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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 G06F |
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管理番号 | 1341854 |
審判番号 | 不服2017-13233 |
総通号数 | 224 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2018-08-31 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2017-09-06 |
確定日 | 2018-07-24 |
事件の表示 | 特願2015- 38678「クライアント、サーバおよび情報共有システム」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 9月 5日出願公開、特開2016-162081、請求項の数(14)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は,平成27年2月27日の出願であって,平成28年10月4日付けで拒絶理由が通知され,平成28年12月8日に意見書と手続補正書が提出され,平成29年5月29日付けで拒絶査定(原査定)がなされ,これに対し,平成29年9月6日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正書が提出されたものである。 第2 原査定の概要 原査定(平成29年5月29日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。 1 本願請求項1,4,6に係る発明は,以下の引用文献1に記載された発明であるから,特許法第29条第1項第3号に該当し,特許を受けることができない。 2 本願請求項1,3-6に係る発明は,以下の引用文献1-2に基づいて,その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下,「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献等一覧 1.特開2002-351862号公報 2.国際公開第2011/142238号 第3 本願発明 本願請求項1-14に係る発明(以下,それぞれ「本願発明1」-「本願発明14」という。)は,平成29年9月6日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-14に記載された事項により特定される発明であり,本願発明1-2,7,10は以下のとおりの発明である。 「【請求項1】 自ユーザの入力態様を検知する入力装置と, 通信を行う通信装置と, 所定のアプリケーションの実行開始後,自動的に予め設定された第1条件が充足されているか否かを判定し, 前記第1条件が充足されていると判定した場合,所定の第1の入力態様により入力される所定の第1情報を前記通信装置を介して発信するための入力インターフェースとして前記入力装置を機能させ,かつ,前記第1条件が充足されていないと判定した場合,所定の第2の入力態様により入力される情報を前記通信装置を介して発信するための入力インターフェースとして前記入力装置を機能させるクライアント制御装置とを備え, 前記第1の入力態様は,前記第2の入力態様よりも,前記入力装置に対する入力回数が少ない又は入力する情報量が少ない入力態様であり, 前記第1条件は,現在時刻が所定の期間に含まれるという条件,前記自ユーザのユーザIDに関連付けられた集団行動の開催通知を受信したという条件,及び前記クライアントの現在位置が指定の場所から所定の距離以内であるという条件のうちの少なくとも1つの条件であるクライアント。」 「【請求項2】 自ユーザの入力態様を検知する入力装置と, 通信を行う通信装置と, 予め設定された第1条件が充足されているか否かを判定し, 前記第1条件が充足されていると判定した場合,前記第1条件が充足されていないと判定した場合よりも,前記入力装置に対する入力回数が少ない又は入力する情報量が少ない所定の入力態様により,当該所定の入力態様に関連付けられた所定の第1情報を前記通信装置を介して発信するための入力インターフェースとして前記入力装置を機能させるクライアント制御装置とを備え, 前記クライアント制御装置は, 前記通信装置を介して前記自ユーザのユーザIDをサーバに送信し,前記サーバから,前記ユーザIDと関連付けられた集団行動IDを有する集団行動について,前記自ユーザが当該集団行動を開始するための条件を受信し, 前記第1条件の充足又は非充足の判定として,当該集団行動を開始するための条件が充足されているか否かを判定するクライアント。」 「【請求項7】 移動局としての複数のクライアントのそれぞれとの通信機能を有するサーバであって, 前記サーバは,集団行動の集団行動IDと,当該集団行動へ参加登録したユーザであるメンバーのそれぞれのユーザIDとを関連付けて記憶し,かつ,前記メンバーが前記集団行動を開始するための条件を第1条件として前記ユーザIDと関連付けて記憶するデータベースと, 前記データベースに記憶された前記第1条件に基づき,前記メンバーの夫々について,前記第1条件が充足されているか否かを判定し, 一のメンバーについて前記第1条件が充足されていると判定した場合,前記メンバーが前記第1条件が充足されていないと判定した場合よりも,前記メンバーが使用する前記クライアントに備えられた入力装置に対する入力回数が少ない又は入力する情報量が少ない所定の入力態様により,当該所定の入力態様に関連付けられた所定の第1情報を発信するための入力インターフェースとして前記入力装置を機能させるための命令を前記メンバーが使用する前記クライアントに送信するサーバ制御装置とを備えるサーバ。」 