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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  B65D
管理番号 1341105
異議申立番号 異議2017-701139  
総通号数 223 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2018-07-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2017-11-30 
確定日 2018-06-05 
異議申立件数
事件の表示 特許第6185685号発明「梱包箱」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6185685号の請求項1?5に係る特許を維持する。 
理由 第1.手続の経緯
特許第6185685号(以下「本件特許」という。)の請求項1?5に係る特許についての出願は、平成29年4月17日に特許出願され、平成29年8月4日にその特許権の設定登録がされ、その後、その特許に対し、平成29年11月30日に特許異議申立人安藤慶治(以下「申立人」という。)により特許異議の申立てがされたものである。

第2.本件特許発明
本件特許の請求項1?5に係る発明(以下「本件発明1?5」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1?5に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。

【請求項1】
筒状の周壁と、
前記周壁に連接されたフラップと、
を備える梱包箱であって、
前記周壁と前記フラップとの接続部における裏面に設けられ、前記接続部の長手方向と平行に延びる溝状の第1罫線と、
前記接続部における表面に設けられ、前記接続部の長手方向と平行に延びる溝状の第2罫線及び第3罫線と、
前記接続部における裏面に設けられ、前記接続部の長手方向と平行に延びる、周囲よりも陥没した陥没部と、
を備え、
前記第1罫線は、前記第2罫線よりも、前記フラップにおける前記周壁とは反対の端部側に位置し、
前記第3罫線は、前記第1罫線よりも、さらに前記端部側に位置し、
前記陥没部は、前記第3罫線よりも、さらに前記端部側に位置し、
前記陥没部の幅は、20?100mmである梱包箱。

【請求項2】
請求項1に記載の梱包箱であって、
前記周壁は、綾線を介して接続された4つの側面から構成され、
前記4つの側面に、それぞれ、前記フラップが連接されている梱包箱。

【請求項3】
請求項1又は2に記載の梱包箱であって、
前記陥没部は、前記フラップにおける一方の端から反対の端まで連続して形成されている梱包箱。

【請求項4】
請求項1?3のいずれか1項に記載の梱包箱であって、
前記フラップは前記梱包箱の天板を構成する梱包箱。

【請求項5】
請求項1?4のいずれか1項に記載の梱包箱であって、
前記周壁及び前記フラップは段ボールから成る梱包箱。

第3.申立理由の概要
申立人は、本件発明1?5は、本件特許の出願前に頒布された下記刊行物1に記載された発明、及び本件特許の出願前に頒布された下記刊行物2?5の記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明1?5に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであり、同法113条第2号の規定に該当し、取り消されるべきものである旨主張する。

[刊行物]
刊行物1:特開2005-145563号公報(甲第1号証)
刊行物2:特開2002-234083号公報(甲第2号証)
刊行物3:特開平5-193026号公報(甲第3号証)
刊行物4:「段ボールハンドブック」,全国段ボール工業組合連合会,2012年3月10日,p10-14(甲第4号証)
刊行物5:「段ボール手帳」,日本段ボール工業会,1999年4月1日,p68-69(甲第5号証)

第4.申立理由についての判断
1.刊行物の記載
(1)刊行物1の記載事項、及び引用発明
ア 刊行物1の記載事項
(ア)「【0012】
本発明によれば、複数個の液体バッグを収納し複数個の液体バッグを収納し運搬するための箱であって、ダンボール製の天板、底板、前側板、後側板、左側板及び右側板を含み前側板、後側板、左側板及び右側板はそれぞれ天板を形成するための上フラップと結合され、天板は、それぞれ左側板及び右側板の上方谷線に沿って折り曲げた第1の対の上フラップ上に、それぞれ前側板及び後側板の上方谷線に沿って折り曲げた第2の対の上フラップを重ね、第2の対の上フラップの互いに平行の端縁を接着テープにより結合し封緘して形成され、各側板の上方谷線はほぼ同一平面状に配置され、前記各上フラップは上方谷線及び上方谷線に垂直の2つの端縁に沿って所定幅の押しつぶし部を含むことを特徴とする箱が提供される。」なお、刊行物1の他の記載を参酌すると、「押しつぶし部」は「押し潰し部」の明らかな誤記であると認める。

