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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1341826
審判番号 不服2017-12642  
総通号数 224 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-08-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-08-25 
確定日 2018-07-05 
事件の表示 特願2016-96086号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成28年8月4日出願公開、特開2016-137382号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1 手続の経緯の概要
本願は,平成16年2月16日に出願した特願2004-38589号の一部を平成24年7月10日に新たな特許出願(特願2012-154755号)とし、さらに、その一部を平成28年5月12日に新たな特許出願(特願2016-96086号)としたものであって、同年6月6日に手続補正書が提出され、平成29年1月30日付け拒絶理由通知に対して、同年3月28日付けで意見書が提出されたところ、同年6月1日付けで拒絶査定がなされ(発送日:同年6月6日)、これに対して、同年8月25日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。

2 本願発明
本願の請求項1?2に係る発明は、平成28年6月6日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?2に記載されたとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。
「A 図柄変動遊技を行う図柄変動遊技実行手段と、
B 所定の大当たり遊技を提供する大当たり遊技提供手段と、を備えた遊技機であって、
C 当該遊技機による遊技の期間である遊技期間を計測する期間計測手段と、
D 前記図柄変動遊技における態様を複数の態様の中から抽選する態様抽選手段と、を備え、
E 該期間計測手段による計測値が所定値に到達した場合、前記複数の態様は、前記計測値が前記所定値に未到達のときには含まれない態様を含み、
F 前記所定値をあらかじめ定められた範囲内から抽選して決定する所定値決定手段を備え
ていることを特徴とする遊技機。」(A?Fは、当審にて分説して付与した。)

3 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1?2に係る発明は、本願の遡及日前に頒布された下記の刊行物1?2に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

刊行物1:特開2003-251007号公報
刊行物2:特開2004-16704号公報

4 刊行物に記載された発明
(1)原査定の拒絶の理由で引用された、本願の遡及日前に頒布された刊行物である特開2003-251007号公報には、次の事項が記載されている。

・記載事項
ア 「【特許請求の範囲】
【請求項1】 図柄を含む遊技情報を表示する表示手段と、
所定の始動信号の入力に基づいて、大当りかはずれかの抽選を行う大当り抽選手段と、
所定の始動信号の入力に基づいて、前記表示手段によって表示させる図柄を複数種類の図柄の中から選択する図柄選択手段と、
前記大当り抽選手段による抽選の結果、大当りであるとき、所定の大当り遊技を提供する大当り遊技提供手段と、
所定の移行条件が満足された場合に、遊技状態を通常の遊技状態である通常遊技状態から該通常遊技状態よりも遊技者にとって有利な遊技状態である特別遊技状態に移行する一方、所定の終了条件が満足された場合には、該特別遊技状態を終了し、遊技状態を前記特別遊技状態から前記通常遊技状態に戻す遊技状態移行手段と、を備えた遊技機であって、
前記表示手段は、前記遊技状態移行手段により遊技状態が前記特別遊技状態から前記通常遊技状態に戻された後、所定期間が経過するまでの間、前記通常遊技状態および前記特別遊技状態における画像とは異なる画像を表示することを特徴とする遊技機。
・・・
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、パチンコホールなどの遊技場で利用される遊技機に関する。」

