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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01R
管理番号 1340942
審判番号 不服2017-2657  
総通号数 223 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-07-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-02-24 
確定日 2018-06-07 
事件の表示 特願2013- 26900号「コネクタ」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 8月28日出願公開、特開2014-157678号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成25年2月14日の出願であって、平成28年9月12日付けで拒絶理由が通知され、同年10月31日に意見書及び手続補正書が提出されたが、同年11月21日付けで拒絶査定がなされ、これに対し平成29年2月24日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。
そして、本願の請求項1?3に係る発明は、平成28年10月31日の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1?3に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は次のとおりのものである。
「【請求項1】
機器隔壁の貫通孔に貫装されて当該機器の内外の配線を接続するコネクタであって、
前記貫通孔に貫装される筒状側壁を有し、その筒状側壁の内部空間の中央部に形成された仕切り壁により当該内部空間の機器内側と機器外側とが仕切られたコネクタハウジングと、
前記仕切り壁の機器内側表面,機器外側表面のうち少なくとも何れか一方から筒状側壁の軸心方向に突出して形成され、当該筒状側壁の内周面の周方向に沿って延在して当該筒状側壁の内径よりも小径の環状リブと、
前記環状リブと筒状側壁の内周面との間に形成され、当該筒状側壁の内周面の周方向に沿って延在した環状溝と、
前記環状リブ内側にシール材を充填し固化して形成された被覆シール部材と、
前記筒状側壁の軸心方向に沿って延在する端子であって前記仕切り壁および環状リブ内側の被覆シール部材を貫通し両端がそれぞれ前記内部空間における機器内側,機器外側に突出する少なくとも一つの中継端子と、
を一体化して成ることを特徴とするコネクタ。」

2.原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1?3に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1?3に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

引用文献1.特開2002-25683号公報
引用文献2.特開2000-40551号公報
引用文献3.特開2000-133364号公報

3.引用文献
(1)引用文献1に記載された事項及び引用発明
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。
なお、下線は当審で付したものである。以下同様。

「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シール材を充填した防水型のコネクタに関する。」

「【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を図1ないし図4に基づいて説明する。本実施形態では機器直結型の雄コネクタMを例示しており、図2に示すように、機器と一体的に形成されたコネクタハウジング10からフード11が突設された構造となっている。フード11は角に丸みを付けた角筒状に形成されており、このフード11内に、雌側端子金具が収容された相手の雌側のコネクタF(図3の鎖線参照)が嵌合可能とされている。
【0008】フード11の内壁は、底面から全深さの1/3弱立ち上がった位置から上方が一回り広がった段付き状に形成されており、その段付部が、雌コネクタFの先端の外周縁を突き当てる、すなわち雌コネクタFを正規の嵌合位置に停止させる停止部13とされている。フード11の底面の中央部からは、相手の雌コネクタFと嵌合する場合のこじりを防止するリブ14が立てられている。このリブ14の両側からは、インサート成形によって、タブ状をなす雄側端子金具15が4本ずつ2列に並んで突出されている。
【0009】さて、上記した雄側端子金具15の各列の外側の位置では、その並列方向と平行に一対の仕切壁20が立ち上がり形成されている。この仕切壁20は詳細には、図1に示すように、フード11の内壁のうちの短寸側の内壁11Aの間に渡されるようにして形成され、また図2に示すように、その上端が、上記のフード11の内壁に形成された停止部13よりも所定寸法下方に位置するように形成されている。言い換えると、両仕切壁20の間の領域から雄側端子金具15が突出されていることで、両仕切壁20の間の領域が端子配置領域21であり、両仕切壁20の外側が端子不在領域22となっている。」

