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審決分類 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  C07C
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  C07C
審判 全部申し立て 2項進歩性  C07C
管理番号 1341061
異議申立番号 異議2017-700722  
総通号数 223 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2018-07-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2017-07-25 
確定日 2018-04-26 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6066252号発明「重合性化合物及び光学異方体」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6066252号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-7〕について訂正することを認める。 特許第6066252号の請求項1?6に係る特許を維持する。 特許第6066252号の請求項7に係る特許についての申立てを却下する。 
理由 第1 手続の経緯

特許第6066252号(以下、「本件特許」ともいう。)の請求項1?7に係る特許についての出願は、平成28年1月7日(優先権主張 平成27年1月16日)にDIC株式会社により出願され、平成29年1月6日に特許権の設定登録がされ、同年1月25日に特許公報の発行がされ、その後、請求項1?7に係る特許に対し、平成29年7月25日に特許異議申立人柴田留理子(以下、「異議申立人」という。)により特許異議の申立てがされたものである。
その後の経緯は、以下の通りである。
平成29年10月27日 取消理由通知
同年 12月25日付け 意見書・訂正請求書(特許権者)
平成30年 2月26日 通知書
同年 3月29日付け 意見書(異議申立人)


第2 訂正の適否

特許権者は、特許法第120条の5第1項の規定により審判長が指定した期間内である平成29年12月25日に訂正請求書を提出し、本件特許の特許請求の範囲を訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1?7について訂正することを求めた(以下「本件訂正」という。)。

1 本件訂正の内容
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1における
「Mは下記の式(M-1)から式(M-8)
【化2】



「Mは下記の式(M-1)から式(M-2)


に訂正する。

(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項1における
「任意の位置にR^(3)との結合手を有して良く、」

「任意の位置にR^(3)との結合手を有し、」
に訂正する。

(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項1における
「Gは下記の式(G-1)又は式(G-2)
【化3】



「Gは下記の式(G-1)又は式(G-2)のうちW^(2)を除く部位
【化3】


に訂正する。

(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項1における
「W^(1)は少なくとも1つの芳香族基を有する、炭素原子数4から30の基を表すが、当該基は無置換であるか又は1つ以上のL^(W)によって置換されても良く、
W^(1)が下記の式(W-1)から式(W-20)
【化4】


(式中、環構造には任意の位置に結合手を有して良く」

「W^(1)は下記の下記の式(W-1)から式(W-20)
【化4】


(式中、環構造には任意の位置に(G-1)中の窒素原子又は(G-2)中の炭素原子と結合手を有し」
に訂正する。

(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項1における
「また、これらの基は無置換又は1つ以上の置換基L^(W)によって置換されても良い。)」

「また、これらの基は無置換又は1つ以上の置換基L^(W)によって置換されても良い。また、L^(W)はフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ペンタフルオロスルフラニル基、ニトロ基、シアノ基、イソシアノ基、アミノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、トリメチルシリル基、ジメチルシリル基、チオイソシアノ基、又は、1個の-CH_(2)-又は隣接していない2個以上の-CH_(2)-が各々独立して-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-CH=CH-COO-、-CH=CH-OCO-、-COO-CH=CH-、-OCO-CH=CH-、-CH=CH-、-CF=CF-又は-C≡C-によって置換されても良い炭素原子数1から20の直鎖状又は分岐状アルキル基を表すが、当該アルキル基中の任意の水素原子はフッ素原子に置換されていても良く、L^(W)が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良い。)」
に訂正する。

(6)訂正事項6
特許請求の範囲の請求項1における
「W^(2)はR^(4)を表すか、若しくは、W^(2)はW^(1)と同様の意味を表しても良く、また、W^(1)及びW^(2)は一緒になって環構造を形成しても良い。)から選ばれる基を表し、」

「W^(2)は一本式(I)におけるR^(4)を表す。)から選ばれる基を表し、」
に訂正する。

(7)訂正事項7
特許請求の範囲の請求項1における
「L^(W)はフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ペンタフルオロスルフラニル基、ニトロ基、シアノ基、イソシアノ基、アミノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、トリメチルシリル基、ジメチルシリル基、チオイソシアノ基、又は、1個の-CH_(2)-又は隣接していない2個以上の-CH_(2)-が各々独立して-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-CH=CH-COO-、-CH=CH-OCO-、-COO-CH=CH-、-OCO-CH=CH-、-CH=CH-、-CF=CF-又は-C≡C-によって置換されても良い炭素原子数1から20の直鎖状又は分岐状アルキル基を表すが、当該アルキル基中の任意の水素原子はフッ素原子に置換されていても良く、L^(W)が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く、」
を削除する。

(8)訂正事項8
特許請求の範囲の請求項1における
「R^(3)は水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ペンタフルオロスルフラニル基、シアノ基、ニトロ基、イソシアノ基、チオイソシアノ基、又は、1個の-CH_(2)-又は隣接していない2個以上の-CH_(2)-が各々独立して-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-CH=CH-、-CF=CF-又は-C≡C-によって置換されても良い炭素原子数1から20の直鎖状又は分岐状アルキル基を表すが、当該アルキル基中の任意の水素原子はフッ素原子に置換されても良く、若しくは、R^(3)はP^(3)-(Sp^(3)-X^(3))_(k3)-で表される基(式中、P^(3)は重合性基を表し、Sp^(3)はスペーサー基を表すが、Sp^(3)が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く、X^(3)は-O-、-S-、-OCH_(2)-、-CH_(2)O-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-SCH_(2)-、-CH_(2)S-、-CF_(2)O-、-OCF_(2)-、-CF_(2)S-、-SCF_(2)-、-CH=CH-COO-、-CH=CH-OCO-、-COO-CH=CH-、-OCO-CH=CH-、-COO-CH_(2)CH_(2)-、-OCO-CH_(2)CH_(2)-、-CH_(2)CH_(2)-COO-、-CH_(2)CH_(2)-OCO-、-COO-CH_(2)-、-OCO-CH_(2)-、-CH_(2)-COO-、-CH_(2)-OCO-、-CH=CH-、-N=N-、-CH=N-N=CH-、-CF=CF-、-C≡C-又は単結合を表すが、X^(3)が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く(ただし、P^(3)-(Sp^(3)-X^(3))_(k3)-には-O-O-結合を含まない。)、k3は0から10の整数を表す。)を表し、」

「R^(3)は水素原子を表し、」
に訂正する。

(9)訂正事項9
特許請求の範囲の請求項1の
「R^(4)は水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ペンタフルオロスルフラニル基、シアノ基、ニトロ基、イソシアノ基、チオイソシアノ基、又は、1個の-CH_(2)-又は隣接していない2個以上の-CH_(2)-が各々独立して-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-CH=CH-、-CF=CF-又は-C≡C-によって置換されても良い炭素原子数1から20の直鎖状又は分岐状アルキル基を表すが、当該アルキル基中の任意の水素原子はフッ素原子に置換されても良く、若しくは、R^(4)はP^(4)-(Sp^(4)-X^(4))_(k4)-で表される基」

「R^(4)はP^(4)-(Sp^(4)-X^(4))_(k4)-で表される基」
に訂正する。

(10)訂正事項10
特許請求の範囲の請求項1の
「式中、P^(4)は重合性基を表し、Sp^(4)はスペーサー基を表すが、Sp^(4)が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く、」

「式中、P^(4)は重合性基を表し、Sp^(4)は炭素原子数1から20のアルキレン基を表すが、Sp^(4)が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く、」
に訂正する。

(11)訂正事項11
特許請求の範囲の請求項1の
「存在するP^(1)、P^(2)、P^(3)及びP^(4)が下記の式(P-1)から式(P-20)」

「存在するP^(1)、P^(2)、及びP^(4)が下記の式(P-1)から式(P-20)」
に訂正する。

(12)訂正事項12
特許請求の範囲の請求項1の
「存在するSp^(1)、Sp^(2)、Sp^(3)及びSp^(4)が各々独立して、1個の-CH_(2)-又は隣接していない2個以上の-CH_(2)-が各々独立して-O-、-COO-、-OCO-、-OCO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-CH=CH-又は-C≡C-に置き換えられても良い炭素原子数1から20のアルキレン基を表す。」

「存在するSp^(1)及びSp^(2)が各々独立して、1個の-CH_(2)-又は隣接していない2個以上の-CH_(2)-が各々独立して-O-、-COO-、-OCO-、-OCO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-CH=CH-又は-C≡C-に置き換えられても良い炭素原子数1から20のアルキレン基を表す。」
に訂正する。

(13)訂正事項13
特許請求の範囲の請求項1の
「X^(4)は-O-、-S-、-OCH_(2)-、-CH_(2)O-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-SCH_(2)-、-CH_(2)S-、-CF_(2)O-、-OCF_(2)-、-CF_(2)S-、-SCF_(2)-、-CH=CH-COO-、-CH=CH-OCO-、-COO-CH=CH-、-OCO-CH=CH-、-COO-CH_(2)CH_(2)-、-OCO-CH_(2)CH_(2)-、-CH_(2)CH_(2)-COO-、-CH_(2)CH_(2)-OCO-、-COO-CH_(2)-、-OCO-CH_(2)-、-CH_(2)-COO-、-CH_(2)-OCO-、-CH=CH-、-N=N-、-CH=N-N=CH-、-CF=CF-、-C≡C-又は単結合を表すが、X^(4)が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く(ただし、P^(4)-(Sp^(4)-X^(4))_(k4)-には-O-O-結合を含まない。)、k4は0から10の整数を表す。)を表すが、」

「X^(4)は(G-1)中の窒素原子又は式(G-2)中の炭素原子に隣接する位置にあるものは、単結合を、その他のものは、-O-、-S-、-OCH_(2)-、-CH_(2)O-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-SCH_(2)-、-CH_(2)S-、-CF_(2)O-、-OCF_(2)-、-CF_(2)S-、-SCF_(2)-、-CH=CH-COO-、-CH=CH-OCO-、-COO-CH=CH-、-OCO-CH=CH-、-COO-CH_(2)CH_(2)-、-OCO-CH_(2)CH_(2)-、-CH_(2)CH_(2)-COO-、-CH_(2)CH_(2)-OCO-、-COO-CH_(2)-、-OCO-CH_(2)-、-CH_(2)-COO-、-CH_(2)-OCO-、-CH=CH-、-N=N-、-CH=N-N=CH-、-CF=CF-、又は-C≡C-を表すが、X^(4)が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く(ただし、P^(4)-(Sp^(4)-X^(4))_(k4)-には-O-O-結合を含まない。)、k4は2から10の整数を表す。)を表し、」
に訂正する。

(14)訂正事項14
特許請求の範囲の請求項1の
「R^(3)又はR^(4)のうち少なくとも一方はP^(3)-(Sp^(3)-X^(3))_(k3)-又はP^(4)-(Sp^(4)-X^(4))_(k4)-で表される基を表し、」
を削除する。

(15)訂正事項15
特許請求の範囲の請求項2の
「一般式(I)において、W^(1)及びW^(2)に含まれるπ電子の総数が4から24である、請求項1に記載の化合物。」

「一般式(I)において、W^(1)及びW^(2)に含まれるπ電子の総数が4から20である、請求項1に記載の化合物。」
に訂正する。

(16)訂正事項16
特許請求の範囲の請求項3の
「請求項1又は請求項2に記載の化合物を含有する組成物。 」

「請求項1又は請求項2に記載の化合物と、下記一般式(II-1)
【化1】

及び/又は一般式(II-2)
【化2】

(式中、P^(21)、P^(22)及びP^(23)は各々独立して重合性基を表し、S^(21)、S^(22)及びS^(23)は各々独立して単結合又は炭素原子数1?20個のアルキレン基を表すが、1個の-CH_(2)-又は隣接していない2個以上の-CH_(2)-は-O-、-COO-、-OCO-、-OCOO-に置き換えられても良く、X^(21)、X^(22)及びX^(23)は各々独立して-O-、-S-、-OCH_(2)-、-CH_(2)O-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-SCH_(2)-、-CH_(2)S-、-CF_(2)O-、-OCF_(2)-、-CF_(2)S-、-SCF_(2)-、-CH=CH-COO-、-CH=CH-OCO-、-COO-CH=CH-、-OCO-CH=CH-、-COO-CH_(2)CH_(2)-、-OCO-CH_(2)CH_(2)-、-CH_(2)CH_(2)-COO-、-CH_(2)CH_(2)-OCO-、-COO-CH_(2)-、-OCO-CH_(2)-、-CH_(2)-COO-、-CH_(2)-OCO-、-CH=CH-、-CF=CF-、-C≡C-又は単結合を表し、Z^(23)及びZ^(24)は各々独立して-O-、-S-、-OCH_(2)-、-CH_(2)O-、-COO-、-OCO-、-CO-、-CO-S-、-S-CO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-SCH_(2)-、-CH_(2)S-、-CF_(2)O-、-OCF_(2)-、-CF_(2)S-、-SCF_(2)-、-CH_(2)CH_(2)-、-CH_(2)CF_(2)-、-CF_(2)CH_(2)-、-CF_(2)CF_(2)-、-CH=CH-COO-、-CH=CH-OCO-、-COO-CH=CH-、-OCO-CH=CH-、-COO-CH_(2)CH_(2)-、-OCO-CH_(2)CH_(2)-、-CH_(2)CH_(2)-COO-、-CH_(2)CH_(2)-OCO-、-COO-CH_(2)-、-OCO-CH_(2)-、-CH_(2)-COO-、-CH_(2)-OCO-、-CH=CH-、-CF=CF-、-C≡C-又は単結合を表し、A^(23)、A^(24)、A^(25)及びA^(26)は各々独立して、1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキシレン基、ピリジン-2,5-ジイル基、ピリミジン-2,5-ジイル基、ナフタレン-2,6-ジイル基、ナフタレン-1,4-ジイル基、テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基又は1,3-ジオキサン-2,5-ジイル基を表すが、A^(23)、A^(24)、A^(25)及びA^(26)は各々独立して無置換であるか又はアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基又はニトロ基に置換されていても良く、R^(25)は水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ペンタフルオロスルフラニル基、シアノ基、ニトロ基、イソシアノ基、チオイソシアノ基、若しくは、1個の-CH_(2)-又は隣接していない2個以上の-CH_(2)-が各々独立して-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-CH=CH-COO-、-CH=CH-OCO-、-COO-CH=CH-、-OCO-CH=CH-、-CH=CH-、-CF=CF-又は-C≡C-によって置換されても良い炭素原子数1から20の直鎖又は分岐アルキル基を表し、m23及びm24は0、1、2又は3を表すが、m23及び/又はm24が2又は3を表す場合、2個あるいは3個存在するA^(23)、A^(25)、Z^(23)及び/又はZ^(24)は同一であっても異なっていても良い。)で表される化合物
とを含有する組成物。 」
に訂正する。