「【請求項10】 クライアント及び当該クライアントと通信するサーバから構成されるシステムであって, 前記クライアントは,自ユーザの入力態様を検知する入力装置と, 通信を行う通信装置と, 予め設定された第1条件が充足されているか否かを判定し, 前記第1条件が充足されていると判定した場合,前記第1条件が充足されていないと判定した場合よりも,前記入力装置に対する入力回数が少ない又は入力する情報量が少ない所定の入力態様により,当該所定の入力態様に関連付けられた所定の第1情報を前記通信装置を介して発信するための入力インターフェースとして前記入力装置を機能させるクライアント制御装置とを備え, 前記サーバは,集団行動の集団行動IDと,当該集団行動へ参加登録したユーザであるメンバーのそれぞれのユーザIDとを関連付けて記憶し,かつ,前記メンバーが前記集団行動を開始するための条件を前記第1条件として前記ユーザIDと関連付けて記憶するデータベースとを備え, 前記クライアント制御装置は, 前記通信装置を介して前記自ユーザのユーザIDを前記サーバに送信し,前記サーバから,前記ユーザIDと関連付けられた集団行動IDを有する前記集団行動について,前記自ユーザが当該集団行動を開始するための条件を受信し, 前記第1条件の充足又は非充足の判定として,当該集団行動を開始するための条件が充足されているか否かを判定するように構成されている情報共有システム。」 なお,本願発明3-6,8-9,11-14の概要は以下のとおりである。 本願発明3は,本願発明1を直接引用した発明である。 本願発明4-6は,本願発明1又は2を直接又は間接的に引用した発明である。 本願発明8-9,14は,本願発明7を直接又は間接的に引用した発明である。 本願発明11-13は,本願発明10を直接又は間接的に引用した発明である。 第4 引用文献,引用発明等 1 引用文献1について 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には,図面とともに次の事項が記載されている(なお,下線は重要箇所に対して当審が付した。以下,同様。)。 (1)段落【0020】-【0025】 「【0020】図1は,デジタルセルラーシステムの概念図であり,本発明の携帯情報端末および通信端末の一例としての携帯電話機と網の一般的概念を表している。ある携帯電話器A103から他の携帯電話器B104へ発呼する場合,携帯電話器A103のユーザは相手の電話番号を自己の携帯電話器に入力してダイアル発信を行う。この発信は携帯電話器A103が有する内部のソフトウェアで自動的に行うことも可能である。携帯電話器A103は無線インタフェースA105を通じて携帯電話基地局A101に接続を行う。携帯電話基地局A101はデジタルインタフェース106(通常はIDSN(当審注:「ISDN」の誤記と認める。)など)で携帯電話基地局B102に接続されている。携帯電話器B104は無線インタフェースB107にてこの携帯電話基地局B102に位置登録をされているので,最終的に携帯電話器A103は携帯電話器B104と回線が接続され通話可能となる。 【0021】一方,有線電話器と携帯電話器A103又は携帯電話器B104との接続は,携帯電話基地局A101又は携帯電話基地局B102を接続するデジタルインタフェース106で公衆電話交換網局(PSTN:Public Switched Telephone Network)局108と接続されており,このPSTN108に有線電話器(固定電話器)が接続されることにより為される。 【0022】また,インターネットのサービスプロバイダ109はデジタルインタフェース110を介して携帯電話基地局A101に接続されており,携帯電話器A103から携帯電話基地局A101を経由して,所定のサービスをその契約内容にしたがって享受できる。このサービスは,例えばSMS-PP(ショートメッセージサービスPoint-To-Point)又は同報通信のSMS-CB(ショートメッセージサービスCell Broadcast)などを用いて,あるユーザから任意のデータを他のユーザに送り,それに応答して当該他のユーザのメッセージや選択結果等を当該あるユーザへ送り返すという形で行われる。また,インターネット上のウェブページも,専用のゲートウェイを経由して,携帯情報端末A103或いは携帯情報端末B104で閲覧が可能である。 【0023】図2に,図1に示した携帯電話器の構成例を表すブロック図を示す。この図を用いて,一般的なデジタルセルラー携帯電話器の構成および動作を説明する。 【0024】まず,受信側では,アンテナ201から入力された受信信号はセレクタ202で受信RF部203へと導かれる。ここでは受信信号が適正なレベルになるよう必要な帯域制限,自動利得制御等の処理が施される。次に,所望の受信周波数を一定の周波数に変換するために,周波数を制御された局発部211からの信号と受信RF部203の出力を混合するミキサー204に進む。このミキサー204の出力は受信IF部205へ入力されてA/D変換され,一定のビットレートを持つIQデジタルデータとなる。このIQデジタルデータは受信復調部206にて,フェージングなどの影響除去や,受信した信号の種類判別,デインターリーブ,誤り訂正等により,適切な復号がなされ,ここで音声データと通信データに分離される。音声データは,通常圧縮されており受信したバースト毎のブロックで送られてくるため,音声復号部207で伸張・デコードされてから,音声のサンプリングレートに従ってD/A変換される。このD/A変換により得られたアナログ信号は,スピーカアンプ208にて電力増幅されスピーカ209に至って放音される。