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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 F01N
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 F01N
管理番号 1340746
審判番号 不服2017-126  
総通号数 223 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-07-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-01-05 
確定日 2018-05-22 
事件の表示 特願2014-228321「可変基本質量取付けマットまたはプレフォームおよび排気ガス処理装置」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 4月 9日出願公開、特開2015- 63995〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2010年8月10日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理2009年8月10日 アメリカ合衆国)を国際出願日として出願した特願2012-524694号の一部を平成26年11月10日に新たな特許出願としたものであって、平成26年11月11日に上申書が提出され、平成27年10月9日付けで特許法第50条の2の通知を伴う拒絶理由が通知され、平成28年4月14日に意見書及び手続補正書が提出されたが、平成28年8月31日付けで拒絶査定がされ、これに対して、平成29年1月5日に拒絶査定不服審判が請求され、その審判の請求と同時に特許請求の範囲について補正する手続補正書が提出され、平成29年2月21日に前置報告がされ、それに対し、平成29年6月14日に上申書が提出されたものである。

第2 平成29年1月5日の手続補正についての補正却下の決定

[補正の却下の決定の結論]
平成29年1月5日の手続補正を却下する。

[理由]
1 補正の内容
平成29年1月5日の手続補正(以下、「本件補正」という。)は、特許請求の範囲の請求項1に関しては、本件補正により補正される前の(すなわち、平成28年4月14日に提出された手続補正書による)下記の(1)の記載を下記の(2)の記載に補正するものである。

(1)本件補正前の特許請求の範囲の請求項1
「【請求項1】
ガス吸気口端部及びガス排気口端部を有する排気ガス処理装置における取付けマットまたは端部コーン絶縁体として用いられるマットであって、前記マットが対向する第1の主表面と第2の主表面と、長さと、幅と、圧縮されていない厚みとを有する無機繊維のシートを含み、前記無機繊維のシートが第1の圧縮されていない基本質量を有する第1の部分と、前記第1の基本質量と異なる第2の圧縮されていない基本質量を有する第2の部分とを含み、前記無機繊維のシートが、実質的に均一の基本質量を有するベースシートと、前記ベースシートの第1の主表面と第2の主表面の少なくとも1つに結合された別のシート材料とを含み、前記ベースシート又は前記別のシート材料の少なくとも1つが膨張性であり、前記別のシート材料が、前記無機繊維のシートが前記排気ガス処理装置中に設置されるときに、該別のシート材料が前記排気ガス処理装置の前記ガス吸気口端部に近接するように前記無機繊維のシートが前記排気ガス処理装置中に配置されるように、前記ベースシートに結合されていることを特徴とするマット。」

(2)本件補正後の特許請求の範囲の請求項1
「【請求項1】
ガス吸気口端部及びガス排気口端部を有する排気ガス処理装置における取付けマットまたは端部コーン絶縁体として用いられるマットであって、前記マットが対向する第1の主表面と第2の主表面と、長さと、幅と、圧縮されていない厚みとを有する無機繊維のシートを含み、前記無機繊維のシートが第1の圧縮されていない基本質量を有する第1の部分と、前記第1の基本質量と異なる第2の圧縮されていない基本質量を有する第2の部分とを含み、前記無機繊維のシートが、実質的に均一の基本質量を有するベースシートと、前記ベースシートの第1の主表面と第2の主表面の少なくとも1つに結合された別のシート材料とを含み、前記ベースシート又は前記別のシート材料の少なくとも1つが膨張性であり、前記別のシート材料が、前記無機繊維のシートが前記排気ガス処理装置中に設置されるときに、該別のシート材料が前記排気ガス処理装置の前記ガス吸気口端部に近接し且つ排気ガスに曝されるように前記無機繊維のシートが前記排気ガス処理装置中に配置されるように、前記ベースシートに結合されていることを特徴とするマット。」(下線は補正箇所を示すために請求人が付したものである。)

2 本件補正の目的
本件補正は、本件補正前の請求項1に記載した発明における「前記無機繊維のシートが前記排気ガス処理装置中に配置される」という発明特定事項について、別のシート材料が「且つ排気ガスに曝されるように」という具体的な態様を追加して限定することにより特許請求の範囲を減縮するものである。
したがって、特許請求の範囲の請求項1についての本件補正は、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1に係る発明の発明特定事項を限定するものであって、本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正によって補正される特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について、以下に検討する。

3 独立特許要件
(1)引用文献
(1-1)引用文献1
ア 引用文献1の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された、本願のもとの出願の優先日前に頒布された刊行物である特表2009-511819号公報(以下、「引用文献1」という。)には、次の事項が記載されている。なお、下線は当審で付した。

(ア)「【0001】
本発明は汚染防止装置(例、触媒コンバータ、エンジン排気フィルター、等)に汚染防止要素を実装するためのシステムに、特に、汚染防止要素を実装するためのマットに、更に詳しくは、複数の層を有するそのような実装マットに関する。本発明はそのような実装マット及びそのような装置を含む排気システムを使う汚染防止装置にも関する。」(段落【0001】)

