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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1342444
審判番号 不服2017-13102  
総通号数 225 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-09-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-09-05 
確定日 2018-07-19 
事件の表示 特願2015-132656号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 1月19日出願公開、特開2017- 12490号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成27年7月1日の出願であって、平成28年6月17日付けで拒絶の理由が通知され、平成28年7月25日に意見書及び手続補正書が提出され、平成29年1月5日付けで最後の拒絶の理由が通知され、平成29年2月23日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、平成29年6月5日付け(発送日:平成29年6月13日)で、平成29年2月23日付け手続補正が却下されるとともに拒絶査定がなされ、それに対して、平成29年9月5日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。

第2 平成29年9月5日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
本件補正を却下する。

[理由](補正の適否の判断)
1 本件補正の概要
本件補正は、特許請求の範囲を補正する内容を含んでおり、本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、
(補正前:平成28年7月25日付け手続補正)
「【請求項1】
表示装置と、
前記表示装置に基準画像および当該基準画像に対応する所定の演出画像が表示されるよう制御する手段であって、前記基準画像に対する一方側に前記所定の演出画像が表示され、前記基準画像に対する他方側に当該所定の演出画像が表示されないように制御する画像制御手段と、を備え、
前記画像制御手段により、前記基準画像と前記所定の演出画像の形態を変化させずに両画像の相対的な位置関係を変化させることで、前記基準画像に対する一方側に表示される前記所定の演出画像の表示部位を変化させる表示変化演出が実行可能であることを特徴とする遊技機。」
から、
(補正後:本件補正である平成29年9月5日付け手続補正)
「【請求項1】
表示装置と、
前記表示装置に基準画像および当該基準画像に対応する所定の演出画像が表示されるよう制御する手段であって、前記基準画像に対する一方側に前記所定の演出画像が表示され、前記基準画像に対する他方側に当該所定の演出画像が表示されないように制御する画像制御手段と、を備え、
前記画像制御手段により、前記表示装置の表示領域における前記基準画像が表示される位置を維持したまま、前記基準画像と前記所定の演出画像の形態を変化させずに両画像の相対的な位置関係を変化させることで、前記基準画像に対する一方側に表示される前記所定の演出画像の表示部位を変化させる表示変化演出が実行可能であることを特徴とする遊技機。」
に補正された(下線は、補正箇所を明示するために当審で付した。)。

2.本件補正の適否
本件補正は、補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「画像制御手段」が行う「表示変化演出」における「前記基準画像と前記所定の演出画像の形態を変化させずに両画像の相対的な位置関係を変化させる」という変化に関して、「前記表示装置の表示領域における前記基準画像が表示される位置を維持したまま、」という限定がされていなかったところを、当該補正事項を追加して限定するものである。
したがって、本件補正は、補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「表示変化演出」の「「前記基準画像と前記所定の演出画像の形態を変化させずに両画像の相対的な位置関係を変化させる」という変化」に関して、以上のとおりに限定するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そして、本件補正は、【0037】、図3、図4の記載に基づくものであるから、新規事項を追加するものではないため、特許法第17条の2第3項に違反するところはない。

3 独立特許要件
そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について以下に検討する。

(1)本願補正発明
本願補正発明は、上記1の本件補正の概要において示した次のとおりのものである(A?Cは、本願補正発明を分説するため当審で付した。)。
「【請求項1】
A 表示装置と、
B 前記表示装置に基準画像および当該基準画像に対応する所定の演出画像が表示されるよう制御する手段であって、前記基準画像に対する一方側に前記所定の演出画像が表示され、前記基準画像に対する他方側に当該所定の演出画像が表示されないように制御する画像制御手段と、
を備え、
C 前記画像制御手段により、前記表示装置の表示領域における前記基準画像が表示される位置を維持したまま、前記基準画像と前記所定の演出画像の形態を変化させずに両画像の相対的な位置関係を変化させることで、前記基準画像に対する一方側に表示される前記所定の演出画像の表示部位を変化させる表示変化演出が実行可能であることを特徴とする遊技機。」