イ 「【0051】次に、本実施形態における特別図柄遊技を説明する。特別図柄表示装置40は、主に、特別図柄遊技に関する情報を表示するもので(もちろん、特別図柄遊技に関する情報だけでなく、特別図柄遊技が行われていないときに表示されるデモ画面やエラーのときに表示されるエラー表示も、この特別図柄表示装置40に表示される)、該情報としては、大当り図柄(「777」など3つのゾロ目の特別図柄)や、はずれ図柄(「123」など3つがゾロ目でない特別図柄)などの図柄がある。これらのうち、大当り図柄には、特定大当り図柄(確変図柄ともいう)と非特定大当り図柄(非確変図柄ともいう)とがあり、図3に示したように、3、7を示す数字、および、5種類のマスコットキャラクタ(図3におけるAからE参照)の特別図柄による3つのゾロ目図柄(7種類)が特定大当り図柄であり、それ以外の1、2、4から6、8、9を示す数字の特別図柄による3つのゾロ目図柄(7種類)が非特定大当り図柄である。なお、特別図柄として採用するマスコットキャラクタの通称は、A-ドラキュラ、B-オオカミ男、C-マコ(魔女っ子)、D-フランケン、E-ミイラ男である。
【0052】この特別図柄表示装置40で行われる特別図柄遊技は、可変入賞装置30に遊技球が入賞することにより、該可変入賞装置30内に設けられた入賞センサ36が入賞した遊技球を検出することに起因して開始され、まず、大当りかはずれかを所定の大当り確率で抽選し、該抽選結果に基づいて、特別図柄を詳細は後述する過程(キャラクタ表示やリーチ表示等)を経て、最終的な確定図柄(最終的に確定表示した特別図柄のこと)、即ち、大当り図柄、または、はずれ図柄で確定し表示される。そして、該確定図柄が大当り図柄であれば、所定の大当り遊技が行われ、更に、該大当り図柄が特定大当り図柄ならば、大当り遊技終了後、次回の大当り図柄が、非特定大当り図柄で確定するまで、所定の大当り確率を高くする高確率状態、即ち、確変状態になる。
【0053】また、特別図柄遊技においては、大当り図柄またははずれ図柄を確定表示する過程において表示するアニメーションとして、アニメーション序部とアニメーション主部とがある。アニメーション序部は、特別図柄遊技を開始する前、即ち、特別図柄が変動する前に、先立って表示されるアニメーションであって、特別図柄遊技を演出するために行われる。本実施形態においては、図4に示したような7種類(キャラクタ表示2から8)のアニメーションのいずれかが表示される場合と、アニメーションの表示が行われない場合(キャラクタ表示1)とがある。また、アニメーション主部は、特別図柄遊技の遊技結果である大当り図柄またははずれ図柄を確定表示するまでに表示されるアニメーションであって、特別図柄遊技を演出するために行われる。本実施形態においては、図5に示したような16種類(リーチ表示1から16)のアニメーションのいずれかが表示される場合と、リーチ表示が行われない場合(はずれ図柄確定)とがある。なお、リーチ表示1から16は、少なくとも2つが同一の特別図柄(数字またはマスコットキャラクタ)で構成される大当り図柄またははずれ図柄を表示する際に、3つ目の特別図柄が他の2つと同一になるかどうか、つまり、大当りであるかはずれであるかを遊技者に期待させるために表示するアニメーションである。
・・・
【0055】マイコン70は、パチンコ遊技機1全体の動作を制御するCPU72、CPU72による処理手順などを記憶しているROM74、CPU72の処理結果などを記憶するRAM76、入出力インターフェース78などを備えている。CPU72は、始動ゲート10の始動センサ12、可変入賞装置30の入賞センサ36、大入賞装置50の特定領域センサ56およびカウントセンサ58などセンサ類からの検出信号を入力し、この検出信号に基づいて各種制御信号を普通図柄表示装置20、可変入賞装置30のソレノイド34、特別図柄表示装置40、大入賞装置50のソレノイド54などに出力する。
・・・
【0057】ROM74には、後述する第1通常遊技処理、特別遊技処理および第2通常遊技処理の各処理手順、各処理手順において特別図柄表示装置40に表示させるアニメーション序部を選択する際に利用されるデータテーブルである第1から第4テーブル、各処理手順において特別図柄表示装置40に表示させるアニメーション主部を選択する際に利用されるデータテーブルである第Aから第Dテーブルなどが記憶されている。第1から第4テーブルには、図7に示したように、それぞれに複数のキャラクタ表示と各キャラクタ表示の選択される確率とが登録されている。また、第Aから第Dテーブルには、図8および図9に示したように、それぞれに複数のリーチ表示と各リーチ表示の選択される確率(本発明における個別選択率)とが登録されている。」

ウ 「【0074】[特別遊技状態における処理手順(特別遊技処理)]以下に、特別遊技状態における処理手順を図12に基づいて説明する。この特別遊技状態における処理は、遊技状態が第1通常遊技状態または第2通常遊技状態から移行された際に、ROM74に記憶されている特別遊技処理の処理手順に従ってCPU72が実行する処理である。
【0075】まず、s201の処理において、CPU72に入賞センサ36からの検出信号が入力されたか否かが判断され、即ち、遊技球が可変入賞装置30に入賞した否かが判断される。つまり、CPU72は、遊技に伴って遊技球が可変入賞装置30に入賞するまで待機し(s201:NO)、遊技球が可変入賞装置30に入賞したら(s101:YES)、次の処理に進み、通常の大当り確率よりも高い大当り確率(本実施形態においては、大当りの選ばれる確率1/63)に基づいて、大当りかはずれかの抽選を行う(s202)。この処理においては、図10におけるs102の処理と同様に、大当りかはずれかの抽選が行われると共に、抽選結果が大当りであれば、複数種類の大当り図柄のうちいずれかの大当り図柄が選択され、抽選結果がはずれであれば、複数種類の大当り図柄のうちいずれかのはずれ図柄が選択される。
【0076】このように特別遊技状態は、第1通常遊技状態(図10)よりも大当りが発生しやすく、遊技者にとって多くの遊技球を獲得することが期待できる有利な状態、いわゆる確変状態である。このs202の処理による抽選ではずれが選ばれた場合(s203:NO)、CPU72は、アニメーション序部を第1テーブルから選択する(s204)。この処理は、図10におけるs104の処理と同様の処理である。
・・・
【0080】尚、s208の処理を終えると、s201の処理に戻る。次に、s202の処理による抽選で大当りが選ばれた場合(s203:YES)、CPU72は、アニメーション序部を第2テーブルから選択する(s209)。この処理は、図10におけるs109の処理と同様の処理である。
・・・
【0087】次に、CPU72は、s202の処理で選択された大当り図柄が特定大当り図柄であるかどうかをチェックする(s217)。このs217の処理でチェックされた大当り図柄が特定大当り図柄である場合(s217:YES)、CPU72は、第2マスコットキャラクタ200(図11参照)の出現処理を行う(s218)。この処理においては、第2マスコットキャラクタ200を表示させるための制御信号が特別図柄表示装置40に出力される。この制御信号を入力した特別図柄表示装置40では、図11(a)に示したように、表示領域のうち左上に第2マスコットキャラクタ(白オバケ)200が表示される。この第2マスコットキャラクタ200は、s202の処理で大当りが選ばれたことを報知するために表示されるものであって、s218の処理が行われる毎に左から右に向かって並ぶように表示される。即ち、第2マスコットキャラクタ200は、第1通常遊技状態から特別遊技状態に移行してからの大当り回数を報知しているのである。
・・・
【0089】そして、CPU72は、遊技状態を第2通常遊技状態に移行する(s220)。この処理においては、特別図柄表示装置40における特別図柄の背景となる画像の色が「赤色」から「緑色」に変更された後、遊技状態が後述する第2通常遊技状態に移行される。」

