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審決分類 |
審判 全部申し立て 発明同一 E04C 審判 全部申し立て 2項進歩性 E04C |
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管理番号 | 1341055 |
異議申立番号 | 異議2017-700815 |
総通号数 | 223 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2018-07-27 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2017-08-30 |
確定日 | 2018-04-13 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第6105878号発明「鉄骨梁および柱梁接合構造」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第6105878号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1-3について訂正することを認める。 特許第6105878号の請求項1ないし3に係る特許を維持する。 |
理由 |
第1 手続の経緯 特許第6105878号の請求項1ないし3に係る特許についての出願は、平成24年9月7日に特許出願され、平成29年3月10日にその特許権の設定登録がされ、その後、その特許に対して、平成29年8月30日に特許異議申立人出川栄一郎(以下「申立人」という。)より特許異議の申立てがされ、平成29年11月22日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である平成30年1月25日に意見書の提出及び訂正の請求があり、その訂正の請求に対して、申立人から平成30年3月2日に意見書が提出されたものである。 第2 訂正請求について 1 訂正の内容 本件訂正請求による訂正の内容は以下の(1)?(2)のとおりである。(下線は訂正箇所を示す。) (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に「補剛部材によって補剛された」と記載されているのを、「補剛部材(但し、Uの字状およびエの字状の補剛部材を除く。)によって補剛された」に訂正する。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項1に「所定の隙間」と記載されているのを、「、フランジの局部座屈を許容できる所定の隙間」に訂正する。 2 訂正の目的の適否、新規事項の追加の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否及び一群の請求項 (1)訂正事項1について ア 訂正の目的の適否について 訂正事項1は、補剛部材について、Uの字状およびエの字状の補剛部材を除く構成に限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 実質上特許請求の範囲の範囲を拡張し、又は変更するか否かについて 上記アで説示したように、訂正事項1は補剛部材の構成を限定するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「明細書等」という。)に記載した事項の範囲内の訂正であるか否かについて 願書に添付した明細書及び特許請求の範囲には、補剛部材5の形状が、Uの字状であることやエの字状であることは記載されておらず、また、図1?図6をみても、Uの字状のものやエの字状のものは記載されていない。 よって、訂正事項1は、明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。 (2)訂正事項2について ア 訂正の目的の適否について 訂正事項2は、所定の隙間について、フランジの局部座屈を許容できる構成に限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するか否かについて 上記アで説示したように、訂正事項2は、所定の隙間の構成を限定するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 ウ 明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であるか否かについて 発明の詳細な説明に、「【0023】・・・縦スチフナ6の上下端部と鉄骨梁1のフランジ2,2との間には、所定の隙間があるので、縦スチフナ6によってフランジの局部座屈が許容される。・・・」と記載されていることからみて、訂正事項2は、明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。 (3)一群の請求項について 本件訂正前の請求項1?3について、請求項2及び3はそれぞれ請求項1を引用しているものであって、訂正事項1及び2によって訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。したがって、訂正前の1?3に対応する訂正後の請求項1?3は、一群の請求項である。 3 小括 したがって、本件訂正請求による訂正事項1及び2は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、訂正後の請求項1?2についての訂正を認める。 第3 訂正後の請求項1ないし3に係る発明 本件訂正請求により訂正された請求項1ないし3に係る発明(以下「本件発明1」等といい、全体を「本件発明」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。 「【請求項1】 H形断面の鉄骨梁の端部が補剛部材(但し、Uの字状およびエの字状の補剛部材は除く。)によって補剛された鉄骨梁であって、 前記補剛部材は、前記鉄骨梁の端部のウエブに設けられて、当該鉄骨梁の長手方向と直交するとともに上下に長尺な矩形の鋼板で形成された縦スチフナと、当該鉄骨梁の長手方向と平行な水平スチフナとを備え、 前記縦スチフナの上下端部はそれぞれ前記鉄骨梁のフランジと接合されておらず、当該縦スチフナの上下端部と前記フランジとの間には、フランジの局部座屈を許容できる所定の隙間が設けられ、 前記縦スチフナは、その上端から下端まで連続した状態で前記ウエブに設けられていることを特徴とする鉄骨梁。 【請求項2】 前記水平スチフナの一方の端部は、前記縦スチフナに当接されるか、または溶接されていることを特徴とする請求項1に記載の鉄骨梁。 【請求項3】 請求項1または2に記載の鉄骨梁が柱に接合されており、 前記縦スチフナは前記水平スチフナより前記柱から離間して設けられていることを特徴とする柱梁接合構造。」 第4 特許異議の申立てについて 1 取消理由の概要 訂正前の請求項1ないし3に係る特許に対して、平成29年11月22日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は次のとおりである。 (1)本件特許の請求項1ないし2に係る発明は、甲第1号証、甲第3号証(、甲第5号証)に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。 (2)本件特許の請求項1ないし3に係る発明は、本件特許の出願の日前の特許出願であって、本件特許の出願後に出願公開がされた特許出願(特願2012-188125号)の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲若しくは図面(甲第4号証参照)に記載された発明と同一であり、しかも本件特許の出願の発明者が本件特許の出願出願前の特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、また本件特許の出願の時において、その出願人が上記特許出願の出願人と同一でもなく、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。 [刊行物] 甲第1号証:特開2002-220873号公報 甲第2号証:耐震性に優れた鋼構造柱梁接合部に関する研究(その3)、大林組技術研究所報No.65 2002、浅井英克 他2名、2002年、大林組、17-22頁 甲第3号証:クレーン走行ばりの疲労損傷に関する研究(上フランジ近傍に生じる疲労き裂に関する実験)、昭和59年度日本建築学会関東支部研究報告集、101-104頁 甲第4号証:特開2014-43751号公報 甲第5号証:特開平11-140824号公報 なお、甲第2号証は、特許異議申立書に添付されていたが、取消理由通知で引用していない。 また、甲第4号証は、特願2012-188125号の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面として扱う。 2 甲号証の記載 (1)取消理由通知において引用した甲第1号証には、図面とともに以下の事項が記載されている。 ア 「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、主としてウエブを補強するためにリブ材が備えられたH形鋼製梁のフランジの強度を保証することができて、梁の塑性ヒンジ領域となる梁端接合部の構造耐力を向上させることができるH形鋼製梁の梁端接合部構造に関する。」 イ 「【0013】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を添付図面を参照して詳細に説明する。図1には、従来技術において説明したと同様な、鉄骨造構造物の中空断面鋼製柱とH形鋼製梁との柱梁接合部20a,20bが2種類示されている。 【0014】図1中、(a)に示す工場溶接継ぎ手の場合には、梁の端部をなすH形鋼製の梁端部片21のウエブ22を鋼製柱23の側面に直接溶接接合するとともに、梁端部片21の上下フランジ24a,24bは鋼製柱23に設けたダイアフラム25に溶接接合して柱梁接合部ユニット26を構成するようにし、最終的に当該柱梁接合部ユニット26のウエブ22およびフランジ24a,24bに対して、梁の一般部分をなすH形鋼製の梁本体のウエブおよびフランジをそれぞれボルト接合したり、溶接接合する。