(17)訂正事項17
特許請求の範囲の請求項4の
「請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の化合物」

「請求項1又は請求項2に記載の化合物」
に訂正する。

(18)訂正事項18
特許請求の範囲の請求項4の
「化合物を含有する液晶組成物。」

「化合物と、下記一般式(II-1)
【化3】

及び/又は一般式(II-2)
【化4】

(式中、P^(21)、P^(22)及びP^(23)は各々独立して重合性基を表し、S^(21)、S^(22)及びS^(23)は各々独立して単結合又は炭素原子数1?20個のアルキレン基を表すが、1個の-CH_(2)-又は隣接していない2個以上の-CH_(2)-は-O-、-COO-、-OCO-、-OCOO-に置き換えられても良く、X^(21)、X^(22)及びX^(23)は各々独立して-O-、-S-、-OCH_(2)-、-CH_(2)O-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-SCH_(2)-、-CH_(2)S-、-CF_(2)O-、-OCF_(2)-、-CF_(2)S-、-SCF_(2)-、-CH=CH-COO-、-CH=CH-OCO-、-COO-CH=CH-、-OCO-CH=CH-、-COO-CH_(2)CH_(2)-、-OCO-CH_(2)CH_(2)-、-CH_(2)CH_(2)-COO-、-CH_(2)CH_(2)-OCO-、-COO-CH_(2)-、-OCO-CH_(2)-、-CH_(2)-COO-、-CH_(2)-OCO-、-CH=CH-、-CF=CF-、-C≡C-又は単結合を表し、Z^(23)及びZ^(24)は各々独立して-O-、-S-、-OCH_(2)-、-CH_(2)O-、-COO-、-OCO-、-CO-、-CO-S-、-S-CO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-SCH_(2)-、-CH_(2)S-、-CF_(2)O-、-OCF_(2)-、-CF_(2)S-、-SCF_(2)-、-CH_(2)CH_(2)-、-CH_(2)CF_(2)-、-CF_(2)CH_(2)-、-CF_(2)CF_(2)-、-CH=CH-COO-、-CH=CH-OCO-、-COO-CH=CH-、-OCO-CH=CH-、-COO-CH_(2)CH_(2)-、-OCO-CH_(2)CH_(2)-、-CH_(2)CH_(2)-COO-、-CH_(2)CH_(2)-OCO-、-COO-CH_(2)-、-OCO-CH_(2)-、-CH_(2)-COO-、-CH_(2)-OCO-、-CH=CH-、-CF=CF-、-C≡C-又は単結合を表し、A^(23)、A^(24)、A^(25)及びA^(26)は各々独立して、1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキシレン基、ピリジン-2,5-ジイル基、ピリミジン-2,5-ジイル基、ナフタレン-2,6-ジイル基、ナフタレン-1,4-ジイル基、テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基又は1,3-ジオキサン-2,5-ジイル基を表すが、A^(23)、A^(24)、A^(25)及びA^(26)は各々独立して無置換であるか又はアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基又はニトロ基に置換されていても良く、R^(25)は水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ペンタフルオロスルフラニル基、シアノ基、ニトロ基、イソシアノ基、チオイソシアノ基、若しくは、1個の-CH_(2)-又は隣接していない2個以上の-CH_(2)-が各々独立して-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-CH=CH-COO-、-CH=CH-OCO-、-COO-CH=CH-、-OCO-CH=CH-、-CH=CH-、-CF=CF-又は-C≡C-によって置換されても良い炭素原子数1から20の直鎖又は分岐アルキル基を表し、m23及びm24は0、1、2又は3を表すが、m23及び/又はm24が2又は3を表す場合、2個あるいは3個存在するA^(23)、A^(25)、Z^(23)及び/又はZ^(24)は同一であっても異なっていても良い。)で表される化合物
とを含有する液晶組成物。」
に訂正する。

(19)訂正事項19
特許請求の範囲の請求項7を削除する。

2 訂正の適否
(1)一群の請求項
訂正事項1?19に係る訂正前の請求項1?7に関し、請求項2は請求項1を引用し、請求項3は請求項1又は請求項2を引用し、請求項4は請求項1?3を引用し、請求項5は請求項3又は請求項4を引用し、請求項6は請求項5を引用し、請求項7は請求項1又は請求項2を引用しており、請求項2?7は請求項1を直接又は間接に引用しているものであって、訂正事項1?19によって記載が訂正される請求項1、2、3、4及び7に連動して訂正されるものである。したがって、訂正前の請求項1?7に対応する訂正後の請求項1?7は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。
訂正事項1?19は、当該一群の請求項である請求項1?7について訂正を請求するものであるから、特許法第120条の5第4項の規定に適合する。

(2)訂正の目的及び新規事項の追加の有無について
ア 訂正事項1に係る訂正は、請求項1の一般式(I)のMの範囲を「式(M-1)から式(M-8)」から「式(M-1)から式(M-2)」とするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的としており、新規事項を追加するものではない。

イ 訂正事項2に係る訂正は、訂正前の請求項1の一般式(I)のMがR^(3)との結合手を有することが任意であったものを、常にR^(3)との結合手を有することを規定するものであり、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的としており、新規事項を追加するものではない。

ウ 訂正事項3に係る訂正は、訂正前の請求項1の一般式(I)のGにおけるR^(4)との結合部位が不明であったものを、式(G-1)又は式(G-2)中のW^(2)の位置付けを明確にするものであり、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的としており、新規事項を追加するものではない。

エ 訂正事項4に係る訂正は、訂正前の請求項1の一般式(I)のW^(1)の範囲を明確にするものであり、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的としており、新規事項を追加するものではない。

オ 訂正事項5に係る訂正は、訂正前の請求項1の一般式(I)のL^(W)の範囲を明確にするものであり、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的としており、新規事項を追加するものではない。

カ 訂正事項6に係る訂正は、訂正前の請求項1の一般式(I)のW^(2)の範囲をR^(4)に限定するものであり、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的としており、新規事項を追加するものではない。

キ 訂正事項7に係る訂正は、訂正事項5と同様にL^(W)の範囲を明確にするものであり、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的としており、新規事項を追加するものではない。

ク 訂正事項8に係る訂正は、訂正前の請求項1の一般式(I)のR^(3)の範囲を水素に限定するものであり、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的としており、新規事項を追加するものではない。

ケ 訂正事項9に係る訂正は、訂正前の請求項1の一般式(I)のR^(4)の範囲をP^(4)-(Sp^(4)-X^(4))_(k4)-で表される基に限定するものであり、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的としており、新規事項を追加するものではない。

コ 訂正事項10に係る訂正は、訂正前の請求項1の一般式(I)のR^(4)のスペーサー基の範囲を限定するものであり、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的としており、新規事項を追加するものではない。

サ 訂正事項11に係る訂正は、訂正事項8により訂正前の請求項1の一般式(I)のR^(3)の範囲が限定されたことによって記載を整理したものであり、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的としており、新規事項を追加するものではない。

シ 訂正事項12に係る訂正は、訂正事項8及び訂正事項9により訂正前の請求項1の一般式(I)のR^(3)及びR^(4)の範囲が限定されたことによって記載を整理したものであり、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的としており、新規事項を追加するものではない。

ス 訂正事項13に係る訂正は、訂正前の請求項1の一般式(I)のX^(4)の範囲を限定するものであり、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的としており、新規事項を追加するものではない。

セ 訂正事項14に係る訂正は、訂正事項8及び訂正事項9により訂正前の請求項1の一般式(I)のR^(3)及びR^(4)の範囲が限定されたことによって記載を整理したものであり、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的としており、新規事項を追加するものではない。

ソ 訂正事項15に係る訂正は、訂正前の請求項1の一般式(I)のW^(1)及びW^(2)に含まれるπ電子の総数の上限を減少させるものであり、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的としており、新規事項を追加するものではない。(この点についての異議申立人の主張については、後記の第5 3(1)ア参照。)

タ 訂正事項16に係る訂正は、訂正前の請求項3で組成物中で「請求項1又は請求項2に記載の化合物」と共に使用する化合物を規定するものであり、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的としており、新規事項を追加するものではない。

チ 訂正事項17に係る訂正は、訂正前の請求項4が引用する範囲を明確にするものであり、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的としており、新規事項を追加するものではない。

ツ 訂正事項18に係る訂正は、訂正前の請求項4で液晶組成物中で「化合物」と共に使用する化合物を規定するものであり、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的としており、新規事項を追加するものではない。

テ 訂正事項19に係る訂正は、請求項を削除するものであり、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的としており、新規事項を追加するものではない。

ト したがって、本件訂正は、特許法第120条の5第2項及び同法同条第9項で準用する同法126条第5項の規定に適合する。

(3)特許請求の範囲の実質上の拡張・変更の存否について
訂正事項1?19に係る訂正は、上記のとおり、特許請求の範囲を減縮または特許請求の範囲の明瞭でない記載を明確にしただけであり、事実上特許請求の範囲を拡張するものでも変更するものでもないことは明らかである。
したがって、本件訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。

(4)訂正後の発明の独立特許要件について
請求項1?7に係る特許について特許異議の申立てがされているので、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第7項の規定については、検討を要しない。

3 まとめ
以上のとおり、訂正事項1?19は、何れも、特許法第120条の5第2項及び第4項の規定に適合するとともに、同法同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する
よって、訂正後の請求項〔1-7〕に係る本件訂正を認める。


第3 本件特許発明
上記第2 3のとおり、本件訂正請求による訂正は認容されるので、特許第6066252号の請求項1ないし7に係る発明(以下、それぞれ「本件特許発明1」ないし「本件特許発明7」という。)は、平成29年12月25日付け訂正請求書に添付された特許請求の範囲の請求項1ないし7に記載された事項により特定される次のとおりのものである。

「【請求項1】
一般式(I)
【化1】


(式中、A^(1)及びA^(2)は各々独立して1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキシレン基、ピリジン-2,5-ジイル基、ピリミジン-2,5-ジイル基、ナフタレン-2,6-ジイル基、ナフタレン-1,4-ジイル基、テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基又は1,3-ジオキサン-2,5-ジイル基を表すが、これらの基は無置換であるか又は1つ以上のLによって置換されても良く、A^(1)及び/又はA^(2)が複数現れる場合は各々同一であっても異なっていても良く、Lはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ペンタフルオロスルフラニル基、ニトロ基、シアノ基、イソシアノ基、アミノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、トリメチルシリル基、ジメチルシリル基、チオイソシアノ基、又は、1個の-CH_(2)-又は隣接していない2個以上の-CH_(2)-が各々独立して-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-CH=CH-COO-、-CH=CH-OCO-、-COO-CH=CH-、-OCO-CH=CH-、-CH=CH-、-CF=CF-又は-C≡C-によって置換されても良い炭素原子数1から20の直鎖状又は分岐状アルキル基を表すが、当該アルキル基中の任意の水素原子はフッ素原子に置換されていても良く、Lが複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く、
Z^(1)及びZ^(2)は各々独立して-O-、-S-、-OCH_(2)-、-CH_(2)O-、-CH_(2)CH_(2)-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-OCO-NH-、-NH-COO-、-NH-CO-NH-、-NH-O-、-O-NH-、-SCH_(2)-、-CH_(2)S-、-CF_(2)O-、-OCF_(2)-、-CF_(2)S-、-SCF_(2)-、-CH=CH-COO-、-CH=CH-OCO-、-COO-CH=CH-、-OCO-CH=CH-、-COO-CH_(2)CH_(2)-、-OCO-CH_(2)CH_(2)-、-CH_(2)CH_(2)-COO-、-CH_(2)CH_(2)-OCO-、-COO-CH_(2)-、-OCO-CH_(2)-、-CH_(2)-COO-、-CH_(2)-OCO-、-CH=CH-、-N=N-、-CH=N-、-N=CH-、-CH=N-N=CH-、-CF=CF-、-C≡C-又は単結合を表すが、Z^(1)及び/又はZ^(2)が複数現れる場合は各々同一であっても異なっていても良く、
m1及びm2は各々独立して0から5の整数を表すが、m1+m2は1から5の整数を表し、Mは下記の式(M-1)から式(M-2)
【化2】


から選ばれる基を表すが、任意の位置にR^(3)との結合手を有し、水平方向の結合手がMの水平方向の結合手に対応し、上方の結合手がGとの結合手に対応し、これらの基は無置換であるか又は1つ以上のL^(M)によって置換されても良く、
L^(M)はフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ペンタフルオロスルフラニル基、ニトロ基、シアノ基、イソシアノ基、アミノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、トリメチルシリル基、ジメチルシリル基、チオイソシアノ基、又は、1個の-CH_(2)-又は隣接していない2個以上の-CH_(2)-が各々独立して-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-CH=CH-COO-、-CH=CH-OCO-、-COO-CH=CH-、-OCO-CH=CH-、-CH=CH-、-CF=CF-又は-C≡C-によって置換されても良い炭素原子数1から20の直鎖状又は分岐状アルキル基を表すが、当該アルキル基中の任意の水素原子はフッ素原子に置換されていても良く、L^(M)が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く、
Gは下記の式(G-1)又は式(G-2)のうちW^(2)を除く部位
【化3】


(式中、Yは水素原子、又は、1個の-CH_(2)-又は隣接していない2個以上の-CH_(2)-が各々独立して-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-又は-C≡C-によって置換されても良い炭素原子数1から20の直鎖状又は分岐状アルキル基を表すが、当該アルキル基中の任意の水素原子はフッ素原子に置換されても良く、
W^(1)は下記の式(W-1)から式(W-20)
【化4】