(イ)「【0030】
第一の実施形態に従って構築された多層マット10は、図1及び2に図解されている。下で議論されるように、マット10は汚染防止装置に汚染防止要素を実装するために使われてもよい。マット10は、適したセラミック又は他の無機繊維からなる非膨張性層12を備え、反対側の横エッジ14及び16によって画定される幅W_(1)、並びに長さL_(1)を有する。マット10は膨張性材料を含む膨張性層20を更に備え、反対側の横エッジ22及び24によって画定される幅W_(2)、並びに長さL_(2)を有する。図解される実施形態では、膨張性層20の幅W_(2)は非膨張性層12の幅W_(1)より小さい。さらに、膨張性層20はその2つの横エッジ22及び24が非膨張性層12の2つの横エッジ14及び16の内側に位置づけられるように非膨張性層に関連して位置づけられる。図1に示されるように、膨張性層20はその長さL_(2)のその幅W_(2)倍で画定される面積を有する露出した主要表面20Aを備える。主要表面20Aは、マット10の最も外側の層も画定する。
【0031】
上で言及されたように、マット10は汚染防止装置内に汚染防止要素を実装するために使われてもよい。例えば、マット10は、図解されている実施形態で金属ハウジング50内の触媒物質でコーティングされた一体式構造を含む触媒担体要素40を備える汚染防止要素を実装するために使われてもよい(図3及び4を参照)。触媒担体要素40、マット10及び金属ハウジング50は触媒コンバータ60を画定する(図3を参照)。金属ハウジング50は、排気ガスが触媒コンバータ60に流れ込み、流れ出す入口52及び出口54を有する。金属ハウジング50は1つ以上の金属、金属合金、又はステンレス鋼又はオーステナイト鋼のような中間組成物から作られることができる。
【0032】
好ましくは、実質的に弾力的な非膨張性層12は、かつてマット10及び触媒担体要素40が金属ハウジング50内に実装されたように選ばれ、非膨張性層12の外側部分18A及び18Bが、少なくともハウジング50及び担体要素40の内壁の間のシールエリアA_(S)(図4参照のこと)にある間隙Gを、間隙Gをシールし、膨張性層20の横エッジ22及び24を保護できるように満たす。外側部分18Aおよび18Bは室温時又は高運転温度時に弾力的に間隙Gを満たす。換言すれば、少なくとも非膨張性層12の外側部分18A及び18Bは、間隙Gが最小(即ち、室温で)であっても最大(即ち、最高の運転温度で)であっても、間隙Gをシールするのに十分な圧力があり、膨張性層20を保護するのに充分弾力的である。少なくともこれら外側部分18A及び18Bが、汚染防止装置の望まれる耐用期間の間、間隙Gの最小及び最大の繰り返しに持ちこたえられるよう充分に耐久力があることも好ましい。非膨張性層12全体が、この程度に弾力及び耐久力を示すことが好ましい場合がある。
【0033】
従って、膨張性層の横エッジ22及び24は排気ガス、特に触媒コンバータ60を通って流れる高温の排気ガスから実質的にシールされている。触媒コンバータ60が高い運転温度に直面するときは、膨張性層20の高温排気ガスへの暴露は層20(即ち、その膨張性特性)にある膨張性材料を、特に露出した表面に沿って損なう可能性がある。そのような損傷は排気ガスの流れに対する暴露の増大で層20の侵食を悪化させる可能性がある。例えば、いくつかの膨張性層20の一部を形成するために使われるバーミキュライトは、750℃を超える温度に曝されるときはその膨張性特性を失う可能性がある。従って、もし膨張性層20が損傷を与えるような高温に曝されるならば、層20の損傷された部分は、層20の侵食を防ぐために十分な実装力で、充分に広がって間隙Gを満たすことができない可能性がある。たとえそのような損傷を与える高温より低温下で排気ガスに曝されたとしても、排気ガスはなお層20の侵食を引き起こす可能性がある。膨張性層20を、非膨張性層12の外側部分18A及び18Bを経由する排気ガスに対する暴露から断熱又は遮蔽すること、及び要素40により非膨張性層12を経由して放射される高温から層20を断熱することによって、膨張性層20は、それゆえに、触媒コンバータ60を使用する間の温度上昇に起因する金属ハウジング50の膨張につれて膨張するためにその膨張性能力を失う可能性は低い。いくつかの膨張性材料がいくつかの非膨張性材料より安上がりであるゆえに、この実施形態は、主に非膨張性材料から形成されるマットより低コストで形成されるマットを提供でき、しかもなお、触媒コンバータ60の使用中に触媒コンバータの金属ハウジング50にしっかり担持されている触媒担体要素40を保持する適した様態で機能できる。
【0034】
互いに対してしっかり締められないままであることに加えて、膨張性層20は非膨張性層12に、例えば接着剤、ニードルボンディング、縫製、テープバンディング、タグ連結又はコフォーミングを使って接合されることができ、又は層12及び20を画定している材料の隣接部分が互いに機械的に結合されることができる。
(中略)
【0036】
本明細書で使用するとき、用語「膨張性層」は、単にその熱膨張係数の結果以外にも、例えば、バーミキュライト、拡張性グラファイト、マイカ、等のような膨張的に拡大する材料を含むことにより、膨張的に拡大する層のことである。一般的には、そのような層は熱排気ガスへの暴露により引き起こされる侵食から保護される必要がある。
【0037】
本明細書で使用するとき、用語「非膨張性層」は、膨張性拡大を少ししか示さないか全く示さない、層のことである。即ち、熱暴露からくる殆どの又は全ての層の拡大はその熱膨張係数の結果である。非膨張性材料の例は、セラミック及び他の無機繊維を含むが、これらに限定されない。」(段落【0030】ないし【0037】)

(ウ)「【0075】
各非膨張性層又はストリップは無機繊維を含む。汚染防止装置用実装マットに使用するのに適していると知られている任意の無機繊維を選ぶことができる。例えば、無機繊維は、アルミナ繊維、ムライト繊維、石英繊維、炭化ケイソ繊維、窒化ケイソ繊維、金属繊維、アルミノケイ酸塩繊維、マグネシウムアルミノケイ酸塩繊維、アルミノホウケイ酸塩繊維、ジルコニア繊維、チタニア繊維、等であってもよい。繊維は非晶性、結晶性、又はそれらの組合せであってもよい。」(段落【0075】)

(エ)「【0107】
膨張性層は少なくとも1つのタイプの膨張性材料を含む。膨張性層は無機繊維、有機バインダー、可塑剤、湿潤剤、分散剤、消泡剤、ラテックス凝固剤、殺菌剤、充填剤物質、無機バインダー、及び有機繊維を、さらに含むことができる。これら追加の構成成分は非膨張性層について上で議論したものと同じである。
(中略)
【0111】
いくつかのより特有の例では、膨張性層は、膨張性層の重量を基に、5?85重量パーセントの量の膨張性材料、0.5?15重量パーセントの量の有機バインダー、及び10?60重量パーセントの量の無機繊維、を含む。他の例では、膨張性層は、膨張性層の重量を基に、膨張性材料を5?70重量パーセントの量、有機バインダーを0.5?10重量パーセントの量、及び無機繊維を30?45重量パーセントの量、含む。さらに他の例では、膨張性層は、膨張性材料を20?65重量パーセントの量、有機バインダーを0.5?20重量パーセントの量、無機繊維を10?65重量パーセントの量、及び無機充填材又は無機バインダーを40重量パーセント以下の量、含む。
【0112】
適した膨張性層は、ミネソタ州セントポール(St.Paul, MN)にある3M社(3M)から商標名「インテラム(INTERAM)100」、「インテラム(INTERAM)200」、「インテラム(INTERAM)550」、及び「インテラム(INTERAM)2000LT」として市販で得られる。これらのマットは通常、約0.4?約0.7g/cm^(3)の嵩密度及び約1050g/m^(2)?約8140g/m^(2)の単位面積当たりの重量を有する。もう一つの適した膨張性層は3M社から商標名「インテラム(INTERAM)570NC」として市販で得られる。この層は通常、約1050g/m^(2)?4070g/m^(2)の単位面積当たりの重量を有し、ヨーロッパの機密扱いされない繊維規制にかなう無機繊維を含む。」(段落【0107】ないし【0112】)