以下、この工場溶接継ぎ手の梁端部片21は下記の梁と同義として説明する。 【0015】また、図1中(b)に示す現場溶接継ぎ手の場合には、直接梁27のウエブ22を、鋼製柱23に設けたガセットプレート28にボルト接合するとともに、梁27の上下フランジ24a,24bは鋼製柱23に設けたダイアフラム25に溶接接合して柱梁接合部20bを構成する。 【0016】そしていずれの継ぎ手形式の場合にあっても、梁21,27の塑性ヒンジ領域を占める梁端接合部29には図1および図2に示すように、そのウエブ22の面外変形を拘束して補強するために梁21,27の長手方向に適宜間隔を隔てて複数枚のリブ材30が設けられている。これらリブ材30は従来と同様に、梁21,27の上下フランジ24a,24b間に挟み込むようにしてウエブ22に直角に突き当てて配設され、その周囲の3箇所の端縁30a,30b,30cがぞれぞれ梁21,27の上フランジ24a下面、ウエブ22表面、並びに下フランジ24b上面に溶接接合されることによって取り付けられている。 【0017】そして本発明は、このような2種類の継ぎ手形式のいずれに対しても適用することができる。以下、現場溶接継ぎ手の構造を例にとって説明する。図示するように、梁端接合部29をなす梁27の端部のフランジ24a,24bは幅一定部分Xと拡張部分Yとから形成され、拡張部分Yは、梁27の一般部分や幅一定部分Xと同一厚さで、かつその左右両側のフランジ小端24cが梁27の長手方向に幅一定部分Xから鋼製柱23に向かって互いに離隔するテーパ状に形成され、これによりフランジ幅が梁27の長手方向に幅一定部分Xから鋼製柱23に向かって順次広げられて形成されて、梁端接合部29のフランジ24a,24bの断面積が梁27の一般部分や幅一定部分Xよりも大きく形成される。 【0018】これにより、拡張部分Yと幅一定部分Xとの境界で塑性ヒンジを発生させることができ、設定により任意に塑性ヒンジ領域を拡大させることができる。本実施形態にあっては、このフランジ24a,24bの拡張部分Yは図2に示すように、左右のフランジ小端24cそれぞれに三角形状の板材31を溶接により接合することで形成されている。」 ウ 「【0029】図4?図6には、上記実施形態の変形例が示されている。図4は、リブ材30を、ウエブ22を挟んで同じ位置に配置し、そのウエブ側端縁30bのみをウエブ22表面に溶接接合し、上下方向端縁30a,30cとフランジ24a,24bとはまったく溶接接合しないようにしたものである。リブ材30をフランジ24a,24bに対して溶接接合しないので、梁27の耐力は拡張部分Yを含むフランジ24a,24bの局部座屈で決まることとなり、梁端接合部29に発生する歪みを抑制することができる。 【0030】図5は、リブ材30を、ウエブ22の片側のみに配置し、そのウエブ側端縁30bのみをウエブ22表面に溶接接合し、上下方向端縁30a,30cとフランジ24a,24bとはまったく溶接接合しないようにしたものである。図6は、リブ材30を、ウエブ22を挟んで互い違いになるように異なる位置に配置し、そのウエブ側端縁30bのみをウエブ22表面に溶接接合し、上下方向端縁30a,30cとフランジ24a,24bとはまったく溶接接合しないようにしたものである。図5および図6の場合、図4の場合の効果に加えて、ウエブ22に対する必要な座屈耐力を確保しつつ、その補強箇所を少なくすることができる。 【0031】これら変形例にあっては、リブ材30をウエブ22に溶接接合してウエブ22を補強し、かつフランジ24a,24bの拡張部分Yでその耐力を向上させるようにしていて、フランジ小端24cとの溶接接合も存在しないようになっている。 【0032】図7?図9には、上記実施形態の他の変形例が示されている。これら変形例にあっては、リブ材30は、梁27の長手方向に沿って水平にかつウエブ22の高さ方向に適宜間隔を隔てて複数枚配列され、そのウエブ側端縁30bがウエブ22表面に直角に突き当てられて設けられている。これにより、リブ材30はそのウエブ側端縁30bのみがウエブ22表面に溶接接合され、フランジ24a,24bとは距離が隔てられてまったく溶接接合されないようになっている。 【0033】図7は、リブ材30を、ウエブ22を挟んで同じ高さ位置に配置したものであり、図8は、リブ材30を、ウエブ22の片側のみに配置したものであり、図9は、リブ材30を、ウエブ22を挟んで互い違いになるように異なる高さ位置に配置したものである。図7の構成では図4の場合と同様な効果を得ることができ、また図8および図9の構成では図5および図6の場合と同様な効果を確保することができる。 【0034】また図10に示すように、図5の構造と図8の構造とを組み合わせて、ウエブ22の片面には上下方向にリブ材30を配設し、反対側の面には水平方向にリブ材30を配設する構成としてもよい。」 