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審決分類 審判 一部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  A63F
審判 一部申し立て 2項進歩性  A63F
審判 一部申し立て 1項3号刊行物記載  A63F
管理番号 1341968
異議申立番号 異議2017-700511  
総通号数 224 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2018-08-31 
種別 異議の決定 
異議申立日 2017-05-24 
確定日 2018-05-24 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6030258号発明「プログラム、ゲームの制御方法、及び情報処理装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6030258号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された特許請求の範囲及び図面のとおり,訂正後の請求項〔1-4〕,5,6,7,8,9について訂正することを認める。 特許第6030258号の請求項1乃至4,8,9に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
特許第6030258号の請求項1乃至4,8,9に係る特許についての出願は,平成27年11月27日に特許出願された特願2015-231214号の一部を,平成28年5月23日に特願2016-10278号として出願されたものであって,平成28年10月28日にその特許権の設定登録がされ,その後,その特許について,平成29年5月24日に特許異議申立人山田宏基により特許異議の申立てがされ,平成29年8月14日に特許異議申立人山田宏基に審尋がされ,平成29年10月18日に特許異議申立人山田宏基より回答書が提出され,平成29年11月30日付けで取消理由が通知され,その指定期間内である平成30年1月31日に意見書の提出及び訂正の請求があり,その訂正の請求に対して特許異議申立人山田宏基から同年3月19日付けで意見書が提出されたものである。

2.訂正の適否についての判断
(1)訂正の内容
本件訂正請求による訂正の内容は以下のとおりである。
ア 訂正事項1
請求項1に関して
ア-1 訂正前の「検出された前記第1ユーザ操作に応じて,前記オブジェクトを前記仮想空間内で前記フィールドオブジェクトに対して相対的に移動させる第1移動ステップ」とあったのを,「前記第1ユーザ操作が検出されている間,前記第1位置及び第2位置に応じて検出された前記第1ユーザ操作に応じて,前記オブジェクトを前記仮想空間内で前記フィールドオブジェクトに対して相対的に移動させる第1移動ステップ」と訂正する。
ア-2 訂正前の「連続的又は段階的に変化し,」に続けて,「前記第1方向は,前記画面の長手方向であり, 前記第2方向は,前記画面の短手方向であり,」を挿入する。
ア-3 訂正前の「オブジェクトの移動速度の変化の割合又は段階数と,前記第1位置と前記第2位置との間の長さの前記第2方向成分に対する前記オブジェクトの移動速度の変化の割合又は段階数とが異なる」を「オブジェクトの移動速度の変化の割合又は段階数が,前記第1位置と前記第2位置との間の長さの前記第2方向成分に対する前記オブジェクトの移動速度の変化の割合又は段階数よりも小さい」と訂正する。

イ 訂正事項2
請求項5に関して
訂正前の請求項5を「ゲームを実行する情報処理装置に,
仮想空間内のフィールドオブジェクト上に配置されたオブジェクトを画面上に表示させるステップと,
第1ユーザ操作を検出するステップと,
前記第1ユーザ操作が検出されている間,該第1ユーザ操作に応じた前記画面上の第1位置及び第2位置を検出するステップと,
検出された前記第1ユーザ操作に応じて,前記オブジェクトを前記仮想空間内で前記フィールドオブジェクトに対して相対的に移動させる第1移動ステップと,
前記第1ユーザ操作の終了を検出すると,前記オブジェクトの移動速度を変化させながら前記オブジェクトを移動させる第2移動ステップと,
前記第2移動ステップの後,第2ユーザ操作を検出すると,前記オブジェクトの移動速度の少なくとも1方向成分を所定値に定めるステップと,を実行させ,
前記第1移動ステップにおいて,前記オブジェクトの移動速度は,前記第1位置と前記第2位置との間の長さの第1方向成分及び第2方向成分に応じて連続的又は段階的に変化し,
前記第1位置と前記第2位置との間の長さの前記第1方向成分に対する前記オブジェクトの移動速度の変化の割合又は段階数と,前記第1位置と前記第2位置との間の長さの前記第2方向成分に対する前記オブジェクトの移動速度の変化の割合又は段階数とは異なる,プログラム。」と訂正する。

ウ 訂正事項3
請求項6に関して
訂正前の請求項6を「ゲームを実行する情報処理装置に,
仮想空間内のフィールドオブジェクト上に配置されたオブジェクトを画面上に表示させるステップと,
第1ユーザ操作を検出するステップと,
前記第1ユーザ操作が検出されている間,該第1ユーザ操作に応じた前記画面上の第1位置及び第2位置を検出するステップと,
検出された前記第1ユーザ操作に応じて,前記オブジェクトを前記仮想空間内で前記フィールドオブジェクトに対して相対的に移動させる第1移動ステップと,
前記第1ユーザ操作に応じて前記第2位置が変化すると,前記第2位置の変化速度が所定閾値以上である場合,前記オブジェクトの移動速度の少なくとも1方向成分を所定値に定め,又は前記オブジェクトに移動以外の動作を実行させるステップと,を実行させ,
前記第1移動ステップにおいて,前記オブジェクトの移動速度は,前記第1位置と前記第2位置との間の長さの第1方向成分及び第2方向成分に応じて連続的又は段階的に変化し,
前記第1位置と前記第2位置との間の長さの前記第1方向成分に対する前記オブジェクトの移動速度の変化の割合又は段階数と,前記第1位置と前記第2位置との間の長さの前記第2方向成分に対する前記オブジェクトの移動速度の変化の割合又は段階数とが異なる,プログラム。」と訂正する。

エ 訂正事項4
請求項7に関して
訂正前の請求項7を「ゲームを実行する情報処理装置に,
仮想空間内のフィールドオブジェクト上に配置されたオブジェクトを画面上に表示させるステップと,
第1ユーザ操作を検出するステップと,
前記第1ユーザ操作が検出されている間,該第1ユーザ操作に応じた前記画面上の第1位置及び第2位置を検出するステップと,
検出された前記第1ユーザ操作に応じて,前記オブジェクトを前記仮想空間内で前記フィールドオブジェクトに対して相対的に移動させる第1移動ステップと,を実行させ,
前記第1移動ステップにおいて,前記オブジェクトの移動速度は,前記第1位置と前記第2位置との間の長さの第1方向成分及び第2方向成分に応じて連続的又は段階的に変化し,
前記第1位置と前記第2位置との間の長さの前記第1方向成分に対する前記オブジェクトの移動速度の変化の割合又は段階数と,前記第1位置と前記第2位置との間の長さの前記第2方向成分に対する前記オブジェクトの移動速度の変化の割合又は段階数とが異なり,
前記第1移動ステップにおいて,前記第1ユーザ操作が検出されている間に前記仮想空間内における所定の方向に前記オブジェクトを移動させると,前記第1位置の座標を他の座標に自動的に更新させる,プログラム。」と訂正する。

オ 訂正事項5
請求項8に関して
オ-1 訂正前の「検出された前記第1ユーザ操作に応じて?移動させる第1移動ステップ」とあったのを,「前記第1ユーザ操作が検出されている間,前記第1位置及び第2位置に応じて?移動させる第1移動ステップ」と訂正する。
オ-2 訂正前の「連続的又は段階的に変化し,」に続けて,「前記第1方向は,前記画面の長手方向であり, 前記第2方向は,前記画面の短手方向であり,」を挿入する。
ア-3 訂正前の「オブジェクトの移動速度の変化の割合又は段階数と,前記第1位置と前記第2位置との間の長さの前記第2方向成分に対する前記オブジェクトの移動速度の変化の割合又は段階数とが異なる」を「オブジェクトの移動速度の変化の割合又は段階数が,前記第1位置と前記第2位置との間の長さの前記第2方向成分に対する前記オブジェクトの移動速度の変化の割合又は段階数よりも小さい」と訂正する。

カ 訂正事項6
請求項9に関して
カ-1 訂正前の「検出された前記第1ユーザ操作に応じて?移動させる移動処理」とあったのを,「前記第1ユーザ操作が検出されている間,前記第1位置及び第2位置に応じて?移動させる移動処理」と訂正する。
カ-2 訂正前の「フィールドオブジェクトに対して相対的に移動させる移動処理を実行し,」に続けて,「前記第1方向は,前記画面の長手方向であり, 前記第2方向は,前記画面の短手方向であり,」を挿入する。
カ-3 訂正前の「オブジェクトの移動速度の変化の割合又は段階数と,前記第1位置と前記第2位置との間の長さの前記第2方向成分に対する前記オブジェクトの移動速度の変化の割合又は段階数とが異なる」を「オブジェクトの移動速度の変化の割合又は段階数が,前記第1位置と前記第2位置との間の長さの前記第2方向成分に対する前記オブジェクトの移動速度の変化の割合又は段階数よりも小さい」と訂正する。


