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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 A61B
管理番号 1340968
審判番号 不服2017-8694  
総通号数 223 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-07-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-06-14 
確定日 2018-06-26 
事件の表示 特願2014-538835「圧平圧力計および眼の眼内圧の測定方法」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 5月 2日国際公開、WO2013/062807、平成26年12月 8日国内公表、特表2014-532471、請求項の数(9)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2012年(平成24年)10月16日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2011年10月28日、米国)を国際出願日とする出願であって、平成28年7月1日付けで拒絶理由通知がされ、同年9月30日付けで手続補正がされ、平成29年2月14日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、同年6月14日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされたものである。

第2 原査定の概要
原査定の概要は次のとおりである。
この出願の請求項1?9に係る発明は、その出願前日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献1:中国特許出願公開第1158239号明細書
引用文献2:特開平3-136634号公報
引用文献3:特表2005-500092号公報

要すれば、独立項である請求項1に係る発明について、引用文献1に記載された発明と対比し、両者の相違点である請求項1に係る発明の「光バッフル」についての特定事項、「フォトダイオード」について、前者は引用文献2に記載された事項から、後者は引用文献2に記載された周知技術から、それぞれ当業者が容易になし得たことであるとし、そして、請求項1を引用する請求項2?9に係る発明について、その引用文献1に記載された発明、並びに、引用文献1?3に記載された事項及び引用文献2に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるとしたものである。

第3 審判請求時の補正について
審判請求時の補正は、特許法第17条の2第3項から第6項までの要件に違反しているものとはいえない。
審判請求時の補正によって、補正前の請求項1の「前記光源によって生成され前記光伝送体を通して内向きに前記第1の方向に伝送される光のすべて、および、前記光伝送体の接触チップによって反射され前記光伝送体を通して外向きに前記第2の方向に伝送される光のすべてが、前記光バッフルの前記リング形状の光学的に透明な領域を円周状に通過して伝送される」ことを、「前記光源によって生成され前記光伝送体を通して内向きに前記第1の方向に伝送される光のすべて、および、前記光伝送体の接触チップによって反射され前記光伝送体を通して外向きに前記第2の方向に伝送される光のすべてが、前記光バッフルの前記リング形状の光学的に透明な領域を円周状かつ360°全体にわたり通過して伝送される」(下線部が追加された補正部分)ことに補正されたが、これは、出願当初の明細書の【0021】に記載された事項であるから新規事項を追加するものではなく、また、「第1の方向に伝送される光のすべて」及び「第2の方向に伝送される光のすべて」が通過して伝送される領域を限定するものであるから、いわゆる限定的減縮を目的とするものである。
そして、「第4 本願発明」から「第6 対比・判断」までに示すように、補正後の請求項1?9に係る発明は、独立特許要件を満たすものである。

第4 本願発明
本願請求項1?9に係る発明は、審判請求時の手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1?9に記載された事項により特定される発明であり、そのうち、独立項である請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は以下のとおりの発明である。
「【請求項1】
眼の眼内圧を測定するための圧平圧力計であって、前記圧平圧力計は、
光を生成する光源と、
前記光源によって生成された光を受ける光伝送体とを備え、前記光伝送体は接触チップを有し、前記接触チップを移動させて眼の角膜と接触させて圧力を角膜に加えると、前記光源から生成された光は、前記光伝送体を通して内向きに第1の方向に前記光伝送体の接触チップに向かって伝送され、前記第1の方向に伝送される光の一部は分離されて前記光伝送体から前記接触チップを通って逃げ、内向きに伝送される光のうち、分離されず前記光伝送体から逃げない残余の光は、前記接触チップによって反射され前記光伝送体を通して外向きに第2の方向に伝送され、
前記光源と前記光伝送体の間に位置する光バッフルを備え、前記光バッフルは、光学的に不透明な内部領域と、前記光学的に不透明な内部領域から間隔を隔てて位置し、かつ前記光学的に不透明な内部領域を囲む光学的に不透明な外縁と、前記光学的に不透明な内部領域を囲むために前記光学的に不透明な内部領域から前記光学的に不透明な外縁へと延在する、リング形状の光学的に透明な領域とを有し、前記光源によって生成され前記光伝送体を通して内向きに前記第1の方向に伝送される光のすべて、および、前記光伝送体の接触チップによって反射され前記光伝送体を通して外向きに前記第2の方向に伝送される光のすべてが、前記光バッフルの前記リング形状の光学的に透明な領域を円周状かつ360°全体にわたり通過して伝送されるように、前記光バッフルが配置され、
前記接触チップによって反射され前記光バッフルの前記リング形状の光学的に透明な領域を通して前記第2の方向に伝送される光の強度に応答して出力信号を与えるフォトダイオードを備え、前記フォトダイオードの出力信号は、前記光伝送体の接触チップと前記眼の角膜が接触する面積に応じて決まり、
前記光伝送体の接触チップを移動させて前記眼の角膜と接触させた後に接触領域で生成された圧力に応答して出力信号を与える力検出器と、
前記フォトダイオードおよび前記力検出器によって与えられた前記出力信号を受け前記出力信号に応じて前記眼の眼内圧の測定値を与える信号処理器とを備える、圧平圧力計。」

