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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1340955
審判番号 不服2017-11904  
総通号数 223 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-07-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-08-09 
確定日 2018-06-07 
事件の表示 特願2013-126803号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 1月 5日出願公開、特開2015- 241号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成25年6月17日の出願であって、平成29年2月3日付けで拒絶の理由が通知され、平成29年4月17日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、平成29年4月25日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、平成29年8月9日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。

第2 平成29年8月9日付け手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成29年8月9日付け手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 本件補正の概要
本件補正は、特許請求の範囲の請求項1の記載の補正を含む補正であり、本件補正前の平成29年4月17日付けの手続補正書における請求項1の記載と、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載は、それぞれ次のとおりである。
(補正前:平成29年4月17日付け手続補正)
「【請求項1】
遊技球が流下可能な遊技領域に変動表示ゲームを表示可能な表示装置の前方で当該表示装置の表示領域の周囲を囲む枠状の前面構成体を備える遊技機において、
前記前面構成体は、当該前面構成体内への遊技球の進入を防止する鎧部を備え、
前記鎧部で区画された領域の外側と内側とを跨ぐように装飾部材が配設され、
前記装飾部材は、所定の遊技状態に基づいて移動可能に構成され、前記鎧部の内側方向へ移動することにより、前記遊技領域の後方に位置していた部位が前記表示装置の表示領域の前方に移動し、当該表示領域の前方領域において当該装飾部材の全体像が把握可能となることを特徴とする遊技機。」

(補正後:平成29年8月9日付け手続補正)
「【請求項1】
A 遊技球が流下可能な遊技領域に変動表示ゲームを表示可能な表示装置の前方で当該表示装置の表示領域の周囲を囲む枠状の前面構成体を備える遊技機において、
B 前記前面構成体は、当該前面構成体内への遊技球の進入を防止する鎧部を備え、
C 前記鎧部で区画された領域の外側と内側とを跨ぐように装飾部材が配設され、
D 前記装飾部材は、所定の遊技状態に基づいて移動可能に構成され、前記鎧部で区画された領域の内側方向へ移動することにより、当該鎧部で区画された領域の外側の前記遊技領域の裏面に位置していた部位が当該鎧部で区画された領域の内側の前記表示装置の表示領域の前面と重なる位置に移動し、当該鎧部で区画された領域の内側の前記表示装置の表示領域の前面と重なる位置において前記遊技領域の裏面に位置していた部位を含む当該装飾部材の全体が視認可能となることを特徴とする遊技機。」
(下線部は補正箇所を示す。A?Dは本件補正発明を分説するために当審で付した。)

2 補正の適否
(1)補正事項
本件補正は、特許請求の範囲の請求項1について、次の補正事項を含むものである。

補正前の請求項1における「前記装飾部材は、所定の遊技状態に基づいて移動可能に構成され、前記鎧部の内側方向へ移動することにより、前記遊技領域の後方に位置していた部位が前記表示装置の表示領域の前方に移動し、当該表示領域の前方領域において当該装飾部材の全体像が把握可能となることを特徴とする遊技機。」という記載を、「前記装飾部材は、所定の遊技状態に基づいて移動可能に構成され、前記鎧部で区画された領域の内側方向へ移動することにより、当該鎧部で区画された領域の外側の前記遊技領域の裏面に位置していた部位が当該鎧部で区画された領域の内側の前記表示装置の表示領域の前面と重なる位置に移動し、当該鎧部で区画された領域の内側の前記表示装置の表示領域の前面と重なる位置において前記遊技領域の裏面に位置していた部位を含む当該装飾部材の全体が視認可能となることを特徴とする遊技機。」(構成D)とする補正。

(2)補正の目的等についての検討
上記補正事項は、補正前の請求項1における「装飾部材」の「移動」について、「前記鎧部の内側方向へ移動すること」を「前記鎧部で区画された領域の内側方向へ移動すること」に限定し、「前記遊技領域の後方に位置していた部位が前記表示装置の表示領域の前方に移動」することを「当該鎧部で区画された領域の外側の前記遊技領域の裏面に位置していた部位が当該鎧部で区画された領域の内側の前記表示装置の表示領域の前面と重なる位置に移動」することに限定するものである。
また、上記補正事項は、補正前の請求項1における「当該装飾部材の全体像が把握可能」であることについて、「当該表示領域の前方領域において当該装飾部材の全体像が把握可能となる」ことを、「当該鎧部で区画された領域の内側の前記表示装置の表示領域の前面と重なる位置において前記遊技領域の裏面に位置していた部位を含む当該装飾部材の全体が視認可能となる」ことに限定するものである。

さらに、補正後の請求項1に記載された発明は、補正前の請求項1に記載された発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である。
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

そして、上記補正事項は、願書に最初に添付した明細書の段落【0101】、【0200】、【0202】又は図面の図7、図52、図53等との関係において、新たな技術的事項を導入するものではないから、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法第17条の2第3項の規定に適合し、新規事項を追加するものではない。

3 独立特許要件について
本件補正後の請求項1に記載された発明(以下、「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(1)本件補正発明について
本件補正発明は、「1 本件補正の概要」に記載したとおりのものである。

(2)刊行物
(2-1)刊行物1
本願の出願日前に頒布され、原査定の拒絶の理由において提示された刊行物である特開2012-10992号公報(以下、「刊行物1」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は、当審にて付した。以下、同じ。)。

(ア)「【0011】
・・・
【図7】実施例の遊技盤の正面図であって、透明な盤本体を透過した状態を示す。
・・・」

(イ)「【0013】
(パチンコ機について)
図1に示すように、実施例に係るパチンコ機10は、矩形枠状に形成されて、遊技店の図示しない設置枠台に固定される固定枠としての外枠11を備えている。また、パチンコ機10には、遊技盤40(図3または図5参照)が着脱可能に保持される本体枠としての中枠12が、外枠11の開口前面側に開閉および着脱可能に組み付けられている。更に、パチンコ機10は、遊技盤40の裏側に対して、各種図柄を変動表示可能な図柄表示装置13が着脱し得るよう配設されている(図2または図8参照)。中枠12の前面側には、遊技盤40を透視保護するガラス窓14aを備えた装飾枠としての前枠14が開閉可能に組付けられると共に、前枠14の下方にパチンコ球W(図31参照)を貯留する下球受け皿15が開閉可能に組付けられる(図1または図3参照)。実施例では、前枠14の下部位置に、パチンコ球Wを貯留する上球受け皿16が一体的に組付けられており、前枠14の開閉に合わせて上球受け皿16も一体的に開閉するよう構成される。なお、図柄表示装置13としては、液晶表示装置やドラム式の表示装置、ベルト式の表示装置等の各種図柄を変動表示可能な従来公知の表示装置を用いることができる。」