(式中、環構造には任意の位置に(G-1)中の窒素原子又は(G-2)中の炭素原子と結合手を有し、これらの基から選ばれる2つの芳香族基を単結合で連結した基を形成しても良く、任意の-CH=は各々独立して-N=に置き換えられても良く、-CH_(2)-は各々独立して-O-、-S-、-NR^(T)-(式中、R^(T)は水素原子又は炭素原子数1から20のアルキル基を表す。)、-CS-又は-CO-に置き換えられても良いが、-O-O-結合を含まない。また、これらの基は無置換又は1つ以上の置換基L^(W)によって置換されても良い。また、L^(W)はフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ペンタフルオロスルフラニル基、ニトロ基、シアノ基、イソシアノ基、アミノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、トリメチルシリル基、ジメチルシリル基、チオイソシアノ基、又は、1個の-CH_(2)-又は隣接していない2個以上の-CH_(2)-が各々独立して-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-CH=CH-COO-、-CH=CH-OCO-、-COO-CH=CH-、-OCO-CH=CH-、-CH=CH-、-CF=CF-又は-C≡C-によって置換されても良い炭素原子数1から20の直鎖状又は分岐状アルキル基を表すが、当該アルキル基中の任意の水素原子はフッ素原子に置換されていても良く、L^(W)が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良い。)から選ばれる基を表し、
W^(2)は一本式(I)におけるR^(4)を表す。)から選ばれる基を表し、
R^(1)は水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ペンタフルオロスルフラニル基、シアノ基、ニトロ基、イソシアノ基、チオイソシアノ基、又は、1個の-CH_(2)-又は隣接していない2個以上の-CH_(2)-が各々独立して-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-CH=CH-、-CF=CF-又は-C≡C-によって置換されても良い炭素原子数1から20の直鎖状又は分岐状アルキル基を表すが、当該アルキル基中の任意の水素原子はフッ素原子に置換されても良く、若しくは、R^(1)はP^(1)-(Sp^(1)-X^(1))_(k1)-で表される基(式中、P^(1)は重合性基を表し、Sp^(1)はスペーサー基を表すが、Sp^(1)が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く、X^(1)は-O-、-S-、-OCH_(2)-、-CH_(2)O-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-SCH_(2)-、-CH_(2)S-、-CF_(2)O-、-OCF_(2)-、-CF_(2)S-、-SCF_(2)-、-CH=CH-COO-、-CH=CH-OCO-、-COO-CH=CH-、-OCO-CH=CH-、-COO-CH_(2)CH_(2)-、-OCO-CH_(2)CH_(2)-、-CH_(2)CH_(2)-COO-、-CH_(2)CH_(2)-OCO-、-COO-CH_(2)-、-OCO-CH_(2)-、-CH_(2)-COO-、-CH_(2)-OCO-、-CH=CH-、-N=N-、-CH=N-N=CH-、-CF=CF-、-C≡C-又は単結合を表すが、X^(1)が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く(ただし、P^(1)-(Sp^(1)-X^(1))_(k1)-には-O-O-結合を含まない。)、k1は0から10の整数を表す。)を表し、
R^(2)は水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ペンタフルオロスルフラニル基、シアノ基、ニトロ基、イソシアノ基、チオイソシアノ基、又は、1個の-CH_(2)-又は隣接していない2個以上の-CH_(2)-が各々独立して-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-CH=CH-、-CF=CF-又は-C≡C-によって置換されても良い炭素原子数1から20の直鎖状又は分岐状アルキル基を表すが、当該アルキル基中の任意の水素原子はフッ素原子に置換されても良く、若しくは、R^(2)はP^(2)-(Sp^(2)-X^(2))_(k2)-で表される基(式中、P^(2)は重合性基を表し、Sp^(2)はスペーサー基を表すが、Sp^(2)が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く、X^(2)は-O-、-S-、-OCH_(2)-、-CH_(2)O-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-SCH_(2)-、-CH_(2)S-、-CF_(2)O-、-OCF_(2)-、-CF_(2)S-、-SCF_(2)-、-CH=CH-COO-、-CH=CH-OCO-、-COO-CH=CH-、-OCO-CH=CH-、-COO-CH_(2)CH_(2)-、-OCO-CH_(2)CH_(2)-、-CH_(2)CH_(2)-COO-、-CH_(2)CH_(2)-OCO-、-COO-CH_(2)-、-OCO-CH_(2)-、-CH_(2)-COO-、-CH_(2)-OCO-、-CH=CH-、-N=N-、-CH=N-N=CH-、-CF=CF-、-C≡C-又は単結合を表すが、X^(2)が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く(ただし、P^(2)-(Sp^(2)-X^(2))_(k2)-には-O-O-結合を含まない。)、k2は0から10の整数を表す。)を表し、
R^(3)は水素原子を表し、
R^(4)はP^(4)-(Sp^(4)-X^(4))_(k4)-で表される基(式中、P^(4)は重合性基を表し、Sp^(4)は炭素原子数1から20のアルキレン基を表すが、Sp^(4)が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く、X^(4)は(G-1)中の窒素原子又は(G-2)中の炭素原子に隣接する位置にあるものは、単結合を、その他のものは、-O-、-S-、-OCH_(2)-、-CH_(2)O-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-SCH_(2)-、-CH_(2)S-、-CF_(2)O-、-OCF_(2)-、-CF_(2)S-、-SCF_(2)-、-CH=CH-COO-、-CH=CH-OCO-、-COO-CH=CH-、-OCO-CH=CH-、-COO-CH_(2)CH_(2)-、-OCO-CH_(2)CH_(2)-、-CH_(2)CH_(2)-COO-、-CH_(2)CH_(2)-OCO-、-COO-CH_(2)-、-OCO-CH_(2)-、-CH_(2)-COO-、-CH_(2)-OCO-、-CH=CH-、-N=N-、-CH=N-N=CH-、-CF=CF-、又は-C≡C-を表すが、X^(4)が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く(ただし、P^(4)-(Sp^(4)-X^(4))_(k4)-には-O-O-結合を含まない。)、k4は2から10の整数を表す。)を表し、
R^(1)又はR^(2)のうち少なくとも一方はP^(1)-(Sp^(1)-X^(1))_(k1)-又はP^(2)-(Sp^(2)-X^(2))_(k2)-で表される基を表し、
存在するP^(1)、P^(2)、及びP^(4)が下記の式(P-1)から式(P-20)
【化5】


から選ばれる基を表し、
存在するSp^(1)及びSp^(2)が各々独立して、1個の-CH_(2)-又は隣接していない2個以上の-CH_(2)-が各々独立して-O-、-COO-、-OCO-、-OCO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-CH=CH-又は-C≡C-に置き換えられても良い炭素原子数1から20のアルキレン基を表す。)で表される化合物。

【請求項2】
一般式(I)において、W^(1)及びW^(2)に含まれるπ電子の総数が4から20である、請求項1に記載の化合物。

【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の化合物と、下記一般式(II-1)
【化1】

及び/又は一般式(II-2)
【化2】

(式中、P^(21)、P^(22)及びP^(23)は各々独立して重合性基を表し、S^(21)、S^(22)及びS^(23)は各々独立して単結合又は炭素原子数1?20個のアルキレン基を表すが、1個の-CH_(2)-又は隣接していない2個以上の-CH_(2)-は-O-、-COO-、-OCO-、-OCOO-に置き換えられても良く、X^(21)、X^(22)及びX^(23)は各々独立して-O-、-S-、-OCH_(2)-、-CH_(2)O-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-SCH_(2)-、-CH_(2)S-、-CF_(2)O-、-OCF_(2)-、-CF_(2)S-、-SCF_(2)-、-CH=CH-COO-、-CH=CH-OCO-、-COO-CH=CH-、-OCO-CH=CH-、-COO-CH_(2)CH_(2)-、-OCO-CH_(2)CH_(2)-、-CH_(2)CH_(2)-COO-、-CH_(2)CH_(2)-OCO-、-COO-CH_(2)-、-OCO-CH_(2)-、-CH_(2)-COO-、-CH_(2)-OCO-、-CH=CH-、-CF=CF-、-C≡C-又は単結合を表し、Z^(23)及びZ^(24)は各々独立して-O-、-S-、-OCH_(2)-、-CH_(2)O-、-COO-、-OCO-、-CO-、-CO-S-、-S-CO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-SCH_(2)-、-CH_(2)S-、-CF_(2)O-、-OCF_(2)-、-CF_(2)S-、-SCF_(2)-、-CH_(2)CH_(2)-、-CH_(2)CF_(2)-、-CF_(2)CH_(2)-、-CF_(2)CF_(2)-、-CH=CH-COO-、-CH=CH-OCO-、-COO-CH=CH-、-OCO-CH=CH-、-COO-CH_(2)CH_(2)-、-OCO-CH_(2)CH_(2)-、-CH_(2)CH_(2)-COO-、-CH_(2)CH_(2)-OCO-、-COO-CH_(2)-、-OCO-CH_(2)-、-CH_(2)-COO-、-CH_(2)-OCO-、-CH=CH-、-CF=CF-、-C≡C-又は単結合を表し、A^(23)、A^(24)、A^(25)及びA^(26)は各々独立して、1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキシレン基、ピリジン-2,5-ジイル基、ピリミジン-2,5-ジイル基、ナフタレン-2,6-ジイル基、ナフタレン-1,4-ジイル基、テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基又は1,3-ジオキサン-2,5-ジイル基を表すが、A^(23)、A^(24)、A^(25)及びA^(26)は各々独立して無置換であるか又はアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基又はニトロ基に置換されていても良く、R^(25)は水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ペンタフルオロスルフラニル基、シアノ基、ニトロ基、イソシアノ基、チオイソシアノ基、若しくは、1個の-CH_(2)-又は隣接していない2個以上の-CH_(2)-が各々独立して-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-CH=CH-COO-、-CH=CH-OCO-、-COO-CH=CH-、-OCO-CH=CH-、-CH=CH-、-CF=CF-又は-C≡C-によって置換されても良い炭素原子数1から20の直鎖又は分岐アルキル基を表し、m23及びm24は0、1、2又は3を表すが、m23及び/又はm24が2又は3を表す場合、2個あるいは3個存在するA^(23)、A^(25)、Z^(23)及び/又はZ^(24)は同一であっても異なっていても良い。)で表される化合物
とを含有する組成物。

【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載の化合物と、下記一般式(II-1)
【化3】

及び/又は一般式(II-2)
【化4】

(式中、P^(21)、P^(22)及びP^(23)は各々独立して重合性基を表し、S^(21)、S^(22)及びS^(23)は各々独立して単結合又は炭素原子数1?20個のアルキレン基を表すが、1個の-CH_(2)-又は隣接していない2個以上の-CH_(2)-は-O-、-COO-、-OCO-、-OCOO-に置き換えられても良く、X^(21)、X^(22)及びX^(23)は各々独立して-O-、-S-、-OCH_(2)-、-CH_(2)O-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-SCH_(2)-、-CH_(2)S-、-CF_(2)O-、-OCF_(2)-、-CF_(2)S-、-SCF_(2)-、-CH=CH-COO-、-CH=CH-OCO-、-COO-CH=CH-、-OCO-CH=CH-、-COO-CH_(2)CH_(2)-、-OCO-CH_(2)CH_(2)-、-CH_(2)CH_(2)-COO-、-CH_(2)CH_(2)-OCO-、-COO-CH_(2)-、-OCO-CH_(2)-、-CH_(2)-COO-、-CH_(2)-OCO-、-CH=CH-、-CF=CF-、-C≡C-又は単結合を表し、Z^(23)及びZ^(24)は各々独立して-O-、-S-、-OCH_(2)-、-CH_(2)O-、-COO-、-OCO-、-CO-、-CO-S-、-S-CO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-SCH_(2)-、-CH_(2)S-、-CF_(2)O-、-OCF_(2)-、-CF_(2)S-、-SCF_(2)-、-CH_(2)CH_(2)-、-CH_(2)CF_(2)-、-CF_(2)CH_(2)-、-CF_(2)CF_(2)-、-CH=CH-COO-、-CH=CH-OCO-、-COO-CH=CH-、-OCO-CH=CH-、-COO-CH_(2)CH_(2)-、-OCO-CH_(2)CH_(2)-、-CH_(2)CH_(2)-COO-、-CH_(2)CH_(2)-OCO-、-COO-CH_(2)-、-OCO-CH_(2)-、-CH_(2)-COO-、-CH_(2)-OCO-、-CH=CH-、-CF=CF-、-C≡C-又は単結合を表し、A^(23)、A^(24)、A^(25)及びA^(26)は各々独立して、1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキシレン基、ピリジン-2,5-ジイル基、ピリミジン-2,5-ジイル基、ナフタレン-2,6-ジイル基、ナフタレン-1,4-ジイル基、テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基又は1,3-ジオキサン-2,5-ジイル基を表すが、A^(23)、A^(24)、A^(25)及びA^(26)は各々独立して無置換であるか又はアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基又はニトロ基に置換されていても良く、R^(25)は水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ペンタフルオロスルフラニル基、シアノ基、ニトロ基、イソシアノ基、チオイソシアノ基、若しくは、1個の-CH_(2)-又は隣接していない2個以上の-CH_(2)-が各々独立して-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-CH=CH-COO-、-CH=CH-OCO-、-COO-CH=CH-、-OCO-CH=CH-、-CH=CH-、-CF=CF-又は-C≡C-によって置換されても良い炭素原子数1から20の直鎖又は分岐アルキル基を表し、m23及びm24は0、1、2又は3を表すが、m23及び/又はm24が2又は3を表す場合、2個あるいは3個存在するA^(23)、A^(25)、Z^(23)及び/又はZ^(24)は同一であっても異なっていても良い。)で表される化合物
とを含有する液晶組成物。

【請求項5】
請求項3又は請求項4に記載の組成物を重合することにより得られる重合体。

【請求項6】
請求項5記載の重合体を用いた光学異方体。

【請求項7】 削除 」


第4 取消理由の概要

当審において訂正前の請求項1?7に係る特許に対して平成29年10月24日付けで通知した取消理由の概要は、
1 請求項1?7に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された国際公開第2015/064698号に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、請求項1?7に係る特許は特許法第29条の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである(以下、「取消理由1」という。)、