第5 引用文献、引用発明等
1 引用文献1について
(1)原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先日前に頒布された刊行物である引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。なお、当審訳の下線は、下記(2)の引用発明の認定に関する部分として当審が付与した。
(1ア)

(当審訳:特許請求の範囲
1.眼内圧を測定するためのスマート小型圧平式眼圧計であって,光源(1)とプローブ(4)の光路,センサ及びマイクロプロセッサ回路等で構成され,その特徴は以下のとおりである:光源(1)の真下にコリメーションシステム(2)のレンズがあり,レンズの真下に水平面と45°の角度をなす分光板(3)があり,分光板(3)の真下に透明な光学プローブ(4)があり,分光板(3)の同一水平面上の右辺に集光器(6)があり,集光器(6)のレンズは分光板(3)が反射する光を集束し、センサ(9)の感光孔に投射する;コリメーションシステム(2)、分光板(3)、集光器(6)及びセンサ(9)の感光孔はいずれも六面体構造の遮光部(23)内にパッケージングされ,遮光部(23)の上下の相対する2つの面に,2つの孔(24,25)が相対して開設され,その直径はプローブ(4)上部の円柱の直径より僅かに大きく,遮光部(23)の右側面に1つの孔(26)が開設され,センサ(9)の感光孔は遮光部(23)内に収められる。)

(1イ)

(明細書1頁20?26行)
(当審訳:上記目的を達成するための,本発明の解決手段は以下のとおりである:より合理的で,シンプルな光路を設計することにより,染色薬を一切使用せずに,圧平される角膜の面積を正確に測定することができる;平滑度の高いプローブを作製することにより,角膜の損傷を極力小さくするか又は損傷を受けないようにする;専用の位置特定ポインタを設計することより,測定時に正確に位置を特定することや,人と装置が協働することや、操作を簡単にすることを実現する;プローブ自重の圧力を利用し,可動二重ロッド機構を採用することにより,圧力伝達を実現し,無作為性の摩擦力が加圧値に与える影響を完全に除去する。マイコン制御技術を用いることによって,真の意味での迅速な測定と圧力の瞬間検出を実現する。装置全体を一体化したコンパクト構造で設計することにより,携帯しやすくなり,操作が簡単になり,コストを低く抑えることができ,普及が容易になる。)

(1ウ)