エ 「【0090】[第2通常遊技状態における処理手順(第2通常遊技処理)]以下に、第2通常遊技状態における処理手順を図13に基づいて説明する。この第2通常遊技状態における処理は、遊技状態が特別遊技状態から移行された際に、ROM74に記憶されている第2通常遊技処理の処理手順に従ってCPU72が実行する処理である。
【0091】まず、CPU72は、変数Nを初期化する(s301)。変数Nは、以降の処理で大当りかはずれかの抽選を行った回数をチェックする際に利用されるものである。この処理においては、初期値として「55」が変数Nにセットされる。次に、s302の処理において、CPU72に入賞センサ36からの検出信号が入力されたか否かが判断され、即ち、遊技球が可変入賞装置30に入賞した否かが判断される。つまり、CPU72は、遊技に伴って遊技球が可変入賞装置30に入賞するまで待機し(s302:NO)、遊技球が可変入賞装置30に入賞したら(s302:YES)、次の処理に進み、第1通常遊技処理(図10)と同様に、通常の大当り確率(1/315.5)に基づいて、大当りかはずれかの抽選を行う(s303)。この処理においては、図10(または、図12)におけるs102(または、s202)の処理と同様に、大当りかはずれかの抽選が行われると共に、抽選結果が大当りであれば、複数種類の大当り図柄のうちいずれかの大当り図柄が選択され、抽選結果がはずれであれば、複数種類の大当り図柄のうちいずれかのはずれ図柄が選択される。
【0092】このように第2通常遊技状態は、第1通常遊技状態(図10)と同様に、特別遊技状態(図12)よりも大当りが発生しにくい通常遊技状態である。このs303の処理による抽選ではずれが選ばれた場合(s304:NO)、CPU72は、アニメーション序部を第3テーブルから選択する(s305)。この処理においては、図7(c)に示したように、第3テーブルに登録されている4種類のキャラクタ表示(キャラクタ表示1、2、7、8)のうち、それぞれに設定された選択確率に基づいて、いずれかのキャラクタ表示がアニメーション序部として選択される。ここでは、第1通常遊技状態(図10)および特別遊技状態(図12)では第1テーブルからアニメーション序部を選択(s104の処理、s204の処理)していたところを、第3テーブルから選択している。第3テーブルは、第1テーブルと比べて、キャラクタ表示1(アニメーションの表示を行わない)の選択される確率が低くなっている(第1テーブル:85、第3テーブル:30)。そのため、第1通常遊技状態および特別遊技状態においてアニメーション序部の表示(s105の処理、s205の処理)が行われる確率(本発明におけるキャラクタ表示確率)よりも、以降の処理でアニメーション序部の表示(s306の処理)が行われる確率(本発明におけるキャラクタ表示確率)の方が高くなる。また、第3テーブルには、第1テーブルに登録されていないキャラクタ表示(キャラクタ表示7、8)が登録されているため、第2通常遊技状態となっている間にしか行われないアニメーション序部が存在していることになる。
・・・
【0096】次に、s303の処理による抽選で大当りが選ばれた場合(s304:YES)、CPU72は、アニメーション序部を第4テーブルから選択する(s310)。この処理においては、図7(d)に示したように、第4テーブルに登録されている4種類のキャラクタ表示(キャラクタ表示1、2、7、8)のうち、それぞれに設定された選択確率に基づいて、いずれかのキャラクタ表示がアニメーション序部として選択される。ここでは、第1通常遊技状態(図10)および特別遊技状態(図12)では第2テーブルからアニメーション序部を選択(s109の処理、s209の処理)していたところを、第4テーブルから選択している。第4テーブルは、第2テーブルと比べて、キャラクタ表示1(アニメーションの表示を行わない)の選択される確率が低くなっている(第2テーブル:53、第4テーブル:5)。そのため、第1通常遊技状態および特別遊技状態においてアニメーション序部の表示(s110の処理、s210の処理)が行われる確率(本発明におけるキャラクタ表示確率)よりも、以降の処理でアニメーション序部の表示(s311の処理)が行われる確率(本発明におけるキャラクタ表示確率)の方が高くなる。また、第4テーブルには、第2テーブルに登録されていないキャラクタ表示(キャラクタ表示7、8)が登録されているため、第2通常遊技状態となっている間にしか行われないアニメーション序部が存在していることになる。」