イ 上記ア及び図面の記載から分かること
(オ)上記ア(イ)(特に段落【0031】を参照。)及び図面の記載から、引用文献1には、排気ガスが流れ込む金属ハウジング50の入口52及び流れ出す金属ハウジング50の出口54を有する触媒コンバータ60に触媒担体要素40を実装するためのマット10が記載されていることが分かる。すなわち、引用文献1には、入口52及び出口54を有する触媒コンバータ60における実装マットとして用いられるマット10が記載されていることが分かる。

(カ)上記ア(イ)(特に段落【0030】を参照。)(ウ)(エ)及び図面の記載から、引用文献1に記載されたマット10は、対向する外周面及び内周面と、長さと、幅と、厚さとを有する無機繊維を含む膨張性層及び非膨張性層を含むことが分かる。

(キ)上記ア(イ)及び図面の記載から、引用文献1に記載されたマットは、膨張性層と非膨張性層とが重なった部分と、膨張性層と非膨張性層とが重なっていない部分とを有することが分かる。ここで、膨張性層と非膨張性層とは単位面積当たりの質量が異なるから、図4の場合にも、膨張性層と非膨張性層が重なった部分と、張性層と非膨張性層とが重なっていない部分とでは、単位面積当たりの質量が異なることは明らかである。したがって、引用文献1に記載されたマット10は、前記無機繊維を含む膨張性層及び非膨張性層が第1の面積当たりの質量を有する第1の部分と、前記第1の面積当たりの質量と異なる第2の面積当たりの質量を有する第2の部分とを含むことが分かる。

(ク)上記ア(イ)(特に段落【0034】)及び図面(例えば図4)の記載から、引用文献1に記載されたマットにおいて、無機繊維を含む膨張性層及び非膨張性層が、実質的に均一の面積当たりの質量を有する膨張性層と、膨張性層の主要表面20A及び主要表面20Aの反対面の少なくとも1つに結合された非膨張性層とを含むことが分かる。

(ケ)上記ア(イ)(特に段落【0033】及び【0034】を参照。)及び図面(例えば図4)の記載から、引用文献1に記載されたマットは、触媒コンバータ60中に位置づけられるときに、非膨張性層が触媒コンバータ60の排気ガスの入口52に近接しかつ排気ガスに暴露されるように、膨張性層に結合されていることが分かる。

ウ 引用発明1
上記ア、イ及び図面の記載を総合すると、引用文献1には次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。

<引用発明1>
「入口52及び出口54を有する触媒コンバータ60における実装マットとして用いられるマット10であって、マット10が対向する外周面及び内周面と、長さと、幅と、厚さとを有する無機繊維を含む膨張性層及び非膨張性層を含み、前記無機繊維を含む膨張性層及び非膨張性層が第1の面積当たりの質量を有する第1の部分と、前記第1の面積当たりの質量と異なる第2の面積当たりの質量を有する第2の部分とを含み、前記無機繊維を含む膨張性層及び非膨張性層が、実質的に均一の面積当たりの質量を有する膨張性層と、膨張性層の主要表面20A及び主要表面20Aの反対面の少なくとも1つに結合された非膨張性層とを含み、前記膨張性層又は前記非膨張性層の少なくとも1つが膨張性であり、前記非膨張性層が、前記無機繊維を含む膨張性層及び非膨張性層が触媒コンバータ60中に位置づけられるときに、該非膨張性層が前記触媒コンバータ60の入口に近接し且つ排気ガスに暴露されるように前記無機繊維を含む膨張性層及び非膨張性層が前記触媒コンバータ60中に位置づけられるように、前記膨張性層に結合されている、マット。」

(1-2)引用文献2
ア 引用文献2の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された、本願のもとの出願の優先日前に頒布された刊行物である特表2007-532825号公報(以下、「引用文献2」という。)には、次の事項が記載されている。なお、下線は当審で付した。

(ア)「【技術分野】
【0001】
汚染防止装置内に汚染防止要素を装着するのに好適な多層マットが開示されている。
【背景技術】
【0002】
汚染防止装置は、大気汚染を減少させるために自動車に用いられている。触媒コンバータおよびディーゼル微粒子フィルタまたはトラップの2種類の装置が現在広く用いられている。触媒コンバータは、一般に、モノリシック(monolithic)構造の表面にコートされる1種類以上の触媒を含有している。金属モノリスが用いられているが、モノリシック構造は、一般的にセラミックである。触媒は、排気ガス中の一酸化炭素および炭化水素を酸化する、窒素酸化物を還元する。ディーゼル微粒子フィルタまたはトラップは、一般的に多孔性結晶セラミック材料から作成されたハニカムモノリシック構造を持つ壁フローフィルタの形態にある。これらの汚染防止装置の現在の最新の構造において、各種のモノリシック構造は金属筐体で囲まれている。
【0003】
モノリスを道路の衝撃や振動から保護し、金属筐体とモノリスとの間の熱膨張の差を補償し、モノリスと金属筐体との間に排気ガスが流れるのを防ぐために、保護パッキング材料を、モノリスと金属筐体との間に配置するのが一般的である。保護パッキング材料を配置するプロセスは、「キャンニング」と呼ばれ、モノリスと金属筐体との間のギャップにペーストを注入したり、モノリス周囲をシート材料(例えば、装着マット)で包み、包まれたモノリスを筐体に挿入し、筐体をプレスして閉じ、筐体の側端に沿ってフランジを溶接するようなプロセスが含まれる。
【0004】
一般的に、従来の保護パッキング材料を作成するのに用いられる組成物は、高温耐久性、良好な取扱い性、弾力性、可撓性および強度のような特性を与えるガラスまたは耐火セラミック繊維を含んでいる。膨張性材料もまた含まれ、保護パッキング材料の体積を高温で膨張させることができる。かかる膨張は、モノリスを使用中に適所に保持する補助となる。」(段落【0001】ないし【0004】)