2 請求項1?7に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された国際公開第2015/064698号に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、請求項1?7に係る特許は特許法第29条の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである(以下、「取消理由2」という。)、

3 請求項1?7の記載は特許法第36条第6項第1号に適合するものではないから、請求項1?7に係る特許は特許法第36条の規定に違反してされたものであり、同法第113条第4号に該当し、取り消されるべきものである(以下、「取消理由3」という。)、

4 請求項1?7の記載は特許法第36条第6項第2号に適合するものではないから、請求項1?7に係る特許は特許法第36条の規定に違反してされたものであり、同法第113条第4号に該当し、取り消されるべきものである(以下、「取消理由4」という。)
というものである。


第5 当合議体の判断
1 取消理由1
(1)本件特許発明1?7に特許法第41条第2項の規定が適用されるか
ア はじめに
本件特許についての出願(以下「本件出願」という。)は、特願2015-006296号(以下「本件基礎出願」という。)を優先権の主張の基礎とし、特許法第41条第1項の規定による優先権の主張を伴う特許出願であるところ、本件特許発明1?7に特許法第41条第2項の規定が適用されるかについて検討する。

イ 本件基礎出願の当初明細書等の記載
甲第2号証の明細書及び特許請求の範囲に記載されている事項は、甲第2号証の1頁の記載からみて、本件基礎出願の願書に最初に添付された明細書及び特許請求の範囲(以下「本件基礎出願当初明細書等」という。)に記載されている事項と同一であると認められるところ、そこには、次のとおりの記載がある。

(k1)
「【請求項1】
一般式(I)
【化1】


(式中、A^(1)及びA^(2)は・・・、Z^(1)及びZ^(2)は・・・、Mは・・・、Gは下記の式(G-1)又は式(G-2)
【化3】


(式中、R^(2)は・・・、W^(1)は・・・、W^(2)は・・・炭素原子数1から20の直鎖状又は分岐状アルキル基を表す・・・から選ばれる基を表し、・・・P^(1)は・・・、P^(2)は・・・、P^(3)・・・、P^(4)は・・・W^(2)に直接置換している重合性基を含む置換基を表し、m1及びm2は・・・、n1、n2、n3及びn4は・・・)で表される化合物。
【請求項2】
一般式(I)において・・・P^(4)が一般式(I-A4)
【化4】


(式中・・・Q^(4)は各々独立して下記の式(Q-1)から式(Q-20)
【化5】


から選ばれる重合性基を表し、・・・S^(4)は・・・スペーサー基・・・を表すが・・・、・・・X^(4)は・・・単結合を表すが・・・、・・・k4は・・・0から8の整数を表す。)で表される、請求項1に記載の化合物。」

(k2)
「【0019】
上記・・・S^(4)はスペーサー基・・・を表すが・・・S4が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良い。また、スペーサー基としては・・・炭素原子数1から20のアルキレン基を表すことが好ましい。・・・」

(k3)
「【0130】
以下、実施例を挙げて本発明を更に記述するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、以下の実施例及び比較例の組成物における「%」は『質量%』を意味する。
(実施例1)式(I-1)で表される化合物の製造
【0131】
【化51】


【0132】
・・・
【0133】
・・・
【0134】
・・・
(実施例2)式(I-61)で表される化合物の製造
【0135】
【化52】


【0136】
・・・
(実施例3)式(I-67)で表される化合物の製造
【0137】
【化53】


【0138】
・・・
(実施例4?6、比較例1?3)
実施例1から実施例3記載の式(I-1)、式(I-61)、式(I-67)で表される化合物及び、特許文献1記載の化合物(R-1)、特許文献2記載の化合物(R-2)並びに特許文献3記載の化合物(R-3)を評価対象の化合物とした。
【0139】
【化54】
・・・
【0140】
・・・
【0141】
・・・
【0142】
【化55】
・・・
【0143】
【表1】
・・・
【0144】
・・・
【0145】
・・・
【0146】
・・・
【0147】
【表2】
・・・
【0148】
・・・
【0149】
以上の結果から、実施例1から実施例3記載の本願発明である式(I-1)、式(I-61)、式(I-67)で表される化合物は、重合性組成物を構成した場合に保存安定性が高く、本願発明の化合物を含有する組成物を用いた光学異方体は、ムラが少ないことがわかる。従って、本願発明の化合物は、重合性組成物の構成部材として有用である。また、本願発明の化合物を含有する重合性液晶組成物を用いた光学異方体は光学フィルム等の用途に有用である。」

ウ 検討
本件特許発明1における「W^(2)はR^(4)を表す」場合であって「R^(4)はP^(4)-(Sp^(4)-X^(4))_(k4)-で表される基・・・を表す」とき、すなわち、式(G-1)又は式(G-2)におけるW^(2)が重合性基P^(4)を含む態様について検討する。
請求項1の記載と上記イで述べた本件基礎出願当初明細書等の請求項1の記載(摘記(k1))との対比から、本件基礎出願当初明細書等の請求項1における置換基P^(4)が本件特許発明1におけるR^(4)に対応し、同置換基P^(4)における重合性基Q^(4)、スペーサー基又は単結合S^(4)、X^(4)及びk4がそれぞれ同R^(4)における重合性基P^(4)、スペーサー基Sp^(4)、X^(4)及びk4に対応し、上記P^(4)及びR^(4)に包含される構造が概ね一致することは明らかであるといえる。
しかし、優先権の主張を伴う特許出願(以下「後の出願」という。)に係る発明が特許法第41条第2項における「当該優先権主張の基礎とされた先の出願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲・・・又は図面・・・に記載された発明」であるか否かは、単に後の出願の特許請求の範囲の文言と先の出願の当初明細書等に記載された文言とを対比して決定すべきものではない。
そして、化合物に係る発明について、特許法第41条第2項における「当該優先権主張の基礎とされた先の出願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲・・・又は図面・・・に記載された発明」に該当するというためには、単に先の出願の当初明細書等にその化合物の名称や構造が記載されているというだけでは足りず、先の出願の当初明細書等にその化合物が具体的なものとして開示されていることを要するというべきである。
そこで、このような観点から、本件特許発明1における「W^(2)はR^(4)を表す」場合であって「R^(4)はP^(4)-(Sp^(4)-X^(4))_(k4)-で表される基・・・を表す」ときに対応する、本件基礎出願当初明細書等に記載された発明について以下検討する。
まず、本件基礎出願当初明細書等には、式(I-1)、式(I-61)、式(I-67)で表される化合物のみが具体的に開示されていることが認められる(摘記(k3))ところ、これらの化合物は、本件特許発明1に包含される化合物であるとはいえるものの、本件特許発明1における「W^(2)はR^(4)を表す」場合であって「R^(4)はP^(4)-(Sp^(4)-X^(4))_(k4)-で表される基・・・を表す」ときに該当する化合物ではない。
また、本件基礎出願当初明細書等には、記載上の選択肢としては、例えば「W^(2)が炭素原子数1のアルキレン基であり、P^(4)がW^(2)に直接置換している一般式(I-A4)であって、一般式(I-A4)におけるQ^(4)、k4、S^(4)及びX^(4)はQ-1、1、炭素原子数1のアルキレン基及び単結合である場合」など、本件特許発明1における「W^(2)はR^(4)を表す」場合であって「R^(4)はP^(4)-(Sp^(4)-X^(4))_(k4)-で表される基・・・を表す」ときに該当するものが存在するということはできるが(摘記(k1)、(k2))、このものが具体的な化合物として本件基礎出願当初明細書等に開示されているということはできない。
そのほか、本件基礎出願当初明細書等の全体をみても、本件基礎出願当初明細書等に本件特許発明1における「W^(2)はR^(4)を表す」場合であって「R^(4)はP^(4)-(Sp^(4)-X^(4))_(k4)-で表される基・・・を表す」ときに該当する化合物が具体的に開示されていると認めるに足りる根拠はみあたらない。
したがって、本件基礎出願当初明細書等に本件特許発明1における「W^(2)はR^(4)を表す」場合であって「R^(4)はP^(4)-(Sp^(4)-X^(4))_(k4)-で表される基・・・を表す」ときに該当する化合物が開示されているとはいえない。

エ 本件特許発明1?7に特許法第41条第2項の規定が適用されるかについてのまとめ
上記ウから、本件特許発明1のうち「W^(2)はR^(4)を表す」場合であって「R^(4)はP^(4)-(Sp^(4)-X^(4))_(k4)-で表される基・・・を表す」ときに該当する化合物に係る発明は、特許法第41条第2項における「当該優先権主張の基礎とされた先の出願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲・・・又は図面・・・に記載された発明」に該当しない。
したがって、この化合物に係る発明に同法同条同項の規定は適用されない。
また、本件特許発明2?7についても同様である。

(2)刊行物及び刊行物の記載
ア 刊行物
甲第1号証:国際公開第2015/064698号

イ 刊行物の記載
(1a)
「[請求項1] 下記式(I)
[化1]

{式中、Y^(1)?Y^(9)はそれぞれ独立して、化学的な単結合、-O-、-S-、-O-C(=O)-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-O-、-NR^(1)-C(=O)-、-C(=O)-NR^(1)-、-O-C(=O)-NR^(1)-、-NR^(1)-C(=O)-O-、-NR^(1)-C(=O)-NR^(1)-、-O-NR^(1)-、又は、-NR^(1)-O-を表す。ここで、R^(1)は、水素原子又は炭素数1?6のアルキル基を表す。
G^(1)、G^(2)はそれぞれ独立して、置換基を有していてもよい炭素数1?20の二価の鎖状脂肪族基を表す。
Z^(1)、Z^(2)、Z^(3)はそれぞれ独立して、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数2?10のアルケニル基を表す。
A^(x)は、下記式(II)で表される基を表す。

(式中、Xは、-NR^(2)-、酸素原子、硫黄原子、-SO-、又は、-SO_(2)-を表す。R^(2)は、水素原子又は炭素数1?6のアルキル基を表し、任意のC-Hは窒素原子に置き換えられていてもよい。)
Dは、置換基を有していてもよい炭素数1?20のアルキレン基〔当該アルキレン基には、-O-、-S-、-O-C(=O)-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-O-、-NR^(3)-C(=O)-、-C(=O)-NR^(3)-、-NR^(3)-、又は、-C(=O)-が介在していてもよい。ただし、-O-又は-S-がそれぞれ2以上隣接して介在する場合を除く。ここで、R^(3)は、水素原子又は炭素数1?6のアルキル基を表す。〕、又は、置換基を有していてもよい炭素数3?20のシクロアルカンジイル基を表す。
A^(1)は、置換基を有していてもよい三価の芳香族基を表す。
A^(2)、A^(3)はそれぞれ独立して、置換基を有していてもよい炭素数3?30の二価の脂環式炭化水素基を表す。
A^(4)、A^(5)はそれぞれ独立して、置換基を有していてもよい炭素数4?30の二価の芳香族基を表す。
Q^(1)は、水素原子、又は、置換基を有していてもよい炭素数1?6のアルキル基を表す。m、nはそれぞれ独立して0又は1を表す。}で示される重合性化合物。
[請求項2] 前記Dが、置換基を有していてもよい炭素数1?20のアルキレン基〔当該アルキレン基には、-O-、-S-、-O-C(=O)-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-O-、又は、-C(=O)-が介在していてもよい。ただし、-O-又は-S-がそれぞれ2以上隣接して介在する場合を除く。〕である請求項1に記載の重合性化合物。
[請求項3] 前記A^(1)が、置換基を有していてもよい、三価のベンゼン環基又は三価のナフタレン環基である請求項1に記載の重合性化合物。
[請求項4] 前記Y^(1)?Y^(9)が、それぞれ独立して、化学的な単結合、-O-、-O-C(=O)-、-C(=O)-O-、又は、-O-C(=O)-O-である請求項1に記載の重合性化合物。
[請求項5] 前記Z^(1)、Z^(2)、Z^(3)が、それぞれ独立して、CH_(2)=CH-、CH_(2)=C(CH_(3))-、又は、CH_(2)=C(Cl)-である請求項1に記載の重合性化合物。
[請求項6] 前記G^(1)、G^(2)が、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい炭素数1?12の二価の脂肪族基〔該脂肪族基には、-O-、-O-C(=O)-、-C(=O)-O-又は-C(=O)-が介在していてもよい。ただし、-O-が2以上隣接して介在する場合を除く。〕である請求項1に記載の重合性化合物。
[請求項7] 前記G^(1)、G^(2)がそれぞれ独立して、炭素数1?12のアルキレン基である請求項1に記載の重合性化合物。」(請求の範囲)

(1b)
「[0153](実施例1)化合物1の合成
[0154][化20]

化合物1
[0155]
ステップ1:中間体Aの合成
[0156][化21]

[0157] 温度計を備えた4つ口反応器において、窒素気流中、2-ヒドラジノエタノール8.01g(105mmol)を、2-プロパノール30mlに溶解した。この溶液に、2-クロロベンゾチアゾール2.00g(11.8mmol)を加え、その全容を3時間還流した。反応終了後、反応液を25℃まで冷却し、水300mlに投入し、酢酸エチル500mlで抽出した。酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、硫酸ナトリウムをろ別した。ロータリーエバポレーターにて、ろ液から酢酸エチルを減圧留去して、白色固体を得た。得られた白色固体を酢酸エチルで再結晶を行い、中間体Aを0.9g得た(収率:35.8%)。
目的物の構造は^(1)H-NMRで同定した。
[0158]^(1)H-NMR(500MHz,DMSO-d_(6),TMS,δppm):7.66(dd,1H,J=1.0Hz,8.0Hz)、7.34(dd,1H,J=1.0Hz,7.5Hz)、7.20(ddd,1H,J=1.0Hz,7.5Hz,8.0Hz)、6.98(ddd,1H,J-1.0Hz,7.5Hz,7.5Hz)、5.37(s,2H)、4.86(t,1H,J=5.5Hz)、3.78(t,2H,J=6.5Hz)、3.72(dt,2H,J=5.5Hz,6.5Hz)。
[0159]ステップ2:中間体Bの合成
[0160][化22]