オ 「【0117】また、図10におけるs117の処理および図12におけるs217の処理によりチェックされた大当り図柄が特定大当り図柄であること、つまり、特定大当り図柄で大当りが発生したことは、遊技状態が特別遊技状態に移行するための条件であり、本発明における移行条件である。
・・・
【0121】また、第2通常遊技状態では、s305、s310の処理でアニメーション序部を選択する際に、第1通常遊技状態および特別遊技状態において利用されている第1、第2テーブルには登録されていないキャラクタ表示(キャラクタ表示7、8)が登録された第3、第4テーブルが利用されている。そのため、第2通常遊技状態が終了するまでの間にしか行われないアニメーション序部が存在することになる。よって、特別遊技処理の実行される状態が終了した後であっても、第2通常遊技状態となっている間にしか行われないアニメーション序部を見たいと考える遊技者の遊技意欲を高めることができる。」

カ 「【0129】また、本実施形態においては、図12におけるs217の処理によりチェックされた大当り図柄が非特定大当り図柄であること、つまり、非特定大当り図柄で大当りが発生したことを終了条件として、遊技状態が第2通常遊技状態に移行するように構成されたものを例示した。しかし、非特定大当り図柄で大当りが発生したこと以外に、例えば、大当り遊技中に所定の画像が特別図柄表示装置40によって表示された場合などを終了条件としてもよい。具体的な例としては、カーレースのようなアニメーションにおいて所定の車が1位から3位のいずれかでゴールするようなアニメーションが表示されない、つまり、所定の車が4位以下でゴールするようなアニメーションが表示された場合である。また、パチンコ遊技機1に、大当り遊技中に操作可能となる抽選ボタンを設けて、大当り遊技が終了するまでの間に抽選ボタンが所定のタイミングで操作されなかった場合や、大当り遊技終了のときに操作可能となる選択ボタンを有する遊技機であれば、大当り遊技が終了するときに、該選択ボタンを使って行われる遊技機との対戦(ゲーム)により、遊技機が勝利した場合や、特別遊技状態となってから所定の時間が経過した場合や、特別図柄遊技状態において所定回数の抽選(s202の処理における抽選のこと)が行われた場合や、表示手段により特別図柄(はずれ図柄)を表示(s208の処理における表示のこと)した回数が所定回数になった場合などを終了条件としてもよい。もちろん、本技術思想に逸脱していなければ、上述した以外の条件を終了条件としてもよい。」

・認定事項
キ 上記【0087】、【0117】の記載事項、特別遊技状態における処理手順を示す【図12】の図示内容を勘案すると、刊行物には、大当りが発生すると(s203でYES)、大当り遊技を実行し(s213)、大当り図柄が「特定大当り図柄」でないと(s217でNO)第2通常遊技状態に移行し(s220)、停止図柄が「特定大当り図柄」であると(s217でYES)特別遊技状態に移行すること(s218)が示されていると認められる。

