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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B60R
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B60R
管理番号 1341783
審判番号 不服2017-6255  
総通号数 224 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-08-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-04-28 
確定日 2018-06-28 
事件の表示 特願2014-144591号「自動車用内装材」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 2月 4日出願公開、特開2016- 20158号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本件出願(以下「本願」という。)は、平成26年7月14日の出願であって、平成28年4月22日付けで拒絶理由が通知され、同年7月20日に意見書及び手続補正書が提出され、同年12月20日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成29年4月28日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正書が提出され、同年12月21日付けで拒絶理由(以下「当審拒絶理由」という。)が通知され、平成30年1月29日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。

第2 本願発明及び明細書の記載事項
本願請求項1?2に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」?「本願発明2」という。)は、平成30年1月29日に提出された手続補正書に記載された事項により特定される次のとおりのものである。

「 【請求項1】
加熱絞り成形された自動車用内装材であって、室内側の表層と、上刃と下刃を有する両刃の打ち抜きパンチにより形成された複数の開孔を有する通気コントロール層との積層体に、クッション層が貼合わされてなり、前記通気コントロール層は、厚みが0.01?0.30mmであり、複数の前記開孔は、間隔が10?50mmでほぼ格子状に並べられており、開孔径が0.5mm?8mmであることを特徴とする自動車用内装材。
【請求項2】
前記積層体は、中間吸音層と遮音層を介して、前記クッション層が貼合わされていることを特徴とする請求項1に記載の自動車用内装材。」

また、本願明細書における発明の詳細な説明には、次の事項が記載されている(下線は当審で付加した。以下同様。また、以下「A」?「C」の記載事項は、それぞれ「記載事項A」?「記載事項C」という。)。

A「【0002】
一般に、自動車(タイヤ省略)は、図7の如く、前方にエンジン室61、後方にトランク室62があり、その中間に客室63がある。客室63には前席64、後席64′があり、床(鋼板パネル)65にはフロアーカーペット66が敷かれている。また、前記エンジン室61側にはダッシュインシュレーター67、前記トランク室62側にはトランクトリム68が設けられている。これらフロアーカーペット66、ダッシュインシュレーター67、及びトランクトリム68は、何れも繊維質の材料を中心に構成され、騒音を吸収できるようにしている。特にフロアーカーペット66は遮音性や吸音性に優れた材料が使われていることは勿論である。自動車騒音の種類としてはウインドウから入ってくる車外からの各種の音、道路に接するタイヤから発する音、エンジンから発生する音などがあるが、その騒音の周波数帯域としては630?2500Hzで大きく、この周波数帯域の騒音を抑制することが求められている。
【0003】
前記フロアーカーペット66の形状は、車種により異なるが、一般的には快適性の観点から客室63の前席64及び後席64′の足元を深くすることから全体的には凹凸形状になっている。しかも、前記フロアーカーペット66は、足元の底部の厚みを大きくしている。そして、前記フロアーカーペット66は、室内側の表層、開孔を有する通気コントロール層を積層したものに、クッション層を貼合わせて製造されている。その製造工程では、加熱し、車種によって決められた成形型にて絞り成形して凹凸形状に仕上げてからトリミング処理して完成する。
【0004】
前記フロアーカーペット66に関する特許文献として幾つか公開されている。一つは特表平05-504528である。これは通気コントロール層に、厚さ2mm、開孔径9mmの重い材料が使用されていたが、最近では厚さ0.8mm程の軽い材料(プラスチックフイルム)で作られるようになってきた。しかしながら、開孔径が9mm以上であると、加熱に際し、開孔に熱が集中し、表層(意匠層)が局部的に焼け、斑点模様が顕在化し、意匠性を損なうことがあった。また、開孔間隔を小さくすると、絞り加工時に通気コントロール層が開孔に沿って破れ易くなるという問題があった。」

B「【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1のものは、通気コントロール層に問題が多く、また、特許文献2のものは、630?2500Hzの騒音の周波数帯域での吸音性能に欠けた。さらに、特許文献3のものは、熱可塑性樹脂パウダーでは流れ抵抗値が安定しないという問題があった。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するもので、その目的とする処は、630?2500Hzの騒音の周波数帯域で適正な吸音性が確保できるようにした自動車用内装材を提供することにある。」