一方,通信データは,やはり受信復調部206で分離された後,通信データ復号部210にて最終的な元のデータに戻される。このデータはCPUバス225を経由してI/O220からデータI/F220cを介して外部装置に送られる。 【0025】これに対して送信側は,音声がマイク218を通じてアナログ音声信号に変えられる。マイク218の出力は小さいのでマイクアンプ217にて必要な電圧まで増幅される。増幅された音声信号は音声符号化部216にて適当なサンプリングレートでまずA/D変換されデジタル化される。このデジタル信号は,エンコード・圧縮され,RFにおけるバースト信号にあったブロックにまとめられる。一方,I/O220のデータI/F220cから入力されたデジタルデータは,通信データ符号化部219にて適当なブロックにまとめられる。音声符号化部216と通信データ符号化部219からのデータは,送信変調部215でまとめられ,一定のデータレートを持つIQデジタルデータにされる。この信号は,送信IF部214にてD/A変換されアナログ変調信号に変換された後,所望の送信周波数に変換するために,局発部211から変換用の信号とミキサー213で混合される。所望の周波数に変換された信号は,必要な送信電力にする為に送信RF部212にて電力増幅され,セレクタ202を経由してアンテナ201から放射される。」 (2)段落【0028】-【0029】 「【0028】図3は,ユーザが携帯電話でテキストメッセージを作成するための編集画面300を示す。この例では,テキストメッセージの編集画面300には,メッセージ入力エリア内に作成中のテキスト301が表示されており,次に文字,定型文或いは電話番号等を挿入する位置をカーソル302が示している。ユーザは,次に,携帯情報端末のテンキーを用いた文字入力,或いは,テンキーまたはジョグダイヤル等を用いた定型文の選択入力が可能である。 【0029】図4は,表示対象の定型文をリストとして表示した定型文リスト画面例を示している。本明細書における「定型文」とは,必ずしも文章である必要はなく,単語,句,節など,予め設定された任意の文字列である。この定型文リスト画面400は,図3のメッセージ編集画面300が表示された状態において,ユーザによるキー操作等によって表示される。この例では,現在時刻を表す定型文401,現在の日付を表す定型文402,その日付に応じて選択的に表示される時候の挨拶等の定型文403,404,端末製造者により予め設定されている(システム定義された)定型文405,同じく予め設定されている定型文ではあるが,例えばWAPなどでインターネット上のウェブページをアクセスする際に必要なURLの書き出し文でもある定型文406を示している。さらに,この図では示さないがユーザが設定した(ユーザ定義された)定型文なども表示可能である。」 (3)段落【0031】-【0032】 「【0031】定型文は,その内容の観点から,時と場合によって内容が変わる可変型と,常時内容が固定である固定型とに分類される。例えば,時刻や日付の定型文401,402は可変型の定型文であり,定型文406は固定型の定型文である。頻繁に利用するメッセージとしての定型文405や,時候の挨拶等の定型文403,404は,実質的には固定型ではあるが,地域(国)に応じて用いる言語を変えるような場合には可変型とみることもできる。定型文は,また,いつ表示されるかの観点から,定型文リストの表示時に常に表示される常時型と所定の日または期間のみ表示される一時型とに分類される。常時型と一時型のそれぞれについて,固定型と可変型とがありうる。さらに,前述したように,定型文にはシステムで予め定義されたものと,ユーザが追加的に定義したものとがある。システム定義,ユーザ定義のいずれの定型文も常時型,一時型の両方がありうる。 【0032】可変型の定型文は,前述のように,日付に応じて選択される定型文以外にも,地域(国)に応じて選択される定型文もありうる。図5は,同じ携帯電話器が図4の使用地域と異なる地域で使用された場合の定型リスト画面500を示している。例えば,図4に示した定型文403(”Merry Christmas!”)は,使用される地域に応じて例えば定型文503(”メリークリスマス”)のように異なる言語のメッセージとすることができる。図5の例では,定型文405(”Understood your message”)も同様に,定型文505(”了解”)のように言語が変換されている。」 (4)段落【0039】-【0042】 「【0039】図7は,上記一時型の定型文について,定型文追加候補を用意しておき,日時や場所に応じて,それらの候補の中から表示対象の定型文を自動的に選択することを可能とする定型文テーブル700の構成例を示す。この定型文テーブル700は,携帯情報端末内のROM221および/またはEEPROM223に保持される。この例では,定型文テーブル700は,開始日701,終了日704,定型文707,国番号710,および国際発呼番号716の各項目を有する。 【0040】開始日701は,特別の日(例えば祝祭日や記念日等)について使用される定型文(メッセージ)が習慣的に使用可能になる期間の最初の日を示している。例えば,特別の日がクリスマスであれば,開始日はその数週間前の日である。終了日704は,その定型文が使用できる最後の日を示している。例えば「Message2」の開始日は「YYMMDD2」,終了日は「YYMMDD3」となっており,この定型文はその期間中,定型文リストに含められる。もしその定型文が当日のみにしか使用できないならば開始日701と終了日704とを同じにしておく。例えば開始日がYYMMDD1で示され,終了日が同じYYMMDD1となっている「Message1」は当日しか使用できないことを表している。定型文707は,当該特別の日に関連して使用される定型文の内容(Merry Christmas!