「【0010】本実施形態の作用は以下のようである。フード11の底面にエポキシ樹脂からなるシール材Sを充填する場合は、図2のように、フード11の開口を上に向けた姿勢にセットし、シール材注入機のノズルを端子配置領域21に臨ませて、同領域21にシール材Sを注入する。ここでシール材Sの充填量は、シール材Sの液面が仕切壁20のほぼ上端に達する程度に設定されている。したがって、シール材Sが設定された正規量だけ注入されれば、図3に示すように、シール材Sの液面が仕切壁20のほぼ上端に達した状態で固化され、雄側端子金具15の突出した部分のシールが取られる。そののち、フード11内に相手の雌コネクタFが嵌合された場合、雌コネクタFはシール材Sで邪魔されることなく正規の嵌合位置まで嵌合される。
【0011】一方、何らかの事情によってシール材Sの注入量が多過ぎる場合があり得る。具体的には、端子配置領域21に注入されたシール材Sの液面が仕切壁20の上端に達してもなお注入が継続される場合があり得る。そのときは、図4の矢線に示すように、シール材Sは仕切壁20の上端を越えてその外側の端子不在領域22に溢れ出る。そのためシール材Sが固化した場合にも、その上面は最大限仕切壁20の上端の位置に留められ、その位置は停止部13より低いから、同じく相手の雌コネクタFは正規位置まで嵌合できる。
【0012】以上説明したように本実施形態によれば、仮にシール材Sの充填量が多過ぎたとしても、余分なシール材Sは仕切壁20を越えて端子不在領域22に流出して、シール材Sの上面は最大限仕切壁20の上端の位置に留められ、この位置は相手の雌コネクタFの先端が突き当たる停止部13よりも低い位置に設定されているから、雌コネクタFはシール材Sで邪魔されることなく確実に正規嵌合される。また、シール材Sの充填領域が狭められたことになるから、充填量そのものが少なくて済み、コスト低減に寄与し得る。端子配置領域21を区画形成するに際して、フード11の短寸側の内壁11Aの一部を利用しているから、シンプルな形状にまとめられる。」

「【0013】<他の実施形態>本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)端子配置領域を区画形成するに当たって、雄側端子金具の突出部分の全周を囲むようにして壁を立ててもよい。端子配置領域すなわちシール材の充填領域をより狭めることができる。
(2)本発明は機器直結型のコネクタに限らず、その他中継コネクタ等、要は端子金具をフード内に突出してその突出部分にシール材を充填して防水を図る形式のコネクタ全般に広く適用することができる。」

【図1】、【図2】から、
仕切壁20及び雄側端子金具15はフード11の軸芯方向に突出して形成されていること、
仕切壁20とフード11の内壁との間は溝が形成されていること、
一対の仕切壁20の間の領域のフード11の底面から雄側端子金具15が突出していること、
を看取しうる。

引用文献1には、上記のア?ウ、オの事項及び【図1】?【図4】の記載からみて、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
〔引用発明〕
「機器と一体的に形成されたコネクタハウジング10からフード11が突設された構造となっている機器直結型の雄コネクタMであって、
フード11の底面からフード11の軸芯方向に突出する2列の雄側端子金具15と、
雄側端子金具15の各列の外側の位置で、その並列方向と平行に、フード11の内壁のうちの短寸側の内壁11Aの間に渡されるようにしてフード11の底面から立ち上がりフード11の軸芯方向に突出して形成されている一対の仕切壁20と、
一対の仕切壁20とフード11の内壁との間に形成された溝と、
一対の仕切壁20の間の領域に注入されて固化され、雄側端子金具15のシールをするシール材Sとからなる、雄コネクタM。」