C「【0019】
次に、本発明の実施の態様について図面を参照して説明する。図1は本願内装材の拡大断面図、図2は通気コントロール層の平面図、図3は開孔形成器具で、(a)は両刃の打ち抜きパンチ、(b)は針体、図4は試料1?4の吸音性能を示すグラフ図、図5はクッション層の層中に吸音層と遮音層とを備えた場合の拡大断面図、図6は試料5?7の吸音性能を示すグラフ図、図7は一般的な自動車の内装材の配置を示す断面図である。
【0020】
本願内装材1は、自動車のフロアーカーペット65やダッシュインシュレーター67やトランクトリム68に使用されるもので、図1の如く、上から表層2、開孔31を有する通気コントロール層3の順に積層した積層体4と、該積層体4の下面に貼着したクッション層5とからなっている。前記表層2は、客室の床65に敷くフロアーカーペット66やトランクトリム68では、人の目に触れ、騒音も吸収したことから意匠層2a及び吸音層2bを用いるが、ダッシュインシュレーター67では人の目に触れ難いので意匠層2aを用いずに、繊維質の材料を中心に構成することもある。前記クッション層5は、車体側の振動を吸収するものであるが、前記積層体4の下面に中間吸音層6及び遮音層7を介装することもある。
【0021】
前記表層2に使用する意匠層2aは、タフトカーペット層やニードルパンチ層が使用され、見かけ上の面密度は150?600g/m2である。また、吸音層2bは吸音性能を向上させるために設置され、PET(ポリエチレンテレフタレート)素材か綿素材が用いられ、見かけ上の面密度は200?1000g/m2である。
【0022】
前記通気コントロール層3は、材質としてはPET材、ABS材、ナイロン材、ポリエチレン材、ポリプロピレン材など熱可塑性樹脂のフイルムが用いられている。前記クッション層5は車体形状により部分的に厚みが2?50mmの範囲で異なっている。材質にはPET素材、綿素材、ウレタンフォームなどがある。
【0023】
前記通気コントロール層3の厚みは、0.01?0.30mmの範囲のフイルムが使われ、通気性を確保するために、図2の如く、多数の開孔31を設けている。該開孔31の形状については、特に拘らないが、円形状でも楕円形状でもよく、その径Rは0.5?8mmの範囲が良い。また、開孔間隔K、K′は10?50mmでほぼ格子状(又は千鳥状)に並んでいる。前記開孔31の加工方法については、図3(a)の如く、フイルムを挟んで上刃32aと下刃32bを有する両刃の打ち抜きパンチ32を用いるとバリが少なくシャープになるので好ましい。一方、図3(b)の如く、フイルムの上面から針体33を突き抜くようにするとフイルムにバリができるのでシャープさがなくなる。
【0024】
前記フロアーカーペット66の製作実験によると、開孔31の径Rを8mmより大きく(9mm以上)すると、カーペット製造工程のオープン加熱炉による熱処理時に熱が集中して前記表層2に斑点模様が生じてしまうとの弊害が顕著になった。前記開孔31の間隔K、K′を10mm未満とすると通気の乱れが生じ易く、50mmを超えると、隣接する開孔との間隔が開き過ぎ、通気個所と抵抗個所との大きな差が生じる虞があった。そして、前記開孔31の開孔率(含む間隔や開孔径など)によって流れ抵抗値に影響を与えるものである。」

第3 当審拒絶理由の概要
当審の拒絶の理由である、平成29年12月21日付け拒絶理由通知の理由は、概略、次のとおりのものである。
本願発明1は、引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
あるいは、本願発明1は、引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
また、本願発明2は、引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された技術的事項、引用文献3に記載された技術的事項に基いて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献1:特開2013-139188号公報
引用文献2:特開2004-122545号公報
引用文献3:特開2011-173446号公報

第4 各引用文献の記載事項等
1 引用文献1に記載された事項及び発明
当審拒絶理由に引用文献1として示され、本願の出願日前に頒布された特開2013-139188号公報(以下、当審拒絶理由と同様に「引用文献1」という。)には、以下の事項が記載されている(下線は当審で付加した。以下同様。また、以下「1a」?「1d」の記載事項は、それぞれ「記載事項(1a)」?「記載事項(1d)」という。)。

(1a)「【請求項1】
不織布からなる表皮層と、
繊維材、バインダー樹脂及びガラス繊維からなる吸音層と、
該表皮層と該吸音層との間に介在され、通気孔を開孔した合成樹脂製フィルムとを備えた自動車のエンジンルーム内インシュレータであって、
該吸音層の該繊維材の主体が雑綿からなることを特徴とする自動車のエンジンルーム内インシュレータ。」