(2)刊行物に記載された事項
(2-1)刊行物1
本願の出願前に頒布された特開2008-228908号公報(以下,「刊行物1」という。)には,図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審で付した。以下同様。)。

(ア)「【0014】
(第1実施例)
図1は、ぱちんこ遊技機の前面側における基本的な構造を示す。以下、弾球遊技機として従来にいういわゆる第1種ぱちんこ遊技機を例に説明する。ぱちんこ遊技機10は、主に遊技機枠と遊技盤で構成される。ぱちんこ遊技機10の遊技機枠は、外枠11、前枠12、透明板13、扉14、上球皿15、下球皿16、および発射ハンドル17を含む。外枠11は、開口部分を有し、ぱちんこ遊技機10を設置すべき位置に固定するための枠体である。前枠12は、外枠11の開口部分に整合する枠体であり、図示しないヒンジ機構により外枠11へ開閉可能に取り付けられる。前枠12は、遊技球を発射する機構や、遊技盤を着脱可能に収容させるための機構、遊技球を誘導または回収するための機構等を含む。」

(イ)「【0045】
演出表示制御手段134は、撮影開始条件を満たした場合に撮影演出映像を演出表示装置60に表示させる。本実施例では、演出決定手段132によって撮影演出リーチ変動パターンが選択されたことを撮影開始条件とする。遊技者は、撮影演出映像が表示されている間に操作ボタン82の押下操作により撮影指示する。撮影演出リーチ変動パターンのそれぞれには、その変動パターンにより撮影演出するときに撮影指示できる最大の回数である撮影可能回数が定められている。撮影可能回数は、演出表示制御手段134によって撮影演出映像とともに演出表示装置60の画面に表示され、この回数が多いほど遊技者にとっては撮影を成功させる可能性、すなわち大当たりの期待度が高いことを示唆することができる。達成判定手段202は、選択された撮影演出リーチ変動パターンに定められた撮影可能回数を上限にした回数の撮影指示を取得する。たとえば遊技者が操作ボタン82を押下したままの状態で維持することにより複数枚の自動的な連続撮影を実現してもよい。
・・・
【0047】
撮影最適タイミングの時間的長さは、当否抽選の結果に応じて可変に設定されてもよい。たとえば、当否抽選で外れの場合には最適な撮影が難しくなるよう撮影最適タイミングが短い期間に設定され、当否抽選で当たりの場合には撮影で成功しやすくなるよう撮影最適タイミングが長い期間に設定される。撮影演出映像は、撮影最適タイミングの設定と連動するように構成され、撮影最適タイミングが設定されたタイミングで映像内容が成功写真の内容と実質的に一致するようにその前後で映像が変化する。たとえば撮影最適タイミングで被写体オブジェクトの構図が画角に適切に収まるよう位置変化したり、撮影最適タイミングで被写体オブジェクトへのズームやフォーカスが最適化されるよう遠近やぼかしの変化が施された映像となる。
・・・
【0050】
図4は、撮影演出映像の開始状態の例を模式的に示す。撮影演出リーチ変動パターンが選択された場合、演出表示制御手段134は演出表示装置60の画面において、初期的に通常の装飾図柄190の図柄変動を表示させる。その図柄変動がリーチ態様となったところで撮影演出映像画面210に切り替える。撮影演出映像画面210においては、それまで略中央の領域で表示されていた装飾図柄190の図柄変動表示を縮小して画面左上の図柄表示領域212に移動させ、代わりに画面中央に画角領域214を表示させる。画面左下には撮影示唆マーク216を表示させ、画面右下に撮影可能回数表示218を表示させる。図柄表示領域212には、リーチ状態のまま残り一つの図柄変動が演出の間継続される。画角領域214は、カメラの撮影範囲を模式化した擬似的な撮影画角の映像領域である。この画角領域214の枠内で被写体オブジェクト215が形態変化する映像が表示される。本図の状態は、被写体オブジェクト215が画角領域214の右端に位置し、被写体オブジェクト215の右側部分が画角領域214からはみ出る形で欠けている映像である。したがって、この状態のタイミングで撮影しても被写体が最適位置にいないため撮影には失敗することを意味する。
・・・
【0053】
図5は、撮影最適タイミングにおける撮影演出映像の例を模式的に示す。本図の状態は、撮影最適タイミングに至った瞬間の映像内容として、画角領域214の略中央に被写体オブジェクト215の顔が位置する映像が表示される。このタイミングで遊技者が操作ボタン82を押下すれば、少なくとも撮影最適タイミングにて撮影指示したこととなり、当否抽選の結果次第では撮影が成功したと判定される。遊技者が操作ボタン82を1回押下すると、撮影可能回数表示218に表示される残りの撮影可能回数の数値は1つ減る。」