(イ)「【0031】
上フラップ181の押し潰し部1812と上フラップ241の押し潰し部2413は、重要な押し潰し部である。即ち、上フラップ241を折り曲げその外側へ上フラップ181を折り曲げたときに干渉する部分であり、これらが競り合って外側の上フラップ181を押し広げる作用が生じる。それ故、これらの押し潰し部1812、2413の厚みを薄くすることにより競り合う度合い、即ち外側の上フラップを押し広げる作用を和らげることができる。押し潰し部1812の横長さLは、上フラップ241の縦寸法H以上(L≧H)であることが必要である。押し潰し部1814と2211も同様の関係にある。更に上フラップ161の押し潰し部に関係し同様の状況がある。」

(ウ)「【0039】
図6は、図5の押し潰し部1811の線6-6に沿う断面図であり、1枚のダブルフルート構造の段ボール紙からなる箱素材81の押し潰し部1811の厚さt及びuを拡大表示したものである。図6に示すように、押し潰し部1811は、上方谷線185に垂直の端縁に沿う幅Mを有し、図6に概略的に示すように、その一端においてダブルフルート構造の段ボール紙の通常部分の厚さtを備え、他端の厚さがuとされる。uは、tの40%ないし90%である。押し潰し部1811の幅Mは、例えば50mmである。上フラップ181は、上方谷線185に沿う押し潰し部1812、1814の幅B(図5)は、約50mmである。上方谷線245に沿う押し潰し部2412の幅C(図5)は、約30mmである。」

引用発明の認定
上記記載事項(ア)によれば、刊行物1には、「複数個の液体バッグを収納し運搬するための箱であって、前側板、後側板、左側板及び右側板を含み前側板、後側板、左側板及び右側板はそれぞれ天板を形成するための上フラップと結合され、上フラップは、前側板、後側板、左側板及び右側板の上方谷線に沿って折り曲げられるとともに、各上フラップは上方谷線に沿って所定幅の押し潰し部を含む」ものが記載されている。(なお、刊行物1の他の記載を参酌すると、「押しつぶし部」は「押し潰し部」の明らかな誤記であると認める。)
また、記載事項(イ)、(ウ)から、この押し潰し部は、その厚みを薄くすることにより、複数の上フラップを折り曲げたときに互いに干渉する部分の競り合う度合いを和らげるものであり、約30mm、約50mmといった幅を採り得るものである。
これらの事項を、本件発明1に照らして整理すると、刊行物1には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。

「前側板、後側板、左側板及び右側板と、
前側板、後側板、左側板及び右側板のそれぞれに結合された上フラップと、
を備える液体バッグを収納し運搬するための箱であって、
前側板、後側板、左側板及び右側板に設けられ、それに沿って上フラップを折り曲げるための上方谷線と、
上方谷線に沿って上フラップに設けられた押し潰し部と、
を備え、
押し潰し部の幅は、約30mmまたは約50mmである、収納し運搬するための箱。」

(2)刊行物2の記載事項
ア 「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、段ボールシートの製造過程で段ボールシートの表面に罫線を加工する、段ボールシート罫入れ装置及び罫入れ装置用罫線ロールに関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、段ボールシートを製造するコルゲータにおいて、コルゲータラインで連続的に製造された幅広の段ボールシートは、スリッタスコアラに送られて、スリッタで流れ方向に所定の幅の幅狭ウェブ(通常は複数のウェブ)に断裁され、スコアラ(罫入れ装置)で段ボールシートを折り曲げ易くするための罫線加工(又は罫入れともいう)が施される。」

イ 「【0014】また、段ボールシート8の巾方向に設けられている複数組の上ヘッド61及び下ヘッド62の設定は、各々独立して同時に行なわれるようになっており、所定の間隔を保って複数の罫線加工を同時に行なうことができる。また、上,下側罫線ロール32a,32bの段ボールシート8に接する先端部分は、上側罫線ロール32aは凸に下側罫線ロール32bは凹になっている。」

