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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F
管理番号 1341886
審判番号 不服2017-16318  
総通号数 224 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-08-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-11-02 
確定日 2018-07-24 
事件の表示 特願2013-168299「タッチパネルの製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 2月23日出願公開、特開2015- 36897、請求項の数(3)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成25年8月13日の出願であって、平成29年3月6日付けで拒絶理由通知がされ、同年5月10日付けで手続補正がされ、同年8月3日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、同年11月2日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に、手続補正がされたものである。

第2 原査定の概要
原査定(平成29年8月3日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

(進歩性)この出願の請求項1-4に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物1-5に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.国際公開第2013/057959号
2.特開2012-98973号公報
3.特開2013-130894号公報
4.特開2012-73533号公報
5.国際公開第2012/099171号

第3 本願発明
本願請求項1-3に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明3」という。)は、平成29年11月2日付けの手続補正書で補正された特許請求の範囲の請求項1-3に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
加飾層が形成された加飾フィルムの表面に紫外線硬化樹脂を塗布する工程と、
前記加飾フィルムの周辺領域における前記紫外線硬化樹脂を、紫外線を照射することにより硬化させて、周辺硬化領域を形成する第1の紫外線照射工程と、
前記周辺硬化領域の上にフレキシブル基板を載置する載置工程と、
前記載置工程の後、前記紫外線硬化樹脂の上にタッチパネル本体部を載置し、紫外線を照射することにより前記周辺硬化領域の内側の前記紫外線硬化樹脂を硬化させて、内部硬化領域を形成する第2の紫外線照射工程と、
を有し、
前記周辺硬化領域と前記内部硬化領域との境界は、前記加飾層が形成されている領域に位置するものであり、
第2の紫外線照射工程において形成される前記紫外線硬化樹脂の内部硬化領域において、前記加飾フィルムと前記タッチパネル本体部とを貼り付けることを特徴とするタッチパネルの製造方法。
【請求項2】
前記紫外線硬化樹脂は、湿気によっても硬化するものであって、
第2の紫外線照射工程に代えて、前記加飾フィルムと前記タッチパネル本体部との間における硬化していない紫外線硬化樹脂に湿気を供給する工程を行なうことを特徴とする請求項1に記載のタッチパネルの製造方法。
【請求項3】
前記第1の紫外線照射工程は、前記周辺硬化領域に対応する部分において紫外線を透過する開口部を有するマスクを介して、紫外線を照射するものであって、
前記マスクは、透明基板に遮光部が形成されており、
前記遮光部は、前記開口部を除く領域に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のタッチパネルの製造方法。」

第4 引用文献、引用発明等
1.引用文献1(国際公開第2013/057959号)について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。
a)「[0004] 一方で、透明保護板には表示画像のコントラストを向上させるために最外の縁に帯状の遮光部が設けられている。遮光部が設けられた透明保護板を紫外線硬化型樹脂組成物で貼り合わせた場合、該遮光部によって紫外線硬化型樹脂のうち該遮光部の陰になる遮光領域に充分な紫外線が到達せず、該遮光領域の樹脂の硬化が不十分になる。樹脂の硬化が不十分であると、遮光部付近の表示画像における表示ムラ等の問題が発生する。」(下線は当審で付与。以下、同様。)

b)「[0016] 本発明によれば、光学基材へのダメージが少なく、且つ、生産性が良好で、硬化性及び密着性のよい貼り合わせ光学部材、例えば、遮光部を有する光学基材を有するタッチパネル又は同表示体ユニット等を得ることができる。さらに、遮光部での樹脂の硬化度が高く、遮光部付近における表示画像の表示ムラ等の問題が生じず、信頼性の高い光学部材を提供することができる。」

c)「[0020] (第1の実施形態)
図1は、本発明の紫外線硬化型樹脂組成物を使用する光学部材の製造方法の第1の実施形態を示す工程図である。
この第1の実施形態は、液晶表示ユニット1と遮光部を有する透明基板2を貼り合わせることにより光学部材(遮光部を有する液晶表示ユニット)を得る方法である。
液晶表示ユニット1は、電極を形成した一対の基板間に液晶材料が封入されたものに、偏光板、駆動用回路、信号入力ケーブルおよびバックライトユニットが備わったものを言う。
遮光部を有する透明基板2は、ガラス板、ポリメチルメタクリレート(PMMA)板、ポリカーボネート(PC)板又は脂環式ポリオレフィンポリマー(COP)板等の透明基板3の貼り合わせ面の表面上に、黒色枠状の遮光部4が設けられたものである。
ここで、遮光部4はテープの貼付や塗料の塗布又は印刷等によって設けられている。」

