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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F
管理番号 1341498
審判番号 不服2017-13607  
総通号数 224 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-08-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-09-13 
確定日 2018-07-03 
事件の表示 特願2013-160355「情報処理装置、情報処理方法及びそのプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 2月16日出願公開、特開2015- 32091、請求項の数(6)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成25年8月1日の出願であって、平成28年12月14日付けで拒絶理由が通知され、平成29年2月17日付けで手続補正がされたが、同年6月8日付けで拒絶査定がされ、それに対して同年9月13日に拒絶査定不服の審判請求がされ、同時に手続補正されたものである。

第2 原査定の理由の概要
原査定(平成29年6月8日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

本願請求項1-6に係る発明は、以下の引用文献1に記載された発明及び周知技術に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献一覧
1.国際公開第2012/068542号公報
2.特開2012-128830号公報

第3 本願発明
本願の請求項1-6に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明6」という。)は、平成29年9月13日付けで手続補正された特許請求の範囲の請求項1-6に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1-6は以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
表示装置の画面上に指定されたファイルをオープンして表示する情報処理装置であって、
ファイルあるいはそのリンク先を示すファイル関連情報に対するファイルオープンの操作種類を判定し、前記操作種類が前記ファイル関連情報に対して移動を伴う画面の外側に向かうフリック操作と判定された場合に、前記フリック操作によるフリック方向を特定する操作判定部と、
前記操作判定部により前記操作種類が操作対象のファイル関連情報に対して移動を伴うフリック操作と判定された場合、前記表示装置の表示画面を2分割して重ならないように前記フリック操作により特定されたフリック方向にウィンドウを並べて生成し、フリック方向先のウィンドウに操作対象のファイルをオープンして表示し、他方のウィンドウに元画面を表示する表示制御部と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記表示制御部は、移動方向の手前のウィンドウに元画面を表示し、移動先のウィンドウに操作対象のファイルをオープンして表示することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記操作判定部が判定する移動方向は、前記表示装置の表示画面の上下左右のいずれかの方向であることを特徴とする請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記操作判定部が操作対象のファイル関連情報に対して移動を伴なわない操作と判定された場合、前記表示制御部は、元画面に重なるようにウィンドウを生成し、該ウィンドウに操作対象のファイルをオープンして表示することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
表示装置の画面上に指定されたファイルをオープン表示する情報処理方法であって、
ファイルのリンク先を示すファイル関連情報に対するファイルオープンの操作種類を判定する操作判定ステップと、
前記操作種類が前記ファイル関連情報に対して移動を伴う画面の外側に向かうフリック操作と判定された場合に、前記フリック操作によるフリック方向を特定する移動方向判定ステップと、
前記操作種類が操作対象のファイル関連情報に対して移動を伴うフリック操作と判定された場合、前記表示装置の表示画面を2分割して重ならないように前記フリック操作により特定されたフリック方向にウィンドウを並べて生成し、フリック方向先のウィンドウに操作対象のファイルをオープンして表示し、他方のウィンドウに元画面を表示する表示制御ステップと、
を備えることを特徴とする情報処理方法。
【請求項6】
コンピュータに、請求項5に記載の情報処理方法の各ステップを実行させるためのプログラム。」

