1とを対比する。なお,項目(a)?(e)は,本願補正発明の構成A?Eに対応している。

(a)引用発明1の「LCD4で行われる図柄変動の停止結果を大当りとするか否かを判定する大当り判定手段102」は,遊技機の技術分野において図柄変動の停止結果を大当たりとするか否かを所定の確率で決定することは技術常識であることを考えると,本願補正発明の「所定の確率により大当たり状態に遷移させる大当たり抽選手段」に相当するといえる。
また,主制御回路30が含むメインCPUが行う「当り停止図柄種別選択用乱数値を,当り停止図柄種別選択テーブルに設定されている数値範囲と照合し,当該乱数値が“1”,“3”,“5”,“7”,“9”,“11”のいずれかであれば,停止図柄として特定当り停止図柄を選択」することは,「当り停止図柄種別選択用乱数値」という乱数値を,「当り停止図柄種別選択テーブルに設定されている数値範囲と照合」して選択するのであるから,本願補正発明でいう「所定の抽選」を行っているといえる。
そして,引用発明1においては「停止図柄」が「特定当たり停止図柄」であるときは「確変大当り」となり「「大当り遊技状態」が終了した後の一般遊技状態が,大当りの発生確率が高い状態」となるのであるが,このような「大当たりの発生確率が高い状態」は永続するものではなく一定期間で終了することが技術常識であることを考えると,引用発明1の「「大当り遊技状態」が終了した後の一般遊技状態が,大当りの発生確率が高い状態」となることは,本願補正発明の「該大当り状態が終了した後も一定期間前記所定の確率よりも高い確率で大当り状態に遷移させる確率変動状態とする」ことに相当するといえる。
してみると,引用発明1の「主制御回路30」は,本願補正発明の「主制御手段」に相当するといえる。
次に,引用発明1の「LCD4」は「特別図柄の変動表示及び遊技に関連した演出表示を行う表示手段」であるので,引用発明1の「LCD4」は,本願補正発明の「前記演出図柄の変動表示を行う表示手段」及び「演出制御対象」に相当するといえる。そして,引用発明1の「LCD4の表示制御を行う副制御回路40」は,「特別図柄の変動表示及び遊技に関連した演出表示」という所定の演出態様となるよう「LED4」の表示制御を行っているのであるから,本願補正発明の「所定の演出態様により演出制御対象を制御する副制御手段」に相当するといえる。
また,引用発明1の「副制御部40」が備える「図柄制御部45」は,「特別図柄の表示に必要な画像データを画像データROM54から読み出し,読み出した画像データをLCDに表示させ」るものであるので,本願補正発明の「所定の演出態様により演出図柄の変動表示を制御する表示制御手段」に相当するといえる。
そして,引用発明1の「パチンコ遊技機1」は,本願補正発明の「遊技機」に相当する。

してみると,引用発明1の「a1 LCD4で行われる図柄変動の停止結果を大当りとするか否かを判定する大当り判定手段102と,図柄変動の停止結果が大当りのときに停止図柄を特定当り停止図柄及び通常当り停止図柄のいずれにするかを選択する停止図柄種別選択手段104と,上記の判定結果及び選択結果に応じたコマンドを生成するコマンド生成手段106と,生成されたコマンドを副制御回路40に向けて送信するコマンド送信手段107を含む主制御回路30と,
主制御回路30から出されたコマンドに基づいてLCD4の表示制御を行う副制御回路40と,
特別図柄の変動表示及び遊技に関連した演出表示を行う表示手段としての液晶表示装置であるLCD4を備え,
当り停止図柄が特定当り停止図柄であるときは確変大当りとなるがこの場合は「大当り遊技状態」が終了した後の一般遊技状態が,大当りの発生確率が高い状態となるパチンコ遊技機1であって,
a2 主制御回路30はメインCPU31を含み,メインCPU31は,当り停止図柄種別選択用乱数値を,当り停止図柄種別選択テーブルに設定されている数値範囲と照合し,当該乱数値が“1”,“3”,“5”,“7”,“9”,“11”のいずれかであれば,停止図柄として特定当り停止図柄を選択し,当り停止当該乱数が“0”,“2”,“4”,“6”,“8”,“10”のいずれかであれば,停止図柄として通常当り停止図柄を選択し,
a3 副制御回路40は,サブCPU41を含むとともに,LCD4を制御するための図柄制御部45を備え」る「パチンコ遊技機1」は,
本願補正発明の「所定の確率により大当り状態に遷移させる大当り抽選手段を含み,所定の抽選により該大当り状態が終了した後も一定期間前記所定の確率よりも高い確率で大当り状態に遷移させる確率変動状態とする主制御手段と,所定の演出態様により演出制御対象を制御する副制御手段と,所定の演出態様により演出図柄の変動表示を制御する表示制御手段と,前記演出図柄の変動表示を行なう表示手段とを備えた遊技機」に相当するといえる。