(2)訂正の目的の適否,新規事項の有無,及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否について
ア 訂正事項1について
上記ア-1の訂正は,第1移動ステップに関して,どのタイミングで移動させるのか,第1ユーザ操作の何に応じて移動するのかを具体的に限定したものである。
上記ア-2の訂正は,「第1方向」及び「第2方向」が,何に基づく方向であるのかを具体的に限定したものである。
上記ア-3の訂正は,「オブジェクトの移動速度の変化の割合又は段階数」が,どのように異なるのかを具体的に限定したものである。
したがって,訂正事項1は,特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして,ア-1に関しては,明細書の段落【0059】に「第1ユーザ操作が検出されている間,第1ユーザ操作に応じたフィールド画面上の第1位置及び第2位置を検出する。」と記載されているから,新規事項の追加に該当せず,また,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものではない。
ア-2及びア-3に関しては,明細書の段落【0047】に「x軸方向がフィールド画面の長手方向(例えば,図5において左右方向)に略一致し,y軸方向がフィールド画面の短手方向(例えば,図5において上下方向)に略一致する。」と記載され,同段落【0118】に「第1位置と第2位置との間の長さのx軸方向成分及びy軸方向成分に応じて,第1オブジェクト23の移動速度Xw及び移動速度Ywがそれぞれ連続的に変化する構成である場合,第1位置と第2位置との間の長さのx軸方向成分に対する移動速度Xwの変化の割合よりも,第1位置と第2位置との間の長さのy軸方向成分に対する移動速度Ywの変化の割合が小さく又は大きくなる。」,同段落【0119】に「制御部13は,n段階(2<n)の速度値のうち,第1位置と第2位置との間の長さのx軸方向成分に応じた段階の速度値を移動速度Xwに決定する。また制御部13は,m段階(1<m<n)の速度値のうち,第1位置と第2位置との間の長さのy軸方向成分に応じた段階に対応する速度値を移動速度Ywに定める。」と記載され,「x軸方向である第1方向が,画面の長手方向」に,「y軸方向である第2方向が,画面の短手方向」に対応することは明らかである。
したがって,訂正事項1は,新規事項の追加に該当せず,また,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものではない。

イ 訂正事項2について
訂正事項2は,請求項4を介して訂正前の請求項1を引用する訂正前の請求項5を,訂正前の引用形式から独立形式に書き改められたものであるから,引用関係の解消を目的とするものである。
そして,引用形式から独立形式に書き改めたものにすぎないから,新規事項の追加に該当せず,また,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものではない。

ウ 訂正事項3について
訂正事項3は,訂正前の請求項1を引用する訂正前の請求項6を,訂正前の引用形式から独立形式に書き改められたものであるから,引用関係の解消を目的とするものである。
そして,引用形式から独立形式に書き改めたものにすぎないから,新規事項の追加に該当せず,また,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものではない。

エ 訂正事項4について
訂正事項4は,訂正前の請求項1を引用する訂正前の請求項7を,訂正前の引用形式から独立形式に書き改められたものであるから,引用関係の解消を目的とするものである。
そして,引用形式から独立形式に書き改めたものにすぎないから,新規事項の追加に該当せず,また,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものではない。

オ 訂正事項5について
訂正事項5は,訂正事項の内容は実質的に訂正事項1と同じである。
したがって,訂正事項1と同じ理由により,訂正事項5は,特許請求の範囲の減縮を目的とし,新規事項の追加に該当せず,また,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものではない。

カ 訂正事項6について
訂正事項6は,訂正事項の内容は実質的に訂正事項1と同じである。
したがって,訂正事項1と同じ理由により,訂正事項6は,特許請求の範囲の減縮を目的とし,新規事項の追加に該当せず,また,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものではない。

(3)独立特許要件について
請求項1乃至4,8,9に係る訂正については,特許異議の申立てがされているため,訂正後の特許請求の範囲に記載された事項により特定される発明が,特許出願の際独立して特許を受けることができるかについての判断を要しない。
請求項5乃至7に係る訂正については,上記の「(2) イ乃至エ」で述べたとおり,引用形式から独立形式に書き改めたものであって,特許法第120条の5第2項ただし書第4号に該当するから,特許異議の申立てがされていない請求項であっても,訂正後の特許請求の範囲に記載された事項により特定される発明が,特許出願の際独立して特許を受けることができるかについての判断を要しない。

(4)一群の請求項について
訂正事項1乃至4に係る訂正前の請求項1乃至7について,請求項2乃至7は,それぞれ請求項1を引用しているものであって,訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。
したがって,訂正前の請求項1乃至7に対応する訂正後の請求項1乃至7は,特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。

(5)小括
以上のとおりであるから,本件訂正請求による訂正は特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第4号に掲げる事項を目的とするものであり,かつ,同条第4項,及び,同条第9項において準用する同法第126条第4項から第6項までの規定に適合するので,訂正後の請求項〔1-4〕,5,6,7,8,9について訂正を認める。

3.特許異議の申立てについて
(1)本件発明
本件訂正請求により訂正された請求項1乃至4,8,9に係る発明(以下「本件発明1」などという。)は,その特許請求の範囲の請求項1乃至4,8,9に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
「【請求項1】
ゲームを実行する情報処理装置に,
仮想空間内のフィールドオブジェクト上に配置されたオブジェクトを画面上に表示させるステップと,
第1ユーザ操作を検出するステップと,
前記第1ユーザ操作が検出されている間,該第1ユーザ操作に応じた前記画面上の第1位置及び第2位置を検出するステップと,
前記第1ユーザ操作が検出されている間,前記第1位置及び第2位置に応じて,前記オブジェクトを前記仮想空間内で前記フィールドオブジェクトに対して相対的に移動させる第1移動ステップと,を実行させ,
前記第1移動ステップにおいて,前記オブジェクトの移動速度は,前記第1位置と前記第2位置との間の長さの第1方向成分及び第2方向成分に応じて連続的又は段階的に変化し,
前記第1方向は,前記画面の長手方向であり,
前記第2方向は,前記画面の短手方向であり,
前記第1位置と前記第2位置との間の長さの前記第1方向成分に対する前記オブジェクトの移動速度の変化の割合又は段階数が,前記第1位置と前記第2位置との間の長さの前記第2方向成分に対する前記オブジェクトの移動速度の変化の割合又は段階数よりも小さい,プログラム。
【請求項2】
請求項1に記載のプログラムであって,
前記第1移動ステップにおいて,前記第1位置と前記第2位置との間の長さの前記第2方向成分が所定の閾値以上である場合,前記仮想空間内における所定の方向に前記オブジェクトを移動させる,プログラム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のプログラムであって,
前記第1移動ステップにおいて,前記第1ユーザ操作に応じて前記第2位置が変化すると,変化前の前記第2位置と変化後の前記第2位置との間の長さの前記第2方向成分が所定の閾値以上である場合,又は前記第2位置の変化速度の前記第2方向成分が所定の閾値以上である場合,前記仮想空間内における所定の方向に前記オブジェクトを移動させる,プログラム。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか一項に記載のプログラムであって,
前記情報処理装置に,
前記第1ユーザ操作の終了を検出すると,前記オブジェクトの移動速度を変化させながら前記オブジェクトを移動させる第2移動ステップ
を更に実行させる,プログラム。
【請求項8】
情報処理装置によって実行されるゲームの制御方法であって,
仮想空間内のフィールドオブジェクト上に配置されたオブジェクトを画面上に表示させるステップと,
第1ユーザ操作を検出するステップと,
前記第1ユーザ操作が検出されている間,該第1ユーザ操作に応じた前記画面上の第1位置及び第2位置を検出するステップと,
前記第1ユーザ操作が検出されている間,前記画面上の第1位置及び第2位置に応じて,前記オブジェクトを前記仮想空間内で前記フィールドオブジェクトに対して相対的に移動させる第1移動ステップと,を含み,
前記第1移動ステップにおいて,前記オブジェクトの移動速度は,前記第1位置と前記第2位置との間の長さの第1方向成分及び第2方向成分に応じて連続的又は段階的に変化し,
前記第1方向は,前記画面の長手方向であり,
前記第2方向は,前記画面の短手方向であり,
前記第1位置と前記第2位置との間の長さの前記第1方向成分に対する前記オブジェクトの移動速度の変化の割合又は段階数が,前記第1位置と前記第2位置との間の長さの前記第2方向成分に対する前記オブジェクトの移動速度の変化の割合又は段階数よりも小さい,制御方法。
【請求項9】
ゲームを実行する情報処理装置であって,
画面を表示する表示部と,
制御部と,を備え,
前記制御部は,
仮想空間内のフィールドオブジェクト上に配置されたオブジェクトを画面上に表示させ,
第1ユーザ操作を検出し,
前記第1ユーザ操作が検出されている間,該第1ユーザ操作に応じた前記画面上の第1位置及び第2位置を検出し,
前記第1ユーザ操作が検出されている間,前記画面上の第1位置及び第2位置に応じて,前記オブジェクトを前記仮想空間内で前記フィールドオブジェクトに対して相対的に移動させる移動処理を実行し,
前記移動処理において,前記オブジェクトの移動速度は,前記第1位置と前記第2位置との間の長さの第1方向成分及び第2方向成分に応じて連続的又は段階的に変化し,
前記第1方向は,前記画面の長手方向であり,
前記第2方向は,前記画面の短手方向であり,
前記第1位置と前記第2位置との間の長さの前記第1方向成分に対する前記オブジェクトの移動速度の変化の割合又は段階数が,前記第1位置と前記第2位置との間の長さの前記第2方向成分に対する前記オブジェクトの移動速度の変化の割合又は段階数よりも小さい,情報処理装置。」

(2)取消理由の概要
訂正前の請求項1乃至4,8,9に係る特許に対して平成29年11月30日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は,次のとおりである。
ア 請求項1,4,8,9に係る発明は,甲第1号証に記載された発明であるから,特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができないものであり,請求項1,4,8,9に係る特許は,取り消されるべきものである。

イ 請求項1乃至4,8,9に係る発明は,甲第2乃至6,9乃至15号証に記載された発明に基づき,容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり,請求項1乃至4,8,9に係る特許は,取り消されるべきものである。

ウ 請求項1乃至4,8,9に係る特許は,発明の詳細な説明に記載した範囲を超えて特許を請求するものであるから,特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり,取り消されるべきものである。

