• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1341454
審判番号 不服2017-11789  
総通号数 224 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-08-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-08-07 
確定日 2018-06-14 
事件の表示 特願2015-246335号「スロットマシン」拒絶査定不服審判事件〔平成28年4月28日出願公開、特開2016-64193号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯の概要
本願は、平成20年6月4日に出願された特願2008-147240号の一部を平成24年9月28日に新たな特許出願(特願2012-217268号)とし、さらに、その一部を平成26年5月1日に新たな特許出願(特願2014-94355号)とし、さらに、その一部を平成27年12月17日に新たな特許出願(特願2015-246335号)としたものであって、平成28年10月24日付け拒絶理由通知に対して、同年12月27日付けで手続補正がなされたところ、平成29年4月20日付けで拒絶査定がなされ(平成29年5月9日発送)、これに対して、同年8月7日に拒絶査定不服審判の請求がされるとともに、同日付けで手続補正(以下「本件補正」という。)がなされ、さらに、同年10月16日付けで前置報告がなされ、同年11月21日付けで上申書が提出されたものである。

第2 平成29年8月7日付けの手続補正についての補正却下の決定
平成29年8月7日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 補正の内容
本件補正により、平成28年12月27日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1における
「各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を備え、
前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能なスロットマシンにおいて、
表示結果が導出される前に入賞の発生を許容するか否かを決定する事前決定手段と、
所定の演出を実行する演出実行手段とを備え、
前記スロットマシンは、
前記事前決定手段により特定入賞の発生を許容する旨が決定されたときに、遊技用価値の付与を伴う付与入賞の発生を許容する旨の決定が通常遊技状態よりも高まる特別遊技状態に制御可能な特別入賞の発生を許容する旨を決定する第1決定と、前記特別入賞の発生を許容する旨を決定しない第2決定とのうちのいずれかを決定することが可能であり、
前記通常遊技状態には、第1通常遊技状態および第2通常遊技状態が含まれ、
前記第1通常遊技状態および前記第2通常遊技状態のいずれにおいても、前記第1決定と前記第2決定とのうちのいずれかを決定することが可能であり、
前記演出実行手段は、前記特定入賞の発生を許容する旨が決定されたときに、前記第1決定が決定されたか前記第2決定が決定されたかにかかわらず特定演出を実行可能であり、
さらに前記演出実行手段は、前記特定演出を実行した後、
前記第1決定が決定されていたときに前記特別遊技状態に制御可能である旨の情報を報知する第1演出を実行可能であり、
前記第2決定が決定されていたときに前記付与入賞の発生を許容する旨の決定が前記通常遊技状態と同じである一方で遊技者にとって有利である特定遊技状態への制御開始を特定可能な情報を報知する第2演出を実行可能である、スロットマシン。」は、

審判請求時に提出された手続補正書(平成29年8月7日付け)における
「各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を備え、
前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能なスロットマシンにおいて、
表示結果が導出される前に入賞の発生を許容するか否かを決定する事前決定手段と、
所定の演出を実行する演出実行手段とを備え、
前記スロットマシンは、
前記事前決定手段により特定入賞の発生を許容する旨が決定されたときに、遊技用価値の付与を伴う付与入賞の発生を許容する旨の決定が通常遊技状態よりも高まる特別遊技状態に制御可能な特別入賞の発生を許容する旨を決定する第1決定と、前記特別入賞の発生を許容する旨を決定しない第2決定とのうちのいずれかを決定することが可能であり、
前記通常遊技状態には、第1通常遊技状態および第2通常遊技状態が含まれ、
前記第1通常遊技状態および前記第2通常遊技状態のいずれにおいても、前記第1決定と前記第2決定とのうちのいずれかを決定することが可能であり、
前記演出実行手段は、前記特定入賞の発生を許容する旨が決定されたときに、演出結果として遊技者にとって有利な有利結果および当該有利結果とは異なる非有利結果のいずれかを報知する特定演出を、前記第1決定が決定されたか前記第2決定が決定されたかにかかわらず実行可能であり、
さらに前記演出実行手段は、
前記第1決定が決定されていた場合、前記演出結果として前記有利結果を報知する前記特定演出を実行し、前記特別遊技状態に制御可能である旨の情報を報知する第1演出を実行可能であり、
前記第2決定が決定されていた場合、前記演出結果として前記非有利結果を報知する前記特定演出を実行し、前記付与入賞の発生を許容する旨の決定割合が前記通常遊技状態と同じである一方で遊技者にとって有利である特定遊技状態への制御開始を特定可能な情報を報知する第2演出を実行可能である、スロットマシン。」に補正された(下線は、補正箇所を明示するために当審にて付した。)。

