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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F
管理番号 1340869
審判番号 不服2017-8781  
総通号数 223 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-07-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-06-15 
確定日 2018-06-19 
事件の表示 特願2016-180566「意匠情報管理装置および意匠情報管理方法」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 5月25日出願公開、特開2017- 91506、請求項の数(4)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成27年11月2日に出願した特願2015-216167号の一部を平成28年9月15日に新たな特許出願としたものであって、平成28年12月19日付けで拒絶理由が通知され、それに応答して、平成29年3月1日付けで意見書及び手続補正書が提出され、平成29年4月12日付けで拒絶査定(原査定)がされた。これに対し、平成29年6月15日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正書が提出されたものである。


第2 原査定の概要
原査定(平成29年4月12日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

本願請求項1-6に係る発明は、以下の引用文献1-3に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.特開2015-69635号公報
2.特開2012-73864号公報
3.特開2001-282795号公報


第3 審判請求時の補正について
審判請求時の補正は、特許法第17条の2第3項から第6項までの要件に違反しているものとはいえない。
審判請求時に特許請求の範囲についてされた補正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。そして、「第4 本願発明」から「第6 対比・判断」までに示すように、補正後の請求項1-4に係る発明は、独立特許要件を満たすものである。


第4 本願発明
本願請求項1-4に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明4」という。)は、平成29年6月15日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-4に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1は以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
意匠に関する図面情報と、当該意匠を一意に特定する意匠特定情報を含む属性情報とが関連付けられた意匠情報を記憶する意匠情報データベースと、
前記意匠情報データベースから、ユーザーにより設定された検索条件に適合する意匠情報を検索する意匠情報検索部と、
前記意匠情報検索部により検索された意匠情報の意匠特定情報を記憶する検索結果記憶部と、
前記検索結果記憶部に記憶された意匠特定情報のうち、前記ユーザーに選択された意匠特定情報を記憶するユーザー記憶部と、
複数の前記ユーザー記憶部に対応する複数の表示領域のそれぞれに、当該ユーザー記憶部に記憶されている意匠特定情報に対応付けられている図面情報を表示させる表示制御処理を行う図面情報表示制御部と、
を備える意匠情報管理装置。」

本願発明2、3は、概略、本願発明1を減縮した発明である。

本願発明4は、概略、本願発明1の内容を方法のカテゴリーで記載した発明である。


第5 引用文献、引用発明等
1.引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用された特開2015-69635号公報(以下、「引用文献1」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。(下線は、当審で付した。)

「【0022】
図1は、本実施形態に係る意匠情報表示システム3のシステム構成図である。図1に示す通り、意匠情報表示システム3は、意匠情報表示装置1及び意匠情報DB2を含んで構成される。意匠情報表示装置1と意匠情報DB2とは、ネットワークによって互いに接続されており、互いに情報の送受信が可能である。なお、意匠情報表示装置1と意匠情報DB2とは物理的に離れた場所に存在していてもよいし、意匠情報DB2が意匠情報表示装置1の装置内に組み込まれていてもよい。
【0023】
意匠情報表示装置1は、ユーザの指示や外部装置等からの指示等に基づいて、意匠に関する意匠情報を検索、表示及び出力するコンピュータ装置である。意匠情報表示装置1の詳細については後述する。
【0024】
意匠情報DB2は、意匠に関する意匠情報を記憶する意匠情報データベースである。意匠情報DB2は、ネットワーク上のデータベース装置であってもよいし、意匠情報表示装置1内に組み込まれたデータベースであってもよいし、意匠情報表示装置1の(キャッシュ)メモリ上の設けられた論理的なデータベースであってもよい。本実施形態では、意匠情報の具体例として、意匠法第六十6条に則って日本の特許庁が発行する意匠公報に含まれる情報を採用する。意匠公報には、データ項目として、発行日、登録番号、登録日、意匠に係る物品、部分意匠、関連意匠の意匠登録番号、本意匠の意匠登録番号、本意匠に係る他の関連意匠の意匠登録番号、意匠分類、出願番号、出願日、創作者、意匠権者及び図面等が含まれる。これらのデータ項目のデータは、一般的には、図面以外はテキスト情報として、図面が画像情報として構成される。本実施形態において説明する意匠情報には、当該意匠情報が示す意匠の図面を少なくとも含んでいてもよい。なお、本実施形態では、意匠情報の具体例として意匠公報を採用したが、これに限定されるものではない。意匠情報は、意匠に関する情報であれば如何なる情報であってもよい。
【0025】
図2は、意匠情報DB2に記憶されているデータのテーブル例を示す図である。図2に示す通り、意匠情報DB2では、意匠公報に含まれる登録番号、登録日、本意匠の意匠登録番号、意匠権者及び図面が、互いに関連付いて記憶されている。一つのテーブルレコード(すなわち、一つの意匠情報)において、各データ項目に対してデータが登録されてなくてもよいし、一つ以上のデータが登録されていてもよい。例えば、図1に示す、登録番号が「00001」の意匠情報において、「本意匠の意匠登録番号」に対するデータは登録されていない。これは、当該意匠情報が示す意匠は、関連意匠(あるいは類似意匠)ではないことを示している。また、当該意匠情報において、「図面」に対するデータは二つ以上登録されている。なお、登録番号が「00002」の意匠情報において、「本意匠の意匠登録番号」として「00001」が登録されているため、登録番号が「00002」の意匠情報は、登録番号が「00001」の意匠情報が示す本意匠に類似する関連意匠を示す意匠情報であることを示している。ここで、本実施形態における関連意匠とは、意匠法第十条で規定されている、本意匠に類似する意匠を示す。」