のようなメッセージ)を示している。国番号710は,上記方法のいずれかで指定される地域識別子である。国際発呼番号(ICN: International Call Number)716は,国際電話をかけるときに使用する相手国を識別するための番号(例えば日本国であれは81)である。この国際発呼番号を利用する用途は,後述する別の実施の形態において用いるものであり,本実施の形態では必須のものではない。図7の例は,本実施の形態と共用する場合のテーブル構成を示している。図7のテーブル700中,後述の実施の形態の用途に使用しない定型文については国際発呼番号の欄を空欄にするか,またはN.A.のような不使用を示す識別子を設定することができる。 【0041】なお,同じメッセージに対して複数の国番号710等を設定することもできる。例えば,「Message1」を利用する国番号としては「MCC1」及び「MCC2」が設定されている。同様に,同じメッセージに対して国際発呼番号716には「ICN1」及び「ICN2」が設定されている。また,この定型文テーブル700は,ユーザが任意の定型文を追加登録することができる。その際,開始部701,終了日704,国番号710,国際発呼番号716も同時に設定することができる。また,開始日701,終了日704を時刻にまで拡張することも可能である。 【0042】図8は,CPU224(図2)が実行する処理であって,定型文リストを表示する際に,定型文テーブル700を参照して表示対象の定型文リストに可変型および一時型の定型文を自動的に選択して追加する処理を表している。」 したがって,引用文献1には次の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されていると認められる(なお,引用文献1には,「携帯電話機」と「携帯電話器」という表記が混在しているが,両者は同じものを意味していると認められるので,以下では「携帯電話機」という表記に統一した。)。 「携帯情報端末および通信端末の一例としての携帯電話機と網を含むデジタルセルラーシステムにおいて, 携帯電話機A103は無線インタフェースA105を通じて携帯電話基地局A101に接続を行い,携帯電話基地局A101はデジタルインタフェース106(通常はISDNなど)で携帯電話基地局B102に接続されており,携帯電話機B104は無線インタフェースB107にてこの携帯電話基地局B102に位置登録をされているので,最終的に携帯電話機A103は携帯電話機B104と回線が接続され通話可能となり, インターネットのサービスプロバイダ109はデジタルインタフェース110を介して携帯電話基地局A101に接続されており,例えばSMS-PP(ショートメッセージサービスPoint-To-Point)又は同報通信のSMS-CB(ショートメッセージサービスCell Broadcast)などを用いて,あるユーザから任意のデータを他のユーザに送り,それに応答して当該他のユーザのメッセージや選択結果等を当該あるユーザへ送り返し, 携帯電話機の構成および動作は,受信側では,アンテナ201から入力された受信信号はセレクタ202で受信RF部203へと導かれ,ここでは受信信号が適正なレベルになるよう必要な帯域制限,自動利得制御等の処理が施され,次に,所望の受信周波数を一定の周波数に変換するために,周波数を制御された局発部211からの信号と受信RF部203の出力を混合するミキサー204に進み,このミキサー204の出力は受信IF部205へ入力されてA/D変換され,一定のビットレートを持つIQデジタルデータとなり,このIQデジタルデータは受信復調部206にて,フェージングなどの影響除去や,受信した信号の種類判別,デインターリーブ,誤り訂正等により,適切な復号がなされ,ここで音声データと通信データに分離され,通信データは,やはり受信復調部206で分離された後,通信データ復号部210にて最終的な元のデータに戻され,これに対して送信側は,入力されたデジタルデータは,通信データ符号化部219にて適当なブロックにまとめられ,音声符号化部216と通信データ符号化部219からのデータは,送信変調部215でまとめられ,一定のデータレートを持つIQデジタルデータにされ,この信号は,送信IF部214にてD/A変換されアナログ変調信号に変換された後,所望の送信周波数に変換するために,局発部211から変換用の信号とミキサー213で混合され,所望の周波数に変換された信号は,必要な送信電力にする為に送信RF部212にて電力増幅され,セレクタ202を経由してアンテナ201から放射され, ユーザが携帯電話でテキストメッセージを作成するための編集画面300には,メッセージ入力エリア内に作成中のテキスト301が表示されており,次に文字,定型文或いは電話番号等を挿入する位置をカーソル302が示しており,ユーザは,次に,携帯情報端末のテンキーを用いた文字入力,或いは,テンキーまたはジョグダイヤル等を用いた定型文の選択入力が可能であり, 定型文リスト画面400は,メッセージ編集画面300が表示された状態において,ユーザによるキー操作等によって表示され,現在時刻を表す定型文401,現在の日付を表す定型文402,その日付に応じて選択的に表示される時候の挨拶等の定型文403,404なども表示可能であり, 定型文は,その内容の観点から,時と場合によって内容が変わる可変型と,常時内容が固定である固定型とに分類され,また,いつ表示されるかの観点から,定型文リストの表示時に常に表示される常時型と所定の日または期間のみ表示される一時型とに分類され, 可変型の定型文は,日付に応じて選択される定型文以外にも,地域(国)に応じて選択される定型文もありえ, 上記一時型の定型文について,定型文追加候補を用意しておき,日時や場所に応じて,それらの候補の中から表示対象の定型文を自動的に選択することを可能とする定型文テーブル700は,携帯情報端末内のROM221および/またはEEPROM223に保持され,定型文テーブル700は,開始日701,終了日704,定型文707,国番号710,および国際発呼番号716の各項目を有し, 開始日701は,定型文(メッセージ)が使用可能になる期間の最初の日を示しており,終了日704は,その定型文が使用できる最後の日を示しており, 開始日701,終了日704を時刻にまで拡張することも可能であり, CPU224が,定型文リストを表示する際に,定型文テーブル700を参照して表示対象の定型文リストに可変型および一時型の定型文を自動的に選択して追加する, デジタルセルラーシステム。」 