(ウ)「【0018】
(遊技盤)
図5?図12に示すように、前記遊技盤40は、アクリルやポリカーボネート等の透明な合成樹脂製の板材からなる盤本体42と、この盤本体42の後側に設けられる裏ユニット50とから構成される。遊技盤40には、パチンコ球Wが流下可能な遊技領域40aが盤本体42の前面に設けられると共に、遊技釘(釘)43や風車44等の遊技部品が遊技領域40aに設けられている。また、遊技盤40には、裏ユニット50の後側に図柄表示装置13が着脱可能に配設されて(図2または図8参照)、図柄表示装置13において図柄変動ゲームやその他表示演出が行われる表示部13aが前側から視認可能になっている。そして、パチンコ機10では、盤本体42の前面に画成される遊技領域40aに打ち出されて流下するパチンコ球Wの入賞装置への入賞等に合わせてあるいは独立して、遊技盤40の前側に臨む表示部13aで図柄変動ゲームや所定の表示演出が行われるようになっている。
【0019】
(盤本体)
図1または図13に示すように、盤本体42は、略矩形を基本とした平板状の部材であって、四隅が前述した中枠12への取り付け構造に合わせて切り欠き等されて適宜形状とされている。盤本体42は、左下部から右上部にかけて円弧状に延在する外レール45と、この外レール45の内側に中央下部から左上部にかけて並べて配置された内レール46とが前面に配設されている。なお、打球発射装置34から発射されたパチンコ球Wは、外レール45と内レール46との間を通って遊技領域40aの左上部に打ち出される。また、盤本体42には、外レール45の右上部から内レール46の下部までの間に、右方に凹む湾曲形状の左側縁が延在する第1盤面飾り部材47が前面右側に配設されている。そして、盤本体42の前面には、外レール45、内レール46および第1盤面飾り部材47によって略円形の遊技領域40aが画成されている。更に、盤本体42の前面には、外レール45の左方(遊技領域40aの外側)の上下位置に第2盤面飾り部材48が夫々配設されている。
・・・
【0021】
図13に示すように、前記盤本体42には、遊技領域40aに設けられる表示枠体100、各種入賞装置70,74および裏ユニット50に配設される表示器460等に合わせて、前後に貫通形成された貫通口42a,42b,42c,42d,42eが複数開設されている。盤本体42は、遊技領域40aに大きく開設された表示貫通口42aと、この表示貫通口42aの下側に開設され、後述する始動入賞装置70および特別入賞装置74が配設される入賞装置貫通口42bと、この入賞装置貫通口42bの左側に開設され、左側の普通入賞装置400を構成する下部飾り部材(飾り部材)402が配設される下部飾り貫通口42cとを備えている。また、盤本体42は、下部飾り貫通口42cの左上側に開設され、表示器460が臨む表示器貫通口42dと、表示貫通口42aと内レール46との間に位置して遊技領域40aの左側部に開設され、ゲートセンサ799が配設されるゲート貫通口42eとを備えている。なお、実施例では、ゲート貫通口42eが表示貫通口42aに連続して形成されて、両者が繋がっている。
【0022】
前記表示貫通口42aは、盤本体42の上側に僅かに偏倚して大きく形成されており、盤本体の1/2以上の領域を占めている(図13参照)。また、表示貫通口42aは、図柄表示装置13における表示部13aの前側に形成されており、遊技盤40では、表示部13aにおける表示貫通口42aの内側に重なる領域で少なくとも図柄変動ゲームが行われるようになっている。そして、盤本体42には、表示貫通口42aに嵌め合わせて後述する表示枠体100が配設されている(図5参照)。」

(エ)「【0025】
前記裏ユニット50には、四角形状の表示開口53が設置板部52の中央位置に位置して前後に貫通形成されている(図9?図11参照)。裏ユニット50は、遊技盤40を演出または装飾する装置や部材が設置板部52の前側に設置されると共に、図柄表示装置13および中継基板38が設置板部52の後側に設置されるようになっている。実施例の遊技盤40では、裏ユニット50において設置板部52の表示開口53の上側に延在する上辺部52a前面に、第1可動演出装置500が設置され、設置板部52における表示開口53の右側に延在する右辺部52b前面に、第2可動演出装置750が設置されると共に、設置板部52における表示開口53の左側に延在する左辺部52c前面に、第3可動演出装置780が設置されている(図14または図16参照)。また、遊技盤40では、照明装置300が設置板部52における表示開口53の下側に延在する下辺部52d前面に設置されている。
【0026】
前記遊技盤40では、図柄表示装置13がその表示部13aを表示開口53に臨ませて、裏ユニット50における設置板部52の後側に取り付けられている(図2または図8参照)。実施例の表示開口53は、盤本体42の表示貫通口42aより小さく形成されると共に該表示貫通口42aの後側に重なるように配置されており、遊技盤40では、表示開口53を介して前側に臨む図柄表示装置13の表示部13aが表示貫通口42aの内側に位置するようになっている(図5または図6参照)。
・・・
【0030】
このように、遊技盤40には、表示部13aを囲んで上側の第1可動演出装置500、左右の第2,第3可動演出装置750,780、下側の照明装置300が設置され、これらの装置によって所要の演出を行い得るように構成される(図5または図6参照)。なお、実施例の遊技盤40では、第1?第3可動演出装置500,750,780の夫々に設けられた可動体が、図柄表示装置13における該遊技盤40の前側に臨む表示部13aの周縁部にある第1位置(図5参照)と、この第1位置から該表示部13aの中央部側に変位した第2位置(図6参照)との間で動作するようになっている。」

(オ)「【0040】
(表示枠体)
図5または図6に示すように、前記盤本体42には、センター役物とも称される大型の装飾部材である表示枠体100が配設されている。表示枠体100は、内側に窓口100aを画成する額縁形状に形成され、表示貫通口42aに嵌め合わせて盤本体42に取り付けられている。遊技盤40では、表示枠体100の外形と表示貫通口42aとが整合するように形成され、盤本体42に取り付けた表示枠体100により表示貫通口42aの開口縁が縁取られるようになっている(図5参照)。表示枠体100は、正面視で略円環状の外形を基本として、基本部分から右側下部に下方に膨出する部分が形成され、窓口100aの下縁右部が下方に拡張されている(図18参照)。これに対応して、盤本体42には、表示貫通口42aが正面視で略円形状を基本として、該基本部分から下縁右部に下方に広がる切り欠き部分が形成されている(図13参照)。なお、表示枠体100における右側下部の拡張部分を、特に区別する場合は拡張部102という。ここで、実施例の拡張部102は、窓口100aの中央部側から下方に向かうにつれて先細りになるよう形成されている。
【0041】
前記表示枠体100は、窓口100aが裏ユニット50の表示開口53より大きく形成されると共に、窓口100aの内側に表示開口53が位置するように盤本体42に取り付けられている(図5参照)。すなわち、遊技盤40では、図柄表示装置13における表示開口53を介して前側に臨む表示部13aが窓口100aの内側に位置するようになっている。遊技盤40は、表示部13aを囲う表示枠体100により該表示部13aの周囲を装飾すると共に、表示枠体100によって遊技領域40aと表示部13aとを区画するように構成される。また、実施例では、窓口100aの内側に第1?第3可動演出装置500,750,780の一部が臨み、当該一部が遊技盤40の前側から視認可能になっている(図7参照)。
・・・
【0043】
前記庇部分106は、枠体フランジ部分104よりパチンコ球Wの直径以上の寸法で突出し(図21または図24参照)、表示枠体100は、庇部分106によって遊技領域40aに打ち出されたパチンコ球Wが窓口100a(表示部13a)を横切って流下するのを規制している。表示枠体100には、庇部分106が表示枠体100の上縁から左右の両側縁にかけての部位と右下部に形成された拡張部102を囲む部位とに設けられている(図24参照)。表示枠体100は、左側縁下部から拡張部102の左側縁上部にかけての下縁に庇部分が設けられておらず、この下縁の前面をなす枠体フランジ部分104が盤本体42の前面と略同一面を構成しており、下縁前側から遊技領域40aから表示枠体100の下縁上側(窓口100aの内側)に設けられるステージ150への流入が許容されるようになっている。枠体挿入部分108は、枠体フランジ部分104より盤本体42の板厚以下の寸法で突出し、表示貫通口42aら盤本体42の後方へ突出しないようになっている。」

(カ)「【0201】
(第1可動演出装置について)
次に、第1可動演出装置(可動演出装置)500について、以下説明を行う。第1可動演出装置500は、所定条件が成立すると可動演出を行うものであって、左右方向に往復移動する一対の可動体501,501を備えた可動体装置502と、該可動体装置502の前側において上下方向に往復移動する可動部材(支持部材)503および作動体504を備えた可動部材装置505とから基本的に構成されている。そして、図11,図16に示すように、第1可動演出装置500は、裏ユニット50における設置板部52の上辺部52aの前面に配設されて、遊技盤設置部94が設けられる端縁と前記表示開口53の上縁辺との間に位置している。」