(3)引用文献の記載
引用文献1:特開2006-119774号公報(甲1号証)
引用文献2:特開2013-39232号公報(甲2号証)
引用文献3:高岡昌己,「【新作レビュー】片手で操作できるワンフィンガーRPG!『白猫プロジェクト』でスマホゲームが進化する!!」,2014年9月9日,「TAPPLI」,http://web.archive.org/web/20140909061907/http://tappli.org/review-detail.php?id=12(甲3号証)
引用文献4:白猫プロジェクト攻略マニュアル,「白猫プロジェクトのぷにコンってなんのこと?」,2014年11月9日,「白猫プロジェクト攻略マニュアル」,http://web.archive.org/web/20141109213411/http://www.riis.jp/category/entry13.html(甲4号証)
引用文献5:daichu,「【白猫攻略】まずはバトルの基礎を覚えよう!キャラの動かし方・攻撃の回避方法などの操作方法を解説するよ」,2014年12月18日,「かみあぷ速報」,http://web.archive.org/web/20141218154136/http://www.appps.jp/115523/(甲5号証)
引用文献6:rayou,「【白猫プロジェクト徹底攻略】第2回:ぷにコンに慣れよう!移動とスキル!【初心者必見】」,2015年3月22日,「オクトバ」,http://web.archive.org/web/20150322082056/http://octoba.net/archives・20140910-白猫プロジェクト徹底攻略-2.html(甲6号証)
引用文献7:株式会社コロプラ,「白猫プロジェクト ぷにコン操作ムービー(株式会社コロプラ)」,2014年7月20日,「YouTube」,http://web.archive.org/web/20140720073919/http://www.youtube.com/watch?v=2rpM017TGAE(甲7号証)
引用文献8:株式会社コロプラ,「スマートフォン向けアプリダウンロード数・利用者推移」,2015年11月28日,「IR情報」,http://web.archive.org/web/20151128182214/http://colopl.co.jp/ir/library/appdls.html(甲8号証)
引用文献9:特開2005-73903号公報(甲9号証)
引用文献10:特開2006-68387号公報(甲10号証)
引用文献11:特開2012-33060号公報(甲11号証)
引用文献12:山崎由喜憲,ゲームプログラマになる本 IBM PC/AT互換機,CQ出版株式会社,1996年5月20日初版発行,23-30頁(甲12号証)
引用文献13:ウィキペディア,「エグゼドエグゼス」,2015年9月21日,「ウィキペディア」,http://web.archive.org/web/20150921212308/http://ja.wikipedia.org/wiki/エグゼドエグゼス(甲13号証)
引用文献14:ウィキペディア,「雷電DX」,2011年10月27日,「ウィキペディア」,http://web.archive.org/web/20111027210032/http://ja.wikipedia.org/wiki/雷電DX(甲14号証)
引用文献15:NAME OVER,「テラクレスタ」,16,2002年11月12日,「レトロゲーム@2ch掲示板」,http://web.archive.org/web/200211121709439/http://game.2ch.net/test/read.cgi/retro/1032372635/(甲15号証)

引用文献1
ア「【0031】
図面を参照して,本発明の一実施形態に係るゲームプログラムを実行するゲーム装置について説明する。なお,図1は,本発明のゲームプログラムを実行するゲーム装置1の外観図である。ここでは,ゲーム装置1の一例として,携帯ゲーム装置を示す。また,以下の説明で用いるゲームプログラムが本発明の入力処理プログラムの一例であり,ゲーム装置1が本発明の入力処理装置の一例である。
【0032】
図1において,本実施形態のゲーム装置1は,2つの液晶表示器(LCD)11および12を所定の配置位置となるように,ハウジング18に収納して構成される。具体的には,第1液晶表示器(以下,「LCD」という)11および第2LCD12を互いに上下に配置して収納する場合は,ハウジング18が下部ハウジング18aおよび上部ハウジング18bから構成され,上部ハウジング18bが下部ハウジング18aの上辺の一部で回動自在に支持される。上部ハウジング18bは,第1LCD11の平面形状よりも少し大きな平面形状を有し,一方主面から第1LCD11の表示画面を露出するように開口部が形成される。下部ハウジング18aは,その平面形状が上部ハウジング18bよりも横長に選ばれ,横方向の略中央部に第2LCD12の表示画面を露出する開口部が形成され,第2LCD12を挟む何れか一方にスピーカ15の音抜き孔が形成されるとともに,第2LCD12を挟む左右に操作スイッチ部14が装着される。」
イ「【0036】
図2は,ゲーム装置1のブロック図である。図2において,ハウジング18に収納される電子回路基板20には,CPUコア21が実装される。CPUコア21には,所定のバスを介して,コネクタ28が接続されるとともに,入出力インターフェース(I/F)回路27,第1グラフィック処理ユニット(第1GPU)24,第2グラフィック処理ユニット(第2GPU)26,WRAM22,およびLCDコントローラ29が接続される。コネクタ28には,カートリッジ17が着脱自在に接続される。カートリッジ17は,ゲームプログラムを格納するための記憶媒体であり,具体的には,ゲームプログラムを記憶するROM171とバックアップデータを書き換え可能に記憶するRAM172とを搭載する。カートリッジ17のROM171に記憶されたゲームプログラムは,WRAM22にロードされ,当該WRAM22にロードされたゲームプログラムがCPUコア21によって実行される。CPUコア21は,ゲームプログラムを実行して得られる一時的なデータや画像を生成するためのデータをWRAM22に記憶する。I/F回路27には,操作スイッチ部14およびタッチパネル13が接続されるとともに,スピーカ15が接続される。」
ウ「【0041】
図3において,第2LCD12には仮想3次元ゲーム空間の様子が表示され,当該ゲーム空間に投入されるアイテムI(図3ではフライングディスクが示されている)が表示される。後述により明らかとなるが,第2LCD12には所定のカメラ視点に基づいた視体積に応じたゲーム空間が表示され,アイテムIは,当該視体積内に設定された仮想投影面に投影されている。プレイヤは,タッチパネル13を用いて第2LCD12に表示されたアイテムIの位置をタッチ操作して,ゲーム空間内においてアイテムIを移動させることができる。具体的には,プレイヤは,タッチパネル13を用いて第2LCD12に表示されたアイテムIをドラッグするタッチ操作(第2LCD12上でアイテムIと重なったタッチパネル13をタッチ操作し,そのままの状態でタッチ操作位置を移動させる)を行うと,タッチパネル13からの入力座標に応じた仮想投影面の位置にアイテムIが移動する。例えば,図3では,プレイヤがアイテムIを図示A方向に移動させた一例を示している。つまり,プレイヤは,アイテムIに対してドラッグするタッチ操作を行うことによって,アイテムIを仮想投影面上で移動させることができる。
【0042】
プレイヤがアイテムIをドラッグするタッチ操作を行った後,タッチパネル13に対するタッチ操作を終了(つまり,タッチ操作しているスタイラス16等をタッチパネル13から離す)した場合,アイテムIが上記仮想投影面からゲーム空間内に投げ入れられる。図4(a)に示すように,プレイヤがアイテムIを図示B方向にドラッグするタッチ操作を行い,図示C点で当該タッチ操作を終了してスタイラス16等をタッチパネル13から離したとする。この場合,タッチ操作を終了する直前のタッチパネル13からの2次元座標情報に基づいて,アイテムIが上記仮想投影面からゲーム空間内に投げ入れられる。図4(b)に示すように,図示C点でタッチ操作を終了する直前のタッチパネル13による2次元座標情報(ベクトルB)に基づいて,仮想3次元ゲーム空間に設定された3次元座標情報(移動ベクトルD)が算出され,当該移動ベクトルDに基づいてアイテムIが仮想投影面を離れてゲーム空間内を移動する。」
エ「【0046】
図6(a)において,タッチパネル13に対してタッチパネル座標系における点q1(x1,y1)から点q2(x2,y2)までタッチ操作されたとき,点q1からq2まで結ぶベクトルv(vx,vy)が得られる。ここで,
vx=x2-x1
vy=y2-y1
である。
【0047】
そして,本実施例では,プレイヤがタッチパネル13に対して所定条件と一致する操作を行った際,当該操作を行う直前に設定された上記2次元ベクトルv(vx,vy)を座標変換して図6(b)に示すような3次元ベクトルV(Vx,Vy,Vz)を算出する。ここで,2次元ベクトルv(vx,vy)から3次元ベクトルV(Vx,Vy,Vz)への座標変換は,

【0048】
【数3】

によって行われる。上記式に用いられている定数a?fは,図7に示すようにゲーム空間に投入するアイテム毎に設定されている。例えば,アイテムIがフライングディスクの場合,定数a=1.0,b=0,c=0,d=0.5,e=0,f=2.0に設定されており,座標変換後ベクトルV(Vx,Vy,Vz)は,Vx=vx,Vy=0.5vy,Vz=2vyによって算出される。このように,本実施例の座標変換では,2次元座標系で設定される2点間の移動量(ベクトルv)として示される2軸それぞれに対する数値を用いて,3次元座標系で設定される移動量(ベクトルV)の3軸それぞれに対する数値が算出される。また,ゲーム空間に投入するアイテム毎に座標変換する定数が異なるため,座標変換においてアイテム毎の特性を表すことができる。
【0049】
次に,図8および図9を用いて,アイテムIが仮想投影面を離れて仮想ゲーム空間内を移動する際の移動軌跡の算出について説明する。なお,図8は,アイテムIに初期設定される傾斜角度に応じたアイテムIの画面表示例である。図9は,アイテムIが仮想投影面を離れて仮想ゲーム空間内を移動する際に設定される移動ベクトルおよび法線ベクトルの概念図である。
【0050】
図8において,上述したようにプレイヤがタッチパネル13を用いて第2LCD12に表示されたアイテムIをドラッグするタッチ操作を行うと,タッチパネル13からの入力座標に応じた仮想投影面の位置にアイテムIが移動する。そして,タッチパネル13に対する図示xm方向(図8における横方向)の位置に応じて,アイテムIに初期設定される傾斜角度θが設定される。具体的には,タッチパネル13の中央をxm=0として,右方向を+xm,左方向を-xmとする。そして,傾斜角度θが
θ=jxm+k(j,kは定数)
で求められる。なお,タッチパネル13に対して縦方向となる図8における上方向を傾斜角度θ=0°とする。そして,第2LCD12には,傾斜角度θにアイテムIの法線方向を合わせて表示される。すなわち,アイテムIは,タッチパネル13に対する横方向の位置に応じてその法線方向を傾斜させて表示される。そして,初期設定されたアイテムIの傾斜角度θに基づいて,法線ベクトルn=(sinθ,cosθ,0)が初期設定される。
【0051】
上述したように,アイテムIが仮想投影面を離れて3次元ゲーム空間内に投げ入れる操作をされた後,当該アイテムIは,ゲーム空間を移動ベクトルおよび法線ベクトルに基づいて移動する。図9において,アイテムIに設定される移動ベクトルおよび法線ベクトルは,ゲーム処理を行う1フレーム毎に算出される。具体的には,新たなフレーム(i+1)における法線ベクトルn(i+1)は,直前のフレーム(i)で設定された法線ベクトルn(i),移動ベクトルV(i),および定数αを用いて,
【0052】
【数4】