「【0035】
第一入力部10は、意匠情報に関する検索指示情報を入力する。検索指示情報は、ユーザによって入力されたものでもよいし、意匠情報表示装置1内に予め記憶されていた所定の検索条件でもよいし、他の装置から入力されたものでもよい。第一入力部10は、入力した意匠情報に関する検索指示情報の一部又は全てを、後述の第一検索部11に出力する。
【0036】
図4に示す画面Sに基づいた具体例で説明すると、第一入力部10は、第一入力領域I1においてユーザによって入力された意匠情報に関する検索条件や検索実行指示等の検索指示情報を入力する。意匠情報に関する検索条件の例としては、意匠公報における登録番号、登録日、意匠権者及び図面等の意匠公報に含まれるデータ項目に対する絞り込み条件が挙げられる。ユーザが、第一入力領域I1において、意匠情報に関する検索条件をテキストフィールドやドロップダウンリストやラジオボタンやチェックボックス等を利用して入力し、検索ボタンを押下することで、当該検索条件及び検索実行指示が第一入力部10に入力される。
【0037】
第一検索部11は、意匠情報DB2から意匠情報を検索する。より具体的には、第一検索部11は、第一入力部10によって出力された意匠情報に関する検索指示情報を入力し、入力された検索指示情報に基づいて、意匠情報DB2から意匠情報を検索する。第一検索部11は、意匠情報DB2に対する検索の処理については、一般的な情報検索技術を利用する。第一検索部11は、検索結果、すなわち第一入力部10によって入力された意匠情報に関する検索条件を満たす意匠情報を、後述の第一表示部12及び第二検索部14に出力する。第一検索部11は、検索結果を意匠情報表示装置1内の(キャッシュ)メモリにさらに出力してもよい。」
「【0040】
第一表示部12は、第一検索部11によって検索された意匠情報を第一表示領域D1に表示する。より具体的には、第一表示部12は、第一検索部11によって出力された意匠情報を入力し、入力された意匠情報を所定の表示形式にて第一表示領域D1に表示する。第一表示部12は、意匠情報を表示する際に、当該意匠情報に含まれる図面を少なくとも表示してもよい。
【0041】
図4に示す画面Sに基づいた具体例で説明すると、第一入力領域I1においてユーザによって入力された検索指示情報に基づいて第一検索部11によって検索された意匠情報が、第一表示部12によって第一表示領域D1に表示される。図4に示す第一表示領域D1には、検索された各意匠情報について、当該意匠情報に含まれる一つの図面のみが表示されている。また、図4に示す第一表示領域D1には、検索された意匠情報のうち9つの意匠情報が表示されており、ユーザは、スクロールバーを利用してその他の検索された意匠情報を表示することができる。」