(1b)「【0022】
図1に示すように、エンジンルーム内インシュレータを構成する吸音材1は、吸音層2に合成樹脂製フィルム3が積層され、その上に表皮層4が積層されて一体的に形成されている。合成樹脂製フィルム3には、複数の通気孔5が形成されている。
【0023】
この吸音材1は、図示しない自動車のエンジンルーム内の壁面に取り付けられて、該エンジンルーム内の騒音を低減するために用いられる。
【0024】
吸音層2は、吸音性が強く求められると共に、成形性、形状保持性等が求められる。吸音層2は、ガラス繊維、バインダー樹脂及び繊維材からなる。バインダー樹脂は、フェノール樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニルから選ばれる少なくとも一つからなる。繊維材は、主として雑綿からなる。ここで言う雑綿とは、代表的な物としては、使用済みの樹脂製繊維や天然繊維等であって、例えば熱硬化性フェルトを粉砕した物、コットン等も含まれる。
【0025】
吸音層2の雑綿は40?55重量%、バインダー樹脂は25?35重量%、ガラス繊維は20?25重量%とすることが好ましい。ガラス繊維は、少なすぎると形状保持性、吸音性能が悪くなる。バインダー樹脂は、少なすぎると接着性及び成形性が悪くなる。従って、ガラス繊維及びバインダー樹脂は上記範囲とすることが好ましい。雑綿はできるだけ多く混入できれば好ましいが、そうするとガラス繊維及びバインダー樹脂が相対的に少なくなるので、上記範囲とすることが好ましい。
【0026】
合成樹脂製フィルム3は、加熱成形時に完全に溶融してなくならずに残っており、且つ適正な膜振動特性を得られるためには、ポリエチレン樹脂、特にLDPE(低密度ポリエチレン樹脂)が好ましい。合成樹脂製フィルム3の厚さは、20?50μmが好ましい。厚すぎると膜振動性が悪くなり、吸音性能が悪くなり、薄すぎると加熱成形時にフィルム層が存在しなくなるので、上記範囲とすることが好ましい。
【0027】
合成樹脂製フィルム3の通気孔5は、開孔径がφ1?10mm、5?15mmのピッチ間隔で、開孔率が2.5?10%が好ましい。開孔径は小さすぎると、所定の吸音性能が得られず、大きすぎると膜振動機能が低下するので、上記範囲とすることが好ましい。
【0028】
ピッチ間隔は広すぎると高周波数領域の吸音性能が低下し、狭すぎると低周波数領域の吸音性能が低下するので、上記範囲とすることが好ましい。
【0029】
開孔率は小さいと高周波数領域の吸音性能が低下し、大きいと低周波数領域の吸音性能が低下するので、上記範囲とすることが好ましい。
【0030】
本発明の通気孔5の開孔径、ピッチ間隔、開孔率は加熱成形する前の値である。加熱成形時には、溶融状態によって少し値が変わることがあるので、上記の値とした。また、合成樹脂フィルム3の厚みによって、開孔径、開孔率の好ましい範囲は異なり、厚みが薄くて開孔径が小さいほど許容できる開孔率の範囲が広くなる。
【0031】
吸音材1の全体の層厚さ(即ち吸音層2、合成樹脂フィルム3及び表皮層4の合計厚さ)は、5?30mmが好ましい。この全体層の目付量は、500?2000g/m^(2)が好ましい。この範囲よりも厚すぎると、エンジンルームのスペース上で採用できなくなり、薄すぎると必要な機能を得られなくなる。
【0032】
表皮層4は、PET、PPを主体とする合成樹脂、或いはこれらの積層体からなる不織布である。表皮層4には、エンジンルームでの耐熱性や、見映えやガラス繊維の飛散防止が求められる。
【0033】
本発明のエンジンルーム内インシュレータの製造方法は、次の通りである。雑綿、ガラス繊維及びバインダー樹脂を混合した吸音層2となるシート材を用意し、このシート材に合成樹脂製フィルム3及び表皮材4を重ねて、成形型内で加熱・加圧して成形する。成形時の成形温度は160?250℃が好ましい。成形温度が低すぎると成形性や接着力が悪くなり、成形温度が高すぎると合成樹脂フィルムがすべて溶融する。」

(1c)「【0035】
(実施例1)
表皮層は目付40g/m^(2)のPET樹脂製不織布である。
【0036】
合成樹脂製フィルムは、厚さ(成形前の厚さ)20μmのLDPE(低密度ポリエチレン樹脂)であり、このフィルムの通気孔の開孔径はφ2mmで、その開孔率は10%で、そのピッチ間隔は10mmである。
【0037】
吸音層は目付量1000g/m^(2)であって、ガラス繊維が23重量%、フェノール樹脂(バインダー樹脂)が30重量%、雑綿が47重量%の割合からなる。
【0038】
吸音材の全体の厚さは20mmである。
【0039】
吸音層、合成樹脂製フィルム及び表皮層からなる吸音材料を、金型温度を200℃にして、型間隔を20mmで10kg/cm^(2)に加圧して60秒の間保持することによって、図1のような吸音材を作製した。」

(1d)引用文献1には以下の図が示されている。


また、上記記載事項及び図示内容によれば、以下の事項が認められる。
(1e)段落【0022】?【0023】の「エンジンルーム内インシュレータを構成する吸音材1は、吸音層2に合成樹脂製フィルム3が積層され、その上に表皮層4が積層されて一体的に形成されている。・・・この吸音材1は、図示しない自動車のエンジンルーム内の壁面に取り付けられて、該エンジンルーム内の騒音を低減するために用いられる。」(記載事項(1b))という記載を参照すると、エンジンルーム内インシュレータは、自動車のエンジンルーム内の壁面に取り付けられることが明らかである。

