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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1342274
審判番号 不服2017-5628  
総通号数 225 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-09-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-04-19 
確定日 2018-07-09 
事件の表示 特願2015-511655「ユーザインタフェースオブジェクトを移動し、ドロップするためのデバイス、方法及びグラフィカルユーザインタフェース」拒絶査定不服審判事件〔平成25年11月14日国際公開、WO2013/169882、平成27年 7月 9日国内公表、特表2015-519656〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2013年5月8日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2012年5月9日 米国、2012年12月29日 米国、2013年3月13日 米国)を国際出願日とする出願であって、平成28年3月4日付けで拒絶理由通知がされ、平成28年8月26日付けで手続補正がされたが、平成28年12月20日付けで拒絶査定がされ、これに対し、平成29年4月19日に拒絶査定不服審判の請求がされたものである。


第2 本願発明
本願の請求項1に係る発明は(以下、それぞれ「本願発明」という。)は、平成28年8月26日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された、次のとおりのものと認める。

「【請求項1】
方法であって、
タッチ感知面及びディスプレイを備え、前記タッチ感知面との接触の強度を検出するための1つ以上のセンサを含む、電子デバイスにおいて、
前記タッチ感知面との接触を検出することであって、前記接触が、現在選択されている対応のユーザインタフェースオブジェクトの移動を制御するフォーカスセレクタと関連付けられる、接触を検出することと、
前記タッチ感知面上での前記接触を連続的に検出している間に、
対応のロケーションに向かう前記フォーカスセレクタの移動に対応する前記タッチ感知面上での前記接触の第1の移動を検出することと、
前記タッチ感知面上での前記接触の前記第1の移動を検出することに応答して、
前記接触の前記第1の移動に従って前記ディスプレイ上で前記フォーカスセレクタを移動し、前記フォーカスセレクタの前記移動に従って前記対応のユーザインタフェースオブジェクトを移動し、かつ、
前記フォーカスセレクタが前記ディスプレイ上の前記対応のロケーションにある間に、前記タッチ感知面上での前記接触の強度を判定することと、
前記対応のロケーションから離れる前記フォーカスセレクタの移動に対応する前記タッチ感知面上での前記接触の第2の移動を検出することと、
前記タッチ感知面上での前記接触の前記第2の移動を検出することに応答して、
前記接触が対応の強度評価基準を満たすという判定に従って、前記タッチ感知面上での前記接触の前記第2の移動に従って前記フォーカスセレクタ及び前記ユーザインタフェースオブジェクトを移動し、かつ、
前記接触が前記対応の強度評価基準を満たさないという判定に従って、前記ユーザインタフェースオブジェクトを移動することなく、前記タッチ感知面上での前記接触の前記第2の移動に従って前記フォーカスセレクタを移動することと、
を含み、
前記対応の強度評価基準が、対応の強度閾値を含み、
前記接触の前記強度が既定の時間期間よりも長い時間にわたって前記対応の強度閾値を下回るときに、前記接触が前記対応の強度評価基準を満たさない、
方法。」


第3 引用文献
(1)引用文献1・引用発明
本願の優先日前に日本国内において頒布され、原査定の拒絶の理由に引用された特開2001-202192号公報(以下、「引用文献1」という。)には、次の技術事項が記載されている。(下線部は、当審により付加した。以下、同じ。)

ア.「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は情報処理装置及びその方法並びにプログラム格納媒体に関し、例えばノートブック型のパーソナルコンピュータに適用して好適なものである。」

イ.「【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、かかる構成のパーソナルコンピュータにおいては、ユーザが操作キーを操作しているときに、その手や腕がタッチパッドの表面に触れると、操作キーによる操作途中であるにも関わらずに、タップ操作が行われたものと認識して誤った処理を実行する場合があり、操作性を向上させるには未だ不十分な問題があった。」

ウ.「【0013】
【発明の実施の形態】以下図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。
【0014】(1)ノートブック型のパーソナルコンピュータの全体構成
図1において、1は全体として本発明を適用したノートブック型のパーソナルコンピュータを示し、本体2と、当該本体2に開閉自在に取り付けられた表示部3とから構成され、当該本体2に対して表示部3を開閉することにより、この本体2の上面2Aと、表示部3の正面3Aとを閉塞し(図示せず)、又は開放し得るようになされている。
【0015】本体2には、その上面2Aに各種文字や記号及び数字等を入力するための複数の操作キー4、マウスカーソルの移動等に用いられるタッチパッド5、通常のマウスにおける左ボタン及び右ボタンに相当する左クリックボタン6及び右クリックボタン7、スピーカー8A及び8Bが設けられている。
【0016】表示部3には、正面にLCD(Liquid Cryctal Display)でなる液晶ディスプレイ10が設けられている。また表示部3には、正面のほぼ中央上端部につめ11が設けられると共に、当該つめ11と対応する本体2の所定位置には孔部12が設けられており、表示部2を本体2に閉塞した状態でつめ11が孔部12に嵌合されてロックされる。」