2 引用文献2について また,原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献2の段落[0002]の記載からみて,当該引用文献2には,「受信したメールが表示された画面で所定の操作を行うと,予め用意された返信用の定型文の一覧が画面に表示され,操作者が受信したメールの内容に応じた定型文を選択すると,その定型文が入力された返信メールが送信されるクイック返信機能」という技術的事項が記載されていると認められる。 第5 対比・判断 1 本願発明1について (1)対比 本願発明1と引用発明とを対比すると,次のことがいえる。 ア 引用発明では,「携帯情報端末および通信端末の一例としての携帯電話機」で「ユーザ」が「テキストメッセージを作成する」際に,「テンキーを用いた文字入力,或いは,テンキーまたはジョグダイヤル等を用いた定型文の選択入力が可能であ」り,これらの「テンキー」や「ジョグダイヤル」は,本願発明1の「自ユーザの入力態様を検知する入力装置」に相当する。 イ 引用発明の「携帯電話機」は,「データ通信」のための「アンテナ201」,「セレクタ202」,「受信RF部203」,「局発部211」,「ミキサー204」,「受信IF部205」,「受信復調部206」,「通信データ複合部210」,「通信データ符号化部219」,「送信変調部215」,「送信IF部214」,「ミキサー213」,「送信RF部212」を備えており,これらは本願発明1の「通信を行う通信装置」に相当する。 ウ 引用発明では,「定型文追加候補を用意しておき,日時や場所に応じて,それらの候補の中から表示対象の定型文を自動的に選択することを可能とする定型文テーブル700は,携帯情報端末内のROM221および/またはEEPROM223に保持され」,「CPU224が,定型文リストを表示する際に,定型文テーブル700を参照して表示対象の定型文リストに可変型および一時型の定型文を自動的に選択して追加」しているから,引用発明の「CPU224」と本願発明1の「クライアント制御装置」とは,「自動的に予め設定された第1条件が充足されているか否かを判定し」ている点で共通するといえる。 エ 引用発明では,「定型文テーブル700は,開始日701,終了日704,定型文707,国番号710,および国際発呼番号716の各項目を有し」,「開始日701は,定型文(メッセージ)が使用可能になる期間の最初の日を示しており,終了日704は,その定型文が使用できる最後の日を示しており」,「開始日701,終了日704を時刻にまで拡張することも可能であ」る。そして,開始日701,終了日704を時刻にまで拡張すると,日付とともに現在時刻が開始日701から終了日704までの期間に含まれることが,その「定型文リストを表示する」条件となるのは明らかであり,このことは,本願発明1の「前記第1条件は,現在時刻が所定の期間に含まれるという条件,前記自ユーザのユーザIDに関連付けられた集団行動の開催通知を受信したという条件,及び前記クライアントの現在位置が指定の場所から所定の距離以内であるという条件のうちの少なくとも1つの条件である」ことにおける,「現在時刻が所定の期間に含まれるという条件」に相当する。 したがって,本願発明1と引用発明との間には,次の一致点,相違点があるといえる。 (一致点) 「自ユーザの入力態様を検知する入力装置と, 通信を行う通信装置と, 自動的に予め設定された第1条件が充足されているか否かを判定するクライアント制御装置とを備え, 前記第1条件は,現在時刻が所定の期間に含まれるという条件であるクライアント。」 (相違点) (相違点1)一致点である「自動的に予め設定された第1条件が充足されているか否かを判定するクライアント制御装置」に関して,当該判定のタイミングが,本願発明1は「所定のアプリケーションの実行開始後」であるのに対して,引用発明は「定型文リストを表示する際」である点。 (相違点2)本願発明1では,「クライアント制御装置」が「前記第1条件が充足されていると判定した場合,所定の第1の入力態様により入力される所定の第1情報を前記通信装置を介して発信するための入力インターフェースとして前記入力装置を機能させ,かつ,前記第1条件が充足されていないと判定した場合,所定の第2の入力態様により入力される情報を前記通信装置を介して発信するための入力インターフェースとして前記入力装置を機能させ」,「前記第1の入力態様は,前記第2の入力態様よりも,前記入力装置に対する入力回数が少ない又は入力する情報量が少ない入力態様であ」るのに対して,引用発明では,「CPU224」が「定型文リストを表示する際に,定型文テーブル700を参照して表示対象の定型文リストに可変型および一時型の定型文を自動的に選択して追加する」から,日時等に応じて定型文リストを自動的に変更するものであるとはいえるものの,「定型文リスト画面400は,メッセージ編集画面300が表示された状態において,ユーザによるキー操作等によって表示され」るのであって,特定の条件を充足する場合に「定型文の選択入力が可能」となる入力態様とし,当該条件を充足しない場合に「携帯情報端末のテンキーを用いた文字入力」による入力態様とするものではない点。 (2)相違点についての判断 事案に鑑み,まず上記相違点2について検討する。 「前記第1条件が充足されていると判定した場合,所定の第1の入力態様により入力される所定の第1情報を前記通信装置を介して発信するための入力インターフェースとして前記入力装置を機能させ,かつ,前記第1条件が充足されていないと判定した場合,所定の第2の入力態様により入力される情報を前記通信装置を介して発信するための入力インターフェースとして前記入力装置を機能させ」,「前記第1の入力態様は,前記第2の入力態様よりも,前記入力装置に対する入力回数が少ない又は入力する情報量が少ない入力態様であ」ることは,上記引用文献1-2には記載されておらず,本願出願前において周知技術であるともいえない。 したがって,本願発明1は,相違点1を検討するまでもなく,当業者であっても引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 2 本願発明2について (1)対比 本願発明2と引用発明とを対比すると,次のことがいえる。 ア 引用発明では,「携帯情報端末および通信端末の一例としての携帯電話機」で「ユーザ」が「テキストメッセージを作成する」際に,「テンキーを用いた文字入力,或いは,テンキーまたはジョグダイヤル等を用いた定型文の選択入力が可能であ」り,これらの「テンキー」や「ジョグダイヤル」は,本願発明2の「自ユーザの入力態様を検知する入力装置」に相当する。 イ 引用発明の「携帯電話機」は,「データ通信」のための「アンテナ201」,「セレクタ202」,「受信RF部203」,「局発部211」,「ミキサー204」,「受信IF部205」,「受信復調部206」,「通信データ複合部210」,「通信データ符号化部219」,「送信変調部215」,「送信IF部214」,「ミキサー213」,「送信RF部212」を備えており,これらは本願発明1の「通信を行う通信装置」に相当する。 ウ 引用発明では,「定型文追加候補を用意しておき,日時や場所に応じて,それらの候補の中から表示対象の定型文を自動的に選択することを可能とする定型文テーブル700は,携帯情報端末内のROM221および/またはEEPROM223に保持され」,「CPU224が,定型文リストを表示する際に,定型文テーブル700を参照して表示対象の定型文リストに可変型および一時型の定型文を自動的に選択して追加」しているから,引用発明の「CPU224」と本願発明2の「クライアント制御装置」とは,「予め設定された第1条件が充足されているか否かを判定し」ている点で共通するといえる。 したがって,本願発明2と引用発明との間には,次の一致点,相違点があるといえる。 (一致点) 「自ユーザの入力態様を検知する入力装置と, 通信を行う通信装置と, 予め設定された第1条件が充足されているか否かを判定するクライアント制御装置とを備えるクライアント。」 (相違点)本願発明2では,「クライアント制御装置」が「前記第1条件が充足されていると判定した場合,前記第1条件が充足されていないと判定した場合よりも,前記入力装置に対する入力回数が少ない又は入力する情報量が少ない所定の入力態様により,当該所定の入力態様に関連付けられた所定の第1情報を前記通信装置を介して発信するための入力インターフェースとして前記入力装置を機能させ」,「前記通信装置を介して前記自ユーザのユーザIDをサーバに送信し,前記サーバから,前記ユーザIDと関連付けられた集団行動IDを有する集団行動について,前記自ユーザが当該集団行動を開始するための条件を受信し,前記第1条件の充足又は非充足の判定として,当該集団行動を開始するための条件が充足されているか否かを判定する」のに対して,引用発明では,「CPU224」がこのような動作を行うものではない点。 (2)相違点についての判断 上記相違点について検討する。 「前記第1条件が充足されていると判定した場合,前記第1条件が充足されていないと判定した場合よりも,前記入力装置に対する入力回数が少ない又は入力する情報量が少ない所定の入力態様により,当該所定の入力態様に関連付けられた所定の第1情報を前記通信装置を介して発信するための入力インターフェースとして前記入力装置を機能させ」,「前記通信装置を介して前記自ユーザのユーザIDをサーバに送信し,前記サーバから,前記ユーザIDと関連付けられた集団行動IDを有する集団行動について,前記自ユーザが当該集団行動を開始するための条件を受信し,前記第1条件の充足又は非充足の判定として,当該集団行動を開始するための条件が充足されているか否かを判定する」ことは,上記引用文献1-2には記載されておらず,本願出願前において周知技術であるともいえない。 したがって,本願発明2は,当業者であっても引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 3 本願発明3について 本願発明3も,本願発明1の「前記第1条件が充足されていると判定した場合,所定の第1の入力態様により入力される所定の第1情報を前記通信装置を介して発信するための入力インターフェースとして前記入力装置を機能させ,かつ,前記第1条件が充足されていないと判定した場合,所定の第2の入力態様により入力される情報を前記通信装置を介して発信するための入力インターフェースとして前記入力装置を機能させるクライアント制御装置とを備え,前記第1の入力態様は,前記第2の入力態様よりも,前記入力装置に対する入力回数が少ない又は入力する情報量が少ない入力態様であり」と同一の構成を有するものであるから,本願発明1と同じ理由により,当業者であっても引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 4 本願発明4-6について 