(1f)上記認定事項(1e)を踏まえ、段落【0032】の「表皮層4には、エンジンルームでの・・・見映え・・・が求められる。」(記載事項(1b))という記載を参照すると、エンジンルーム内インシュレータは、表皮層4が室内側となるように取り付けられることが明らかである。

以上の記載事項(1a)?(1d)及び認定事項(1e)、(1f)を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「不織布からなる表皮層4と、
繊維材、バインダー樹脂及びガラス繊維からなる吸音層2と、
該表皮層4と該吸音層2との間に介在され、通気孔5を開孔した合成樹脂製フィルム3とを備えた自動車のエンジンルーム内インシュレータであって、
該吸音層2の該繊維材の主体が雑綿からなり、
上記エンジンルーム内インシュレータは、自動車のエンジンルーム内の壁面に、上記表皮層4が室内側となるように取り付けられ、
上記雑綿は、使用済みの樹脂製繊維や天然繊維であって、熱硬化性フェルトを粉砕した物、コットンも含まれ、
上記エンジンルーム内インシュレータは、雑綿、ガラス繊維及びバインダー樹脂を混合した吸音層2となるシート材を用意し、このシート材に合成樹脂製フィルム3及び表皮材4を重ねて、成形型内で加熱・加圧して成形するものであり、
上記合成樹脂製フィルム3は、厚さ(成形前の厚さ)20μmのLDPE(低密度ポリエチレン樹脂)であり、このフィルムの通気孔5の開孔径はφ2mmで、そのピッチ間隔は10mmである、
自動車のエンジンルーム内インシュレータ。」

2 引用文献2に記載された事項
当審拒絶理由に引用文献2として示され、本願の出願日前に頒布された特開2004-122545号公報(以下、当審拒絶理由と同様に「引用文献2」という。)には、以下の事項が記載されている。

(2a)「【0040】
次に、上記熱成形性芯材Aの製造方法について説明する。この熱可塑性芯材Aの製造方法としては、特に限定されず、例えば、イ)熱可塑性樹脂シート(1a)、この熱可塑性樹脂シート(1a)を構成する熱可塑性樹脂の融点よりも高い融点を有する熱可塑性樹脂シート(2a)及びホットメルト樹脂シートをこの順で積層一体化してなる表側積層シートを一枚作製し、この表側積層シートに両面間に亘って貫通する貫通孔を貫設する一方、上記熱可塑性樹脂シート(1a)と同様の熱可塑性樹脂からなる熱可塑性樹脂シート(1b)上にこの熱可塑性樹脂シート(1b)を構成する熱可塑性樹脂の融点よりも高い融点を有する熱可塑性樹脂シート(2b)を積層一体化させてなる裏側積層シートを一枚作製する。一方、耐熱性繊維或いは耐熱性繊維と熱可塑性樹脂繊維との混合繊維を絡合させてなる不織マットを別途用意し、この不織マットの表面に表側積層シートをそのホットメルト樹脂シートが外側となるように積層すると共に、他面に裏側積層シートをその熱可塑性樹脂シート(2b)が外側となるように積層して積層体を製造する。しかる後、この積層体を、上記熱可塑性樹脂シート(1a)(1b)及びホットメルト樹脂シート更に熱可塑性樹脂繊維がある場合には熱可塑性樹脂繊維が溶融し且つ熱可塑性樹脂シート(2a)(2b)が溶融しない温度に加熱した上で、上記積層体を厚み方向に圧縮し、溶融状態の熱可塑性樹脂シート(1a)(1b)のみを不織マット内に含浸させ、次に、積層体を厚み方向に拡開させ、耐熱性繊維同士を熱可塑性樹脂で結着させて熱成形性芯材Aを製造する製造方法。ロ)耐熱性繊維或いは耐熱性繊維と熱可塑性樹脂繊維との混合繊維を絡合させてなる不織マットを用意し、この不織マットの両面に熱可塑性樹脂シート(1a)(1b)を積層させる。一方、この熱可塑性樹脂シート(1a)を構成する熱可塑性樹脂の融点よりも高い融点を有する熱可塑性樹脂シート(2a)上にホットメルト樹脂シートを積層一体化してなる積層シートを1枚作製し、この積層シートに両面間に亘って貫通する貫通孔を貫設する。そして、上記不織マットの熱可塑性樹脂シート(1a)上に積層シートを、熱可塑性樹脂シート(1b)上にこの熱可塑性樹脂シート(1b)を構成する熱可塑性樹脂の融点よりも高い融点を有する熱可塑性樹脂シート(2b)を積層して積層体を製造する。しかる後、この積層体を、上記熱可塑性樹脂シート(1a)(1b)及びホットメルト樹脂シート更に熱可塑性樹脂繊維がある場合には熱可塑性樹脂繊維が溶融し且つ熱可塑性樹脂シート(2a)(2b)が溶融しない温度に加熱した上で、上記積層体を厚み方向に圧縮し、溶融状態の熱可塑性樹脂シート(1a)(1b)のみを不織マット内に含浸させ、次に、積層体を厚み方向に拡開させ、耐熱性繊維同士を熱可塑性樹脂で結着させて熱成形性芯材Aを製造する製造方法等が挙げられる。ここで、上記熱可塑性樹脂シート(2a)が熱成形性芯材Aの表側合成樹脂層を、上記熱可塑性樹脂シート(2b)が熱成形性芯材Aの裏側合成樹脂層を、上記熱可塑性樹脂シート(1a)(1b)を構成する熱可塑性樹脂及び溶融した熱可塑性樹脂繊維が多孔質材1中の熱可塑性樹脂を構成する。
【0041】
なお、上記積層シートに貫通孔を貫設する方法としては、特に限定されず、例えば、積層シートにパンチによって貫通孔を貫設する方法、積層シートに部分的に熱を加えることによって積層シートの所定部分を溶融開口させて貫通孔を貫設する方法等が挙げられ、任意の大きさの貫通孔を精度良く貫設することができることから、積層シートにパンチによって貫通孔を貫設する方法が好ましい。」