(イ)「【課題を解決するための手段】
【0005】
多層マット、多層マットを含む汚染防止装置、および多層マットの製造方法が提供される。より具体的には、多層マットは、2つの非膨張層間に挟まれた膨張層を含む。」(段落【0005】)

(ウ)「【0012】
2つの非膨張層間に挟まれた膨張層を含む多層マットが提供される。各非膨張層の面積は、膨張層の面積より大きく、膨張層は、第1の非膨張層と第2の非膨張層の両方の面積内に完全に配置されている。
【0013】
より具体的には、第1の主面と第1の主面の反対の第2の主面とを有する膨張層と、膨張層の第1の主面に対向する第1の非膨張層と、膨張層の第2の主面に対向する第2の非膨張層との少なくとも3層を含む多層マットが提供される。膨張層は、面積A1を有している。第1の非膨張層は、無機繊維を含有し、面積A1よりも大きな面積A2を有している。第2の非膨張層は、無機繊維を含有し、面積A1よりも大きな面積A3を有している。
【0014】
多層マットのある実施形態において、第1の非膨張層の面積A2は、第2の非膨張層の面積A3に実質的に等しい。本明細書で用いる「実質的に等しい」とは、第2の測定と約10パーセント未満の値異なる第1の測定のことを指す。ある実施形態において、第1の測定は、第2の測定と8パーセント未満、7パーセント未満、5パーセント未満、3パーセント未満、2パーセント未満または1パーセント未満異なる。
【0015】
面積A2が面積A3に実質的に等しいある多層マットにおいて、第1の非膨張層は長さL2を有し、第2の非膨張層は長さL2に実質的に等しい長さを有する。さらに、第1の非膨張層は幅W2を有し、第2の非膨張層は幅W2に実質的に等しい幅を有している。
(中略)
【0021】
多層マット100の一実施形態の概略断面図を図1に示す。断面図は、多層マットの幅と平行である。多層マットは、無機繊維を含有する第1の非膨張層110、膨張層120、および無機繊維を含有する第2の非膨張層130の順番で構成された3層を含む。図1に示した多層マットの実施形態において、膨張層120は、第1の非膨張層110か、第2の非膨張層130のいずれかより幅が小さい。
(中略)
【0024】
本明細書で用いる「膨張性」とは、約800℃?約900℃の温度まで加熱したときに厚さに少なくとも約10パーセントの自由膨張を示す材料のことを指す。ある膨張材料は、これらの温度まで加熱したときに厚さが少なくとも12パーセント、少なくとも15パーセント、または少なくとも20パーセント自由膨張する。膨張材料は、通常、少なくとも約400℃または少なくとも約500℃の温度で、少なくともある程度膨張する。自由膨張とは、加熱したときに材料が受けるZ軸における制限のない膨張の量のことを指す。
【0025】
本明細書で用いる「非膨張」とは、同じ条件下で、厚さに約10パーセント未満の自由膨張を示す材料のことを指す。ある非膨張材料は、加熱したとき、8パーセント未満、6パーセント未満、4パーセント未満、2パーセント未満、または1パーセント未満膨張する。」(段落【0012】ないし【0025】)

(エ)「【0026】
図2Aに、多層マット150の一実施形態の概略平面図を示す。第1の非膨張層110は、膨張層120の上に配置されている。多層マットを上から見たとき、第1の非膨張層110のみが見える。膨張層120は、第1の非膨張層110の幅W2より小さな幅W1を有している。膨張層120は、第1の非膨張層110の長さL2に実質的に等しい長さL1を有している。すなわち、この実施形態において、膨張層120は多層マット150の全長に沿って延在している。
【0027】
第2の非膨張層(図示せず)は、図2Aの第1の非膨張層110と位置合せされている。第2の非膨張層の面積、幅および長さは、第1の非膨張層110の対応の面積A2、幅W2および長さL2に実質的に等しい。膨張層120の面積A1は、第1の非膨張層110の面積A2より小さく、第2の非膨張層の面積より小さい。このように、面積A2は、面積A1より広い。
【0028】
図2Aにおいて、膨張層120は、非膨張層110に対して配置されており、長さ方向における多層マット150の外側端部152および154の両方共膨張材料は含まない。圧縮下にある少なくともある多層マット150について、膨張層120の厚さは、第1の非膨張層110が、長さ方向において多層マット150の外側端部152および154の両方に沿って第2の非膨張層と接触できるように選択される。」(段落【0026】ないし【0028】)

(オ)「【0043】
多層マットは、膨張層の両側に非膨張層を含む。第1の非膨張層と第2の非膨張層は同一または異なる組成とすることができる。各非膨張層は無機繊維を含む。汚染防止装置の装着マットに用いるのに好適なことが知られている無機繊維は選択することができる。例えば、無機繊維は、アルミナ繊維、ムライト繊維、石英繊維、カーバイド繊維、窒化ケイ素繊維、金属繊維、アルミノケイ酸塩繊維、アルミノケイ酸マグネシウム繊維、アルミノホウケイ酸塩繊維、ジルコニア繊維、チタニア繊維等とすることができる。繊維はアモルファス、結晶またはこれらの組み合わせとすることができる。
(中略)
【0045】
非膨張層のある実施形態において、無機繊維はガラス繊維である。本明細書で用いる「ガラス繊維」とは、大幅な結晶化なしに冷却しておいた無機溶融材料から調製された無機繊維のことを指す。x線回折か透過型電子顕微鏡技術のいずれかを用いて求められる通り、ガラス繊維はアモルファスである。ガラス繊維は、少なくともある用途においては、ショットフリーである(すなわち、繊維が5重量パーセント以下のショット、3重量パーセント以下のショット、2重量パーセント以下のショット、1重量パーセント以下のショット、または0.5重量パーセント以下のショットを含む)。本明細書で用いる「ショット」という用語は、ある無機繊維形成プロセスの副生成物となり得る非繊維状粒子のことを指す。」(段落【0043】ないし【0045】)