2 補正の目的
(1)本件補正は、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「演出実行手段」について、「前記特定入賞の発生を許容する旨が決定されたときに、前記第1決定が決定されたか前記第2決定が決定されたかにかかわらず特定演出を実行可能であり、」とあったものを「前記特定入賞の発生を許容する旨が決定されたときに、演出結果として遊技者にとって有利な有利結果および当該有利結果とは異なる非有利結果のいずれかを報知する特定演出を、前記第1決定が決定されたか前記第2決定が決定されたかにかかわらず実行可能であり、」と限定するものである。

(2)次に、「演出実行手段」について、本件補正前に「前記特定演出を実行した後、前記第1決定が決定されていたときに前記特別遊技状態に制御可能である旨の情報を報知する第1演出を実行可能であり、前記第2決定が決定されていたときに前記付与入賞の発生を許容する旨の決定が前記通常遊技状態と同じである一方で遊技者にとって有利である特定遊技状態への制御開始を特定可能な情報を報知する第2演出を実行可能である」とあったものを、「前記第1決定が決定されていた場合、前記演出結果として前記有利結果を報知する前記特定演出を実行し、前記特別遊技状態に制御可能である旨の情報を報知する第1演出を実行可能であり、前記第2決定が決定されていた場合、前記演出結果として前記非有利結果を報知する前記特定演出を実行し、前記付与入賞の発生を許容する旨の決定割合が前記通常遊技状態と同じである一方で遊技者にとって有利である特定遊技状態への制御開始を特定可能な情報を報知する第2演出を実行可能である」とする補正について検討する。
この補正は、「特定演出」についてみると、「特定演出」に「演出結果として有利結果を報知する」演出と「演出結果として非有利結果を報知する」演出のあることを限定するものである。
そして、本件補正前に「特定演出を実行した後」とあったものを、「特定演出を実行し」とする補正は、「特定演出を実行し」が実質的に「特定演出を実行し」た後を意味するものと解した場合、補正の前後でその内容が変わるものではない。
そうすると、本件補正は、「演出実行手段」について、本件補正前に「前記特定演出を実行した後、前記第1決定が決定されていたときに前記特別遊技状態に制御可能である旨の情報を報知する第1演出を実行可能であり、前記第2決定が決定されていたときに前記付与入賞の発生を許容する旨の決定が前記通常遊技状態と同じである一方で遊技者にとって有利である特定遊技状態への制御開始を特定可能な情報を報知する第2演出を実行可能である」とあったものを、「前記第1決定が決定されていた場合、前記演出結果として前記有利結果を報知する前記特定演出を実行し、前記特別遊技状態に制御可能である旨の情報を報知する第1演出を実行可能であり、前記第2決定が決定されていた場合、前記演出結果として前記非有利結果を報知する前記特定演出を実行し、前記付与入賞の発生を許容する旨の決定割合が前記通常遊技状態と同じである一方で遊技者にとって有利である特定遊技状態への制御開始を特定可能な情報を報知する第2演出を実行可能である」と限定するものである。

(3)上記(1)、(2)に加え、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1に記載された発明と本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そして、本件補正は新規事項を追加するものではない。

3 独立特許要件
そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本件補正発明」という。)が特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであるか、すなわち、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するかについて、以下に検討する。

(1)本件補正発明
本件補正発明は、次のとおりのものであると認める(記号A?G2は、分説するため当審で付した。)。
「【請求項1】
A 各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を備え、
B 前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能なスロットマシンにおいて、
C 表示結果が導出される前に入賞の発生を許容するか否かを決定する事前決定手段と、
D 所定の演出を実行する演出実行手段とを備え、
E 前記スロットマシンは、
E1 前記事前決定手段により特定入賞の発生を許容する旨が決定されたときに、遊技用価値の付与を伴う付与入賞の発生を許容する旨の決定が通常遊技状態よりも高まる特別遊技状態に制御可能な特別入賞の発生を許容する旨を決定する第1決定と、前記特別入賞の発生を許容する旨を決定しない第2決定とのうちのいずれかを決定することが可能であり、
E2 前記通常遊技状態には、第1通常遊技状態および第2通常遊技状態が含まれ、
E3 前記第1通常遊技状態および前記第2通常遊技状態のいずれにおいても、前記第1決定と前記第2決定とのうちのいずれかを決定することが可能であり、
F 前記演出実行手段は、前記特定入賞の発生を許容する旨が決定されたときに、演出結果として遊技者にとって有利な有利結果および当該有利結果とは異なる非有利結果のいずれかを報知する特定演出を、前記第1決定が決定されたか前記第2決定が決定されたかにかかわらず実行可能であり、
G さらに前記演出実行手段は、
G1 前記第1決定が決定されていた場合、前記演出結果として前記有利結果を報知する前記特定演出を実行し、前記特別遊技状態に制御可能である旨の情報を報知する第1演出を実行可能であり、
G2 前記第2決定が決定されていた場合、前記演出結果として前記非有利結果を報知する前記特定演出を実行し、前記付与入賞の発生を許容する旨の決定割合が前記通常遊技状態と同じである一方で遊技者にとって有利である特定遊技状態への制御開始を特定可能な情報を報知する第2演出を実行可能である、スロットマシン。」(A?G2は、当審にて分説して付与した。)