第3 対比
本願発明1と引用発明とを対比する。

1 引用発明の「エンジンルーム内インシュレータ」は、「自動車のエンジンルーム内の壁面に」「取り付けられ」るものであるから、本願発明1の「自動車用内装材」に相当する。

2 引用発明の「エンジンルーム内インシュレータ」は、「雑綿、ガラス繊維及びバインダー樹脂を混合した吸音層2となるシート材を用意し、このシート材に合成樹脂製フィルム3及び表皮材4を重ねて、成形型内で加熱・加圧して成形する」ものであるから、引用発明の「シート材に合成樹脂製フィルム3及び表皮材4を重ね」たものを「加熱」し、「成形型内で」、「加圧して成形」することは、本願発明1の「加熱絞り成形」と、加熱成形の点で共通している。
そうすると、引用発明が「雑綿、ガラス繊維及びバインダー樹脂を混合した吸音層2となるシート材を用意し、このシート材に合成樹脂製フィルム3及び表皮材4を重ねて、成形型内で加熱・加圧して成形」された「エンジンルーム内インシュレータ」であることは、本願発明1の「加熱絞り成形された自動車用内装材」と「加熱成形された自動車用内装材」の限度で一致する。

3 引用発明の「エンジンルーム内インシュレータ」は、「自動車のエンジンルーム内の壁面に、上記表皮層4が室内側となるように取り付けられ」ているから、引用発明の「表皮層4」は、本願発明1の「室内側の表層」に相当する。

4 本願発明1の「クッション層」の意義は、本願明細書の段落【0020】の「クッション層5は、車体側の振動を吸収する」という記載及び段落【0022】の「クッション層5は・・・材質にはPET素材、綿素材、ウレタンフォームなどがある。」(いずれも記載事項C)という記載を参照すると、振動を吸収することである。また、具体的な材質としては、綿素材を含んでいる。
ここで、引用発明の「吸音層2」は、「繊維材、バインダー樹脂及びガラス繊維からなる」ものであって、空気の振動である音を吸収するのであるから、振動を吸収することは明らかである。
また、引用発明の「吸音層2」は、「該吸音層の該繊維材の主体が雑綿からな」るものであるが、「上記雑綿は、使用済みの樹脂製繊維や天然繊維」であって、「コットンも含まれ」るのであるから、引用発明の「吸音層2」は、その具体的な材質においても、本願発明1の「クッション層」と共通している。
そうすると、引用発明の「吸音層2」は、その意味、機能または構造からみて、本願発明1の「クッション層」に相当する。

5 本願発明1の「通気コントロール層」の意義は、本願明細書の段落【0023】の「通気コントロール層3・・・通気性を確保するために、・・・多数の開孔31を設けている。」(記載事項C)という記載を参照すると、通気性を確保することである。また、そのための構造として、多数の開孔を設けている。
そうすると、引用発明の「該表皮層4と該吸音層2との間に介在され、通気孔5を開孔した合成樹脂製フィルム3」は、その意味、機能または構造からみて、本願発明1の「通気コントロール層」に相当する。