本願発明4-6も,本願発明1の「前記第1条件が充足されていると判定した場合,所定の第1の入力態様により入力される所定の第1情報を前記通信装置を介して発信するための入力インターフェースとして前記入力装置を機能させ,かつ,前記第1条件が充足されていないと判定した場合,所定の第2の入力態様により入力される情報を前記通信装置を介して発信するための入力インターフェースとして前記入力装置を機能させるクライアント制御装置とを備え,前記第1の入力態様は,前記第2の入力態様よりも,前記入力装置に対する入力回数が少ない又は入力する情報量が少ない入力態様であり,」と同一の構成,又は,本願発明2の「前記第1条件が充足されていると判定した場合,前記第1条件が充足されていないと判定した場合よりも,前記入力装置に対する入力回数が少ない又は入力する情報量が少ない所定の入力態様により,当該所定の入力態様に関連付けられた所定の第1情報を前記通信装置を介して発信するための入力インターフェースとして前記入力装置を機能させるクライアント制御装置とを備え,前記クライアント制御装置は,前記通信装置を介して前記自ユーザのユーザIDをサーバに送信し,前記サーバから,前記ユーザIDと関連付けられた集団行動IDを有する集団行動について,前記自ユーザが当該集団行動を開始するための条件を受信し,前記第1条件の充足又は非充足の判定として,当該集団行動を開始するための条件が充足されているか否かを判定する」と同一の構成を有するものであるから,本願発明1又は2と同じ理由により,当業者であっても引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 5 本願発明7について (1)対比 本願発明7と引用発明とを対比すると,次のことがいえる。 ア 引用発明の「携帯電話機A103」及び「携帯電話機B104」は,本願発明7の「移動局としての複数のクライアント」に相当する。 イ 引用発明の「サービスプロバイダ109」は,「携帯電話機A103」及び「携帯電話機B104」と同様に「携帯電話基地局A101」に接続されており,「例えばSMS-PP(ショートメッセージサービスPoint-To-Point)又は同報通信のSMS-CB(ショートメッセージサービスCell Broadcast)などを用いて,あるユーザから任意のデータを他のユーザに送り,それに応答して当該他のユーザのメッセージや選択結果等を当該あるユーザへ送り返し」ており,メッセージ交換サービスを提供するサーバであるといえるから,本願発明7の「移動局としての複数のクライアントのそれぞれと通信機能を有するサーバ」に相当する。 したがって,本願発明7と引用発明との間には,次の一致点,相違点があるといえる。 (一致点) 「移動局としての複数のクライアントのそれぞれと通信機能を有するサーバ。」 (相違点)本願発明7の「サーバ」は,「集団行動の集団行動IDと,当該集団行動へ参加登録したユーザであるメンバーのそれぞれのユーザIDとを関連付けて記憶し,かつ,前記メンバーが前記集団行動を開始するための条件を第1条件として前記ユーザIDと関連付けて記憶するデータベースと,前記データベースに記憶された前記第1条件に基づき,前記メンバーの夫々について,前記第1条件が充足されているか否かを判定し,一のメンバーについて前記第1条件が充足されていると判定した場合,前記メンバーが前記第1条件が充足されていないと判定した場合よりも,前記メンバーが使用する前記クライアントに備えられた入力装置に対する入力回数が少ない又は入力する情報量が少ない所定の入力態様により,当該所定の入力態様に関連付けられた所定の第1情報を発信するための入力インターフェースとして前記入力装置を機能させるための命令を前記メンバーが使用する前記クライアントに送信するサーバ制御装置」を備えるのに対して,引用発明の「サービスプロバイダ109」は,このような「データベース」及び「サーバ制御装置」を備えていない点。 (2)相違点についての判断 上記相違点について検討する。 「集団行動の集団行動IDと,当該集団行動へ参加登録したユーザであるメンバーのそれぞれのユーザIDとを関連付けて記憶し,かつ,前記メンバーが前記集団行動を開始するための条件を第1条件として前記ユーザIDと関連付けて記憶するデータベースと,前記データベースに記憶された前記第1条件に基づき,前記メンバーの夫々について,前記第1条件が充足されているか否かを判定し,一のメンバーについて前記第1条件が充足されていると判定した場合,前記メンバーが前記第1条件が充足されていないと判定した場合よりも,前記メンバーが使用する前記クライアントに備えられた入力装置に対する入力回数が少ない又は入力する情報量が少ない所定の入力態様により,当該所定の入力態様に関連付けられた所定の第1情報を発信するための入力インターフェースとして前記入力装置を機能させるための命令を前記メンバーが使用する前記クライアントに送信するサーバ制御装置」は,上記引用文献1-2には記載されておらず,本願出願前において周知技術であるともいえない。 