(キ)「【0240】
(可動部材について)
前記可動部材503は、図100に示すように、横並びに配列した英文字が前面に付された遊技演出部材であって、左右方向に長尺に構成されている。可動部材503は、裏ユニット50における表示開口53の上縁辺と上側の周板部54との間に位置する第1位置(図5参照)から、図柄表示装置13の表示部13aにおける中央部側の第2位置(図6参照)まで移動可能に構成される。第1位置では、可動部材503が可動体501,501の前側に位置して、該可動体501,501が前方から視認不能となる。一方、第2位置では、可動部材503が可動体501,501の下方に位置して、該可動体501,501を表示枠体100の窓口100aを介して前方から視認可能となる。可動部材503の左右方向の寸法は、裏ユニット50の上辺部52aにおける左右方向の寸法より僅かに短く設定されており、図7に示すように、可動部材503が第1位置にあっては、左右の側部が表示枠体100の窓口100aよりも外側(側方)に突出している。図97,図98に示すように、可動部材503は、後方に開放する箱状に形成された可動部材本体579と、該可動部材本体579の後側に配設されて可動部材503の後面を構成するベース基板580と、可動部材本体579の内部に収容される複数の可動部材発光装置(発光装置)581とから基本的に構成される。
【0241】
(可動部材本体について)
図101,図102に示すように、前記可動部材本体579は、左右方向(長手方向)に離間する両端部に設けられた2つの重なり部582,582と、左右方向の中央部に設けられて重なり部582,582より前方に突出する露出部583とから構成され、左右両側から中央部にかけて前方へ突出した立体形状をなしている。左右の重なり部582,582は、可動部材503の第1位置において、一部が盤本体42と設置板部52(裏ユニット50)との間に位置しており、図7に示すように、重なり部582,582における盤本体42の後方に位置する部位は、透明な盤本体42および表示枠体100を介して前方から視認し得るよう構成されている。左側の重なり部582(以下、左重なり部582という)は、前方に臨む左前板部584と、該左前板部584の上下および左側の縁部から後方に延出する左重なり壁部585とから後方および右方に開放した箱状に形成され、内部に前板収容部(収容部)586が画成されている。左前板部584は、英文字の輪郭をなすよう形成された2つの前板貫通口587によって大部分が前後方向に開放している。また、左前板部584の後面には、複数の前板ボス部584aおよび前板位置決め突起584bが後方に突出して形成されている。
・・・
【0244】
前記露出部583は、可動部材503の第1位置および第2位置の何れにおいても、表示枠体100の窓口100aに臨み、該窓口100aを介して前方から視認し得るようになっている。露出部583は、前方に臨む中前板部592と、該中前板部592の周縁部から後方に延出する露出部壁部593とから後方に開放した箱状に形成され、内部に前板収容部586が画成されている。中前板部592は、英文字の輪郭をなすよう形成された複数(実施例では、5つ)の前板貫通口587によって大部分が前後方向に開放している。また、中前板部592の後面には、複数の前板ボス部584aおよび前板位置決め突起584bが後方に突出して形成されると共に、複数の前板基板用ネジ孔592aが後方に開放して形成されている。中前板部592の後面には、左右の前板部584,590と同様に、前板リブ588が各前板貫通口587に対応して形成されており、該前板リブ588の内側に前板装飾部材589が整合した状態で設置される。この前板装飾部材589は、前板リブ588に設置された状態で、前面が前板貫通口587を介して前方から視認し得るようになっている。」

(ク)「【0308】
(第1可動演出装置の可動演出について)
次に、第1可動演出装置500の可動演出について、以下説明を行う。第1可動演出装置500では、所定条件が成立すると、可動体501、可動部材503および作動体504の3つの部材による複合的な可動演出が行われるようになっている。」

(ケ)「【0316】
実施例に係る可動部材503は、図7に示すように、第1位置にあって、左右の重なり部582,582が盤本体42と裏ユニット50の上辺部52aとの間に位置しており、左右方向に長尺な構成となっている。このように長尺な可動部材503が下方へ移動することで、遊技者に迫力のある可動演出を提供することが可能となる。しかも、可動部材503は、表示枠体100の窓口100aを介して前側に臨む露出部583が前方に突出した立体的形状としたので、より迫力ある可動演出を行うことが可能となる。また、可動部材503が下方に移動する際に、左右の重なり部582,582が左側スペース781および右側スペース751を夫々移動する。この場合も、透明な盤本体42を介して左右の重なり部582,582を視認し得るので、遊技者は可動部材503の全体を確認することができ、迫力ある可動演出を楽しむことができる。しかも、表示枠体100を透明に構成したので、左右の重なり部582,582はより視認し易くなる。また、左右の重なり部582,582は、可動部材503が下方に移動するにつれて、徐々に表示枠体100の窓口100aに臨むので、遊技者は、重なり部582,582を含む可動部材503全体を直接視認することができる。」

(コ)「図7に示すように、可動部材503が第1位置にあっては」(上記段落【0240】)との記載より、図7は可動部材503が第1位置にあるときの図であるところ、図5、図101と対比しつつ図7を見ると、図7には、可動部材503が第1位置にあるときに、左側の重なり部582を構成する英文字「GO」の一部の部位、及び右側の重なり部582を構成する英文字「A」の一部の部位が、表示枠体100よりも外側かつ外レール45の内側に存在することが示されているといえる。
また、上記各「一部の部位」は、図5においては視認できず、「透明な盤本体を透過した状態を示す」(上記段落【0011】)図7においては視認できるところ、盤本体42の後方に位置することが導かれる。
したがって、図7には、可動部材503が第1位置にあるときに、左側の重なり部582を構成する英文字「GO」の一部の部位、及び右側の重なり部582を構成する英文字「A」の一部の部位が、表示枠体100よりも外側かつ外レール45の内側に存在し、盤本体42の後方に位置することが示されているといえる。

上記(ア)?(ケ)の記載事項、及び上記(コ)の図示内容から、以下の事項が導かれる。

(あ)
(あ-1)上記段落【0018】の「パチンコ球Wが流下可能な遊技領域40a」との記載、上記段落【0019】の「盤本体42の前面には、外レール45、内レール46および第1盤面飾り部材47によって略円形の遊技領域40aが画成されている。」との記載、上記段落【0021】の「盤本体42は、遊技領域40aに大きく開設された表示貫通口42aと、・・・とを備えている。」との記載より、刊行物1には、盤本体42の前面の外レール45、内レール46および第1盤面飾り部材47によって画成された略円形のパチンコ球Wが流下可能な遊技領域40aに開設され、盤本体42に備えられた表示貫通口42aが記載されているといえる。
また、上記段落【0022】の「盤本体42には、表示貫通口42aに嵌め合わせて後述する表示枠体100が配設されている(図5参照)。」との記載、上記段落【0040】の「盤本体42に取り付けた表示枠体100により表示貫通口42aの開口縁が縁取られるようになっている(図5参照)。」との記載より、刊行物1には、表示貫通口42aの開口縁が縁取られるように表示貫通口42aに嵌め合わせて配設された表示枠体100が記載されているといえる。
したがって、刊行物1には、盤本体42の前面の外レール45、内レール46および第1盤面飾り部材47によって画成された略円形のパチンコ球Wが流下可能な遊技領域40aに開設され、盤本体42に備えられた表示貫通口42aに、表示貫通口42aの開口縁が縁取られるように嵌め合わせて配設された表示枠体100が記載されているといえる。

(あ-2)上記段落【0018】の「盤本体42の後側に設けられる裏ユニット50」、「図柄表示装置13において図柄変動ゲームやその他表示演出が行われる表示部13a」との記載、上記段落【0026】の「図柄表示装置13がその表示部13aを表示開口53に臨ませて、裏ユニット50における設置板部52の後側に取り付けられている(図2または図8参照)。」との記載、上記段落【0041】の「表示部13aを囲う表示枠体100」との記載より、刊行物1には、盤本体42の後側に設けられる裏ユニット50における設置板部52の後側に取り付けられている図柄表示装置13において図柄変動ゲームが行われる表示部13aを囲う表示枠体100が記載されているといえる。

(あ-3)上記段落【0040】の「表示枠体100は、内側に窓口100aを画成する額縁形状に形成され」、「表示枠体100は、正面視で略円環状の外形を基本として」との記載より、刊行物1には、内側に窓口100aを画成する額縁形状に形成され正面視で略円環状の外形を基本とする表示枠体100が記載されているといえる。