(2)刊行物に記載された事項
原査定の拒絶の理由に引用された本願の遡及日前に頒布された刊行物である「しのけんの喰うならやらねば!vol.188」,パチスロ攻略マガジンドラゴン2007年1月号,株式会社双葉社,2006年12月21日,p.83-86(以下、「刊行物1」という。)には、機種名が「リンダの狙いうち」というパチスロ機に関して、図面と共に次の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。

・記載事項
ア 第84頁上段左欄に「今回模索する「リンダの狙いうち」は、機種名から想像できるとおり、山本リンダとのタイアップ機。・・・」と記載されている。

イ 第84頁上段中欄に「役の構成」について示され、ボーナス役としての赤7ボーナス、青7ボーナス、レギュラーボーナス、及び、小役としてのベルの15枚役、3種の12枚役、スイカの9枚役、チェリーの3枚役、リプレイ役から役が構成されることが記載されている。

ウ 第85頁上段右欄に「基本のゲーム性」と題して、次の点が記載されている。
a チャンスゾーンに突入して、チェリーorスイカが成立すると、うららタイム(RT)に突入すること、

b 「RT中はリプレイ確率が大幅アップ!、終了後は再びチャンスゾーンへ!」

c 「チェリーとスイカはRT突入契機となるだけでなく、ボーナス同時成立にも期待。実戦上、チェリーは約1/5、スイカは約1/12で同時成立につながった。」、「さらにボーナス同時成立の可能性もあり!」。

エ 第85頁下段左欄に「連続演出発生はボーナスorRTに期待!」と題して、次の点が記載されている。
a 連続演出には、「困っちゃうナ演出」、「ルーレット演出」、「プレゼント演出」、及び、「追っかけ演出」の4つの演出があり、いずれかの演出が発生可能であること、
b 「ルーレット演出」の結果として、「7はBIG、3は共通UならRT突入!」を示し、
c 「チェリーorスイカ成立から発生すればチャンス!」、「実戦上、ボーナスはチェリーorスイカとの同時成立となることが多い。上記演出が発生すれば期待度アップだ。」。

オ 第85頁下段右欄に「うららタイム性能」と題して、うららタイムは、チェリーからの突入で約80プレイRTが継続し、スイカからの突入で約35プレイRTが継続すること、RT中のリプレイ確率が1/1.51であることが記載され、「RT中は1Pあたり約0.2枚コインが増加する。ジワジワとコインを増やしながらボーナス成立を期待しよう。」と記載されている。

カ 第86頁上段左欄に「リール配列」と題して、左・中・右リールが、21個の絵柄配列を有することが図示されている。

キ 第86頁上段右欄には、「通常時の小役確率」について示され、通常時に発生可能な小役についての発生確率が設定されていることが記載されている。

・認定事項
ク 第84頁上段右欄にパチスロ機を前面から見た図が示されている。

ケ 第85頁上段右欄に「基本のゲーム性」と題して、チェリーorスイカの成立により、リールの表示窓に「チェリー-any-any」の図柄組合せor「スイカ-スイカ-スイカ」の図柄組合せが導出表示されていることが図示されていると認められる。