中間体B
[0161] 温度計を備えた3口反応器に、窒素気流中、trans-1,4-シクロヘキサンジカルボン酸 17.98g(104.42mmol)とテトラヒドロフラン(THF)180mlを加えた。そこへ、メタンスルホニルクロリド6.58g(57.43mmol)を加え、反応器を水浴に浸して反応液内温を20℃とした。次いで、トリエチルアミン(TEA)6.34g(62.65mmol)を、反応液内温を20?30℃に保持しながら、10分間かけて滴下した。滴下終了後、全容を25℃で2時間さらに攪拌した。
[0162] 得られた反応液に、4-(ジメチルアミノ)ピリジン0.64g(5.22mmol)、及び、4-(6-アクリロイルオキシ-ヘクス-1-イルオキシ)フェノール(DKSH社製)13.80g(52.21mmol)を加え、再度反応器を水浴に浸して反応液内温を15℃とした。そこへ、TEA6.34g(62.65mmol)を、反応液内温を20?30℃に保持しながら、10分間かけて滴下し、滴下終了後、全容を25℃でさらに2時間攪拌した。反応終了後、反応液に蒸留水1000mlと飽和食塩水100mlを加え、酢酸エチル400mlで2回抽出した。有機層を集め、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、硫酸ナトリウムをろ別した。ロータリーエバポレーターにてろ液から溶媒を蒸発除去した後、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(THF:トルエン=1:9(容積比、以下にて同じ。))により精製することで、中間体Bを白色固体として14.11g得た。収率65%
目的物の構造は^(1)H-NMRで同定した。
[0163]^(1)H-NMR(500MHz,DMSO-d_(6),TMS,δppm):12.12(s,1H)、6.99(d,2H,J=9.0Hz)、6.92(d,2H,J=9.0Hz)、6.32(dd,1H,J=1.5Hz,17.5Hz)、6.17(dd,1H,J=10.0Hz,17.5Hz)、5.93(dd,1H,J=1.5Hz,10.0Hz)、4.11(t,2H,J=6.5Hz)、3.94(t,2H,J=6.5Hz)、2.48-2.56(m,1H)、2.18-2.26(m,1H)、2.04-2.10(m,2H)、1.93-2.00(m,2H)、1.59-1.75(m,4H)、1.35-1.52(m,8H)。
[0164]
ステップ3:中間体Cの合成
[0165][化23]


中間体C
[0166] 温度計を備えた3口反応器に、窒素気流中、ステップ2で合成した中間体B 4.00g(9.56mmol)及びTHF60mlを入れ、均一な溶液とした。そこへ、メタンスルホニルクロリド 1.12g(9.78mmol)を加え、反応器を水浴に浸して反応液内温を20℃とした。次いで、TEA1.01g(9.99mmol)を、反応液内温を20?30℃に保持しながら、5分間かけて滴下し、滴下終了後、全容を25℃でさらに2時間攪拌した。得られた反応液に、4-(ジメチルアミノ)ピリジン 0.11g(0.87mmol)、及び、2,5-ジヒドロキシベンズアルデヒド 0.60g(4.35mmol)を加え、再度反応器を水浴に浸して反応液内温を15℃とした。そこへ、TEA1.10g(10.87mmol)を、反応液内温を20?30℃に保持しながら、5分間かけて滴下し、滴下終了後、全容を25℃で2時間さらに攪拌した。反応終了後、反応液に蒸留水400mlと飽和食塩水50mlを加え、酢酸エチル750mlで2回抽出した。有機層を集め、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、硫酸ナトリウムをろ別した。ロータリーエバポレーターにて、ろ液から溶媒を蒸発除去した後、得られた残留物をTHF100mlに溶解させた。その溶液にメタノール500mlを加えて結晶を析出させ、析出した結晶をろ取した。得られた結晶をメタノールで洗浄後、真空乾燥して、中間体Cを白色固体として2.51g得た。収率62%
目的物の構造は^(1)H-NMRで同定した。
[0167]^(1)H-NMR(500MHz,DMSO-d_(6),TMS,δppm):10.02(s,1H)、7.67(d,1H,J=3.0Hz)、7.55(dd,1H,J=3.0Hz,8.5Hz)、7.38(d,1H,J=8.5Hz)、6.99-7.04(m,4H)、6.91-6.96(m,4H)、6.32(dd,2H,J=1.5Hz,17.5Hz)、6.17(dd,2H,J=10.0Hz,17.5Hz)、5.93(dd,2H,J=1.5Hz,10.0Hz)、4.11(t,4H,J=6.5Hz)、3.95(t,4H,J=6.5Hz)、2.56-2.81(m,4H)、2.10-2.26(m,8H)、1.50-1.76(m,16H)、1.33-1.49(m,8H)
[0168]ステップ4:中間体Dの合成
[0169][化24]

中間体D
[0170] 温度計を備えた3口反応器において、窒素気流中、ステップ1で合成した中間体A 0.760g(3.64mmol)、及びステップ3で合成した中間体C 3.60g(3.46mmol)を、エタノール5ml及びTHF20mlの混合溶媒に溶解させた。この溶液に、(±)-10-カンファースルホン酸80.4mg(0.36mmol)を加え、40℃で9時間撹拌した。反応終了後、エタノール30mlを加え、析出した固体を濾取した。濾取した固体をエタノールで洗浄後、真空乾燥機で乾燥して、白色固体として中間体Dを3.80g得た(収率:97.2%)。
目的物の構造は^(1)H-NMRで同定した。
[0171]^(1)H-NMR(500MHz,CDCl_(3),TMS,δppm):7.95(s,1H)、7.743-7.73(m,1H)、7.69(dd,1H,J=0.5Hz,7.5Hz)、7.65(d,1H,J=7.5Hz)、7.35(ddd,1H,J=1.0Hz,7.0Hz,7.5Hz)、7.19(ddd,1H,J=1.0Hz,7.5Hz,7.5Hz)、7.119-7.116(m,2H)、7.00-6.96(m,4H)、6.89-6.87(m,4H)、6.40(dd,2H,J=1.5Hz,17.5Hz)、6.12(dd,2H,J=10.5Hz,17.5Hz)、5.83(dd,2H,J=1.5Hz,10.5Hz)、4.45(t,2H,J=5.5Hz)、4.18(t,4H,J=8.0Hz)、4.07-4.02(m,2H)、3.946(t,2H,J=6.5Hz)、3.943(t,2H,J=6.5Hz)、2.85-2.80(br,1H)、2.73-2.55(m,4H)、2.37-2.27(m,8H)、1.83-1.65(m,16H)、1.55-1.42(m,8H)。
[0172]ステップ5:化合物1の合成
温度計を備えた3口反応器において、窒素気流中、ステップ4で合成した中間体D 2.00g(1.78mmol)をTHF20mlに溶解し、0℃に冷却した。そこへ、アクリロイルクロリド 240mg(2.66mmol)、及びTEA358mg(3.54mmol))を加え、25℃で5時間撹拌した。反応終了後、反応液を水50mlに投入し、酢酸エチル200mlで抽出した。酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムをろ別した後、ロータリーエバポレーターにて酢酸エチルを減圧留去して、白色固体を得た。この白色固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:酢酸エチル=95:5)により精製し、白色固体として化合物1を1.16g得た(収率:55.2%)。
目的物の構造は^(1)H-NMRで同定した。
[0173]^(1)H-NMR(500MHz,CDCl_(3),TMS,δppm): 8.02(s,1H)、7.766-7.760(m,1H)、7.70(dd,1H,J=0.5Hz,8.0Hz)、7.68(d,1H,J=8.0Hz)、7.36(ddd,1H,J=1.0Hz,7.5Hz,8.0Hz)、7.19(ddd,1H,J=1.0Hz,7.5Hz,8.0Hz)、7.12(d,2H,J=1.5Hz)、7.00-6.96(m,4H)、6.89-6.87(m,4H)、6.41(dd,1H,J=1.5Hz,17.5Hz)、6.40(dd,2H,J=1.5Hz,17.5Hz)、6.13(dd,2H,J=10.5Hz,17.5Hz)、6.10(dd,1H,J=10.5Hz,17.5Hz)、5.85(dd,1H,J=1.5Hz,10.5Hz)、5.82(dd,2H,J=1.5Hz,10.5Hz)、4.59(t,2H,J=6.5Hz)、4.49(t,2H,J=6.5Hz)、4.18(t,4H,J=6.5Hz)、3.95(t,4H,J=6.5Hz)、2.88-2.79(m,1H)、2.70-2.56(m,3H)、2.38-2.26(m,8H)、1.85-1.64(m,16H)、1.56-1.42(m,8H)。」

(1c)
「[0174]
(実施例2)化合物2の合成
[0175][化25]

化合物2
[0176]ステップ1:中間体Eの合成
[0177][化26]

中間体E
[0178] 温度計を備えた4つ口反応器に、窒素気流中、2,5-ジヒドロキシベンズアルデヒド 20g(144.8mmol)、4-(6-アクリロイル-ヘクス-1-イルオキシ)安息香酸(DKSH社製)105.8g(362.0mmol)、4-(ジメチルアミノ)ピリジン 5.3g(43.4mmol)、及びN-メチルピロリドン200mlを加え、均一な溶液とした。この溶液に、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(以下、「WSC」と略記する。)83.3g(434.4mmol)を加え、全容を25℃にて12時間攪拌した。反応終了後、反応液を水1.5リットルに投入し、酢酸エチル500mlで抽出した。酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、硫酸ナトリウムをろ別した。ロータリーエバポレーターにて、ろ液から酢酸エチルを減圧留去して、淡黄色固体を得た。この淡黄色固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン:酢酸エチル=9:1)により精製し、白色固体として中間体Eを75g得た(収率:75.4%)。
目的物の構造は^(1)H-NMRで同定した。
[0179] ^(1)H-NMR(400MHz,CDCl_(3),TMS,δppm):10.20(s,1H)、8.18-8.12(m,4H)、7.78(d,1H,J=2.8Hz)、7.52(dd,1H,J=2.8Hz,8.7Hz)、7.38(d,1H,J=8.7Hz)、7.00-6.96(m,4H)、6.40(dd,2H,J=1.4Hz,17.4Hz)、6.12(dd,2H,J=10.6Hz,17.4Hz)、5.82(dd,2H,J=1.4Hz,10.6Hz)、4.18(t,4H,J=6.4Hz)、4.08-4.04(m,4H)、1.88-1.81(m,4H)、1.76-1.69(m,4H)、1.58-1.42(m,8H)
[0180]ステップ2:中間体Fの合成
[0181][化27]


中間体F
[0182] 温度計を備えた3口反応器において、窒素気流中、実施例1のステップ1で合成した中間体A 0.385g(1.84mmol)、及びステップ2で合成した中間体E 1.20g(1.75mmol)をエタノール3ml及びTHF15mlの混合溶媒に溶解させた。この溶液に、(±)-10-カンファースルホン酸40.7mg(0.17mmol)を加え、40℃で8時間撹拌した。反応終了後、エタノール20mlを加え、析出した固体を濾取した。濾取した固体をエタノールで洗浄後、真空乾燥機で乾燥して、白色固体として中間体Fを1.22g得た(収率:79.2%)。
目的物の構造は^(1)H-NMRで同定した。
[0183]^(1)H-NMR(500MHz,CDCl_(3),TMS,δppm):8.20(d,2H,J=9.0Hz)、8.18(d,2H,J=9.0Hz)、8.01(s,1H)、7.89(d,1H,J=2.5Hz)、7.62(d,1H,J=8.0Hz)、7.61(d,1H,J=8.0Hz)、7.33-7.28(m,3H)、7.15(ddd,1H,J=1.0Hz,7.5Hz,7.5Hz)、7.09(d,4H,J=9.0Hz)、6.41(dd,2H,J=1.5Hz,17.5z)、6.14(dd,2H,J=10.5Hz,17.5Hz)、5.84(dd,2H,J=1.5Hz,10.5Hz)、4.36(t,2H,J=5.5Hz)、4.194(t,2H,J=6.5Hz)、4.192(t,2H,J=6.5Hz)、4.08(t,2H,J=6.5Hz)、4.07(t,2H,J=6.5Hz)、3.90(t,2H,J=5.5Hz)、3.15(br,1H)、1.90-1.84(m,4H)、1.77-1.66(m,4H)、1.59-1.45(m,8H)
[0184]ステップ3:化合物2の合成
温度計を備えた3口反応器において、窒素気流中、ステップ2で合成した中間体F 1.20g(1.37mmol)をTHF15mlに溶解し、0℃に冷却した。そこへ、アクリロイルクロリド 247mg(2.73mmol)、及び、TEA 416mg(4.11mmol))を加え、全容を25℃で2時間撹拌した。反応終了後、反応液を水50mlに投入し、酢酸エチル200mlで抽出した。酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、硫酸ナトリウムをろ別した。ロータリーエバポレーターにてろ液から酢酸エチルを減圧留去して、白色固体を得た。この白色固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=97:3)により精製し、白色固体として化合物2を1.02g得た(収率:79.9%)。
目的物の構造は^(1)H-NMRで同定した。
[0185]^(1)H-NMR(500MHz,CDCl_(3),TMS,δppm): 8.21(d,2H,J=8.5Hz)、8.19(d,2H,J=8.5Hz)、8.07(s,1H)、7.920-7.915(m,1H)、7.64-7.62(m,2H)、7.32(ddd,1H,J=1.5Hz,7.5Hz,7.5Hz)、7.29-7.28(m,2H)、7.14(ddd,1H,J=1.5Hz,7.5Hz,7.5Hz)、7.01(d,2H,J=8.5Hz)、6.99(d,2H,J=8.5Hz)、6.42(dd,2H,J=1.5Hz,17.5Hz)、6.21(dd,1H,J=1.5Hz,17.5Hz)、6.14(dd,2H,J=10.5Hz,17.5Hz)、5.94(dd,1H,J=10.5Hz,17.5Hz)、5.83(dd,2H,J=1.5Hz,10.5Hz)、5.73(dd,1H,J=1.5Hz,10.5Hz)、4.54(t,2H,6.5Hz)、4.43(t,2H,6.5Hz)、4.20(t,4H,J=6.5Hz)、4.08(t,2H,J=6.5Hz)、4.07(t,2H,J=6.5Hz)、1.89-1.83(m,4H)、1.77-1.72(m,4H)、1.59-1.45(m,8H)」