エ 上記アないしウからみて、甲第1号証には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されているものと認める。 「塑性ヒンジ領域を占める梁端接合部29に、そのウエブ22の面外変形を拘束して補強するために長手方向に適宜間隔を隔てて複数枚のリブ材30が設けられている、H形鋼製梁27であって、 ウエブ22の片面に配設した上下方向のリブ材30は、梁27の上下フランジ24a,24b間に挟み込むようにしてウエブ22に直角に突き当てて配設され、その周囲の3箇所の端縁30a,30b,30cのうち、そのウエブ側端縁30bのみをウエブ22表面に溶接接合し、上下方向端縁30a,30cとフランジ24a,24bとはまったく溶接接合しないようにし、 反対側の面に配設した水平方向のリブ材30は、梁27の長手方向に沿って水平にかつウエブ22の高さ方向に適宜間隔を隔てて複数枚配列され、そのウエブ側端縁30bがウエブ22表面に直角に突き当てられて設けられ、リブ材30はそのウエブ側端縁30bのみがウエブ22表面に溶接接合され、フランジ24a,24bとは距離が隔てられてまったく溶接接合されないようになっている、H形鋼製梁27。」 (2)特許異議申立書に添付された甲第2号証には、図面とともに以下の事項が記載されている。 ア 「この水平ハンチを用いた柱梁接合部の合理化を目指して,ウィブ幅厚比ランクFDの梁端ウェブにスチフナを付けた仕口形式を新たに考案した(Fig.1)。」(17頁左欄下から2行?18頁左欄1行) イ 「2.1 試験体 Fig.2に試験体図,Table1に試験体一覧,Table2に材料の機械的性質,Fig.3に加力装置を示す。 梁はSM490AのH-500?600の組立てH形鋼,柱はBCP295の□-600×28,スチフナはSS400の鋼板である。試験体は,外柱の柱梁接合部を模擬してト字形に組立てた部分架構とする(Fig.3)。この柱梁接合部は以下の特徴を有する。 Wシリーズ 塑性ヒンジ発生位置で,縦スチフナが両側からウェブを拘束する。さらに,梁フランジの両側から小端を除く部分(約4/5に相当する)を縦スチフナが拘束して,見かけのウェブ幅厚比を低減させる。 Sシリーズ フランジ非拘束型である。塑性ヒンジ発生位置で,片側からスチフナがウェブを拘束する。見かけのウェブ幅厚比を低減させるが,スチフナはフランジには溶接しない。フランジの内側への局部座屈をウェブの片側から防止する。」(18頁左欄末行?19頁左欄5行) ウ 「2.1.2 実験パラメータ ウェブ幅厚比は90,80,60の3種類,フランジ幅厚比は6,7の2種類とした。スチフナの付け方は,縦スチフナをフランジ・ウェブの両側に溶接したフランジ拘束型(W-6.2-83,W-7.2-83,W-6.2-90)と,フランジに溶接しないでウェブの片側にスチフナを溶接したフランジ非拘束型(縦タイプ:SV-7.2-62),水平タイプ:SH-7.2-62)の2種類である。幅厚比制限と試験体との関係をFig.4に示す。スチフナはウェブの第1ボルト列から約0.4m?0.7m間に設けた。W-6.2-83,W-7.2-83では3枚,SV-7.2-62では2枚,W-6.2-90では1枚の縦スチフナを,SH-7.2-62では2枚の水平スチフナを付けた。」(19頁左欄12行?右欄4行) (3)取消理由通知において引用した甲第3号証には、図面とともに以下の事項が記載されている。 ア 「最初に計画された試験体は通常のクレーン走行ばりに見られる様に、上、下フランジと鉛直スチフナの接合にすみ肉溶接が用いられたが(後述するDタイプ試験体)、この場合には主として車輪直下の上フランジと鉛直スチフナの接合部にき裂が生じ、そのうちの1体は鉛直スチフナと下フランジのすみ肉溶接部からき裂が生じた。次に、これらの疲労き裂を避ける意味で上、下フランジと鉛直スチフナの接合部をメタルタッチとしたもの(Aタイプ試験体)とウェブの座屈補強として鉛直スチフナに換えて水平スチフナのみとしたもの(B’タイプ試験体)を計画した。」(101頁左欄下から5行?102頁左欄6行) イ 「3-1 試験体 試験体の形状、寸法をFig.2、Table1に示す。Fig.2で示される試験体で、Dタイプ試験体は上、下フランジと鉛直スチフナの接合がすみ肉溶接のもの、Aタイプ試験体はメタルタッチのものである。B’タイプ試験体はウェブの座屈補強として水平スチフナのみを用いたものであり、両端支点部の鉛直スチフナと上、下フランジの接合はメタルタッチである。」(102頁左欄8?15行) (4)本件特許の出願日前の出願であって、本件特許の出願後に出願公開された他の特許出願(以下「先願」という。)の公開公報である甲第4号証(先願の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲または図面(以下「先願明細書等」という。)とする。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。 