で算出される。また,新たなフレーム(i+1)における移動ベクトルV(i+1)は,直前のフレーム(i)で設定された法線ベクトルn(i),移動ベクトルV(i),重力ベクトルg,および定数βを用いて,
【0053】
【数5】

で算出される。」
オ「【0057】
ステップ52において,CPUコア21は,タッチパネル13から入力があるか否かを判断する。そして,CPUコア21は,タッチパネル13から入力がある場合に処理を次のステップ53に進め,タッチパネル13からの入力がない場合に処理を次のステップ71に進める。
【0058】
ステップ53において,CPUコア21は,仮想3次元ゲーム空間内に仮想投影面S3(図9参照)を設定し,処理を次のステップに進める。なお,仮想投影面S3については,上述したとおりであるので,ここでは詳細な説明を省略する。
【0059】
次に,CPUコア21は,タッチパネル13からの入力座標を検出し,検出した座標に対応する仮想投影面S3上の2次元座標位置に,アイテムIの表示位置を合わせる(ステップ54;図3)。そして,CPUコア21は,入力座標のx座標値(タッチパネル13の横方向の座標;図8に示すxm方向)に基づいて,アイテムIの傾き角度θを算出する(ステップ55;図8)。そして,CPUコア21は,上記ステップ55で算出された傾き角度θに基づいて,アイテムIの初期設定における法線ベクトルnを算出する(ステップ56)。ここで,CPUコア21は,アイテムIの法線ベクトルnをn=(sinθ,cosθ,0)で算出する。そして,CPUコア21は,ステップ55で算出された傾き角度θに応じてアイテムIを傾斜させて,第2LCD12に対するアイテム表示制御処理を行い(ステップ57;図8),ゲームを継続する場合(ステップ63でNo)に上記ステップ51に戻って処理を繰り返す。これらステップ51?57をCPUコア21が繰り返すことによって,プレイヤのタッチパネル13のタッチ操作に応じてアイテムIが仮想投影面S3上を移動する。」
カ「【0061】
ステップ72において,CPUコア21は,直前の2フレームにおいてタッチパネル13からの入力されたそれぞれの入力座標を用いて,2フレーム間の座標変化量を算出する。具体的には,直前の2フレームにおける入力座標が点q1(x1,y1)および点q2(x2,y2)の場合,座標変化量として点q1からq2まで結ぶベクトルv(vx,vy)を算出する。ここで,
vx=x2-x1
vy=y2-y1
である。そして,CPUコア21は,処理を次のステップに進める。
【0062】
次に,CPUコア21は,上記ステップ72で求めた座標変化量(ベクトルv)に基づいて,アイテムIに対する仮想3次元ゲーム空間内の移動速度(移動ベクトルV)を算出し(ステップ73),処理を次のステップに進める。ステップ73においては,上述した2次元座標系で設定される2点間の移動量(ベクトルv)として示される2軸それぞれに対する数値を用いて,3次元座標系で設定される移動量(ベクトルV)の3軸それぞれに対する数値を算出する座標変換が用いられる。ここで,座標変換に用いられる定数a?fは,上述したようにアイテムIの種類に応じて設定される。」

引用文献1の上記記載事項を含め,引用文献1の全記載を総合すると,引用文献1には以下の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。
「ゲーム装置1は,2つの液晶表示器11および12を所定の配置位置となるように,ハウジング18に収納して構成されるとともに,ハウジング18に収納される電子回路基板20には,CPUコア21が実装され,
第2LCD12には仮想3次元ゲーム空間の様子が表示され,当該ゲーム空間に投入されるアイテムI,たとえばフライングディスクが表示され,
プレイヤがアイテムIをドラッグするタッチ操作を行った後,タッチパネル13に対するタッチ操作を終了して,タッチ操作しているスタイラス16等をタッチパネル13から離すと,アイテムIが仮想投影面からゲーム空間内に投げ入れられるものであって,
具体的には,プレイヤがアイテムIをB方向にドラッグするタッチ操作を行い,C点で当該タッチ操作を終了してスタイラス16等をタッチパネル13から離すと,タッチ操作を終了する直前のタッチパネル13からの2次元座標情報に基づいて,アイテムIが上記仮想投影面からゲーム空間内に投げ入れられ,上記C点でタッチ操作を終了する直前のタッチパネル13による2次元座標情報(ベクトルB)に基づいて,仮想3次元ゲーム空間に設定された3次元座標情報(移動ベクトルD)が算出され,当該移動ベクトルDに基づいてアイテムIが仮想投影面を離れてゲーム空間内を移動するものであり,
タッチパネル13に対してタッチパネル座標系における点q1(x1,y1)から点q2(x2,y2)までタッチ操作されたとき,点q1からq2まで結ぶベクトルv(vx,vy)が,vx=x2-x1及びvy=y2-y1として得られ,当該操作を行う直前に設定された上記2次元ベクトルv(vx,vy)を座標変換して3次元ベクトルV(Vx,Vy,Vz)を算出するものであり,
該座標変換は,次式によるもので,
次式


たとえば,アイテムIがフライングディスクの場合,定数a=1.0,b=0,c=0,d=0.5,e=0,f=2.0に設定されており,座標変換後ベクトルV(Vx,Vy,Vz)は,Vx=vx,Vy=0.5vy,Vz=2vyと算出されるゲームプログラムを実行するゲーム装置。」

