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審決分類 審判 一部無効 2項進歩性  A61K
審判 一部無効 特36条4項詳細な説明の記載不備  A61K
審判 一部無効 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  A61K
管理番号 1341838
審判番号 無効2017-800108  
総通号数 224 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-08-31 
種別 無効の審決 
審判請求日 2017-08-07 
確定日 2018-07-02 
事件の表示 上記当事者間の特許第4912492号発明「二酸化炭素含有粘性組成物」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由 第1 手続の経緯
本件特許第4912492号に係る出願(以下、「本件特許出願」という。)は、1998年(平成10年)10月5日(優先権主張 平成9年11月7日)を国際出願日とする出願である特願2000-520135号の一部を平成22年9月6日に新たな出願(特願2010-199412号)としたものであって、平成24年1月27日に特許権の設定登録がなされたものである。設定登録時の請求項の数は7である。
これに対して、審判請求人(株式会社トラストウイングス。以下、「請求人」という。)は、平成29年8月7日に、本件特許第4912492号の特許請求の範囲の請求項1?5及び7に係る発明についての特許を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、本件無効審判を請求した。
本件の手続の経緯の概要は次のとおりである。

平成29年 8月 7日 :審判請求書提出(請求人)
同年11月13日 :答弁書提出(被請求人)
同年12月27日付け:審理事項通知
平成30年 2月22日 :口頭審理陳述要領書提出(請求人・被請求 人)
同年 3月 5日 :上申書提出(請求人)
同年 3月 8日 :第1回口頭審理開催
同年 3月22日 :上申書提出(請求人・被請求人)

第2 本件特許発明
本件特許第4912492号(以下、単に「本件特許」という。)の請求項1?5及び7に係る発明(以下、「本件特許発明1」?「本件特許発明5」及び「本件特許発明7」といい、まとめて「本件特許発明」という。)は、特許明細書の特許請求の範囲1?5及び7に記載された事項により特定される次のとおりのものと認める。

「【請求項1】
医薬組成物又は化粧料として使用される二酸化炭素含有粘性組成物を得るためのキットであって、
1)炭酸塩及びアルギン酸ナトリウムを含有する含水粘性組成物と、酸を含有する顆粒剤、細粒剤、又は粉末剤の組み合わせ;
2)酸及びアルギン酸ナトリウムを含有する含水粘性組成物と、炭酸塩を含有する顆粒剤、細粒剤、又は粉末剤の組み合わせ;又は
3)炭酸塩と酸を含有する複合顆粒剤、細粒剤、又は粉末剤と、アルギン酸ナトリウムを含有する含水粘性組成物の組み合わせ;
からなり、
含水粘性組成物が、二酸化炭素を気泡状で保持できるものであることを特徴とする、
含水粘性組成物中で炭酸塩と酸を反応させることにより気泡状の二酸化炭素を含有する前記二酸化炭素含有粘性組成物を得ることができるキット。
【請求項2】
得られる二酸化炭素含有粘性組成物が、二酸化炭素を5?90容量%含有するものである、請求項1に記載のキット。
【請求項3】
含水粘性組成物が、含水粘性組成物中で炭酸塩と酸を反応させた後にメスシリンダーに入れたときの容量を100としたとき、2時間後において50以上の容量を保持できるものである、請求項1又は2に記載のキット。
【請求項4】
含水粘性組成物がアルギン酸ナトリウムを2重量%以上含むものである、請求項1?3のいずれかに記載のキット。
【請求項5】
含有粘性組成物が水を87重量%以上含むものである、請求項1?4のいずれかに記載のキット。
【請求項7】
請求項1?5のいずれかに記載のキットから得ることができる二酸化炭素含有粘性組成物を含む化粧料。」

第3 請求人の主張及び証拠方法
請求人は、「特許第4912492号の特許請求の範囲の請求項1?5及び7に記載された発明についての特許を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、本件特許が無効とされるべき理由として、以下の無効理由1?4を主張し、証拠方法として以下の書証を提出している。(以下、甲第1号証、乙第1号証等を、甲1、乙1等と省略して記載する。)

・無効理由1
本件特許の請求項1?5及び7に係る発明は、甲1及び甲2に開示された発明並びに甲3?6の記載に基づき、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し無効とすべきものである。

・無効理由2
本件特許の請求項1?5及び7に係る発明についての特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第123条第1項第4号に該当し無効とすべきものである。

・無効理由3
本件特許の請求項1?5及び7に係る発明についての特許は、平成14年法律第24号による改正前の特許法第36条第4項に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第123条第1項第4号に該当し無効とすべきものである。(なお、審判請求書の「7.請求の理由」における「特許法第36条第4項第1号」との記載は、「特許法第36条第4項」の誤記と認める。)

・無効理由4
本件特許の請求項1?5及び7に係る発明についての特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第123条第1項第4号に該当し無効とすべきである。

<証拠方法>
(1)審判請求書に添付
甲1:特開平5-229933号公報
甲2:特開平6-179614号公報
甲3:特開平4-217609号公報
甲4:生活の界面化学(第11刷(増補版))、三共出版株式会社、昭和5 7年2月1日、表紙、p.26?27、奥付
甲5:特開昭63-310807号公報
甲6:特開平9-194323号公報
甲7:特開平11-89512号公報
甲8:特開2001-340411号公報
甲9:「日本女性の化粧の変遷100年」と題されたウェブページ(htt p://hma.shiseidogroup.jp/info/p 20161222_5392/)の印刷物(印刷日:平成29年7月 17日)
甲10:特開2000-239139号公報
甲11:特開2002-154931号公報
甲12:本件特許出願の手続において被請求人が提出した意見書(提出日: 平成23年5月6日)
甲13:「化粧品と薬用化粧品」と題されたウェブページ(http:// www.jcia.org/n/pub/info/b/02-2 /)の印刷物(印刷日:平成29年8月4日)