(2)引用文献2に記載された事項
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。
「【0008】
【発明の実施の形態】[実施形態1]以下、本発明を具体化した実施形態1を図1及び図2を参照して説明する。本実施形態のコネクタは、コネクタハウジング10と複数本(本実施形態では10本)のターミナル11とからなり、車両のトランスミッション部において、ミッションケース(図示せず)内に配設された電装部品と外部の装置とを接続するための中継コネクタとして用いられる。
【0009】コネクタハウジング10は短円柱形をなし、ミッションケースの取付孔に液密状態で嵌め込まれて固定される。コネクタハウジング10には、その図1における右側に突出する内側筒状嵌合部12と左側に突出する外側筒状嵌合部13とが形成されており、内側筒状嵌合部12にはミッションケース内の電装品に接続されたケース内コネクタが嵌合され、外側筒状嵌合部13には外部装置に接続したケース外コネクタが嵌合される。
【0010】ターミナル11は、上下2段に分かれて各段5本ずつ整列して配され、インサート成形によりコネクタハウジング10に貫通されている。これらターミナル11の両端は内外両筒状嵌合部12,13の奥端面12A,13Aよりも先方へ突出され、各筒状嵌合部12,13に嵌合されるコネクタの雌端子金具と接続される。外側筒状嵌合部13の奥端面13Aには、ターミナル11の貫通部分を通って外部からミッションケース内に水が浸入したりミッションケース内のオイルが外部へ漏洩することを防止するための手段として、充填用凹部14が形成されているとともに、この充填用凹部14にエポキシ樹脂等のポッティング剤15が充填されている。このポッティング剤15の充填により、外側筒状嵌合部13の奥端面13A上におけるターミナル11の突出部分が塞がれ、もって防水が図られている。」

(3)引用文献3に記載された事項
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献3には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0002】
【従来の技術】従来技術について、図5及び図6を参照して簡単に説明する。図5は、電線の導体部(ワイヤハーネス)内の空隙を伝わり、オイルケース内から外部へオイルが漏れることを防止する機能を有する従来の自動変速機用中継コネクタを示す断面図である。
【0003】自動変速機のオイルケースの器壁52に透設された貫通孔53に対し、その外周面に刻設した溝54内に嵌装したO一リング55及びフランジ部56を介して取り付けられた中継コネクタ51のシール構造は、中空状のコネクタハウジング57の内部において、コネクタ軸芯cに対し直交するように一体成形された隔壁部58から気相側及び油相側に夫々コネクタハウジング57の軸芯方向に沿って露出するように、隔壁部58にインサート成形された複数の端子59(電気信号を伝達する端子)からなっている。気相側はコネクタ軸芯cに平行に配置されたコジリ防止の機能を有する区画壁70によって領域A、領域Bの二つの領域に分割されている。
【0004】この中継コネクタ51は、油相側が高温になるとコネクタハウジング57と電気端子59の膨張係数の相違により、密着性が低下し、油相側から気相側へオイルが漏れる恐れがあるため、エポキシ樹脂等の充填材60a、60b(図6参照)を気相側へ充填する。図6は気相側のみの断面図であり、充填材60a、60bが充填され、この充填材が完全に固化した状態の断面図である。」