d)「[0027] (第2の実施形態)
図2は、本発明の紫外線硬化型樹脂組成物を使用する光学部材の製造方法の第2の実施形態を示す工程図である。
なお、上述した第1の実施形態における構成基材と同じ基材については図中で同一の符号を付し、その説明はここでは繰り返さない。
[0028] (工程1)
まず、図2(a)に示すように、紫外線硬化型樹脂組成物を、遮光部を有する透明基板2の遮光部4が設けられた面に塗布した。その後、貼り合わせ時遮光領域に紫外線を照射して、貼り合わせ時遮光領域が硬化された紫外線硬化型樹脂組成物の塗布層7を得る。ここで、貼り合わせ時露光領域を紫外線遮蔽板6でマスクすることにより、紫外線を照射する際に該露光領域にある樹脂組成物を硬化させないようにする。
(工程2)
次に、図2(b)に示すように、遮光部を有する透明基板2の該塗布層7と液晶表示ユニット1の表示面が対向する形で、液晶表示ユニット1と遮光部を有する透明基板2を貼り合わせる。貼り合わせは、大気中及び真空中のいずれでもできる。
(工程3)
次に、図2(c)に示すように、透明基板2及び液晶表示ユニット1を貼り合わせて得た光学部材に、遮光部を有する透明基板2側から紫外線9を照射して、貼り合わせ時露光領域にある紫外線硬化型樹脂組成物を硬化させる。
こうして、図4に示された光学部材を得ることが出来る。」

e)「[0034] 上記液晶表示ユニットも含め、上記の第1#第4の実施形態で製造し得る光学部材の具体的態様を下記に示す。
(i) 遮光部を有する光学基材が、遮光部を有する透明ガラス基板、遮光部を有する透明樹脂基板、及び遮光部と透明電極が形成してあるガラス基板からなる群から選ばれる少なくとも一つの光学基材であり、それと貼り合わされる光学基材が液晶表示ユニット、プラズマ表示ユニットおよび有機EL表示ユニットからなる群から選ばれる少なくとも一つの表示体ユニットであり、得られる光学部材が、該遮光部を有する光学基材を有する表示体ユニットである態様。
(ii) 一方の光学基材が遮光部を有する保護基材であり、それと貼り合わされる他の光学基材がタッチパネル又はタッチパネルを有する表示体ユニットであり、少なくとも2つの光学基材が貼り合わされた光学部材が、遮光部を有する保護基材を有するタッチパネル又はそれを有する表示体ユニットである態様。
この場合、工程1においては、遮光部を有する保護基材の遮光部が設けられた面、又は、タッチパネルのタッチ面の、何れか一方の面又はその両者に、紫外線硬化型樹脂組成物を塗布するのが好ましい。
(iii) 一方の光学基材が遮光部を有する光学基材であり、それと貼り合わされる他の光学基材が表示体ユニットであり、少なくとも2つの光学基材が貼り合わされた光学部材が遮光部を有する光学基材を有する表示体ユニットである態様。
この場合、工程1において、遮光部を有する光学基材の遮光部が設けられた側の面、又は、表示体ユニットの表示面の何れか一方、又は、その両者に、紫外線硬化型樹脂組成物を塗布するのが好ましい。」

f)「[0087] 本発明の製造方法で得られる好ましい光学部材としては、遮光部を有する板状又はシート状の透明光学基材と、上記機能性積層体とが、本発明の紫外線硬化型樹脂組成物の硬化物で貼り合わされた光学部材を挙げることが出来る。
また、本発明の製造方法において、光学基材の一つとして液晶表示装置等の表示体ユニットを使用し、他の光学基材として遮光部を有する光学機能材料を使用することにより、光学機能材料付き表示体ユニット(以下表示パネルともいう)を製造することができる。上記の表示体ユニットとしては、例えば、ガラスに偏光板を貼り付けてなるLCD、有機又は無機ELディスプレイ、EL照明、電子ペーパー及びプラズマディスプレイ等の表示装置が挙げられる。また、上記光学機能材料としては、アクリル板、PC板、PET板及びPEN板等の透明プラスチック板、強化ガラス及びタッチパネルが挙げられる。」

g)図2には、貼り合わせ時遮光領域は、紫外線硬化型樹脂組成物の塗布層のうち透明基板2の遮光部4上に位置する領域である周辺領域であることが示されている。

上記下線部及び関連箇所の記載によれば、引用文献1には、複数の知覚体験をデバイスのユーザに与える方法として、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。