(カ)「【0074】
熱処理されたアルミノシリケートセラミック繊維を含有する好適な非膨張層は、3Mカンパニー(3M Company)(ミネソタ州、セントポール(St.Paul,MN))より「インテラム900HT(INTERAM 900HT)」という商品名で市販されている。このマットのバルク密度は約0.25g/cm^(3)、単位面積当たりの重量は約1020?約2455g/m^(2)である。その他の好適な非膨張層としては、3Mカンパニー(3M Company)より「インテラム1100HT(INTERAM 1100HT)」および「インテラム1101HT(INTERAM 1101HT)」という商品名で市販されているものが挙げられる。これらのマットのバルク密度は約0.15g/cm^(3)、単位面積当たりの重量は約440?約2100g/m^(2)である。これらのマットは結晶アルミナ繊維(すなわち、多結晶アルミナ繊維)を含有している。アルミノケイ酸マグネシウムガラス繊維を含むその他の好適な非膨張層は、3Mカンパニー(3M Company)より「INPE571.02.」という商品名で市販されている。このマットのバルク密度は約0.12g/cm^(3)、単位面積当たりの重量は約600?約1400g/m^(2)である。ニードル接合されたマットは、バルク密度が約0.16g/cm^(3)で、日本、東京の三菱化学株式会社(Mitsubishi Chemical Company,Tokyo,Japan)より「マフテックMLS-3(MAFTEC MLS-3)」という商品名で市販されている。このマットは、繊維の重量に基づいて、約72重量パーセントのAl_(2)O_(3)および約28重量パーセントのSiO_(2)を含有している。」(段落【0074】)

(キ)「【0080】
好適な膨張層は、3M(ミネソタ州、セントポール(St.Paul,MN))より「インテラム100(INTERAM 100」、「インテラム200(INTERAM 200)」、「インテラム550(INTERAM 550)」および「インテラム2000LT(INTERAM 2000LT)」という商品名で市販されている。これらのマットのバルク密度は、通常、約0.4?約0.7g/cm^(3)、および単位面積当たりの重量は約1050g/m^(2)?約8140g/m^(2)である。その他の好適な膨張層は、3Mより「INPE570」という商品名で市販されている。この層の単位面積当たりの重量は約1050g/m^(2)?約4070g/m^(2)であり、欧州の非分類繊維規則に適合する無機繊維を含有している。」(段落【0080】)

(ク)「【0120】
様々な層を、別個に作製して、接合することができる。ニードルパンチングまたはステッチボンディング技術を用いて、多層マットの様々な層を互いに接合することができる。多層マットの中には、非膨張層を第1の膨張層、第2の膨張層、またはこれらの組み合わせに結合させるために、接着剤を有しているものがある。各層は別個に作製して、接合することができる。接着剤は感圧接着剤またはホットメルト接着剤とすることができる。ある多層マットにおいては、接着剤は、例えば、ボスティック-フィンドレイ(Bostik-Findley)(英国、スタッフォード(Stafford,UK)))より「PE105-50」または「PE65-50」という商品名で市販されているようなホットメルト接着剤である。
【0121】
接着剤で接合されたある多層マットにおいて、接着剤は、隣接する膨張層のない非膨張層の少なくとも1つの領域に適用することができる。例えば、図2Aに概略を図示した多層マットにおいて、接着剤は、端部154および152に沿って適用することができる。」(段落【0120】及び【0121】)

(ケ)「【0135】
本発明の多層マットは、組成に応じて、様々な駆動および温度条件下で有利に用いることができる。多層マットは、周知の車両汚染防止装置に用いるのに好適である。
【0136】
膨張層を非膨張層間に挟むことにより、膨張材料を、膨張させるには十分な温度だが、膨張特性が変化するようには材料を永久的に変化させる温度ではない温度まで曝すことができる。バーミキュライトは、約700℃を超える温度に曝すと、その膨張特性を失う傾向がある。」(段落【0135】及び【0136】)

イ 上記ア及び図面の記載から分かること
(コ)上記ア(ア)ないし(ケ)及び図面(特に図7を参照。)の記載から、引用文献2には、入口12及び出口13を有する触媒コンバータ10における装着マット30として用いられる多層マット150が記載されていることが分かる。

(サ)上記ア(イ)(ウ)(特に段落【0013】を参照。)(エ)及び図面(特に図2Aを参照。)の記載から、引用文献2に記載された多層マット150は、対向する外周面と内周面と、長さLと、幅Wと、圧縮されていない厚みとを有する、無機繊維を含有する非膨張層110及び膨張層120を含むことが分かる。

(シ)上記ア(エ)(特に段落【0026】ないし【0028】を参照。)及び図面(特に図2Aを参照。)の記載から、引用文献2に記載された多層マット150は、非膨張層110と膨張層120とからなる部分(「第1の部分」という。)と、膨張層120を含まない部分(「第2の部分」という。)を含むことが分かる。ここで、第1の部分と第2の部分とは圧縮されていない状態における単位面積当たりの質量が異なることは自明である。したがって、引用文献2に記載された多層マット150において、無機繊維を含有する非膨張層110及び膨張層120が第1の圧縮されていない単位面積当たりの質量を有する第1の部分と、前記第1の単位面積当たりの質量と異なる第2の圧縮されていない単位面積当たりの質量を有する第2の部分とを含むことが分かる。

(ス)上記ア(ウ)ないし(キ)(特に(ウ)の段落【0013】、【0021】及び(エ)の【0026】ないし【0028】を参照。)及び図面(特に図2Aを参照。)の記載から、引用文献2に記載された多層マット150において、無機繊維を含有する非膨張層110及び膨張層120は、実質的に均一の単位面積当たりの質量を有する膨張層120と、膨張層の第1の主面と第2の主面の少なくとも1つに結合された非膨張層110とを含み、膨張層120又は非膨張層110の少なくとも1つが膨張性であることが分かる。