上記ア?カから、刊行物1には、次の発明(以下「刊行物発明」という。)が記載されているものと認められる(構成a?eは、本願発明の構成A?Eに対応させて当審にて付与した。)。
「a 可変入賞装置30に遊技球が入賞することにより、特別図柄表示装置40で特別図柄遊技を行うCPU72(【0052】、【0055】)と、
b 大当り抽選手段による抽選の結果、大当りであるとき、所定の大当り遊技を提供する大当り遊技提供手段(【請求項1】)とを備えた遊技機であって、
c CPU72は、表示手段により特別図柄(はずれ図柄)を表示(s208の処理における表示のこと)した回数が所定回数になった場合を終了条件とし、遊技状態を特別遊技状態から第2通常遊技状態に移行し(【0074】、【0089】、【0129】)、
d、e 第1?第4テーブルには、複数のキャラクタ表示と各キャラクタ表示の選択される確率とが登録され(【0057】、【図7】)、
CPU72は、
確変状態である特別遊技状態において、大当りかはずれかの抽選を行い(s202)(【0074】、【0075】、【0076】)、
抽選ではずれが選ばれた場合(s203:NO)、アニメーション序部としてのキャラクタ表示を、第1テーブルに登録された確率に基づいて選択し(s204)(【0057】、【0076】)、
大当りが選ばれた場合(s203:YES)、アニメーション序部としてのキャラクタ表示を、第2テーブルに登録された確率に基づいて選択し(s209)(【0057】、【0080】)、
通常遊技状態である第2通常遊技状態において、大当りかはずれかの抽選を行い(s303)(【0091】、【0092】)、
抽選ではずれが選ばれた場合(s304:NO)、アニメーション序部としてのキャラクタ表示を、第1テーブルに登録されていないキャラクタ表示(キャラクタ表示7、8)が登録されている第3テーブルに登録された確率に基づいて選択し(s305)(【0057】、【0092】)、
抽選で大当りが選ばれた場合(s304:YES)、アニメーション序部としてのキャラクタ表示を、第2テーブルに登録されていないキャラクタ表示(キャラクタ表示7、8)が登録されている第4テーブルに登録された確率に基づいて選択し(s310)(【0057】、【0096】)、
アニメーション序部は、特別図柄遊技において、大当り図柄またははずれ図柄を確定表示する過程において表示されるアニメーションである(【0052】、【0053】)
遊技機。」

(2)同じく、原査定の拒絶の理由で引用された、本願の遡及日前に頒布された刊行物である特開2004-16704号公報には、次の事項が記載されている。

ア 「【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、遊技者側の不利益量が予め定められた天井値に達したときに大当たりを発生させる遊技機に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
例えば、従来のパチンコ機は、所謂完全確率方式による抽選によって大当たりを発生させるか否かを決定している。従って、大当たりが発生するか否かは完全に運任せであり、運が悪いと、長時間大当たりが発生しない状態が継続する所謂「ハマリ」が発生することも珍しくない。このように大当たりが長時間発生しないと、遊技客が遊技意欲を喪失して遊技を止めてしまうという問題があることから、所謂「天井」を設けて一定基準以上の「ハマリ」が発生したときは、強制的に大当たりを発生させるようにしたパチンコ機が提案されている。このようなパチンコ機では、一定の「ハマリ」に達した後は必ず大当たりが発生するので、遊技客は安心して遊技を継続することができる。
【0003】
しかしながら、このように「天井」を設けたパチンコ機では、「天井」がどこにあるのかを判断することができないので、遊技戦略を練ることができないという問題がある。
【0004】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、遊技者側の不利益量が予め定められた天井値に達したときに大当たりを発生させる構成において、遊技客が天井値を判断することが可能となる遊技機を提供することにある。」

イ 「【0018】
図4?図7には、CPU20による制御内容のうち本発明の要旨に関連した部分の内容が示されており、以下これらについて説明する。
全体の制御内容を示す図4において、CPU20は、大当たり機能を働かせるために、スタート入賞処理ルーチンA1、図柄変動処理ルーチンA2、大当たり処理ルーチンA3を順次実行する構成となっている。
尚、CPUは、初期の天井値を設定するために、図8に示す天井値テーブルから初期モードとして例えば「5」を選択し、そのモード「5」が示す始値と終値との間で天井値を決定する。つまり、天井値として、301?400までの数値を設定する。
・・・
【0020】
上記保留カウンタは、図柄表示エリア11での抽選用ルーレットの動作状態時にスタート入賞があった場合に、その入賞パチンコ玉数(抽選保留玉数)を抽選権利数として最大で「10」まで計数するためのものであり、その計数値は、保留玉数表示エリア12に抽選保留玉数として表示される。この保留カウンタの計数値が「10」であった場合、つまり抽選保留玉が10個の状態で新たにスタート入賞があった場合には、そのままリターンする。これに対して、保留カウンタの計数値が「10」未満であった場合には、ハズレ図柄を決定し(ステップB4)、天井カウンタをインクリメントしてから(ステップB5)、カウンタ値が天井値かを判断する(ステップB6)。この天井カウンタは、大当たりとならなかったスタート入賞の連続回数をカウントするものである。カウンタ値が天井値でないときは、スーパー大当たりリーチかを判断する(ステップB16)。つまり、上述したようにハズレ図柄を決定したものの、スーパー大当たりリーチを経たハズレかを判断する。このとき、スーパー大当たりリーチでない場合において(ステップB16:NO)、リーチフラグがオンでないときは(ステップB20:NO)、ステップB8に移行する。また、リーチフラグがオンのときは(ステップB20:YES)、リーチフラグをオフしてから(ステップB21)、ステップB8に移行する。つまり、スーパー大当たりリーチでないときは、リーチフラグは必ずオフされるのである。
・・・
【0022】
一方、スタート入賞したタイミングで天井フラグが「0」の場合が連続したとき、つまりハズレが連続したときは、上述したように天井カウンタのカウンタ値が増加し、ついには動作開始時に設定した初期の天井値となる。
すると、CPU20は、天井カウンタのカウンタ値が天井値となったことに基づいて(ステップB1:YES)、天井フラグに「1」をセットしてから(ステップB7)、ステップB8に移行する。
【0023】
さて、このようにして天井フラグが「1」にセットされた状態でスタート入賞が発生すると、天井フラグが「1」にセットされていることに応じて、当たり図柄を決定すると共に(ステップB11)、天井フラグに「0」をセットしてから(ステップB12)、次の天井値を設定するために、天井値テーブルからモードを選択する(ステップB13)。このとき、当たり図柄がノーマル大当たり図柄のときは、図 に示す天井値テーブルから選択率1でもってモードを選択し、当たり図柄がスーパー大当たり図柄のときは選択率2でもってモードを選択すると共に(ステップB14)、選択したモードに対応した始値から終値までの間で天井値を設定する(ステップB15)。この場合、モードの値が小さいほど天井値が小さく設定されており、さらに、スーパー大当たり時はモード5以上に設定されることがないと共に、ノーマル大当たり時に比較して小さなモードが選択されるように設定されている。つまり、大当たりしたときは、天井値が更新されるもので、スーパー大当たりとなったときは1?300のうちの小さな値が天井値として設定される確率が高く、ノーマル大当たりとなったときは1?900のうちの小さな値が天井値として設定される可能性が高いことになる。」