(あ-4)上記段落【0043】の「表示枠体100は、左側縁下部から拡張部102の左側縁上部にかけての下縁に庇部分が設けられておらず、この下縁の前面をなす枠体フランジ部分104が盤本体42の前面と略同一面を構成しており」との記載より、刊行物1には、枠体フランジ部分104が盤本体42の前面と略同一面を構成する表示枠体100が記載されているといえる。

(あ-5)上記(あ-1)?(あ-4)での検討より、刊行物1には、盤本体42の前面の外レール45、内レール46および第1盤面飾り部材47によって画成された略円形のパチンコ球Wが流下可能な遊技領域40aに開設され、盤本体42に備えられた表示貫通口42aに、表示貫通口42aの開口縁が縁取られるように嵌め合わせて配設され、盤本体42の後側に設けられる裏ユニット50における設置板部52の後側に取り付けられている図柄表示装置13において図柄変動ゲームが行われる表示部13aを囲い、内側に窓口100aを画成する額縁形状に形成され正面視で略円環状の外形を基本とし、枠体フランジ部分104が盤本体42の前面と略同一面を構成する表示枠体100が記載されていると認められる。

(い)上記段落【0043】の「庇部分106によって遊技領域40aに打ち出されたパチンコ球Wが窓口100a(表示部13a)を横切って流下するのを規制している。」、「表示枠体100には、庇部分106が表示枠体100の上縁から左右の両側縁にかけての部位と右下部に形成された拡張部102を囲む部位とに設けられている(図24参照)。」との記載より、刊行物1には、表示枠体100には、遊技領域40aに打ち出されたパチンコ球Wが窓口100aを横切って流下するのを規制する庇部分106が、上縁から左右の両側縁にかけての部位と右下部に形成された拡張部102を囲む部位に設けられていることが記載されていると認められる。

(う)
(う-1)上記段落【0240】の「可動部材503は、後方に開放する箱状に形成された可動部材本体579と、・・・とから基本的に構成される。」との記載、上記段落【0241】の「前記可動部材本体579は、左右方向(長手方向)に離間する両端部に設けられた2つの重なり部582,582と、左右方向の中央部に設けられて重なり部582,582より前方に突出する露出部583とから構成され」との記載より、刊行物1には、左右方向(長手方向)に離間する両端部に設けられた2つの重なり部582,582と、左右方向の中央部に設けられて重なり部582,582より前方に突出する露出部583とから構成される可動部材本体579を有する可動部材503が記載されているといえる。

(う-2)上記段落【0030】の「図柄表示装置13における該遊技盤40の前側に臨む表示部13aの周縁部にある第1位置」、上記段落【0240】の「可動部材503が第1位置にあっては、左右の側部が表示枠体100の窓口100aよりも外側(側方)に突出している。」との記載より、刊行物1には、表示部13aの周縁部にある第1位置にあっては、左右の側部が表示枠体100の窓口100aよりも外側に突出している可動部材503が記載されているといえる。
また、上記段落【0244】の「前記露出部583は、可動部材503の第1位置および第2位置の何れにおいても、表示枠体100の窓口100aに臨み」との記載より、刊行物1には、第1位置において、露出部583が窓口100aに臨む、可動部材503が記載されているといえる。
したがって、刊行物1には、表示部13aの周縁部にある第1位置にあっては、左右の側部が表示枠体100の窓口100aよりも外側に突出し、かつ露出部583が窓口100aに臨む、可動部材503が記載されているといえる。

(う-3)上記段落【0240】の「前記可動部材503は、図100に示すように、横並びに配列した英文字が前面に付された遊技演出部材であって、左右方向に長尺に構成されている。」との記載より、刊行物1には、横並びに配列した英文字が前面に付された遊技演出部材であって左右方向に長尺に構成されている可動部材503が記載されているといえる。

(う-4)上記段落【0025】の「裏ユニット50において設置板部52の表示開口53の上側に延在する上辺部52a前面に、第1可動演出装置500が設置され」、上記段落【0201】の「第1可動演出装置500は、・・・、該可動体装置502の前側において上下方向に往復移動する可動部材(支持部材)503および・・・とから基本的に構成されている。」との記載より、刊行物1には、設置板部52の表示開口53の上側に延在する上辺部52a前面に設置された可動部材503が記載されているといえる。

(う-5)上記(う-1)?(う-4)での検討より、刊行物1には、左右方向(長手方向)に離間する両端部に設けられた2つの重なり部582,582と、左右方向の中央部に設けられて重なり部582,582より前方に突出する露出部583とから構成される可動部材本体579を有し、表示部13aの周縁部にある第1位置にあっては、左右の側部が表示枠体100の窓口100aよりも外側に突出し、かつ露出部583が窓口100aに臨み、横並びに配列した英文字が前面に付された遊技演出部材であって左右方向に長尺に構成され、設置板部52の表示開口53の上側に延在する上辺部52a前面に設置された可動部材503が記載されていると認められる。

(え)
(え-1)上記段落【0308】の「第1可動演出装置500では、所定条件が成立すると、可動体501、可動部材503および作動体504の3つの部材による複合的な可動演出が行われるようになっている。」との記載、上記段落【0316】の「このように長尺な可動部材503が下方へ移動することで、遊技者に迫力のある可動演出を提供することが可能となる。」との記載より、刊行物1には、可動部材503は、所定条件が成立すると移動することが記載されているといえる。

(え-2)上記段落【0240】の「可動部材503は、裏ユニット50における表示開口53の上縁辺と上側の周板部54との間に位置する第1位置(図5参照)から、図柄表示装置13の表示部13aにおける中央部側の第2位置(図6参照)まで移動可能に構成される。」との記載、上記段落【0316】の「実施例に係る可動部材503は、図7に示すように、第1位置にあって、左右の重なり部582,582が盤本体42と裏ユニット50の上辺部52aとの間に位置しており、左右方向に長尺な構成となっている。このように長尺な可動部材503が下方へ移動することで、遊技者に迫力のある可動演出を提供することが可能となる。」との記載より、刊行物1には、可動部材503は、裏ユニット50における表示開口53の上縁辺と上側の周板部54との間に位置する第1位置から、図柄表示装置13の表示部13aにおける中央部側の第2位置まで下方へ移動することが記載されているといえる。

(え-3)上記段落【0241】の「左右の重なり部582,582は、可動部材503の第1位置において、一部が盤本体42と設置板部52(裏ユニット50)との間に位置しており、図7に示すように、重なり部582,582における盤本体42の後方に位置する部位は、透明な盤本体42および表示枠体100を介して前方から視認し得るよう構成されている。」との記載、及び上記図示内容(コ)の「可動部材503が第1位置にあるときに、左側の重なり部582を構成する英文字「GO」の一部の部位、及び右側の重なり部582を構成する英文字「A」の一部の部位が、表示枠体100よりも外側かつ外レール45の内側に存在し、盤本体42の後方に位置すること」より、刊行物1には、可動部材503が第1位置にあるときに、表示枠体100よりも外側かつ外レール45の内側に存在し、重なり部582,582における盤本体42の後方に位置する部位が記載されているといえる。

(え-4)上記(え-2)において検討したように「可動部材503」が「第1位置から」「第2位置まで下方へ移動」すると、当該「可動部材503」の一部をなす、上記(え-3)において検討した「可動部材503が第1位置にあるときに、表示枠体100よりも外側かつ外レール45の内側に存在し、重なり部582,582における盤本体42の後方に位置する部位」が移動することは自明である。
そうすると、上記(え-2)及び(え-3)より、刊行物1には、可動部材503は、裏ユニット50における表示開口53の上縁辺と上側の周板部54との間に位置する第1位置から、図柄表示装置13の表示部13aにおける中央部側の第2位置まで下方へ移動すると、第1位置にあるときに、表示枠体100よりも外側かつ外レール45の内側に存在し、重なり部582,582における盤本体42の後方に位置していた部位が移動することが記載されているといえる。

(え-5)上記段落【0316】の「また、可動部材503が下方に移動する際に、左右の重なり部582,582が左側スペース781および右側スペース751を夫々移動する。この場合も、透明な盤本体42を介して左右の重なり部582,582を視認し得るので、遊技者は可動部材503の全体を確認することができ」との記載より、刊行物1には、可動部材503が下方に移動する際に、透明な盤本体42を介して左右の重なり部582,582を視認し得るので、遊技者は可動部材503の全体を確認することができることが記載されているといえる。