ウ 「【0031】
【発明の実施の形態】以下、図面により、本発明の一実施形態にかかる段ボールシートの罫入れ装置について説明すると、図1はその要部構成を示す模式的な正面図、図2はその要部構成を示す模式的な断面図である。図1及び図2において、符号8は段ボールシートであり、符号11,12はいずれもこの段ボールシート8に罫入れを行なうための第1,第2罫線ロールである。まず、第1罫線ロール11について説明すると、この第1罫線ロール11は通常の罫線加工に用いられる普通罫線ロールであって、段ボールシート8の上方に配設された上側普通罫線ロール(可動ロール)1と、段ボールシート8の下方に配設された下側普通罫線ロール(常接ロール)2とを備えて構成されている。ここで、上側普通罫線ロール1及び下側普通罫線ロール2は、頻繁に加工が行なわれる標準的な罫線に対応した形状の凸部及び凹部を有している。」

エ 「【0044】普通罫線の罫入れを行なう場合は、普通罫線ロール11の上下の罫線ロール1,2が所定の位置となるように、上下の各ヘッドの巾方向位置を調整する。そして、特殊罫線ロール12の上側のロール3を上方に駆動して段ボールシート8から離隔させるとともに、上側普通罫線ロール1を下降させて、適度な押圧力で段ボールシート8に当接させる。
【0045】そして、この状態で段ボールシート8を走行させるとともに、図示しないモータを作動させて2つの下側罫線ロール2,4を段ボールシート8と同等の周速度で駆動する。これにより、段ボールシート8に、上側及び下側普通罫線ロール1,2の凹凸形状に応じた罫線が加工される。そして、このような罫線加工時に、2つの下側罫線ロール2,4及び各サポートロール5?7が全て段ボールシート8に当接することにより、このときの罫線加工に必要のない下側特殊罫線ロール4による段ボールシート8への傷,潰れ(凹み)等が低減されるのである。」

(3)刊行物3の記載事項
ア 「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は段ボールコルゲートマシンに設備するスリッタスコアラに関するものである。」

イ 「【0003】次に従来のスリッタスコアラの構成、機能について説明すると、図3及び図4の例は、シートパスラインの上下において凸型罫線ロール2と凹型罫線ロール3を配設した型式のもので、罫線入れに当たって上下罫線ロール2,3をロール軸6a,6bの軸方向同一位相(垂直線上)位置に移動設定する必要がある。これはつまり上下罫線ロール2,3の軸方向位相がズレた場合、形成する罫線上片側の挟持力が強くなり段ボールシートのライナ部を破断(罫割れ)させる虞れがあるからである。しかし本形成のものは、上下罫線ロール2,3の位相が正確にセットされた場合、両ロール2,3の挟持回転により図4に示す如く折り目が形成される。このため表曲げ、裏曲げ等任意の方向へ折り曲げる事ができる。次に図5及び図6の例は、前記例と同様の上側凸型罫線ロール2に対し、下側罫線ロール3を短尺のストレートロールの外周面に弾性体11を捲着してなるものとして、位置精度の簡易化を図った型式のものであり、両ロール2,3の挟持回転によって製品シート8a,8bとなるウエブ1には図6に示す如く折り目が形成されて、表曲げ一方向だけの折り曲げを可能としたものである。」

(4)刊行物4の記載事項
ア 「シングルフェザー」の記載及び各図には、段成形された中しん原紙と裏ライナを接着させる方法が記載されている。

イ 「グルーマシン」の図には、表ライナを下面側、シングルフェザーから送られてきた片面段ボールを上面側として、両者を熱盤へ搬送する点が記載されている。

ウ 「スリッタースコアラ」の図には、搬送される貼り合わされた段ボールに凹凸のロールで折り目を付ける際に、上面側ロールに凸のものを、下面側ロールに凹のものを用いる点が記載されている。