引用文献2
カ「【0026】
図1は,本発明の一実施形態に係るゲーム装置の外観を示す平面図である。同図に示すように,ゲーム装置100は,筐体110によりその外観を略規定されている。本例では,スーパーオーバル形状の筐体が採用され,ユーザが両手で把持しやすい程度の大きさに設計されている。同図には示されていないが,筐体110は,その内部に,ゲーム装置100を統括的に制御するコンピューティングデバイス(制御回路)210を収納している。
【0027】
ゲーム装置100は,筐体110の上面略中央部に配置されたタッチスクリーン220(タッチパネル)を備える。タッチスクリーン220は,典型的には,ディスプレイ(スクリーン)221上に透過性のタッチセンサ222を配した,表示及び入力機能を備える装置であり,既存のものを用いることができる。本例のタッチスクリーン220は,マルチタッチに対応した有機ELディスプレイであるが,これに限定されるものではない。」
キ「【0031】
図2は,本発明の一実施形態に係るゲーム装置の概略ハードウェア構成の一例を示すブロックダイアグラムである。同図に示すように,本実施形態のゲーム装置100は,ゲーム装置100を統括的に制御するためのコンピューティングデバイス210と,ゲームを表現乃至は演出するための画像(例えば,静止画,動画,映像等)を表示し,ユーザのタッチ操作による入力を受け付けるタッチスクリーン220と,ゲームを表現乃至は演出するためのサウンド(例えば,音楽,音声,効果音等)をユーザに提供するためのオーディオ出力ユニット230と,外部記憶媒体にアクセスするための外部メディアユニット240と,サーバコンピュータや他のゲーム装置100と無線ネットワーク通信を行うための通信ユニット250とを備える。ゲーム装置100はまた,タッチスクリーン220によるユーザ入力に代え,またはその入力を補完するための操作ボタン260を備える。
【0032】
コンピューティングデバイス210は,各種のプロセッサ及びメモリ等からなる,例えばチップセットを含むコンピュータ回路要素である。本実施形態のコンピューティングデバイス210は,例えば,プロセッサコア211と,メモリモジュール212と,グラフィックスエンジン213と,サウンドエンジン214と,I/Oコントローラ215と,これらを接続するシステムバス216とを含んで構成される。また,コンピューティングデバイス210は,動画像を高速に処理するためのメディアエンジンを備えていても良い。
【0033】
プロセッサコア211は,コンピューティングデバイスのメインプロセッサとして機能するチップである。ここでは,「プロセッサコア」という用語は,メインプロセッサを意味するプロセッサやCPU,MPU等と同義のものとして扱うことができる。プロセッサコア211は,メモリモジュール212上に展開されたゲームプログラムを実行し,コンピューティングデバイス210に各種の機能を実現させる。言い換えれば,コンピューティングデバイス210は,プロセッサコア211の制御の下,ゲームプログラムを実行することにより,他のハードウェアユニット/コンポーネントと協働して,ゲーム装置100上にゲームを実現する。ゲームプログラムは,例えば,プロセッサコア211の制御の下で実現されるオペレーティングシステム(OS)の制御の下で,実行されても良い。プロセッサコア211は,シングルコア又はマルチコアのいずれのタイプも採用できる。プロセッサコア211は,図示しない複数次のデータキャッシュを含む。また,プロセッサコア211は,図示しない浮動小数点プロセッサ(FPU)やベクトル浮動小数点プロセッサ(VFPU)等を接続し,これらと協働して,ゲームプログラムを実行するように構成されても良い。」
ク「【0045】
本例では,ゲーム装置100が提供するゲームは,テニスゲームであるとする。テニスゲームは,典型的には,ユーザ(プレイヤ)が,プレイヤキャラクタを操作して,コンピュータ(即ち,ゲーム装置100)が操作する相手プレイヤキャラクタと,ボールオブジェクトを打ち合って,仮想現実のテニスを試合形式でプレイするというものである。本例では,プレイヤが1対1で試合を行うシングルスであるとする。ユーザの仮想現実感を高めるため,典型的には,ディスプレイ221に表示されるゲーム画面は,仮想3次元空間を表現したゲーム画像である。プレイ中,仮想カメラの視線方向及び視野領域は制御され,これに応じて,仮想3次元空間を表現するゲーム画像が変化する。通常のテニスの試合と同様に,プレイヤキャラクタは,ボールオブジェクトを打ち返すために,適切な打点位置に入る必要がある。このため,ユーザには,プレイヤキャラクタをより正確に移動させる操作が要求される。」
ケ「【0053】
さらに,ユーザは,フリック操作により,プレイヤキャラクタを移動させることもできる。フリック操作の場合には,ユーザは,フリック操作の形態に応じて,任意の地点を移動目標位置として設定し,プレイヤキャラクタを移動させることができる。本開示により明らかにされるように,ユーザは,フリック操作によりプレイヤキャラクタを移動させる場合,仮想3次元空間内の移動目標地点を直接指定する必要はない。言い換えれば,あるプレイシーンのゲーム画像において,当該ゲーム画像の外に移動目標位置があったとしても,ユーザは,フリック操作を用いて,当該移動目標位置を設定することができる。これにより,当該移動目標位置まで移動するプレイヤキャラクタの動きに合わせて,仮想3次元空間を表現するゲーム画像は変化する。また,これにより,ユーザは,プレイヤキャラクタを移動させる際,タッチ操作をし続ける必要がなくなる。」
ケ「【0067】
即ち,同図に示すように,ゲーム装置100のゲーム制御部401は,タッチ操作部403から操作信号を受け付けると,当該操作信号に基づいて,タッチスクリーン220上の位置情報を取得する(STEP601)。続いて,ゲーム制御部401は,当該タッチ操作が移動しているか否かを判断する(STEP602)。ゲーム制御部401は,所定の時間間隔で取得した一連の位置情報に差分がある場合に,タッチ操作が移動していると判断することができる。
【0068】
ゲーム制御部401は,当該タッチ操作が移動していないと判断する場合(STEP602のNo),現在(最新)の位置情報を出力し(STEP603),続いて,所定の時間内に指が離れたか否かを判断する(STEP604)。ゲーム制御部401は,所定の時間内に指が離れていないと判断する場合には(STEP604のNo),STEP601に戻る。これに対して,ゲーム制御部401は,所定の時間内に指が離れたと判断する場合には(STEP604のYes),当該操作アクションの決定処理を終了する。
【0069】
一方,ゲーム制御部401は,当該タッチ操作が移動していると判断する場合(STEP602のYes),ゲーム制御部401は,当該タッチ操作の移動速度を算出する(STEP605)。ゲーム制御部401は,所定の時間間隔で取得する一連の位置情報から,移動速度を算出することができる。続いて,ゲーム制御部401は,算出した移動速度が所定の速度vよりも大きいか否かを判断する(STEP606)。ゲーム制御部401は,算出した移動速度が所定の速度v以下であると判断する場合(STEP606のNo),現在の位置情報を出力する(STEP603)。即ち,本例では,ゲーム制御部401は,タッチ操作によるドラッグ操作をタップ操作の連続,又はタップ操作をストローク距離の短いドラッグ操作であるとして処理している。これに対して,ゲーム制御部401は,算出した移動速度が所定の速度vよりも大きいと判断する場合(STEP606のYes),操作アクションをフリック操作として決定し(STEP607),移動方向及び移動速度(移動ベクトル)を出力して(STEP608),処理を終了する。」
コ「【0071】
これに対して,ゲーム制御部401は,操作アクションがフリック操作であると判断する場合(STEP701のYes),出力された移動方向及び移動速度に基づいて移動目標位置を算出する(STEP704)。ゲーム制御部401は,当該移動目標位置に向けてプレイヤキャラクタが移動するように,ゲーム画像の表示を制御する(STEP703)。即ち,本開示では,フリック操作による移動方向及び移動速度といった操作パラメータは,プレイヤキャラクタの移動目標位置を算出するために用いられものであって,プレイヤキャラクタ自身の位置データに直接与えることでプレイヤキャラクタの挙動計算を行うために用いられるのではない。本開示では,プレイヤキャラクタの挙動計算は,算出された移動目標位置に基づいて行われる」
引用文献2の上記記載事項を含め,引用文献2の全記載を総合すると,引用文献2には以下の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。
「ゲーム装置100は,筐体110の上面略中央部に配置されたタッチスクリーン220と,ゲーム装置100を統括的に制御するためのコンピューティングデバイス210を備え,
コンピューティングデバイス210は,プロセッサコア211の制御の下,ゲームプログラムを実行することにより,他のハードウェアユニット/コンポーネントと協働して,ゲーム装置100上にゲームを実現するものであって,
ディスプレイ221に表示されるゲーム画面は,仮想3次元空間を表現したゲーム画像であり,
ゲーム装置100が提供するゲームは,テニスゲームである場合,ユーザ(プレイヤ)が,プレイヤキャラクタを操作して,コンピュータ(即ち,ゲーム装置100)が操作する相手プレイヤキャラクタと,ボールオブジェクトを打ち合って,仮想現実のテニスを試合形式でプレイするというものであって,
ユーザは,フリック操作により,プレイヤキャラクタを移動させることができ,あるプレイシーンのゲーム画像において,当該ゲーム画像の外に移動目標位置があったとしても,ユーザは,フリック操作を用いて,当該移動目標位置を設定することができ,当該移動目標位置まで移動するプレイヤキャラクタの動きに合わせて,仮想3次元空間を表現するゲーム画像は変化するものであるから,ユーザは,プレイヤキャラクタを移動させる際,タッチ操作をし続ける必要がなくなるものであって,
ゲーム制御部401は,当該タッチ操作が移動していると判断する場合,ゲーム制御部401は,当該タッチ操作の移動速度を算出し,ゲーム制御部401は,所定の時間間隔で取得する一連の位置情報から,移動速度を算出するものであって,操作アクションがフリック操作であると判断する場合,出力された移動方向及び移動速度に基づいて移動目標位置を算出するゲーム装置100。」

引用文献3
引用文献3には以下の事項(以下「引用文献記載事項3」という。)が記載されていると認められる。
サ「画面上の特定の場所に方向キーやボタンを擬似的に配置するのではなく,プレイヤーが指を置いた位置でキャラクターを自在に操作できるインターフェイスが「ぷにコン」。指を置く位置は画面上ならどこでもよく,スワイプで指示した方向にキャラクターが移動する。大きくスワイプさせれば走り,スワイプが小さければゆっくりと歩く。」(1/3頁,「◆独自の「ぷにコン」搭載で片手操作可能な本格RPG!」欄,11?14行)

引用文献4
引用文献4には以下の事項(以下「引用文献記載事項4」という。)が記載されていると認められる。
シ「プニっとしているものを引き伸ばす範囲が長いと走ります。/逆に少ししか引き伸ばさない場合,歩いての移動ができます。」(3/8頁,「画面をスライドすると移動します。 移動」画像の下,1?2行)

引用文献5
引用文献5には以下の事項(以下「引用文献記載事項5」という。)が記載されていると認められる。
ス「基本操作の第一歩「走り方,歩き方」も,指一本の操作で超簡単。」(2/6頁,「キャラ スライドさせた方向にキャラが動く!」画像の下,1行)
セ「ドラッグした幅で走りorダッシュが切り替わる!」(3/6頁,一番上の画像の中)

引用文献6
引用文献6には以下の事項(以下「引用文献記載事項6」という。)が記載されていると認められる。
ソ「最初に指を置いた場所から少ししかスライドさせなければ,主人公は歩いてゆっくり移動するし,大きくスライドさせれば,走って素早く移動します。」(2/6頁,「wcat-0202」画像の下,1?2行)

引用文献7
引用文献7には以下の事項(以下「引用文献記載事項7」という。)が記載されていると認められる。
タ「白猫プロジェクト ぷにコン操作ムービー【株式会社コロプラ】」
チ「Published on May 28,2014」(1/2頁,一番上の画像の下)

引用文献8
引用文献8には以下の事項(以下「引用文献記載事項8」という。)が記載されていると認められる。
ツ「白猫プロジェクト 6600万ダウンロード(達成日;2015.11.18)」(1/3頁,一番左上の画像の右)

引用文献3乃至8の各記載事項を総合すると,スマホゲームである「白猫プロジェクト」には,「ぷにコン」と呼ばれる操作があり,該「ぷにコン」とは,以下のとおりのものと認められる。
・少なくとも2014年5月28日に「操作ムービー」が,配信されたと認められる「白猫プロジェクト」というゲームにおいて「ぷにコン」と呼ばれる操作がある。
・「ぷにコン」は,画面上の任意の場所を触ることでキャラクタを移動させることができる。
・「ぷにコン」は,画面上で指をスライドするとその方向にキャラクタが移動する。
・「ぷにコン」は,スライド量が大きいとキャラクタは走り,小さいと歩く。

