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審決分類 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  C07D
管理番号 1341078
異議申立番号 異議2017-700570  
総通号数 223 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2018-07-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2017-06-07 
確定日 2018-05-10 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6039667号発明「置換されているピコリン酸類およびピリミジン-4-カルボン酸類、それらの製造方法ならびに除草剤および植物成長調節剤としてのそれらの使用」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6039667号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-10〕について訂正することを認める。 特許第6039667号の請求項1に係る特許を維持する。 特許第6039667号の請求項2?10に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 
理由 第1 手続の経緯

特許第6039667号(以下、「本件特許」という。)の請求項1?10に係る特許についての出願は、2012年7月24日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2011年7月27日(EP)欧州特許庁)を国際出願日として特許出願され、平成28年11月11日に特許権の設定登録がされ、同年12月7日にその特許公報が発行され、その後、平成29年6月7日に特許異議申立人ダウ アグロサイエンシィズ エルエルシー(以下「特許異議申立人」という。)により特許異議の申立てがされたものである。
その後の経緯は、以下の通りである。
平成29年11月22日 取消理由通知
平成30年 2月13日付け 意見書・訂正請求書(特許権者)
同年 2月16日 通知書
同年 4月11日付け 意見書(異議申立人)


第2 訂正の適否

特許権者は、特許法第120条の5第1項の規定により審判長が指定した期間内である平成30年2月13日に訂正請求書を提出し、本件特許の特許請求の範囲を訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1?10について訂正することを求めた(以下「本件訂正」という。)。

1.本件訂正の内容
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項2を削除する。

(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項3を削除する。

(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項4を削除する。

(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項5を削除する。

(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項6を削除する。

(6)訂正事項6
特許請求の範囲の請求項7を削除する。

(7)訂正事項7
特許請求の範囲の請求項8を削除する。

(8)訂正事項8
特許請求の範囲の請求項9を削除する。

(9)訂正事項9
特許請求の範囲の請求項10を削除する。

2 訂正の適否
(1)一群の請求項
訂正事項1?9に係る訂正前の請求項1?10に関し、請求項2?10は請求項1を直接又は間接に引用しているものであって、訂正事項1?9によって記載が訂正される請求項2?10に連動して訂正されるものである。したがって、訂正前の請求項1?10に対応する訂正後の請求項1?10は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。
訂正事項1?9は、当該一群の請求項である請求項1?10について訂正を請求するものであるから、特許法第120条の5第4項の規定に適合する。

(2)訂正の目的及び新規事項の追加の有無について
訂正事項1に係る訂正は、請求項2を削除するものであり、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的としており、新規事項を追加するものではない。
同様に、訂正事項2?9に斯かる訂正は、それぞれ、請求項3?10を削除するものであり、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的としており、新規事項を追加するものではない。

(3)特許請求の範囲の実質上の拡張・変更の存否について
訂正事項1?9に係る訂正は、上記のとおり、請求項を削除して特許請求の範囲を減縮するものであり、事実上特許請求の範囲を拡張するものでも変更するものでもないことは明らかである。
したがって、本件訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。

(4)訂正後の発明の独立特許要件について
請求項1?10に係る特許について特許異議の申立てがされているので、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第7項の規定については、検討を要しない。

3 まとめ
以上のとおり、訂正事項1?9は、何れも、特許法第120条の5第2項及び第4項の規定に適合するとともに、同法同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
よって、訂正後の請求項〔1-10〕に係る本件訂正を認める。


第3 本件特許発明
上記第2 3のとおり、本件訂正請求による訂正は認容されるので、特許第6039667号の請求項1?10に係る発明は、平成30年2月13日付け訂正請求書に添付された特許請求の範囲の請求項1ないし10に記載された事項により特定される次のとおりのものである。

「【請求項1】下記式(I)の化合物、該化合物のN-オキサイドまたは該化合物の塩。





[式中、
Aは、下記のA1からA20:






からなる群からの基を表し、
R^(1 )は、水素または(C_(1)-C_(4))-アルキルを表し、
R^(2) は、塩素を表し、
R^(3) は、水素を表し、
R^(4 )は、水素を表し、
R^(5)は、水素、ハロゲン、OH、NH_(2)、CN、(C_(1)-C_(3))-アルキル、(C_(1)-C_(3))-アルコキシ、(C_(1)-C_(3))-アルキルアミノまたはシクロプロピルを表し、
R^(6)は、水素、ハロゲン、OH、NH_(2)、CN、(C_(1)-C_(3))-アルキル、(C_(1)-C_(3))-アルコキシ、シクロプロピルまたはビニルを表し、
R^(7)は、水素、ハロゲン、(C_(1)-C_(3))-アルキル、(C_(1)-C_(3))-アルコキシ、(C_(1)-C_(3))-アルキルチオ、シクロプロピル、(C_(1)-C_(3))-アルキルアミノまたはフェニルを表し、
R^(8)は、水素、(C_(1)-C_(3))-アルキル、フェニルまたは(C_(1)-C_(3))-アルキルカルボニルを表し、
Xは、N、CH、CCl、CFまたはCBrを表し、
nは0、1または2を表す。]

【請求項2】
削除

【請求項3】
削除

【請求項4】
削除

【請求項5】
削除

【請求項6】
削除

【請求項7】
削除

【請求項8】
削除

【請求項9】
削除

【請求項10】
削除」

以下、請求項1に係る発明を「本件発明1」という。


第4 取消理由の概要

当審において訂正前の請求項2?10に係る特許に対して平成29年11月22日付けで通知した取消理由の概要は、
「[理由1]本件発明2?10は、特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載したものであるとはいえないから、特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第6項第1号に適合するものではない。
よって、本件発明2?10についての特許は、特許法第36条第6項に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号の規定により取り消されるべきものである。」
というものである。