エ.「【0021】(2)タッチパッドの構成
ところで、かかるパーソナルコンピュータ1に設けられたタッチパッド5は、図3に示すように、感圧式でなり、シート状の感圧センサ30に可撓性を有するシート状の位置検出センサ31が重ね合わせられて構成されている。
【0022】位置検出センサ31においては、図4に示すように、例えば、2枚のポリエステルフィルム基板31A及び31Bの対向する面にそれぞれ複数の線状の電極32A及び32Bがストライプ状に形成され、これらポリエステルフィルム基板31A及び31Bが互いの電極32A及び32Bを直交させ、かつ微少な点状のスペーサ(図示せず)で隔てられた状態で積層されて形成されている。
【0023】そして、位置検出センサ31においては、ポリエステルフィルム基板31A及び31Bがそれぞれ指で押圧された部位のみを変形させるような可撓性を有することにより、ポリエステルフィルム基板31A及び31Bの対向する複数の電極32A及び32Bのうち、指で押圧された部位において対向している電極32A及び32B同士のみを接触させて導通させる。
【0024】従って、位置検出センサ31においては、押圧によって接触した電極32A及び32B同士を検出すれば、当該電極32A及び32B同士の接触した交点位置から指で押圧された位置(座標)を検出させ得るようになされている。
【0025】一方、感圧センサ30においては、図5に示すように、圧電フィルム等の感圧シート30Aと、金属シート等の導電シート30Bとが積層されて形成され、位置検出センサ31が押圧されると、当該押圧による位置検出センサ31の変形に伴って感圧シート30Aが押圧され、このとき感圧シート30A及び導電シート30Bにより押圧の圧力(以下、これを押圧力と呼ぶ)に応じた電圧を発生する。
【0026】従って、感圧センサ30においては、押圧されたときに発生する電圧を検出すれば、その電圧に基づいて押圧力を検出させ得るようになされている。
【0027】かくして、タッチパッド5においては、その表面が指でこすられたり、また、タップ操作が行われると、位置検出センサ31により指で押圧された位置を検出させ得ると共に、このとき感圧センサ30によりその押圧力を検出させ得るようになされている。」

オ.「【0028】(3)ノートブック型のパーソナルコンピュータの回路構成
ここで、図6に示すように、ノートブック型のパーソナルコンピュータ1の本体2においては、当該本体2における各種機能を統括的に制御するCPU(Central Processing Unit )35がホストバス36に接続されており、当該CPU35によってRAM(Random Access Memory)37にロードされた各種プログラムやアプリケーションソフトウェアに応じた処理を、クロックジェネレータ38から与えられるシステムクロックに基づいて所定の動作速度で実行することにより各種機能を実現し得るようになされている。」

カ.「【0101】ここで、CPU35は、このように特殊処理開始用のα閾値及び特殊処理終了用のβ閾値をそれぞれ別々に設定することにより、図14に示すように、通常処理モードP_(0) においてタッチパッド5の表面がα閾値以上の押圧力Zで押圧されると、特殊処理モードP_(1) に移って特殊処理を実行し、この後タッチパッド5の表面の押圧力Zがβ閾値を下回るまでは、そのまま特殊処理を継続して実行する。そして、CPU35は、タッチパッド5の表面に加えられる押圧力Zがβ閾値を下回ると、特殊処理を終了して特殊処理モードP_(1 )から通常処理モードP_(0) に移り、かくして、タッチパッド5の表面がβ閾値を下回る押圧力で押圧されると、その押圧に応じてマウスカーソルの移動等のような通常処理を実行する。
【0102】ところで、CPU35は、図12及び図13について上述したα閾値設定処理手順RT3及びβ閾値設定処理手順RT4においてもふれたが、α閾値及びβ閾値を当該α閾値がβ閾値よりも大きい値となるように規定した状態で任意に設定させるようになされている。
【0103】すなわち、CPU35は、図15に示すように、タッチパッド5の表面にα閾値以上の押圧力が加えられるまでは通常処理モードP_(0) となり、当該タッチパッド5の表面にα閾値以上の押圧力が加えられると特殊処理モードP_(1) に移るものの、この後タッチパッド5の表面に加えられている押圧力がα閾値よりも小さい値でなるβ閾値を下回るまでの間はそのまま特殊処理モードP_(1 )を継続し、当該押圧力がβ閾値を下回ると通常処理モードP_(0) に移る。
【0104】これにより、CPU35は、図16に示すように、例えば、タッチパッド5の表面がこすられている間特殊処理を実行するような場合にその表面に加えられる押圧力が変動しても、当該押圧力の変動により特殊処理を中断することを防止することができる。」