(2)第1回口頭審理に対する陳述要領書に添付
甲14の1:特開平9-279200号公報
甲14の2:特開平9-28973号公報
甲14の3:「YAHOO!JAPAN知恵袋」の「洗濯時に粉末洗剤が溶 けずに困ってます」と題されたウェブページ(https:/ /detail.chiebukuro.yahoo.co. jp/qa/question_detail/q13110 61433)
甲14の4:「YAHOO!JAPAN知恵袋」の「粉ミルクを作るときな ぜ先にお湯を少し入れ、・・・」と題されたウェブページ(h ttps://detail.chiebukuro.yah oo.co.jp/qa/question_detail/ q1313203008)
甲14の5:新版小児栄養(第七版第1刷)、株式会社同文書院、平成12 年2月15日、表紙、p.80?81、奥付
甲14の6:コツと科学の調理事典(第3版第1刷)、医歯薬出版株式会社 、平成13年6月1日、表紙、p.262?263、奥付
甲15:知的財産高等裁判所平成28年(行ケ)第10039号判決(判決 言渡日:平成29年2月23日)
甲16:無効2017-800107号事件の手続において被請求人が提出 した口頭審理陳述要領書(提出日:平成30年1月25日)
甲17:「甲第1、2、3及び5号証に基づく容易想到例」と題された平成 30年1月25日付けの文書(作成者:弁理士 柴大介)(但し、 第3頁は平成30年3月5日付け上申書により訂正。)
甲18の1:本件特許出願の手続における平成23年3月4日付け拒絶理由 通知書
甲18の2:本件特許出願の手続において被請求人が提出した手続補正書( 提出日:平成23年5月6日)
甲18の3:本件特許出願の手続における平成23年5月23日付け拒絶査 定
甲18の4:本件特許出願の手続において被請求人が提出した手続補正書( 方式)(提出日:平成23年10月27日)
甲18の5:不服2011-18596号事件の審決(平成24年1月4日 付け)
甲18の6:不服2007-886号事件の手続において被請求人が提出し た意見書(提出日:平成22年9月6日)
甲18の7:「炭酸ガスパック「メディプローラーAA」|(株)神戸メデ ィケア」と題されたウェブページ(http://taisy a.net/product/aesthetic/medi plorer.html)の印刷物(印刷日:平成30年2月 17日)
甲19の1:米国特許第3164523号明細書
甲19の2:特開平7-173065号公報
甲19の3:特開平8-53357号公報
甲19の4:特開平8-92105号公報
甲20の1:特許実用新案審査基準、特許庁、第III部第2章第2節 p. 13?14
甲20の2:知的財産高等裁判所平成17年(行ケ)第10069号、平成 17年(行ケ)第10087号判決(判決言渡日:平成17年 10月11日)
甲20の3:知的財産高等裁判所平成20年(ネ)第10013号判決(判 決言渡日:平成21年3月18日)
甲21:特開平3-161415号公報
甲22の1:平成30年1月25日付け実験報告書(作成者:株式会社トラ ストウイングス 代表取締役 石井純一、弁護士 朴貴玲)
甲22の2:平成29日8月24日付け実験報告書(作成者:ネオケミア株 式会社 代表取締役 田中雅也)
甲22の3:平成24年5月11日付け実験成績証明書(作成者:株式会社 カルゥ 中村亮)
甲22の4:平成30年2月21日付け実験報告書(作成者:株式会社トラ ストウイングス 代表取締役 石井純一)
甲23:特開平6-92820号公報

(3)平成30年3月5日付け上申書に添付
甲14の5の1:新版小児栄養(第二版第1刷)、株式会社同文書院、平成 6年1月6日、p.80?81、奥付
甲14の6の1:コツと科学の調理事典(第2版第5刷)、医歯薬出版株式 会社、平成12年2月20日、p.266?267、奥付

(4)平成30年3月22日付け上申書に添付
甲24の1:特許実用新案審査基準、特許庁、第III部第2章第2節 p. 1?14
甲24の2:特許実用新案審査基準、特許庁、第III部第2章第3節 p. 1?12
甲25の1:特願2014-006365号の手続における平成29年1月 25日付け拒絶理由通知書
甲25の2:特開2003-95984号公報

第4 被請求人の主張及び証拠方法
被請求人は、「本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする」との審決を求め、上記請求人の主張する無効理由は理由がないと主張し、証拠方法として以下の書証を提出している。

<証拠方法>
(1)答弁書に添付
乙1の1:本件特許出願の手続における平成23年3月4日付け拒絶理由通 知書
乙1の2:本件特許出願の手続における平成23年5月23日付け拒絶査定
乙2の1:大阪地方裁判所平成23年(ワ)第4836号の判決(判決言渡 日:平成25年1月17日)
乙2の2:知的財産高等裁判所平成25年(ネ)第10016号の判決(判 決言渡日:平成25年12月3日)
乙3の1:請求人(株式会社トラストウイングス)のウェブページ(htt p://www.insquare-cosme.com/SH OP/i017.html)の印刷物(印刷日:平成29年7月 18日)
乙3の2:ネオケミア株式会社のウェブページ(http://www.n eochemir.co.jp/%e7%82%ad%e9%8 5%b8%e3%82%ac% e3%82 %b9%e3%81%a7・・・)の印刷物(印刷日:平成29 年7月18日)
乙3の3:田中雅也、二酸化炭素経皮吸収剤「エコツージェル」-炭酸ガス 療法の夜明け-、BIO INDUSTRY、Vol.23、N o.10、2006年、p.74?83頁
乙4:機能性化粧品の開発II(普及版第1刷)、株式会社 シーエムシー 出版、2006年8月22日、p.188?195、奥付

第5 証拠に記載された事項
1 甲1の記載事項
本件特許の優先日前に頒布された刊行物である甲1には、以下の事項(甲1-1)?(甲1-9)が記載されている。(下線は当審による。以下同じ。)

(甲1-1)「【請求項1】 炭酸水素ナトリウムを含む第1剤と、前記炭酸水素ナトリウムと水の存在下で混合したときに気泡を発生するクエン酸、酒石酸、乳酸及びアスコルビン酸のうちの1又は2以上の成分を含む第2剤と、前記第1剤と第2剤に夫々分散された異色のものからなり、混合により色調を変え、使用可能な状態になったことを知らせるための2色の着色剤A、Bと、前記第1剤又は第2剤の一方又は双方に含まれた、化粧料としての有効成分とからなることを特徴とする発泡性粉末化粧料。」
(甲1-2)「【0002】
【従来の技術】例えば美顔用のパックに使用される化粧料には練状物やクリーム乃至泡状のものがあり、これらは顔に塗布或いは付着させて成分の浸透を図り皮膚をととのえる目的で使用され、使用の際に洗顔とマッサージを行なうのが普通である。
・・・
【0005】しかしながらマッサージなしで済まされるこの種の化粧料は現在のところ開示されていない。そこで本発明者は発泡作用によりマッサージ効果が得られる化粧料を開発し、既に出願した。その化粧料は予期した通りのマッサージ効果を発揮するが、反応が最適かどうかが分かりにくいという指摘があった。」
(甲1-3)「【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は前記の点に鑑みなされたもので、その課題とするところは発泡作用によりマッサージ効果を得る化粧料について、最高度に気泡が発生することを色によって判断できるようにすることである。またそれにより化粧料としての価値も高められる。」
(甲1-4)「【0007】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため本発明の発泡性化粧料は、炭酸水素ナトリウムを含む第1剤と、前記炭酸水素ナトリウムと水の存在下で混合したときに気泡を発生するクエン酸、酒石酸、乳酸及びアスコルビン酸のうちの1又は2以上の成分を含む第2剤と、前記第1剤と第2剤に夫々分散された異色のものからなり、混合により色調を変え、使用可能な状態になったことを知らせるための2色の着色剤A、Bと、前記第1剤又は第2剤の一方又は双方に含まれた、化粧料としての有効成分とからなる組成を有する。本発明に係る化粧料はその組成からも明らかなように常態では粉状である。
・・・
【0010】本発明に係る化粧料では、2色の着色剤A、Bを第1剤、第2剤に夫々混合し、使用前、個有の色分けを行なうとともに使用時第1、第2両剤を混合し、一定の色調になったときに良く混合したことが判断できかつ、最適の反応が行なわれるようになる。」
(甲1-5)「【0013】さらに起泡助長剤を用い、気泡発生を助成することができる。この種の助長剤としては、脱脂粉乳、加水分解ゼラチン、アルギン酸ナトリウム等が用いられる。なお、粉末セッケンは、それ自体起泡剤としての効能をも有する。」
(甲1-6)「【0014】
【実施例】以下、表1、2を参照し、実施例について説明する。表1の実施例I、II、IIIはリンス又はパックとして使用される化粧料に関するもので次の組成を有する。
【0015】
【表1】