第3 引用文献・引用発明等
(1)原査定の拒絶理由に引用された上記引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。(なお、仮訳は引用文献1のパテントファミリである特表2014-501971号公報の対応箇所を用いており、下線は当審により付与した。)
a.
「[0005] This document describes systems and techniques that may be used to interact with a user of a computing device, such as a mobile computing device, (e.g., a smart phone) . The various techniques described here can provide mechanisms for more intuitive user interaction with a device, including by signaling the user with the device and for responding to user inputs provided to the device. User feedback can take the form of audible signals, haptic feedback (e.g., coordinated vibrations of the device) and movement of the screen user interface elements.
[0006] For example, in certain implementations described below, a user may “surface” a new window (e.g., as a new application, a new instantiation of an application, or a new pane within a particular instantiation of an application) in a graphical user interface by dragging at the edge of an already-open window in the application. For example, a user can drag on a scroll bar at the edge of a canvas of an application such as a web browser or word processor, in a direction that is orthogonal to a direction the user would normally drag to move the scrolling element in the scroll bar. Normally, such dragging would be an invalid input, but in the examples discussed below, such dragging may be interpreted by a computing system as a user intent to open a new window. Thus, in response to be the input, the application or operating system may open the new window adjacent the existing window in the direction of the dragging vis-a-vis the existing window. The system may also resize the existing window - for example, if the existing window was maximized on a screen when the dragging occurred, then the existing window and the new window could each occupy half (left and right, or for vertical orthogonal dragging, top and bottom) of the screen.」
(仮訳:[0005]本文書は、モバイルコンピューティングデバイス(例えば、スマートフォン)などのコンピューティングデバイスのユーザと対話するために使用できる、システムおよび技法について説明する。本明細書で説明する様々な技法は、デバイスを用いてユーザに合図を送ることを含む、デバイスとのより直感的なユーザ対話を行うためのメカニズムを提供することができる。ユーザフィードバックは、可聴信号、触覚フィードバック(例えば、デバイスの調整された振動)、およびオンスクリーン(on screen)ユーザインタフェース要素の動きといった形態をとることができる。
[0006]例えば、以下で説明するある実施形態では、ユーザは、アプリケーション内ですでにオープンされているウィンドウのエッジにおいてドラッグを行うことによって、グラフィカルユーザインタフェース内に新規ウィンドウ(例えば、新規アプリケーション、アプリケーションの新規インスタンス、またはアプリケーションの特定のインスタンス内の新規ペインとして)新規ウィンドウを「表面化(surface)」させることができる。例えば、ユーザは、ウェブブラウザまたはワードプロセッサなどのアプリケーションのキャンバスのエッジにあるスクロールバー上で、ユーザがスクロールバー内のスクロール要素を移動させるために通常行うドラッグの方向と直交する方向にドラッグを行うことができる。通常、そのようなドラッグは、無効な入力であるが、以下で説明する例では、そのようなドラッグは、新規ウィンドウをオープンしようとするユーザの意図として、コンピュータシステムによって解釈することができる。したがって、入力に応答して、アプリケーションまたはオペレーティングシステムは、既存ウィンドウに対してドラッグの方向に、既存ウィンドウに隣接して新規ウィンドウをオープンすることができる。システムは、既存ウィンドウのサイズ変更を行うこともでき、例えば、ドラッグが生じたときに既存ウィンドウが画面上で最大化されていた場合、既存ウィンドウおよび新規ウィンドウは、各々が画面を半分ずつ(左半分と右半分を、または垂直直交ドラッグの場合は上半分と下半分を)占有することができる。)

b.
「[0009] In another implementation, a computer-implemented system for interaction with a user of a computer device is disclosed, and comprises a graphical user interface having a tach screen display; a dragging input sub-system to identify the occurrence of a contact with the tach screen display and direction of dragging after the occurrence of a contact; and processor operably connected to tangible computer memory that stores code to identify a dragging input on a first window at a perimeter of the first window and a second window in response to the identified dragging input.」
(仮訳:[0009]別の実施では、コンピューティングデバイスのユーザと対話を行うためのコンピュータ実施システムが開示され、システムは、タッチスクリーンディスプレイを有するグラフィカルユーザインタフェースと、タッチスクリーンディスプレイとの接触の発生および接触の発生後に行われるドラッグの方向を識別するためのドラッグ入力サブシステムと、第1のウィンドウ上、第1のウィンドウの周辺部においてドラッグ入力を識別し、識別されたドラッグ入力に応答して、第2のウィンドウを生成するためのコードを記憶する有形なコンピュータメモリに動作可能に接続されたプロセッサを備える。)