(ウ)上記【0050】の「図4は、撮影演出映像の開始状態・・・撮影演出映像画面210において・・・画角領域214は、カメラの撮影範囲を模式化した擬似的な撮影画角の映像領域である。」との記載を参酌すると、図4には、撮影演出映像画面210において画角領域214を示す太い直線状の枠が図示されているといえる。

以上の記載事項から、以下の認定をすることができる。

(a)上記【0050】には「演出表示装置60」と記載されているから、刊行物1には、演出表示装置60が記載されている。

(b)上記【0045】には「演出表示制御手段134は・・・撮影演出映像を演出表示装置60に表示させる」と記載され、上記【0050】には「演出表示装置60の・・・撮影演出映像画面210において・・・カメラの撮影範囲を模式化した擬似的な撮影画角の映像領域である・・・画角領域214の枠内で被写体オブジェクト215が形態変化する映像が表示される」と記載され、上記(ウ)には図4の図示内容として「撮影演出映像画面210において画角領域214を示す太い直線状の枠」が記載されているから、刊行物1には、演出表示装置60の撮影演出映像画面210において、カメラの撮影範囲を模式化した擬似的な撮影画角の映像領域である画角領域214を示す太い直線状の枠と、画角領域214の枠内では被写体オブジェクト215が形態変化する映像を表示する演出表示制御手段134が記載されているといえる。

(c)上記(b)において検討したように、刊行物1には【0050】に「演出表示装置60の撮影演出映像画面210において・・・画角領域214を示す太い直線状の枠と、画角領域214の枠内で被写体オブジェクト215が形態変化する映像を表示する演出表示制御手段134」が記載され、上記【0050】には「図4は、撮影演出映像の開始状態・・・本図の状態は、被写体オブジェクト215が画角領域214の右端に位置し、被写体オブジェクト215の右側部分が画角領域214からはみ出る形で欠けている映像である」と記載され、上記【0053】には「図5は、撮影最適タイミングにおける撮影演出映像・・・画角領域214の略中央に被写体オブジェクト215の顔が位置する映像が表示される」と記載され、上記【0047】には「撮影最適タイミングで被写体オブジェクトの構図が画角に適切に収まるよう位置変化したり、撮影最適タイミングで被写体オブジェクトへのズームやフォーカスが最適化されるよう遠近やぼかしの変化が施され」と記載され、上記【0014】には「ぱちんこ遊技機10」と記載されているから、刊行物1には、演出表示制御手段134は、撮影演出映像の開始状態では、画角領域214の枠内で被写体オブジェクト215が画角領域214の右端に位置し、被写体オブジェクト215の右側部分が画角領域214からはみ出る形で欠けている映像を表示し、撮影最適タイミングで被写体オブジェクト215の構図が画角に適切に収まるよう位置変化したり、撮影最適タイミングで被写体オブジェクトへのズームやフォーカスが最適化されるよう遠近やぼかしの変化が施され、画角領域214の略中央に被写体オブジェクト215の顔が位置する映像を表示するぱちんこ遊技機10が記載されているといえる。