(1d)
「[0199](実施例3)
実施例1で得た化合物1を1.0g、光重合開始剤(BASF社製、イルガキュア379EG)を30mg、及び、界面活性剤(AGCセイミケミカル社製、KH-40)の1%シクロペンタノン溶液100mgを、シクロペンタノン2.3gに溶解させた。この溶液を0.45μmの細孔径を有するディスポーサブルフィルターでろ過し、重合性組成物1を得た。
[0200](実施例4)
実施例3において、化合物1を用いる代わりに、実施例2で得られた化合物2を用いた他は、実施例3と同様にして、重合性組成物2を得た。
[0201](比較例2)
実施例3において、化合物1を用いる代わりに、比較例1で得られた化合物1rを用いた他は、実施例3と同様にして、重合性組成物1rを得た。
[0202](比較例3)
実施例3において、化合物1を用いる代わりに、化合物2rを用いた他は、実施例3と同様にして、重合性組成物2rを得た。
[0203]
〈位相差の測定と波長分散の評価1〉
(i)重合性組成物による液晶層の形成
ラビング処理されたポリイミド配向膜の付与された透明ガラス基板(商品名:配向処理ガラス基板;E.H.C.Co.,Ltd.製)に、重合性組成物1?4のそれぞれを♯4のワイヤーバーを使用して塗布した。塗膜を、下記表2に示す温度で1分間乾燥した後、表2に示す温度で1分間配向処理し、液晶層を形成した。その後、液晶層の塗布面側から空気中にて2000mJ/cm^(2)、及び、2500mJ/cm^(2)の紫外線を照射して重合させ、波長分散測定用の試料とした。
[0204](ii)位相差の測定
得られた試料につき、400nmから800nm間の位相差を、エリプソメーター(J.A.Woollam社製、M2000U型)を用いて測定した。
[0205](iii)波長分散の評価
測定した位相差を用いて以下のように算出されるα、β値から波長分散を評価した。
[0206][数1]
α=(449.9nmにおける位相差)/(548.5nmにおける位相差)
β=(650.2nmにおける位相差)/(548.5nmにおける位相差)
[0207] 重合して得られた液晶性高分子膜の膜厚(μm)、波長548.5nmにおける位相差(Re)、α、βの値を、下記表2にまとめて示す。
[0208] なお、広帯域性を示す理想的な波長分散性、即ち逆波長分散性を示す場合、αは1より小となり、βは1より大となる。フラットな波長分散を有している場合、αとβは同程度の値となる。一般的な通常分散を有している場合、αは1より大となり、βは1より小となる。即ち、αとβが同程度の値となるフラットな波長分散性、又は、αが1より小となり、βが1より大となる逆波長分散性が好ましく、αが1より小となり、βが1より大となる逆波長分散性が特に好ましい。
[0209][表2]

[0210] 実施例3、4の化合物1、2から得られた光学異方体は、理想的な逆波長分散性を有しているだけでなく、露光量によって波長分散性は変化しない。
比較例2の化合物1rからなる光学異方体は、2000mJ/cm^(2)の紫外線を照射して重合させたものは、逆波長分散性を有しているが、2500mJ/cm^(2)の紫外線を照射して重合させたものは、フラットな波長分散性を有している。すなわち、露光量によって波長分散性が変化している。
比較例3の化合物2rから得られた光学異方体は、露光量によって波長分散性は変化しないが、通常分散性である。
[0211] 実施例3、4の化合物1、2は、実用的な低い融点を有し、汎用溶媒に対する溶解性に優れ、低コストで製造可能で、広い波長域において一様の偏光変換が可能な光学フィルムを得ることができ、紫外線硬化の際の露光エネルギー量を多くしても波長分散が変化しない重合性化合物、重合性組成物及び高分子、並びに、光学異方体を提供することができる。」

(3)刊行物に記載された発明
ア 引用発明1-1
甲第1号証には、化合物1として、

という構造の化合物(以下「引用化合物1という。」)が、その合成方法とともに記載されている(摘記(1b))。
したがって、甲第1号証には、


という構造の化合物」の発明(以下「引用発明1-1」という。)が記載されているといえる。

イ 引用発明2-1
甲第1号証には、化合物2として、

という構造の化合物(以下「引用化合物2という。」)が、その合成方法とともに記載されている(摘記(1c))。
したがって、甲第1号証には、


という構造の化合物」の発明(以下「引用発明2-1」という。)が記載されているといえる。

(4)本件特許発明との対比及びそれに基づく判断
上記(1)で述べたとおり、本件特許発明1のうち「W^(2)はR^(4)を表す」場合であって「R^(4)はP^(4)-(Sp^(4)-X^(4))_(k4)-で表される基・・・を表す」ときに該当する化合物に係る発明に特許法第41条第2項の規定は適用されないし、このことは本件特許発明2?7についても同様である。
そして、以下では本件特許発明1?7のうち上記のものを対象として検討する。

ア 本件特許発明1
(ア)引用発明1-1との対比
本件特許発明1と引用発明1-1とを対比すると、引用発明1-1は、=N-N-の-N-に結合している-CH_(2)-CH_(2)-OCO-CH=CH_(2)基を有している点で、本件特許発明1と同一であるとすることができない。
すなわち、引用発明1-1の-CH_(2)-CH_(2)-OCO-CH=CH_(2)基は、本件特許の請求項1の一般式(I)におけるR^(4)に対応するものであるが、R^(4)は「P^(4)-(Sp^(4)-X^(4))_(k4)-」で、「X^(4)は(G-1)中の窒素原子又は(G-2)中の炭素原子に隣接する位置にあるものは、単結合を、その他のものは、-O-、-S-、-OCH_(2)-、-CH_(2)O-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-SCH_(2)-、-CH_(2)S-、-CF_(2)O-、-OCF_(2)-、-CF_(2)S-、-SCF_(2)-、-CH=CH-COO-、-CH=CH-OCO-、-COO-CH=CH-、-OCO-CH=CH-、-COO-CH_(2)CH_(2)-、-OCO-CH_(2)CH_(2)-、-CH_(2)CH_(2)-COO-、-CH_(2)CH_(2)-OCO-、-COO-CH_(2)-、-OCO-CH_(2)-、-CH_(2)-COO-、-CH_(2)-OCO-、-CH=CH-、-N=N-、-CH=N-N=CH-、-CF=CF-、又は-C≡C-」を表し、「繰り返し単位k4が2から10」とされている点で、本件特許発明1は、本件特許の請求項1の一般式(I)におけるR^(4)の位置に-CH_(2)-CH_(2)-OCO-CH=CH_(2)の構造を取り得ないものである。
(イ)引用発明2-1との対比
本件特許発明1と引用発明2-1とを対比すると、上記の(ア)と同様に、引用発明2-1は、、=N-N-の-N-に結合している-CH_(2)-CH_(2)-OCO-CH=CH_(2)基を有している点で、本件特許発明1と同一であるとすることができない。

イ 本件特許発明2?6
本件特許の請求項2?6は、同請求項1を直接又は間接に引用するものである。
そうしてみると、上記のアのとおり、本件特許発明1は、引用発明1-1あるいは引用発明2-1と同一であるとすることができないので、本件特許発明2?6も引用発明1-1あるいは引用発明2-1と同一であるとすることができない。

(5)取消理由1についてのまとめ
以上のとおりであるから、本件特許発明1?6は甲第1号証に記載された発明ではない。

2 取消理由2
1(1)で述べたとおり、本件特許発明1のうち「W^(2)はR^(4)を表す」場合であって「R^(4)はP^(4)-(Sp^(4)-X^(4))_(k4)-で表される基・・・を表す」ときに該当する化合物に係る発明に特許法第41条第2項の規定は適用されないし、このことは本件特許発明2?7についても同様である。

(1)本件特許発明1
上記の1(4)ア(ア)及び(イ)のとおり、引用発明1-1あるいは引用発明2-1は、=N-N-の-N-に結合している-CH_(2)-CH_(2)-OCO-CH=CH_(2)基を有している点で、本件特許発明1と同一であるとすることができない。
ここで、引用発明1-1あるいは引用発明2-1を、甲第1号証の特許請求の範囲の一般式(I)(摘記(1a))と対比すると、引用発明1-1あるいは引用発明2-1の=N-N-の-N-に結合している-CH_(2)-CH_(2)-OCO-CH=CH_(2)基中の-CH_(2)-CH_(2)-は、同一般式におけるDに対応することが理解できるところ、甲第1号証において、一般式におけるDは以下のように規定されている(摘記(1a))。
「Dは、置換基を有していてもよい炭素数1?20のアルキレン基〔当該アルキレン基には、-O-、-S-、-O-C(=O)-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-O-、-NR^(3)-C(=O)-、-C(=O)-NR^(3)-、-NR^(3)-、又は、-C(=O)-が介在していてもよい。ただし、-O-又は-S-がそれぞれ2以上隣接して介在する場合を除く。ここで、R^(3)は、水素原子又は炭素数1?6のアルキル基を表す。〕、又は、置換基を有していてもよい炭素数3?20のシクロアルカンジイル基を表す。」
一方、本件特許発明1において、「=N-N-の-N-に結合している-CH_(2)-CH_(2)-OCO-CH=CH_(2)基」は本件特許の請求項1の一般式(I)におけるR^(4)、すなわち、P^(4)-(Sp^(4)-X^(4))_(k4)-に対応し、その-CH_(2)-CH_(2)-は、同(Sp^(4)-X^(4))_(k4)に対応する。ここで、本件特許発明1では(Sp^(4)-X^(4))_(k4)は以下のように規定されている。
「Sp^(4)は炭素原子数1から20のアルキレン基を表すが、Sp^(4)が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く、X^(4)は(G-1)中の窒素原子又は(G-2)中の炭素原子に隣接する位置にあるものは、単結合を、その他のものは、-O-、-S-、-OCH_(2)-、-CH_(2)O-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-SCH_(2)-、-CH_(2)S-、-CF_(2)O-、-OCF_(2)-、-CF_(2)S-、-SCF_(2)-、-CH=CH-COO-、-CH=CH-OCO-、-COO-CH=CH-、-OCO-CH=CH-、-COO-CH_(2)CH_(2)-、-OCO-CH_(2)CH_(2)-、-CH_(2)CH_(2)-COO-、-CH_(2)CH_(2)-OCO-、-COO-CH_(2)-、-OCO-CH_(2)-、-CH_(2)-COO-、-CH_(2)-OCO-、-CH=CH-、-N=N-、-CH=N-N=CH-、-CF=CF-、又は-C≡C-を表すが、X^(4)が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く(ただし、P^(4)-(Sp^(4)-X^(4))_(k4)-には-O-O-結合を含まない。)、k4は2から10の整数」。
そうしてみると、引用発明1-1あるいは引用発明2-1に接した当業者が、引用化合物1あるいは引用化合物2の構造を変更しようとする場合に、引用発明1-1あるいは引用発明2-1が記載されている甲第1号証の特許請求の範囲の一般式(I)の記載にさかのぼり、そのDに対応する部分の-CH_(2)-CH_(2)-の構造に着目して、それを炭素数を増やしたアルキレン基として、さらにはその途中に-O-、-S-、-O-C(=O)-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-O-、-NR^(3)-C(=O)-、-C(=O)-NR^(3)-を介在させる構造とした場合には、本件特許発明1の(Sp^(4)-X^(4))_(k4)に相当する基になるとはいえる。
しかしながら、そもそも実施例として明確に選択された引用化合物1あるいは引用化合物2の構造を変化させようという積極的な動機となる記載が甲第1号証にあるものとは認めることができない。
そして、仮に何らかの構造を変化させようとする動機となるものがあったとしても、これらの化合物を甲第1号証の特許請求の範囲の一般式(I)に対応させると、これらの化合物の構造を変えうる部分が多いことを理解できるが、それら多くの可変部の中で、同一般式(I)のD部分の構造に着目して、その部分の構造を変更しようという動機となる記載が甲第1号証にあるものとすることができない。
また、当業者が、引用化合物1あるいは引用化合物2のDに対応する部分の-CH_(2)-CH_(2)-の構造に着目し、それを炭素数を増やしたアルキレン基として、さらにはその途中に-O-、-S-、-O-C(=O)-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-O-、-NR^(3)-C(=O)-、-C(=O)-NR^(3)-を介在させる構造を有する化合物を想到するとはいえない。
効果について検討すると、本件特許発明1に係る化合物を得たとしても、本件特許発明1に係る化合物は、重合性組成物に添加した際に高い保存安定性を有するもの(本件特許明細書【0005】)であるところ、そのように想到した化合物が高い保存安定性を有することは、甲第1号証の記載から予想可能なものであるとすることができない。
なお、異議申立人は、「本件明細書の表1に示された評価結果については、・・・5%の差異が、「有利な効果」と言い得るものであるかは不明である」と主張する(平成30年3月29日付け意見書3-2(2)(2-2)」)。しかしながら、そもそも甲第1号証の記載から、甲第1号証から誘導された化合物が高い保存安定性を有することを予想できるものとは認められないから、斯かる主張を採用することはできない。
そうしてみると、本件特許発明1は、引用発明1-1あるいは引用発明2-1に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

(2)本件特許発明2?6
本件特許の請求項2?6は、同請求項1を直接又は間接に引用するものである。
そうしてみると、上記の(1)のとおり、本件特許発明1は、引用発明1-1あるいは引用発明2-1に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとすることができないので、本件特許発明2?6も引用発明1-1あるいは引用発明2-1に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとすることができない。

(3)取消理由2についてのまとめ
以上のとおりであるから、本件特許発明1?6は甲第1号証に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるとすることはできない。