I.炭酸ガス発生剤である炭酸水素ナトリウム35重量部、起泡助長剤として脱脂粉乳5重量部、加水分解ゼラチン1重量部、アルギン酸ナトリウム1重量部、柔軟剤としてシリコン樹脂及びスクワラン、防腐剤としてメチルパラベンを混合し、それに着色剤としての黄酸化鉄を夫々適量混合して黄色の第1剤を調製する一方、第1剤との反応により炭酸ガスを発生させるために乳酸20重量部、アスコルビン酸5重量部、起泡助長剤として加水分解ゼラチン15重量部、アルギン酸ナトリウム5重量部及び第1剤と同様に柔軟剤、防腐剤適量を混合し、さらにべんがらによって赤色に着色した第2剤を得て、パックとして使用される粉末状の化粧料を調製した。」
(甲1-7)「【0019】
【表2】


次に、表2は粉末セッケンとして使用される化粧料に関するもので、実施例I?IIIの脱脂粉乳に代わり粉末セッケンを使用している点が相違する。なお脱脂粉乳は気泡助長剤であるが、粉末セッケンは前述の如くに気泡剤として機能するのでさらに泡立ちが良い。
【0020】IV.第1剤中の炭酸水素ナトリウムは実施例Iと同じく35重量部であり、これに粉末セッケン10重量部と適量のスクワラン、メチルパラベンを混合する一方、加水分解ゼラチンは第2剤のみに配合し、他は実施例Iと同様にして、粉末セッケンとして使用可能な化粧料を調製し、着色剤は合成着色剤黄色4号アルミレーキと赤色223を用いて黄色と赤色に夫々を着色した。
【0021】V.第1剤中の炭酸水素ナトリウムは実施例IIと同じく25重量部とし、粉末セッケンは20重量部と倍増し、第2剤は酒石酸30重量部としたほか、実施例IIと同じに調製した。
【0022】VI.第1剤中の炭酸水素ナトリウムをさらに15重量部まで減らし、粉末セッケンを30重量部とし、第2剤はクエン酸40重量部に増すほか実施例IIIと同様に調製した。」
(甲1-8)「【0024】使用法
粉末パック場合
実施例Iのものを水に溶かして用いる。第1剤と第2剤が水の存在下で反応し、無数の炭酸ガス気泡を発生しつつ気泡が破裂することにより、皮膚に対しマッサージを行なうのと同等の作用を起こす。」
(甲1-9)「【0027】
【発明の効果】本発明は以上の如く構成され、かつ作用するものであり、炭酸ガスの発泡、破裂作用によりマッサージ効果を得ることができ、その発泡の度合いが最高の状態にあることを異色の第1、第2両剤の混合変色により容易に判断できるので、使用方法が容易化し最高の発泡状態が得られるから化粧料としての価値を高めることができるという効果を奏する。」

2 甲2の記載事項
本件特許の優先日前に頒布された刊行物である甲2には、以下の事項(甲2-1)?(甲2-4)が記載されている。

(甲2-1)「【特許請求の範囲】
【請求項1】 アルギン酸水溶性塩類を含有するゲル状パーツからなる第一剤と、前記アルギン酸水溶性塩類と反応しうる二価以上の金属塩類および前記反応の遅延剤を含有する粉末パーツからなる第二剤との二剤からなることを特徴とするパック化粧料。」
(甲2-2)「【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記のアルギン酸塩類を含む粉末状のパック化粧料は、次のような問題点があった。
(1)水を加えてかきまぜる際、ダマになりやすく、顔に塗布する際、均一な膜になりにくい。これは、アルギン酸水溶性塩類が一般に水に溶けにくいためである。
(2)顔に貼付し、その後剥がす際、きれいにはがれず、肌にパック残りが多い。
(3)冷たすぎるため、オールシーズンに対応しにくい。
(4)粉末状なので保湿剤の配合が困難であり、そのため皮膚にしっとり感が付与されにくい。
(5)反応タイプのため、保管時には水分透過の少ない外装とするなど、経時の保管に注意を必要とする。
本発明は、このような従来の課題を解決して、使用性が良好で、かつ経時的に安定な反応タイプのパック化粧料を提供することを目的とする。」
(甲2-3)「【0004】
【課題を解決するための手段】本願発明者は、水とまざりにくい原因として、アルギン酸水溶性塩類の溶解性が挙げられることから、アルギン酸塩類についてはあらかじめ水に溶解させてゲル状とさせ、また反応が進行しないように、ゲル状パーツと粉末パーツの2パーツに分けることにより、使用性が良好で、経時で安定なパック化粧料が得られることを見い出し、本発明に至った。すなわち、本発明は、アルギン酸水溶性塩類を含有するゲル状パーツからなる第一剤と、前記アルギン酸水溶性塩類と反応しうる二価以上の金属塩類および前記反応の遅延剤を含有する粉末パーツからなる第二剤との二剤からなることを特徴とするパック化粧料である。」
(甲2-4)「【0005】本発明のパック化粧料は、洗い落とす面倒のない、剥がすタイプのものでありながら、乾燥時間が短く、しかも皮膚に適度な緊張感があり、剥がすとき肌に残りにくく、とりやすい特色を有するほか、使用性が良好で、経時的にも安定であるという特徴がある。本発明のパック化粧料にあっては、使用直前にゲル状パーツと粉末パーツを混合する。この際、ゲル状パーツに含まれるアルギン酸水溶性塩類(例えばアルギン酸ナトリウム)と、粉末パーツに含まれる二価以上の金属塩(例えば硫酸カルシウム)とが水の存在下で化学式1に示すような硬化反応を起こして皮膚形成能のあるアルギン酸金属塩(例えばアルギン酸カルシウム)となり、この結果、弾力性のある凝固体が与えられる。その時、遅延剤(例えばリン酸三ナトリウム)の働きにより化学式2に示すような遅延反応も同時に起こって上記硬化反応の急激な進行が阻止される。」