上記ア?キの記載事項、上記ク?ケの認定事項を総合すると、刊行物1には次の発明(以下「刊行物発明」という。)が記載されている(a?g2は引用発明を分説するため当審で付与した。)。
「a 21個の絵柄配列を有する左・中・右リールを備え(記載事項(カ))、
b チェリーorスイカの成立により、リールの表示窓に「チェリー-any-any」の図柄組合せor「スイカ-スイカ-スイカ」の図柄組合せが導出表示され、3枚のメダルor9枚のメダルの払出しが行われるパチスロ機(記載事項イ、認定事項ク、認定事項ケ)において、
c 役には、ボーナス役としての赤7ボーナス、青7ボーナス、レギュラーボーナス、及び、小役としてのベル役、3種の12枚役役、スイカ役、チェリー役、リプレイ役があり(記載事項イ)、
d 連続演出として、4つの演出のうち、いずれかの演出が発生可能であり(認定事項エa)、
e?e3 チャンスゾーンにおいて、チェリーorスイカは、RT突入契機となるだけでなく、さらにボーナス同時成立の可能性もあり(記載事項ウa、c)、
f チェリーorスイカの成立からルーレット演出が発生可能であり、ルーレット演出の結果としてBIG突入、RT突入を示し(記載事項エa?c)、
g1 ルーレット演出の結果としてBIG突入を示し(記載事項エb)、
g2 ルーレット演出の結果として、リプレイ確率が大幅にアップするRT突入を示す(記載事項ウb、エb?c)パチスロ機(認定事項ク)。」

(3)対比
本件補正発明と刊行物発明とを対比する。
(a)刊行物発明における「21個の絵柄配列」は、本件補正発明における「各々が識別可能な複数種類の識別情報」に相当し、
刊行物発明における「左・中・右リール」は、回転することにより絵柄を変動するものであるから、本件補正発明における「変動表示可能な可変表示部」に相当する。
したがって、刊行物発明における構成aは、本件補正発明における構成Aに相当する。

(b)刊行物発明における「パチスロ機」は、本件補正発明における「スロットマシン」に相当する。
そして、刊行物発明における「チェリーorスイカの成立により、リールの表示窓に「チェリー-any-any」の図柄組合せor「スイカ-スイカ-スイカ」の図柄組合せが導出表示され」ることは、スロットマシンの技術分野において、図柄組合せの導出表示は、「左・中・右リール」の回転による変動がなされた後に停止することで行われるものであるから、本件補正発明における「可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出」することに相当する。
また、刊行物発明における「3枚のメダルor9枚のメダルの払出しが行われる」ことは、「チェリー-any-any」の図柄組合せor「スイカ-スイカ-スイカ」の図柄組合せが導出表示されたことにより行われることから、本件補正発明における「表示結果に応じて入賞が発生可能な」ことに相当する。
したがって、刊行物発明における構成bは、本件補正発明における構成Bに相当する。

(c)スロットマシンの技術分野における技術常識を考慮すると、刊行物発明において、「図柄組合せが導出表示され」る前に、当該役の組合せが導出表示されることを許容するか否かが決定されることは明らかである。
したがって、刊行物発明は、「役」を決定するために、本件補正発明における「表示結果が導出される前に入賞の発生を許容するか否かを決定する事前決定手段」に相当する構成を備えるものである。

(d)刊行物発明における「連続演出として」の「4つの演出」は、本件補正発明における「所定の演出」に相当する。
そして、刊行物発明における「いずれかの演出が発生可能であ」ることは、刊行物発明が、本件補正発明における「演出実行手段」に相当する構成を備えるものであるといえる。
したがって、刊行物発明における構成dは、本件補正発明における構成Dに相当する。

(e)刊行物発明における「チェリーorスイカ」は、構成cより小役に含まれるものであり、上記(c)より「図柄組合せが導出表示され」る前に、導出表示されることを許容するか否か決定されるものであるから、本件補正発明における「事前決定手段により」「発生を許容する旨が決定され」る「特定入賞」に相当する。

そして、スロットマシンの技術分野において、ボーナスが小役の当選確率を高くした遊技状態であることが技術常識であることを考慮すると、刊行物発明における「ボーナス」は、「チャンスゾーン」において当選が成立するものであることからみて、「チャンスゾーン」よりも小役の当選確率を高くした遊技状態であるといえる。
したがって、刊行物発明における「チャンスゾーン」、「ボーナス」は、それぞれ、本件補正発明における「通常遊技状態」、「特別遊技状態」に相当する。
ゆえに、刊行物発明における「ボーナス」は、本件補正発明における「遊技用価値の付与を伴う付与入賞の発生を許容する旨の決定が通常遊技状態よりも高まる特別遊技状態」に相当する。

また、刊行物発明における「ボーナス同時成立の可能性」があることは、ボーナスとチェリーorスイカとの同時当選が成立する場合と、ボーナスとチェリーorスイカとの同時当選が成立しない場合の2通りあることを意味するものと解される。
そして、刊行物発明において、「ボーナス同時成立の可能性」があるのは、「チャンスゾーンにおいて」である。
したがって、刊行物発明における構成e?e3から導き出せる「ボーナスとチェリーorスイカと同時成立する場合」、「ボーナスとチェリーorスイカと同時成立しない場合」は、それぞれ、本件補正発明における「特別遊技状態に制御可能な特別入賞の発生を許容する旨を決定する第1決定」がなされた場合、「特別入賞の発生を許容する旨を決定しない第2決定」がなされた場合に相当する。

