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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H04W
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04W
管理番号 1340984
審判番号 不服2016-17474  
総通号数 223 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-07-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-11-22 
確定日 2018-06-05 
事件の表示 特願2015-503475「ハイブリッドクライアントデバイス受信停止イベントのネットワークに基づく検出及び軽減」拒絶査定不服審判事件〔平成25年10月 3日国際公開、WO2013/148728、平成27年 5月28日国内公表、特表2015-515811〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2013年(平成25年)3月26日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2012年3月26日 米国、2013年3月26日 米国)を国際出願日とする出願であって、平成26年11月5日に手続補正書が提出され、平成27年10月15日付けで拒絶理由が通知され、平成28年2月23日に意見書及び手続補正書が提出され、同年7月15日付けで拒絶査定されたところ、同年11月22日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、同時に手続補正がなされたものである。

第2 平成28年11月22日にされた手続補正についての補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]
平成28年11月22日にされた手続補正を却下する。

[理由]
1 補正の概要
平成28年11月22日にされた手続補正(以下、「本件補正」という。)は、平成28年2月23日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項8に記載された

「 ハイブリッドクライアントデバイス受信停止イベントのネットワークベースの検出及び軽減方法であって、
無線ネットワーク装置において、
クライアントデバイスの無線インタフェースに関連付けられた受信ロスイベントの発生を特定することと、
一定の期間、前記クライアントデバイスによるネットワークリソースの利用が低減されることになる、前記クライアントデバイスの動作の少なくとも1つの態様を、前記クライアントデバイスの前記無線インタフェースの接続を切断することなく、調整することと、
前記クライアントデバイスが前記一定の期間に受信を回復したかどうかを監視することと、
前記クライアントデバイスが前記一定の期間に受信を回復した場合、確立されたプロトコルに従って前記クライアントデバイスの通常動作を再開することと、
前記クライアントデバイスが前記一定の期間に受信を回復しない場合、前記一定の期間の後に、前記クライアントデバイスの接続を切断することと、を含む、方法。 」(以下、「本願発明」という。)

を、

「 ハイブリッドクライアントデバイス受信停止イベントのネットワークベースの検出及び軽減方法であって、
無線ネットワーク装置において、
クライアントデバイスの無線インタフェースに関連付けられた受信ロスイベントの発生を特定することと、
一定の期間、前記クライアントデバイスによるネットワークリソースの利用が低減されることになる、前記クライアントデバイスの動作の少なくとも1つの態様を、前記一定の期間の間、前記クライアントデバイスに専用の無線リソースを少なくとも解放しないことによって前記クライアントデバイスの前記無線インタフェースの接続を切断することなく、調整することと、
前記クライアントデバイスが前記一定の期間に受信を回復したかどうかを監視することと、
前記クライアントデバイスが前記一定の期間に受信を回復した場合、確立されたプロトコルに従って前記クライアントデバイスの通常動作を再開することと、
前記クライアントデバイスが前記一定の期間に受信を回復しない場合、前記クライアントデバイスに専用の無線リソースを少なくとも解放することによって、前記一定の期間の後に、前記クライアントデバイスの接続を切断することと、を含む、方法。 」(以下、「本件補正発明」という。当審注:下線部は、補正箇所である。)

に変更することを含むものである。

2 補正の適否
請求項8についての上記補正は、本願発明を特定するために必要な事項である「クライアントデバイスの動作の少なくとも1つの態様を、前記クライアントデバイスの前記無線インタフェースの接続を切断することなく、調整すること」、及び、「前記クライアントデバイスが前記一定の期間に受信を回復しない場合、前記一定の期間の後に、クライアントデバイスの接続を切断すること」について、上記1の下線部のとおり限定を付加するものであって、本願発明と本件補正発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法17条の2第5項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

そして、この補正は、同法第17条の2第3項、及び、第4項に違反するところはない。

そこで、本件補正発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か(同法17条の2第6項で準用する同法126条7項の規定に適合するか否か)について以下に検討する。

(1)本件補正発明
本件補正発明は、上記1の「本件補正発明」のとおりのものと認める。

(2)引用発明
原査定の拒絶の理由で引用されたSimon Turner et al.、cdma2000 Hybrid Access Terminal Operation White Paper、2001年4月9日(以下,「引用文献」という。)には,以下の記載がある。(下線は、強調のために当審が付与した。)