(5)刊行物5の記載事項
ア 「a、コルゲータ(図3-11)」の下段の図には、段ボールの製造において、裏ライナが上側、表ライナが下側となってスリッタースコアラを通過することが記載されている。

2.対比・判断
(1)対比
本件発明1と引用発明とを対比する。
引用発明の「前側板、後側板、左側板及び右側板」は、その構造からみて、本件発明1の「筒状の周壁」に相当する。以下同様に、「前側板、後側板、左側板及び右側板のそれぞれに結合された上フラップ」は「周壁に連接されたフラップ」に、「液体バッグを収納し運搬するための箱」は「梱包箱」に、それぞれ相当する。
また、引用発明の「前側板、後側板、左側板及び右側板に設けられ、それに沿って上フラップを折り曲げるための上方谷線」と、本件発明1の「第1罫線、第2罫線及び第3罫線」とは、フラップを周壁に対して折り曲げる箇所となり得るものである限りにおいて一致する。
さらに、引用発明の「押し潰し部」と、本件発明1の「周囲よりも陥没した陥没部」とは、約30mmまたは約50mmという幅でフラップの特定箇所の厚みを他よりも薄くする部分である限りにおいて一致する。

そうすると、本件発明1と引用発明との一致点、相違点は以下のとおりである。
<一致点>
「筒状の周壁と、
前記周壁に連接されたフラップと、
を備える梱包箱であって、
フラップを周壁に対して折り曲げる箇所となり得るものと、
フラップの特定箇所の厚みを他よりも薄くする部分と、
を備え、
前記部分の幅は、30mmまたは50mmである梱包箱。」

<相違点>
本件発明1のフラップを周壁に対して折り曲げる箇所となり得るものと、フラップの特定箇所の厚みを他よりも薄くする部分は、
「周壁とフラップとの接続部における裏面に設けられ、接続部の長手方向と平行に延びる溝状の第1罫線と、
接続部における表面に設けられ、接続部の長手方向と平行に延びる溝状の第2罫線及び第3罫線と、
接続部における裏面に設けられ、接続部の長手方向と平行に延びる、周囲よりも陥没した陥没部と、
を備え、
第1罫線は、第2罫線よりも、フラップにおける周壁とは反対の端部側に位置し、
第3罫線は、第1罫線よりも、さらに端部側に位置し、
陥没部は、第3罫線よりも、さらに端部側に位置」するものであるのに対して、引用発明の「フラップを周壁に対して折り曲げる箇所となり得るもの」が具体的にどのようなものであるかは特定されておらず、加えて、「フラップを周壁に対して折り曲げる箇所となり得るもの」が具体的に特定されていないため、「フラップを周壁に対して折り曲げる箇所となり得るもの」と「フラップの特定箇所の厚みを他よりも薄くする部分」との位置関係も具体的に特定されていない点。