キ.「【0121】ここで、CPU35は、α閾値及びβ閾値が設定されると共に、特殊処理を実行するように設定されると、図19に示すように、通常処理モード時、RAM37上で立ち上げている特殊処理実行プログラムに基づいて、ステップSP60から特殊処理実行処理手順RT6に入り、続くステップSP61において、タッチパッド5の表面の押圧に応じてI/Oコントローラ52から座標データ及び押圧力データが与えられることを待ち受ける。
【0122】次いで、CPU35は、I/Oコントローラ52から座標データ及び押圧力データが与えられると、ステップSP62に進んで当該押圧力データに基づいて得られる押圧力がα閾値以上であるか否かを判断する。
【0123】このステップSP62において肯定結果を得ると、このことはタッチパッド5の表面がα閾値以上の押圧力で押圧されたことにより、通常処理モードから特殊処理モードに移ることを意味し、このときCPU35は、ステップSP63に進み、特殊処理実行プログラムと共にOSに基づいて特殊処理を開始する。
【0124】続いて、CPU35は、ステップSP64に進んで再びタッチパッド5の表面の押圧に応じてI/Oコントローラ52から座標データ及び押圧力データが与えられることを待ち受け、当該I/Oコントローラ52から座標データ及び押圧力データが与えられると、ステップSP65に進んでその押圧力データに基づいて得られる押圧力がβ閾値よりも小さい値であるか否かを判断する。
【0125】このステップSP65において否定結果を得ると、このことはタッチパッド5の表面がβ閾値以上の押圧力で押圧されていることにより特殊処理モードを継続することを意味し、このときCPU35は、ステップSP64に戻り、特殊処理を実行しながら、タッチパッド5の表面の押圧に応じてI/Oコントローラ52から座標データ及び押圧力データが与えられることを待ち受ける。
【0126】これに対して、ステップSP65において肯定結果を得ると、このことはタッチパッド5の表面がβ閾値よりも小さい押圧力で押圧されたことにより、特殊処理モードから通常処理モードに移ることを意味し、このときCPU35は、特殊処理を終了してステップSP66に進み、タッチパッド5の表面の押圧に応じてOSに基づくマウスカーソル70の移動等の通常処理を実行する。
【0127】次いで、CPU35は、ステップSP67に進んで、電源スイッチ16がオフ操作されたか否かを判断し、当該ステップSP67において電源スイッチ16がオフ操作されずに否定結果を得ると、ステップSP61に戻り、この後、ステップSP67において肯定結果を得るまでの間、ステップSP61-SP62-SP63-SP64-SP65-SP66-SP67の処理ループを繰り返す。
【0128】これに対して、CPU35は、ステップSP67において、電源スイッチ16がオフ操作されることにより肯定結果を得ると、続くステップSP68に進んで特殊処理実行処理手順RT6を終了する。
【0129】因みに、CPU35は、ステップSP67において、液晶ディスプレイ10に押圧力設定用ウィンドウ画面60を表示させ、かつマウスカーソル70を閾値設定部62内に移動させることにより設定モードに移ったときには、特殊処理(これに加えて通常処理も)を実行しないようになされていることにより、続くステップSP68に進んで特殊処理実行処理手順RT6を終了する。
【0130】また、ステップSP62において否定結果を得ると、このことはタッチパッド5の表面がα閾値よりも小さい値の押圧力で押圧されたことにより通常処理モードを継続することを意味し、このときCPU35は、そのタッチパッド5の表面の押圧に応じて、RAM37上で立ち上げているOSに従ってマウスカーソル70の移動等の通常処理を実行した後、ステップSP61に戻る。」

ク.「【0131】実際にCPU35は、図20に示すように、特殊処理として、「左ボタン操作処理」を実行するように設定されている場合には、液晶ディスプレイ10にウィンドウ画面80(当審注:「マイコンピュータのウィンドウ画面」の誤記と認められる。)を表示させた状態において、タッチパッド5の表面がα閾値よりも小さい押圧力で押圧されてこすられることによりマウスカーソル70をウィンドウ画面80(当審注:「マイコンピュータのウィンドウ画面」の誤記と認められる。)のタイトルバー81上に移動させた後、当該タッチパッド5の表面が例えば指でα閾値以上の押圧力で押圧されると、そのウィンドウ画面80(当審注:「マイコンピュータのウィンドウ画面」の誤記と認められる。)をアクティブな状態にする。
【0132】そして、CPU35は、図21に示すように、このようにタッチパッド5の表面が指でβ閾値以上の押圧力で押圧された状態でこすられると、RAM37上に立ち上げている特殊処理表示プログラム及びOSに基づき、その指の移動に応じて(すなわち、このときI/Oコントローラ5から得られる座標データに応じて)マウスカーソル70と共にウィンドウ画面60(当審注:「マイコンピュータのウィンドウ画面」の誤記と認められる。)を移動させ、この後、タッチパッド5の表面に加えられた押圧力がβ閾値を下回ると、その時点でマウスカーソル70と共に、ウィンドウ画面80(当審注:「マイコンピュータのウィンドウ画面」の誤記と認められる。)を停止させる。
【0133】かくして、CPU35は、「左ボタン操作処理」を実行するように選定された場合は、特殊処理として、ウィンドウ画面80(当審注:「マイコンピュータのウィンドウ画面」の誤記と認められる。)をドラッグ操作し得る。」

ケ.「【0160】(5)本実施の形態の動作及び効果
・・・(中略)・・・
【0165】以上の構成によれば、タッチパッド5の表面に加えられる押圧力に対して特殊処理開始用のα閾値及び特殊処理終了用のβ閾値を任意に設定させ、当該タッチパッド5の表面にα閾値以上の押圧力が加えられると、特殊処理を実行し、この後タッチパッド5の表面に加えられる押圧力がβ閾値を下回ると特殊処理を終了するようにしたことにより、所定の処理の実行途中にユーザの手や腕がタッチパッド5の表面に触れても特殊処理を誤って実行することをほぼ確実に防止することができ、かくして操作性を向上し得るパーソナルコンピュータを実現することができる。」

コ.図19


サ.


シ.