(え-6)上記(え-1)、(え-4)、(え-5)での検討を総合すると、刊行物1には、可動部材503は、所定条件が成立すると移動し、裏ユニット50における表示開口53の上縁辺と上側の周板部54との間に位置する第1位置から、図柄表示装置13の表示部13aにおける中央部側の第2位置まで下方へ移動すると、第1位置にあるときに、表示枠体100よりも外側かつ外レール45の内側に存在し、重なり部582,582における盤本体42の後方に位置していた部位が移動し、可動部材503が下方に移動する際に、透明な盤本体42を介して左右の重なり部582,582を視認し得るので、遊技者は可動部材503の全体を確認することができることが記載されていると認められる。

上記(ア)?(ケ)の記載事項、上記(コ)の図示内容、及び上記(あ)?(え)の認定事項より、刊行物1には、次の発明(以下、「刊行物1発明」という。)が記載されていると認められる(記号a?dは、本件補正発明の記号A?Dに対応させて付した。)。

「a 盤本体42の前面の外レール45、内レール46および第1盤面飾り部材47によって画成された略円形のパチンコ球Wが流下可能な遊技領域40aに開設され、盤本体42に備えられた表示貫通口42aに、表示貫通口42aの開口縁が縁取られるように嵌め合わせて配設され、盤本体42の後側に設けられる裏ユニット50における設置板部52の後側に取り付けられている図柄表示装置13において図柄変動ゲームが行われる表示部13aを囲い、内側に窓口100aを画成する額縁形状に形成され正面視で略円環状の外形を基本とし、枠体フランジ部分104が盤本体42の前面と略同一面を構成する表示枠体100を備えるパチンコ機10において、(認定事項(あ)、段落【0013】)
b 表示枠体100には、遊技領域40aに打ち出されたパチンコ球Wが窓口100aを横切って流下するのを規制する庇部分106が、上縁から左右の両側縁にかけての部位と右下部に形成された拡張部102を囲む部位に設けられ、(認定事項(い))
c 左右方向(長手方向)に離間する両端部に設けられた2つの重なり部582,582と、左右方向の中央部に設けられて重なり部582,582より前方に突出する露出部583とから構成される可動部材本体579を有し、表示部13aの周縁部にある第1位置にあっては、左右の側部が表示枠体100の窓口100aよりも外側に突出し、かつ露出部583が窓口100aに臨み、横並びに配列した英文字が前面に付された遊技演出部材であって左右方向に長尺に構成され、設置板部52の表示開口53の上側に延在する上辺部52a前面に設置された可動部材503を備え、(認定事項(う))
d 可動部材503は、所定条件が成立すると移動し、裏ユニット50における表示開口53の上縁辺と上側の周板部54との間に位置する第1位置から、図柄表示装置13の表示部13aにおける中央部側の第2位置まで下方へ移動すると、第1位置にあるときに、表示枠体100よりも外側かつ外レール45の内側に存在し、重なり部582,582における盤本体42の後方に位置していた部位が移動し、可動部材503が下方に移動する際に、透明な盤本体42を介して左右の重なり部582,582を視認し得るので、遊技者は可動部材503の全体を確認することができる、パチンコ機10。(認定事項(え)、段落【0013】)」

(3)対比
本件補正発明と刊行物1発明とを対比する(下記の(a)?(d)は、刊行物1発明の構成a?dに対応している。)。

(a)
(a-1)刊行物1発明の「パチンコ球Wが流下可能な遊技領域40a」は、本件補正発明の「遊技球が流下可能な遊技領域」に相当する。
また、刊行物1発明の「表示枠体100」は、「枠体フランジ部分104が盤本体42の前面と略同一面を構成する」から、本件補正発明の「前面構成体」に相当する。
したがって、刊行物1発明において「パチンコ球Wが流下可能な遊技領域40aに」「表示枠体100」が「開設され」ることは、本件補正発明において「遊技球が流下可能な遊技領域に」「前面構成体を備える」ことに相当する。

(a-2)刊行物1発明の「図柄表示装置13」は、その「表示部13a」において「図柄変動ゲームが行われる」ものであるから、本件補正発明の「変動表示ゲームを表示可能な表示装置」に相当する。
刊行物1発明の「表示枠体100」は「盤本体42に備えられた表示貫通口42aに、表示貫通口42aの開口縁が縁取られるように嵌め合わせて配設され」るものであり、かつ「図柄表示装置13」は「盤本体42の後側に設けられる裏ユニット50における設置板部52の後側に取り付けられている」ところ、「表示枠体100」と「図柄表示装置13」の前後の位置関係は、「表示枠体100」が「図柄表示装置13」の前方であるといえる。
また、刊行物1発明の「表示枠体100」は、「表示部13aを囲」うものであるが、「図柄変動ゲームが行われる表示部13a」が表示をおこなう領域を有することは自明であるから、「表示部13a」の表示をおこなう領域「を囲」うものであるといえる。
さらに、上記(a-1)での検討より、刊行物1発明の「表示枠体100」は、本件補正発明の「前面構成体」に相当する。
したがって、刊行物1発明の「盤本体42に備えられた表示貫通口42aに、表示貫通口42aの開口縁が縁取られるように嵌め合わせて配設され、盤本体42の後側に設けられる裏ユニット50における設置板部52の後側に取り付けられている図柄表示装置13において図柄変動ゲームが行われる表示部13aを囲」う「表示枠体100」は、本件補正発明の「変動表示ゲームを表示可能な表示装置の前方で当該表示装置の表示領域の周囲を囲む」「前面構成体」に相当する。

(a-3)上記(a-1)、(a-2)での検討に加え、刊行物1発明の「表示枠体100」は「内側に窓口100aを画成する額縁形状に形成され」るものであり枠状であることは自明であること、及び刊行物1発明の「パチンコ機10」は本件補正発明の「遊技機」に相当することより、刊行物1発明の「盤本体42の前面の外レール45、内レール46および第1盤面飾り部材47によって画成された略円形のパチンコ球Wが流下可能な遊技領域40aに開設され、盤本体42に備えられた表示貫通口42aに、表示貫通口42aの開口縁が縁取られるように嵌め合わせて配設され、盤本体42の後側に設けられる裏ユニット50における設置板部52の後側に取り付けられている図柄表示装置13において図柄変動ゲームが行われる表示部13aを囲い、内側に窓口100aを画成する額縁形状に形成され正面視で略円環状の外形を基本とし、枠体フランジ部分104が盤本体42の前面と略同一面を構成する表示枠体100を備えるパチンコ機10」は、本件補正発明の「遊技球が流下可能な遊技領域に変動表示ゲームを表示可能な表示装置の前方で当該表示装置の表示領域の周囲を囲む枠状の前面構成体を備える遊技機」に相当する。

(b)刊行物1発明において、「表示枠体100」は「内側に窓口100aを画成する額縁形状に形成され」(構成a)るものであるところ、「窓口100a」は「表示枠体100」内にあるといえる。そうすると、刊行物1発明において「遊技領域40aに打ち出されたパチンコ球Wが窓口100aを横切って流下するのを規制する」ことは、本件補正発明において「当該前面構成体内への遊技球の進入を防止する」ことに相当するから、刊行物1発明の「庇部分106」は、本件補正発明の「鎧部」に相当する。
したがって、刊行物1発明において「表示枠体100には、遊技領域40aに打ち出されたパチンコ球Wが窓口100aを横切って流下するのを規制する庇部分106が、上縁から左右の両側縁にかけての部位と右下部に形成された拡張部102を囲む部位に設けられ」ていることは、本件補正発明の「前記前面構成体は、当該前面構成体内への遊技球の進入を防止する鎧部を備え」ることに相当する。