ウ 「【0024】
図4に戻って、CPU20は、上述のようにしてスタート入賞処理ルーチンA1を実行したときは、続いて図柄変動処理ルーチンA2を実行する。この図柄変動処理ルーチンA2は、上述したスタート入賞処理ルーチンA1において記憶した図柄を表示すると共に、その表示結果に応じて大当たりを当選させるためのものである。
【0025】
図6には図柄変動処理ルーチンA2の内容が示されている。この図柄変動処理ルーチンA2においては、まず、大当たりフラグが「1」であるか否かを判断する(ステップC1)。尚、この大当たりフラグは、後述するように表示図柄がスーパー大当たり図柄若しくはノーマル大当たり図柄に一致した場合に「1」にセットされるものである。大当たりフラグが「1」の場合には、次の大当たり処理を実行するためにそのままリターンするが、「0」の場合には、保留カウンタの計数値(つまり、抽選保留玉数)が「1」以上であるか否かを判断する(ステップC2)。その計数値が「0」の場合にはそのままリターンするが、「1」以上の場合には、表示図柄記憶領域に記憶されている図柄情報を読み込むステップC3、保留カウンタの計数値を「1」だけデクリメントするステップC4を順次実行してから、保留数表示更新ステップC5へ移行する。
【0026】
表示更新ステップC5の実行後には、本実施の形態の特徴である報知フラグがオンしていないことを確認してから(ステップC6:NO)、図柄変動を実行する(ステップC8)。この図柄変動では、抽選用ルーレットの動作(図柄表示エリア11に表示する図柄を変動させる動作)を所定時間だけ行った後に、当該抽選用ルーレットの動作停止に応じて図柄表示エリア11にステップC3で読み込んだ図柄情報を表示させ、さらに、当該柄情報を表示図柄記憶領域から消去する。」

エ 「【0028】
図4に戻って、CPU20は、上述のようにして図柄変動処理ルーチンA2を実行したときは、続いて大当たり処理ルーチンA3を実行する。この大当たり処理ルーチンA3は、上述した図柄変動処理ルーチンA2において大当たりが当たったことに応じて大当たりを発生させるためのものである。」

上記ア?エから、刊行物2には、次の発明(以下「刊行物2発明」という。)が記載されているものと認められる。
「a CPU20を備えた遊技機において、
CPU20は、図柄変動を実行し(【0024】、【0026】)、
b CPU20は、大当たりを発生させ(【0028】)、
c CPU20は、天井カウンタに、大当たりとならなかったスタート入賞の連続回数をカウントし(【0018】、【0020】)、
e CPU20は、天井カウンタのカウンタ値が天井値となったことに基づいて、当たり図柄を決定し(【0022】、【0023】)、
f CPU20は、天井カウンタのカウンタ値が天井値となったことに基づいて、モードを選択すると共に、選択したモードに対応した始値から終値までの間で天井値を設定する(【0022】、【0023】)
遊技機。」

5 対比
本願発明と刊行物発明とを対比する。
(a)刊行物発明における「特別図柄表示装置40で特別図柄遊技を行う」ことは、本願発明における「図柄変動遊技を行う」ことに相当する。
したがって、刊行物発明における構成aの「CPU72」は、本願発明における構成Aの「図柄変動遊技実行手段」としての機能を有する。

(b)刊行物発明における構成bの「大当り抽選手段による抽選の結果、大当りであるとき、所定の大当り遊技を提供する大当り遊技提供手段」は、本願発明における構成Bの「所定の大当たり遊技を提供する大当たり遊技提供手段」に相当する。