6 上記3?5を踏まえると、引用発明の「自動車のエンジンルーム内インシュレータ」が「該表皮層4と該吸音層2との間に介在され、通気孔5を開孔した合成樹脂製フィルム3とを備え」ることは、本願発明1の「室内側の表層と、上刃と下刃を有する両刃の打ち抜きパンチにより形成された複数の開孔を有する通気コントロール層との積層体に、クッション層が貼合わされてな」ることと、「室内側の表層と、複数の開孔を有する通気コントロール層との積層体に、クッション層が貼合わされてな」ることの限度で一致する。

7 引用発明の「合成樹脂製フィルム3」は、「厚さ(成形前の厚さ)20μm」であるから、その厚さ(0.02mm)は、0.01?0.30mmの範囲に含まれる。
また、引用発明の「合成樹脂製フィルム3」の「通気孔5」は「ピッチ間隔」が「10mmである」から、面であるフィルムの上で一定間隔に配置されていることは明らかであり、またその間隔は10?50mmの範囲に含まれる。
さらに、引用発明の「合成樹脂製フィルム3」は、「通気孔5」の「開孔径」が「φ2mm」であるから、その径(2mm)は0.5mm?8mmの範囲に含まれる。
そうすると、引用発明の「上記合成樹脂製フィルム3は、厚さ(成形前の厚さ)20μmのLDPE(低密度ポリエチレン樹脂)であり、このフィルムの通気孔5の開孔径はφ2mmで、そのピッチ間隔は10mmである」ことは、本願発明1の「前記通気コントロール層は、厚みが0.01?0.30mmであり、複数の前記開孔は、間隔が10?50mmでほぼ格子状に並べられており、開孔径が0.5mm?8mmである」ことと、「前記通気コントロール層は、厚みが0.01?0.30mmであり、複数の前記開孔は、間隔が10?50mmで一定間隔に並べられており、開孔径が0.5mm?8mmである」ことの限度で一致する。

以上のことから、本願発明1と引用発明とは以下の点で一致し、また、以下の点で一応相違する。

<一致点>
「加熱成形された自動車用内装材であって、室内側の表層と、複数の開孔を有する通気コントロール層との積層体に、クッション層が貼合わされてなり、前記通気コントロール層は、厚みが0.01?0.30mmであり、複数の前記開孔は、間隔が10?50mmで一定間隔に並べられており、開孔径が0.5mm?8mmである自動車用内装材。」

<相違点1>
「自動車用内装材」がされる「加熱成形」に関し、
本願発明1は、「加熱絞り成形」であるのに対し、
引用発明は、そのように特定されていない点。

<相違点2>
「複数の開孔」に関し、
本願発明1は、「上刃と下刃を有する両刃の打ち抜きパンチにより形成され」ているのに対し、
引用発明は、そのように特定されていない点。

<相違点3>
「複数の開孔」の「並べ」方に関し、
本願発明1は、「ほぼ格子状」であるのに対し、
引用発明は、そのように特定されていない点。

第4 判断
以下、相違点について検討する。
<相違点1について>
1 本願明細書の段落【0003】?【0004】の「製造工程では、加熱し、車種によって決められた成形型にて絞り成形して凹凸形状に仕上げてからトリミング処理して完成する。・・・開孔径が9mm以上であると、加熱に際し、開孔に熱が集中し、表層(意匠層)が局部的に焼け、斑点模様が顕在化し、意匠性を損なうことがあった。また、開孔間隔を小さくすると、絞り加工時に通気コントロール層が開孔に沿って破れ易くなるという問題があった。」(記載事項A)という記載、段落【0020】の「本願内装材1は、自動車のフロアーカーペット65やダッシュインシュレーター67やトランクトリム68に使用される」(記載事項C)という記載を参照すると、本願発明1の「加熱絞り成形」における「絞り」の意義は、その製造工程において、素材から内装材(フロアーカーペット、ダッシュインシュレーター、トランクトリム)の凹凸形状に成形される際生じる変形の内容を意味すると理解できる。
ここで、引用発明の「エンジンルーム内インシュレータ」は、「雑綿、ガラス繊維及びバインダー樹脂を混合した吸音層2となるシート材を用意し、このシート材に合成樹脂製フィルム3及び表皮材4を重ねて、成形型内で加熱・加圧して成形するものであ」って、「自動車のエンジンルーム内の壁面に」「取り付けられ」ているから、その製造工程において、素材から自動車のエンジンルーム内の壁面に取り付けられる形状に成形されていることが明らかである。さらに、技術常識を踏まえると、引用発明の「エンジンルーム内インシュレータ」は、エンジンルームの壁面のエンジンルーム側に取り付けられ、本願発明1の「内装材」の一例であるダッシュインシュレーターは、客室側に取り付けられるものであるから、両者の凹凸形状は共にエンジンルームの壁面の形状に準じる点で変わるものではない。
そうすると、引用発明の「エンジンルーム内インシュレータ」は、その製造工程において、本願発明1における「内装材」と同程度の凹凸形状に成形されるものであるといえ、その際生じる変形の内容からみて、当該成形は「絞り」といえる。
したがって、「自動車用内装材」がされる「加熱成形」が「加熱絞り成形」である点は実質的な相違点とはいえないし、仮に実質的な相違点であるとしても、当業者が容易に想到し得るものといえる。