「【0044】
第二入力部13は、第一表示領域D1(第二入力領域I2)に表示されている意匠情報のうち、ユーザによって選択された意匠情報の識別情報を入力する。識別情報の具体例としては、意匠情報ごとに割り当てられたIDや、意匠情報に含まれる当該意匠情報を一意に特定可能な情報(例えば、意匠公報における登録番号)が挙げられる。ユーザは、第一表示領域D1(第二入力領域I2)に表示されている意匠情報のうち、一つの意匠情報を選択してもよいし、複数の意匠情報を選択してもよい。それに対応するように、第二入力部13は、一つの意匠情報の識別情報を入力してもよいし、複数の意匠情報の識別情報を入力してもよい。第二入力部13は、入力された意匠情報の識別情報を後述の第二検索部14に出力する。
【0045】
図4に示す画面Sに基づいた具体例で説明すると、第二入力部13は、第二入力領域I2においてユーザによって選択された意匠情報である左上の意匠情報(丸の図面)の識別情報を入力する。
【0046】
第二検索部14は、第一表示領域D1に表示された意匠情報のうちユーザによって選択された意匠情報に関連する意匠情報を意匠情報DB2から検索する。より具体的には、第二検索部14は、第二入力部13によって出力された意匠情報の識別情報を入力し、入力された意匠情報の識別情報と、関連する意匠情報に関する検索条件とに基づいて、意匠情報DB2から関連する意匠情報を検索する。第二検索部14は、意匠情報DB2に対する検索の処理については、一般的な情報検索技術を利用する。上述の、関連する意匠情報に関する検索条件は、ユーザが指定したものでもよいし、意匠情報表示装置1に予め記憶されているものでもよい。また第二検索部14は、関連する意匠情報を、意匠情報DB2からではなく、第一検索部11によって検索された意匠情報や意匠情報表示装置1内の(キャッシュ)メモリに記憶された意匠情報から検索(抽出)してもよいし、意匠情報DB2と第一検索部11によって検索された意匠情報と意匠情報表示装置1内の(キャッシュ)メモリに記憶された意匠情報とのうち少なくとも一つ以上から検索してもよい。また、第二検索部14は、関連する意匠情報として、ユーザによって選択された意匠情報自体も含んだ意匠情報を検索してもよい。すなわち、関連する意匠情報には、関連元の意匠情報を含んでもよい。第二検索部14は、検索結果である関連する意匠情報を、後述の第二表示部15に出力する。」

したがって、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「意匠公報に含まれる登録番号、登録日、本意匠の意匠登録番号、意匠権者及び図面が、互いに関連付けられた意匠情報を記憶する意匠情報データベースと、
前記意匠情報データベースから、ユーザによって入力された検索条件に基づいて意匠情報を検索する第一検索部と、
前記第一検索部による検索結果が出力されるメモリと、
検索結果に含まれる意匠情報のうち、ユーザによって選択された意匠情報の識別情報(例えば、意匠公報における登録番号)を入力する第二入力部と、
検索された意匠情報に含まれる図面を表示する第一表示部と、
を備える意匠情報表示装置。」


2.引用文献2について
また、原査定の拒絶の理由において引用された特開2012-73864号公報(以下、「引用文献2」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。(下線は、当審で付した。)

「【0021】
以上のような構成により、クライアント2は検索空間設定サーバ1と検索サーバ3を経由してファイルサーバ4にファイル検索要求を送信することができる。また、ファイルサーバ1は検索サーバ3と検索空間設定サーバ1を経由してクライアント2にファイル検索結果データ、すなわち検索条件に合致するファイルのファイル名、URL等(以下「検索結果データ」と略記する。)を送信することができる。」