(明細書3頁3行?4頁10行)
(当審訳:本発明の動作プロセスは図1に示すとおりであり,小型の白熱光源(1)から発せられる光が,コリメーションシステム(2)のレンズを通過することで,平行で均一なビームとなり,この100%のビームが、ビームと45°の角度をなす分光板(3)を通過し,可動光学プローブ(4)に垂直に照射される;このプローブ(4)は平滑度の高い光学プローブである;ビームの一部はプローブ(4)底面に直接照射されるビームであり,プローブ(4)を貫通し,位置特定ポインタ(12)となり,角膜の中心の位置を特定し、また測定対象の眼の視線を集中させるために用いられ,それによって、眼軸と主光軸を一致させ,且つプローブ(4)の底面と垂直になるようにすることができる;ビームの他の部分はプローブ(4)下部の円錐台の側面に照射されるビームであり,一側の表面で全反射され,プローブ(4)下底面に照射され,底面での第二の反射で相対する他側の表面に照射され,他側の表面でさらに全反射され,再び分光板(3)に照射され,この分光板(3)に再び戻ってきたビームは,50%が分光板(3)によって集光器(6)に反射され,集光器(6)のレンズで集光されてから,センサ(9)の感光孔に投射され,光電変換器に収集され,アナログデジタル変換器によって収集されたビームの流束に対応するデジタル信号が形成され,マイクロプロセッサ(10)に再び送られて演算処理される。
プローブ(4)の底面がいずれの物体とも接触していない時,プローブ(4)下部の円錐台形の側面に照射されるビームは,3回の反射を経てもほぼ全てが分光板(3)に再び戻り,分光板(3)で分光されてから,50%のビームが集光器(6)を経てセンサ(9)によって収集され,対応するデジタル信号に変換される。眼圧を測定する時,眼圧計を徐々に下ろし,プローブ(4)の底面の一部を眼球(15)の角膜に接触させ,且つ眼球(15)の角膜の所定の面積Sを圧平し,図3に示すとおり,接触面において,境界面の下部が眼球(15)の角膜であるため,光学媒体に変化が生じ,光の屈折率も変化し,プローブ(4)部分の底面で反射するビームのうちの一部が眼球(15)内部に屈折入射し,それによって、その部分の反射光のビームの流束が大幅に減少し,プローブ(4)が眼球(15)部分での反射光に接触しておらず,大部分の全反射が分光板(3)に戻るが,反射して分光板(3)に戻る全ビームの流束は減少し,それに伴い、センサ(9)が収集するビームの流束も減少し,ビームの流束は、一定の数学的関係に基づいて,角膜の圧平面積Sの変化によって規則的に変化する;従って、マイクロプロセッサ(10)の処理によって、圧平面積Sの正確な値を得ることができる;また,プローブ(4)は、二重ロッド(14)によってケース(22)及びセンサ(9)と接続されるため,可動接続部分において無作為性の摩擦力が生じることはほとんどなく,プローブ(4)を眼球(15)に接触させて徐々に圧力を加える時,プローブ(4)の重量と,眼球(15)の角膜における上向きの弾力と,支点(5)の上向きの支持力という3つの力がバランスを保ち,一定のレベルになり,プローブ(4)が眼球(15)の上向きの弾力によって持ち上げられる時,支点(5)の上向きの支持力がゼロになり,プローブ(4)自体の重量と眼球(15)の弾力がバランスを保ち,従って、この時に眼球(15)にかかる圧力Fはプローブ(4)の自重である;センサ(9)は、プローブ(4)が持ち上げられる瞬間の信号をタイムリーに検出して,マイクロプロセッサ(10)に送信することができ,マイクロプロセッサ(10)はこの信号を受信してから,この時のセンサ(9)が収集したビームの流束を、角膜の圧平面積Sの正確な値に直ちに換算し,また、FとSのデータを式P=F/Sに代入し,測定された眼球(15)の眼内圧を算出し,この内圧値Pは液晶デジタルディスプレイ(19)に直ちに送られて表示され,且つ記憶され,また、マイクロプロセッサ(10)は、スピーカ(13)に電気信号を送信して,音声によって,測定プロセスが完了したことや,赤外線でプリンタをリモートコントロールしてデータを印刷できることを使用者に知らせる;マイクロプロセッサ(10)の分析・演算速度は非常に速いため,プローブ(4)の持ち上げ操作と,ディスプレイ(19)のデジタル表示と,スピーカ(13)の音声通知は,ほぼ同時に行われ,従って、このような迅速な測定によって,本発明の正確性,安全性,信頼性が保証される。)