(b)まず,引用発明1の構成c1において,「停止図柄種別指定コマンド」に基づいて,「特定当りを示す停止図柄」又は「通常当りを示す停止図柄」の「種類」を決定するのであるから,上記「特定当りを示す停止図柄」も「通常当りを示す停止図柄」も複数存在することは明らかである。
してみると,引用発明1における「特定当りを示す停止図柄」及び「通常当りを示す停止図柄」は複数種類存在するから,いずれも,本願補正発明の「グループ化した前記演出図柄」に相当するといえる。
してみると,引用発明1の「停止図柄の種別(ここでは,特定当り又は通常当り)を指定した停止図柄種別指定コマンド」は,本願補正発明の「グループ化した前記演出図柄を指定するグループ化コマンド」に相当するといえる。
さらに,引用発明1の構成a1から「主制御回路30」は「生成されたコマンドを副制御回路40に向けて送信する」ものといえ,また,上記(a)に示したとおり引用発明1は「当り停止図柄種別選択用乱数値」という乱数値を,「当り停止図柄種別選択テーブルに設定されている数値範囲と照合」して「停止図柄種別指定コマンド」を指定するのであるから,本願補正発明でいう「所定の抽選」を行って「グループ化した前記演出図柄を指定するグループ化コマンド」を指定しているといえる。

してみると,引用発明1の「主制御回路30」は,
本願補正発明の「主制御手段」の機能である「前記所定の抽選の結果に応じてグループ化した前記演出図柄を指定するグループ化コマンドを前記副制御手段に送信」する機能を有するといえる。

(c)上記(b)で示したとおり「停止図柄種別指定コマンド」は本願補正発明の「グループ化コマンド」に相当するといえる。
また,引用発明1において,当該「停止図柄種別指定コマンド」が「特定当り」であるときは,「特定当りを示す停止図柄」がLED4に表示されて確変大当りとなり大当りの発生確率が高くなる状態となることは明らかである。そうすると,引用発明1において「停止図柄種別指定コマンド」が「特定当り」であることは,大当たりの発生確率が高くなる状態である確率変動状態へ移行することを示唆するものであるといえる。
してみると,引用発明1の「主制御回路30から受信したコマンドが「特定当り」が指定された停止図柄種別指定コマンドかどうかを判別」すること,及び「当該判別結果がYESであるとき」は,それぞれ本願補正発明の「受信した前記グループ化コマンドが前記確率変動状態への移行を示唆するコマンド群に含まれるか否かを判定」すること,及び「前記確率変動状態への移行を示唆するコマンド群に含まれると判定したとき」に相当するといえる。

次に,引用発明1の「サブCPU41」は「当該判別結果がYESであるとき」は,「停止図柄決定用乱数値を特定当り停止図柄決定テーブルに設定された数値と照合し,特定当りを示す停止図柄の種類を決定」するのであるから,本願発明の「前記確率変動状態用の前記演出図柄を所定の選択比率に基づいて選択」する機能を有するといえる。

さらに,引用発明1の「サブCPU41」は,「停止図柄を表示する表示制御プログラムを作成」するとともに,「表示制御プログラムを参照し,読み出した実行コマンドを図柄制御部45に送る」ものである。ここで,上記(a)で示したとおり,引用発明1の「副制御回路40の図柄制御部45」は本願補正発明の「表示制御手段」に相当すること,及び当該「実行コマンド」は主制御回路30から停止図柄種別指定コマンドを受信し,停止図柄の種類を決定した後の処理により読み出したコマンドであるので「選択した前記演出図柄を前記表示手段に表示するための演出図柄指定コマンド」に相当するといえることを考えると,当該「表示プログラムを参照し,読み出した実行コマンドを図柄制御部45に送る」ことは,本願補正発明の「選択した前記演出図柄を前記表示手段に表示するための演出図柄指定コマンドを前記表示制御手段に送信」することに相当するといえる。

よって,引用発明1における「サブCPU41」を備える「副制御回路40」は,
本願補正発明の「副制御手段」の有する機能である「前記主制御手段から前記グループ化コマンドを受信したときは,該受信した前記グループ化コマンドが前記確率変動状態への移行を示唆するコマンド群に含まれるか否かを判定し,前記確率変動状態への移行を示唆するコマンド群に含まれると判定したときは,前記確率変動状態用の前記演出図柄を所定の選択比率に基づいて選択して,該選択した前記演出図柄を前記表示手段に表示するための演出図柄指定コマンドを前記表示制御手段に送信」する機能を有するといえる。