したがって,本願発明7は,当業者であっても引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 6 本願発明8-9,14について 本願発明8-9,14も,本願発明7の「集団行動の集団行動IDと,当該集団行動へ参加登録したユーザであるメンバーのそれぞれのユーザIDとを関連付けて記憶し,かつ,前記メンバーが前記集団行動を開始するための条件を第1条件として前記ユーザIDと関連付けて記憶するデータベースと,前記データベースに記憶された前記第1条件に基づき,前記メンバーの夫々について,前記第1条件が充足されているか否かを判定し,一のメンバーについて前記第1条件が充足されていると判定した場合,前記メンバーが前記第1条件が充足されていないと判定した場合よりも,前記メンバーが使用する前記クライアントに備えられた入力装置に対する入力回数が少ない又は入力する情報量が少ない所定の入力態様により,当該所定の入力態様に関連付けられた所定の第1情報を発信するための入力インターフェースとして前記入力装置を機能させるための命令を前記メンバーが使用する前記クライアントに送信するサーバ制御装置」と同一の構成を有するものであるから,本願発明7と同じ理由により,当業者であっても引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 7 本願発明10-13について 本願発明10-13も,本願発明2の「前記第1条件が充足されていると判定した場合,前記第1条件が充足されていないと判定した場合よりも,前記入力装置に対する入力回数が少ない又は入力する情報量が少ない所定の入力態様により,当該所定の入力態様に関連付けられた所定の第1情報を前記通信装置を介して発信するための入力インターフェースとして前記入力装置を機能させるクライアント制御装置とを備え」,「前記クライアント制御装置は,前記通信装置を介して前記自ユーザのユーザIDを前記サーバに送信し,前記サーバから,前記ユーザIDと関連付けられた集団行動IDを有する前記集団行動について,前記自ユーザが当該集団行動を開始するための条件を受信し,前記第1条件の充足又は非充足の判定として,当該集団行動を開始するための条件が充足されているか否かを判定する」と同一の構成を有するものであるから,本願発明2と同じ理由により,当業者であっても引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 第6 原査定について 1 理由1(特許法第29条第1項第3号)について 本願発明1,4,6は,「所定のアプリケーションの実行開始後,自動的に予め設定された第1条件が充足されているか否かを判定し」,「前記第1条件が充足されていると判定した場合,所定の第1の入力態様により入力される所定の第1情報を前記通信装置を介して発信するための入力インターフェースとして前記入力装置を機能させ,かつ,前記第1条件が充足されていないと判定した場合,所定の第2の入力態様により入力される情報を前記通信装置を介して発信するための入力インターフェースとして前記入力装置を機能させるクライアント制御装置」,又は,「前記第1条件が充足されていると判定した場合,前記第1条件が充足されていないと判定した場合よりも,前記入力装置に対する入力回数が少ない又は入力する情報量が少ない所定の入力態様により,当該所定の入力態様に関連付けられた所定の第1情報を前記通信装置を介して発信するための入力インターフェースとして前記入力装置を機能させるクライアント制御装置とを備え,前記クライアント制御装置は,前記通信装置を介して前記自ユーザのユーザIDをサーバに送信し,前記サーバから,前記ユーザIDと関連付けられた集団行動IDを有する集団行動について,前記自ユーザが当該集団行動を開始するための条件を受信し,前記第1条件の充足又は非充足の判定として,当該集団行動を開始するための条件が充足されているか否かを判定する」という事項を有しており,拒絶査定において引用された引用文献1または2に記載された発明ではない。 したがって,原査定の理由1を維持することはできない。 2 理由2(特許法第29条第2項)について 本願発明1,3-6は,「所定のアプリケーションの実行開始後,自動的に予め設定された第1条件が充足されているか否かを判定し」,「前記第1条件が充足されていると判定した場合,所定の第1の入力態様により入力される所定の第1情報を前記通信装置を介して発信するための入力インターフェースとして前記入力装置を機能させ,かつ,前記第1条件が充足されていないと判定した場合,所定の第2の入力態様により入力される情報を前記通信装置を介して発信するための入力インターフェースとして前記入力装置を機能させるクライアント制御装置」,又は,「前記第1条件が充足されていると判定した場合,前記第1条件が充足されていないと判定した場合よりも,前記入力装置に対する入力回数が少ない又は入力する情報量が少ない所定の入力態様により,当該所定の入力態様に関連付けられた所定の第1情報を前記通信装置を介して発信するための入力インターフェースとして前記入力装置を機能させるクライアント制御装置とを備え,前記クライアント制御装置は,前記通信装置を介して前記自ユーザのユーザIDをサーバに送信し,前記サーバから,前記ユーザIDと関連付けられた集団行動IDを有する集団行動について,前記自ユーザが当該集団行動を開始するための条件を受信し,前記第1条件の充足又は非充足の判定として,当該集団行動を開始するための条件が充足されているか否かを判定する」という事項を有しており,当業者であっても,拒絶査定において引用された引用文献1-2に基づいて,容易に発明できたものとはいえない。 したがって,原査定の理由2を維持することはできない。 第7 むすび 以上のとおり,原査定の理由によっては,本願を拒絶することはできない。 また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2018-07-10 |
出願番号 | 特願2015-38678(P2015-38678) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(G06F)
P 1 8・ 113- WY (G06F) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 小林 義晴 |
特許庁審判長 |
安久 司郎 |
特許庁審判官 |
松田 岳士 稲葉 和生 |
発明の名称 | クライアント、サーバおよび情報共有システム |
代理人 | 特許業務法人創成国際特許事務所 |