3 取消理由3
(1)特許請求の範囲に記載された発明が発明の詳細な説明に記載された発明か
ア π電子の総数
取消理由で、請求項2の「W^(1)及びW^(2)に含まれるπ電子の総数が4から24」いう事項は記載されていないとしたところ、本件訂正によって、当該部分は「W^(1)及びW^(2)に含まれるπ電子の総数が4から20」と訂正された。
本件特許明細書の発明の詳細な説明において、W^(1)として具体的に記載されている(W-1)?(W-20)中のそれぞれのπ電子の数、及びW^(2)、すなわちR^(4)中のP^(4)として具体的に記載されている(P-1)?(P-20)中のそれぞれのπ電子の数に着目すれば、「W^(1)及びW^(2)に含まれるπ電子の総数が4から20」ということは発明の詳細な説明に記載されているといえる。
この点に関し、異議申立人は、「別個にW^(1)及びW^(2)の選択肢が複数開示されているに過ぎず、それらを組み併せることは明記されていない」ので、「W^(1)及びW^(2)に含まれるπ電子の総数が4から24」を「W^(1)及びW^(2)に含まれるπ電子の総数が4から20」とする訂正は、「本件明細書に記載された事項の範囲内の訂正であるということはできない」と主張する(平成30年3月29日付け意見書3-1)。しかしながら、「W^(1)及びW^(2)に含まれるπ電子の総数」は、その記載ぶりから、W^(1)に含まれるπ電子の数とW^(2)に含まれるπ電子の数とを合算することによって導き出されると理解できるものであるから、斯かる主張を採用することはできない。

イ 請求項7
取消理由で、請求項7の記載は特許法第36条第6項第1号に適合するものではないとしたが、本件訂正によって請求項7は削除された。

(2)特許請求の範囲に記載された発明が発明の詳細な説明の記載又はその示唆により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか
ア 請求項1及び2
(ア)取消理由
取消理由で、以下の点を指摘した。
「請求項1及び2は、M、G等の化合物の構造を特定する各要素が多数の選択肢を有する結果、多数の化合物を包含している。
これに対し、発明の詳細な説明において重合性組成物に添加した際に結晶の析出等が起こらず、かつ、高い保存安定性を有することが示されている化合物は、式(I-1)、式(I-61)、式(I-67)、式(I-93)、式(I-105)、式(I-106)、式(I-107)、式(I-108)及び式(I-109)で表される9つの化合物(以下「実施例化合物」という。)のみである(摘記(d))。
この点、まず、上記各要素の全ての選択肢が実施例化合物によって直接裏付けられているわけではないことは明らかである(例えば、Mの選択肢のうち実施例化合物によって直接裏付けられているものはM-1のみである。)。
そして、上記各要素の選択肢のうち実施例化合物のいずれによっても直接裏付けられていないものについて検討するに、例えばMの選択肢におけるM-2など、上記(ア)aで認定した課題との関係において、実施例化合物のいずれかによって直接裏付けられている選択肢と等価であることが当業者に明らかな選択肢も一部存在するものの、そのほとんどは、例えばMの選択肢におけるM-7など、上記(ア)aで認定した課題との関係において、実施例化合物のいずれかによって直接裏付けられている選択肢と等価であることが、発明の詳細な説明の記載によって裏付けられているとはいえず、技術常識から当業者に自明であるともいえない選択肢である。
したがって、請求項1及び2は、発明の詳細な説明の記載又はその示唆により当業者が上記(ア)aで認定した課題を解決できると認識できる範囲のものであるとはいえないし、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし上記(ア)aで認定した課題を解決できると認識できる範囲のものであるともいえない。
よって、本件特許発明1及び2は、発明の詳細に説明に記載したものでない。」
(イ)検討
本件訂正によって、請求項1の一般式(I)のMの範囲は「式(M-1)から式(M-8)」から「式(M-1)から式(M-2)」に訂正された。
そうしてみると、訂正後の請求項1及び2の化合物は、発明の詳細な説明において、重合性組成物に添加した際に結晶の析出等が起こらず、かつ、高い保存安定性を有することが示されている化合物であるといえる。

イ 請求項3及び4
(ア)取消理由
取消理由で、以下の点を指摘した。
a 「発明の詳細な説明には母体液晶(X)自体の保存安定性が開示されていないから、実施例化合物を含有することに起因する、高い保存安定性を有し、かつ、フィルム状の重合物を作製した際にムラが生じにくい重合性組成物が記載されているとは、直ちにはいえない。
したがって、請求項3及び4は、発明の詳細な説明の記載又はその示唆により当業者が・・・課題を解決できると認識できる範囲のものであるとはいえないし、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし・・・課題を解決できると認識できる範囲のものであるともいえない。 」
b 「重合性組成物の特性やその重合性組成物を重合することにより得られる重合体の特性は、必ずしも重合性組成物が特定の成分を含有することのみで決せられるものではないところ、重合性組成物が請求項1又は2に記載の化合物を含有することで、請求項1又は2に記載の化合物以外の成分に関わりなく、高い保存安定性を有し、かつ、フィルム状の重合物を作製した際にムラが生じにくい重合性組成物となることの作用機序の確からしい推論などが発明の詳細な説明に記載されているとはいえず、技術常識であるともいえない。
そうすると、当業者が、母体液晶(X)75質量%に実施例化合物25質量%を添加したもの以外の場合、すなわち実施例組成物以外の場合にも、重合性組成物が実施例化合物を含有しさえすれば実施例組成物において得られた結果と同様の結果が得られると認識するとはいえない。
したがって、請求項3及び4は、発明の詳細な説明の記載又はその示唆により当業者が・・・課題を解決できると認識できる範囲のものであるとはいえないし、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし・・・課題を解決できると認識できる範囲のものであるともいえない。」
(イ)検討
aについては、本件特許明細書【0003】及び【0005】の記載によれば、母体液晶単独ではここでいう「保存安定性」が問題とならないことは明らかであるから、発明の詳細な説明に、母体液晶(X)自体の保存安定性が開示されていないことを理由として、「請求項3及び4は、発明の詳細な説明の記載又はその示唆により当業者が・・・課題を解決できると認識できる範囲のものであるとはいえない」とすることは適切でない。
bについては、本件訂正によって、請求項3に係る組成物あるいは請求項4に係る液晶組成物中の、「請求項1又は2に記載の化合物」と共に使用する化合物が特定されたが、斯かる化合物は、本件明細書で「本願発明の重合性化合物と混合して使用される他の重合性化合物」として記載されているものである。そして、請求項1又は2に記載の化合物を含有することで、高い保存安定性を有し、かつ、フィルム状の重合物を作製した際にムラが生じにくい重合性組成物を提供することを具体的に確認できる、本件特許明細書に具体的に記載されている母体液晶の化合物は、本件訂正で特定された化合物に包含されるものでもある。
そうしてみると、訂正後の請求項3及び4の組成物、液晶組成物は、一定の差は存在するとしても、発明の詳細な説明において、請求項1又は2に記載の化合物を含有することに起因する、高い保存安定性を有し、かつ、フィルム状の重合物を作製した際にムラが生じにくいことが示されている重合性組成物であるといえる。
なお、異議申立人は、「(本件訂正で特定された化合物)のすべてについて、訂正後の本件特許発明1に係る化合物を組み合わせた場合に、高い保存安定性を呈することができるとは、本件明細書の記載や実施例から理解することができない」と主張する(平成30年3月29日付け意見書3-2(3)(3-2-2)」)。しかしながら、異議申立人は、本件訂正で特定された化合物が非常に多岐にわたることを指摘するだけで、そのような化合物を使用した場合に高い保存安定性を呈することがないと認めるに足る具体的な根拠や技術常識などを示すものではないから、斯かる主張を採用することはできない。

ウ 請求項5及び6
請求項5は、請求項3又は4に記載の組成物を重合することにより得られる重合体に係るものであり、請求項6は請求項5に記載の重合体を用いた光学異方体に係るものである。そして、本件特許明細書には、請求項3又は4に係る組成物を重合させた重合体、及び斯かる重合体を用いた光学異方体が記載されている。
したがって、訂正後の請求項5の重合体、請求項6の光学異方体は、発明の詳細な説明において、請求項1又は2に記載の化合物を含有することに起因する、ムラが少ない、光学異方性を有する重合体であることが示されているといえる。

(3)取消理由3についてのまとめ
以上のとおりであるから、請求項1?6の記載は特許法第36条第6項第1号に適合するものである。

4 取消理由4
(1)請求項1の式(M-1)?式(M-8)及びその説明が請求項1の一般式(I)と整合しないことについて
本件訂正によって、請求項1の一般式(I)のMとR^(3)との関係が明確となった。

(2)請求項1の2つのW^(1)の定義の関係が明らかでないことについて
本件訂正によって、請求項1の一般式(I)でのW^(1)の定義が整理され明確になった。

(3)請求項1のW^(1)の記載及びその説明が請求項1の式(G-1)及び(G-2)と整合しないことについて
本件訂正によって、請求項1の一般式(I)のW^(1)のどの部位が式(G-1)及び(G-2)と結合するのかが明確になった。

(4)請求項1の式(G-1)及び式(G-2)の定義が不十分であることについて
本件訂正によって、請求項1の一般式(I)の式(G-1)及び式(G-2)の定義が明確になった。

(5)請求項1の一般式(I)の定義に余事記載があることについて
本件訂正によって、請求項1の一般式(I)でのL^(W)の位置づけが明確になった。

(6)請求項1の一般式(I)におけるR^(4)とGの関係と式(G-1)及び式(G-2)中のW^(2)におけるR^(4)とGの関係が整合しないことについて
本件訂正によって、請求項1の一般式(I)の式(G-1)及び式(G-2)とR^(4)との関係が明確になった。

(7)請求項4における「請求項3・・・に記載の化合物」の意味が不明であることについて
本件訂正によって、請求項4の引用関係が明確になった。

(8)まとめ
以上のとおり、請求項1?6の記載は特許法第36条第6項第2号に適合するものである。


第6 むすび
以上のとおりであるから、取消理由1?4によっては、本件特許発明1ないし6に係る特許を取り消すことができない。
また、他に本件請求項1ないし6に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
そして、請求項7は訂正により削除されたため、本件特許の請求項7に対して異議申立人がした特許異議の申立てについては、対象となる請求項が存在しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)
【化1】

(式中、A^(1)及びA^(2)は各々独立して1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキシレン基、ピリジン-2,5-ジイル基、ピリミジン-2,5-ジイル基、ナフタレン-2,6-ジイル基、ナフタレン-1,4-ジイル基、テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基又は1,3-ジオキサン-2,5-ジイル基を表すが、これらの基は無置換であるか又は1つ以上のLによって置換されても良く、A^(1)及び/又はA^(2)が複数現れる場合は各々同一であっても異なっていても良く、Lはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ペンタフルオロスルフラニル基、ニトロ基、シアノ基、イソシアノ基、アミノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、トリメチルシリル基、ジメチルシリル基、チオイソシアノ基、又は、1個の-CH_(2)-又は隣接していない2個以上の-CH_(2)-が各々独立して-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-CH=CH-COO-、-CH=CH-OCO-、-COO-CH=CH-、-OCO-CH=CH-、-CH=CH-、-CF=CF-又は-C≡C-によって置換されても良い炭素原子数1から20の直鎖状又は分岐状アルキル基を表すが、当該アルキル基中の任意の水素原子はフッ素原子に置換されていても良く、Lが複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く、Z^(1)及びZ^(2)は各々独立して-O-、-S-、-OCH_(2)-、-CH_(2)O-、-CH_(2)CH_(2)-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-OCO-NH-、-NH-COO-、-NH-CO-NH-、-NH-O-、-O-NH-、-SCH_(2)-、-CH_(2)S-、-CF_(2)O-、-OCF_(2)-、-CF_(2)S-、-SCF_(2)-、-CH=CH-COO-、-CH=CH-OCO-、-COO-CH=CH-、-OCO-CH=CH-、-COO-CH_(2)CH_(2)-、-OCO-CH_(2)CH_(2)-、-CH_(2)CH_(2)-COO-、-CH_(2)CH_(2)-OCO-、-COO-CH_(2)-、-OCO-CH_(2)-、-CH_(2)-COO-、-CH_(2)-OCO-、-CH=CH-、-N=N-、-CH=N-、-N=CH-、-CH=N-N=CH-、-CF=CF-、-C≡C-又は単結合を表すが、Z^(1)及び/又はZ^(2)が複数現れる場合は各々同一であっても異なっていても良く、
m1及びm2は各々独立して0から5の整数を表すが、m1+m2は1から5の整数を表し、Mは下記の式(M-1)から式(M-2)
【化2】

から選ばれる基を表すが、任意の位置にR^(3)との結合手を有し、水平方向の結合手がMの水平方向の結合手に対応し、上方の結合手がGとの結合手に対応し、これらの基は無置換であるか又は1つ以上のL^(M)によって置換されても良く、
L^(M)はフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ペンタフルオロスルフラニル基、ニトロ基、シアノ基、イソシアノ基、アミノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、トリメチルシリル基、ジメチルシリル基、チオイソシアノ基、又は、1個の-CH_(2)-又は隣接していない2個以上の-CH_(2)-が各々独立して-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-CH=CH-COO-、-CH=CH-OCO-、-COO-CH=CH-、-OCO-CH=CH-、-CH=CH-、-CF=CF-又は-C≡C-によって置換されても良い炭素原子数1から20の直鎖状又は分岐状アルキル基を表すが、当該アルキル基中の任意の水素原子はフッ素原子に置換されていても良く、L^(M)が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く、
Gは下記の式(G-1)又は式(G-2)のうちW^(2)を除く部位
【化3】

(式中、Yは水素原子、又は、1個の-CH_(2)-又は隣接していない2個以上の-CH_(2)-が各々独立して-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-又は-C≡C-によって置換されても良い炭素原子数1から20の直鎖状又は分岐状アルキル基を表すが、当該アルキル基中の任意の水素原子はフッ素原子に置換されても良く、
W^(1)は下記の式(W-1)から式(W-20)
【化4】