3 甲3の記載事項
本件特許の優先日前に頒布された刊行物である甲3には、以下の事項(甲3-1)が記載されている。

(甲3-1)「【0017】この化粧料を適量の水で溶いたとき、室温や組成の相違等による差はあるが、概ね1分以内で音を立てながら炭酸ガスを発生し、そのガスは気泡を連続して形成し、無数の気泡は文字通り泡を吹くように膨れあがり、やがて破裂して消失するが、この作用は2?3分から数分間持続する。
【0018】発泡させた化粧料を皮膚、毛髪等に付着させるときは、無数の泡が連続的に発生し、膨張し、流動し、破裂しているので、皮膚、毛髪等が刺激され、それによりマッサージと同等の作用が得られる。発泡、膨張、流動、破裂等の個々の泡の変化は微小であるが、無数に繰返され、しかも連続して作用するのでマッサージ作用は顕著であり、人為的なマッサージよりも処方に合致したマッサージ効果を得やすい。」

4 甲5の記載事項
本件特許の優先日前に頒布された刊行物である甲5には、以下の事項(甲5-1)が記載されている。

(甲5-1)「本発明は、炭酸ガスによる血行促進作用によって皮膚を賦活化させる、ガス保留性、経日安定性、官能特性及び皮膚安全性に優れた発泡性化粧料に関する。
(従来技術)
血行促進などの目的で炭酸ガスを配合した化粧料が従来から提案されている。例えば特開昭59-141512号公報には「水性化粧料に炭酸ガスを配合して耐圧容器に密封したことを特徴とする化粧料」が提案されている。」(第1頁左欄第12行?右欄第1行)

5 甲13の記載事項
「化粧品と薬用化粧品」と題されたウェブページを平成29年8月4日に印刷したものである甲13には以下の記載がある。

(甲13-1)「「化粧品」は、使い方が同じでも「医薬品医療機器等法」によって「化粧品」と「薬用化粧品」に分類されます。「化粧品」は肌の保湿や、清浄など、製品全体としてその効果が期待されています。一方、「薬用化粧品」は化粧品としての期待効果に加えて、肌あれ・にきびを防ぐ、美白、デオドラントなどの効果を持つ「有効成分」が配合され、化粧品と医薬品の間に位置する「医薬部外品」に位置づけられています。「医薬部外品」には、「薬用化粧品」の他に、染毛剤、パーマネント・ウェーブ剤、浴用剤、口中清涼剤やえき臭防止剤、あせもなどを防ぐてんか粉、育毛剤、除毛剤などがあります。」(本文第1?11行)

6 甲21の記載事項
本件特許の優先日前に頒布された刊行物である甲21には、以下の事項(甲21-1)が記載されている。

(甲21-1)「本発明は、薬用化粧料、詳しくは、水溶性非イオン性高分子を含有し、炭酸ガスを高濃度で長時間保持することができ、血行促進効果の持続性が高く、皮膚能機の活性化効果や育毛養毛効果等の高い薬用化粧料に関する。」(第1頁右欄第3?7行)

7 甲23の記載事項
本件特許の優先日前に頒布された刊行物である甲23には、以下の事項(甲23-1)が記載されている。

(甲23-1)「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は新規なボディーマッサージ用化粧料、更に詳しくは保湿剤を80重量%以上と水溶性高分子化合物と糖類を配合し、水分量が5重量%以下であることを特徴とする、温熱感、血行促進効果、使用時の質感、マッサージ効果に優れたボディーマッサージ用化粧料に関する。
【従来の技術】近年、我が国においても健康に対する意識が高まり、エアロビクスやさまざまなスポーツによりシェイプアップを行い、健康美を求める傾向にある。また、減量やトリミングによるプロポーションづくりを目的としたエステティック等のボディケアに対する意識が高まってきている。このようなボティーケア用の化粧品としては、従来より、ボディースキンのモイチャーバランスを保ち、皮膚の恒常性の維持、改善を目的とするものであったが、近年では、これらのボディー用化粧料により積極的なシェイプアップ効果、スリミング効果を求める要望が多くなっている。
【0002】積極的なシェイプアップ効果、スリミング効果を目的として、各種のボディー用マッサージ化粧料が提案されているが、従来のマッサージ化粧料は、主に、油性のクリームやローションタイプであり、使用後のべとつき、洗い流しにくさの点で欠点があった。また、マッサージ法には軽擦(さする)、揉撚(もむ)、把握(つかむ)、といった施術があり、フェーシャル用としては、軽擦、揉撚が主体となり、一方ボディー用としては、把握の施術に対しての使用感が重要となる。」

8 乙4の記載事項
2006年8月22日に頒布された刊行物である乙4には、以下の事項(乙4-1)が記載されている。

(乙4-1)「第16章 ボディケア化粧品の機能と最新技術
・・・
1 はじめに
・・・
最近のボディケア化粧品の傾向を見てみると,効能効果を重視した機能性ボディケア化粧品が主流を占めるようになってきており,96年現在においては,以下の2つの機能が最も重要ではないかと考えている。第1は,「ビューティケアニーズ」に対応した「スリミング機能」であり,・・・である。本稿においては,以上の2つの機能について概観し,最新技術の紹介を行っていきたい。

2 スリミング機能

スリミング化粧品は90年以降成長が顕著になってきた分野であり,95年4月に日本で発売されたクリスチャン・ディオール社のスヴェルトが,発売6ヵ月で100万個を売る爆発的なヒットとなったことで,一大市場を形成するに至った。
ここでスリミング機能をさらに分類して考えてみたい。肥満を大きく分けると,単純に脂肪が蓄積されたタイプと水太り・むくみ太りのタイプがあるが,前者は脂質分解促進により,後者は体液(血液・リンパ液)の循環の促進により解消される。これら以外にも,結果的にスリミングにつながる環境作りといったさまざまな機能もあるが,以下に順に述べていきたい。」(第189頁)

第6 当審の判断
当審は、請求人が主張する無効理由は理由がないと判断する。その理由は以下のとおりである。
なお、事案に鑑み、無効理由1、4、2、3の順で理由を示す。

1 無効理由1について
(1)請求人が主張する無効理由1の概要
請求人が主張する無効理由1のうち、本件特許発明1についての無効理由1の概要は以下のとおりであると認められる。

甲1には、以下の発明(以下、「請求人甲1発明」という。)が記載されており、これを主たる引用発明としたときに、甲2に開示された技術思想を適用することによって、本件特許発明1を想到することは、当業者が容易になし得たことである。
そして、それによる効果も格別顕著なものとはいえない。

(請求人甲1発明)
「化粧料として使用される
二酸化炭素含有粘性組成物を得るためのキットであって、
炭酸水素ナトリウム及びアルギン酸ナトリウムを含有する粉末組成物と、乳酸及びアスコルビン酸を含有する粉末剤の組み合わせ;からなり、
粉末組成物中で炭酸水素ナトリウムと乳酸及びアスコルビン酸とを反応させることにより気泡状の二酸化炭素を含有する前記二酸化炭素含有粘性組成物を得ることができるキット。」