(2)判断
そこで、相違点について検討する。
引用発明の「上方谷線」を、
「周壁とフラップとの接続部における裏面に設けられ、接続部の長手方向と平行に延びる溝状の第1罫線と、
接続部における表面に設けられ、接続部の長手方向と平行に延びる溝状の第2罫線及び第3罫線と、
接続部における裏面に設けられ、接続部の長手方向と平行に延びる、周囲よりも陥没した陥没部と、
を備え、
第1罫線は、第2罫線よりも、フラップにおける周壁とは反対の端部側に位置し、
第3罫線は、第1罫線よりも、さらに端部側に位置」するものとするべき動機は、刊行物1に記載されていないし、そのようなことが内在するともいえない。また、刊行物2?5にもそのような動機は記載されていない。
仮に、引用発明の「上方谷線」を、
「周壁とフラップとの接続部における裏面に設けられ、接続部の長手方向と平行に延びる溝状の第1罫線と、
接続部における表面に設けられ、接続部の長手方向と平行に延びる溝状の第2罫線及び第3罫線と、を備える」ものとできたとしても、さらに、
「接続部における裏面に設けられ、接続部の長手方向と平行に延びる、周囲よりも陥没した陥没部と、
を備え、
第1罫線は、第2罫線よりも、フラップにおける周壁とは反対の端部側に位置し、
第3罫線は、第1罫線よりも、さらに端部側に位置し、
陥没部は、第3罫線よりも、さらに端部側に位置」するべき技術常識や、周知事項も見出せないことから、引用発明における「上方谷線」と「押し潰し部」との配置等を本件発明の「第1罫線?第3罫線」と「陥没部」のように調整することは、当業者が適宜設定しうる設計的事項であるとはいえない。
また、引用発明の「押し潰し部」は、その厚みを薄くすることにより、複数の上フラップを折り曲げた時の上フラップ同士で干渉する部分の競り合う度合いを和らげるものであり、上方谷線に沿うように配置されるものであることから(4.刊行物の記載 (1)刊行物1の記載事項、及び引用発明 イ 引用発明 を参照。)、引用発明の「押し潰し部」を本件発明1の「陥没部」のような配置とすることに対しては、むしろ阻害要因が存在するといえる。
そして、本件発明は、上記相違点に係る事項を発明特定事項とすることにより、第1罫線?第3罫線と陥没部との配置、陥没部の幅が特定され、それらが有機的に結び付くことで、フラップを外側に折り曲げるときに、外折り力を低減したり、フラップを内側に折り曲げるときに、意図しない場所で折れてしまうことを抑制したり、フラップを内側に折り曲げた状態で包装箱を縦方向に積み重ねたときの積圧強度を高めるといった新たな効果を同時に奏するものである。

なお、申立人は、上記相違点に関して、特許異議申立書において、刊行物2?5の記載事項より「最も汎用的な形式の段ボール箱のフラップの接続部の罫線が、フラップの接続部における裏面に設けられた溝状の第1罫線と、フラップの接続部における表面に形成される溝状の第2罫線及び第3罫線とからなり、第1罫線は、第2罫線よりも一方側に位置し、第3罫線は、第1罫線よりも一方側に位置すること」は従来周知であると主張する。また、「甲1発明のフラップの接続部の罫線」として、前記従来周知の第1罫線、第2罫線及び第3罫線とを採用することは、当業者ならば容易に想到し得たものであると主張する。さらに、前記第1罫線、第2罫線及び第3罫線を採用する際に、「甲1発明の陥没部」の配置を調整することは、当業者が適宜設定しうる設計的事項であると主張する。
しかし、凸型罫線ロールと凹型罫線ロールを用いることが従来周知の事項であり、これらのロールにより形成された罫線が、「段ボールの上面に形成される溝状の第1罫線と、コルゲートマシンにおける段ボールの下面に形成される溝状の第2罫線及び第3罫線とを備え、第1罫線は、第2罫線よりも一方側に位置し、第3罫線は、第1罫線よりも一方側に位置する」ものであることも従来周知の事項であったとしても、これらの事項を刊行物1に記載された発明に適用し、さらに、刊行物1の「押し潰し部」の配置を調整する動機が示されておらず、これらによる効果に関する検討もなされていないことから、これらの主張を採用することはできない。

してみれば、本件発明1は、刊行物1に記載された発明、及び刊行物2?5の記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえないから、特許法第29条第2項の規定に違反するものではない。
そして、本件発明2?5は、本件発明1の発明特定事項をすべて備えるものであるから、同様に特許法第29条第2項の規定に違反するものではない。

(3)まとめ
したがって、本件発明1?5は、同法第29条第2項の規定に違反するものではないから、本件発明1?5に係る特許は、同法第113条第2号に該当しない。

第5.むすび
以上のとおりであるから、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、本件発明1?5に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明1?5に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2018-05-24 
出願番号 特願2017-81379(P2017-81379)
審決分類 P 1 651・ 121- Y (B65D)
最終処分 維持  
前審関与審査官 新田 亮二  
特許庁審判長 千壽 哲郎
特許庁審判官 武井 健浩
渡邊 豊英
登録日 2017-08-04 
登録番号 特許第6185685号(P6185685)
権利者 ダイナパック株式会社
発明の名称 梱包箱  
代理人 名古屋国際特許業務法人  

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