・上記ウ.の段落【0014】には、パーソナルコンピュータ1が、本体2と、表示部3とから構成されることが、さらに、段落【0015】には、本体2には、その上面2Aに各種文字や記号及び数字等を入力するための複数の操作キー4、マウスカーソルの移動等に用いられるタッチパッド5、通常のマウスにおける左ボタン及び右ボタンに相当する左クリックボタン6及び右クリックボタン7、スピーカー8A及び8Bが設けられていること、また、段落【0016】には、表示部3には、正面にLCD(Liquid Cryctal Display)でなる液晶ディスプレイ10が設けられていること、が記載されている。
したがって、引用文献1には、上面2Aに各種文字や記号及び数字等を入力するための複数の操作キー4、マウスカーソルの移動等に用いられるタッチパッド5、通常のマウスにおける左ボタン及び右ボタンに相当する左クリックボタン6及び右クリックボタン7、スピーカー8A及び8Bが設けられている本体2と、正面にLCD(Liquid Cryctal Display)でなる液晶ディスプレイ10が設けられている表示部3と、から構成されるパーソナルコンピュータ1、が記載されているといえる。
また、上記カ.、キ.、及び図19には、該パーソナルコンピュータ1において、特殊処理を実行する特殊処理実行手順RT6が、さらに、上記ク.及び図20、図21には、該特殊処理として「左ボタン操作処理」を設定し「ドラッグ操作」を実行する手順が記載されている。
したがって、引用文献1には、上面2Aに各種文字や記号及び数字等を入力するための複数の操作キー4、マウスカーソルの移動等に用いられるタッチパッド5、通常のマウスにおける左ボタン及び右ボタンに相当する左クリックボタン6及び右クリックボタン7、スピーカー8A及び8Bが設けられている本体2と、正面にLCD(Liquid Cryctal Display)でなる液晶ディスプレイ10が設けられている表示部3と、から構成されるパーソナルコンピュータ1において、特殊処理を実行する方法、及び、特殊処理として「左ボタン操作処理」を設定し「ドラッグ操作」実行する手順、が記載されているといえる。
・上記カ.の段落【0101】、及び上記キ.の段落【0121】-【0126】には、CPU35は、特殊処理開始用のα閾値及び特殊処理終了用のβ閾値をそれぞれ別々に設定することにより、通常処理モードP_(0) においてタッチパッド5の表面がα閾値以上の押圧力で押圧されると、特殊処理モードP_(1) に移って特殊処理を実行し、この後タッチパッド5の表面の押圧力がα閾値よりも小さい値でなるβ閾値を下回るまでは、そのまま特殊処理を継続して実行し、タッチパッド5の表面に加えられる押圧力がβ閾値を下回ると、特殊処理を終了して特殊処理モードP_(1) から通常処理モードP_(0) に移り、その押圧に応じてマウスカーソルの移動等のような通常処理を実行すること、また、上記カ.の段落【0102】には、α閾値がβ閾値よりも大きい値となるように設定されること、そして、上記カ.の段落【103】-【104】には、押圧力がα閾値よりも小さい値でなるβ閾値を下回るまでは、そのまま特殊処理を継続して実行し、タッチパッド5の表面に加えられる押圧力がβ閾値を下回ると、特殊処理を終了して特殊処理モードP_(1) から通常処理モードP_(0) に移ることで、タッチパッド5の表面がこすられている間特殊処理を実行するような場合にその表面に加えられる押圧力が変動しても、当該押圧力の変動により特殊処理が中断することを防止することができることが、さらに、上記ケ.の段落【0165】には、当該タッチパッド5の表面にα閾値以上の押圧力が加えられると、特殊処理を実行することにより、所定の処理の実行途中にユーザの手や腕がタッチパッド5の表面に触れても特殊処理を誤って実行することをほぼ確実に防止することができることが記載されている。
したがって、引用文献1には、CPU35は、特殊処理開始用のα閾値及び特殊処理終了用のβ閾値をそれぞれα閾値がβ閾値よりも大きい値となるように別々に設定することにより、通常処理モードP_(0) においてタッチパッド5の表面がα閾値以上の押圧力で押圧されると、特殊処理モードP_(1) に移って特殊処理を実行し、この後タッチパッド5の表面の押圧力がα閾値よりも小さい値でなるβ閾値を下回るまでは、そのまま特殊処理を継続して実行し、タッチパッド5の表面に加えられる押圧力がβ閾値を下回ると、特殊処理を終了して特殊処理モードP_(1) から通常処理モードP_(0) に移り、その押圧に応じてマウスカーソルの移動等のような通常処理を実行することで、所定の処理の実行途中にユーザの手や腕がタッチパッド5の表面に触れても特殊処理を誤って実行することをほぼ確実に防止することができ、さらに、タッチパッド5の表面がこすられている間特殊処理を実行するような場合にその表面に加えられる押圧力が変動しても、当該押圧力の変動により特殊処理が中断することを防止することができること、が記載されているといえる。
・図20、図21の記載によれば、ドラッグ操作がなされているのは、「ウィンドウ画面80」、「ウィンドウ画面60」ではなく、マイコンピュータのウィンドウ画面であり、上記ク.に記載される「ウィンドウ画面80」、「ウィンドウ画面60」は「マイコンピュータのウィンドウ画面」の誤記と認められる。