(セ)上記(ク)及び図面(特に図2Aを参照。)の記載から、引用文献2に記載された多層マット150は、各層を別個に作成し、ニードルパンチングや接着剤を使用して接合することにより作成されることが分かる。

(ソ)上記ア(ア)ないし(ケ)及び図面(特に図2A及び図7を参照。)の記載から、非膨張層が、無機繊維が前記触媒コンバータ10中に設置されるときに、該非膨張層が触媒コンバータ10の入口12に近接し且つ排気ガスに曝されるように無機繊維を含有する非膨張層110及び膨張層120が触媒コンバータ10中に配置されるように、膨張層に接合されていることが分かる。

ウ 引用発明2
上記ア、イ及び図面の記載から、引用文献2には、次の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されているといえる。

<引用発明2>
「入口12及び出口13を有する触媒コンバータ10における装着マット30として用いられる多層マット150であって、前記多層マット150が対向する外周面と内周面と、長さと、幅と、圧縮されていない厚みとを有する無機繊維を含有する非膨張層110及び膨張層120を含み、前記無機繊維を含有する非膨張層110及び膨張層120が第1の圧縮されていない単位面積当たりの質量を有する第1の部分と、前記第1の単位面積当たりの質量と異なる第2の圧縮されていない単位面積当たりの質量を有する第2の部分とを含み、前記無機繊維を含有する非膨張層110及び膨張層120が、実質的に均一の単位面積当たりの質量を有する膨張層120と、前記膨張層120の第1の主面と第2の主面の少なくとも1つに結合された非膨張層110とを含み、前記膨張層120又は前記非膨張層110の少なくとも1つが膨張性であり、前記非膨張層110が、前記無機繊維を含有する非膨張層110及び膨張層120が前記触媒コンバータ10中に設置されるときに、該非膨張層110が前記触媒コンバータ10の前記入口12に近接し且つ排気ガスに曝されるように前記無機繊維を含有する非膨張層110及び膨張層120が前記触媒コンバータ10中に配置されるように、前記膨張層120に接合されている、多層マット。」

(2)対比・判断
(2-1)本願補正発明と引用発明1との対比・判断
ア 対比
本願補正発明と引用発明1とを対比すると、引用発明1における「入口52」は、その技術的意義からみて、本願補正発明における「ガス吸気口端部」に相当し、以下同様に、「出口54」は「ガス排気口端部」に、「触媒コンバータ60」は「排気ガス処理装置」に、「マット10」は「取付けマットまたは端部コーン絶縁体として用いられるマット」及び「マット」に、「無機繊維を含む膨張性層及び非膨張性層」は「無機繊維のシート」に、「対向する外周面及び内周面」は「対向する第1の主表面と第2の主表面」に、「厚さ」は「圧縮されていない厚み」に、「面積当たりの質量」は「圧縮されていない基本質量」及び「基本質量」に、「暴露される」は「曝される」に、「位置づけられる」は「設置される」及び「配置される」に、それぞれ相当する。

また、本願補正発明において「ベースシート」又は「別のシート材料」の「少なくとも1つが膨張性」であることが特定されており、請求項3においては「前記別のシート材料が、非膨張性」と特定されていること(したがって、仮に、請求項1における「ベースシート」が「非膨張性」であるとすると、請求項3においては「ベースシート」又は「別のシート材料」の「少なくとも1つが膨張性」とならないこと)、膨張性材料は排気ガスの熱から保護される必要があるという技術常識(例えば、引用文献1の段落【0036】を参照。)、及び、本願明細書全体の記載からみて、引用発明1における「膨張性層」は、本願補正発明における「ベースシート」に相当する。
そして、引用発明1における「膨張性層の主要表面20A及び主要表面20Aの反対面」は、本願補正発明における「ベースシートの第1の主表面と第2の主表面」に相当する。
同様に、引用発明1における「非膨張性層」は、本願補正発明における「別のシート材料」に相当する。

そうすると、本願補正発明と引用発明1とは、
「ガス吸気口端部及びガス排気口端部を有する排気ガス処理装置における取付けマットまたは端部コーン絶縁体として用いられるマットであって、前記マットが対向する第1の主表面と第2の主表面と、長さと、幅と、圧縮されていない厚みとを有する無機繊維のシートを含み、前記無機繊維のシートが第1の圧縮されていない基本質量を有する第1の部分と、前記第1の基本質量と異なる第2の圧縮されていない基本質量を有する第2の部分とを含み、前記無機繊維のシートが、実質的に均一の基本質量を有するベースシートと、前記ベースシートの第1の主表面と第2の主表面の少なくとも1つに結合された別のシート材料とを含み、前記ベースシート又は前記別のシート材料の少なくとも1つが膨張性であり、前記別のシート材料が、前記無機繊維のシートが前記排気ガス処理装置中に設置されるときに、該別のシート材料が前記排気ガス処理装置の前記ガス吸気口端部に近接し且つ排気ガスに曝されるように前記無機繊維のシートが前記排気ガス処理装置中に配置されるように、前記ベースシートに結合されている、マット。」
という点で一致し、相違点はない。

イ 判断
したがって、本願補正発明は、引用発明1であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

(2-2)本願補正発明と引用発明2との対比・判断
ア 対比
本願補正発明と引用発明2とを対比すると、引用発明2における「入口12」は、その技術的意義からみて、本願補正発明における「ガス吸気口端部」に相当し、以下同様に、「出口13」は「ガス排気口端部」に、「触媒コンバータ10」は「排気ガス処理装置」に、「装着マット30」は「取付けマットまたは端部コーン絶縁体」に、「多層マット150」は「マット」に、「対向する外周面と内周面」は「対向する第1の主表面と第2の主表面」に、「無機繊維を含有する膨張層及び非膨張層」は「無機繊維のシート」に、「単位面積当たりの質量」は「基本質量」に、「第1の部分」は「第1の部分」に、「第2の部分」は「第2の部分」に、「接合」は「結合」に、それぞれ相当する。