c.
「[0035] The drop target 130 may be at a location that is located away from the selection target 128 and generally orthogonal from the selection target . The drop target 130 may identified as a point at which the user raises his or her finger after dragging, or appoint that is a determined lateral distance away from the scroll bar, and that registers a user intent when it is reached, even if the user maintains his or her finger in contact with a touchscreen.. In such a situation, a user could preview a split window may dragging past the determined distance, and may un-do the split screen and return to the original display by dragging back toward the scroll bar within the determined distance. For example, the user may drag over to view the extra content that interests them, review the content while holding their finger on the display, and then have the content removed and be returned to their initial browsing by dragging back toward the scroll bar. Such an interaction could also occur by user pressing on the hyperlink on a page, dragging the hyperlink off the page to have a new window opened that displays the content at the target of the hyperlink (and optionally shrinks the existing page for side-by-side viewing with the original page ), and then dragging back onto the original page, which final dragging causes the computing system to close the window for the hyperlinked content and return the display to the way it looked before the user slid the hyperlink off the original window.」
(仮訳:[0035]ドロップターゲット130は、選択ターゲット128から離れたところにある、選択ターゲットから見て一般に直角方向にある場所に存在することができる。ドロップターゲット130は、ドラッグを行った後にユーザが指を持ち上げる地点として、またはユーザが指をタッチスクリーンに触れさせたままであっても、そこに到達したときのユーザ意図が登録されている、スクロールバーから決められた横方向距離だけ離れた地点として、識別することができる。(そのような状況では、ユーザは、決められた距離を超えてドラッグを行った場合に、分割されたウィンドウのプレビューを見ることができ、スクロールバーに向かって逆方向にドラッグを行い、決められた距離の内側に戻ることによって、分割された画面を取消し、元の表示に戻ることができる)。例えば、ユーザは、興味のあるコンテンツをさらに見るために、ドラッグを行い、指でディスプレイを抑えている間、そのコンテンツを閲覧することができ、その後、スクロールバーに向かって逆方向にドラッグを行うことによって、コンテンツを消去し、最初のブラウジングに戻ることができる。そのような対話は、ユーザが、ページ上のハイパーリンクを押下し、そのハイパーリンクをページの外側にドラッグして、ハイパーリンクのリンク先にあるコンテンツが表示された新規ウィンドウをオープンし(また任意選択的に、元のページと並べて閲覧するために既存ページを縮小し)、その後、元のページに向かって逆方向にドラッグを行い、その最後のドラッグによって、コンピューティングシステムに、ハイパーリンク先のコンテンツのためのウィンドウを閉じさせ、ユーザがハイパーリンクを元のウィンドウの外側にスライドさせる前に見えていた通りの表示に戻させることによっても行うことができる。)

d.
「[0038] Similarly, if a window has a scroll bar along the top or bottom that permits a user to scroll left and right, pressing down on the scroll bar and dragging generally up (if the scroll bar is located along the bottom of the window) or generally down (if the scroll bar is located along the top of the window) and lifting his or her finger after a predetermined distance or predetermined time causes a new window to be instantiated. The motion caused by the user may not necessarily be precisely orthogonal or at a right angle to the direction of the scroll bar, as such precision cannot be expected of a user. However, the mechanism may accept a user motion that is within 20 degrees of an orthogonal direction. The user motion should be distinguishable from scrolling motion. Where the user does not indicate how the original and new windows should be sized, in some embodiments, the windows are defaulted to be equally sized.」
(仮訳:[0038]同様に、ウィンドウが、左方および右方スクロールをユーザが行うことを可能にする、上辺または底辺に沿ったスクロールバーを有する場合、スクロールバー上で押下し、(スクロールバーがウィンドウの底辺に沿って配置される場合)ほぼ上向きに、または(スクロールバーがウィンドウの上辺に沿って配置される場合)ほぼ下向きにドラッグし、所定の距離または所定の時間によって新規ウィンドウがインスタンス化された後に指を持ち上げる。直交または直角についての正確さをユーザに期待することはできないので、ユーザによって引き起こされる動きは、スクロールバーの方向に対して必ずしも正確に直交または直角である必要はない。しかし、メカニズムが許容できるのは、直交方向から30度以内のユーザモーションである。より高い精度を求める実施形態では、メカニズムが許容できるのは、直交方向から20度以内のユーザモーションである。ユーザモーションは、スクロールモーションから区別可能であるべきである。元のウィンドウおよび新規ウィンドウのサイズをどのようにすべきかについてユーザの指示がない場合、いくつかの実施形態では、ウィンドウは、デフォルトでは等しいサイズを取る。)

e.
「[0042] Also, the input from the user in FIG. 2C may indicate what page is to be displayed in window 124 when it is instantiated. For example, the selection target may be on a an element on a web page, such as URL 127 (where the drop target 129 is an edge of the screen or an area outside the pane or tab that is currently the focus of the browser), and the web page for that URL may be opened in window 124 as shown in FIG. 2D.」
(仮訳:[0042]また、図2Cにおけるユーザからの入力は、ウィンドウ124がインスタンス化されたときに、ウィンドウ124内にどのページを表示すべきかを指示することができる。例えば、選択ターゲットは、URL127など、ウェブページ上の要素上にあることができ(その場合、ドロップターゲット129は、画面のエッジ、または現在ブラウザのフォーカスがあるペインもしくはタブの外側の領域である)、図2Dに示されるように、ウィンドウ124内で、そのURLに対応するウェブページをオープンすることができる。)