(c)刊行物発明における「特別遊技状態」の「終了条件」である「表示手段により特別図柄(はずれ図柄)を表示(s208の処理における表示のこと)した回数」は、「終了条件」が成立するまでに大当りが発生すると(s203でYES)、第2通常遊技状態に移行するか、再度、特別遊技状態に移行すること(認定事項キを参照。)からみて、特別図柄遊技において大当りが発生せずにはずれが連続して続いた回数であることは明らかである。
そうすると、刊行物発明における「CPU72」は、「特別図柄(はずれ図柄)を表示した回数が所定回数になった」ことを検出することにより、実質的に遊技が継続している期間を計測することが可能であるといえるから、本願発明における「遊技機による遊技の期間である遊技期間を計測する」機能を有するものである。
したがって、刊行物発明における「CPU72」は、本願発明における「遊技機による遊技の期間である遊技期間を計測する期間計測手段」としての機能を有する。

(d)刊行物発明における構成d、eの「アニメーション序部」は、「特別図柄遊技において、大当り図柄またははずれ図柄を確定表示する過程において表示されるアニメーションである」ことから、特別図柄遊技期間のうち、序の期間における態様であるといえる。
そして、刊行物発明において、「アニメーション序部としてのキャラクタ表示」は、第1?4テーブルのいずれかのテーブルに登録された確率に基づいて選択されるものであるから、アニメーション序部は、各テーブル毎に複数のキャラクタ表示の態様として記憶されているといえる。
したがって、刊行物発明における「テーブルに登録された確率に基づいて選択」される「アニメーション序部としてのキャラクタ表示」は、本願発明における「複数の態様の中から抽選」される「図柄変動遊技における態様」に相当する。
ゆえに、刊行物発明における「CPU72」は、本願発明における構成Dの「図柄変動遊技における態様を複数の態様の中から抽選する態様抽選手段」としての機能を有するものである。

(e)刊行物発明における構成cより、「第2通常遊技状態」は、「特別遊技状態」における「特別図柄(はずれ図柄)を表示した回数が所定回数になった場合」に、「特別遊技状態」を終了させて、移行される遊技状態である。
したがって、刊行物発明における「所定回数」は、本願発明における「所定値」に相当する。
そして、刊行物発明は、構成d、eより、「第2通常遊技状態」において「アニメーション序部」として選択される表示内容に、「特別遊技状態」においては選択されない「キャラクタ表示7、8」の態様が含まれるものである。
このように、刊行物発明における「キャラクタ表示7、8」の態様は、「特別遊技状態」において「特別図柄(はずれ図柄)を表示した回数が所定回数になった場合」に、移行される「第2通常遊技状態」において選択される表示態様であって、「特別遊技状態」においては選択されない表示態様であることから、本願発明における「計測値が前記所定値に未到達のときには含まれない態様」に相当する。
したがって、刊行物発明における構成eは、本願発明における構成Eに相当する。

上記(a)?(e)における対比から、本願発明と刊行物発明とは、
「A 図柄変動遊技を行う図柄変動遊技実行手段と、
B 所定の大当たり遊技を提供する大当たり遊技提供手段と、を備えた遊技機であって、
C 当該遊技機による遊技の期間である遊技期間を計測する期間計測手段と、
D 前記図柄変動遊技における態様を複数の態様の中から抽選する態様抽選手段と、を備え、
E 該期間計測手段による計測値が所定値に到達した場合、前記複数の態様は、前記計測値が前記所定値に未到達のときには含まれない態様を含む
遊技機。」
の点で一致し、構成Fに関して、次の点で相違する。

[相違点](構成F)
本願発明は、所定値をあらかじめ定められた範囲内から抽選して決定する所定値決定手段を備えるのに対して、
刊行物発明の所定回数(所定値)は、そのような構成を備えていない点。

6 当審の判断
(1)相違点について
上記相違点について検討する。
まず、本願発明と刊行物2発明とを対比する。
刊行物2発明の構成aの「図柄変動を実行」する「CPU20」は、本願発明における構成Aの「図柄変動遊技を行う図柄変動遊技実行手段」としての機能を有する。
そして、刊行物2発明の構成bの「大当たりを発生させ」る「CPU20」は、本願発明における構成Bの「所定の大当たり遊技を提供する大当たり遊技提供手段」としての機能を有する。
また、刊行物2発明の構成cの「天井カウンタに、大当たりとならなかったスタート入賞の連続回数をカウント」する「CPU20」は、本願発明における構成Cの「遊技機による遊技の期間である遊技期間を計測する期間計測手段」としての機能を有する。
さらに、刊行物2発明の「天井カウンタのカウンタ値が天井値となったことに基づ」くことは、天井カウンタのカウンタ値が天井値となったことを検出したことに基づくことから、本願発明における構成Eの「期間計測手段による計測値が所定値に到達した」ことを検出可能であることに相当する。
ところで、刊行物2発明において、天井値を始値から終値までの範囲から設定するに際し、天井値を抽選により決定することは、当業者にとっての常套手段である。
したがって、刊行物2発明の「モードを選択すると共に、選択したモードに対応した始値から終値までの間で天井値を設定」する「CPU20」は、本願発明における構成Fの「所定値をあらかじめ定められた範囲内から抽選して決定する所定値決定手段」としての機能を有する。