(式中、環構造には任意の位置に(G-1)中の窒素原子又は(G-2)中の炭素原子と結合手を有し、これらの基から選ばれる2つの芳香族基を単結合で連結した基を形成しても良く、任意の-CH=は各々独立して-N=に置き換えられても良く、-CH_(2)-は各々独立して-O-、-S-、-NR^(T)-(式中、R^(T)は水素原子又は炭素原子数1から20のアルキル基を表す。)、-CS-又は-CO-に置き換えられても良いが、-O-O-結合を含まない。また、これらの基は無置換又は1つ以上の置換基L^(W)によって置換されても良い。また、L^(W)はフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ペンタフルオロスルフラニル基、ニトロ基、シアノ基、イソシアノ基、アミノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、トリメチルシリル基、ジメチルシリル基、チオイソシアノ基、又は、1個の-CH_(2)-又は隣接していない2個以上の-CH_(2)-が各々独立して-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-CH=CH-COO-、-CH=CH-OCO-、-COO-CH=CH-、-OCO-CH=CH-、-CH=CH-、-CF=CF-又は-C≡C-によって置換されても良い炭素原子数1から20の直鎖状又は分岐状アルキル基を表すが、当該アルキル基中の任意の水素原子はフッ素原子に置換されていても良く、L^(W)が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良い。)から選ばれる基を表し、
W^(2)は一般式(I)におけるR^(4)を表す。)から選ばれる基を表し、
R^(1)は水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ペンタフルオロスルフラニル基、シアノ基、ニトロ基、イソシアノ基、チオイソシアノ基、又は、1個の-CH_(2)-又は隣接していない2個以上の-CH_(2)-が各々独立して-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-CH=CH-、-CF=CF-又は-C≡C-によって置換されても良い炭素原子数1から20の直鎖状又は分岐状アルキル基を表すが、当該アルキル基中の任意の水素原子はフッ素原子に置換されても良く、若しくは、R^(1)はP^(1)-(Sp^(1)-X^(1))_(k1)-で表される基(式中、P^(1)は重合性基を表し、Sp^(1)はスペーサー基を表すが、Sp^(1)が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く、X^(1)は-O-、-S-、-OCH_(2)-、-CH_(2)O-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-SCH_(2)-、-CH_(2)S-、-CF_(2)O-、-OCF_(2)-、-CF_(2)S-、-SCF_(2)-、-CH=CH-COO-、-CH=CH-OCO-、-COO-CH=CH-、-OCO-CH=CH-、-COO-CH_(2)CH_(2)-、-OCO-CH_(2)CH_(2)-、-CH_(2)CH_(2)-COO-、-CH_(2)CH_(2)-OCO-、-COO-CH_(2)-、-OCO-CH_(2)-、-CH_(2)-COO-、-CH_(2)-OCO-、-CH=CH-、-N=N-、-CH=N-N=CH-、-CF=CF-、-C≡C-又は単結合を表すが、X^(1)が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く(ただし、P^(1)-(Sp^(1)-X^(1))_(k1)-には-O-O-結合を含まない。)、k1は0から10の整数を表す。)を表し、
R^(2)は水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ペンタフルオロスルフラニル基、シアノ基、ニトロ基、イソシアノ基、チオイソシアノ基、又は、1個の-CH_(2)-又は隣接していない2個以上の-CH_(2)-が各々独立して-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-CH=CH-、-CF=CF-又は-C≡C-によって置換されても良い炭素原子数1から20の直鎖状又は分岐状アルキル基を表すが、当該アルキル基中の任意の水素原子はフッ素原子に置換されても良く、若しくは、R^(2)はP^(2)-(Sp^(2)-X^(2))_(k2)-で表される基(式中、P^(2)は重合性基を表し、Sp^(2)はスペーサー基を表すが、Sp^(2)が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く、X^(2)は-O-、-S-、-OCH_(2)-、-CH_(2)O-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-SCH_(2)-、-CH_(2)S-、-CF_(2)O-、-OCF_(2)-、-CF_(2)S-、-SCF_(2)-、-CH=CH-COO-、-CH=CH-OCO-、-COO-CH=CH-、-OCO-CH=CH-、-COO-CH_(2)CH_(2)-、-OCO-CH_(2)CH_(2)-、-CH_(2)CH_(2)-COO-、-CH_(2)CH_(2)-OCO-、-COO-CH_(2)-、-OCO-CH_(2)-、-CH_(2)-COO-、-CH_(2)-OCO-、-CH=CH-、-N=N-、-CH=N-N=CH-、-CF=CF-、-C≡C-又は単結合を表すが、X^(2)が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く(ただし、P^(2)-(Sp^(2)-X^(2))_(k2)-には-O-O-結合を含まない。)、k2は0から10の整数を表す。)を表し、
R^(3)は水素原子を表し、
R^(4)はP^(4)-(Sp^(4)-X^(4))_(k4)-で表される基(式中、P^(4)は重合性基を表し、Sp^(4)は、炭素原子数1から20のアルキレン基を表すが、Sp^(4)が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く、X^(4)は、(G-1)中の窒素原子又は(G-2)中の炭素原子に隣接する位置にあるものは、単結合を、その他のものは、-O-、-S-、-OCH_(2)-、-CH_(2)O-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-SCH_(2)-、-CH_(2)S-、-CF_(2)O-、-OCF_(2)-、-CF_(2)S-、-SCF_(2)-、-CH=CH-COO-、-CH=CH-OCO-、-COO-CH=CH-、-OCO-CH=CH-、-COO-CH_(2)CH_(2)-、-OCO-CH_(2)CH_(2)-、-CH_(2)CH_(2)-COO-、-CH_(2)CH_(2)-OCO-、-COO-CH_(2)-、-OCO-CH_(2)-、-CH_(2)-COO-、-CH_(2)-OCO-、-CH=CH-、-N=N-、-CH=N-N=CH-、-CF=CF-、又は-C≡C-を表すが、X^(4)が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く(ただし、P^(4)-(Sp^(4)-X^(4))_(k4)-には-O-O-結合を含まない。)、k4は2から10の整数を表す。)を表し、
R^(1)又はR^(2)のうち少なくとも一方はP^(1)-(Sp^(1)-X^(1))_(k1)-又はP^(2)-(Sp^(2)-X^(2))_(k2)-で表される基を表し、
存在するP^(1)、P^(2)、及びP^(4)が下記の式(P-1)から式(P-20)
【化5】

から選ばれる基を表し、
存在するSp^(1)及びSp^(2)が各々独立して、1個の-CH_(2)-又は隣接していない2個以上の-CH_(2)-が各々独立して-O-、-COO-、-OCO-、-OCO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-CH=CH-又は-C≡C-に置き換えられても良い炭素原子数1から20のアルキレン基を表す。)で表される化合物。
【請求項2】
一般式(I)において、W^(1)及びW^(2)に含まれるπ電子の総数が4から20である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の化合物と、下記一般式(II-1)
【化1】

及び/又は一般式(II-2)
【化2】

(式中、P^(21)、P^(22)及びP^(23)は各々独立して重合性基を表し、S^(21)、S^(22)及びS^(23)は各々独立して単結合又は炭素原子数1?20個のアルキレン基を表すが、1個の-CH_(2)-又は隣接していない2個以上の-CH_(2)-は-O-、-COO-、-OCO-、-OCOO-に置き換えられても良く、X^(21)、X^(22)及びX^(23)は各々独立して-O-、-S-、-OCH_(2)-、-CH_(2)O-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-SCH_(2)-、-CH_(2)S-、-CF_(2)O-、-OCF_(2)-、-CF_(2)S-、-SCF_(2)-、-CH=CH-COO-、-CH=CH-OCO-、-COO-CH=CH-、-OCO-CH=CH-、-COO-CH_(2)CH_(2)-、-OCO-CH_(2)CH_(2)-、-CH_(2)CH_(2)-COO-、-CH_(2)CH_(2)-OCO-、-COO-CH_(2)-、-OCO-CH_(2)-、-CH_(2)-COO-、-CH_(2)-OCO-、-CH=CH-、-CF=CF-、-C≡C-又は単結合を表し、Z^(23)及びZ^(24)は各々独立して-O-、-S-、-OCH_(2)-、-CH_(2)O-、-COO-、-OCO-、-CO-、-CO-S-、-S-CO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-SCH_(2)-、-CH_(2)S-、-CF_(2)O-、-OCF_(2)-、-CF_(2)S-、-SCF_(2)-、-CH_(2)CH_(2)-、-CH_(2)CF_(2)-、-CF_(2)CH_(2)-、-CF_(2)CF_(2)-、-CH=CH-COO-、-CH=CH-OCO-、-COO-CH=CH-、-OCO-CH=CH-、-COO-CH_(2)CH_(2)-、-OCO-CH_(2)CH_(2)-、-CH_(2)CH_(2)-COO-、-CH_(2)CH_(2)-OCO-、-COO-CH_(2)-、-OCO-CH_(2)-、-CH_(2)-COO-、-CH_(2)-OCO-、-CH=CH-、-CF=CF-、-C≡C-又は単結合を表し、A^(23)、A^(24)、A^(25)及びA^(26)は各々独立して、1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキシレン基、ピリジン-2,5-ジイル基、ピリミジン-2,5-ジイル基、ナフタレン-2,6-ジイル基、ナフタレン-1,4-ジイル基、テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基又は1,3-ジオキサン-2,5-ジイル基を表すが、A^(23)、A^(24)、A^(25)及びA^(26)は各々独立して無置換であるか又はアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基又はニトロ基に置換されていても良く、R^(25)は水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ペンタフルオロスルフラニル基、シアノ基、ニトロ基、イソシアノ基、チオイソシアノ基、若しくは、1個の-CH_(2)-又は隣接していない2個以上の-CH_(2)-が各々独立して-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-CH=CH-COO-、-CH=CH-OCO-、-COO-CH=CH-、-OCO-CH=CH-、-CH=CH-、-CF=CF-又は-C≡C-によって置換されても良い炭素原子数1から20の直鎖又は分岐アルキル基を表し、m23及びm24は0、1、2又は3を表すが、m23及び/又はm24が2又は3を表す場合、2個あるいは3個存在するA^(23)、A^(25)、Z^(23)及び/又はZ^(24)は同一であっても異なっていても良い。)で表される化合物
とを含有する組成物。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載の化合物と、下記一般式(II-1)
【化3】

及び/又は一般式(II-2)
【化4】

(式中、P^(21)、P^(22)及びP^(23)は各々独立して重合性基を表し、S^(21)、S^(22)及びS^(23)は各々独立して単結合又は炭素原子数1?20個のアルキレン基を表すが、1個の-CH_(2)-又は隣接していない2個以上の-CH_(2)-は-O-、-COO-、-OCO-、-OCOO-に置き換えられても良く、X^(21)、X^(22)及びX^(23)は各々独立して-O-、-S-、-OCH_(2)-、-CH_(2)O-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-SCH_(2)-、-CH_(2)S-、-CF_(2)O-、-OCF_(2)-、-CF_(2)S-、-SCF_(2)-、-CH=CH-COO-、-CH=CH-OCO-、-COO-CH=CH-、-OCO-CH=CH-、-COO-CH_(2)CH_(2)-、-OCO-CH_(2)CH_(2)-、-CH_(2)CH_(2)-COO-、-CH_(2)CH_(2)-OCO-、-COO-CH_(2)-、-OCO-CH_(2)-、-CH_(2)-COO-、-CH_(2)-OCO-、-CH=CH-、-CF=CF-、-C≡C-又は単結合を表し、Z^(23)及びZ^(24)は各々独立して-O-、-S-、-OCH_(2)-、-CH_(2)O-、-COO-、-OCO-、-CO-、-CO-S-、-S-CO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-SCH_(2)-、-CH_(2)S-、-CF_(2)O-、-OCF_(2)-、-CF_(2)S-、-SCF_(2)-、-CH_(2)CH_(2)-、-CH_(2)CF_(2)-、-CF_(2)CH_(2)-、-CF_(2)CF_(2)-、-CH=CH-COO-、-CH=CH-OCO-、-COO-CH=CH-、-OCO-CH=CH-、-COO-CH_(2)CH_(2)-、-OCO-CH_(2)CH_(2)-、-CH_(2)CH_(2)-COO-、-CH_(2)CH_(2)-OCO-、-COO-CH_(2)-、-OCO-CH_(2)-、-CH_(2)-COO-、-CH_(2)-OCO-、-CH=CH-、-CF=CF-、-C≡C-又は単結合を表し、A^(23)、A^(24)、A^(25)及びA^(26)は各々独立して、1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキシレン基、ピリジン-2,5-ジイル基、ピリミジン-2,5-ジイル基、ナフタレン-2,6-ジイル基、ナフタレン-1,4-ジイル基、テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基又は1,3-ジオキサン-2,5-ジイル基を表すが、A^(23)、A^(24)、A^(25)及びA^(26)は各々独立して無置換であるか又はアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基又はニトロ基に置換されていても良く、R^(25)は水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ペンタフルオロスルフラニル基、シアノ基、ニトロ基、イソシアノ基、チオイソシアノ基、若しくは、1個の-CH_(2)-又は隣接していない2個以上の-CH_(2)-が各々独立して-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-CH=CH-COO-、-CH=CH-OCO-、-COO-CH=CH-、-OCO-CH=CH-、-CH=CH-、-CF=CF-又は-C≡C-によって置換されても良い炭素原子数1から20の直鎖又は分岐アルキル基を表し、m23及びm24は0、1、2又は3を表すが、m23及び/又はm24が2又は3を表す場合、2個あるいは3個存在するA^(23)、A^(25)、Z^(23)及び/又はZ^(24)は同一であっても異なっていても良い。)で表される化合物
とを含有する液晶組成物。
【請求項5】
請求項3又は請求項4に記載の組成物を重合することにより得られる重合体。
【請求項6】
請求項5記載の重合体を用いた光学異方体。
【請求項7】削除
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2018-04-18 
出願番号 特願2016-560836(P2016-560836)
審決分類 P 1 651・ 113- YAA (C07C)
P 1 651・ 537- YAA (C07C)
P 1 651・ 121- YAA (C07C)
最終処分 維持  
前審関与審査官 黒川 美陶  
特許庁審判長 佐々木 秀次
特許庁審判官 守安 智
瀬良 聡機
登録日 2017-01-06 
登録番号 特許第6066252号(P6066252)
権利者 DIC株式会社
発明の名称 重合性化合物及び光学異方体  
代理人 小川 眞治  
代理人 河野 通洋  
代理人 小川 眞治  
代理人 河野 通洋  

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