(1エ)図1として、以下の図面が記載されている。

上記図面から、遮光部23は 光源(1)とプローブ(4)の間に位置していることが見て取れる。

(2)引用発明
したがって、上記引用文献1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「眼内圧を測定するためのスマート小型圧平式眼圧計であって、光源(1)とプローブ(4)の光路、センサ及びマイクロプロセッサ回路等で構成され、光源(1)の真下にコリメーションシステム(2)のレンズがあり、レンズの真下に水平面と45°の角度をなす分光板(3)があり、分光板(3)の真下に透明な光学プローブ(4)があり、分光板(3)の同一水平面上の右辺に集光器(6)があり、集光器(6)のレンズは分光板(3)が反射する光を集束し、センサ(9)の感光孔に投射し、コリメーションシステム(2)、分光板(3)、集光器(6)及びセンサ(9)の感光孔はいずれも、光源(1)とプローブ(4)の間に位置している六面体構造の遮光部(23)内にパッケージングされ、遮光部(23)の上下の相対する2つの面に、2つの孔(24,25)が相対して開設され、その直径はプローブ(4)上部の円柱の直径より僅かに大きく、遮光部(23)の右側面に1つの孔(26)が開設され、センサ(9)の感光孔は遮光部(23)内に収められるスマート小型圧平式眼圧計において、
光源(1)から発せられる光が、コリメーションシステム(2)のレンズを通過することで,平行で均一なビームとなり、
ビームの一部は、プローブ(4)底面に直接照射されるビームであり、プローブ(4)を貫通し、位置特定ポインタ(12)となり、角膜の中心の位置を特定し、また測定対象の眼の視線を集中させるために用いられ、それによって、眼軸と主光軸を一致させ、且つプローブ(4)の底面と垂直になるようにすることができ、
ビームの他の部分は、プローブ(4)下部の円錐台の側面に照射されるビームであり、一側の表面で全反射され、プローブ(4)下底面に照射され、底面での第二の反射で相対する他側の表面に照射され、他側の表面でさらに全反射され、再び分光板(3)に照射され、この分光板(3)に再び戻ってきたビームは、分光板(3)によって集光器(6)に反射され、集光器(6)のレンズで集光されてから、センサ(9)の感光孔に投射され、光電変換器に収集され、アナログデジタル変換器によって収集されたビームの流束に対応するデジタル信号が形成され、マイクロプロセッサ(10)に再び送られて演算処理されるもので、
眼圧を測定する時、眼圧計を徐々に下ろし、プローブ(4)の底面の一部を眼球(15)の角膜に接触させ、且つ眼球(15)の角膜の所定の面積Sを圧平し、プローブ(4)部分の底面で反射するビームのうちの一部が眼球(15)内部に屈折入射し、それによって、その部分の反射光のビームの流束が大幅に減少し、そのビームの流束は、一定の数学的関係に基づいて、角膜の圧平面積Sの変化によって規則的に変化するものであり、
そして、プローブ(4)自体の重量と眼球(15)の弾力がバランスを保ち、眼球(15)にかかる圧力Fはプローブ(4)の自重である時、センサ(9)は、プローブ(4)が持ち上げられる瞬間の信号をタイムリーに検出して、マイクロプロセッサ(10)に送信することができ、
マイクロプロセッサ(10)は、FとSのデータを式P=F/Sに代入し、測定された眼球(15)の眼内圧を算出する、スマート小型圧平式眼圧計。」

2 引用文献2について
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先日前に頒布された刊行物である引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。なお、下線は当審において付与した。
(2ア)「[産業上の利用分野]
本発明は目に当てがうことのできる測定本体と、測定本体の圧力および前記圧力による圧平面を自動的に測定して測定量から眼圧を計算する手段とを備えた圧平形眼圧計に関する。」
(2イ)「[実施例]
第1図及び第2図に眼圧計の円筒状函体1を論理的に略示する。この函体は片手で容易に保持できるように設計されている。平坦な測定面3を有する測定本体2が好ましくは交換可能なロッド4に固着されている。ロッド4は測定本体2の位置とは無関係に所定の電流に対して所定の力を測定本体に加えるような完全な線型特性を充分な調整領域内に有するリニアモータ5の一部である。ロッド4は完全な重量補償及び位置の独立性を達成するようにロッド4と平行に案内される錘7に2本のアームレバー6を介して接続されている。このようにして、眼圧計は水平もしくは垂直もしくは任意の傾斜位置で測定を行うように保持することができる。」