(d)引用発明1の「通常当り停止図柄」と「特定当り停止図柄」とは,それぞれ本願補正発明の「非確率変動状態用の演出図柄」と「確率変動状態用の演出図柄」に相当する。また引用発明1においては,上記「通常当り停止図柄」と「特定当り停止図柄」は,いずれも,「副制御回路40の図柄制御部45」によって表示されるものといえる。
してみると,引用発明1は,本願補正発明と「表示制御手段によって表示される」「確率変動状態用の演出図柄」が存在する点において共通する。

(e)上記(a)で示したとおり,引用発明1の「パチンコ遊技機1」は,本願補正発明の「遊技機」に相当する。


したがって,上記(a)?(e)から,本願補正発明と引用発明1とは,
[一致点]
「【請求項1】
A 所定の確率により大当り状態に遷移させる大当り抽選手段を含み,所定の抽選により該大当り状態が終了した後も一定期間前記所定の確率よりも高い確率で大当り状態に遷移させる確率変動状態とする主制御手段と,所定の演出態様により演出制御対象を制御する副制御手段と,所定の演出態様により演出図柄の変動表示を制御する表示制御手段と,前記演出図柄の変動表示を行なう表示手段とを備えた遊技機であって,
B 前記主制御手段は,前記所定の抽選の結果に応じてグループ化した前記演出図柄を指定するグループ化コマンドを前記副制御手段に送信し,
C 前記副制御手段は,前記主制御手段から前記グループ化コマンドを受信したときは,該受信した前記グループ化コマンドが前記確率変動状態への移行を示唆するコマンド群に含まれるか否かを判定し,前記確率変動状態への移行を示唆するコマンド群に含まれると判定したときは,前記確率変動状態用の前記演出図柄を所定の選択比率に基づいて選択して,該選択した前記演出図柄を前記表示手段に表示するための演出図柄指定コマンドを前記表示制御手段に送信し,
D’表示制御手段によって表示される確率変動状態用の演出図柄が存在する
E 遊技機。」
である点で一致し,以下の点で相違する。

[相違点]
本願補正発明は「前記表示制御手段によって表示される前記確率変動状態用の前記演出図柄は,非確率変動状態用の演出図柄と同一の形態である場合を含み,当該場合には,前記グループ化コマンドは,前記確率変動状態への移行を示唆するコマンド群に含まれる場合と含まれない場合とで異なるデータであり,前記演出図柄指定コマンドは,前記確率変動状態へ移行する場合と移行しない場合であっても同一のデータである」のに対し,
引用発明1は,通常当り停止図柄と特定当り停止図柄とは,同一の形態である場合を含まない点。

(4)判断
ア 相違点について
遊技機の技術分野において,確率変動状態用の演出図柄が,非確率変動状態用の演出図柄と同一態様である場合を含むことは,周知の技術的事項である(例えば,平成29年5月19日付けの補正の却下の決定で引用した特開2004-321240号公報の【0099】,同補正の却下の決定で引用した特開2003-79871号公報の【0003】,【0010】,【0013】,”パチンコ攻略マガジン”,2005年10月8日発行,第17巻,第26号,第76-77頁(特に,第76頁下段「ファイティングボーナス」の欄内の「大当り図柄」には,「偶数図柄大当りでも期待!」及び「偶数図柄でも2回に1回は確変大当りとなるのだ。」と記載されているところから,偶数図柄大当りの場合,確変大当りとなることもあれば,非確変大当りとなることもあることが記載されているといえる。)がある。)。

引用発明1と,上記周知の技術的事項とは,ともに遊技機の技術分野に属し,確率変動状態用の演出図柄と,非確率変動状態用の演出図柄とを表示するという点において共通している。

また,引用発明1において,図柄制御部45に送られる実行コマンドは,特別図柄の表示に必要な画像データを画像データROM54から読み出し,読み出した画像データをLCD4に表示させるものである。してみると,引用発明1において,LED4に表示する画像が同一であるときは,同一の画像データを画像データROM54から読み出せば良く,そのための実行コマンドを同一のデータとしておくことが簡便であることは,当業者にとって明らかである。