ア 「【技術分野】 【0001】 本発明は、重量増加やコストアップを抑制することが可能であると共に、無補強部分が生じないように連続的な補強を確保することが可能であり、鉄骨梁を補強する補剛部材の構造的健全性が高く、溶接作業性も良好であって、局部座屈に対し高い補強性能を発揮するH形鋼製鉄骨梁の補強構造に関する。」 イ 「【発明を実施するための形態】 【0018】 以下に、本発明にかかるH形鋼製鉄骨梁の補強構造の好適な実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。図1は、本実施形態に係るH形鋼製鉄骨梁の補強構造を説明する説明図であって、図1(A)は円弧状タイプ、図1(B)はU字状タイプ、図1(C)はくの字状タイプの補剛部材をそれぞれ適用した場合の鉄骨梁構造の側面図であり、図2は、図1に示した各補強構造に適用される補剛部材の説明図であって、図2(A)は円弧状タイプ、図2(B)はU字状タイプ、図2(C)はくの字状タイプについての正面図(イ)及び側面図(ロ)をそれぞれ示し、図3は、鉄骨梁の補強構造の断面の一例を示す、図1(A)中、X-X線矢視断面図である。 【0019】 鉄骨柱1に接合されて鉄骨架構の梁部分を構成するH形鋼製鉄骨梁2は、一般周知のように、ウェブ3の上下に一対のフランジ4を備えて構成される。鉄骨梁2は、地震力等により大きなモーメントが生じた際に塑性化するが、塑性化後も耐力が低下することなく十分な変形能力を発揮できるように塑性化領域を有している。塑性化領域は通常、鉄骨柱1と接合される梁端部2aに存するが、鉄骨架構に作用する応力状態によっては、梁端部2a以外の箇所、例えば梁中央部などに存する場合もある。ここで、鉄骨梁2のウェブの板厚が薄い(幅厚比が大きい)場合には、十分に変形する前に局部座屈を起こしてしまい、耐力や変形能力が低下する。 【0020】 本実施形態に係るH形鋼製鉄骨梁の補強構造は、局部座屈に対してH形鋼製鉄骨梁2を補強する構造であって、補強に用いられる補剛部材5は、鉄骨梁2の塑性化領域全域に亘って設けられる。補剛部材5は、板厚の薄い帯状の鋼製板材をその長さ方向に、外形形態が凸面5aと凹面5bからなる円弧状やU字状、くの字状であって、急峻な角部のない形態に成形して形成される(図2参照)。補剛部材5は、プレス加工やその他従来周知の各種方法によって作製される。 【0021】 補剛部材5は、円弧状やU字状、くの字状の形態をなす端縁5cをその全長にわたって溶接接合することにより、鉄骨梁3のウェブ面に設けられる。補剛部材5を鉄骨梁2に溶接接合する際には、鉄骨梁2を横倒しにして上下一対のフランジ4を接地することによって、ウェブ面を水平にし、水平なウェブ面上に円弧状やU字状、くの字状の補剛部材5を立てて設置して、接合作業が行われる。 【0022】 ウェブ面に補剛部材5を設けるとき、外形形態の両端5dが梁せい方向に上下に並び、この両端5dから鉄骨梁2の長さ方向に円弧状などの形態が迫り出すように取り付けられる。補剛部材5は、その外形形態の凹面5bが鉄骨梁2の梁端部2aに向くように設置される。 【0023】 また、本実施形態にあっては、補剛部材5は、鉄骨梁2の長さ方向に沿うウェブ3の中心線Cに関して当該補剛部材5が上下対称となる配置で設けられる。言い換えると、補剛部材5は、円弧状やU字状、くの字状の外形形態に沿う長さ方向中央(以下、「形態に沿う中心」という)Qが鉄骨梁2の長さ方向に沿うウェブ3の中心線C上に位置するように設けられる。補剛部材5は、鉄骨梁2の長さ方向に沿う配置であれば、ウェブ3の中心線Cに関して上下対称となる配置でなくてもよい。 【0024】 さらに、補剛部材5は、隣り合う一対の補剛部材5同士の関係では、鉄骨梁2の梁せい方向に沿って一方の補剛部材5の両端5dが他方の補剛部材5の凸面5c位置に位置付けられる。これにより、隣接する補剛部材5同士が連続する配列を得ることができ、鉄骨梁2の長さ方向に沿って、補剛部材5は、ウェブ3の中心線C上に並んだ状態で連続される。このように連続的に配設すれば、鉄骨梁2の長さ方向に隙間なく補剛部材5を配設することができ、鉄骨梁2を効果的に補強することができる。」 ウ 「【0035】 図4及び図5には、上記実施形態の変形例が示されている。上記実施形態では、ウェブ3の片面に補剛部材5を設置する場合について説明したが、この変形例では図3において仮想線でも示すように、補剛部材5は、ウェブ3の表面及び裏面の双方に設けられる。この変形例に適用する補剛部材5としては、上述した円弧状やU字状、くの字状に加えて、一対の凹面5bを有するエの字状のもの(図4(D)及び図5(A)参照)や、平板状であってウェブ3に対し斜め向きに設置されるもの(図4(E)及び図5(B)参照)がある。 【0036】 表裏面の補剛部材5は、鉄骨梁2の長さ方向の同じ位置で、すなわちウェブ3の表裏で互いに重なり合うようにして、当該鉄骨梁2の長さ方向に向きを反転して設けられる。具体的には、表裏面の補剛部材5は、いずれか一方の面の補剛部材5の凸面5a位置に、他方の面の補剛部材5の両端5dが位置付けられて配設される。これにより、ウェブ3の表面の補剛部材5の両端5dと、裏面の補剛部材5の両端5dとが連続する配列が得られ、ウェブ3の表裏面相互の関係において、補剛部材5は、ウェブ3の中心線C上に並んだ状態で連続される。 