「 To avoid negative impact to the forward link sector capacity of the IS-856 access network while receiving the IS-2000 paging channel, a hybrid access terminal sets the cover of the IS-856 reverse link data rate control channel to the null value prior to tuning to the IS-2000 access network.By doing so, a hybrid access terminal ensures that the IS-856 access network will not schedule packets for that access terminal while it is tuned to the IS-2000 frequency.Upon returning to the frequency of the IS-856 access network, a hybrid access terminal resumes normal operation of the data rate control channel to resume IS-856 packet data service.Prolonged absence of the access terminal from the IS-856 access network for IS-2000 operations, such as registration maintenance, overhead update, or connection setup, should be treated by the IS-856 access network in the same way as an extended fade, and should result in the release of the assigned air interface resources by the IS-856 access network.」(2-4ページ、2.2.3 IS-2000 slotted operation during IS-856 connected state、14行目-24行目)(当審訳「 IS-2000のページングチャネルを受信している間、IS-856アクセスネットワークの下りリンクセクタ容量へのネガティブなインパクトを避けるために、ハイブリッドアクセス端末は、IS-2000アクセスネットワークにチューニングする前に、IS-856上りリンクデータレートコントロールチャネルのカバーをヌル値にセットする。そうすることにより、ハイブリッドアクセス端末がIS-2000周波数にチューンされている間、ハイブリッドアクセス端末は、IS-856アクセスネットワークがそのアクセス端末にパケットをスケジュールしないことを保証する。IS-856アクセスネットワークの周波数に復帰すると、ハイブリッドアクセス端末はIS-856パケットデータサービスを再開するためにデータレートコントロールチャネルの通常オペレーションを再開する。登録管理、オーバーヘッドアップデート、接続セットアップのような、IS-2000オペレーションのために、IS-856アクセスネットワークの周波数からのアクセス端末の長引く不在は、拡張されたフェードと同じようにIS-856アクセスネットワークによって扱われるべきであって、IS-856アクセスネットワークにより割り当てられたエアインターフェイスリソースの解放に帰着する。」)

上記摘記事項の記載並びにこの分野における技術常識を考慮すると、次のことがいえる。

(ア)上記摘記事項によれば、引用文献には、「ハイブリッドアクセス端末」が「IS-2000のページングチャネルを受信している間、IS-856アクセスネットワークの下りリンクセクタ容量へのネガティブなインパクトを避けるため」の方法が記載されているといえる。

(イ)上記摘記事項において、IS-856アクセスネットワークには、その動作の主体となる無線ネットワーク装置が存在することは自明であるから、上記摘記事項のIS-856アクセスネットワークの動作は、IS-856アクセスネットワークの無線ネットワーク装置の動作といえる。

(ウ)上記摘記事項によれば、前記無線ネットワーク装置は、ハイブリッドアクセス端末からの上りリンクデータレートコントロールチャネルを受信して、そのカバーにセットされたヌル値を検出することで、ハイブリッドアクセス端末がIS-2000周波数にチューンされることを特定していると解することができる。
そして、前記無線ネットワーク装置は、ハイブリッドアクセス端末がIS-2000周波数にチューンされている間、IS-856アクセスネットワークの下りリンクセクタ容量へのネガティブなインパクトを避けるために、以下のように動作することが認められる。
a IS-2000周波数にチューンされていて、「長引く不在」に相当する期間が経過するまでは、IS-856アクセスネットワークがハイブリッドアクセス端末に割り当てたエアインターフェースリソースは解放することなく、ハイブリッドアクセス端末へのパケットのスケジュールを行わないこと、
b IS-2000周波数にチューンされていて、「長引く不在」に相当する期間が経過するまでにIS-856アクセスネットワークの周波数に復帰した場合、ハイブリッドアクセス端末はIS-856パケットデータサービスを再開するためにデータレートコントロールチャネルの通常のオペレーションを再開すること、
c IS-2000周波数にチューンされていて、「長引く不在」に相当する期間が経過するまでにIS-856アクセスネットワークの周波数に復帰しない場合、拡張されたフェードと同じように扱い、IS-856アクセスネットワークがハイブリッドアクセス端末に割り当てたエアインターフェースリソースを解放すること。

上記(ア)から(ウ)を総合すると、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。

(引用発明)