したがって、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「上面2Aに各種文字や記号及び数字等を入力するための複数の操作キー4、マウスカーソルの移動等に用いられるタッチパッド5、通常のマウスにおける左ボタン及び右ボタンに相当する左クリックボタン6及び右クリックボタン7、スピーカー8A及び8Bが設けられている本体2と、正面にLCD(Liquid Cryctal Display)でなる液晶ディスプレイ10が設けられている表示部3と、から構成されるパーソナルコンピュータ1において、特殊処理を実行する方法であって、
前記タッチパッド5は、感圧式でなり、シート状の感圧センサ30に可撓性を有するシート状の位置検出センサ31が重ね合わせられて構成され、その表面が指でこすられたり、また、タップ操作が行われると、位置検出センサ31により指で押圧された位置を検出させ得ると共に、このとき感圧センサ30によりその押圧力を検出させ得るようになされており、
本体2には、各種機能を統括的に制御するCPU(Central Processing Unit )35と、各種プログラムやアプリケーションソフトウェアがロードされるRAM(Random Access Memory)37が設けられ、
前記CPU35は、特殊処理開始用のα閾値及び特殊処理終了用のβ閾値をそれぞれα閾値がβ閾値よりも大きい値となるように別々に設定することにより、通常処理モードP_(0) においてタッチパッド5の表面がα閾値以上の押圧力で押圧されると、特殊処理モードP_(1) に移って特殊処理を実行し、この後タッチパッド5の表面の押圧力がα閾値よりも小さい値でなるβ閾値を下回るまでは、そのまま特殊処理を継続して実行し、タッチパッド5の表面に加えられる押圧力がβ閾値を下回ると、特殊処理を終了して特殊処理モードP_(1) から通常処理モードP_(0) に移り、その押圧に応じてマウスカーソルの移動等のような通常処理を実行することで、所定の処理の実行途中にユーザの手や腕がタッチパッド5の表面に触れても特殊処理を誤って実行することをほぼ確実に防止することができ、さらに、タッチパッド5の表面がこすられている間特殊処理を実行するような場合にその表面に加えられる押圧力が変動しても、当該押圧力の変動により特殊処理が中断することを防止することができるものであって、
特殊処理として「左ボタン操作処理」を設定した際には、
前記液晶ディスプレイ10にマイコンピュータのウィンドウ画面を表示させた状態において、タッチパッド5の表面がα閾値よりも小さい押圧力で押圧されてこすられることによりマウスカーソル70をマイコンピュータのウィンドウ画面のタイトルバー81上に移動させ、
そこで当該タッチパッド5の表面が指でα閾値以上の押圧力で押圧されると、そのマイコンピュータのウィンドウ画面をアクティブな状態にし、
タッチパッド5の表面が指でβ閾値以上の押圧力で押圧された状態でこすられると、RAM37上に立ち上げている特殊処理表示プログラム及びOSに基づき、その指の移動に応じてマウスカーソル70と共にマイコンピュータのウィンドウ画面を移動し、
この後、タッチパッド5の表面に加えられた押圧力がβ閾値を下回ると、その時点でマウスカーソル70と共に、マイコンピュータのウィンドウ画面を停止させる、
特殊処理を実行する方法。」

(2)引用文献2
本願の優先日前に日本国内において頒布され、拒絶査定時に引用された特開2012-27940号公報(以下、「引用文献2」という。)には、次の技術事項が記載されている。

ア.「【0046】
図5には、アイコンAに対して入力された2ヶ所の接触位置(ポイントP1a,P2a)を示している。ポイントP1aは、例えば親指の接触位置に対応し、ポイントP2aが人差し指の接触位置に対応する。
【0047】
ここで、ユーザが、親指と人差し指をタッチパネル15に接触させたまま摘む操作、すなわち親指と人差し指とを近づける操作をすると、図6に示すように、接触検出部203により検出されるポイントP1aがポイントP1bに移動され、ポイントP2aがポイントP2bに移動される。
【0048】
操作判定部204aは、ポイントP1bとポイントP2bの2ヶ所の接触位置が特定範囲内にあるかを判別する。ここでは、移動先のポイントP1bとポイントP2bが予め決められた一定値Hの距離内にまで移動され、かつポイントP1bとポイントP2bの位置に、移動処理の対象とするオブジェクトが存在しているかを判別する。操作判定部204aは、移動先のポイントP1bあるいはポイントP2bの位置にオブジェクトが存在するかをOS200に問い合わせる。なお、OS200は、ポイントP1bあるいはポイントP2bがアイコンAの表示位置と一致しなくても、アイコンAの周辺であれば存在するものと判別する。
【0049】
ここで、オブジェクト(ここではアイコンA)が存在していることがOS200により通知されると(ステップA3、Yes)、モード設定部205は、アイコンAに対する移動モードを設定する(ステップA4)。
【0050】
OS200は、モード設定部205により移動モードが設定されたことをユーザが認識できるように、LCD14に表示されたアイコンAの表示形態(例えば、表示色)を変更する。
【0051】
移動モードが設定された後、タッチパネル15,17に対する接触が接触検出部203により検出されると(ステップA5、Yes)、OS200は、接触検出部203により検出された位置に、移動モードが設定されたアイコンAの表示位置を移動させる処理を実行する(ステップA6)。例えば、アイコンAに対して移動モードが設定された後、タッチパネル17に対して指が接触されると、タッチパネル17の接触位置に対応するLCD16の表示位置にアイコンAを移動させる。
【0052】
なお、モード設定部205は、移動モードを設定した後、移動先を示す位置の指定がない場合(ステップA5、No)、移動モードを解除するものとする。例えば、移動モードを設定した後、予め決められた一定時間以上(例えば5秒以上)、タッチパネル15,17に対する接触がない場合には、移動モードを解除する。」