【図6】から、端子59の隔壁部58から突出する部分に充填材60a、60bが充填されていることを看取しうる。

4.対比・判断
(1)対比
本願発明と引用発明とを対比する。
後者の「機器と一体的に形成されたコネクタハウジング10からフード11が突設された構造となっている機器直結型の雄コネクタM」は、前者の「機器隔壁の貫通孔に貫装されて当該機器の内外の配線を接続するコネクタ」と、「コネクタ」である限りにおいて一致する。
後者の「フード11」は、前者の「貫通孔に貫装される筒状側壁」と、「筒状の側壁」である限りにおいて一致する。
後者の「機器と一体的に形成されたコネクタハウジング10からフード11が突設された構造」はフード内に底面を有していることは明らかであり、当該底面は壁ともいえるので、前者の「貫通孔に貫装される筒状側壁を有し、その筒状側壁の内部空間の中央部に形成された仕切り壁により当該内部空間の機器内側と機器外側とが仕切られたコネクタハウジング」と、「筒状の側壁を有し、その筒状の側壁に形成された壁を有したコネクタハウジング」である限りにおいて一致する。
後者の「フード11の底面から立ち上がりフード11の軸芯方向に突出して形成され」ることは、前者の「仕切り壁の機器内側表面,機器外側表面のうち少なくとも何れか一方から筒状側壁の軸心方向に突出して形成され」ることと、「壁から筒状の側壁の軸心方向に突出して形成され」る限りにおいて一致する。
後者の「雄側端子金具15の各列の外側の位置で、その並列方向と平行に、フード11の内壁のうちの短寸側の内壁11Aの間に渡されるようにして」「形成されている一対の仕切壁20」はリブ形状をなしているといえ、長寸側の内壁に沿っていることは明らかなので、前者の「筒状側壁の内周面の周方向に沿って延在して当該筒状側壁の内径よりも小径の環状リブ」と、「筒状の側壁の内周面に沿って延在するリブ」である限りにおいて一致する。
後者の「一対の仕切壁20とフード11の内壁との間に形成された溝」は、前者の「環状リブと筒状側壁の内周面との間に形成され、当該筒状側壁の内周面の周方向に沿って延在した環状溝」と、「リブと筒状の側壁の内周面との間に形成され、当該筒状の側壁の内周面に沿って延在した溝」である限りにおいて一致する。
後者の「一対の仕切壁20の間の領域に注入されて固化され、雄側端子金具15のシールをするシール材S」は、前者の「環状リブ内側にシール材を充填し固化して形成された被覆シール部材」と、「リブ内側にシール材を充填し固化して形成された被覆シール部材」である限りにおいて一致する。
後者の「フード11の底面からフード11の軸芯方向に突出する2列の雄側端子金具15」は、シール材Sによりシールされていることを踏まえると、前者の「筒状側壁の軸心方向に沿って延在する端子であって仕切り壁および環状リブ内側の被覆シール部材を貫通し両端がそれぞれ内部空間における機器内側,機器外側に突出する少なくとも一つの中継端子」と、「筒状の側壁の軸心方向に沿って延在する端子であって壁およびリブ内側の被覆シール部材を貫通し突出する少なくとも一つの端子」である限りにおいて一致する。
後者の「雄コネクタM」は「フード11」、「端子金具15」、「仕切壁20」、「溝」、「シール材」等を一体化したものといえるので、前者の「一体化して成る」構成を備えているといえる。

そうすると、両者は、
「コネクタであって、
筒状の側壁を有し、その筒状の側壁に形成された壁を有したコネクタハウジングと、
前記壁から筒状の側壁の軸心方向に突出して形成され、当該筒状の側壁の内周面に沿って延在するリブと、
前記リブと筒状の側壁の内周面との間に形成され、当該筒状の側壁の内周面に沿って延在した溝と、
前記リブ内側にシール材を充填し固化して形成された被覆シール部材と、
前記筒状の側壁の軸心方向に沿って延在する端子であって前記壁およびリブ内側の被覆シール部材を貫通し突出する少なくとも一つの端子と、
を一体化して成るコネクタ。」
である点で一致し、次の点で相違する。
〔相違点1〕
本願発明は、「機器隔壁の貫通孔に貫装されて当該機器の内外の配線を接続する」コネクタであって、「貫通孔に貫装される筒状側壁」を有し、「その筒状側壁の内部空間の中央部に形成された仕切り壁により当該内部空間の機器内側と機器外側とが仕切られた」ものであり、「仕切り壁および環状リブ内側の被覆シール部材を貫通し両端がそれぞれ内部空間における機器内側,機器外側に突出する少なくとも一つの中継端子」を有したものであるのに対して、引用発明は、「機器と一体的に形成されたコネクタハウジング10からフード11が突設された構造となっている機器直結型の雄コネクタM」であって、フード11は機器隔壁の貫通孔に貫装されるものではなく、フード11の底面は雄コネクタMの内部空間を仕切るものではなく、雄側端子金具15はその両端が雄コネクタMのフード11の底面の両側に位置するのか明らかでない点。
〔相違点2〕
本願発明は、「仕切り壁の機器内側表面,機器外側表面のうち少なくとも何れか一方から筒状側壁の軸心方向に突出して形成され、当該筒状側壁の内周面の周方向に沿って延在して当該筒状側壁の内径よりも小径の環状リブ」と、「環状リブと筒状側壁の内周面との間に形成され、当該筒状側壁の内周面の周方向に沿って延在した環状溝」とを有しているのに対して、引用発明は、「フード11の内壁のうちの短寸側の内壁11Aの間に渡されるようにしてフード11の底面から立ち上がりフード11の軸芯方向に突出して形成されている一対の仕切壁20」と「一対の仕切壁20とフード11の内壁との間に形成された溝」とはいずれも環状ではない点。