また、本願補正発明において「ベースシート」又は「別のシート材料」の「少なくとも1つが膨張性」であることが特定されており、請求項3においては「前記別のシート材料が、非膨張性」と特定されていること(したがって、仮に、請求項1における「ベースシート」が「非膨張性」であるとすると、請求項3においては「ベースシート」又は「別のシート材料」の「少なくとも1つが膨張性」とならないこと)、膨張性材料は排気ガスの熱から保護される必要があるという技術常識(例えば、引用文献1の段落【0036】を参照。)、及び、本願明細書全体の記載からみて、引用発明2における「膨張層」は、本願補正発明における「ベースシート」に相当する。
そして、引用発明2における「膨張層の第1の主面」は、本願補正発明における「ベースシートの第1の主表面」に相当し、引用発明2における「膨張層の第2の主面」は、本願補正発明における「ベースシートの第2の主表面」に相当する。
同様に、引用発明2における「非膨張層」は、本願補正発明における「別のシート材料」に相当する。

そうすると、本願補正発明と引用発明2とは、
「ガス吸気口端部及びガス排気口端部を有する排気ガス処理装置における取付けマットまたは端部コーン絶縁体として用いられるマットであって、前記マットが対向する第1の主表面と第2の主表面と、長さと、幅と、圧縮されていない厚みとを有する無機繊維のシートを含み、前記無機繊維のシートが第1の圧縮されていない基本質量を有する第1の部分と、前記第1の基本質量と異なる第2の圧縮されていない基本質量を有する第2の部分とを含み、前記無機繊維のシートが、実質的に均一の基本質量を有するベースシートと、前記ベースシートの第1の主表面と第2の主表面の少なくとも1つに結合された別のシート材料とを含み、前記ベースシート又は前記別のシート材料の少なくとも1つが膨張性であり、前記別のシート材料が、前記無機繊維のシートが前記排気ガス処理装置中に設置されるときに、該別のシート材料が前記排気ガス処理装置の前記ガス吸気口端部に近接し且つ排気ガスに曝されるように前記無機繊維のシートが前記排気ガス処理装置中に配置されるように、前記ベースシートに結合されている、マット。」
という点で一致し、相違点はない。

イ 判断
したがって、本願補正発明は、引用発明2であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

(3)まとめ
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、[補正の却下の決定の結論]のとおり決定する。

第3 本願発明について
1 本願発明
平成29年1月5日付けの手続補正は上記のとおり決定をもって却下されたので、本願の特許請求の範囲は、平成28年4月14日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲及び願書に最初に添付された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし10に記載されたとおりのものと認められるところ、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、上記第2の[理由]の1(1)の【請求項1】に記載したとおりである。

2 刊行物
原査定の拒絶の理由に引用された、本願のもとの出願の優先日前に頒布された引用文献1には、図面とともに、上記第2の[理由]の3(1)(1-1)に摘記したとおりの事項、及び次の発明(以下、「引用発明1’」という。)が記載されている。

<引用発明1’>
「入口52及び出口54を有する触媒コンバータ60における実装マットとして用いられるマット10であって、マット10が対向する外周面及び内周面と、長さと、幅と、厚さとを有する無機繊維を含む膨張性層及び非膨張性層を含み、前記無機繊維を含む膨張性層及び非膨張性層が第1の面積当たりの質量を有する第1の部分と、前記第1の面積当たりの質量と異なる第2の面積当たりの質量を有する第2の部分とを含み、前記無機繊維を含む膨張性層及び非膨張性層が、実質的に均一の面積当たりの質量を有する膨張性層と、膨張性層の主要表面20A及び主要表面20Aの反対面の少なくとも1つに結合された非膨張性層とを含み、前記膨張性層又は前記非膨張性層の少なくとも1つが膨張性であり、前記非膨張性層が、前記無機繊維を含む膨張性層及び非膨張性層が前記触媒コンバータ60中に位置づけられるときに、該非膨張性層が前記触媒コンバータ60の入口に近接するように前記無機繊維を含む膨張性層及び非膨張性層が前記触媒コンバータ60中に位置づけられるように、前記膨張性層に結合されている、マット。」

また、原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先日前に頒布された引用文献2には、図面とともに、上記第2の[理由]の3(1)(1-2)に摘記したとおりの事項及び引用発明2’が記載されている。

<引用発明2’>
「入口12及び出口13を有する触媒コンバータ10における装着マット30として用いられる多層マット150であって、前記多層マット150が対向する外周面と内周面と、長さと、幅と、圧縮されていない厚みとを有する無機繊維を含有する非膨張層110及び膨張層120を含み、前記無機繊維を含有する非膨張層110及び膨張層120が第1の圧縮されていない単位面積当たりの質量を有する第1の部分と、前記第1の単位面積当たりの質量と異なる第2の圧縮されていない単位面積当たりの質量を有する第2の部分とを含み、前記無機繊維を含有する非膨張層110及び膨張層120が、実質的に均一の単位面積当たりの質量を有する膨張層120と、前記膨張層120の第1の主面と第2の主面の少なくとも1つに結合された非膨張層110とを含み、前記膨張層120又は前記非膨張層110の少なくとも1つが膨張性であり、前記非膨張層110が、前記無機繊維が前記触媒コンバータ10中に設置されるときに、該非膨張層110が前記触媒コンバータ10の前記入口12に近接するように前記無機繊維を含有する非膨張層110及び膨張層120が前記触媒コンバータ10中に配置されるように、前記膨張層120に接合されている、多層マット。」

3 対比・判断
ア 対比・判断1(本願発明と引用発明1’との対比・判断)
本願発明と引用発明1’とを対比すると、引用発明1’における「入口52」は、その技術的意義からみて、本願発明における「ガス吸気口端部」に相当し、以下同様に、「出口54」は「ガス排気口端部」に、「触媒コンバータ60」は「排気ガス処理装置」に、「マット10」は「取付けマットまたは端部コーン絶縁体として用いられるマット」及び「マット」に、「無機繊維を含む膨張性層及び非膨張性層」は「無機繊維のシート」に、「対向する外周面及び内周面」は「対向する第1の主表面と第2の主表面」に、「厚さ」は「圧縮されていない厚み」に、「面積当たりの質量」は「圧縮されていない基本質量」及び「基本質量」に、「位置づけられる」は「設置される」及び「配置される」に、それぞれ相当する。