(2ウ)「第4図及び第5図は測定本体2の拡大図である。測定本体はロッド4にねじ込まれたサポート22上に支持されている。函体1は付属物1a及び1bを具備し、その内の後部の付属物だけが第1図に示されており、その一方側には光源23が固着され(第2図及び第4図)他方側には光トランスジューサ、例えば、光電セル24が固着されている。透明材からなる測定本体2の後方凹み25内には、目14に対する測定本体の正しい方位を固定するランプの機能を有する発光ダイオード26が設けられている。眼圧計函体内には、一方では好ましくは赤外範囲の発光を行う発光ダイオード27が設けられている。発光ダイオードにはコンデンサ28が付随していて、コンデンサ28からの均質な平行光線が後から測定本体内に入るようにされている。この光線は測定本体の傾斜面において完全反射され測定本体の平坦な測定面3へ送られる。第4図に従った測定本体が目から外されている場合、前記光線はここで再び完全反射され測定本体の反対側の傾斜面を通って光電トランスジューサ30、例えばホトダイオード、上の収束レンズ29中を通過する。」

(2エ)第1図及び第4図として、以下の図面が記載されている。


3 引用文献3について
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先日前に頒布された刊行物である引用文献3には、次の事項が記載されている。
(3ア)「【0030】
圧力センサ16は、圧平機11によって眼に適用される力を測定するために、圧平機11に作動可能に結合される。好ましい実施形態において、圧力センサ16は、「座金」または「ドーナツ」の形状の圧電素子を備える。このような構成は、中心軸を通る透明な光軸を提供する。この圧電素子は、所定の適用される力に対して極端に小さいずれを要求するというさらなる利点を有する。軸方向に局在した圧電素子の使用は、適用される実際の力あたりの比較的高い電圧(高い力信号に対応する)を提供し、従って、低い費用、および電子特徴の低い変動性を生じ、これらは、製造プロセスを単純にする。圧電デバイスが使用される場合、この圧電素子は、好ましくは、関与する力を考慮して、この圧電素子がその非線形の範囲内で作動しないように、十分に大きな直径を有するように選択される。さらに、圧力センサ16は、好ましくは、圧平機11以外の静的な力を受けない、眼圧計ハウジング38内に位置する。」

第6 対比・判断
1 本願発明について
(1)対比
本願発明と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。
ア 引用発明の「眼内圧を測定するためのスマート小型圧平式眼圧計」は、本願発明の「眼の眼内圧を測定するための圧平圧力計」に、引用発明の「光源(1)」は、本願発明の「光を生成する光源」に、引用発明の「プローブ(4)」は、本願発明の「前記光源によって生成された光を受ける光伝送体」に、引用発明の「眼球(15)の角膜に接触」する「プローブ(4)部分の底面」部分は、本願発明の「光伝送体」が「有」する「接触チップ」に相当する。