「液晶表示ユニット1は、電極を形成した一対の基板間に液晶材料が封入されたものに、偏光板、駆動用回路、信号入力ケーブルおよびバックライトユニットが備わったものであり、
遮光部を有する透明基板2は、ガラス板、ポリメチルメタクリレート(PMMA)板、ポリカーボネート(PC)板又は脂環式ポリオレフィンポリマー(COP)板等の透明基板3の貼り合わせ面の表面上に、黒色枠状の遮光部4が設けられたものであり、
紫外線硬化型樹脂組成物を、遮光部を有する透明基板2の遮光部4が設けられた面に塗布し、
その後、紫外線硬化型樹脂組成物の塗布層のうち透明基板2の遮光部4上に位置する領域である周辺領域である、貼り合わせ時遮光領域に紫外線を照射して、貼り合わせ時遮光領域が硬化された紫外線硬化型樹脂組成物の塗布層7を得、
遮光部を有する透明基板2の該塗布層7と液晶表示ユニット1の表示面が対向する形で、液晶表示ユニット1と遮光部を有する透明基板2を貼り合わせ、
透明基板2及び液晶表示ユニット1を貼り合わせて得た光学部材に、遮光部を有する透明基板2側から紫外線9を照射して、貼り合わせ時露光領域にある紫外線硬化型樹脂組成物を硬化させる、
遮光部での樹脂の硬化度が高く、遮光部付近における表示画像の表示ムラ等の問題が生じず、信頼性の高い光学部材を提供することができる
紫外線硬化型樹脂組成物を使用する光学部材の製造方法において、
一方の光学基材が遮光部を有する保護基材であり、それと貼り合わされる他の光学基材がタッチパネル又はタッチパネルを有する表示体ユニットであり、少なくとも2つの光学基材が貼り合わされた光学部材が、遮光部を有する保護基材を有するタッチパネル又はそれを有する表示体ユニットとし、
光学部材としては、遮光部を有する板状又はシート状の透明光学基材と、上記機能性積層体とが、本発明の紫外線硬化型樹脂組成物の硬化物で貼り合わされた光学部材を挙げることが出来る
紫外線硬化型樹脂組成物を使用する光学部材の製造方法。」

2.引用文献4(特開2012-73533号公報)について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献4には、図面とともに次の事項が記載されている。

h)「【0002】
一般的に、液晶ディスプレイは、液晶モジュール、操作用のタッチパネル、表面を保護
する保護パネル(カバーパネル)等を積層することにより構成されている。これらの液晶モジュール、タッチパネル、保護パネル等(以下、ワークと呼ぶ)は、液晶ディスプレイの筐体に組み込まれる。
【0003】
かかるワークの貼り合わせには、接着シートを用いる方法と樹脂の接着剤を用いる方法がある。接着シートは、接着剤に比べて比較的高価であり、剥離紙の剥離等の工程が必要となる。このため、近年のコスト削減の要求などから、接着剤を用いた貼り合わせが主流となってきている。

中略

【0007】
これは、ワークに、レジンによる接着剤を枠状に塗布して仮硬化させることにより、シールを形成し、内側にレジンによる接着剤を充填して、ワークを貼り合わせるものである。このシール方式では、外周にシールがあるので、貼り合わせ時の接着剤の流動によるはみ出しを防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2010-66711号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、上記のシール方式によって形成したシールと、内部に充填した接着剤との間には、境界が残る可能性がある。たとえば、液晶ディスプレイなどの表示装置において、ユーザの視野範囲内に、先に硬化したシールと、内部の接着剤との境界が入ると、画面の視認性が阻害される。しかし、画面の大型化の要請と、部材自体の小型化の要請から、ワークにおける視野範囲外に、シールのためのスペースを十分に確保することは困難である。」