(c)
(c-1)刊行物1発明においては、「表示枠体100」が、「盤本体42の前面の外レール45、内レール46および第1盤面飾り部材47によって画成された略円形の」「遊技領域40aに開設され」、「盤本体42に備えられた表示貫通口42aに、表示貫通口42aの開口縁が縁取られるように嵌め合わせて配設され」、「内側に窓口100aを画成する額縁形状に形成され」ており(構成a)、かつ「表示枠体100に」「庇部分106が、上縁から左右の両側縁にかけての部位と右下部に形成された拡張部102を囲む部位に設けられ」ているところ(構成b)、外レール45、内レール46および第1盤面飾り部材47によって画成された領域が、「庇部分106」によって、「窓口100a」のある領域と「窓口100a」のない領域とに区画されているといえる。
このとき、「表示枠体100」は「内側に窓口100aを画成する」ことより、「庇部分106」によって区画された領域のうち、「窓口100a」のない領域が本件補正発明の「前記鎧部で区画された領域の外側」に相当し、「窓口100a」のある領域が本件補正発明の「前記鎧部で区画された領域の」「内側」に相当する。

(c-2)刊行物1発明の「可動部材503」は、「第1位置にあっては、左右の側部が表示枠体100の窓口100aよりも外側に突出し、かつ露出部583が窓口100aに臨」むものであるから、「左右の側部」は上記「窓口100a」のない領域に存在し、「露出部583」は上記「窓口100a」のある領域に存在するといえる。
したがって、「左右方向に長尺に構成され」ている点をふまえると、「可動部材503」は、上記「窓口100a」のない領域と上記「窓口100a」のある領域とを跨ぐように設けられているといえる。

(c-3)刊行物1発明の「可動部材503」は、「横並びに配列した英文字が前面に付された遊技演出部材」であるから、本件補正発明の「装飾部材」であるといえる。

(c-4)上記(c-1)?(c-3)での検討より、刊行物1発明において「表示部13aの周縁部にある第1位置にあっては、左右の側部が表示枠体100の窓口100aよりも外側に突出し、かつ露出部583が窓口100aに臨み、横並びに配列した英文字が前面に付された遊技演出部材であって左右方向に長尺に構成され」ている「可動部材503を備え」ることは、本件補正発明において「前記鎧部で区画された領域の外側と内側とを跨ぐように装飾部材が配設され」ていることに相当する。

(d)
(d-1)刊行物1発明の「所定条件が成立すると移動」することは、「所定条件が成立する」という所定の遊技状態になると移動することであるといえる。
したがって、上記(c-3)での検討より、刊行物1発明の「可動部材503」は本件補正発明の「装飾部材」であることをふまえると、刊行物1発明の「可動部材503は、所定条件が成立すると移動」することは、本件補正発明の「前記装飾部材は、所定の遊技状態に基づいて移動可能に構成され」ることに相当する。

(d-2)刊行物1発明での可動部材503の移動における、「裏ユニット50における表示開口53の上縁辺と上側の周板部54との間に位置する第1位置から、図柄表示装置13の表示部13aにおける中央部側の第2位置まで下方へ」と移動する方向は、上記(c-1)で検討した「窓口100a」のない領域から「窓口100a」のある領域への方向、すなわち本件補正発明の「前記鎧部で区画された領域の内側方向」に相当する方向であるといえる。
したがって、刊行物1発明において「裏ユニット50における表示開口53の上縁辺と上側の周板部54との間に位置する第1位置から、図柄表示装置13の表示部13aにおける中央部側の第2位置まで下方へ移動」することは、本件補正発明において「前記鎧部で区画された領域の内側方向へ移動すること」に相当する。

(d-3)刊行物1発明においては、「表示枠体100」が「内側に窓口100aを画成する」(構成a)ことより、「表示枠体100よりも外側」に「窓口100a」が存在しないことは自明であるから、当該「表示枠体100よりも外側」は、上記(c-1)での検討をふまえると、本件補正発明の「前記鎧部で区画された領域の外側」に相当する。
刊行物1発明においては、「盤本体42の前面の外レール45、内レール46および第1盤面飾り部材47によって」「遊技領域40a」が「画成され」る(構成a)から、盤本体42の前面のうち外レール45の内側に遊技領域40aが画成され、遊技領域40aが画成される盤本体42の後方は、遊技領域40aの裏面であるといえる。したがって、刊行物1発明の「第1位置にあるときに、」「外レール45の内側に存在し、重なり部582,582における盤本体42の後方に位置していた部位」は、本件補正発明の「前記遊技領域の裏面に位置していた部位」に相当する。
よって、刊行物1発明において「第1位置にあるときに、表示枠体100よりも外側かつ外レール45の内側に存在し、重なり部582,582における盤本体42の後方に位置していた部位が移動」することは、本件補正発明において「当該鎧部で区画された領域の外側の前記遊技領域の裏面に位置していた部位が」「移動」することに相当する。

(d-4)本願明細書を見ると、段落【0021】には「なお、図3は、図2に示した遊技盤30のうち取付ベース部材40f(後述)を取り外した状態を示す図となっており、後述する後方ロゴ部材412を直接視認することができる状態を示している。」と、段落【0215】には「前記装飾部材(後方ロゴ部材412)は、前記鎧部(右下鎧部材40g)で区画された領域の外側と内側とを跨ぐように当該装飾部材(後方ロゴ部材412)の一部が当該鎧部(右下鎧部材40g)で区画された領域の内側に延出するように配設したこととなる。」と、段落【0217】には「前記取付ベース部材40fは、光を透過可能な透過部40f1を前記鎧部(右下鎧部材40g)で区画された領域の外側であって、前記遊技領域32の後方に備え、前記装飾部材(後方ロゴ部材412)は、前記一部以外の部分が前記透過部40f1を介して視認可能な位置に設けられたこととなる。」と記載されているところ、図7や図20の図示内容もあわせると、本願明細書には、装飾部材(後方ロゴ部材412)の鎧部で区画された領域の内側に延出する一部は、透過部40f1を介さずに直接視認し、当該一部以外の鎧部で区画された領域の外側の部分は、透過部40f1を介して視認することが記載されているといえる。
他方、本願明細書の段落【0200】には「図52(b)に示すように、後方ロゴ部材412を、前方ロゴ部材411の下方へスライド移動させることにより、前方ロゴ部材411及び後方ロゴ部材412を上下2段に配置させることが可能となる。」と記載されており、図52(b)には後方ロゴ部材412をスライド移動させる態様が図示されている。
上記図52(b)の態様にて後方ロゴ部材412を移動させた場合、図7や図20の図示内容を考慮すると、後方ロゴ部材412は、鎧部で区画された領域の内側に位置するといえるから、鎧部で区画された領域の外側に位置し透過部40f1を介して視認していた部分も含めて、透過部40f1を介さずに直接視認されることとなる。
したがって、本件補正発明の「当該鎧部で区画された領域の外側の前記遊技領域の裏面に位置していた部位が当該鎧部で区画された領域の内側の前記表示装置の表示領域の前面と重なる位置に移動し、当該鎧部で区画された領域の内側の前記表示装置の表示領域の前面と重なる位置において前記遊技領域の裏面に位置していた部位を含む当該装飾部材の全体が視認可能となる」との記載における「全体が視認可能」とは、全体が透過部を介さずに直接視認可能であることを意味すると解するのが相当である。
なお、審判請求書においては、「この「G」の部分全体が表示枠体100で区画された領域の内側の図柄表示装置13(本願発明の「表示装置」に相当)の表示部13a(本願発明の「表示領域」に相当)の前面と重なる位置に移動することはないため、可動部材503全体を直接視認することはできません。つまり、上記の第1位置においても第2位置においても、透明な盤本体42を介すことなく可動部材503全体を視認することはできません。」と主張されているところ、先の認定は審判請求書における主張とも符合するものである。