(2)判断
上記各相違点について以下検討する。
ア 相違点1について
引用文献2には、
(ア)車両のトランスミッション部において、ミッションケース内に配設された電装部品と外部の装置とを接続するための中継コネクタに関して、
(イ)コネクタハウジング10は短円柱形をなし、ミッションケースの取付孔に液密状態で嵌め込まれて固定され、
(ウ)コネクタハウジング10には、内側筒状嵌合部12と外側筒状嵌合部13とが形成されており、内側筒状嵌合部12にはミッションケース内の電装品に接続されたケース内コネクタが嵌合され、外側筒状嵌合部13には外部装置に接続したケース外コネクタが嵌合され、
(エ)ターミナル11はインサート成形によりコネクタハウジング10に貫通され、ターミナル11の両端は内外両筒状嵌合部12,13の奥端面12A,13Aよりも先方へ突出され、
(オ)外側筒状嵌合部13の奥端面13Aには充填用凹部14が形成されているとともに、この充填用凹部14にエポキシ樹脂等のポッティング剤15が充填され、外側筒状嵌合部13の奥端面13A上におけるターミナル11の突出部分が塞がれ、防水が図られている、
ことが記載されている。
引用文献2に記載の上記事項において、「ミッションケース内に配設された電装部品と外部の装置とを接続するための中継コネクタ」は、本願発明の「機器隔壁の貫通孔に貫装されて当該機器の内外の配線を接続するコネクタ」に相当し、以下同様に、
「ミッションケースの取付孔に液密状態で嵌め込まれて固定され」る「コネクタハウジング10」は、「貫通孔に貫装される筒状側壁」に、
「内側筒状嵌合部12と外側筒状嵌合部13とが形成され」ることは、壁により仕切られることは明らかなので、「その筒状側壁の内部空間の中央部に形成された仕切り壁により当該内部空間の機器内側と機器外側とが仕切られた」ことに、
「インサート成形によりコネクタハウジング10に貫通され、」その「両端は内外両筒状嵌合部12,13の奥端面12A,13Aよりも先方へ突出され」る「ターミナル11」は、「仕切り壁」「を貫通し両端がそれぞれ内部空間における機器内側,機器外側に突出する少なくとも一つの中継端子」に、それぞれ相当する。
そうすると、相違点1に係る本願発明の構成は、引用文献2に記載されているといえる。

引用文献3には、
(カ)自動変速機用中継コネクタに関して、
(キ)自動変速機のオイルケースの器壁52に透設された貫通孔53に対し取り付けられた中継コネクタ51の中空状のコネクタハウジング57と、
(ク)中空状のコネクタハウジング57の内部において、コネクタ軸芯cに対し直交するように一体成形された隔壁部58により形成された気相側及び油相側と、
(ケ)気相側及び油相側に夫々コネクタハウジング57の軸芯方向に沿って露出するように、隔壁部58にインサート成形された複数の端子59と、
(コ)端子59の気相側の隔壁部58から突出する部分に充填された充填材60a、60とからなる、
ことが記載されている。
引用文献3に記載の上記事項において、「自動変速機のオイルケースの器壁52に透設された貫通孔53に対し取り付けられた中継コネクタ51」は、本願発明の「機器隔壁の貫通孔に貫装されて当該機器の内外の配線を接続するコネクタ」に相当し、以下同様に、
「貫通孔53に対し取り付けられた中継コネクタ51の中空状のコネクタハウジング57」は、「貫通孔に貫装される筒状側壁」に、
「中空状のコネクタハウジング57の内部において、コネクタ軸芯cに対し直交するように一体成形された隔壁部58により」「気相側及び油相側」が「形成された」ことは、「その筒状側壁の内部空間の中央部に形成された仕切り壁により当該内部空間の機器内側と機器外側とが仕切られた」ことに、
「気相側及び油相側に夫々コネクタハウジング57の軸芯方向に沿って露出するように、隔壁部58にインサート成形された複数の端子59」は、「仕切り壁」「を貫通し両端がそれぞれ内部空間における機器内側,機器外側に突出する少なくとも一つの中継端子」に、それぞれ相当する。
そうすると、相違点1に係る本願発明の構成は、引用文献3にも記載されているといえる。