(2)本件特許発明1についての当審の判断
ア 引用発明
上記記載事項(甲1-6)によれば、甲第1号証には実施例Iとして、以下の化粧料が記載されている。

「炭酸水素ナトリウム35重量部、脱脂粉乳5重量部、加水分解ゼラチン1重量部、アルギン酸ナトリウム1重量部、シリコン樹脂、スクワラン、メチルパラベン及び黄酸化鉄を含有する黄色の粉末状の第1剤と、
乳酸20重量部、アスコルビン酸5重量部、加水分解ゼラチン15重量部、アルギン酸ナトリウム5重量部、シリコン樹脂、スクワラン、メチルパラベン及びべんがらを含有する赤色の粉末状の第2剤からなる、
パックとして使用される化粧料。」

また、上記記載事項(甲1-1)及び(甲1-8)によれば、上記実施例Iは、使用時に第1剤と第2剤を混合して得られた組成物に水を加えることにより、炭酸水素ナトリウムと、乳酸及びアスコルビン酸が反応して炭酸ガスを発生させるものといえる。そして、上記記載事項(甲1-5)によれば、当該反応後の上記実施例Iではアルギン酸ナトリウム等の気泡助長剤の作用により、発生した炭酸ガスが気泡状となっているといえる。
そうすると、甲1には以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。

「炭酸水素ナトリウム35重量部、脱脂粉乳5重量部、加水分解ゼラチン1重量部、アルギン酸ナトリウム1重量部、シリコン樹脂、スクワラン、メチルパラベン及び黄酸化鉄を含有する黄色の粉末状の第1剤と、
乳酸20重量部、アスコルビン酸5重量部、加水分解ゼラチン15重量部、アルギン酸ナトリウム5重量部、シリコン樹脂、スクワラン、メチルパラベン及びべんがらを含有する赤色の粉末状の第2剤からなり、
前記第1剤と前記第2剤を混合して得られた組成物に水を加え、当該組成物中で、炭酸水素ナトリウムと、乳酸及びアスコルビン酸を反応させることにより、気泡状の二酸化炭素を含有する組成物を得ることができるものである、
パックとして使用される化粧料。」

イ 対比
以下、本件特許発明1と引用発明とを対比する。

(ア)本件特許明細書段落【0034】によると、本件特許発明における「炭酸塩」には「炭酸水素ナトリウム」が包含されるから、引用発明における「炭酸水素ナトリウム」は、本件特許発明1における「炭酸塩」に相当する。

(イ)本件特許明細書段落【0035】?【0036】によると、本件特許発明における「酸」には「乳酸」及び「アスコルビン酸」が包含されるから、引用発明における「乳酸」及び「アスコルビン酸」は、本件特許発明1における「酸」に相当する。

(ウ)引用発明の「化粧料」は、第1剤と第2剤を組み合わせて用いるものであるから、本件特許発明1における「化粧料として使用される」「キット」に相当する。

(エ)引用発明における「気泡状の二酸化炭素を含有する組成物」は、「アルギン酸ナトリウム」を含むから、粘性を有するものであるといえる。また、上記(ウ)で述べたとおり、引用発明の「化粧料」は、本件特許発明1における「化粧料として使用される」「キット」に相当する。そうすると、引用発明における「気泡状の二酸化炭素を含有する組成物を得ることができる」ものである「パックとして使用される化粧料」は、本件特許発明1における「化粧料として使用される二酸化炭素含有粘性組成物を得るためのキット」に相当する。

上記(ア)?(エ)を総合すると、本件特許発明1と引用発明との間の一致点及び相違点は、以下のとおりであると認められる。

<一致点>
「医薬組成物又は化粧料として使用される二酸化炭素含有粘性組成物を得るためのキットであって、
炭酸塩と酸を反応させることにより気泡状の二酸化炭素を含有する前記二酸化炭素含有粘性組成物を得ることができるキット。」

<相違点>
本件特許発明1においては、キットが、「1)炭酸塩及びアルギン酸ナトリウムを含有する含水粘性組成物と、酸を含む顆粒剤、細粒剤、又は粉末剤の組み合わせ;2)酸及びアルギン酸ナトリウムを含有する含水粘性組成物と、炭酸塩を含有する顆粒剤、細粒剤、又は粉末剤の組み合わせ;又は3)炭酸塩と酸を含有する複合顆粒剤、細粒剤、又は粉末剤と、アルギン酸ナトリウムを含有する含水粘性組成物の組み合わせ」からなり、含水粘性組成物が、二酸化炭素を気泡状で保持できるものであって、含水粘性組成物中で炭酸塩と酸を反応させることが特定されているのに対し、引用発明においては、キットが、炭酸水素ナトリウム(炭酸塩)、アルギン酸ナトリウム、及び黄酸化鉄を含有する黄色の粉末状の第1剤と、乳酸(酸)、アスコルビン酸(酸)、アルギン酸ナトリウム、及びべんがらを含有する赤色の粉末状の第2剤の組合せからなり、前記第1剤と前記第2剤を混合して得られた組成物に水を加え、当該組成物中で、炭酸水素ナトリウム(炭酸塩)と、乳酸及びアスコルビン酸(酸)を反応させるものである点。

相違点の判断
以下、上記相違点について検討する。

(ア)上記記載事項(甲1-3)によれば、引用発明が解決しようとする課題は「発泡作用によりマッサージ効果を得る化粧料について、最高度に気泡が発生することを色によって判断できるようにすること」である。そして、上記記載事項(甲1-4)によれば、引用発明は当該課題を、「水の存在下で混合したときに気泡を発生する」ものであり、「常態では粉状」である第1剤と第2剤からなる化粧料において、「2色の着色剤A、Bを第1剤、第2剤に夫々混合し、使用前、個有の色分けを行なうとともに使用時第1、第2両剤を混合し、一定の色調になったときに良く混合したことが判断できかつ、最適の反応が行なわれるようになる」ようにすることで解決するものである。すなわち、当該課題解決手段は、第1剤と第2剤がいずれも粉末であって、混合しても水を加えるまでは反応が開始しないことを前提とするものである。

(イ)他方、上記記載事項(甲2-1)によれば、甲2には、「アルギン酸水溶性塩類を含有するゲル状パーツからなる第一剤と、前記アルギン酸水溶性塩類と反応しうる二価以上の金属塩類および前記反応の遅延剤を含有する粉末パーツからなる第二剤との二剤からなることを特徴とするパック化粧料。」(以下、「甲2パック化粧料」という。)が記載されており、上記記載事項(甲2-1)?(甲2-4)によれば、上記甲2パック化粧料は、「水を加えてかきまぜる際、ダマになりやすく、顔に塗布する際、均一な膜になりにくい」という課題などを解決するために、「アルギン酸塩類についてはあらかじめ水に溶解させてゲル状とさせ、また反応が進行しないように、ゲル状パーツと粉末パーツの2パーツに分ける」という課題解決手段(以下、「甲2課題解決手段」という。)を適用したものであるといえる。