i)「【0042】
[D.他の実施形態]
本発明は、上記のような実施形態に限定されるものではない。たとえば、図5(A)(B)に示すように、接着剤RをワークS1の全面に塗布した後、マスクM(遮蔽部)によって縁のみが露出するように上方を覆い、上方に配置した電磁波の照射装置から、大気中で全体に電磁波を照射することも可能である。これにより、図3(B)に示すように、縁のみに仮硬化部Hを形成して、上記と同様の効果を得ることができる。
【0043】
また、図6に示すように、照射部11を、電磁波を比較的狭い領域(集光させるか否かは問わない)に照射するものとして構成し、走査装置によって移動可能に構成してもよい。かかる構成とすれば、図3(B)に示すように、外縁のみに仮硬化部Hが形成されるように、照射部11を走査装置によって走査しながら、電磁波を照射することができる。
【0044】
この場合にも、全面に行き渡った同じ接着剤Rの一部を仮硬化させるので、ユーザの視野範囲W内に境界が残留することはほとんど無く、画面の視認性には影響がない。なお、電磁波の照射により仮硬化部Hを形成する領域は、遮蔽部や、スポット的若しくは細線状の照射によって、非常に狭い範囲とするとが可能である。これにより、仮硬化部Hと未硬化部との境界を、図4に示した視野範囲W外とすることにより、視認性への影響をより確実に防止できる。」

第5 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比する。

ア.引用発明の「遮光部を有する透明基板2は、ガラス板、ポリメチルメタクリレート(PMMA)板、ポリカーボネート(PC)板又は脂環式ポリオレフィンポリマー(COP)板等の透明基板3の貼り合わせ面の表面上に、黒色枠状の遮光部4が設けられたものであり」、「遮光部を有する板状又はシート状の透明光学基材」を挙げることができるものであるから、本願発明1の「加飾層が形成された加飾フィルム」に相当する。
したがって、引用発明の「紫外線硬化型樹脂組成物を、遮光部を有する透明基板2の遮光部4が設けられた面に塗布」する構成は、本願発明1の「加飾層が形成された加飾フィルムの表面に紫外線硬化樹脂を塗布する工程」に相当する。

イ.引用発明の「紫外線硬化型樹脂組成物の塗布層のうち透明基板2の遮光部4上に位置する領域である周辺領域である、貼り合わせ時遮光領域に紫外線を照射して、貼り合わせ時遮光領域が硬化された紫外線硬化型樹脂組成物の塗布層7を得」る構成は、本願発明1の「前記加飾フィルムの周辺領域における前記紫外線硬化樹脂を、紫外線を照射することにより硬化させて、周辺硬化領域を形成する第1の紫外線照射工程」に相当する。

ウ.引用発明の「一方の光学基材が遮光部を有する保護基材であり、それと貼り合わされる他の光学基材がタッチパネル又はタッチパネルを有する表示体ユニット」とし、「遮光部を有する透明基板2の該塗布層7と液晶表示ユニット1の表示面が対向する形で、液晶表示ユニット1と遮光部を有する透明基板2を貼り合わせ、透明基板2及び液晶表示ユニット1を貼り合わせて得た光学部材に、遮光部を有する透明基板2側から紫外線9を照射して、貼り合わせ時露光領域にある紫外線硬化型樹脂組成物を硬化させる」構成は、本願発明1の「前記紫外線硬化樹脂の上にタッチパネル本体部を載置し、紫外線を照射することにより前記周辺硬化領域の内側の前記紫外線硬化樹脂を硬化させて、内部硬化領域を形成する第2の紫外線照射工程と、を有し、」「第2の紫外線照射工程において形成される前記紫外線硬化樹脂の内部硬化領域において、前記加飾フィルムと前記タッチパネル本体部とを貼り付けること」に相当する。

エ.引用発明の「一方の光学基材が遮光部を有する保護基材であり、それと貼り合わされる他の光学基材がタッチパネル又はタッチパネルを有する表示体ユニットであり、少なくとも2つの光学基材が貼り合わされた光学部材が、遮光部を有する保護基材を有するタッチパネル又はそれを有する表示体ユニット」とした「紫外線硬化型樹脂組成物を使用する光学部材の製造方法」は、本願発明1の「タッチパネルの製造方法」に相当する。

