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審決分類 審判 訂正 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 訂正する A61F
管理番号 1341336
審判番号 訂正2018-390035  
総通号数 224 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-08-31 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2018-02-22 
確定日 2018-06-14 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6258294号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第6258294号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-17〕について訂正することを認める。 
理由 第1 手続の経緯
本件特許第6258294号(以下「本件特許」という。)は、平成25年4月15日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2012年4月13日 欧州特許庁)を国際出願日とする出願であって、平成29年12月15日に特許権の設定の登録がなされ、平成30年2月22日に本件訂正審判の請求がなされた。

第2 審判請求の趣旨
本件審判請求の趣旨は、本件特許の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを認める、との審決を求めるものである。

第3 訂正の内容
本件特許の訂正の内容は、次のとおりである。

訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に
「該不織繊維質多層支持体(23)が、約40?約60mmの長さに切断されており」とあるのを、
「該不織繊維質多層支持体(23)の繊維が、約40?約60mmの長さに切断されており」に訂正する(下線部は訂正箇所を示す。)。
(請求項1を直接または間接的に引用する請求項2?17についても同様に訂正する。)

第4 当審の判断
訂正事項1について、訂正の可否を検討する。
1 訂正の目的について
訂正前の請求項1の「該不織繊維質多層支持体(23)が、約40?約60mmの長さに切断されており」という記載について、「長さ」とは「該不織繊維質多層支持体(23)」のどの部分の長さをいうのかが不明瞭である。すなわち、「該不織繊維質多層支持体(23)」は、当該請求項1の記載からして、「吸収性物品」の一部を構成し、「頂部層、無孔質中間層、及び底部層」を備えたものであって、常識的にみて、一定程度の縦及び横の長さを有するものとはいえるが、「該不織繊維質多層支持体(23)」自体の形状、構造については何ら特定されていない。そうすると、当該請求項1の記載の「約40?約60mmの長さ」が、「該不織繊維質多層支持体(23)」の形状、構造のいかなる部分の長さを特定した記載であるかは明らかでなく、不明瞭であった。
そして、訂正事項1は、訂正前の「約40?約60mmの長さ」が、「該不織繊維質多層支持体(23)」自体の形状、構造に対するものではなく、「該不織繊維質多層支持体(23)」を構成する「繊維」についてのものであることを明らかにするものであるから、訂正事項1は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。
したがって、訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書き第3号に掲げる事項を目的とするものである。

2 訂正が本件特許明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件特許明細書」という。)に記載した事項の範囲内のものであるか否かについて
本件特許明細書の発明の詳細な説明の【0061】には、「不織支持体(23)を製造するのに好適な市販の繊維の例としては、Acryl Amicor 3.0n;A
sota L10D;Eastlon SN-3450CMP1 4.0dn、Fibervisions ES-C Cure 2.2dt;Fibervisions ES-DELTA REPEAT II 5.7dt 40mm;Grisuten 22 3.3dt 60mm;Huvis LMF U16 6dn 51mm;Huvis LMF V16 4dn 51mm;Huvis OEPO1 N215 2.0dn;Ingeo PLA SLN2660E2 6.0dn;Invista 295 6.0dn;Meraklon PPブレンド PH/HW 4.4dt;PES Greenfiber 6.7dt;Tesil 84M 6.7dt;Trevira 200 6.0dt;Viscocel 3.3 dt 40mm;Wellman H1295 7dt;Wellman T0745 17dt 60mm;Wellman H7112 12dt;Wellman H8015 7dt 60mmがある。」と記載があり、「不織支持体(23)」に用いられる繊維の長さが、「40mm」、「51mm」、「60mm」であることが記載されている。そして、これらの長さの繊維を用いることができるのであれば、その間の長さのものも使用できるであろうことは当業者にとって明らかである。
したがって、訂正事項1は、本件特許明細書に記載した事項、もしくは、記載した事項から自明の事項であり、新たな技術的事項を導入するものではないから、本件特許明細書に記載した事項の範囲内においてするものであり、特許法第126条第5項の規定に適合する。

3 訂正が実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるか否かについて
訂正事項1は、構成要件の削除、請求項の追加、実施例の追加ではなく、また、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第126条第6項の規定に適合する。