<相違点2について>
2 本願発明1は「自動車用内装材」という物の発明であるから、開孔を「上刃と下刃を有する両刃の打ち抜きパンチにより形成」するという形成方法の特定を備えたとしても、「自動車用内装材」という物としての構造、特性が規定されたものとはいえない。
そうすると、「複数の開孔」が「上刃と下刃を有する両刃の打ち抜きパンチにより形成され」る点は実質的な相違点とはいえない。

3 次に、開孔を「上刃と下刃を有する両刃の打ち抜きパンチにより形成」するという形成方法の特定が「自動車用内装材」という物としての構造、特性を規定するものと仮定して検討する。
引用文献1には開孔の具体的な形成方法が記載されていないが、引用文献2の段落【0040】?【0041】に「上記熱成形性芯材Aの製造方法について説明する。この熱可塑性芯材Aの製造方法としては、特に限定されず、例えば、イ)熱可塑性樹脂シート(1a)、この熱可塑性樹脂シート(1a)を構成する熱可塑性樹脂の融点よりも高い融点を有する熱可塑性樹脂シート(2a)及びホットメルト樹脂シートをこの順で積層一体化してなる表側積層シートを一枚作製し、この表側積層シートに両面間に亘って貫通する貫通孔を貫設する一方、上記熱可塑性樹脂シート(1a)と同様の熱可塑性樹脂からなる熱可塑性樹脂シート(1b)上にこの熱可塑性樹脂シート(1b)を構成する熱可塑性樹脂の融点よりも高い融点を有する熱可塑性樹脂シート(2b)を積層一体化させてなる裏側積層シートを一枚作製する。・・・上記積層シートに貫通孔を貫設する方法としては、特に限定されず、例えば、積層シートにパンチによって貫通孔を貫設する方法、・・・等が挙げられ、任意の大きさの貫通孔を精度良く貫設することができることから、積層シートにパンチによって貫通孔を貫設する方法が好ましい。」(記載事項(2a))と記載されているように、開孔を打ち抜きパンチにより形成することは、周知慣用の技術的事項であるといえる。
また、そのような打ち抜き加工において、「上刃と下刃を有する両刃」の構成は、ごく一般的な構成といえる(例として、特開2002-36405号公報の段落【0024】(凹部を有するダイスと凸部を有するダイス)、実願昭60-161156号(実開昭62-67737号)のマイクロフィルムの第1ページ下から3行?第2ページ下から4行及び第4?6図(下刃21、上刃23)、特開昭50-103776号公報の第1ページ右欄下から2行?第2ページ右上欄下から6行及び第1?3図(輪環状の下刃の刃先3、輪環状の上刃の刃先8)並びに特開平8-11092号公報の【0003】及び図3(筒状の下刃2’、筒状の上刃1’)が挙げられる。)。
そうすると、開孔を、上刃と下刃を有する両刃の打ち抜きパンチにより形成することは、当業者にとって常套手段ともいうべきものであって、引用発明における開孔は、上刃と下刃を有する両刃の打ち抜きパンチにより形成されたものと理解することもできるから、開孔を「上刃と下刃を有する両刃の打ち抜きパンチにより形成」するという形成方法の特定が「自動車用内装材」という物としての構造、特性を規定するものと仮定しても、「複数の開孔」が「上刃と下刃を有する両刃の打ち抜きパンチにより形成され」る点は実質的な相違点とはいえない。あるいは、「複数の開孔」の具体的な形成方法が特定されていない引用発明において、自動車用内装材の技術分野における積層シートに貫通孔を貫設する点で軌を一にする引用文献2の記載を参考とし、打ち抜き加工では「上刃と下刃を有する両刃」の構成がごく一般的な構成であることも踏まえ、「複数の開孔」を「上刃と下刃を有する両刃の」「パンチ」によって貫設することは、当業者にとって格別困難なこととはいえない。

<相違点3について>
4 上記「第3 7」で述べたとおり、引用発明の「合成樹脂製フィルム3」の「通気孔5」は「ピッチ間隔」が「10mmである」から、通気孔5が面であるフィルムの上で一定間隔に配置されていることは明らかである。
ここで、孔を一定間隔に配置する並べ方として、格子状と千鳥状の2種の並べ方が存在することが技術常識であるから、引用発明の「通気孔5」の並べ方として、格子状も想定されているといえ、「複数の開孔」の「並べ」方が「ほぼ格子状」である点は実質的な相違点とはいえない。あるいは、存在する2種の並べ方のうち格子状の並べ方を採用して、「複数の開孔」を「ほぼ格子状」に並べることは、当業者にとって格別困難なこととはいえない。