以上の検討から、刊行物1には、次の発明が記載されていると認められる(以下、「引用発明」という。a?cは引用発明を分説するため当審で付した。)。

「a 演出表示装置60と、
b 演出表示装置60の撮影演出映像画面210において、カメラの撮影範囲を模式化した擬似的な撮影画角の映像領域である画角領域214を示す太い直線状の枠と、画角領域214の枠内で被写体オブジェクト215が形態変化する映像を表示する演出表示制御手段134と、
を備え、
c 演出表示制御手段134は、撮影演出映像の開始状態では、画角領域214の枠内で被写体オブジェクト215が画角領域214の右端に位置し、被写体オブジェクト215の右側部分が画角領域214からはみ出る形で欠けている映像を表示し、撮影最適タイミングで被写体オブジェクト215の構図が画角に適切に収まるよう位置変化したり、撮影最適タイミングで被写体オブジェクトへのズームやフォーカスが最適化されるよう遠近やぼかしの変化が施され、画角領域214の略中央に被写体オブジェクト215の顔が位置する映像を表示するぱちんこ遊技機10」

(3)対比
本願補正発明と引用発明とを対比する(対比の見出しとしての(a)?(c)は引用発明の分説構成と対応させた。)。

(a)引用発明における「演出表示装置60」は、本願補正発明における「表示装置」に相当する。

(b)引用発明における「画角領域214を示す太い直線状の枠」「の映像」及び「被写体オブジェクト215」「の映像」は、本願補正発明における「基準画像」及び「所定の演出画像」に相当する。また、引用発明は、「カメラの撮影範囲を模式化した」「映像領域である画各領域を示す太い直線状の枠」「の映像」(基準画像)「の枠内で」「被写体オブジェクト215」「の映像」(所定の演出画像)「を表示する」から、「映像領域」である「画角領域214を示す太い直線状の枠」「の映像」(基準画像)に、「被写体オブジェクト215」「の映像」(所定の演出画像)は対応しているといえる。
そして、引用発明における「画角領域214を示す太い直線状の枠」「の映像」の「枠内」、「画角領域214を示す太い直線状の枠」「の映像」の「外側」は、本願補正発明における「基準画像に対する一方側」、「前記基準画像に対する他方側」に相当し、「画角領域214を示す太い直線状の枠」「の映像」(基準画像)の外側(他方側)では、「被写体オブジェクト215」「の映像」(所定の演出画像)は表示されない。
したがって、引用発明における「演出表示装置60の撮影演出映像画面210において、カメラの撮影範囲を模式化した擬似的な撮影画角の映像領域である画角領域214を示す太い直線状の枠と、画角領域214の枠内で被写体オブジェクト215が形態変化する映像を表示する演出表示制御手段134」は、本願補正発明における「前記表示装置に基準画像および当該基準画像に対応する所定の演出画像が表示されるよう制御する手段であって、前記基準画像に対する一方側に前記所定の演出画像が表示され、前記基準画像に対する他方側に当該所定の演出画像が表示されないように制御する画像制御手段」に相当する。

(c)引用発明における「画角領域214を示す太い直線状の枠」「の映像」は、「カメラの撮影範囲を模式化した」「映像領域である画角を示す」ものであり、刊行物1において、「画角領域214を示す太い直線状の枠」「の映像」の形態を変化させる旨の記載もないので、「画角領域214を示す太い直線状の枠」「の映像」は、撮影演出映像において、その形態及び位置が変化しないものであることは明らかである。
また、引用発明における「撮影演出映像の開始状態では、画角領域214の枠内で被写体オブジェクト215が画角領域214の右端に位置し、被写体オブジェクト215の右側部分が画角領域214からはみ出る形で欠けている映像を表示し、撮影最適タイミングで被写体オブジェクト215の構図が画角に適切に収まるよう位置変化したり、撮影最適タイミングで被写体オブジェクトへのズームやフォーカスが最適化されるよう遠近やぼかしの変化が施され、画角領域214の略中央に被写体オブジェクト215の顔が位置する映像を表示」することは、本願補正発明における「前記基準画像と前記所定の演出画像の」「両画像の相対的な位置関係を変化させることで、前記基準画像に対する一方側に表示される前記所定の演出画像の表示部位を変化させる表示変化演出」を実行していることに相当する。
したがって、引用発明における「演出表示制御手段134は、撮影演出映像の開始状態では、画角領域214の枠内で被写体オブジェクト215が画角領域214の右端に位置し、被写体オブジェクト215の右側部分が画角領域214からはみ出る形で欠けている映像を表示し、撮影最適タイミングで被写体オブジェクト215の構図が画角に適切に収まるよう位置変化したり、撮影最適タイミングで被写体オブジェクトへのズームやフォーカスが最適化されるよう遠近やぼかしの変化が施され、画角領域214の略中央に撮影演出映像の開始状態と同じ姿勢の被写体オブジェクト215の顔が位置する映像を表示するぱちんこ遊技機10」は、本願補正発明の「前記画像制御手段により、前記表示装置の表示領域における前記基準画像が表示される位置を維持したまま、前記基準画像と前記所定の演出画像の形態を変化させずに両画像の相対的な位置関係を変化させることで、前記基準画像に対する一方側に表示される前記所定の演出画像の表示部位を変化させる表示変化演出が実行可能であることを特徴とする遊技機」と「前記画像制御手段により、前記表示装置の表示領域における前記基準画像が表示される位置を維持したまま、前記基準画像」「の形態を変化させずに」前記基準画像と前記所定の演出画像「の相対的な位置関係を変化させることで、前記基準画像に対する一方側に表示される前記定の演出画像の表示部位を変化させる表示変化演出が実行可能である遊技機」で共通する。