引用文献9
テ「【0023】
かかる構成を有するゲーム装置10では,主記憶26に仮想的なゲーム空間(仮想3次元空間)が構築されるようになっている。モニタ18には所与の視点からゲーム空間を見た様子が表示されるようになっている。該視点は,例えばプレイヤキャラクタ(操作対象オブジェクト)の後方上空に配置され,プレイヤキャラクタに従動するものである。ゲーム装置10では,該ゲーム空間においてプレイヤキャラクタが敵キャラクタ(害虫キャラクタ)を退治するゲームを提供する。このゲームでは,プレイヤキャラクタは左操作スティック40に対する操作に応じてゲーム空間を移動するようになっており,その移動態様は左操作スティック40の傾き状態(傾きの程度)に基づいて制御されるようになっている。具体的には,このゲームでは「忍び足歩行」と「駆け足走行」の2種類の移動態様が用意されている。そして,プレイヤによって左操作スティック40に対する操作が行われると,プレイヤキャラクタはゲーム空間において,該左操作スティック40の傾きの大きさによって判断される「忍び足歩行」又は「駆け足走行」のいずれかの態様で,該左操作スティック40によって指示された方向に対応する方向(例えば,右方向が指示された場合には,上述したようにゲーム空間内に設定された視点に関する視線方向等に基づいて判断される基準方向に対して右方向)に移動するようになっている。
【0024】
なお,このゲームでは,プレイヤキャラクタ及び敵キャラクタの視野範囲,プレイヤキャラクタと敵キャラクタとの間の距離等に基づいて,敵キャラクタの動作が決定されるようになっている。例えば,敵キャラクタはこれらに基づく確率で,プレイヤキャラクタの存在に気づき逃げたり攻撃をしかけてきたりするようになっている。そして,該確率はプレイヤキャラクタの移動方法の種類によって変化するようになっている。例えば,「忍び足歩行」は移動速度は速くないが,該確率が低く設定される移動方法であり,敵キャラクタに気づかれにくい移動方法である。また,「駆け足走行」は移動速度は速いが,該確率が高く設定される移動方法であり,敵キャラクタに気づかれやすい移動方法である。プレイヤは例えばプレイヤキャラクタを敵キャラクタに接近させる場合,いずれの移動方法によって接近させるかを左操作スティック40の傾きの大きさによって指示する。」
引用文献9の上記記載事項を含め,引用文献9の全記載を総合すると,引用文献9には以下の事項(以下「引用文献記載事項9」という。)が記載されていると認められる。
「プレイヤキャラクタは,左操作スティック40に対する操作に応じてゲーム空間を移動するものであって,左操作スティック40の傾きの大きさによって判断される「忍び足歩行」又は「駆け足走行」のいずれかの態様で,該左操作スティック40によって指示された方向に対応する方向に移動する。」

引用文献10
ト「【0070】
なお,上記実施例では,スティック入力の方向のみ決定するようにしたが,スティック入力の入力量(レバーの傾き量に相当する)は,ドラッグ入力の速度に応じて決定してもよい(このとき,ドラッグ入力がない場合には一定の入力量に設定するようにしてもよい)。または,タッチパネル上の基準点と接触点との距離に応じて決定してもよいし,ボタンスイッチ(14a,14b)等によって入力量を制御してもよい。」
引用文献10の上記記載事項を含め,引用文献10の全記載を総合すると,引用文献10には以下の事項(以下「引用文献記載事項10」という。)が記載されていると認められる。
「スティック入力の入力量は,タッチパネル上の基準点と接触点との距離に応じて決定できる。」

引用文献11
ナ「【0426】
するとCPU110は,スクロールモードをモチスクロールモードに遷移させ,枠Fr1を画面から消去させると共に,ドラッグの始点から終点へと伸びるモチカーソルCsを画面上に表示させる。尚,このモチカーソルCsは,タッチスクリーン102から指が離されてドラッグが終了するまで表示される。
【0427】
モチカーソルCsを表示させると,CPU110は,このモチカーソルCsの向きと長さに応じて,地図画像のスクロールを制御する。
【0428】
具体的に,CPU110は,表示させているモチカーソルCsの向きと同一の方向を,地図画像のスクロール方向とする。さらにこのときのモチカーソルCsの長さが長いほど,スクロール速度の値を大きな値に設定する。」
引用文献11の上記記載事項を含め,引用文献11の全記載を総合すると,引用文献11には以下の事項(以下「引用文献記載事項11」という。)が記載されていると認められる。
「モチカーソルCsの向きと同一の方向を,地図画像のスクロール方向とするものであって,該モチカーソルCsの長さが長いほど,スクロール速度の値を大きな値に設定する。」

引用文献12
ニ「ゲーム機の中には,256ドット×256ドットといった描画サイズが縦横同等のものがあります.このようなゲームの場合ですと,前節の方法のみではやはり横方向のみが高速に移動しているように見えてしまいます(モニタを横置きの場合).
当然,この原因は画面サイズが横長にできているのが原因であり,ある位置に1ドットの点を描画しても正方形には見えないことでしょう.この場合には通常画面の比率を考慮に入れて,縦1に対して横をルート2で計算することがよいとされています.ですから,移動量のテーブルを作成する際には,このことを考慮に入れて図3-3のように楕円形の移動量を計算結果として出力すればよいことになります.」(27頁,「3.2 描画サイズが同等の場合」欄)
引用文献12の上記記載事項を含め,引用文献12の全記載を総合すると,引用文献12には以下の事項(以下「引用文献記載事項12」という。)が記載されていると認められる。
「256ドット×256ドットといった描画サイズが縦横同等のものの場合,横方向のみが高速に移動しているように見えるため,モニタを横置きの場合,通常画面の比率を考慮に入れて,縦1に対して横をルート2で計算して,楕円形の移動量を計算結果として出力する。」

引用文献13
ヌ「エグゼドエグゾス」(1/4頁,1行)
ネ「自機の移動速度は,移動する方向により異なり,横方向への移動速度が一番速く,次に上方向への移動,そして下方向への移動が一番遅い。」(1/4頁,「解説」欄,5?6行)
引用文献13の上記記載事項を含め,引用文献13の全記載を総合すると,引用文献13には以下の事項(以下「引用文献記載事項13」という。)が記載されていると認められる。
「エグゼドエグゾスというゲームにおいて,自機の移動速度は,移動する方向により異なり,横方向への移動速度が一番速く,次に上方向への移動,そして下方向への移動が一番遅い。」

引用文献14
ノ「雷電DX」(1/2頁,1行)
ハ「8方向レバー,2ボタン(ショット,ボンバー)で自機の「雷電2(原文ではローマ数字)」を操作する。1P側(赤)は縦移動が少し早く,2P側(青)は横移動が少し速い。」(1/2頁,「ゲームのルール」欄,1?2行)
引用文献14の上記記載事項を含め,引用文献14の全記載を総合すると,引用文献14には以下の事項(以下「引用文献記載事項14」という。)が記載されていると認められる。
「雷電DXというゲームにおいて,雷電2を操作すると,1P側(赤)は縦移動が少し早く,2P側(青)は横移動が少し速い。」

引用文献15
ヒ「テラクレスタ」(1/10頁,1行)
フ「NAME OVER :02/09/20 12:05 ID:???
FC版は縦,横の移動速度の差が激しかったな。」(2/10頁,「16:」欄)
引用文献15の上記記載事項を含め,引用文献15の全記載を総合すると,引用文献15には以下の事項(以下「引用文献記載事項15」という。)が記載されていると認められる。
「テラクレスタというゲームにおいて,縦,横の移動速度の差が激しい。」

(4)判断
ア 取消理由通知に記載した取消理由について
(ア)特許法第29条第1項第3号について
事案に鑑み,本件発明9と引用発明1とを対比する。
後者の「ゲーム装置1」は,前者の「情報処理装置」に相当する。
以下同様に「2つの液晶表示器11および12」又は「第2LCD12」は,「表示部」に,
「CPUコア21」は,「制御部」に,
「仮想3次元ゲーム空間」は,「仮想空間内のフィールドオブジェクト」に,
「アイテムI」は,「オブジェクト」に,
「プレイヤがアイテムIをドラッグするタッチ操作」は,「第1ユーザ操作」に,それぞれ相当する。
後者において「点q1(x1,y1)から点q2(x2,y2)までタッチ操作されたとき,点q1からq2まで結ぶベクトルv(vx,vy)が,vx=x2-x1及びvy=y2-y1」としているところから,後者は前者の「第1ユーザ操作が検出されている間,第1ユーザ操作に応じた前記画面上の第1位置及び第2位置を検出」することに相当する構成を有している。
以上のことより,両者は,
〈一致点〉
「ゲームを実行する情報処理装置であって,
画面を表示する表示部と,
制御部と,を備え,
前記制御部は,
仮想空間内のフィールドオブジェクト上に配置されたオブジェクトを画面上に表示させ,
第1ユーザ操作を検出し,
前記第1ユーザ操作が検出されている間,該第1ユーザ操作に応じた前記画面上の第1位置及び第2位置を検出し,
前記画面上の第1位置及び第2位置に応じて,前記オブジェクトを前記仮想空間内で前記フィールドオブジェクトに対して相対的に移動させる移動処理を実行する情報処理装置。」
で一致し,以下の点で相違している。
<相違点>
相違点1
本件発明9は,「第1ユーザ操作が検出されている間」,前記画面上の第1位置及び第2位置に応じて,前記オブジェクトを前記仮想空間内で前記フィールドオブジェクトに対して相対的に移動させる移動処理を実行するものであるが,引用発明1において,画面上の第1位置及び第2位置に応じて,オブジェクトを仮想空間内でフィールドオブジェクトに対して相対的に移動させる移動処理を実行しているものの,「第1ユーザ操作が検出されている間」ではない点。
相違点2
本件発明9は,「移動処理におけるオブジェクトの移動速度は,第1ユーザ操作が検出されている間の画面上の第1位置と第2位置との間の長さの第1方向成分及び第2方向成分に応じて連続的又は段階的に変化し、前記第1方向成分は画面の長手方向であり、前記第2方向成分は画面の短手方向であり、前記第1位置と第2位置との間の長さの前記第1方向成分に対するオブジェクトの移動速度の変化の割合又は段階数が,第1位置と第2位置との間の長さの前記第2方向成分に対する前記オブジェクトの移動速度の変化の割合又は段階数よりも小さい」のに対して,引用発明1において,第1方向及び第2方向の限定がなく,該方向の違いによるオブジェクトの移動速度の変化の割合又は段階数についての違いについて不明である点。