(3)引用文献3
本願の優先日前に日本国内において頒布され、特開2011-253556号公報(以下、「引用文献3」という。)には、次の技術事項が記載されている。

ア.「【0096】
図11(A)において、ユーザは、タッチパネル30の入力部34上で、左上のフォルダを押圧している。このフォルダをユーザが押圧することにより、入力部34を押圧する押圧荷重が第1の荷重基準P2を満たさない状態から満たす状態へ変化すると(ステップS11のYes、ステップS12のYes)、図11(B)の上側に示すように、押圧していたフォルダがオープンする(ステップS13)。その後、ユーザが入力部34を押圧したまま、オープンしたフォルダに含まれる他のフォルダの位置まで押圧入力の位置を移動させて、図11(B)の上側に示す表示部において矢印が示す位置を押圧している状態になったとする。この状態で、入力部34を押圧する押圧荷重が再び第1の荷重基準P2を満たさない状態から満たす状態へ変化すると(ステップS11のYes、ステップS12のYes)、図11(C)の上側に示すように、押圧していたフォルダがオープンする(ステップS13)。
【0097】
その後、図11(C)に示す状態Cにおいて、ユーザは、第1の荷重基準P2を満たしていた押圧力を弱めたため、時刻T3以降、荷重検出部40が検出する押圧荷重が、第2の荷重基準P1を下回っている(ステップS14のYes)。しかしながら、図11の時刻T3以降に示すように、第2の荷重基準P1を下回った期間が所定時間t以内であり(ステップS16のNo)、再び第2の荷重基準P1を満たす押圧荷重が検知されたため(ステップS17のYes)、フォルダはクローズされない。すなわち、この場合、ステップS18の処理は行われない。
【0098】
したがって、ユーザが意図せず押圧力を弱め過ぎてしまう誤操作をしてしまった場合でも、その操作が所定時間以内であれば、オープンしたフォルダが、ユーザの意図に反してクローズされることはない。この後、ユーザは、第1の荷重基準P2を満たす押圧荷重まで再び押圧力を強めることにより、さらにフォルダをオープンさせる操作を続行することができる。
【0099】
一方、図11(C)に示す状態Cの終端においても、ユーザは、第2の荷重基準P1を満たしていた押圧力を弱めたため、時刻T4以降、荷重検出部40が検出する押圧荷重が、第2の荷重基準P1を下回っている(ステップS14のYes)。この場合、図11の時刻T4以降に示すように、第2の荷重基準P1を下回った期間が所定時間tを超えるため(ステップS16のYes)、時刻T5において、図11(D)に示す状態Dのように、最下層のフォルダがクローズされる(ステップS18)。
【0100】
したがって、ユーザが意図して押圧力を弱めたことにより、その操作が所定時間を超える場合、オープンしたフォルダがユーザの意図通りにクローズされる。このように、本実施の形態の入力装置によれば、ユーザ側が意図せず誤操作をしてしまった場合であっても、当該誤操作に対処することができ、ユーザは、自らの意図する通りの操作を行うことができる。」

イ.図11


上記引用文献2、3の記載及び図面、並びにこの分野の技術常識を考慮すると、引用文献2または引用文献3には以下の技術(以下、「周知の技術」という。)が開示されていると認められる。

「誤検出の防止手段として、既定の時間にわたって検出対象の検出がされていない場合に、検出がされていないと判断すること。」


第4 対比・判断
本願発明と引用発明とを対比する。

ア.引用発明の「特殊処理を実行する方法」は、本願発明の「方法」に相当する。

イ.引用発明の「タッチパッド5」、及び「液晶ディスプレイ10」は、本願発明の「タッチ感知面」、及び「ディスプレイ」に相当する。
また、引用発明の「パーソナルコンピュータ1」は、「タッチパッド5」が設けられる「本体2」と、「ディスプレイ」が設けられる「表示部3」とから構成され、また、「タッチパッド5」は「感圧センサ30」を有し、「タッチパッド5」の「表面が指でこすられ」ると「感圧センサ30」は「押圧力を検出」できるものであるから、引用発明の「指でこすられ」ること、及び、その際の「押圧力」は、本願発明の「接触」、及び、「接触の強度」に相当し、そして、引用発明の「感圧センサ30」は、本願発明の「前記タッチ感知面との接触の強度を検出するための1つ以上のセンサ」に相当し、さらに、引用発明の「パーソナルコンピュータ1」は、本願発明の「タッチ感知面及びディスプレイを備え、前記タッチ感知面との接触の強度を検出するための1つ以上のセンサを含む、電子デバイス」に相当する。

ウ.引用発明は、「タッチパッド5」が「α閾値以上の押圧力で押圧される」ことを検出すると、「マイコンピュータのウィンドウ画面」が選択され「アクティブな状態」となり、「指の移動に応じてマウスカーソル70と共にマイコンピュータのウィンドウ画面を移動」できるものであり、「マイコンピュータのウィンドウ画面の移動」を「マウスカーソル70」によって制御できるものと認められるから、引用発明の「アクティブな状態」の「マイコンピュータのウィンドウ画面」、及び「マウスカーソル70」は、本願発明の「現在選択されている対応のユーザインタフェースオブジェクト」、及び「ユーザインタフェースオブジェクトの移動を制御するフォーカスセレクタ」に相当する。
そして、引用発明において「その表面」が「指」で「こすられる」こと、及び、「押圧力」は「タッチパッド5」が検出するものであることから、引用発明において「タッチパッド5」が「タッチパッド5の表面がα閾値よりも小さい押圧力で押圧されてこすられることによりマウスカーソル70をウィンドウ画面80のタイトルバー81上に移動させ、当該タッチパッド5の表面が指でα閾値以上の押圧力で押圧」されることを検出することは、本願発明の「前記タッチ感知面との接触を検出することであって、前記接触が、現在選択されている対応のユーザインタフェースオブジェクトの移動を制御するフォーカスセレクタと関連付けられる、接触を検出すること」に相当する。