よって、刊行物発明における構成e?e3の「チェリーorスイカは、RT突入契機となるだけでなく、さらにボーナス同時成立の可能性もあ」ることは、本件補正発明における構成E1の「事前決定手段により特定入賞の発生を許容する旨が決定されたときに、遊技用価値の付与を伴う付与入賞の発生を許容する旨の決定が通常遊技状態よりも高まる特別遊技状態に制御可能な特別入賞の発生を許容する旨を決定する第1決定と、特別入賞の発生を許容する旨を決定しない第2決定とのうちのいずれかを決定することが可能であ」ることに相当する。
また、刊行物発明における構成e?e3の「チャンスゾーン」と、本件補正発明における構成E、E2、E3とは、「通常遊技状態において、第1決定と第2決定とのうちのいずれかを決定することが可能であ」ることで共通する。

(f)刊行物発明における「チェリーorスイカの成立」は、上記(e)より、「チェリーorスイカ」の当選が成立したことを意味することから、本件補正発明における「特定入賞の発生を許容する旨が決定された」ことに相当する。

そして、刊行物発明における「BIG」は、「ボーナス役」のうちの「赤7ボーナス」、「青7ボーナス」に対応し、小役の入賞確率が高い遊技状態であることは、スロットマシンの技術分野における技術常識である。
したがって、刊行物発明において示される「BIG突入」は、本件補正発明における「演出結果として遊技者にとって有利な有利結果」に相当する。

次に、本件補正発明における「有利結果とは異なる非有利結果」について検討する。
本件補正発明の構成G2によると、本件補正発明は、「非有利結果を報知する特定演出を実行」して「遊技者にとって有利である特定遊技状態への制御開始を特定可能な情報を報知する」ものである。
さらに、本件補正発明の「非有利結果」に関して、審判請求書における補正の根拠として請求人が主張する、本願明細書の【0446】に「遊技状態コマンドからRT2であることが特定され、かつ連続演出によりRT2に制御されていることが報知されたときに、RT2が開始された旨を報知するRT2開始演出を行なう。」と記載され、【0449】に「連続演出としては、たとえば、遊技者側キャラクタと敵キャラクタとが戦闘する物語を展開し・・・遊技者側キャラクタが敗退することによりRT2またはRT3に移行されていることを報知する」と記載され、【0005】に「通常の遊技状態とはリプレイ以外の役の当選確率を変えずにリプレイの当選確率を高くするRT(Replay Time)」と記載されている。
上記本願の特許請求の範囲における特定事項、及び、本願明細書の記載事項からみて、本件補正発明における「非有利結果」となることは、通常の遊技状態とはリプレイ以外の役の当選確率を変えずにリプレイの当選確率を高くすることにより遊技者にとって有利であるRT2またはRT3へ移行することであるといえる。
そして、スロットマシンの技術分野において、RTがリプレイの発生確率を高くした遊技状態であることが技術常識であることを考慮すると、刊行物発明における「RT」は、リプレイの発生確率を高くした遊技状態であるといえる。
そうすると、刊行物発明における「RT突入」は、本件補正発明における「有利結果とは異なる非有利結果」に相当する。

また、刊行物発明における構成fの「ルーレット演出の結果としてBIG突入」を示す「チェリーorスイカの成立からルーレット演出が発生」するのは、ルーレット演出の結果として突入することが示されるBIGがボーナスに含まれることから、上記(e)より、「ボーナス」と「チェリーorスイカ」との同時当選が成立したときである。
同様に、刊行物発明における構成fの「ルーレット演出の結果として」「RT突入」を示す「チェリーorスイカの成立からルーレット演出が発生」するのは、上記(e)より、「ボーナス」と「チェリーorスイカ」との同時当選が成立しないときである。
そうすると、刊行物発明は、BIGに突入するときにも、RTに突入するときにも「ルーレット演出が発生」するといえる。
ここで、上記(e)より、刊行物発明における構成e?e3から導き出せる「ボーナスとチェリーorスイカと同時成立する場合」は、本件補正発明における「第1決定」がなされた場合に相当する。
同様に、上記(e)より、刊行物発明における構成e?e3から導き出せる「ボーナスとチェリーorスイカと同時成立しない場合」は、本件補正発明における「第2決定」がなされた場合に相当する。
したがって、刊行物発明における「チェリーorスイカ成立から」「発生可能」な「ルーレット演出」は、本件補正発明における「第1決定が決定されたか第2決定が決定されたかにかかわらず実行可能」な「特定演出」に相当する。