(ウ)ここで、引用発明に甲2課題解決手段を適用しようとする動機が存在するかについて検討するに、引用発明と上記甲2パック化粧料はともに、アルギン酸塩類を含有する二剤型のパック化粧料である点で共通するものの、上記(ア)で述べたとおり、引用発明の解決しようとする課題は、「発泡作用によりマッサージ効果を得る化粧料について、最高度に気泡が発生することを色によって判断できるようにすること」である。これに対し、上記甲2パック化粧料は、「発泡作用」とも「マッサージ効果」とも無関係であるし、上記甲2パック化粧料が甲2課題解決手段によって解決しようとする課題(アルギン酸ナトリウムに起因するダマの発生)も、引用発明が解決しようとする上記課題とは大きく相違している。
そして、甲1には、アルギン酸ナトリウムを配合することによって、ダマになりやすいことや、均一な膜になりにくいことは記載も示唆もされていないし、引用発明においてアルギン酸ナトリウムに起因してダマが生じることが、当業者に自明な課題であったとも認められない。
したがって、引用発明において、アルギン酸ナトリウムに起因してダマが発生するという課題は当業者といえども認識することはできず、引用発明に甲2課題解決手段を適用しようとする動機が存在しない。

(エ)仮に引用発明において、アルギン酸ナトリウムに起因してダマが発生するという課題を当業者が認識し得たとしても、以下A及びBに示す理由により、引用発明に甲2課題解決手段を適用しようとする動機が存在するとはいえない。

A 引用発明に甲2課題解決手段を適用するためには、第1剤か第2剤の少なくとも一方をあらかじめ水に溶解させてゲル状とする必要があるところ、上述(上記(ア)参照)のとおり、引用発明は第1剤と第2剤がいずれも粉末であって、混合しても水を加えるまでは反応が開始しないことを前提とするものである。すなわち、引用発明の第1剤か第2剤の少なくとも一方をあらかじめ水に溶解させてゲル状とした場合、第1剤と第2剤を混合した時点で反応が開始してしまうから、反応前に、色調の変化によって混合状態を確認することはできなくなり、引用発明において必須成分として添加される「着色剤」が無意味なものとなってしまう。
したがって、そのような変更を当業者が行うことは想定できず、引用発明に甲2課題解決手段を適用することには阻害要因が存在するといえる。

B そもそも、引用発明における「アルギン酸ナトリウム」は、上述した課題(最高度に気泡が発生することを色によって判断できるようにすること)を解決するに当たっての必須成分ではなく、任意成分(気泡助長剤)に過ぎない(上記記載事項(甲1-5)参照)。したがって、仮に引用発明において、アルギン酸ナトリウムに起因してダマが発生するという課題を当業者が認識し得たのであれば、アルギン酸ナトリウムを配合せず、必要に応じて他の気泡助長剤を配合すればよいだけであって、新たな課題を生じる任意成分をわざわざ配合した上で、その課題を解決するために、新たな課題解決手段を適用するような不合理なことを、当業者が行う動機はない。

(オ)さらに、仮に引用発明に甲2課題解決手段を適用したとしても、引用発明は第1剤と第2剤の両方にアルギン酸塩を含むものであるから、第1剤と第2剤の両方をあらかじめ水に溶解させてゲル状とする必要があり、本件特許発明1のように「1)炭酸塩及びアルギン酸ナトリウムを含有する含水粘性組成物と、酸を含む顆粒(細粒、粉末)剤の組み合わせ;2)酸及びアルギン酸ナトリウムを含有する含水粘性組成物と、炭酸塩を含有する顆粒剤、細粒剤、又は粉末剤の組み合わせ;又は3)炭酸塩と酸を含有する複合顆粒剤、細粒剤、又は粉末剤と、アルギン酸ナトリウムを含有する含水粘性組成物の組み合わせ」のものは得られない。

(カ)他方、本件特許発明1は「気泡の持続性」の点で優れた効果を奏するものであるところ(本件特許明細書段落【0064】?【0073】及び【0075】?【0079】参照)、そのような効果については甲1や甲2に記載も示唆もされていない。

(キ)したがって、上記相違点は、当業者が容易に想到し得たものとはいえない。また、甲4?6の全文を見ても、この判断に影響を及ぼす記載はない。
よって、本件特許発明1は、引用発明及び甲2に記載された事項並びに甲3?6の記載に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

引用発明の認定に関する請求人の主張について
(ア)引用発明の認定に関し、請求人は、甲3の記載(上記記載事項(甲3-1)参照)も考慮すれば、上記「請求人甲1発明」(上記(1)参照)には、第1剤と第2剤とに色素を有しない態様も含まれるとの旨主張している(審判請求書第7頁(2-4)等参照)。
しかしながら、引用発明における課題解決手段は上記ウ(ア)に示したとおり着色剤を必須とするものであり、実際、甲1に開示されている具体的な組成が示された化粧料には、全て着色剤が配合されている(上記記載事項(甲1-6)、(甲1-7)参照)。
そして、甲1には従来の技術に関し、「本発明者は発泡によりマッサージ効果が得られる化粧料を開発し、既に出願した。」(上記記載事項(甲1-2)参照)との記載はあるものの、上記「化粧料」がどのような成分を含有し、どのような剤形であるかについては何ら特定されていない。また請求人は、上記「出願」が甲3に係る出願であることを前提として、甲3の記載も考慮し得る旨主張しているが、甲1には、上記「出願」が甲3に係る出願であることは記載も示唆もされていないから、そもそもそのような前提は成立しない。
したがって、甲1に、着色剤を含有しない上記「請求人甲1発明」が記載されていたということはできず、請求人の上記主張を採用できない。

(イ)引用発明の認定に関し、請求人は、平成30年2月22日付け口頭審理陳述要領書において、「第1剤だけにアルギン酸ナトリウムを含む甲1発明(当審注:本審決における「請求人甲1発明」に相当。)は、甲第1号証に記載されているに等しい発明という意味で甲第1号証に記載された発明である」(第9頁第5?6行)と主張している。
しかしながら、甲1においては、気泡助長剤として「アルギン酸ナトリウム」を配合し得ることは示されているものの(上記記載事項(甲1-5)参照)、あくまで任意成分として、脱脂粉乳、加水分解ゼラチンなど、複数の選択肢の一つとして挙げられているに過ぎず、第1剤のみにアルギン酸ナトリウムを配合することは記載も示唆もされていないし、実際に第1剤のみにアルギン酸ナトリウムを含む実施態様は示されていない。
したがって、「第1剤だけにアルギン酸ナトリウムを含む」発明が甲1に記載されているということはできず、請求人の上記主張を採用できない。

(3)本件特許発明2?5及び7についての判断
本件特許発明2?5及び7は、いずれも本件特許発明1をさらに限定したものであるところ、上記(2)で説示したとおり、本件特許発明1は引用発明及び甲2に記載された事項並びに甲3?6の記載に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではないから、本件特許発明2?5及び7も、引用発明及び甲2に記載された事項並びに甲3?6の記載に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(4)小括
上記(2)及び(3)で説示したとおり、請求人の主張する無効理由1は理由がない。