エ.引用発明において「マイコンピュータのウィンドウ画面」が選択され「アクティブな状態」となった後に、「タッチパッド5の表面が指でβ閾値以上の押圧力で押圧された状態でこすられると」、「タッチパッド5」上の「指の移動に応じてマウスカーソル70」が移動しており、「タッチパッド5」が「指」の接触を連続的に検出していることは明らかである。
ここで、本願の【発明の詳細な説明】の段落【0197】には、「対応のロケーション」に関して「タッチ感知面上での接触を連続的に検出する間に(18404)、デバイスは、対応のロケーションに向かうフォーカスセレクタの移動に対応するタッチ感知面上での接触の第1の移動を検出する(18406)(例えば、対応のロケーションは、ユーザがオブジェクトを「ドロップ」しようと試みるロケーションである)。・・・」と記載されている。
そして、一般に、「ウィンドウ」のドラッグ操作は「ウィンドウ画面」を所望の位置にいわゆるドロップさせる操作であって、引用発明では「タッチパッド5の表面に加えられた押圧力がβ閾値を下回」った位置において「マイコンピュータのウィンドウ画面を停止」させており、引用発明において「タッチパッド5の表面に加えられた押圧力がβ閾値を下回」る位置が「マイコンピュータのウィンドウ画面」のドロップ位置と認められ、さらに、「マウスカーソル70」をこのドロップ位置に向けて移動させていることは明らかであるから、引用発明の「タッチパッド5の表面に加えられた押圧力がβ閾値を下回」る位置、及びこの位置に向けての「マウスカーソル70」の移動は、本願発明の「対応のロケーション」、及び「第1の移動」に相当する。
したがって、引用発明の「タッチパッド5」が「タッチパッド5の表面が指でβ閾値以上の押圧力で押圧された状態でこすられる」ことを検出することは、本願発明の「前記タッチ感知面上での前記接触を連続的に検出している間に、対応のロケーションに向かう前記フォーカスセレクタの移動に対応する前記タッチ感知面上での前記接触の第1の移動を検出することと」に相当し、引用発明の「タッチパッド5の表面が指でβ閾値以上の押圧力で押圧された状態でこすられると、RAM37上に立ち上げている特殊処理表示プログラム及びOSに基づき、その指の移動に応じてマウスカーソル70と共にマイコンピュータのウィンドウ画面を移動」することは、本願発明の「前記タッチ感知面上での前記接触の前記第1の移動を検出することに応答して、前記接触の前記第1の移動に従って前記ディスプレイ上で前記フォーカスセレクタを移動し、前記フォーカスセレクタの前記移動に従って前記対応のユーザインタフェースオブジェクトを移動」することに相当する。

オ.引用発明の上記ドロップ位置は「押圧力がβ閾値を下回」った位置であり、ここで接触の強度を判定していることは明らかであるから、引用発明の上記ドロップ位置で「タッチパッド5」が「押圧力を検出」することは、本願発明の「前記フォーカスセレクタが前記ディスプレイ上の前記対応のロケーションにある間に、前記タッチ感知面上での前記接触の強度を判定する」ことに相当する。

カ.引用発明は、「通常処理」から押圧力が「特殊処理開始用のα閾値」を上回ったら「特殊処理」となり、その後、押圧力が「特殊処理終了用のβ閾値」を下回ったら「通常処理」に戻るもであって、ここで、「通常処理」は「その押圧に応じてマウスカーソルの移動」を行うものである。
してみれば、引用発明において「特殊処理」として「左ボタン操作処理」を設定した際にも「タッチパッド5の表面に加えられた押圧力がβ閾値を下回」った際には「通常処理」に戻るものと認められ、引用発明において「β閾値を下回」った「その時点でマウスカーソル70と共に、マイコンピュータのウィンドウ画面を停止」するのは、その時点で「タッチパッド5」上の指の移動も停止したからであって、押圧力がβ閾値を下回る上記ドロップ位置を過ぎても「タッチパッド5」上の指の移動を継続すれば、「通常処理」として「その押圧に応じてマウスカーソル」のみは移動するものと解される。
また、引用発明において上記ドロップ位置を過ぎても、β閾値を上回って「タッチパッド5」上の指の移動を継続し続ければ、マイコンピュータのウィンドウ画面のドラッグ操作が継続されることはあきらかである。
そして、引用発明において、マウスカーソル70の上記ドロップ位置を過ぎる移動のための、対応する「タッチパッド5」上の指をこすることによる移動を「第2の移動」と称することは任意である。
さらに、引用発明の「特殊処理開始用のα閾値」「よりも小さい値」である「特殊処理終了用のβ閾値」は、「β閾値」を既定の時間にわたって満たさないときに「特殊処理」を終了するものではないが、「β閾値」を下回れば「特殊処理」は終了するものであって、押圧力強度の評価の基準の閾値であるといえるから、引用発明の「特殊処理開始用のα閾値」「よりも小さい値」である「特殊処理終了用のβ閾値」と、本願発明の「対応の強度閾値を含み、前記接触の前記強度が既定の時間期間よりも長い時間にわたって前記対応の強度閾値を下回るときに、前記接触が前記対応の強度評価基準を満たさない」とする「強度評価基準」とは、「対応の強度閾値を含み」、「強度閾値を下回るときに、前記接触が前記対応の強度評価基準を満たさない」とする「強度評価基準」である点では共通する。
したがって、引用発明において上記ドロップ位置を過ぎても「タッチパッド5」上を指でこすり続けこれを「タッチパッド5」が検出することは、本願発明の「前記対応のロケーションから離れる前記フォーカスセレクタの移動に対応する前記タッチ感知面上での前記接触の第2の移動を検出すること」に相当し、そして、引用発明においてβ閾値を下回る押圧力で上記ドロップ位置を過ぎても「タッチパッド5」上を指の移動を継続し「通常処理」として「その押圧に応じてマウスカーソル」のみが移動することは、本願発明の「前記タッチ感知面上での前記接触の前記第2の移動を検出することに応答して」「前記接触が前記対応の強度評価基準を満たさないという判定に従って、前記ユーザインタフェースオブジェクトを移動することなく、前記タッチ感知面上での前記接触の前記第2の移動に従って前記フォーカスセレクタを移動する」ことに相当し、さらに、引用発明においてβ閾値を上回る押圧力で上記ドロップ位置を過ぎても、「タッチパッド5」上の指の移動を継続し「ドラッグ操作」が継続することは、本願発明の「前記タッチ感知面上での前記接触の前記第2の移動を検出することに応答して、前記接触が対応の強度評価基準を満たすという判定に従って、前記タッチ感知面上での前記接触の前記第2の移動に従って前記フォーカスセレクタ及び前記ユーザインタフェースオブジェクトを移動」することに相当する。