してみると,引用発明1において,上記周知の技術的事項を適用して「主制御回路30から受信したコマンドが「特定当り」が指定された停止図柄種別指定コマンドかどうかを判別し,当該判別結果がYESであるとき」に決定する停止図柄として,非確率変動状態用の演出図柄と同一態様である場合を含むこととし,その際,当該同一の態様である非確率変動状態用の演出図柄及び確率変動状態用の演出図柄を読み出すための実行コマンドを同一のデータとすることは,当業者が容易になし得ることであるといえる。そして,引用発明1と上記周知の事項から導かれる発明において,「「特定当り」が指定された停止図柄種別指定コマンド」と,「通常当り」「が指定された停止図柄種別指定コマンド」とは異なるデータであることは,明らかである。

よって,引用発明1に,上記周知の技術的事項を適用して,上記相違点に係る本願補正発明の構成とすることは,当業者にとって容易である。

そして,本願補正発明の作用効果も,引用発明1及び上記周知の技術的事項から当業者が予測できる範囲のものである。

したがって,本願補正発明は,引用発明1及び上記周知の技術的事項に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものである。

(5)請求人の主張について
請求人は審判請求書の「(4)補正後の本願発明と引用文献との対比」において,「補正後の本願発明(請求項1に係る発明)は,補正後の発明特定事項を備えることにより,次のような効果を奏する。
・・・
(c)演出図柄指定コマンドは,確率変動状態へ移行する場合と移行しない場合であっても同一のデータであるため,確率変動状態と非確率変動状態で異なる状況であっても,副制御手段は同一データの演出図柄指定コマンドを使用することでデータの共通化が図られる。
これに対し,引用文献1?4には,上記(a)(b)(c)の作用効果のうち,とりわけ(c)の効果を奏するような構成については一切記載されていない。」と主張している。

しかしながら,上記のとおり,引用発明1及び上記周知の事項から導かれる発明において,同一の図柄を表示するときには,同一の画像データを読み出して表示させればよいのであるから,そのために上記実行コマンドを同一のデータとすることは,当業者にとって容易になし得ることであり,そのことによる効果についても格別のものとはいえない。
よって,請求人の上記主張は採用できない。

(6)まとめ
したがって,本願補正発明は,特許法第29条第2項の規定に基づいて特許出願の際独立して特許を受けることができない。
よって,本件補正は,特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので,同法159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明
本件補正は上記のとおり却下されることとなったので,本願の請求項1に係る発明は,平成28年4月26日の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ,その請求項1に係る発明(以下,「本願発明」という。)は,上記「第2[理由]1」に本件補正前の請求項1として記載されたとおりのものである。

1 引用文献1
原査定の拒絶理由に引用された本願の出願前に頒布された引用文献1の記載事項及び引用発明1の認定については,上記「第2[理由]3(2)」に記載したとおりである。

2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由1は,この出願の請求項1に係る発明は,この出願前に頒布された下記の引用文献1に記載された発明であるから,特許法第29条第1項第3号に該当し,特許を受けることができない,というものである。また,原査定の拒絶の理由2は,この出願の請求項1に係る発明は,この出願前に頒布された下記の引用文献1に記載された発明に基づいて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができない,というものである。

引用文献1:特開2003-340060号公報

3 対比・判断
本願発明は,上記「第2[理由]1」で検討した本件補正発明から,「前記表示制御手段によって表示される前記確率変動状態用の前記演出図柄」に関し,「非確率変動状態用の演出図柄と同一の形態である場合を含」むとの限定を省くとともに,そのような場合において,
「グループ化コマンド」は「前記確率変動状態への移行を示唆するコマンド群に含まれる場合と含まれない場合とで異なるデータであ」るとともに,
「演出図柄指定コマンド」は「前記確率変動状態へ移行する場合と移行しない場合であっても同一のデータである」との限定を省いたものである。
してみると,本願発明は,本件補正発明から,上記「第2[理由]3(3)」に示した[相違点]に関する構成が省かれたものであるといえるので,本願発明と引用発明1とは相違点はないといえる。

してみると,本願発明は,引用発明1と同一である。また,仮に本願発明と引用発明1との間に相違点があるとしても,本願発明は引用発明1から当業者が容易に発明をすることのできたものである。

4 まとめ
以上のとおり,本願発明は,特許法第29条第1項第3号に該当するので特許を受けることができないものである。
仮にそうでないとしても,本願発明は,同法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって,本願は拒絶すべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2018-03-15 
結審通知日 2018-03-20 
審決日 2018-04-11 
出願番号 特願2015-24014(P2015-24014)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
P 1 8・ 575- Z (A63F)
P 1 8・ 113- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 酒井 保  
特許庁審判長 瀬津 太朗
特許庁審判官 藤田 年彦
後藤 順也
発明の名称 遊技機  
代理人 竹沢 荘一  
代理人 横堀 芳徳  
代理人 竹ノ内 勝  
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