(d-5)上記(d-1)?(d-4)での検討より、刊行物1発明の「可動部材503は、所定条件が成立すると移動し、裏ユニット50における表示開口53の上縁辺と上側の周板部54との間に位置する第1位置から、図柄表示装置13の表示部13aにおける中央部側の第2位置まで下方へ移動すると、第1位置にあるときに、表示枠体100よりも外側かつ外レール45の内側に存在し、重なり部582,582における盤本体42の後方に位置していた部位が移動し、可動部材503が下方に移動する際に、透明な盤本体42を介して左右の重なり部582,582を視認し得るので、遊技者は可動部材503の全体を確認することができる、パチンコ機10」は、本件補正発明の「前記装飾部材は、所定の遊技状態に基づいて移動可能に構成され、前記鎧部で区画された領域の内側方向へ移動することにより、当該鎧部で区画された領域の外側の前記遊技領域の裏面に位置していた部位が当該鎧部で区画された領域の内側の前記表示装置の表示領域の前面と重なる位置に移動し、当該鎧部で区画された領域の内側の前記表示装置の表示領域の前面と重なる位置において前記遊技領域の裏面に位置していた部位を含む当該装飾部材の全体が視認可能となることを特徴とする遊技機」と、「前記装飾部材は、所定の遊技状態に基づいて移動可能に構成され、前記鎧部で区画された領域の内側方向へ移動することにより、当該鎧部で区画された領域の外側の前記遊技領域の裏面に位置していた部位が」「移動」する「遊技機」である点で共通する。

上記(a)?(d)の対比より、本件補正発明と刊行物1発明とは、次の点で一致している。
「A 遊技球が流下可能な遊技領域に変動表示ゲームを表示可能な表示装置の前方で当該表示装置の表示領域の周囲を囲む枠状の前面構成体を備える遊技機において、
B 前記前面構成体は、当該前面構成体内への遊技球の進入を防止する鎧部を備え、
C 前記鎧部で区画された領域の外側と内側とを跨ぐように装飾部材が配設され、
D’前記装飾部材は、所定の遊技状態に基づいて移動可能に構成され、前記鎧部で区画された領域の内側方向へ移動することにより、当該鎧部で区画された領域の外側の前記遊技領域の裏面に位置していた部位が移動する遊技機。」

そして、本件補正発明と刊行物1発明とは、次の点で相違している。

(相違点1)
装飾部材の鎧部で区画された領域の外側の遊技領域の裏面に位置していた部位の移動に関して、本件補正発明は、「当該鎧部で区画された領域の内側の前記表示装置の表示領域の前面と重なる位置に移動し、当該鎧部で区画された領域の内側の前記表示装置の表示領域の前面と重なる位置において前記遊技領域の裏面に位置していた部位を含む当該装飾部材の全体が視認可能となる」のに対して、刊行物1発明は、そのような態様でない点。(構成D)

(4)判断
上記相違点1について検討する。
刊行物1は、「左右の重なり部582,582は、可動部材503が下方に移動するにつれて、徐々に表示枠体100の窓口100aに臨むので、遊技者は、重なり部582,582を含む可動部材503全体を直接視認することができる。」(段落【0316】)との効果について言及したものであるところ、刊行物1発明は、可動部材503が下方に移動した際に、可動部材503全体を直接視認しようとする動機付けを内在するものといえる。

他方、遊技機の技術分野において、表示装置の表示領域の上方周縁に位置していた演出部材が下方へ移動したときに、表示領域の前面と重なる位置において全体を直接視認可能とすることは、例えば、特開2013-27496号公報(段落【0026】、【0032】、【0051】、【0060】、図3?4、7?9には、可動役物110の左右方向幅は、液晶画面26の左右方向幅よりも小さく形成され、可動役物110の上下方向幅は、液晶画面26の上下方向幅よりも小さく形成されること、可動役物110は、センター役物12の上部の背後に配置され、概ね全てがセンター役物12によって遊技者側から視認不能となり、下端部がセンター役物12の上部より下方であって液晶画面26の上端部の前方に配置される収容位置から、下方の出現位置へ向けて移動し、出現位置では、正面視で液晶画面26の略半分程度が可動役物110の背後に配置されることとなり、可動役物110の背後に配置された液晶画面26は、前記可動役物110により遊技者側から視認不能となること、及び図柄表示装置13の液晶画面26が、遊技板10に取り付けられたセンター役物12のセンター開口部27の後方に配置されるため、前方からセンター開口部27を介して、すなわち透明板等を介さずに直接、液晶画面26に表示される図柄遊技を視認することが記載されている。)、特開2011-110202号公報(段落【0023】、【0058】、図3?4には、図柄表示部105の上方の上方位置PHにおいては、演出用可動部品126が「銭形平次」との表示に隠れて全体が視認できず、演出用可動部品126が上方位置PHに移動した状態でモータ11を逆方向に回転させると、演出用可動部品126を下方位置PLに移動させることができ、下方位置PLにおいては、図柄表示部105の前面において演出用可動部品126の全体が視認可能であることが記載されている。また、下方位置PLにおいて、演出用可動部品126より手前に透明板等が存在することは把握できないから、演出用可動部品126は透明板等を介さずに直接視認可能であるといえる。)、特開2013-9891号公報(段落【0170】?【0179】、図15?23には、第1可動演出部材731が初期位置にあるとき、表示部41aの上方であって、遊技盤30の前方から見たときに表示装置41の表示部41aの前面に重ならない位置にあり、第1可動演出部材731が下降して下降しきった状態になると、表示部41aの前面に重なる位置に配置されて第1可動演出部材731の全体が視認可能であることが記載されている。また、第1可動演出部材731が下降しきった状態において、第1可動演出部材731より手前に透明板等が存在することは把握できないから、第1可動演出部材731は透明板等を介さずに直接視認可能であるといえる。)に示されるように、本願の出願日前における周知技術である。

したがって、刊行物1発明において、上記の動機付けに基づいて可動部材503が下方の第2位置に移動した際に可動部材503全体を直接視認可能とすべく、上記周知技術を適用して、重なり部582,582における盤本体42の後方に位置していた部位が、表示部13aが表示する領域の前面と重なる位置に移動し、当該位置において重なり部582,582における盤本体42の後方に位置していた部位を含む可動部材503の全体が直接視認可能となるようにし、以て上記相違点1に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得ることである。

(5)請求人の主張について
ア 請求人は、審判請求書の「3-3 本願発明が特許されるべき理由」において、「引用文献1に開示されている遊技機においては、第1可動演出装置500の前面に「GODZILLA」のロゴが構成された可動部材503(本願発明の「装飾部材」に相当)が上下方向に往復移動しますが、図5に示されている第1位置においても図6に示されている第2位置においても、左端の「G」の部分(重なり部582)は庇状部124(本願発明の「鎧部」に相当)の外側と内側に跨がる位置にあり、この「G」の部分全体が表示枠体100で区画された領域の内側の図柄表示装置13(本願発明の「表示装置」に相当)の表示部13a(本願発明の「表示領域」に相当)の前面と重なる位置に移動することはないため、可動部材503全体を直接視認することはできません。つまり、上記の第1位置においても第2位置においても、透明な盤本体42を介すことなく可動部材503全体を視認することはできません。 このため、引用文献1に開示されている遊技機から本願請求項1及び2の発明の構成は得られません。」と主張している。
しかしながら、上記(4)において検討したように、表示装置の表示領域の上方周縁に位置していた演出部材が下方へ移動したときに、表示領域の前面と重なる位置において全体を直接視認可能とすることは、本願の出願日前における周知技術であり、刊行物1発明に上記周知技術を適用して請求人の主張に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
よって、請求人の上記主張を採用することはできない。

イ 請求人は、審判請求書の「3-3 本願発明が特許されるべき理由」において、「本願請求項1及び2の発明は、引用文献等1との構成の差異に基づく効果、すなわち、「・・・ので、例えば遊技領域に備えた透明部材等を介すことなく装飾部材の全体を視認することができ、当該装飾部材が備えた本来の装飾効果を好適に発揮することができる。」及び「鎧部で区画された領域の内側の表示装置の表示領域の前面と重なる位置において遊技領域の裏面に位置していた部位を含む当該装飾部材の全体が視認可能となることによって、表示装置と装飾部材とによる複合的な演出を効果的に行うことができる。」という本願請求項1及び2の発明に特有の効果による差異も有しております。」と主張している。
しかしながら、請求人の主張する効果は、上記(4)で検討した周知技術により奏されるものであるところ、請求人の主張する効果は、刊行物1発明及び周知技術から当業者が予測し得る程度のものであって、格別のものではない。
よって、請求人の上記主張を採用することはできない。