そうすると、本願発明と引用発明とは次の点で一致ないし相違するものと認められる。

(一致点)

「方法であって、
タッチ感知面及びディスプレイを備え、前記タッチ感知面との接触の強度を検出するための1つ以上のセンサを含む、電子デバイスにおいて、
前記タッチ感知面との接触を検出することであって、前記接触が、現在選択されている対応のユーザインタフェースオブジェクトの移動を制御するフォーカスセレクタと関連付けられる、接触を検出することと、
前記タッチ感知面上での前記接触を連続的に検出している間に、
対応のロケーションに向かう前記フォーカスセレクタの移動に対応する前記タッチ感知面上での前記接触の第1の移動を検出することと、
前記タッチ感知面上での前記接触の前記第1の移動を検出することに応答して、
前記接触の前記第1の移動に従って前記ディスプレイ上で前記フォーカスセレクタを移動し、前記フォーカスセレクタの前記移動に従って前記対応のユーザインタフェースオブジェクトを移動し、かつ、
前記フォーカスセレクタが前記ディスプレイ上の前記対応のロケーションにある間に、前記タッチ感知面上での前記接触の強度を判定することと、
前記対応のロケーションから離れる前記フォーカスセレクタの移動に対応する前記タッチ感知面上での前記接触の第2の移動を検出することと、
前記タッチ感知面上での前記接触の前記第2の移動を検出することに応答して、
前記接触が対応の強度評価基準を満たすという判定に従って、前記タッチ感知面上での前記接触の前記第2の移動に従って前記フォーカスセレクタ及び前記ユーザインタフェースオブジェクトを移動し、かつ、
前記接触が前記対応の強度評価基準を満たさないという判定に従って、前記ユーザインタフェースオブジェクトを移動することなく、前記タッチ感知面上での前記接触の前記第2の移動に従って前記フォーカスセレクタを移動することと、
を含み、
前記対応の強度評価基準が、対応の強度閾値を含み、
前記対応の強度閾値を下回るときに、前記接触が前記対応の強度評価基準を満たさない、
方法。」

(相違点)
上記「強度評価基準」が、本願発明では、「前記接触の前記強度が既定の時間期間よりも長い時間にわたって前記対応の強度閾値を下回るときに、前記接触が前記対応の強度評価基準を満たさない」とするものであるのに対して、
引用発明では、そのような限定がなされていな点。


第5 検討
そこで、上記相違点について検討する。
引用発明は、「特殊処理開始用α閾値」と「特殊処理終了用のβ閾値」の差の範囲内の押圧力の変動に対しては、誤検出され「特殊処理」の中断が起きることがないものであり、一定範囲の変動に対して誤検出を防止できるものと認められる。
しかし、押圧力の変動としては、上記一定範囲の変動以外に、一瞬(短期的に)タッチ面から指が離れてしまうような大きな変動も普通によく起こることであり、引用発明における変動として、一定範囲の変動が続く場合以外に、そのような短期的な大きな変動が起きることも、当然に予想されることと認められる。
また、引用文献2、引用文献3にも記載されるように、誤検出の防止手段として、既定の時間にわたって検出対象の検出がされていない場合に、検出がされていないと判断することは周知の技術であって、そして、該周知の技術は、既定の時間を基に判断を行うものであるから、既定の時間内の短期的な変動に対する誤検出のような場合に対して用いられるものであることは明らかである。
してみれば、引用発明において押圧力の変動として短期的な大きな変動に対して対応できるように、上記周知の技術を適用して、「強度評価基準」として、「特殊処理開始用α閾値」を「既定の時間期間よりも長い時間にわたって」「下回るときに」「特殊処理」ではない(「通常処理」)とすることを採用することは、当業者が容易に想到し得たことである。

また、本願発明の効果も、引用発明、及び周知の技術から想到される構成から当業者が予想できる範囲のものである。


第6 むすび

以上のとおりであって、本願発明は、上記引用発明、及び周知の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、その他の請求項について論及するまでもなく拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2018-02-13 
結審通知日 2018-02-16 
審決日 2018-02-27 
出願番号 特願2015-511655(P2015-511655)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 片岡 利延笠田 和宏  
特許庁審判長 新川 圭二
特許庁審判官 千葉 輝久
山澤 宏
発明の名称 ユーザインタフェースオブジェクトを移動し、ドロップするためのデバイス、方法及びグラフィカルユーザインタフェース  
代理人 永川 行光  
代理人 高柳 司郎  
代理人 木村 秀二  
代理人 坂田 恭弘  
代理人 大塚 康弘  
代理人 下山 治  
代理人 大塚 康徳  
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