イ 引用発明の「眼圧計を徐々に下ろし、プローブ(4)の底面の一部を眼球(15)の角膜に接触させ、且つ眼球(15)の角膜の所定の面積Sを圧平」することは、本願発明の「前記接触チップを移動させて眼の角膜と接触させて圧力を角膜に加える」ことに相当する。
そして、引用発明の「光源(1)から発せられ」「コリメーションシステム(2)のレンズを通過」した「平行で均一なビーム」のうちの「ビームの他の部分」であって、「プローブ(4)下部の円錐台の側面に照射されるビームであり、一側の表面で全反射され、プローブ(4)下底面に照射され」、「プローブ(4)部分の底面で反射する光線のうちの一部が眼球(15)内部に屈折入射」する「ビーム」は、本願発明の「前記光伝送体を通して内向きに第1の方向に前記光伝送体の接触チップに向かって伝送され、前記第1の方向に伝送される光の一部は分離されて前記光伝送体から前記接触チップを通って逃げ」る「光源から生成された光」に相当する
また、同様に引用発明の「光源(1)から発せられ」「コリメーションシステム(2)のレンズを通過」した「平行で均一なビーム」のうちの「ビームの他の部分」であって、「プローブ(4)下部の円錐台の側面に照射されるビームであり、一側の表面で全反射され、プローブ(4)下底面に照射され」、「眼球(15)内部に屈折入射」すること「によって、その部分の反射光のビームの流束が大幅に減少し」、「底面での第二の反射で相対する他側の表面に照射され、他側の表面でさらに全反射され、再び分光板(3)に照射され」る「ビーム」は、本願発明の「内向きに伝送される光のうち、分離されず前記光伝送体から逃げない残余の光は、前記接触チップによって反射され前記光伝送体を通して外向きに第2の方向に伝送され」る「光源から生成された光」に相当する。

ウ 光バッフルについて
引用発明の「遮光部(23)の」「下の」「面」部分の「孔(25)」は、「光学的に透明な領域」といえ、「遮光部(23)の」「下の」「面」の「孔(25)」の周りは「遮光部」であることから、「光学的に不透明な外縁」といえる。
そして、引用発明の「光源(1)から発せられる」「ビーム」及び「底面での第二の反射で相対する他側の表面に照射され、他側の表面でさらに全反射され、再び分光板(3)に照射され」る「ビーム」の全てが、「孔(25)」を通過して伝送されるものである。
してみれば、引用発明の「光源(1)とプローブ(4)の間に位置している」「上下の相対する2つの面に、2つの孔(24,25)が相対して開設され」た「遮光部(23)」の「下の」「面」部分と、本願発明の「前記光源と前記光伝送体の間に位置」する「光学的に不透明な内部領域と、前記光学的に不透明な内部領域から間隔を隔てて位置し、かつ前記光学的に不透明な内部領域を囲む光学的に不透明な外縁と、前記光学的に不透明な内部領域を囲むために前記光学的に不透明な内部領域から前記光学的に不透明な外縁へと延在する、リング形状の光学的に透明な領域とを有し、前記光源によって生成され前記光伝送体を通して内向きに前記第1の方向に伝送される光のすべて、および、前記光伝送体の接触チップによって反射され前記光伝送体を通して外向きに前記第2の方向に伝送される光のすべてが、前記光バッフルの前記リング形状の光学的に透明な領域を円周状かつ360°全体にわたり通過して伝送されるように」「配置され」た「光バッフル」とは、「前記光源と前記光伝送体の間に位置する光バッフルを備え、前記光バッフルは、光学的に不透明な外縁と、光学的に透明な領域とを有し、前記光源によって生成され前記光伝送体を通して内向きに前記第1の方向に伝送される光のすべて、および、前記光伝送体の接触チップによって反射され前記光伝送体を通して外向きに前記第2の方向に伝送される光のすべてが、前記光バッフルの光学的に透明な領域を通過して伝送されるように」「配置され」た「光バッフル」の点で共通する。

エ 引用発明の「センサ」と本願発明の「フォトダイオード」とは、センサという上位概念で共通するものである。
してみれば、引用発明の「底面での第二の反射で相対する他側の表面に照射され、他側の表面でさらに全反射され、再び分光板(3)に照射され」る「ビーム」が「センサ(9)の感光孔に投射され、光電変換器に収集され、アナログデジタル変換器によって収集されたビームの流束に対応するデジタル信号が形成され」、その「ビームの流束」は「一定の数学的関係に基づいて、角膜の圧平面積Sの変化によって規則的に変化する」ことと、本願発明の「前記接触チップによって反射され前記光バッフルの前記リング形状の光学的に透明な領域を通して前記第2の方向に伝送される光の強度に応答して出力信号を与えるフォトダイオードを備え、前記フォトダイオードの出力信号は、前記光伝送体の接触チップと前記眼の角膜が接触する面積に応じて決ま」ることとは、「前記接触チップによって反射され前記光バッフルの光学的に透明な領域を通して前記第2の方向に伝送される光の強度に応答して出力信号を与えるセンサを備え、前記センサの出力信号は、前記光伝送体の接触チップと前記眼の角膜が接触する面積に応じて決ま」ることで共通する。