上記記載(特に、下線部)及び図2C、2Dによれば、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。

「モバイルコンピューティングデバイス(例えば、スマートフォン)などのコンピューティングデバイスのユーザと対話するために使用できるシステムであって、システムは、タッチスクリーンディスプレイを有するグラフィカルユーザインタフェースと、タッチスクリーンディスプレイとの接触の発生および接触の発生後に行われるドラッグの方向を識別するためのドラッグ入力サブシステムと、第1のウィンドウ上、第1のウィンドウの周辺部においてドラッグ入力を識別し、識別されたドラッグ入力に応答して、第2のウィンドウを生成するためのコードを記憶する有形なコンピュータメモリに動作可能に接続されたプロセッサを備え、そのような対話は、ユーザが、ウェブページ上のハイパーリンクを押下し、そのハイパーリンクをページの外側にドラッグして、ハイパーリンクのリンク先にあるコンテンツ(そのURLに対応するウェブページ)が表示された新規ウィンドウをオープン(また任意選択的に、元のページと並べて閲覧するために既存ページを縮小)し、その後、元のページに向かって逆方向にドラッグを行い、その最後のドラッグによって、コンピューティングシステムに、ハイパーリンク先のコンテンツのためのウィンドウを閉じさせ、ユーザがハイパーリンクを元のウィンドウの外側にスライドさせる前に見えていた通りの表示に戻すことができるシステム。」

(2)原査定において周知技術を示す文献として引用された上記引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。
「【0002】
一般に、マウスボタンを押し続けたまま、マウスカーソルの位置を移動することを、ドラッグといい、その後、押し続けているマウスボタンを離すことをドロップという。同様に、スタイラスや指等のポインタでタッチパネルの任意の位置を触れたまま、触れている位置を移動することを、ドラッグといい、その後、触れた指等をタッチパネルから離すことをドロップという。
また、上記等のポインタでタッチパネルの任意の位置を触れた後、掃うように指等を離すことを、フリックという。尚、特許文献1には、指等で触れているタッチパネル上の位置の移動速度が所定の基準を満たす場合に、フリックがあったと判定する技術が開示されている。また、フリックをして指等とタッチパネルとが離れた後に、フリックの掃う動作が検知された方向に基づいて、画面上に表示されたオブジェクトを慣性移動させる技術が知られている。」

上記記載によれば、引用文献2には、「フリックをして指等とタッチパネルとが離れた後に、フリックの掃う動作が検知された方向に基づいて、画面上に表示されたオブジェクトを慣性移動させる」という技術的事項が記載されているといえる。

第4 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比する。

(ア)引用発明の「ハイパーリンク」は、本願発明1の「ファイルあるいはそのリンク先を示すファイル関連情報」に相当する。

(イ)引用発明の「タッチスクリーンディスプレイとの接触の発生および接触の発生後に行われるドラッグの方向を識別するためのドラッグ入力サブシステム」及び「ユーザが、ウェブページ上のハイパーリンクを押下し、そのハイパーリンクをページの外側にドラッグして、ハイパーリンクのリンク先にあるコンテンツ(そのURLに対応するウェブページ)が表示された新規ウィンドウをオープン(また任意選択的に、元のページと並べて閲覧するために既存ページを縮小)」する処理を司る構成(プロセッサ)は、本願発明1の「ファイルあるいはそのリンク先を示すファイル関連情報に対するファイルオープンの操作種類を判定し、前記操作種類が前記ファイル関連情報に対して移動を伴う画面の外側に向かうフリック操作と判定された場合に、前記フリック操作によるフリック方向を特定する操作判定部」及び「前記操作判定部により前記操作種類が操作対象のファイル関連情報に対して移動を伴うフリック操作と判定された場合、前記表示装置の表示画面を2分割して重ならないように前記フリック操作により特定されたフリック方向にウィンドウを並べて生成し、フリック方向先のウィンドウに操作対象のファイルをオープンして表示し、他方のウィンドウに元画面を表示する表示制御部」とは、「ファイルあるいはそのリンク先を示すファイル関連情報に対するファイルオープンの操作を判定し、前記操作が前記ファイル関連情報に対して移動を伴う画面の外側に向かう操作であると特定する操作判定部」及び「前記操作判定部により前記操作が操作対象のファイル関連情報に対して移動を伴う操作と判定された場合、前記表示装置の表示画面を2分割して重ならないようにウィンドウを並べて生成し、操作方向先のウィンドウに操作対象のファイルをオープンして表示し、他方のウィンドウに元画面を表示する表示制御部」である点では共通するといえる。