「【0050】
図5は、レポートファイル18のデータ構成の一例を示す。
レポートファイル18は、1以上のレポートレコード180から構成される。レポートレコード180は、検索空間設定部12による検索結果データを記憶するレコードである。レポートレコード180には、検索空間設定部12が検索部31から受信した検索結果データが記憶される。より正確には、後述するように、検索空間設定部12が検索部31から受信した検索結果データはクライアント2の表示装置27に表示される。そして、クライアント2の操作者が表示された検索結果データのうち、レポートレコード180に記憶すべきものを選択し、クライアント2が選択された検索結果データを検索空間設定サーバ1に送信する。検索空間設定部12は、送信された検索結果データを元にレポートレコード180を作成する。
レポートレコード180は、レポートID181と、レポート名182と、検索空間ID183と、検索結果184の各データ項目から構成される。検索結果184は1以上(n個)存在する。
【0051】
レポートID181には、レポートレコード180を一意に識別可能なIDが“report01”のように設定される。例えば、図示していないが記憶装置16に0を初期値とするカウンタを記憶しておく。そして、検索空間設定部12は、レポートレコード180を作成するたびに、カウンタの値を1アップして“report”とつなぎ合わせてレポートID181に設定すればよい。
レポート名182には、例えば“開発計画書”のように、そのレポートレコード180の名称が設定される。
検索空間ID183には、例えば“VSS1”のように、検索対象とした検索空間の検索空間ID171が設定される。
検索結果184には、検索空間設定部12が検索部31から検索結果データとして受信したファイルそのものの内容、そのファイル名、そのファイルのURL等が設定される。例えば、ファイル名とURL等を含んだHTML形式のデータを設定しておくことで、そのままWEBページの一部として表示させることが可能である。」

「【0078】
<レポート作成処理要求>
クライアント2の操作者は、検索結果表示部(G103)に表示されたファイルの全てまたは一部を選択して、レポートファイル18に記憶させることができる。検索結果データをレポートファイル18に記憶させておくことで、同じ検索を何度も行うといった無駄をなくすことができる。また、検索結果データのうち、検索目的に合致したファイルのみを選択して記憶しておくことで、例えば同じ開発プロジェクト内部で検索結果を共有することもできる。このように、レポートファイル18からノイズの小さい検索結果を得ることができる。さらに、レポートファイル18には、複数のクライアント2の操作者により検索目的に合致したファイルが徐々に蓄積されるので、時間の経過とともにレポートファイル18として多量かつノイズが小さい検索空間がいわば成長していくことになる。」


第6 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。

引用発明における「図面」は、本願発明1における「意匠に関する図面情報」に相当する。また、引用発明における「意匠公報に含まれる登録番号」は、意匠を一意に特定する情報であるから、本願発明1における「当該意匠を一意に特定する意匠特定情報」に相当し、引用発明における「意匠公報に含まれる登録番号、登録日、本意匠の意匠登録番号、意匠権者」の各データ項目は、いずれも意匠に関する図面情報と関連付けられた意匠の属性情報に相当する。してみると、引用発明は、本願発明1における「意匠に関する図面情報と、当該意匠を一意に特定する意匠特定情報を含む属性情報とが関連付けられた意匠情報を記憶する意匠情報データベース」に相当する構成を備えているといえる。

引用発明における「前記意匠情報データベースから、ユーザによって入力された検索条件に基づいて意匠情報を検索する第一検索部」は、本願発明1における「前記意匠情報データベースから、ユーザーにより設定された検索条件に適合する意匠情報を検索する意匠情報検索部」に相当する。

引用発明は「前記第一検索部による検索結果が出力されるメモリ」を備えており、検索結果である意匠情報は意匠を特定する情報を含むから、引用発明は本願発明1における「前記意匠情報検索部により検索された意匠情報の意匠特定情報を記憶する検索結果記憶部」に相当する構成を備えているといえる。

引用発明における「意匠情報表示装置」は、意匠情報データベースを備えて意匠情報を管理するものであるから、本願発明1における「意匠情報管理装置」に相当する。

本願発明1は「複数の前記ユーザー記憶部に対応する複数の表示領域のそれぞれに、当該ユーザー記憶部に記憶されている意匠特定情報に対応付けられている図面情報を表示させる表示制御処理を行う図面情報表示制御部」を備えるのに対し、引用発明は「検索された意匠情報に含まれる図面を表示する第一表示部」を備えており、両者はいずれも、意匠についての図面を表示する表示制御部を備えるものといえる。よって本願発明1と引用発明とは「図面情報表示制御部」を備える点で共通する。

引用発明は「検索結果に含まれる意匠情報のうち、ユーザによって選択された意匠情報の識別情報(例えば、意匠公報における登録番号)を入力する第二入力部」を備えている。引用発明における「意匠情報の識別情報」は、本願発明1における「意匠特定情報」に相当する。また、引用発明において「第二入力部」が入力する「意匠情報の識別情報」が「メモリ」(本願発明1の「検索結果記憶部」に相当する。)に記憶されたものであることは明らかである。よって引用発明は本願発明1における「前記検索結果記憶部に記憶された意匠特定情報のうち、前記ユーザーに選択された意匠特定情報」を入力する構成を備えているといえる。

したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。

(一致点)
「意匠に関する図面情報と、当該意匠を一意に特定する意匠特定情報を含む属性情報とが関連付けられた意匠情報を記憶する意匠情報データベースと、
前記意匠情報データベースから、ユーザーにより設定された検索条件に適合する意匠情報を検索する意匠情報検索部と、
前記意匠情報検索部により検索された意匠情報の意匠特定情報を記憶する検索結果記憶部と、
図面情報表示制御部と、
を備える意匠情報管理装置。」

(相違点)
(相違点1)本願発明1は「前記検索結果記憶部に記憶された意匠特定情報のうち、前記ユーザーに選択された意匠特定情報を記憶するユーザー記憶部」を備えるのに対し、引用発明は「前記検索結果記憶部に記憶された意匠特定情報のうち、前記ユーザーに選択された意匠特定情報」を入力する構成を備えるものの、入力された意匠特定情報を「記憶するユーザー記憶部」を備えていない点。

(相違点2)本願発明1は「複数の前記ユーザー記憶部に対応する複数の表示領域のそれぞれに、当該ユーザー記憶部に記憶されている意匠特定情報に対応付けられている図面情報を表示させる表示制御処理を行う図面情報表示制御部」を備えるのに対し、引用発明は「図面情報表示制御部」を備える点で共通するものの、「複数の前記ユーザー記憶部に対応する複数の表示領域のそれぞれに、当該ユーザー記憶部に記憶されている意匠特定情報に対応付けられている図面情報を表示させる表示制御処理を行う」構成とはなっていない点。

(2)相違点についての判断
ア 相違点1について
引用文献2には、
「検索結果として得られた複数の項目のうち、操作者に選択された項目について、当該項目を特定する情報を記憶させる」
との技術思想が開示されている。引用発明において、引用文献2に記載された技術事項を適用し、「前記検索結果記憶部に記憶された意匠特定情報のうち、前記ユーザーに選択された意匠特定情報」を「記憶するユーザー記憶部」を備える構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

イ 相違点2について
引用文献2には、相違点2の「複数の前記ユーザー記憶部に対応する複数の表示領域のそれぞれに、当該ユーザー記憶部に記憶されている意匠特定情報に対応付けられている図面情報を表示させる表示制御処理を行う」に相当する構成は開示されておらず、当該構成は、引用発明に引用文献2に記載の技術事項を組み合わせても当業者が容易に想到し得たものとはいえない。
また、引用文献3の記載を見ても、相違点2に対応する構成は開示されておらず、当業者が容易に想到し得たものとはいえない。

したがって、本願発明1は、当業者であっても、引用発明及び引用文献2ないし引用文献3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

2.本願発明2、3について
本願発明2、3も、本願発明1の「複数の前記ユーザー記憶部に対応する複数の表示領域のそれぞれに、当該ユーザー記憶部に記憶されている意匠特定情報に対応付けられている図面情報を表示させる表示制御処理を行う」と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2ないし引用文献3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

3.本願発明4について
本願発明4は、本願発明1に対応する方法の発明であり、本願発明1の「複数の前記ユーザー記憶部に対応する複数の表示領域のそれぞれに、当該ユーザー記憶部に記憶されている意匠特定情報に対応付けられている図面情報を表示させる表示制御処理を行う」に対応する構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2ないし引用文献3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。


第7 原査定について
上記「第6 対比・判断」で検討した通り、審判請求時の補正により、本願発明1-4は、「複数の前記ユーザー記憶部に対応する複数の表示領域のそれぞれに、当該ユーザー記憶部に記憶されている意匠特定情報に対応付けられている図面情報を表示させる表示制御処理を行う」という事項を有するものとなっており、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献1-3に基づいて、容易に発明できたものとはいえない。したがって、原査定の理由を維持することはできない。


第8 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2018-06-04 
出願番号 特願2016-180566(P2016-180566)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G06F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 川▲崎▼ 博章伊藤 隆夫山本 俊介  
特許庁審判長 渡邊 聡
特許庁審判官 相崎 裕恒
宮久保 博幸
発明の名称 意匠情報管理装置および意匠情報管理方法  
代理人 鷲田 公一  

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