【0037】 そして、補剛部材5同士がウェブ3の表裏で重なり合い、さらに表裏面で連続的な配設を確保できるので、補剛部材5を片面だけに設ける場合よりも、ウェブ3をこれら表裏の補剛部材5で連続的に包囲してさらに強固に補強することができる。また、鉄骨梁2を強固に補強できるにも拘わらず、ウェブ3の各面においては、溶接箇所が交差することがなく、確実に溶接することができる。 【0038】 エの字状の補剛部材5の場合には、いずれか一方の凹面5bが鉄骨梁2の梁端部2aに向くようにして、かつ鉄骨梁2の長さ方向に沿うウェブ3の中心線Cに関して当該補剛部材5が上下対称となる配置で設けられる。さらに、エの字状の補剛部材5は、ウェブ3の表裏面の関係では交互に位置をずらして、かつ鉄骨梁2の長さ方向において互いに重なり合うように設けられる。このようなエの字状の補剛部材5であっても、ウェブ3の表裏面に設けた上記円弧状等の補剛部材5と同様の作用効果を確保することができる。補剛部材5は、鉄骨梁2の長さ方向に沿う配置であれば、ウェブ3の中心線Cに関して上下対称となる配置でなくてもよい。」 エ 上記アないしウからみて、甲第4号証には次の発明(以下「甲4発明」という。)が記載されているものと認める。 「塑性化領域である梁端部2aに、補剛部材5を設けたH形鋼製鉄骨梁2において、 補剛部材5は、外形形態が凸面5aと凹面5bからなる円弧状やU字状、くの字状に成形して形成され、端縁5cをその全長にわたって溶接接合することにより、鉄骨梁3のウェブ面に設けられ、外形形態の両端5dが梁せい方向に上下に並び、この両端5dから鉄骨梁2の長さ方向にU字状の形態が迫り出すように取付けられ、その外形形態の凹面5dが鉄骨梁2の梁端部2aに向くように設置されるものであって、 また、補剛部材5は、一対の凹面5bを有するエの字状であってもよい、H形鋼製鉄骨梁2。」 (5)取消理由通知において引用した甲第5号証には、図面とともに以下の事項が記載されている。 ア 「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、主に橋梁に使用する箱桁の組立方法に関する。」 イ 「【0012】この組立方法では、四角形枠状のダイアフラム10を予め小組した状態で上フランジパネル1に取り付けるのではなく、図2に示すように、ダイアフラム10を各辺ごとに四分割し、各ダイアフラム構成片10A?10Dを、上下フランジパネル1、2及び左右ウェブパネル3、4の内面にそれぞれ本溶接により取り付けておく。そして、四枚のパネル1、2、3、4を箱型に組み立てるときに、隣接するダイアフラム構成片10A?10Dを、スプライスプレート12を用いてボルトで接合し、これにより四角形枠状のダイアフラム10を構成する。次に、ダイアフラム10の開口部に、補強材として山形鋼11A?11Dを同じくボルトで接合し、開口部を補強する。横リブ6と垂直スチフナ8についても、図3に示すように、補強材としての山形鋼7をボルトで接合すると同時に、両者を相互に結合する。 【0013】この場合、図2、図3に示すように、ダイアフラム10の四つの角部、及び横リブ6と垂直スチフナ8からなる補剛材の四つの角部には、小型自動隅肉溶接機が通過可能な大きな切欠(開口部)13、14が設けられている。従って、この切欠13、14を利用して、パネル同士の隅肉溶接を、小型自動隅肉溶接機を用いて無人で行うことができる。図4はダイアフラム10部分の箱型の断面図、図5は横リブ6部分の箱桁の断面図であり、図中P1で隅肉溶接箇所を示す。 【0014】この組立方法では、パネル製作時にダイアフラム構成片10A?10Dを予めパネル1?4に本溶接しているので、箱組時には、ダイアフラム構成片10A?10Dを隣り同士スプライスプレート12を用いてボルトで機械的に連結するだけで、ダイアフラム10の取り付けを終えることができ、箱組時の箱内部での溶接作業を減らすことができる。補強材としての山形鋼11A?11Dや、横リブ6と垂直スチフナ8についても同様である。また、ダイアフラム10等の四隅に存在する切欠13、14を利用することにより、小型自動隅肉溶接機でパネル相互の内部隅肉溶接を行うことができるので、人手による溶接作業をほとんど要せずに箱組を行うことができる。」 3 取消理由通知に記載した取消理由1(特許法29条第2項)について (1)甲1発明に基づく判断について ア 本件発明1について (ア)本件発明1と甲1発明を対比すると、少なくとも、縦スチフナの上下端部とフランジとの間について、本件発明1は、フランジの局部座屈を許容できる所定の隙間が設けられているのに対し、甲1発明は、そのような隙間が設けられたかどうか不明な点で相違している。 ここで、当該隙間を設けることの有無について、甲第1号証には、図1及び図2の実施形態として、上下方向のリブ材30の端縁30aは梁27の上フランジ24a下面に、端縁30cは下フランジ24b上面に溶接接合されていることからみて、その変形例である図4?図6及び図10の実施形態、つまり甲1発明が、端縁30aと上フランジ24a下面、端縁30cと下フランジ上面とが溶接されていないとしても、それらの間に隙間を設けることを示唆するものではない。 (イ)申立人は、意見書の5頁において、本件発明と甲1発明との技術的意義の観点から、「縦スチフナとフランジとを溶接した場合としない場合とでは、目的(裏返せば、作用効果)が大きく異なるが、溶接しない場合には、縦スチフナとフランジとが当接しているか否か(隙間が存在するか)にかかわらず、目的及び作用効果は同じである。すなわち、フランジの局部座屈を許容し耐力上昇を抑制させる点で、双方の技術は何ら変わらない(技術的意義に係る差異は存在しない)。・・・縦スチフナ、フランジ間に隙間を持たせるように変更するのは、単なる技術の具体的適用に伴う設計変更であり、このような設計変更は、当業者の通常の創作能力の発揮に当たる。」と主張し、また、隙間を設ける例として、「縦スチフナを上フランジ、下フランジ間に挿入し易くするために(施工を簡便にするために)、このような隙間を設けることは普通に創作されることである。」及び「例えば、甲第5号証に記載がある。前述したとおり、上フランジパネル1(下フランジパネル2)と左ウェブパネル3(右ウェブパネル4)の隅肉溶接(又は、当該隅肉溶接により形成される溶接金属)に対応したスペース(図3の符号14や図5の符号P1参照)を確保するために、縦スチフナ8の長さが、縦スチフナ8、上フランジパネル1(下フランジパネル2)間に隙間ができる程度に短くなっている(上フランジパネル1から下フランジパネル2までの長さよりも短くなっている)点が、段落【0013】、図3、及び、図5に示されている。」を挙げて、「このように、相違点1には、格別の技術的意義はなく、縦スチフナの上下端部とフランジとの間に所定の隙間を設けることは、単なる設計事項に過ぎない。」と主張している。 しかしながら、甲1発明がフランジの局部座屈を許容し耐力上昇を抑制させることを目的としているとしても、上記(ア)で説示したとおり、隙間を設けることが記載も示唆もされおらず、また申立人が挙げた隙間の例は、フランジの局部座屈を許容できる程度の所定の隙間を示していないから、甲1発明に、申立人が主張するような、挿入し易くするための周知の隙間や、甲第5号証に記載の隅肉溶接のための隙間を適用することにより、上記相違点に係る本件発明1の構成となるものではない。 (ウ)よって、本件発明1は、甲1発明、甲第5号証の記載事項及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 イ 本件発明2について 本件発明2は、本件発明1の構成をすべて含み、更に減縮したものであるから、上記アの判断と同様の理由により、甲1発明、甲第5号証の記載事項及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (2)甲第3号証に基づく判断について ア 本件発明1について 本件発明1と甲3発明を対比すると、縦スチフナの上下端部とフランジとの間について、本件発明1は、フランジの局部座屈を許容できる所定の隙間が設けられているのに対し、甲3発明は、そのような隙間が設けられたかどうか不明な点で相違している。 そして、該相違点は、上記(1)アで検討した相違点と同じであるから、該相違点に係る本件発明1の構成は、甲3発明に甲第5号証の記載事項及び周知技術を適用することにより、該相違点に係る本件発明1の構成となるものではない。 よって、本件発明1は、甲3発明、甲第5号証の記載事項及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 イ 本件発明2について 本件発明2は、本件発明1の構成をすべて含み、更に減縮したものであるから、上記アの判断と同様の理由により、甲3発明、甲第5号証の記載事項及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (3)小活 以上のとおりであるから、本件発明1ないし本件発明2は、甲第1号証、甲第3号証、甲第5号証及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 4 取消理由通知に記載した取消理由2(特許法29条の2)について (1)本件発明1について 本件発明1と甲4発明とを対比すると、少なくとも、補剛部材の形状について、本件発明1は、鉄骨梁の長手方向と直交するとともに上下方向に長尺な矩形の鋼板で形成された縦スチフナと、鉄骨梁の長手方向と平行な水平スチフナとを備え、Uの字状およびエの字状は除くのに対し、甲4発明は、円弧状、Uの字状、くの字状またはエの字状である点、で相違している。 そして、甲4発明のUの字状とエの字状は、本件発明では除かれており、また、円弧状及びくの字状には、本件発明1の縦スチフナ及び水平スチフナに相当する部分が設けられていない。 したがって、本件発明1と甲4発明とは実質的な相違点が存在しているから、本件発明1は甲4発明と同一ではない。 (2)本件発明2及び本件発明3について 本件発明2及び本件発明3は、本件発明1の構成をすべて含み、更に減縮したものであるから、上記(1)の判断と同様の理由により、甲4発明と同一ではない。 (3)小活 以上のとおりであるから、本件発明1ないし3は、甲第4号証に記載された発明ではない。 5 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について (1)甲第2号証を主引用例とした容易想到性について 本件発明1と甲第2号証に記載された発明とを対比すると、少なくとも、縦スチフナの上下端部とフランジとの間について、本件発明1は、フランジの局部座屈を許容できる所定の隙間が設けられているのに対し、甲第2号証に記載された発明は、そのような隙間が設けられたかどうか不明な点で相違している。 そして、該相違点は、上記3(1)アで検討して相違点と同じであるから、該相違点に係る本件発明1の構成は、甲第2号証に記載の発明に甲第5号証の記載事項及び周知技術を適用することにより、該相違点に係る本件発明1の構成となるものではない。 よって、本件発明1は、甲第2号証に記載の発明、甲第5号証の記載事項及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではなく、また、本件発明2及び本件発明3についても同様の理由により、本件発明1は、甲第2号証に記載の発明、甲第5号証の記載事項及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (2)甲第1号証または甲第3号証を主引用例とした、本件発明3の容易想到性について 本件発明3と甲1発明または甲3発明とを対比すると、少なくとも、本件発明3は、縦スチフナは水平スチフナより柱から離間して設けられているのに対し、甲1発明または甲3発明は、縦スチフナが水平スチフナよりも柱側に設けられている点で相違している。 そして、甲第2号証、甲第5号証にも当該相違点に係る本件発明1の構成は記載されておらず、示唆する記載もない。 よって、本件発明3は、甲1発明または甲3発明、及び甲第2号証、甲第5号証に記載されたた事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 また、本件発明3は、本件発明1の構成をすべて含み、更に減縮したものであるから、上記3の判断と同様の理由によっても、甲1発明または甲3発明、及び甲第2号証、甲第5号証に記載された事項及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 第5 むすび 以上のとおりであるから、平成29年11月22日付け取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由、証拠によっては、本件請求項1ないし3に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件請求項1ないし3に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 H形断面の鉄骨梁の端部が補剛部材(但し、Uの字状およびエの字状の補剛部材を除く。)によって補剛された鉄骨梁であって、 前記補剛部材は、前記鉄骨梁の端部のウエブに設けられて、当該鉄骨梁の長手方向と直交するとともに上下に長尺な矩形の鋼板で形成された縦スチフナと、当該鉄骨梁の長手方向と平行な水平スチフナとを備え、 前記縦スチフナの上下端部はそれぞれ前記鉄骨梁のフランジと接合されておらず、当該縦スチフナの上下端部と前記フランジとの間には、フランジの局部座屈を許容できる所定の隙間が設けられ、 前記縦スチフナは、その上端から下端まで連続した状態で前記ウエブに設けられていることを特徴とする鉄骨梁。 【請求項2】 前記水平スチフナの一方の端部は、前記縦スチフナに当接されるか、または溶接されていることを特徴とする請求項1に記載の鉄骨梁。 【請求項3】 請求項1または2に記載の鉄骨梁が柱に接合されており、 前記縦スチフナは前記水平スチフナより前記柱から離間して設けられていることを特徴とする柱梁接合構造。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2018-03-30 |
出願番号 | 特願2012-196905(P2012-196905) |
審決分類 |
P
1
651・
121-
YAA
(E04C)
P 1 651・ 161- YAA (E04C) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 星野 聡志 |
特許庁審判長 |
井上 博之 |
特許庁審判官 |
住田 秀弘 西田 秀彦 |
登録日 | 2017-03-10 |
登録番号 | 特許第6105878号(P6105878) |
権利者 | 株式会社日建設計 新日鐵住金株式会社 |
発明の名称 | 鉄骨梁および柱梁接合構造 |
代理人 | 栗林 和輝 |
代理人 | 栗林 和輝 |
代理人 | 栗林 三男 |
代理人 | 栗林 和輝 |
代理人 | 新田 修博 |
代理人 | 新田 修博 |
代理人 | 栗林 三男 |
代理人 | 栗林 三男 |
代理人 | 新田 修博 |