第5 当合議体の判断
1 取消理由
第2及び第3に記載のとおり、訂正前の請求項2?10は削除された。
そうしてみると、訂正前の請求項2?10に対して発出されている取消理由1が解消していることは明らかである。

2 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
(1)特許異議申立人は、
ア 訂正前の請求項1?10に係る発明は甲第1号証(特表2005-505523号公報)に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、また、甲第1号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、請求項1?10に係る特許は特許法第29条の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである、
イ 訂正前の請求項2?10に係る発明に関し、本件特許の明細書の発明の詳細な説明の記載は特許法第36条第4項1号に適合するものではなく、また、訂正前の請求項2?10の記載は、特許法第36条第6項第1号に適合するものではないから、請求項2?10に係る特許は特許法第36条の規定に違反してされたものであり、同法第113条第4号に該当し、取り消されるべきものである、
旨主張している

(2)しかしながら、
ア 甲第1号証には、本件特許の請求項1の一般式(I)で示される化合物は具体的に記載されていないので、本件発明1は甲第1号証に記載された発明ではない。
また、甲第1号証の特許請求の範囲の請求項1には、


という一般式Iで示される化合物が記載されていて、そのWは、本件特許の請求項1の一般式(I)の-NR^(3)R^(4)に、Xは、Xが結合する環上の炭素原子と共に、同Xに、Yは同Aに、Zは同R^(2)にそれぞれ対応するものである。ここで、甲第1号証の特許請求の範囲の請求項1の一般式IのW、X、Y、Zは多くの選択肢を有していて、それぞれの選択肢の中には、本件発明1で特定されている置換基(A:A1からA20、R^(2):塩素、R^(3):水素、R^(4):水素、X:CH、CCl、CFまたはCBr)も含みうるものではあるが、甲第1号証に、W、X、Y、Zにおいてこれらの特定の官能基を選択し、かつそれらを同時に使用する積極的な理由が示されているものとは認められないから、効果について検討するまでもなく、本件発明1は、甲第1号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。また、訂正前の請求項2?10は、本件訂正により削除されている。
イ 訂正前の請求項2?10は、本件訂正により削除されている。

(3)したがって、特許異議申立人の上記主張は理由がない。


第6 むすび
以上のとおりであるから、取消理由1によっては、本件発明1に係る特許を取り消すことができない。
また、他に本件発明1に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
そして、請求項2?10は訂正により削除されたため、本件特許の請求項2?10に対して異議申立人がした特許異議の申立てについては、対象となる請求項が存在しない。
よって、結論のとおり決定する
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I)の化合物、該化合物のN-オキサイドまたは該化合物の塩。
【化1】

[式中、
Aは、下記のA1からA20:
【化2】

からなる群からの基を表し、
R^(1)は、水素または(C_(1)-C_(4))-アルキルを表し、
R^(2)は、塩素を表し、
R^(3)は、水素を表し、
R^(4)は、水素を表し、
R^(5)は、水素、ハロゲン、OH、NH_(2)、CN、(C_(1)-C_(3))-アルキル、(C_(1)-C_(3))-アルコキシ、(C_(1)-C_(3))-アルキルアミノまたはシクロプロピルを表し、
R^(6)は、水素、ハロゲン、OH、NH_(2)、CN、(C_(1)-C_(3))-アルキル、(C_(1)-C_(3))-アルコキシ、シクロプロピルまたはビニルを表し、
R^(7)は、水素、ハロゲン、(C_(1)-C_(3))-アルキル、(C_(1)-C_(3))-アルコキシ、(C_(1)-C_(3))-アルキルチオ、シクロプロピル、(C_(1)-C_(3))-アルキルアミノまたはフェニルを表し、
R^(8)は、水素、(C_(1)-C_(3))-アルキル、フェニルまたは(C_(1)-C_(3))-アルキルカルボニルを表し、
Xは、N、CH、CCl、CFまたはCBrを表し、
nは0、1または2を表す。]
【請求項2】
(削除)
【請求項3】
(削除)
【請求項4】
(削除)
【請求項5】
(削除)
【請求項6】
(削除)
【請求項7】
(削除)
【請求項8】
(削除)
【請求項9】
(削除)
【請求項10】
(削除)
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2018-04-25 
出願番号 特願2014-522069(P2014-522069)
審決分類 P 1 651・ 537- YAA (C07D)
最終処分 維持  
前審関与審査官 三上 晶子松本 淳  
特許庁審判長 佐藤 健史
特許庁審判官 佐々木 秀次
守安 智
登録日 2016-11-11 
登録番号 特許第6039667号(P6039667)
権利者 バイエル・インテレクチュアル・プロパティ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
発明の名称 置換されているピコリン酸類およびピリミジン-4-カルボン酸類、それらの製造方法ならびに除草剤および植物成長調節剤としてのそれらの使用  
代理人 川嵜 洋祐  
代理人 城山 康文  
代理人 川嵜 洋祐  
代理人 小野 誠  
代理人 坪倉 道明  
代理人 重森 一輝  
代理人 岩瀬 吉和  
代理人 坪倉 道明  
代理人 小野 誠  
代理人 岩瀬 吉和  
代理人 金山 賢教  
代理人 吉光 真紀  
代理人 小林 浩  
代理人 櫻田 芳恵  
代理人 五味渕 琢也  
代理人 重森 一輝  
代理人 安藤 健司  
代理人 安藤 健司  
代理人 金山 賢教  
代理人 城山 康文  
代理人 五味渕 琢也  
代理人 櫻田 芳恵  

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