ゆえに、刊行物発明における構成fは、本件補正発明における構成Fに相当する。

(g1)刊行物発明において、「ルーレット演出の結果としてBIG突入」を示すのは、上記(e)より、BIGを含む「ボーナス」と「チェリーorスイカ」との同時当選が成立した場合、すなわち、本件補正発明における「第1決定」が決定されたときである。
そして、上記(f)より、刊行物発明における「BIG突入」は、本件補正発明における「演出結果として遊技者にとって有利な有利結果」に相当することから、刊行物発明における「BIG突入を示」すことは、本件補正発明における「演出結果として有利結果を報知する特定演出を実行」することに相当する。
また、刊行物発明における「BIG突入を示す」ことは、本件補正発明における「特別遊技状態に制御可能である旨の情報を報知する第1演出を実行可能であ」ることに相当する。
したがって、刊行物発明における構成g1は、本件補正発明における構成G1に相当する。

(g2)刊行物発明において、「ルーレット演出の結果として」「RT突入」を示すのは、上記(e)より、「ボーナス」と「チェリーorスイカ」との同時当選が成立しない場合、すなわち、本件補正発明における「第2決定」が決定されたときである。
そして、上記(f)より、刊行物発明における「RT突入」は、本件補正発明における「有利結果とは異なる非有利結果」に相当することから、刊行物発明における「RT突入を示」すことは、本件補正発明における「演出結果として非有利結果を報知する特定演出を実行」することに相当する。

また、スロットマシンの技術分野において、RTが、通常遊技状態に比して、小役の当選確率は同じであるが、リプレイの当選確率を高くした遊技状態であることが技術常識であることを考慮すると、刊行物発明における「RT」は、「チャンスゾーン」に比して、小役の当選確率が同じであるが、「リプレイ確率が大幅にアップする」、遊技者にとって有利な遊技状態であるといえる。
したがって、刊行物発明における「RT」は、本件補正発明における「付与入賞の発生を許容する旨の決定割合が通常遊技状態と同じである一方で遊技者にとって有利である特定遊技状態」に相当する。
そうすると、刊行物発明における「RT突入を示す」ことは、本件補正発明における「特定遊技状態への制御開始を特定可能な情報を報知する第2演出を実行可能である」ことに相当する。

ゆえに、刊行物発明における構成g2は、本件補正発明における構成G2に相当する。

上記(a)?(g2)から、本件補正発明と刊行物発明とは、
「A 各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を備え、
B 前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能なスロットマシンにおいて、
C 表示結果が導出される前に入賞の発生を許容するか否かを決定する事前決定手段と、
D 所定の演出を実行する演出実行手段とを備え、
E 前記スロットマシンは、
E1 前記事前決定手段により特定入賞の発生を許容する旨が決定されたときに、遊技用価値の付与を伴う付与入賞の発生を許容する旨の決定が通常遊技状態よりも高まる特別遊技状態に制御可能な特別入賞の発生を許容する旨を決定する第1決定と、前記特別入賞の発生を許容する旨を決定しない第2決定とのうちのいずれかを決定することが可能であり、
E2’、E3’ 前記通常遊技状態において、前記第1決定と前記第2決定とのうちのいずれかを決定することが可能であり、
F 前記演出実行手段は、前記特定入賞の発生を許容する旨が決定されたときに、演出結果として遊技者にとって有利な有利結果および当該有利結果とは異なる非有利結果のいずれかを報知する特定演出を、前記第1決定が決定されたか前記第2決定が決定されたかにかかわらず実行可能であり、
G さらに前記演出実行手段は、
G1 前記第1決定が決定されていた場合、前記演出結果として前記有利結果を報知する前記特定演出を実行し、前記特別遊技状態に制御可能である旨の情報を報知する第1演出を実行可能であり、
G2 前記第2決定が決定されていた場合、前記演出結果として前記非有利結果を報知する前記特定演出を実行し、前記付与入賞の発生を許容する旨の決定割合が前記通常遊技状態と同じである一方で遊技者にとって有利である特定遊技状態への制御開始を特定可能な情報を報知する第2演出を実行可能である、スロットマシン。」
である点で一致しており、次の点で相違する。

[相違点](構成E2、E3)
通常遊技状態に関して、本件補正発明は、通常遊技状態には、第1通常遊技状態および第2通常遊技状態が含まれ、第1通常遊技状態および第2通常遊技状態のいずれにおいても、第1決定と第2決定とのうちのいずれかを決定することが可能であるのに対して、刊行物発明は、チャンスゾーンにおいて、チェリーとスイカは、RT突入契機となるだけではなく、さらにボーナス同時成立の可能性もあるが、チャンスゾーンは一種類しかない点。