したがって,本件発明9と引用発明1との間に相違点がある以上,本件発明9は引用発明1ではない。

本件発明1及び8について検討する。
引用発明1は「ゲーム装置」に係る発明であるが,引用文献1の全記載を総合すると,「プログラム」及び「制御方法」に係る発明についても記載されていることは自明であると認められる。
そして,本件発明1及び8は,少なくとも上記本件発明9と引用発明1との相違点1及び2に係る本件発明9の発明特定事項を実質的に有するものである。
したがって,本件発明1及び8と引用発明1との間に相違点がある以上,本件発明1及び8は引用発明1ではない。

本件発明4について検討する。
本件発明4は,本件発明1にさらに発明特定事項を限定したものであって,本件発明1が引用発明1でない以上,本件発明4も引用発明1ではない。
よって,本件発明1,4,8及び9は,引用発明1ではなく,特許法第29条第1項第3号に該当する発明ではない。

(イ)特許法第29条第2項について
事案に鑑み,本件発明9と引用発明2とを対比する。
後者の「ゲーム装置100」は,前者の「情報処理装置」に相当する。
以下同様に「タッチスクリーン220」は,「表示部」に,
「コンピューティングデバイス210」は,「制御部」に,
「仮想3次元空間」は,「仮想空間内のフィールドオブジェクト」に,
「プレイヤキャラクタ」は,「オブジェクト」に,
「フリック操作」は,「第1ユーザ操作」に,それぞれ相当する。
以上のことより,両者は,
〈一致点〉
「ゲームを実行する情報処理装置であって,
画面を表示する表示部と,
制御部と,を備え,
前記制御部は,
仮想空間内のフィールドオブジェクト上に配置されたオブジェクトを画面上に表示させ,
第1ユーザ操作を検出し,
前記第1ユーザ操作が検出されると,前記オブジェクトを前記仮想空間内で前記フィールドオブジェクトに対して相対的に移動させる移動処理を実行する情報処理装置。」
で一致し,以下の点で相違している。
<相違点>
相違点1
本件発明9は,「第1ユーザ操作が検出されている間,該第1ユーザ操作に応じた前記画面上の第1位置及び第2位置を検出」し,「第1ユーザ操作が検出されている間,前記画面上の第1位置及び第2位置に応じ」て,前記オブジェクトを前記仮想空間内で前記フィールドオブジェクトに対して相対的に移動させる移動処理を実行するものであるが,引用発明2において,タッチ操作が移動していると判断する場合,当該タッチ操作の移動速度を算出し,所定の時間間隔で取得する一連の位置情報から,移動速度を算出するしているから,第1ユーザ操作に応じた画面上の複数の位置を検出しているといえるものの,「1ユーザ操作が検出されている間,前記画面上の第1位置及び第2位置に応じて,前記オブジェクトを前記仮想空間内で前記フィールドオブジェクトに対して相対的に移動させる移動処理」を行うものではない点。
相違点2
本件発明9は,「移動処理におけるオブジェクトの移動速度は,第1ユーザ操作が検出されている間の画面上の第1位置と第2位置との間の長さの第1方向成分及び第2方向成分に応じて連続的又は段階的に変化し、前記第1方向成分は画面の長手方向であり、前記第2方向成分は画面の短手方向であり、前記第1位置と第2位置との間の長さの前記第1方向成分に対するオブジェクトの移動速度の変化の割合又は段階数が,第1位置と第2位置との間の長さの前記第2方向成分に対する前記オブジェクトの移動速度の変化の割合又は段階数よりも小さい」のに対して,引用発明1において,第1方向及び第2方向の限定がなく,該方向の違いによるオブジェクトの移動速度の変化の割合又は段階数についての違いについて不明である点。

上記相違点について検討する。
(1)相違点1について
相違点1に係る本件発明9の発明特定事項のうち,特に「第1ユーザ操作が検出されている間,オブジェクトを移動させる移動処理」を行う点については,引用文献1,3乃至15において,記載も示唆もなく,本願出願前において周知技術であるともいえないし,当業者にとって設計的事項とする根拠もない。
そして,本件発明9は,上記相違点1に係る発明特定事項を備えることによって,「「ユーザは,例えば第1オブジェクト23が縦通路20に沿って移動している間に,表示部12に触れたまま指を比較的短い距離だけ動かすことによって,第1オブジェクト23が他の横通路19bまで移動した後に第1オブジェクト23をXw軸に沿った任意の方向に移動可能」となり「移動ユーザ操作の煩雑さが低減する」」(段落【0111】)との作用効果を奏するものである。

(2)相違点2について
相違点2に係る本件発明9の発明特定事項のうち,特に「第1方向(画面の長手方向)成分に対する前記オブジェクトの移動速度の変化の割合又は段階数が,前記第1位置と前記第2位置との間の長さの前記第2方向(画面の短手方向)成分に対する前記オブジェクトの移動速度の変化の割合又は段階数よりも小さい」点については,引用文献1,3乃至15において,記載も示唆もなく,本願出願前において周知技術であるともいえないし,当業者にとって設計的事項とする根拠もない。
なお,引用文献記載事項12は,256ドット×256ドットといった描画サイズが縦横同等のモニタを横置きの場合を前提とした「楕円形の移動量」に係るものであって,本件発明9のように「オブジェクトの移動速度の変化の割合又は段階数」に係るものではない。
そして,本件発明9は,上記相違点2に係る発明特定事項を備えることによって,「フィールド画面上の長手方向の操作領域の長さ(大きさ)と,短手方向の操作領域の長さ(大きさ)とが異なる構成において,短手方向の操作領域におけるゲームの操作性が更に向上可能である。」(段落【0116】)との作用効果を奏するものである。
したがって,請求項9に係る発明は,引用発明2,引用発明1及び引用文献3乃至15記載事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではなく,請求項9に係る特許は,特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。

本件発明1及び8について検討する。
引用発明2は「ゲーム装置」に係る発明であるが,引用文献2の全記載を総合すると,「プログラム」及び「制御方法」に係る発明についても記載されていることは自明であると認められる。
そして,本件発明1及び8は,少なくとも上記本件発明9と引用発明1との相違点1及び2に係る本件発明9の発明特定事項を実質的に有するものである。
上述したとおり,請求項9に係る発明は,引用発明2,引用発明1及び引用文献3乃至15記載事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではなく,請求項9に係る特許が特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない以上,請求項1及び8に係る発明も,引用発明2,引用発明1及び引用文献3乃至15記載事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではなく,請求項1及び8に係る特許は,特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。

本件発明2乃至4について検討する。
請求項2乃至4はいずれも,本件発明1である請求項1に係る発明を引用しており,本件発明1が引用発明2,引用発明1及び引用文献3乃至15記載事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない以上,請求項2乃至4に係る発明も,引用発明2,引用発明1及び引用文献3乃至15記載事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではなく,請求項2乃至4に係る特許は,特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。

(ウ)特許法第36条第6項第1号について
本件の請求項1に係る特許において,「第1方向(成分)」及び「第2方向(成分)」は,平成30年1月31日付け訂正の請求による訂正により,それぞれ「第1方向は,画面の長手方向」,「第2方向は,画面の短手方向」であることが限定された。
そして,限定された事項を含む発明特定事項によって,請求項1は,発明の課題を解決しない構成を含まず,発明の詳細な説明に記載した範囲を超えて特許を請求するものではなくなった。
したがって,請求項1に係る特許は,特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たす特許出願に対してされたものである。
また,請求項1を引用する請求項2乃至4,請求項1と末尾の記載等が異なるだけで実質的に同じ内容であると認められる請求項8及び9に係る特許も同じ理由により,特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たす特許出願に対してされたものである

(エ)取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
特許異議申立人山田宏基は,訂正前の特許請求の範囲に関し,特許異議申立書において,請求項1に記載の「段階的に変化」は「二値の間で切り替える」構成を含むか否かが不明であるから,特許請求の範囲の記載は特許を受けようとする発明が不明確であり,特許法第36条第6項第2号の要件を満たさないと主張している。
また,請求項1を引用する請求項2乃至4,請求項1と末尾の記載等が異なるだけで実質的に同じ内容であると認められる請求項8及び9に係る特許も同じ理由により,特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たさないと主張している。
しかしながら,請求項1において,「(オブジェクトの移動速度が)段階的に変化」することに関して,「二値の間で切り替える」の技術事項を除外する理由はなく,通常「二値の間で切り替える」構成を含まないとの限定がない以上,「二値の間で切り替える」構成を含むと解するものであるから,請求項1の記載自体は明確であると認められる。
また,本件明細書の発明の詳細な説明に記載された実施例に照らして,請求項1において,「(オブジェクトの移動速度が)段階的に変化」することに関して,「二値の間で切り替える」構成を含むことが当業者にとって技術的に不可能であるとすることもできない。
したがって,かかる主張は理由がない。