以上を総合すると、相違点1に係る本願発明の構成は、引用文献2、3の各々に記載されている事項であり、中継コネクタの構造として周知の事項といえる。

そして、引用文献1には次の記載がある。
「【0013】<他の実施形態>本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
・・・(中略)・・・
(2)本発明は機器直結型のコネクタに限らず、その他中継コネクタ等、要は端子金具をフード内に突出してその突出部分にシール材を充填して防水を図る形式のコネクタ全般に広く適用することができる。」(上記「3.(1)エ」を参照)
当該記載は、引用発明を中継コネクタに適用することを示唆しており、そうしてみると、引用発明を相違点1に係る本願発明の構成とすることは、引用文献1に記載された事項及び周知の事項に基づいて当業者が容易に想到し得ることといえる。

イ 相違点2について
引用発明を相違点1に係る本願発明の構成とした際、引用発明の仕切壁20が、「仕切り壁の機器内側表面,機器外側表面のうち少なくとも何れか一方から筒状側壁の軸心方向に突出して形成され」ることは、仕切壁20を設置した目的からみて、明らかといえる。
また、引用文献1には次の記載がある。
「【0013】<他の実施形態>本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)端子配置領域を区画形成するに当たって、雄側端子金具の突出部分の全周を囲むようにして壁を立ててもよい。端子配置領域すなわちシール材の充填領域をより狭めることができる。
・・・」(上記「3.(1)エ」を参照)
当該記載は、引用文献1で段落【0013】より前に示されている実施形態とは異なる実施形態を示唆するものである。
引用文献1で段落【0013】より前に示されている実施形態とは引用発明にほかならず、引用発明においては、フード11の内壁のうちの短寸側の内壁11Aの間に渡されるようにして一対の仕切壁20を立ち上がり形成するものであるが、上記段落の示唆に接した当業者であれば、当該立ち上がり形成される仕切壁20を「雄側端子金具の突出部分の全周を囲むようにして壁を立ててもよい」と理解するのが自然といえる。
そうしてみると、引用発明の仕切壁20を端子金具の突出部分の全周を囲むようにし、環状とすることは、引用文献1に記載された事項に基づいて当業者が容易に想到し得ることといえる。
そして、引用発明の仕切壁20を環状としたことに伴い、仕切壁20とフード11の内壁との間に形成された溝も環状となることは明らかである。
したがって、引用発明を、相違点2に係る本願発明の構成とすることは、引用文献1に記載された事項に基づいて当業者が容易に想到し得ることといえる。

そして、本願発明の奏する作用及び効果を検討しても、引用発明、引用文献1に記載された事項及び周知の事項から予測できる程度のものであって格別のものではない。

よって、本願発明は、引用発明、引用文献1に記載された事項及び周知の事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

5.むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明(本願発明)は、引用発明、引用文献1に記載された事項及び周知の事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願の他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶をすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2018-03-28 
結審通知日 2018-04-03 
審決日 2018-04-16 
出願番号 特願2013-26900(P2013-26900)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H01R)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 楠永 吉孝  
特許庁審判長 中村 達之
特許庁審判官 滝谷 亮一
平田 信勝
発明の名称 コネクタ  
代理人 富岡 潔  
代理人 小林 博通  
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