以上の検討より、本願補正発明と引用発明とは、
「A 表示装置と、
B 前記表示装置に基準画像および当該基準画像に対応する所定の演出画像が表示されるよう制御する手段であって、前記基準画像に対する一方側に前記所定の演出画像が表示され、前記基準画像に対する他方側に当該所定の演出画像が表示されないように制御する画像制御手段と、を備え、
C’前記画像制御手段により、前記表示装置の表示領域における前記基準画像が表示される位置を維持したまま、前記基準画像の形態を変化させずに前記基準画像と前記所定の演出画像の相対的な位置関係を変化させることで、前記基準画像に対する一方側に表示される前記所定の演出画像の表示部位を変化させる表示変化演出が実行可能であることを特徴とする遊技機。」である点で一致し、以下の相違点で相違する。

[相違点](構成C)
「前記画像制御手段により」「実行可能である」「表示変化演出」において、「前記表示装置の表示領域における前記基準画像が表示される位置を維持したまま、前記基準画像の形態を変化させずに前記基準画像と前記所定の演出画像の相対的な位置関係を変化させることで、基準画像に対する一方側に表示される表示部位を変化させる」「所定の演出画像」について、
本願補正発明は、「形態を変化させ」ないものであるのに対し、
引用発明では、このような構成であるか不明である点。