(6)まとめ
以上のように、本件補正発明は、当業者が刊行物1発明、及び周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

4 補正却下の決定についてのむすび
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の各請求項に係る発明は、平成29年4月17日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲に記載されたとおりのものであり、特に、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は次のとおりのものである(ただし、A?Dは、分説するために当審で付した。)。

「【請求項1】
A 遊技球が流下可能な遊技領域に変動表示ゲームを表示可能な表示装置の前方で当該表示装置の表示領域の周囲を囲む枠状の前面構成体を備える遊技機において、
B 前記前面構成体は、当該前面構成体内への遊技球の進入を防止する鎧部を備え、
C 前記鎧部で区画された領域の外側と内側とを跨ぐように装飾部材が配設され、
D 前記装飾部材は、所定の遊技状態に基づいて移動可能に構成され、前記鎧部の内側方向へ移動することにより、前記遊技領域の後方に位置していた部位が前記表示装置の表示領域の前方に移動し、当該表示領域の前方領域において当該装飾部材の全体像が把握可能となることを特徴とする遊技機。」

2 刊行物
刊行物1及びその記載事項並びに刊行物1発明は、上記「第2 3(2)(2-1)」に記載したとおりである。

3 対比・判断
本願発明は、上記「第2 3(1)」で検討した本件補正発明の「前記鎧部で区画された領域の内側方向へ移動することにより」との事項において、「で区画された領域」との限定を省き、「当該鎧部で区画された領域の外側の前記遊技領域の裏面に位置していた部位が当該鎧部で区画された領域の内側の前記表示装置の表示領域の前面と重なる位置に移動し」との事項において、「当該鎧部で区画された領域の外側の」及び「当該鎧部で区画された領域の内側の」との限定を省き、かつ「裏面」との記載を「後方」に、「前面と重なる位置」との記載を「前方」にそれぞれ換え、「当該鎧部で区画された領域の内側の前記表示装置の表示領域の前面と重なる位置において前記遊技領域の裏面に位置していた部位を含む当該装飾部材の全体が視認可能となる」との事項において、「鎧部で区画された領域の内側の前記表示装置の」及び「前記遊技領域の裏面に位置していた部位を含む」との限定を省き、かつ「前面と重なる位置」との記載を「前方領域」に、「全体が視認可能」との記載を「全体像が把握可能」にそれぞれ換えたものである。

本願発明と刊行物1発明とを対比する。

(a)?(c)上記「第2 3(3)」での検討より、刊行物1発明の構成a?cは、それぞれ本願発明の構成A?Cに相当する。

(d)
(d-1)上記「第2 3(3)(d)(d-1)」での検討より、刊行物1発明の「可動部材503は、所定条件が成立すると移動」することは、本願発明の「前記装飾部材は、所定の遊技状態に基づいて移動可能に構成され」ることに相当する。

(d-2)上記「第2 3(3)(d)(d-2)」での検討をふまえると、刊行物1発明において「裏ユニット50における表示開口53の上縁辺と上側の周板部54との間に位置する第1位置から、図柄表示装置13の表示部13aにおける中央部側の第2位置まで下方へ移動」することは、本願発明において「前記鎧部の内側方向へ移動すること」に相当する。

(d-3)上記「第2 3(3)(d)(d-3)」での検討をふまえると、刊行物1発明の「第1位置にあるときに、表示枠体100よりも外側かつ外レール45の内側に存在し、重なり部582,582における盤本体42の後方に位置していた部位」は、本願発明の「前記遊技領域の後方に位置していた部位」に相当する。
また、刊行物1発明において、「図柄表示装置13」は「裏ユニット50における設置板部52の後側に取り付けられて」おり(構成a)、「可動部材503」は「設置板部52の表示開口53の上側に延在する上辺部52a前面に設置され」ている(構成c)から、各々についての「設置板部52」との前後の位置関係より、「可動部材503」は「図柄表示装置13」の表示をおこなう領域よりも前方にあるといえる。そうすると、刊行物1発明において、「第1位置にあるときに、表示枠体100よりも外側かつ外レール45の内側に存在し、重なり部582,582における盤本体42の後方に位置していた部位」が移動した場合において、当該部位が、「図柄表示装置13」の表示をおこなう領域の前方にあることは明らかである。
したがって、刊行物1発明において「第1位置にあるときに、表示枠体100よりも外側かつ外レール45の内側に存在し、重なり部582,582における盤本体42の後方に位置していた部位が移動」することは、本願発明において「前記遊技領域の後方に位置していた部位が前記表示装置の表示領域の前方に移動」することに相当する。

(d-4)上記(d-3)での検討と同様の理由により、刊行物1発明において、「第1位置にあるときに、表示枠体100よりも外側かつ外レール45の内側に存在し、重なり部582,582における盤本体42の後方に位置していた部位」が移動した場合において、当該部位は「図柄表示装置13」の表示をおこなう領域の前方の領域にあるといえる。
また、刊行物1発明において「遊技者は可動部材503の全体を確認することができる」ことは、本願発明において「当該装飾部材の全体像が把握可能」であることに相当する。
したがって、刊行物1発明において「第1位置にあるときに、表示枠体100よりも外側かつ外レール45の内側に存在し、重なり部582,582における盤本体42の後方に位置していた部位が移動」して、「可動部材503が下方に移動する際に、透明な盤本体42を介して左右の重なり部582,582を視認し得るので、遊技者は可動部材503の全体を確認することができる」ことは、本願発明において「当該表示領域の前方領域において当該装飾部材の全体像が把握可能となる」ことに相当する。

(d-5)上記(d-1)?(d-4)での検討より、刊行物1発明の「可動部材503は、所定条件が成立すると移動し、裏ユニット50における表示開口53の上縁辺と上側の周板部54との間に位置する第1位置から、図柄表示装置13の表示部13aにおける中央部側の第2位置まで下方へ移動すると、第1位置にあるときに、表示枠体100よりも外側かつ外レール45の内側に存在し、重なり部582,582における盤本体42の後方に位置していた部位が移動し、可動部材503が下方に移動する際に、透明な盤本体42を介して左右の重なり部582,582を視認し得るので、遊技者は可動部材503の全体を確認することができる、パチンコ機10」は、本願発明の「前記装飾部材は、所定の遊技状態に基づいて移動可能に構成され、前記鎧部の内側方向へ移動することにより、前記遊技領域の後方に位置していた部位が前記表示装置の表示領域の前方に移動し、当該表示領域の前方領域において当該装飾部材の全体像が把握可能となる」「遊技機」に相当する。

上記(a)?(d)の対比より、本願発明と刊行物1発明とは、
「A 遊技球が流下可能な遊技領域に変動表示ゲームを表示可能な表示装置の前方で当該表示装置の表示領域の周囲を囲む枠状の前面構成体を備える遊技機において、
B 前記前面構成体は、当該前面構成体内への遊技球の進入を防止する鎧部を備え、
C 前記鎧部で区画された領域の外側と内側とを跨ぐように装飾部材が配設され、
D 前記装飾部材は、所定の遊技状態に基づいて移動可能に構成され、前記鎧部の内側方向へ移動することにより、前記遊技領域の後方に位置していた部位が前記表示装置の表示領域の前方に移動し、当該表示領域の前方領域において当該装飾部材の全体像が把握可能となる遊技機。」
である点で一致しており、相違点はない。

したがって、本願発明は刊行物1に記載された発明である。
また、仮に相違点があったとしても、本願発明は当業者が刊行物1に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものである。

4 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し、または同条第2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、その余の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2018-04-06 
結審通知日 2018-04-10 
審決日 2018-04-23 
出願番号 特願2013-126803(P2013-126803)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (A63F)
P 1 8・ 113- Z (A63F)
P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 秋山 斉昭  
特許庁審判長 瀬津 太朗
特許庁審判官 藤田 年彦
櫻井 茂樹
発明の名称 遊技機  
代理人 荒船 良男  
代理人 特許業務法人光陽国際特許事務所  
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