「IS-2000のページングチャネルを受信している間、IS-856アクセスネットワークの下りリンクセクタ容量へのネガティブなインパクトを避けるための方法であって、
IS-856アクセスネットワークの無線ネットワーク装置において、
ハイブリッドアクセス端末からの上りリンクデータレートコントロールチャネルを受信して、そのカバーにセットされたヌル値を検出することで、ハイブリッドアクセス端末がIS-2000周波数にチューンされることを特定することと、
a IS-2000周波数にチューンされていて、「長引く不在」に相当する期間が経過するまでは、IS-856アクセスネットワークがハイブリッドアクセス端末に割り当てたエアインターフェースリソースは解放することなく、ハイブリッドアクセス端末へのパケットのスケジュールを行わないことと、
b IS-2000周波数にチューンされていて、「長引く不在」に相当する期間が経過するまでにIS-856アクセスネットワークの周波数に復帰した場合、ハイブリッドアクセス端末はIS-856パケットデータサービスを再開するためにデータレートコントロールチャネルの通常のオペレーションを再開することと、
c IS-2000周波数にチューンされていて、「長引く不在」に相当する期間が経過するまでにIS-856アクセスネットワークの周波数に復帰しない場合、拡張されたフェードと同じように扱い、IS-856アクセスネットワークがハイブリッドアクセス端末に割り当てたエアインターフェースリソースを解放することと、を含む、方法。」

(3)対比

本件補正発明を引用発明とを対比する。

ア 引用発明の「IS-856アクセスネットワークの無線ネットワーク装置」は、本件補正発明の「無線ネットワーク装置」に対応する。

イ 引用発明の「ハイブリッドアクセス端末」は、IS-856アクセスネットワークとIS-2000アクセスネットワークに接続できるものであるから、本件補正発明の「クライアントデバイス」に相当する。
また、引用発明の「ハイブリッドアクセス端末」は、無線通信の規格であるIS-856アクセスネットワークにアクセスできることから、IS-856の無線インタフェースを有することは自明である。
そして、引用発明の「IS-856アクセスネットワークの無線ネットワーク装置」は、「ハイブリッドアクセス端末からの上りリンクデータレートコントロールチャネルを受信して、そのカバーにセットされたヌル値を検出することで、ハイブリッドアクセス端末がIS-2000周波数にチューンされることを特定する」。ここで、IS-856アクセスネットワークの無線ネットワーク装置は、ハイブリッドアクセス端末からの上りリンクデータレートコントロールチャネルを受信して、そのカバーにセットされたヌル値を検出することで、ハイブリッドアクセス端末がIS-2000周波数にチューンされて、IS-856周波数にチューンされておらず、ハイブリッドアクセス端末のIS-856の無線インタフェースに関連付けられた通信ができなくなることを特定しているといえるので、引用発明の「ハイブリッドアクセス端末からの上りリンクデータレートコントロールチャネルを受信して、そのカバーにセットされたヌル値を検出することで、ハイブリッドアクセス端末がIS-2000周波数にチューンされることを特定すること」は、本件補正発明の「クライアントデバイスの無線インタフェースに関連付けられた受信ロスイベントの発生を特定すること」に対応する。

ウ 引用発明の「IS-856アクセスネットワークの無線ネットワーク装置」においては、IS-2000周波数にチューンされていて、「「長引く不在」に相当する期間」が経過するまでにIS-856アクセスネットワークの周波数に復帰するか否かで上記aからcの対応を行っているから、引用発明の「「長引く不在」に相当する期間」は、本件補正発明の「一定の期間」に対応する。
そして、引用発明の「IS-856アクセスネットワークの無線ネットワーク装置」において、「IS-856アクセスネットワークの下りリンクセクタ容量へのネガティブなインパクトを避けるため」に、「a ・・・ハイブリッドアクセス端末へのパケットのスケジュールを行わないこと」は、IS-856のリソースの利用が低減されることになるように、ハイブリッドアクセス端末へのパケットのスケジュールを行わないことで、クライアントデバイスによるパケットの受信という動作の1つの態様を調整しているといえる。ここで、「IS-856アクセスネットワークの無線ネットワーク装置がハイブリッドアクセス端末に割り当てられたエアインタフェースリソースを解放することなく、ハイブリッドアクセス端末へのパケットのスケジュールを行わない」としていることから、引用発明の「IS-856アクセスネットワークの無線ネットワーク装置」は、「ハイブリッドアクセス端末に割り当てたエアインターフェースリソース」が、ハイブリッドアクセス端末に「専用の無線リソース」かどうかは別として、ハイブリッドアクセス端末に割り当てたエアインタフェースリソースを解放しないことによって、ハイブリッドアクセス端末のIS-856の無線インタフェースの接続を切断することなく調整するものと解するのが自然である。そうすると、本件補正発明と引用発明とは、一定の期間、クライアントデバイスによるネットワークリソースの利用が低減されることになる、クライアントデバイスの動作の少なくとも1つの態様を、前記一定期間の間、前記クライアントデバイスに割り当てた無線リソースを少なくとも解放しないことによって前記クライアントデバイスの無線インタフェースの接続を切断することなく、調整する点で共通する。