したがって、両者は以下の一致点と相違点とを有する。

〈一致点〉
「加飾層が形成された加飾フィルムの表面に紫外線硬化樹脂を塗布する工程と、
前記加飾フィルムの周辺領域における前記紫外線硬化樹脂を、紫外線を照射することにより硬化させて、周辺硬化領域を形成する第1の紫外線照射工程と、
前記紫外線硬化樹脂の上にタッチパネル本体部を載置し、紫外線を照射することにより前記周辺硬化領域の内側の前記紫外線硬化樹脂を硬化させて、内部硬化領域を形成する第2の紫外線照射工程と、
を有し、
第2の紫外線照射工程において形成される前記紫外線硬化樹脂の内部硬化領域において、前記加飾フィルムと前記タッチパネル本体部とを貼り付けることを特徴とするタッチパネルの製造方法。」

〈相違点1〉
本願発明1は、「前記周辺硬化領域の上にフレキシブル基板を載置する載置工程」を有し、「第2の紫外線照射工程」は「前記載置工程の後」の工程であるのに対し、引用発明は、フレキシブル基板を載置するものとはされていない点。

〈相違点2〉
本願発明1は、「前記周辺硬化領域と前記内部硬化領域との境界は、前記加飾層が形成されている領域に位置するもの」であるのに対し、引用発明は、「貼り合わせ時遮光領域は、紫外線硬化型樹脂組成物の塗布層のうち透明基板2の遮光部4上に位置する領域である周辺領域」であり、「貼り合わせ時遮光領域」と「貼り合わせ時露光領域」との境界は、「遮光部4」の内側端部上に位置するものとなる点。

(2)相違点についての判断
事案に鑑みて、上記相違点2について先に検討する。
引用文献4には、接着剤RをワークS1の全面に塗布した後、マスクM(遮蔽部)によって縁のみが露出するように上方を覆い、上方に配置した電磁波の照射装置から、大気中で全体に電磁波を照射することにより、縁のみに仮硬化部Hを形成し、仮硬化部Hと未硬化部との境界を、視野範囲W外とすることにより、視認性への影響をより確実に防止する技術が記載されている。
しかしながら、引用文献1は、「遮光部が設けられた透明保護板を紫外線硬化型樹脂組成物で貼り合わせた場合、該遮光部によって紫外線硬化型樹脂のうち該遮光部の陰になる遮光領域に充分な紫外線が到達せず、該遮光領域の樹脂の硬化が不十分になる。樹脂の硬化が不十分であると、遮光部付近の表示画像における表示ムラ等の問題が発生する。」([0004])という問題を解決し、「遮光部での樹脂の硬化度が高く、遮光部付近における表示画像の表示ムラ等の問題が生じず、信頼性の高い光学部材を提供する」([0016])ものであり、引用発明は、上記問題を解決するために、「紫外線硬化型樹脂組成物の塗布層のうち透明基板2の遮光部4上に位置する領域である周辺領域である、貼り合わせ時遮光領域に紫外線を照射して、貼り合わせ時遮光領域が硬化された紫外線硬化型樹脂組成物の塗布層7を得」るという構成を有するものである。
そして、引用発明において、「貼り合わせ時遮光領域」を「透明基板2」の「遮光部4」が形成されている領域とし、「貼り合わせ時遮光領域」と「貼り合わせ時露光領域」との境界を「遮光部4」が形成されている領域に位置するものとした場合、「遮光部4」上に位置する「紫外線硬化型樹脂組成物の塗布層」の一部は硬化しないものとなり、上記問題を解決できないことになるから、「貼り合わせ時遮光領域」と「貼り合わせ時露光領域」との境界を「遮光部4」が形成されている領域に位置するものとすることには、阻害要因があるといえ、引用発明において、相違点2に係る本願発明1の構成を採用することは、当業者が容易になし得たこととはいえない。
したがって本願発明1は、相違点1を検討するまでもなく、当業者であっても引用発明、引用文献2-5に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

2.本願発明2-3について
本願発明2-3は、本願発明1を直接または間接的に引用するものであり、上記「1.本願発明1について」にて述べたのと同様の理由により、引用発明に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

第6 原査定について
本願発明1-3は「前記周辺硬化領域と前記内部硬化領域との境界は、前記加飾層が形成されている領域に位置するもの」という事項を有するものであり、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献1-5に基づいて、容易に発明できたものとはいえない。
したがって、原査定の理由を維持することはできない。

第7 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2018-07-09 
出願番号 特願2013-168299(P2013-168299)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G06F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 塩屋 雅弘  
特許庁審判長 千葉 輝久
特許庁審判官 松田 岳士
山田 正文
発明の名称 タッチパネルの製造方法  
代理人 伊東 忠重  
代理人 伊東 忠彦  
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