<請求人の主張について>
5 請求人は、審判請求書(【請求の理由】3.(4)(4-1))において、「引用文献5(審決注:上記「第4 1」の引用文献1)に記載の発明は、エンジンルーム内インシュレータであって、タイヤなどを配置するための深い凹凸を加熱絞りによって形成する必要がなく、加工時にも通常数%の伸びしかないため、孔の形成精度を高くする必要性が低い。そして、引用文献5に記載の発明は、開孔間隔が10?15mmの範囲内であってもよい点が請求項1に係る発明と一致するが、開孔が打ち抜きパンチにより形成されることについては開示も示唆もしていない。」と主張し、平成29年1月29日付け意見書(【意見の内容】四.)において、「引用文献1,2のいずれにも、「上刃と下刃を有する両刃の打ち抜きパンチにより形成された複数の開孔を有する通気コントロール層」については開示も示唆もありません。」と主張する。
しかしながら、「加熱絞り成形」の字義及び本願明細書の段落【0003】?【0004】の「製造工程では、加熱し、車種によって決められた成形型にて絞り成形して凹凸形状に仕上げてからトリミング処理して完成する。・・・開孔径が9mm以上であると、加熱に際し、開孔に熱が集中し、表層(意匠層)が局部的に焼け、斑点模様が顕在化し、意匠性を損なうことがあった。また、開孔間隔を小さくすると、絞り加工時に通気コントロール層が開孔に沿って破れ易くなるという問題があった。」(記載事項A)という記載、段落【0008】の「本発明は、・・・その目的とする処は、630?2500Hzの騒音の周波数帯域で適正な吸音性が確保できるようにした自動車用内装材を提供することにある。」(記載事項B)という記載、段落【0020】の「本願内装材1は、自動車のフロアーカーペット65やダッシュインシュレーター67やトランクトリム68に使用される」(記載事項C)という記載、段落【0024】の「前記フロアーカーペット66の製作実験によると、開孔31の径Rを8mmより大きく(9mm以上)すると、カーペット製造工程のオープン加熱炉による熱処理時に熱が集中して前記表層2に斑点模様が生じてしまうとの弊害が顕著になった。前記開孔31の間隔K、K′を10mm未満とすると通気の乱れが生じ易く、50mmを超えると、隣接する開孔との間隔が開き過ぎ、通気個所と抵抗個所との大きな差が生じる虞があった。」(記載事項C)という記載を参照しても、「加熱絞り加工」の意義を、タイヤなどを配置するための深い凹凸を形成するものに限定して解すべき理由はない。
そうすると、上記「第4 1」で述べたとおり、引用発明の「雑綿、ガラス繊維及びバインダー樹脂を混合した吸音層2となるシート材を用意し、このシート材に合成樹脂製フィルム3及び表皮材4を重ねて、成形型内で加熱・加圧して成形」された「エンジンルーム内インシュレータ」と、本願発明1の「加熱絞り成形された自動車用内装材」は実質的な相違点を有しないということもできる。
また、上記2、3で述べたとおり、開孔を、上刃と下刃を有する両刃の打ち抜きパンチにより形成することは、当業者にとって常套手段ともいうべきものであって、引用発明における「合成樹脂製フィルム3」(本願発明1の「通気コントロール層」に相当。)の開孔は「上刃と下刃を有する両刃」の「打ち抜きパンチ」により形成されたものと理解することもでき、「複数の開孔」が「上刃と下刃を有する両刃」の「打ち抜きパンチにより形成され」る点は実質的な相違点とはいえない。あるいは、引用文献2に記載された技術的事項を参考とし、打ち抜き加工では「上刃と下刃を有する両刃」の構成がごく一般的な構成であることも踏まえて、そのように構成することは当業者にとって格別困難なことではない。
したがって、上記主張は採用できない。

第5 むすび
以上のとおりであるから、本願発明1は、引用発明、すなわち、引用文献1に記載された発明であるといえ、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
あるいは、本願発明1は、引用文献1に記載された発明(引用発明)及び引用文献2に記載された技術的事項(周知慣用の技術的事項)に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2018-04-25 
結審通知日 2018-05-01 
審決日 2018-05-14 
出願番号 特願2014-144591(P2014-144591)
審決分類 P 1 8・ 113- WZ (B60R)
P 1 8・ 121- WZ (B60R)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 田々井 正吾  
特許庁審判長 氏原 康宏
特許庁審判官 中田 善邦
島田 信一
発明の名称 自動車用内装材  
代理人 古谷 史旺  
代理人 大橋 剛之  
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