4.むすび
以上のとおりであるから,取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては,本件請求項1乃至4,8及び9に係る特許を取り消すことはできない。
また,他に本件請求項1乃至4,8及び9に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲームを実行する情報処理装置に、
仮想空間内のフィールドオブジェクト上に配置されたオブジェクトを画面上に表示させるステップと、
第1ユーザ操作を検出するステップと、
前記第1ユーザ操作が検出されている間、該第1ユーザ操作に応じた前記画面上の第1位置及び第2位置を検出するステップと、
前記第1ユーザ操作が検出されている間、前記第1位置及び前記第2位置に応じて、前記オブジェクトを前記仮想空間内で前記フィールドオブジェクトに対して相対的に移動させる第1移動ステップと、を実行させ、
前記第1移動ステップにおいて、前記オブジェクトの移動速度は、前記第1位置と前記第2位置との間の長さの第1方向成分及び第2方向成分に応じて連続的又は段階的に変化し、
前記第1方向は、前記画面の長手方向であり、
前記第2方向は、前記画面の短手方向であり、
前記第1位置と前記第2位置との間の長さの前記第1方向成分に対する前記オブジェクトの移動速度の変化の割合又は段階数が、前記第1位置と前記第2位置との間の長さの前記第2方向成分に対する前記オブジェクトの移動速度の変化の割合又は段階数よりも小さい、プログラム。
【請求項2】
請求項1に記載のプログラムであって、
前記第1移動ステップにおいて、前記第1位置と前記第2位置との間の長さの前記第2方向成分が所定の閾値以上である場合、前記仮想空間内における所定の方向に前記オブジェクトを移動させる、プログラム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のプログラムであって、
前記第1移動ステップにおいて、前記第1ユーザ操作に応じて前記第2位置が変化すると、変化前の前記第2位置と変化後の前記第2位置との間の長さの前記第2方向成分が所定の閾値以上である場合、又は前記第2位置の変化速度の前記第2方向成分が所定の閾値以上である場合、前記仮想空間内における所定の方向に前記オブジェクトを移動させる、プログラム。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか一項に記載のプログラムであって、
前記情報処理装置に、
前記第1ユーザ操作の終了を検出すると、前記オブジェクトの移動速度を変化させながら前記オブジェクトを移動させる第2移動ステップ
を更に実行させる、プログラム。
【請求項5】
ゲームを実行する情報処理装置に、
仮想空間内のフィールドオブジェクト上に配置されたオブジェクトを画面上に表示させるステップと、
第1ユーザ操作を検出するステップと、
前記第1ユーザ操作が検出されている間、該第1ユーザ操作に応じた前記画面上の第1位置及び第2位置を検出するステップと、
検出された前記第1ユーザ操作に応じて、前記オブジェクトを前記仮想空間内で前記フィールドオブジェクトに対して相対的に移動させる第1移動ステップと、
前記第1ユーザ操作の終了を検出すると、前記オブジェクトの移動速度を変化させながら前記オブジェクトを移動させる第2移動ステップと、
前記第2移動ステップの後、第2ユーザ操作を検出すると、前記オブジェクトの移動速度の少なくとも1方向成分を所定値に定めるステップと、を実行させ、
前記第1移動ステップにおいて、前記オブジェクトの移動速度は、前記第1位置と前記第2位置との間の長さの第1方向成分及び第2方向成分に応じて連続的又は段階的に変化し、
前記第1位置と前記第2位置との間の長さの前記第1方向成分に対する前記オブジェクトの移動速度の変化の割合又は段階数と、前記第1位置と前記第2位置との間の長さの前記第2方向成分に対する前記オブジェクトの移動速度の変化の割合又は段階数とが異なる、プログラム。
【請求項6】
ゲームを実行する情報処理装置に、
仮想空間内のフィールドオブジェクト上に配置されたオブジェクトを画面上に表示させるステップと、
第1ユーザ操作を検出するステップと、
前記第1ユーザ操作が検出されている間、該第1ユーザ操作に応じた前記画面上の第1位置及び第2位置を検出するステップと、
検出された前記第1ユーザ操作に応じて、前記オブジェクトを前記仮想空間内で前記フィールドオブジェクトに対して相対的に移動させる第1移動ステップと、
前記第1ユーザ操作に応じて前記第2位置が変化すると、前記第2位置の変化速度が所定閾値以上である場合、前記オブジェクトの移動速度の少なくとも1方向成分を所定値に定め、又は前記オブジェクトに移動以外の動作を実行させるステップと、を実行させ、
前記第1移動ステップにおいて、前記オブジェクトの移動速度は、前記第1位置と前記第2位置との間の長さの第1方向成分及び第2方向成分に応じて連続的又は段階的に変化し、
前記第1位置と前記第2位置との間の長さの前記第1方向成分に対する前記オブジェクトの移動速度の変化の割合又は段階数と、前記第1位置と前記第2位置との間の長さの前記第2方向成分に対する前記オブジェクトの移動速度の変化の割合又は段階数とが異なる、プログラム。
【請求項7】
ゲームを実行する情報処理装置に、
仮想空間内のフィールドオブジェクト上に配置されたオブジェクトを画面上に表示させるステップと、
第1ユーザ操作を検出するステップと、
前記第1ユーザ操作が検出されている間、該第1ユーザ操作に応じた前記画面上の第1位置及び第2位置を検出するステップと、
検出された前記第1ユーザ操作に応じて、前記オブジェクトを前記仮想空間内で前記フィールドオブジェクトに対して相対的に移動させる第1移動ステップと、を実行させ、
前記第1移動ステップにおいて、前記オブジェクトの移動速度は、前記第1位置と前記第2位置との間の長さの第1方向成分及び第2方向成分に応じて連続的又は段階的に変化し、
前記第1位置と前記第2位置との間の長さの前記第1方向成分に対する前記オブジェクトの移動速度の変化の割合又は段階数と、前記第1位置と前記第2位置との間の長さの前記第2方向成分に対する前記オブジェクトの移動速度の変化の割合又は段階数とが異なり、
前記第1移動ステップにおいて、前記第1ユーザ操作が検出されている間に前記仮想空間内における所定の方向に前記オブジェクトを移動させると、前記第1位置の座標を他の座標に自動的に更新させる、プログラム。
【請求項8】
情報処理装置によって実行されるゲームの制御方法であって、
仮想空間内のフィールドオブジェクト上に配置されたオブジェクトを画面上に表示させるステップと、
第1ユーザ操作を検出するステップと、
前記第1ユーザ操作が検出されている間、該第1ユーザ操作に応じた前記画面上の第1位置及び第2位置を検出するステップと、
前記第1ユーザ操作が検出されている間、前記第1位置及び前記第2位置に応じて、前記オブジェクトを前記仮想空間内で前記フィールドオブジェクトに対して相対的に移動させる第1移動ステップと、を含み、
前記第1移動ステップにおいて、前記オブジェクトの移動速度は、前記第1位置と前記第2位置との間の長さの第1方向成分及び第2方向成分に応じて連続的又は段階的に変化し、
前記第1方向は、前記画面の長手方向であり、
前記第2方向は、前記画面の短手方向であり、
前記第1位置と前記第2位置との間の長さの前記第1方向成分に対する前記オブジェクトの移動速度の変化の割合又は段階数が、前記第1位置と前記第2位置との間の長さの前記第2方向成分に対する前記オブジェクトの移動速度の変化の割合又は段階数よりも小さい、制御方法。
【請求項9】
ゲームを実行する情報処理装置であって、
画面を表示する表示部と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
仮想空間内のフィールドオブジェクト上に配置されたオブジェクトを画面上に表示させ、
第1ユーザ操作を検出し、
前記第1ユーザ操作が検出されている間、該第1ユーザ操作に応じた前記画面上の第1位置及び第2位置を検出し、
前記第1ユーザ操作が検出されている間、前記第1位置及び前記第2位置に応じて、前記オブジェクトを前記仮想空間内で前記フィールドオブジェクトに対して相対的に移動させる移動処理を実行し、
前記移動処理において、前記オブジェクトの移動速度は、前記第1位置と前記第2位置との間の長さの第1方向成分及び第2方向成分に応じて連続的又は段階的に変化し、
前記第1方向は、前記画面の長手方向であり、
前記第2方向は、前記画面の短手方向であり、
前記第1位置と前記第2位置との間の長さの前記第1方向成分に対する前記オブジェクトの移動速度の変化の割合又は段階数が、前記第1位置と前記第2位置との間の長さの前記第2方向成分に対する前記オブジェクトの移動速度の変化の割合又は段階数よりも小さい、情報処理装置。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2018-05-14 
出願番号 特願2016-102784(P2016-102784)
審決分類 P 1 652・ 113- YAA (A63F)
P 1 652・ 537- YAA (A63F)
P 1 652・ 121- YAA (A63F)
最終処分 維持  
前審関与審査官 彦田 克文  
特許庁審判長 黒瀬 雅一
特許庁審判官 森次 顕
吉村 尚
登録日 2016-10-28 
登録番号 特許第6030258号(P6030258)
権利者 グリー株式会社
発明の名称 プログラム、ゲームの制御方法、及び情報処理装置  
代理人 岡野 大和  
代理人 齋藤 恭一  
代理人 甲原 秀俊  
代理人 杉村 憲司  
代理人 甲原 秀俊  
代理人 岡野 大和  
代理人 齋藤 恭一  
代理人 杉村 憲司  

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