オ 引用発明の「眼圧を測定する時、眼圧計を徐々に下ろし、プローブ(4)の底面の一部を眼球(15)の角膜に接触させ、且つ眼球(15)の角膜の所定の面積Sを圧平し」、「眼球(15)にかかる」「プローブ(4)の自重である」「圧力F」である「信号をタイムリーに検出して、マイクロプロセッサ(10)に送信することができ」るものは、本願発明の「前記光伝送体の接触チップを移動させて前記眼の角膜と接触させた後に接触領域で生成された圧力に応答して出力信号を与える力検出器」に相当する。

カ 引用発明の「FとSのデータを式P=F/Sに代入し、測定された眼球(15)の眼内圧を算出」する「マイクロプロセッサ(10)」は、本願発明の「前記フォトダイオードおよび前記力検出器によって与えられた前記出力信号を受け前記出力信号に応じて前記眼の眼内圧の測定値を与える信号処理器」とは、「前記センサおよび前記力検出器によって与えられた前記出力信号を受け前記出力信号に応じて前記眼の眼内圧の測定値を与える信号処理器」の点で共通する。

キ 一致点・相違点
したがって、本願発明と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。
(一致点)
「眼の眼内圧を測定するための圧平圧力計であって、前記圧平圧力計は、
光を生成する光源と、
前記光源によって生成された光を受ける光伝送体とを備え、前記光伝送体は接触チップを有し、前記接触チップを移動させて眼の角膜と接触させて圧力を角膜に加えると、前記光源から生成された光は、前記光伝送体を通して内向きに第1の方向に前記光伝送体の接触チップに向かって伝送され、前記第1の方向に伝送される光の一部は分離されて前記光伝送体から前記接触チップを通って逃げ、内向きに伝送される光のうち、分離されず前記光伝送体から逃げない残余の光は、前記接触チップによって反射され前記光伝送体を通して外向きに第2の方向に伝送され、
前記光源と前記光伝送体の間に位置する光バッフルを備え、前記光バッフルは、光学的に不透明な外縁と、光学的に透明な領域とを有し、前記光源によって生成され前記光伝送体を通して内向きに前記第1の方向に伝送される光のすべて、および、前記光伝送体の接触チップによって反射され前記光伝送体を通して外向きに前記第2の方向に伝送される光のすべてが、前記光バッフルの光学的に透明な領域を通過して伝送されるように、前記光バッフルが配置され、
前記接触チップによって反射され前記光バッフルの光学的に透明な領域を通して前記第2の方向に伝送される光の強度に応答して出力信号を与えるセンサを備え、前記センサの出力信号は、前記光伝送体の接触チップと前記眼の角膜が接触する面積に応じて決まり、
前記光伝送体の接触チップを移動させて前記眼の角膜と接触させた後に接触領域で生成された圧力に応答して出力信号を与える力検出器と、
前記センサおよび前記力検出器によって与えられた前記出力信号を受け前記出力信号に応じて前記眼の眼内圧の測定値を与える信号処理器とを備える、圧平圧力計。」

(相違点1)
光バッフルが、本願発明では、「光学的に不透明な内部領域」があり、光学的に不透明な外縁が「前記光学的に不透明な内部領域から間隔を隔てて位置し、かつ前記光学的に不透明な内部領域を囲む」ものであり、光学的に透明な領域が「前記光学的に不透明な内部領域を囲むために前記光学的に不透明な内部領域から前記光学的に不透明な外縁へと延在する、リング形状」であり、第1の方向に伝送される光のすべておよび第2の方向に伝送される光のすべてが、「前記リング形状の」光学的に透明な領域を「円周状かつ360°全体にわたり」通過して伝送されるように配置されるものであるのに対し、引用発明では、「下の」「面」部分に「孔(25)」「が開設され」た「遮光部(23)」であり、「孔(25)」には上記「光学的に不透明な内部領域」に相当する部分がないことから、上記のような構成にはならない点。