ゆえに、刊行物2発明は、本願発明の
「A 図柄変動遊技を行う図柄変動遊技実行手段と、
B 所定の大当たり遊技を提供する大当たり遊技提供手段と、を備えた遊技機であって、
C 当該遊技機による遊技の期間である遊技期間を計測する期間計測手段とを備え、
E 該期間計測手段による計測値が所定値に到達したことを検出可能であって、
F 所定値をあらかじめ定められた範囲内から抽選して決定する所定値決定手段を備え
ている遊技機。」に対応する構成を備えるものである。

そうすると、刊行物発明と刊行物2発明とは、図柄変動遊技実行手段、大当たり遊技提供手段、及び、期間計測手段を備えた遊技機において、期間計測手段が、はずれ遊技の連続する回数をカウントすることにより期間を計測する点で共通する。
そして、はずれ遊技が長期間継続すると、刊行物2の【0002】に記載されているように「遊技客が遊技意欲を喪失して遊技を止めてしまう」という問題が生じることは、当業者における技術常識である。
また、刊行物1には、刊行物発明の構成d、eの第2通常遊技状態において選択可能な「キャラクタ表示7、8」に関して、【0121】に、「第2通常遊技状態が終了するまでの間にしか行われないアニメーション序部が存在することになる。よって、特別遊技処理の実行される状態が終了した後であっても、第2通常遊技状態となっている間にしか行われないアニメーション序部を見たいと考える遊技者の遊技意欲を高めることができる。」ことが記載されている。この記載から、刊行物発明は、第2通常遊技状態において、キャラクタ表示7、8を選択可能とすることにより、遊技者の遊技意欲を高めるという効果を奏するものであるから、「遊技客が遊技意欲を喪失して遊技を止めてしまう」という課題を解決したものである。
そうすると、刊行物発明と刊行物2発明とは、共に、はずれ遊技が連続することによって、遊技客が遊技意欲を喪失して遊技を止めてしまうことを防止することを目的とした発明であるといえる。
よって、刊行物発明において、はずれ遊技が連続して、遊技客が遊技意欲を喪失して遊技を止めてしまうことを防止するために、刊行物2発明を適用して、特別図柄(はずれ図柄)を連続する回数の基準となる所定回数を、あらかじめ定められた範囲内から抽選して決定するようにし、上記相違点に係る本願発明の構成とすることは当業者が容易になし得たものである。

(2)請求人の主張について
平成29年8月25日付け審判請求書において、請求人は、動機付けに関して、「引用文献1の段落0129に記載の「所定回数」と、引用文献2に記載の「天井値」とは全く異なるものですから、引用文献1、2の記載に接した当業者は、仮に、引用文献2の記載に基づき、引用文献1に記載された何らかの「所定回数」を抽選で決めるという構成を想起したとしても、引用文献1に記載の非常の多数の「所定回数」の中で、他の「所定回数」ではなく、特に、段落0129に記載された「所定回数」を選択し、その「所定回数」を抽選の対象とする動機付けは全くありません。よって、引用文献2の記載は、引用文献1記載の発明に上記相違点の構成を適用する動機付けには決してなりません。」(第7頁第3?9行参照。)と主張する。

上記(1)において検討したように、刊行物発明と刊行物2発明とは、図柄変動遊技実行手段、大当たり遊技提供手段、及び、期間計測手段を備えた遊技機において、期間計測手段が、はずれ遊技の連続する回数をカウントすることにより期間を計測する点で共通すると共に、はずれ遊技が連続することによって、遊技客が遊技意欲を喪失して遊技を止めてしまうことを防止するという同一課題を解決したものである。
したがって、刊行物発明に刊行物2発明を適用する動機付けは十分にある。
ゆえに、上記請求人の主張を採用することはできない。

(3)小括
本願発明により奏される効果は、当業者が、刊行物発明、及び、刊行物2発明から予測し得る効果の範囲内のものであって、格別のものではない。
よって、本願発明は、刊行物発明、及び、刊行物2発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

7 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、その余の請求項について検討するまでもなく、本願は、拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2018-05-01 
結審通知日 2018-05-08 
審決日 2018-05-21 
出願番号 特願2016-96086(P2016-96086)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 篠崎 正  
特許庁審判長 石井 哲
特許庁審判官 長崎 洋一
櫻井 茂樹
発明の名称 遊技機  
代理人 名古屋国際特許業務法人  

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