(4)判断
[相違点]について
本願補正発明における「所定の演出画像の形態を変化させ」ないことについて、本願明細書の【0030】には、「形態を変化させない(形態を維持する)」とは、基準画像10や演出画像20それぞれにおいて、表示されている画像の一部が、他の一部に対して変化することがない(ある画像における一部と他の一部の相対的位置関係が変化しない)ことをいい、そのままの状態で所定の方向にスライドさせたり、ズームアップ・ズームアウト(拡縮)したりすることは「形態を変化させない(形態を維持する)」ことの一態様に含まれるものとする。」と記載されている。
そして、引用発明には、撮影最適タイミングの前後での映像の変化について、「撮影最適タイミングで被写体オブジェクトの構図が画角に適切に収まるよう位置変化」することと「撮影最適タイミングで被写体オブジェクトへのズームやフォーカスが最適化されるよう遠近やぼかしの変化」を施すこととが記載されており、前者は本願明細書の「所定の方向にスライド」、後者は「ズームアップ・ズームアウト」(ズーム)と形態を変化させる態様(フォーカス)が記載されているといえる。そして、これらの変化の態様のうち、「画角に適切に収まるよう位置変化」することのみを採用して、被写体オブジェクト215の「形態を変化させない」こととし、もって上記相違点に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者が容易になし得ることである。
したがって、本願補正発明は、刊行物1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(5)請求人の主張について
請求人は、審判請求書の(4)本願発明が特許されるべき理由(注:審判請求書では「本願補正発明」、「引用発明」を、それぞれ「本願発明」、「引用文献1に記載の発明」と記載している。)において、「本願発明でいう「形態を変化させない(形態を維持する)」ことの定義については、本願明細書段落0030に記載されている。」とした上で、
「「被写体オブジェクト」について、引用文献1においては、その一例として「人物」が挙げられていることが認められる。そして、引用文献1の段落0050には、『画角領域214の枠内で被写体オブジェクト215が形態変化する映像が表示される。』と記載されている。また、段落0044には『常時画角が移動する間に被写体オブジェクトが最適な位置にて最適な姿勢をとったタイミングや、被写体オブジェクトのズームやフォーカスが常時変化する間にそのズームやフォーカスが最適な状態にあるタイミングで撮影することが求められる。』と記載されている。
これらの記載から、引用発明における撮影演出では、画角領域内に表示される「被写体オブジェクト」は、その形態が変化しうるものとして特定されていることが認められる。つまり、被写体オブジェクトが「形態変化する」と明確に記載されていること、および被写体オブジェクトとして「人物」が設定され、その「姿勢」が変化しうることが記載されていることに鑑みれば、撮影演出において、被写体オブジェクトは形態変化するものと捉えることが妥当である。
・・・
2-3)このように、審査においてなされた引用発明の認定には明らかな誤り(引用文献1に記載の「被写体オブジェクト」の拡張解釈)が認められる。」旨主張している。

しかしながら、上記(4)で言及したように、刊行物1に記載の被写体オブジェクトの「形態変化」については、本願発明でいう「形態を変化させる」ものである姿勢の変化やフォーカスの変化と、本願発明でいう「形態を変化させない」ものである位置の変化やズームの変化が含まれており、その中から位置の変化のみを採用して、被写体オブジェクトの「形態を変化させない」ものとすることによって、上記相違点に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者が容易になし得ることである。

(6) まとめ
以上のように、本願補正発明は、当業者が刊行物1に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

4 補正却下の決定についてのむすび
上記3より、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正(平成29年9月5日付け手続補正)は上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成28年7月25日付け手続補正書により補正された、上記「第2[理由]1」で前述した特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。
「【請求項1】
表示装置と、
前記表示装置に基準画像および当該基準画像に対応する所定の演出画像が表示されるよう制御する手段であって、前記基準画像に対する一方側に前記所定の演出画像が表示され、前記基準画像に対する他方側に当該所定の演出画像が表示されないように制御する画像制御手段と、を備え、
前記画像制御手段により、前記基準画像と前記所定の演出画像の形態を変化させずに両画像の相対的な位置関係を変化させることで、前記基準画像に対する一方側に表示される前記所定の演出画像の表示部位を変化させる表示変化演出が実行可能であることを特徴とする
遊技機。」

2.原査定における拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1及び2に係る発明は、刊行物1に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

3.刊行物に記載された事項
原査定の平成29年1月5日付け拒絶理由に引用された本願出願前に頒布された刊行物1の記載事項及び引用発明の認定については、上記「第2[理由]3(2)」に記載したとおりである。

4.対比・判断
本願発明は、上記「第2[理由]1」で検討した本願補正発明から、「前記基準画像と前記所定の演出画像の形態を変化させずに両画像の相対的な位置関係を変化させる」という変化に関して、「前記表示装置の表示領域における前記基準画像が表示される位置を維持したまま」という限定を付加した部分を削除したものである。
そうすると、本願発明の構成要件をすべて含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、上記「第2[理由]3(4)に記載したとおり、刊行物1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、当業者が容易に発明をすることができたものである。

5 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2018-05-18 
結審通知日 2018-05-22 
審決日 2018-06-04 
出願番号 特願2015-132656(P2015-132656)
審決分類 P 1 8・ 113- Z (A63F)
P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 中野 直行阿部 知  
特許庁審判長 瀬津 太朗
特許庁審判官 井海田 隆
藤田 年彦
発明の名称 遊技機  
代理人 特許業務法人上野特許事務所  
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