(4)判断
そこで、上記相違点について検討する。
スロットマシンの技術分野において、RTに移行させるためのチャンスゾーンについて、継続ゲーム数や突入条件の異なる複数種類のチャンスゾーンを設けることは、例えば、原査定において提示された「「パチスロ湘南爆走族」、パチスロ必勝ガイド攻略年鑑2008、株式会社白夜書房、2008年2月1日、p.190-191」の特に、第191頁の「RT突入の詳細」に、チャンスゾーン(CZ)は大別すると、
イ:CZ継続ゲーム数が6000Gであるビッグ終了後のCZ、
ロ:CZ継続ゲーム数が50Gで、REG後50G消化でRT終了後と同じCZへ移行するREG終了後のCZ、
ハ:CZ継続ゲーム数が6000Gで、CZ終了後400Gで再度CZに突入する、RT終了後のCZ、REG後50G消化後のCZ、あるいは、CZ終了400G後のCZ、
の3種類ある旨記載され、
同じく、原査定において提示された「「超お父さん2」、パチスロ攻略マガジン2008年1月号、株式会社双葉社、2008年1月7日、p.72-75」の特に第72頁の「ゲームの流れ&チャンスゾーン(CZ)解説」に、CZには、赤7後CZ,青7後CZ、通常CZの3種類があり、赤7後CZの1G目の突入期待度は50.00%であり、青7後CZの1G目突入期待度は25.00%であり、通常CZのRT突入期待度は66.67%であって、RT突入期待度に差が設けられ、CZ中の主要小役確率は異なる旨記載されているように、本願の遡及日前に周知の技術事項である(以下「周知の技術事項」という。)。
ところで、スロットマシンの技術分野において、遊技者の興趣を向上させることは、本願遡及日前に自明の課題である。そうすると、上記周知の技術事項は、複数種類のチャンスゾーンを設けることにより、遊技の興趣を高めたものである。
したがって、刊行物発明におけるチャンスゾーンに上記周知の技術事項を適用して、チャンゾーンに複数種類のチャンスゾーンを設け、各チャンスゾーンにおいて、「チェリーorスイカ成立から、連続演出としてのBIG突入、RT突入を示すルーレット演出が発生可能」として、上記相違点に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たものである。
また、本件補正発明により奏される効果は、刊行物発明、及び、上記周知の技術事項から奏される効果の範囲内のものであって、格別なものではない。

(5)審判請求人の主張について
審判請求人は平成29年11月21日付け上申書の第3頁第28?45行において次の主張をしている。「引用文献1に記載の『7』や『U』を表示することは、ルーレット演出の結果として“遊技者にとって有利な結果”や“遊技者にとって有利でない結果”を報知するものではなく、あくまで『7』が表示されればBIGを実行可能であることを示し、『U』が表示されればRT突入を示唆するものであって、いずれも“遊技者にとって有利な結果”を報知するものであり、ルーレット演出の結果として“遊技者にとって有利でない結果”を報知することは一切開示も示唆もされていません。また、「7はBIG、3は共通UならRT突入」という記載(引用文献1の第85頁下段左「連続演出発生はボーナスorRTに期待!」欄ご参照)からすると、『7』を表示することは本願発明における「特別遊技状態に制御可能である旨の情報を報知する第1演出」に、『U』を表示することは本願発明における「特定遊技状態への制御開始を特定可能な情報を報知する第2演出」にそれぞれ対応すると考えられ、このような当て嵌めは、平成28年10月24日付起案の拒絶理由通知および平成29年4月20日付起案の拒絶査定においても、以下のように行われています。
「…ルーレット演出においてBIGを実行可能であることを示す『7』を表示する演出(本願発明における『第1演出』に相当)と、RT突入を示唆する『U』を表示する演出(本願発明における『第2演出』に相当)…」
このことからしても、引用文献1には、本願発明の“遊技者にとって有利な結果”や“遊技者にとって有利でない結果”を報知する「特定演出」が記載されていません。」