エ 引用発明の「IS-856アクセスネットワークの無線ネットワーク装置」は、「b ・・・長引く不在」に相当する期間が経過するまでにIS-856アクセスネットワークの周波数に復帰した場合、ハイブリッドアクセス端末はIS-856パケットデータサービスを再開するためにデータレートコントロールチャネルの通常のオペレーションを再開する」から、ハイブリッドアクセス端末が「長引く不在」に相当する期間が経過するまでに受信を回復したかどうかを監視するといえるかどうかは別として、ハイブリッドアクセス端末が「長引く不在」に相当する期間が経過するまでに受信を回復した場合、確立されたIS-856のプロトコルに従ってハイブリッドアクセスネットワークの通常動作を再開するといえる。よって、本件補正発明と引用発明とは、クライアントデバイスが一定の期間に受信を回復した場合、確立されたプロトコルに従って前記クライアントデバイスの通常動作を再開する点で共通する。

オ 引用発明の「IS-856アクセスネットワークの無線インタフェース装置」が、ハイブリッドアクセス端末に割り当てたエアインタフェースリソースを解放すれば、ハイブリッドアクセス端末の接続を切断することになると解するのが自然である。また、「IS-856アクセスネットワークの周波数に復帰しない場合」とは、受信を回復しない場合といえるから、ハイブリッドアクセス端末に割り当てられたエアインタフェースリソースが、「クライアントデバイスに専用の無線リソース」かどうかは別として、引用発明は、「長引く不在」に相当する期間が経過するまでに受信を回復しない場合、ハイブリッドアクセス端末に割り当てられたエアインタフェースリソースを解放することによって、ハイブリッドアクセス端末の接続を切断するといえる。そうすると、本件補正発明と引用発明とは、クライアントデバイスが一定の期間に受信を回復しない場合、前記クライアントデバイスに割り当てた無線リソースを少なくとも解放することによって、前記一定の期間の後に、前記クライアントデバイスの接続を切断する点で共通する。

カ 上記アからオより、引用発明の「IS-2000のページングチャネルを受信している間、IS-856アクセスネットワークの下りリンクセクタ容量へのネガティブなインパクトを避けるための方法」は、「ハイブリッドアクセス端末からの上りリンクデータレートコントロールチャネルを受信して、そのカバーにセットされたヌル値を検出すること」で、ハイブリッドアクセス端末の受信停止イベントをネットワークベースで検知し、上記aからcの動作を行うことにより「IS-856アクセスネットワークの下りリンクセクタ容量にネガティブなインパクト」を軽減しているといえるから、本件補正発明の「無線ネットワーク装置」における「ハイブリッドクライアントデバイス受信停止イベントのネットワークベースの検出及び軽減方法」に対応するといえる。

したがって、本件補正発明と引用発明とは以下の点で一致ないし相違する。

(一致点)

「 ハイブリッドクライアントデバイス受信停止イベントのネットワークベースの検出及び軽減方法であって、
無線ネットワーク装置において、
クライアントデバイスの無線インタフェースに関連付けられた受信ロスイベントの発生を特定することと、
一定の期間、前記クライアントデバイスによるネットワークリソースの利用が低減されることになる、前記クライアントデバイスの動作の少なくとも1つの態様を、前記一定期間の間、前記クライアントデバイスに割り当てた無線リソースを少なくとも解放しないことによって前記クライアントデバイスの前記無線インタフェースの接続を切断することなく、調整することと、
前記クライアントデバイスが前記一定の期間に受信を回復した場合、確立されたプロトコルに従って前記クライアントデバイスの通常動作を再開することと、
前記クライアントデバイスが前記一定の期間に受信を回復しない場合、前記クライアントデバイスに割り当てた無線リソースを少なくとも解放することによって、前記一定の期間の後に、前記クライアントデバイスの接続を切断することと、を含む、方法。」