(相違点2)
センサが、本願発明では「フォトダイオード」であるが、引用発明のセンサがフォトダイオードであるかどうか不明である点。

(2)相違点についての判断
相違点1について検討する。
上記引用文献2には、摘記(2ア)?(2エ)から、目14に対する測定本体の正しい方位を固定するランプの機能を有する発光ダイオード26が設けられている測定本体を支持するサポート22を有し、そのサポート22にロッド4がねじ込まれており、そのロッドは、所定の力を測定本体に加えるリニアモータ5の一部となっている圧平形眼圧計が記載されている。そして、第4図のサポート22に注目すると、矢印付きの線で表された光線の通過する以外の部分に斜線が引かれているのが一応見てとれる。
しかしながら、「サポート22」は、図面で斜線が引かれている部分に遮光性があるにせよ、遮光用に設けられた部材ではなく、「サポート22」の機能は、「ロッド4」がねじ込まれ、「測定本体2」を支持するための支持(サポート)部材であるから、「サポート22」と「測定本体2」を分離して、別々の構成として扱うことはできない。
してみれば、引用発明の「遮光部(23)」の「下の」「面」の「孔(25)」「が開設され」た部分に、引用文献2に記載の上記「サポート22」のみを配置する動機付けはない。
むしろ、引用発明は、「光源(1)から発せられ」「コリメーションシステム(2)のレンズを通過」した「平行で均一なビーム」のうちの「ビームの一部はプローブ(4)底面に直接照射されるビームであり、プローブ(4)を貫通し、位置特定ポインタ(12)となり、角膜の中心の位置を特定し、また測定対象の眼の視線を集中させるために用いられ、それによって、眼軸と主光軸を一致させ、且つプローブ(4)の底面と垂直になるようにすることができる」ものであるから、引用発明の「遮光部(23)」の「下の」「面」の「孔(25)」「が開設され」た部分に、引用文献2に記載の上記「サポート22」のみを配置しては、上記機能を発揮する「位置特定ポインタ(12)」である「ビームの一部」が遮蔽されることになるから、「サポート22」のみを配置することには阻害要因がある。
さらに付言するなら、「サポート22」のみを配置するのではなく、引用文献2のように「測定本体2」を支持した「サポート22」を配置すると、「目14に対する測定本体の正しい方位を固定するランプの機能を有する発光ダイオード26」が、上記引用発明の「位置特定ポインタ(12)」の機能を発揮するということにもなろうが、そもそも、引用発明の目的は、装置全体をコンパクト構造で設計する(摘記(1イ)参照)ことであるから、構成部品が増えるような、「測定本体2」を支持した「サポート22」を配置することには阻害要因がある。
よって、上記相違点1は、上記引用文献2の記載事項を考慮しても、当業者が容易になし得たものではない。

(3)まとめ
したがって、上記相違点2について判断するまでもなく、本願発明は、当業者であっても、引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

2 請求項2?9に係る発明について
請求項2?9に係る発明は、いずれも本願発明を引用するものであり、上記相違点1に係る構成を備えるものであるから、本願発明と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえず、さらに、上記引用文献3の記載事項を考慮しても、容易に発明できたものとはいえない。

第7 原査定について
本願請求項1?9に係る発明は、当業者が、拒絶査定において引用された引用文献1?3に基づいて、容易に発明できたものとはいえないことから、上記第2の原査定の概要で記載した原査定の理由を維持することはできない。

第8 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2018-06-11 
出願番号 特願2014-538835(P2014-538835)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (A61B)
最終処分 成立  
前審関与審査官 山口 裕之  
特許庁審判長 伊藤 昌哉
特許庁審判官 東松 修太郎
三崎 仁
発明の名称 圧平圧力計および眼の眼内圧の測定方法  
代理人 特許業務法人深見特許事務所  
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