2 無効理由4について
(1)請求人が主張する無効理由4の概要
請求人が主張する無効理由4の概要は、以下の無効理由4-1及び無効理由4-2のとおりであると認められる。

ア 無効理由4-1
薬事法(現医薬品医療機器等法)において、「部分痩せ」(「部分肥満改善」)用製剤が「化粧料」(「化粧品」)用途に属するとの記載はどこにもなく、化粧料分野の当業者において、「部分痩せ」(「部分肥満改善」)用製剤は「化粧料」用途に属すると認識されていないところ、本件特許明細書では、「部分痩せ」(「部分肥満改善」)用途が「化粧料」用途に属すると説明されているから、本件特許発明の「化粧料」用途の範囲が不明確である。

イ 無効理由4-2
本件特許発明2における「得られる二酸化炭素含有粘性組成物が、二酸化炭素を5?90容量%含有するものである」との記載について、「得られる二酸化炭素含有粘性組成物」とはどのようにして得られた二酸化炭素含有粘性組成物なのかということに関する情報と、「二酸化炭素を5?90容量%含有する」とはどのような測定をして含有量を知ることができるのかということに関する情報が不明確である。
また、本件特許明細書段落【0061】の記載によると、「得られる二酸化炭素含有粘性組成物」とは「使用時」に得られる二酸化炭素含有粘性組成物と解されるが、「使用時」というのがどのような条件なのかも定かではない。
よって、本件特許発明2の範囲を明確に定めることができない。

(2)無効理由4-1についての当審の判断
本件特許明細書には、化粧料の用途として「部分痩せ」が包含されることが明記されているところ(段落【0016】参照)、本件特許出願時に、化粧料の用途として、「スリミング化粧料」は周知のものであったものと認められる。
このことは、例えば、上記記載事項(甲23-1)における「近年では、これらのボディー用化粧料により積極的なシェイプアップ効果、スリミング効果を求める要望が多くなっている。」、「積極的なシェイプアップ効果、スリミング効果を目的として、各種のボディー用マッサージ化粧料が提案されている」との記載や、上記記載事項(乙4-1)における「スリミング化粧品は90年以降成長が顕著になってきた分野であり,95年4月に日本で発売されたクリスチャン・ディオール社のスヴェルトが,発売6ヵ月で100万個を売る爆発的なヒットとなったことで,一大市場を形成するに至った。」との記載などからも明らかである。
そして、上記記載事項(乙4-1)によると、スリミング化粧料の機能には、脂質分解促進による脂肪蓄積タイプの肥満の解消や、体液の循環促進による水太り・むくみ太りタイプの肥満の解消などが含まれるから、当然に「部分痩せ」の効果も期待されるものといえる。
また、請求人は薬事法(現医薬品医療機器等法)において「部分痩せ」(「部分肥満改善」)用製剤が「化粧料」(「化粧品」)用途に属するとの記載はどこにもない旨主張しているが、「薬事法上の化粧品」と「薬事法上の医薬部外品」がいずれも「化粧品」として取り扱われているような例(上記記載事項(甲13-1)参照)が存在するように、当業者が認識する「化粧料」(「化粧品」)の概念は、必ずしも、薬事法上の「化粧品」の概念と一致するわけではない。
したがって、本願特許明細書において、本件特許発明の「化粧料」の用途に「部分痩せ」が包含されることが記載されているとしても、当業者は、本件特許発明の「化粧料」の用途の範囲を明確に把握することができる。

(3)無効理由4-2についての当審の判断
本件特許発明2における「得られる二酸化炭素含有粘性組成物が、二酸化炭素を5?90容量%含有するものである」との記載について、本件特許発明2は、本件特許発明1をさらに限定したものであるから、本件特許発明2における「得られる二酸化炭素含有粘性組成物」が、本件特許発明1に係るキットの各成分を混合することによって得られる「二酸化炭素含有粘性組成物」を意味することは自明である。
また、本件特許明細書段落【0061】によると、本件特許発明2における「二酸化炭素を5?90容量%含有するものである」との記載は、「使用時」の二酸化炭素の容量%を規定しているものといえるところ、本件特許明細書には、「気泡状の二酸化炭素を含む本発明の組成物は、これらキットの各成分を使用時に混合することにより製造できる。」(段落【0019】参照)とあるから、上記「使用時」とは、キットの各成分を混合して、「二酸化炭素含有粘性組成物が製造されたとき」を意味するものと解される。
ここで、本件特許明細書には、「二酸化炭素含有粘性組成物」の発泡性の評価方法が記載されており(段落【0066】参照)、ここで評価される「二酸化炭素含有粘性組成物」は、「キットの各成分を混合することにより製造」されたものであるから、本件特許明細書の上記記載に接した当業者は、上記発泡性の評価方法を用いれば、「二酸化炭素含有粘性組成物が製造されたとき」、すなわち「使用時」の発泡性を評価できることを、当然に理解するものといえる。
そして、本件特許明細書段落【0066】には、キットの各成分の混合前の体積と上記「使用時」の体積の測定方法が示されているところ、同様の方法でこれらを測定すれば(以下、測定されたキットの各成分の混合前の体積を「体積A」、上記「使用時」の体積を「体積B」という。)、上記「二酸化炭素含有粘性組成物」が含有する二酸化炭素の容量%を「(体積B-体積A)/体積B×100」により求められることは当業者に自明である。
したがって、本件特許発明2における「得られる二酸化炭素含有粘性組成物が、二酸化炭素を5?90容量%含有するものである」との記載は明確である。

(4)小括
上記(2)及び(3)で説示したとおり、請求人の主張する無効理由4は理由がない。

3 無効理由2について
(1)請求人が主張する無効理由2の概要
請求人が主張する無効理由2の概要は、以下の無効理由2-1及び無効理由2-2のとおりであると認められる。

ア 無効理由2-1
本件特許発明の化粧料は、「・・・除毛後の再発毛抑制(むだ毛処理);そばかす、肌荒れ、肌のくすみ、肌の張りや肌の艶の衰え、髪の艶の衰えなどの皮膚や毛髪などの美容上の問題及び部分肥満に有効な製剤とそれを用いる予防及び治療方法を提供すること」を課題とするものであるところ、本件特許明細書には、本件特許発明が実施例8、18、20、135及び298以外の化粧料を包含する本件特許発明の範囲まで、発明の詳細に開示された内容を拡張ないし一般化するための根拠が見いだせず、従って、本件特許発明について、その課題が解決できることを認識できるように発明の詳細な説明が記載されているとは認められない。

イ 無効理由2-2
上記2(1)イに示したのと同じ理由により、本件特許発明2の課題が解決できることを認識できるように発明の詳細な説明が記載されているとは認められない。

(2)無効理由2-1についての当審の判断
(ア)特許請求の範囲が、特許法第36条第6項第1号の要件(いわゆるサポート要件)に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲内のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも、当業者が出願時の技術常識に照らし、当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものである。