(相違点1)

一致点とした「クライアントデバイスに割り当てた無線リソース」が、本件補正発明では、「クライアントデバイスに専用の無線リソース」であり、「前記クライアントデバイスに専用の無線リソース」を少なくとも解放しないことによって、クライアントデバイスの動作の少なくとも1つの態様を調整するとともに、「前記クライアントデバイスに専用の無線リソース」を少なくとも解放することによって、クライアントデバイスの接続を切断するのに対し、引用発明では、ハイブリッドアクセス端末に専用の無線リソースであるか明らかでない点。

(相違点2)

本件補正発明は、「前記クライアントデバイスが前記一定の期間に受信を回復したかどうかを監視する」のに対し、引用発明では、「長引く不在」に相当する期間が経過するまでに受信を回復したかどうかを監視しているといえるかどうか明らかでない点。

(4)当審の判断

相違点1について検討すると、無線通信技術において、端末に専用の無線リソースを割り当てることは常套手段であり、引用発明において、ハイブリッドアクセス端末に専用のエアインターフェイスリソースを割り当てるとともに、ハイブリッドアクセス端末がIS-2000のページングチャネルを受信している間、IS-856アクセスネットワークの下りリンクセクタ容量へのネガティブなインパクトを避けるために、当該専用のエアインターフェイスリソースを少なくとも解放しないことによって、クライアントデバイスの動作の少なくとも1つの態様を調整すること、及び、当該専用のエアインターフェイスリソースを少なくとも解放することによって、クライアントデバイスの接続を切断することは、当業者であれば適宜なし得ることである。

相違点2について検討すると、引用発明は、「IS-2000周波数にチューンされていて、「長引く不在」に相当する期間が経過するまでにIS-856アクセスネットワークの周波数に復帰した場合、ハイブリッドアクセス端末はIS-856パケットデータサービスを再開するためにデータレートコントロールチャネルの通常のオペレーションを再開する」ものであるから、前記「「長引く不在」に相当する期間」(本件補正発明にいう「一定の期間」)が経過するまでの間にIS-856アクセスネットワークの周波数に復帰したかどうかを知るために、相違点2に係る構成とすることは、当業者が容易になし得ることである。

そして、本件補正発明の奏する効果は、技術常識を踏まえれば、引用発明から想定できる程度のものにすぎず、格別なものとはいえない。

したがって、本件補正発明は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条2項の規定によって、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

3 小括
以上のとおり、本件補正発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合していない。

したがって、本件補正は、特許法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について
1 本願発明
平成28年11月22日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし20に係る発明は、平成28年2月23日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし20に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項8に係る発明は、明細書及び図面の記載からみて、その請求項8に記載された事項により特定される、上記第2[理由]1の「本願発明」のとおりのものである。

2 引用発明
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献の記載事項及び引用発明は、上記第2[理由]2(2)に記載したとおりである。

3 対比・判断
本願発明は、前記第2で検討した本件補正発明の「前記一定の期間の間、前記クライアントデバイスに専用の無線リソースを少なくとも解放しないことによって前記クライアントデバイスの前記無線インタフェースの接続を切断することなく、調整すること」、及び、「前記クライアントデバイスに専用の無線リソースを少なくとも解放することによって、前記一定の期間の後に、前記クライアントデバイスの接続を切断すること」から、「前記一定の期間の間、前記クライアントデバイスに専用の無線リソースを少なくとも解放しないことによって」、及び、「前記クライアントデバイスに専用の無線リソースを少なくとも解放することによって」という限定をそれぞれ省いたものである。そして、本願発明の構成要件をすべて含み、更に他の構成要件を付加したものに相当する本件補正発明が、前記第2で判断したとおり、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

4 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2018-01-11 
結審通知日 2018-01-12 
審決日 2018-01-23 
出願番号 特願2015-503475(P2015-503475)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (H04W)
P 1 8・ 121- Z (H04W)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小林 正明  
特許庁審判長 北岡 浩
特許庁審判官 松永 稔
海江田 章裕
発明の名称 ハイブリッドクライアントデバイス受信停止イベントのネットワークに基づく検出及び軽減  
代理人 大塚 康徳  
代理人 下山 治  
代理人 大塚 康弘  
代理人 木村 秀二  
代理人 高柳 司郎  
代理人 永川 行光  
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