(ウ)引用発明の「タッチスクリーンディスプレイ」は、本願発明1の「表示装置の画面」に相当し、引用発明の「モバイルコンピューティングデバイス(例えば、スマートフォン)などのコンピューティングデバイスのユーザと対話するために使用できるシステム」は、後述する相違点を除き、本願発明1の「表示画面の画面上に指定されたファイルをオープンして表示する情報処理装置」に相当するといえる。

したがって、本願発明1と引用発明との間には、以下の一致点及び相違点があるといえる。

(一致点)
「表示装置の画面上に指定されたファイルをオープンして表示する情報処理装置であって、
ファイルあるいはそのリンク先を示すファイル関連情報に対するファイルオープンの操作を判定し、前記操作が前記ファイル関連情報に対して移動を伴う画面の外側に向かう操作であると特定する操作判定部と、
前記操作判定部により前記操作が操作対象のファイル関連情報に対して移動を伴う操作と判定された場合、前記表示装置の表示画面を2分割して重ならないようにウィンドウを並べて生成し、操作方向先のウィンドウに操作対象のファイルをオープンして表示し、他方のウィンドウに元画面を表示する表示制御部と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。」

(相違点)
共通点である「操作判定部」及び「表示制御部」について、本願発明1は「ファイルあるいはそのリンク先を示すファイル関連情報に対するファイルオープンの操作種類を判定し、前記操作種類が前記ファイル関連情報に対して移動を伴う画面の外側に向かうフリック操作と判定された場合に、前記フリック操作によるフリック方向を特定」し、「前記操作種類が操作対象のファイル関連情報に対して移動を伴うフリック操作と判定された場合、前記表示装置の表示画面を2分割して重ならないように前記フリック操作により特定されたフリック方向にウィンドウを並べて生成し、フリック方向先のウィンドウに操作対象のファイルをオープンして表示し、他方のウィンドウに元画面を表示する」ものであるのに対し、引用発明は、ドラッグの方向を識別し、ハイパーリンクをページの外側にドラッグすると、ハイパーリンクのリンク先にあるコンテンツ(そのURLに対応するウェブページ)が表示された新規ウィンドウをオープン(また任意選択的に、元のページと並べて閲覧するために既存ページを縮小)するものであるが、上記のような「ファイルオープンの操作種類」が「前記ファイル関連情報に対して移動を伴う画面の外側に向かうフリック操作」であることを判定し、「フリック操作により特定されたフリック方向にウィンドウを並べて生成し、フリック方向先のウィンドウに操作対象のファイルをオープンして表示し、他方のウィンドウに元画面を表示する」ものではない点。

(2)判断
上記相違点について検討する。
上記の引用文献2には、「フリックをして指等とタッチパネルとが離れた後に、フリックの掃う動作が検知された方向に基づいて、画面上に表示されたオブジェクトを慣性移動させる」という技術的事項が記載されているものの、上記相違点に係る本願発明1の構成は記載されておらず、示唆されてもいない。また、上記相違点に係る本願発明1の構成が、本願出願日前に周知技術であったとはいえないので、当業者といえども引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項から、相違点に係る本願発明1の「ファイルオープンの操作種類」が「前記ファイル関連情報に対して移動を伴う画面の外側に向かうフリック操作」であることを判定し、「フリック操作により特定されたフリック方向にウィンドウを並べて生成し、フリック方向先のウィンドウに操作対象のファイルをオープンして表示し、他方のウィンドウに元画面を表示する」という構成を容易に想到することはできない。

したがって、本願発明1は、当業者であっても、引用発明に基づいて容易に発明をすることができたとはいえない。

2.本願発明2-4について
本願発明2-4は、上記相違点に係る本願発明1の構成と同じ構成を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

3.本願発明5、6について
本願発明5、6は、上記相違点に係る本願発明1の構成と同様の構成を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、引用文献1に記載された発明であるとはいえないし、当業者であっても、引用発明に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

第5 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。 よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2018-06-18 
出願番号 特願2013-160355(P2013-160355)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G06F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 円子 英紀  
特許庁審判長 千葉 輝久
特許庁審判官 安久 司郎
山田 正文
発明の名称 情報処理装置、情報処理方法及びそのプログラム  
代理人 宮尾 明茂  
代理人 馬場 信幸  
代理人 藤本 英介  
代理人 神田 正義  

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