(イ)そこで、本件特許発明の化粧料が解決しようとする課題について検討するに、本件特許明細書段落【0005】における化粧料に関する記載部分に着目すると、本件特許発明は、「除毛後の再発毛抑制(むだ毛処理);そばかす、肌荒れ、肌のくすみ、肌の張りや肌の艶の衰え、髪の艶の衰えなどの皮膚や毛髪などの美容上の問題及び部分肥満に有効な製剤とそれを用いる予防及び治療方法を提供すること」を課題とするものであるといえる。

(ウ)他方、本件特許の発明の詳細な説明には、本件特許発明の化粧料の具体的な実施態様が多数示されており(実施例1?299(段落【0067】?【0104】)参照)、特に、実施例8、18、20、135及び298の化粧料については、実際に「皮膚や毛髪などの美容上の問題及び部分肥満」に有効であることを確認した試験例も示されている(試験例6、8、9、13、26、33(段落【0110】?【0137】)参照)。

(エ)ここで、本件特許明細書段落【0006】や【0017】等の記載からみて、上記試験例において確認された効果は、本件特許発明の化粧料が発生する二酸化炭素に由来することが明らかであるところ、上記試験例に用いられた実施例以外の化粧料であっても、本件特許発明の範囲に包含される化粧料であれば、二酸化酸素を発生することは自明である。
そうすると、本件特許の発明の詳細な説明の記載に接した当業者は、上記試験例に用いられた実施例以外の化粧料を用いた場合にも、上記試験例における効果と同質の効果を期待できること、すなわち、上記課題を解決できることを認識できるものといえる。

(オ)さらに、そもそも二酸化炭素を発生する組成物がマッサージ効果や血行促進効果を有しており、化粧料として使用し得るものであることは、本件特許出願時に技術常識であったものと認められる(必要であれば、上記記載事項(甲1-9)、(甲3-1)、(甲5-1)、(甲21-1)を参照。)。
よって、この点からも、上記試験例に用いられた実施例以外の化粧料を用いた場合にも、上記課題を解決できることは、当業者に自明な事項である。
(なお、上記技術常識は、請求人提出の口頭審理陳述要領書における「二酸化炭素が皮膚と接触すると「血行促進」を奏することは古くから知られており(例えば甲第21号証)、・・・二酸化化炭素含有粘性組成物からある発泡性化粧料が、「血行促進」を奏し、・・・「水太り・むくみ太り」を解消するであろうことは当然の機能として当業者に期待される。」(第25頁下3行?第26頁第2行)との記載とも整合する。)

(カ)したがって、本件特許請求の範囲の記載は特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たすものである。

(3)無効理由2-2についての当審の判断
上記2(3)で述べたとおり、本件特許発明2における「得られる二酸化炭素含有粘性組成物が、二酸化炭素を5?90容量%含有するものである」との記載は明確である。
そして、本件特許発明2における二酸化炭素の容量%を、炭酸塩と酸の配合量を変更することによって調整し得ることは当業者に自明な事項であるから、上記(2)で述べたのと同様の理由により、本件特許の発明の詳細な説明の記載に接した当業者は、本件特許発明2の課題を解決できることを認識できるものといえる。
したがって、本件特許発明2は特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たすものである。

(4)小括
上記(2)及び(3)で説示したとおり、請求人の主張する無効理由2は理由がない。

4 無効理由3について
(1)請求人が主張する無効理由3の概要
請求人が主張する無効理由3の概要は、以下の無効理由3-1及び無効理由3-2のとおりであると認められる。

ア 無効理由3-1
実施例8、18、20、135及び298以外の化粧料が、本件特許発明の課題を解決できるとは認められないから、本件特許明細書の発明の詳細な説明は、本件特許発明を当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載したものではない。

イ 無効理由3-2
上記2(1)イに示したのと同じ理由により、本件特許明細書の発明の詳細な説明は、本件特許発明2を当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載したものではない。

(2)無効理由3-1についての当審の判断
(ア)特許法第36条第4項は、明細書の発明の詳細な説明の記載は、「その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したもの」でなければならないと定めるところ(いわゆる実施可能要件)、ここでいう「実施」とは、物の発明においては、当該発明に係る物の生産、使用等を意味するものであるから、実施可能要件を満たすためには、明細書の発明の詳細な説明が、当業者が当該発明に係る物を生産し、使用することができる程度に明確かつ十分に記載されている必要がある。

(イ)これを本件特許発明について検討するに、上記3(2)(ウ)で述べたとおり、本件特許の発明の詳細な説明には、本件特許発明の具体的な実施態様が多数示されているから、発明の詳細な説明は、当業者が本件特許発明に係る物を生産することができる程度に明確かつ十分に記載されているといえる。

(ウ)また、上記3(2)で述べたとおり、当業者は、本件特許の発明の詳細な説明の記載により、実施例8、18、20、135及び298以外をも含む本件特許発明1全体が「皮膚や毛髪などの美容上の問題及び部分肥満」に有効であることを認識できるといえるから、発明の詳細な説明は、当業者が本件特許発明に係る物を使用することができる程度に明確かつ十分に記載されているといえる。

(エ)したがって、本件特許の発明の詳細な説明は、本件特許発明について、特許法第36条第4項に規定する要件を満たすものである。

(3)無効理由3-2についての当審の判断
上記2(3)で述べたとおり、本件特許発明2における「得られる二酸化炭素含有粘性組成物が、二酸化炭素を5?90容量%含有するものである」との記載は明確である。
そして、本件特許発明2における二酸化炭素の容量%を、炭酸塩と酸の配合量を変更することによって調整し得ることは当業者に自明な事項であるから、上記(2)で述べたのと同様の理由により、発明の詳細な説明は、当業者が本件特許発明2に係る物を生産及び使用することができる程度に明確かつ十分に記載されているといえる。
したがって、本件特許の発明の詳細な説明は、本件特許発明2について、特許法第36条第4項に規定する要件を満たすものである。

(4)小括
上記(2)及び(3)で説示したとおり、請求人の主張する無効理由3は理由がない。

第7 むすび
以上のとおりであるから、請求人の主張及び証拠方法によっては、本件特許の請求項1?5及び7に係る発明の特許を無効とすることができない。
審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2018-05-07 
結審通知日 2018-05-10 
審決日 2018-05-23 
出願番号 特願2010-199412(P2010-199412)
審決分類 P 1 123・ 537- Y (A61K)
P 1 123・ 121- Y (A61K)
P 1 123・ 536- Y (A61K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 岩下 直人  
特許庁審判長 村上 騎見高
特許庁審判官 安川 聡
穴吹 智子
登録日 2012-01-27 
登録番号 特許第4912492号(P4912492)
発明の名称 二酸化炭素含有粘性組成物  
代理人 柴 大介  
代理人 山田 威一郎  
代理人 田中 順也  
代理人 柴田 和彦  
代理人 迫田 恭子  
代理人 水谷 馨也  

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