また、本願発明において「ベースシート」又は「別のシート材料」の「少なくとも1つが膨張性」であることが特定されており、請求項3においては「前記別のシート材料が、非膨張性」と特定されていること(したがって、仮に、請求項1における「ベースシート」が「非膨張性」であるとすると、請求項3においては「ベースシート」又は「別のシート材料」の「少なくとも1つが膨張性」とならないこと)、膨張性材料は排気ガスの熱から保護される必要があるという技術常識(例えば、引用文献1の段落【0036】を参照。)、及び、本願明細書全体の記載からみて、引用発明1における「膨張性層」は、本願発明における「ベースシート」に相当する。
そして、引用発明1’における「膨張性層の主要表面20A及び主要表面20Aの反対面」は、本願発明における「ベースシートの第1の主表面と第2の主表面」に相当する。
同様に、引用発明1’における「非膨張性層」は、本願発明における「別のシート材料」に相当する。

したがって、本願発明と引用発明1’とは、
「ガス吸気口端部及びガス排気口端部を有する排気ガス処理装置における取付けマットまたは端部コーン絶縁体として用いられるマットであって、前記マットが対向する第1の主表面と第2の主表面と、長さと、幅と、圧縮されていない厚みとを有する無機繊維のシートを含み、前記無機繊維のシートが第1の圧縮されていない基本質量を有する第1の部分と、前記第1の基本質量と異なる第2の圧縮されていない基本質量を有する第2の部分とを含み、前記無機繊維のシートが、実質的に均一の基本質量を有するベースシートと、前記ベースシートの第1の主表面と第2の主表面の少なくとも1つに結合された別のシート材料とを含み、前記ベースシート又は前記別のシート材料の少なくとも1つが膨張性であり、前記別のシート材料が、前記無機繊維のシートが前記排気ガス処理装置中に設置されるときに、該別のシート材料が前記排気ガス処理装置の前記ガス吸気口端部に近接するように前記無機繊維のシートが前記排気ガス処理装置中に配置されるように、前記ベースシートに結合されている、マット。」
という点で一致し、相違点はない。

したがって、本願発明は、引用発明1’である。

イ 対比・判断2(本願発明と引用発明2’との対比・判断)
上記相違点について検討する。
本願発明と引用発明2’とを対比すると、引用発明2’における「入口12」は、その技術的意義からみて、本願発明における「ガス吸気口端部」に相当し、以下同様に、「出口13」は「ガス排気口端部」に、「触媒コンバータ10」は「排気ガス処理装置」に、「装着マット30」は「取付けマットまたは端部コーン絶縁体」に、「多層マット150」は「マット」に、「対向する外周面と内周面」は「対向する第1の主表面と第2の主表面」に、「無機繊維を含有する膨張層及び非膨張層」は「無機繊維のシート」に、「単位面積当たりの質量」は「基本質量」に、「第1の部分」は「第1の部分」に、「第2の部分」は「第2の部分」に、「接合」は「結合」に、それぞれ相当する。

また、本願発明において「ベースシート」又は「別のシート材料」の「少なくとも1つが膨張性」であることが特定されており、請求項3においては「前記別のシート材料が、非膨張性」と特定されていること(したがって、仮に、請求項1における「ベースシート」が「非膨張性」であるとすると、請求項3においては「ベースシート」又は「別のシート材料」の「少なくとも1つが膨張性」とならないこと)、膨張材料は排気ガスの熱から保護される必要があるという技術常識(例えば、引用文献1の段落【0036】を参照。)、及び、本願明細書全体の記載からみて、引用発明2’における「膨張層」は、本願発明における「ベースシート」に相当する。
そして、引用発明2’における「膨張層の第1の主面」は、本願発明における「ベースシートの第1の主表面」に相当し、引用発明2’における「膨張層の第2の主面」は、本願発明における「ベースシートの第2の主表面」に相当する。
同様に、引用発明2’における「非膨張層」は、本願発明における「別のシート材料」に相当する。

そうすると、本願発明と引用発明2’とは、
「ガス吸気口端部及びガス排気口端部を有する排気ガス処理装置における取付けマットまたは端部コーン絶縁体として用いられるマットであって、前記マットが対向する第1の主表面と第2の主表面と、長さと、幅と、圧縮されていない厚みとを有する無機繊維のシートを含み、前記無機繊維のシートが第1の圧縮されていない基本質量を有する第1の部分と、前記第1の基本質量と異なる第2の圧縮されていない基本質量を有する第2の部分とを含み、前記無機繊維のシートが、実質的に均一の基本質量を有するベースシートと、前記ベースシートの第1の主表面と第2の主表面の少なくとも1つに結合された別のシート材料とを含み、前記ベースシート又は前記別のシート材料の少なくとも1つが膨張性であり、前記別のシート材料が、前記無機繊維のシートが前記排気ガス処理装置中に設置されるときに、該別のシート材料が前記排気ガス処理装置の前記ガス吸気口端部に近接するように前記無機繊維のシートが前記排気ガス処理装置中に配置されるように、前記ベースシートに結合されている、マット。」
という点で一致し、相違点はない。

したがって、本願発明は、引用発明2’である。

4 まとめ
以上のとおり、本願発明は、引用発明1’であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
また、本願発明は、引用発明2’であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。

第4 結語
上記第3のとおり、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないので、本願の他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。


〔付言〕
なお、平成29年6月14日付け上申書に記載された補正案の請求項1に係る発明についても、引用文献2に記載された発明である(上記3(2)(1-2)ア(ケ)の段落【0136】の記載も参照されたい。)から、特許法第29条第1項第3号に該当し、又は、引用文献2に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
 
審理終結日 2017-12-12 
結審通知日 2017-12-18 
審決日 2018-01-04 
出願番号 特願2014-228321(P2014-228321)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (F01N)
P 1 8・ 113- Z (F01N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 石川 貴志山田 由希子  
特許庁審判長 冨岡 和人
特許庁審判官 八木 誠
金澤 俊郎
発明の名称 可変基本質量取付けマットまたはプレフォームおよび排気ガス処理装置  
代理人 山崎 一夫  
代理人 浅井 賢治  
代理人 西島 孝喜  
代理人 市川 さつき  
代理人 箱田 篤  
代理人 服部 博信  
代理人 田中 伸一郎  
代理人 弟子丸 健  
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