第4 むすび
以上のとおりであるから、本件訂正審判の請求に係る訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第5項及び同第6項の規定に適合するものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
永久的な液体保持能力をもつ吸収性コア(5)、及び一時的な液体保持能力を持つ捕捉(14)及び分散(16)層を含む少なくとも一つの一体吸収性構造体を含む吸収性物品であって、45?850μmのサイズ分布を有する超吸収性粒子(21)が浸透するのに適した空隙容積をもつ少なくとも一つの不織繊維質多層支持体(23)を含み、該不織繊維質多層支持体(23)の繊維が、約40?約60mmの長さに切断されており、該不織繊維質多層支持体(23)が、頂部層、無孔質中間層、及び底部層を含み、該超吸収性粒子(21)が、該吸収性コア(5)または捕捉(14)及び分散(16)層の深さ方向又はz-方向に沿ったそれら粒子のサイズ分布勾配に従って該不織繊維質多層支持体(23)内に分散されている吸収性物品であり、該一体吸収性構造体が4重量%未満の毛羽しか含まず、かつより小さな該超吸収性粒子(21)が該吸収性物品の身体側に配置され、より大きな該超吸収性粒子(21)が該吸収性物品の反対側に配置されることを特徴とする吸収性物品。
【請求項2】
請求項1に記載の吸収性物品であって、該超吸収性粒子(21)が浸透した該不織繊維質多層支持体(23)が、該吸収性コア(5)及び/または該捕捉(14)及び分散(16)層の一部である吸収性物品。
【請求項3】
請求項1または2に記載の吸収性物品であって、該吸収性構造体が毛羽を含まない吸収性物品。
【請求項4】
請求項1?3のいずれかに記載の吸収性物品であって、該不織繊維質多層支持体(23)が約0.1?20000cm^(3)/m^(2)支持体(23)表面の空隙容積を有する吸収性物品。
【請求項5】
請求項1?4のいずれかに記載の吸収性物品であって、該不織繊維質多層支持体(23)が、
頂部捕捉(14)及び分散(16)層;
中間層であって、約10?約600cm^(3)/m^(2)支持体(23)の空隙容積を有する中間層;及び
底部層であって、約10?約600cm^(3)/m^(2)支持体(23)の空隙容積を有する底部層
を含む三重層である吸収性物品。
【請求項6】
請求項1?5のいずれかに記載の吸収性物品であって、該超吸収性粒子(21)が、該吸収性構造体の長手寸法又はx-方向に沿ったプロフィールに応じて分配され;及び/又は、該吸収性構造体の横方向またはy-方向に沿ったプロフィールに応じて分配される吸収性物品。
【請求項7】
請求項1?6のいずれかに記載の吸収性物品であって、該超吸収性粒子が、互いに隔てられた該不織繊維質多層支持体(23)上の別々のゾーンに分散されており、これによって該吸収性構造体のx-方向及び/またはy-方向に沿って液体が流れやすく且つ吸い上げられやすくなる吸収性物品。
【請求項8】
請求項1?7のいずれかに記載の吸収性構造体の製造方法であって、
不織繊維質多層支持体(23)を巻き戻す;
該不織繊維質多層支持体(23)を該超吸収性粒子(21)で少なくとも部分的に覆う;
振動を適用することにより、及び真空テーブルで真空(8’)を適用することにより、該不織繊維質多層支持体(23)中に該超吸収性粒子(21)を分散させる;
コア被覆層材料(22)を巻き戻す(11);
該コア被覆層材料(22)の内面及び/または該不織繊維質多層支持体(23)表面に接着剤を適用する;
該コア被覆層材料(22)で該不織繊維質多層支持体(23)を覆う;
圧力により該接着を確実にする;
段階を含む方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法であって、該超吸収性粒子(21)が、さらにスプレーガンまたは重力の手段により分散される方法。
【請求項10】
請求項8または9に記載の方法であって、該接着で形成された層を、個別のコアを得るために、該不織繊維質多層支持体(23)が該超吸収性粒子を本質的に含まない箇所で切断する段階をさらに含む方法。
【請求項11】
請求項8または10に記載の方法であって、該不織繊維質多層支持体(23)表面を超吸収性粒子(21)で覆う段階が、粉末散布、真空技術(8’)を使用するドラム形成、重力供給方式(8)または高圧スプレーガン(8)により行われることを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項1に記載の吸収性物品であって、更に
(a)液体透過性トップシート;
(b)液体非透過性バックシート;
を含み、該吸収性構造体が(a)と(b)との間に配置される吸収性物品。
【請求項13】
請求項12に記載の吸収性物品であって、該吸収性構造体の頂部に配置された追加の捕捉(2)及び分散(3)層を含む吸収性物品。
【請求項14】
請求項13に記載の吸収性物品であって、該吸収性構造体の真下に配置された追加の吸収性コアを含む吸収性物品。
【請求項15】
請求項12に記載の吸収性物品であって、請求項1に定義された少なくとも二つの吸収性構造体を含む吸収性物品。
【請求項16】
請求項12?15のいずれかに記載の吸収性物品であって、該吸収性物品が身体の形状に合っていることを特徴とする吸収性物品。
【請求項17】
請求項1または12?16のいずれかに記載の吸収性物品であって、該吸収性物品が、おむつ、軽度/重度尿漏れ防止パッド、女性用ケア生理用ナプキン、パンティーライナー及び創傷包帯からなる群から選択される吸収性物品。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2018-05-18 
結審通知日 2018-05-22 
審決日 2018-06-05 
出願番号 特願2015-504984(P2015-504984)
審決分類 P 1 41・ 853- Y (A61F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 藤井 眞吾  
特許庁審判長 門前 浩一
特許庁審判官 久保 克彦
武井 健浩
登録日 2017-12-15 
登録番号 特許第6258294号(P6258294)
発明の名称 吸収性物品及びその製造方法  
代理人 中田 隆  
代理人 中田 隆  

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