そこで、上記請求人の主張について検討する。
まず、上記(3)(g1)において検討したように、刊行物発明における「BIG突入を示す」ことは、本件補正発明における「演出結果として有利結果を報知する特定演出を実行」すること、及び、「特別遊技状態に制御可能である旨の情報を報知する第1演出を実行可能であ」ることに相当する。
次に、上記(3)(g2)において検討したように、刊行物発明における「RT突入を示」すことは、本件補正発明における「演出結果として非有利結果を報知する特定演出を実行」すること、及び、「特定遊技状態への制御開始を特定可能な情報を報知する第2演出を実行可能である」ことに相当する。
一方、平成28年10月24日付け拒絶理由通知、及び、平成29年4月20日付け拒絶査定において、審査官は、「BIGを実行可能であることを示す『7』を表示する演出」を、本願発明における「第1演出」に相当するとし、「RT突入を示唆する『U』を表示する演出」を、本願発明における「第2演出」に相当するものとしている。
これは、本件補正発明における「有利結果」、「非有利結果」に関する限定が、審判請求時における補正により付加されたものであって、審査段階においては、有しない構成であったため、審査官が、「BIGを実行可能であることを示す『7』を表示する演出」を、本件補正発明における「演出結果として有利結果を報知する特定演出」に相当するとし、「RT突入を示唆する『U』を表示する演出」を、本件補正発明における「演出結果として非有利結果を報知する特定演出」に相当するものとすることが不可能であったことに起因する。
したがって、請求人の上記主張を採用することはできない。

(6)小括
よって、本件補正発明は刊行物発明、及び、周知の技術事項に基づいて当業者が容易に発明できたものであり、特許法第29条第2項の規定に基づいて特許出願の際独立して特許を受けることができない。

4 むすび
上記1?3より、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は、上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成28年12月27日付けの手続補正書により補正された、上記第2の1.で示した特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。
「【請求項1】
A 各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を備え、
B 前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能なスロットマシンにおいて、
C 表示結果が導出される前に入賞の発生を許容するか否かを決定する事前決定手段と、
D 所定の演出を実行する演出実行手段とを備え、
E 前記スロットマシンは、
E1 前記事前決定手段により特定入賞の発生を許容する旨が決定されたときに、遊技用価値の付与を伴う付与入賞の発生を許容する旨の決定が通常遊技状態よりも高まる特別遊技状態に制御可能な特別入賞の発生を許容する旨を決定する第1決定と、前記特別入賞の発生を許容する旨を決定しない第2決定とのうちのいずれかを決定することが可能であり、
E2 前記通常遊技状態には、第1通常遊技状態および第2通常遊技状態が含まれ、
E3 前記第1通常遊技状態および前記第2通常遊技状態のいずれにおいても、前記第1決定と前記第2決定とのうちのいずれかを決定することが可能であり、
F’前記演出実行手段は、前記特定入賞の発生を許容する旨が決定されたときに、前記第1決定が決定されたか前記第2決定が決定されたかにかかわらず特定演出を実行可能であり、
G’さらに前記演出実行手段は、前記特定演出を実行した後、
前記第1決定が決定されていたときに前記特別遊技状態に制御可能である旨の情報を報知する第1演出を実行可能であり、
前記第2決定が決定されていたときに前記付与入賞の発生を許容する旨の決定が前記通常遊技状態と同じである一方で遊技者にとって有利である特定遊技状態への制御開始を特定可能な情報を報知する第2演出を実行可能である、スロットマシン。」(A?G’は、当審にて分説して付与した。)

2 刊行物
原査定の拒絶の理由に引用された刊行物1の記載事項は、上記第2の3(1)に記載したとおりである。

3 対比・判断
本願発明は、基本的に本件補正発明の発明特定事項から、上記第2の1の下線部(構成F、G1、G2)の構成を省き、構成F’、G’としたものである。
そして、本願発明と刊行物発明を対比すると、両者は、構成E2、E3に関して、同一の構成を備えるものである。
そうすると、本願発明と刊行物発明とは、上記第2の3(3)における相違点で相違し、その余の点で一致する。
そして、相違点については、上記第2の3(4)において検討したとおり当業者が容易になし得たものである。
したがって、本願発明は、原査定における拒絶の理由で提示された文献である特開2007-222211号公報を用いるまでもなく、原査定で用いた刊行物発明、及び、周知の技術事項に基づいて当業者が容易に発明できたものである。

4 むすび
上記1?3より、本願発明は、特許法第29条第2項の規定に基づいて特許を受けることができないものである。
したがって、本願は拒絶すべきである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2018-04-06 
結審通知日 2018-04-10 
審決日 2018-04-23 
出願番号 特願2015-246335(P2015-246335)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (A63F)
P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 佐藤 史彬生駒 勇人  
特許庁審判長 瀬津 太朗
特許庁審判官 蔵野 いづみ
長崎 洋一
発明の名称 スロットマシン  
代理人 特許業務法人深見特許事務所  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