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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1342447
審判番号 不服2017-13134  
総通号数 225 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-09-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-09-05 
確定日 2018-07-19 
事件の表示 特願2016- 77522号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成29年10月19日出願公開、特開2017-189185号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成28年4月7日の出願であって、平成29年2月9日付けで拒絶の理由が通知され、平成29年4月17日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、平成29年5月30日付けで拒絶査定(以下「原査定」という。)がなされ、それに対して、平成29年9月5日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。

第2 平成29年9月5日付け手続補正についての補正の却下の決定
〔補正の却下の決定の結論〕
平成29年9月5日付け手続補正書についての補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

〔理由〕
1 本件補正の内容
(1)本件補正は、特許請求の範囲についてするものであって、平成29年4月17日付け手続補正書によって補正された本件補正前の請求項1に、
「 遊技者が操作可能な操作手段を有する操作ユニットを、遊技機本体に着脱可能に装着した遊技機において、
前記操作ユニットは、
第1基板と、
前記操作手段が操作されたことを検出する検出手段と、
前記操作手段を発光させるための発光手段と、
前記操作手段を振動させるための振動手段と、を備え、
前記遊技機本体は、
第2基板を備え、
前記第1基板と前記第2基板とをハーネスにより接続し、
前記検出手段の検出信号と、前記振動手段の駆動信号と、前記発光手段の制御信号と、を前記ハーネスを介して伝送可能とし、
前記検出手段と前記発光手段と前記振動手段と、を前記操作ユニットに装着した状態で該操作ユニットを着脱可能に構成した
ことを特徴とする遊技機。」とあったものを、

「 遊技者が操作可能な操作手段を有する操作ユニットを、遊技機本体に着脱可能に装着した遊技機において、
前記操作ユニットは、
コネクタを有する第1基板と、
前記操作手段が操作されたことを検出する検出手段と、
前記操作手段を発光させるための発光手段と、
前記操作手段を振動させるための振動手段と、を備え、
前記遊技機本体は、
第2基板を備え、
前記第1基板の前記コネクタと前記第2基板とをハーネスにより接続し、
前記検出手段の検出信号と、前記振動手段の駆動信号と、前記発光手段の制御信号と、を前記ハーネスを介して伝送可能とし、
前記検出手段と前記発光手段と前記振動手段と、を前記操作ユニットに装着した状態で該操作ユニットを着脱可能に構成し、
前記操作ユニットの着脱方向と、前記第1基板の前記コネクタから前記ハーネスを挿脱する挿脱方向とが異なるように構成した
ことを特徴とする遊技機。」とする補正を含むものである(下線は合議体が付した。以下同様。)。

(2)本件補正後の請求項1に係る上記(1)の補正は、次の3つの補正事項アないしウからなる。
ア 本件補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「第1基板」との記載を「コネクタを有する第1基板」とする補正。

イ 本件補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「前記第1基板と前記第2基板とを接続するハーネス」との記載を「前記第1基板の前記コネクタと前記第2基板とを接続するハーネス」とする補正。

ウ 本件補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「操作ユニット」及び「コネクタ」について、「前記操作ユニットの着脱方向と、前記第1基板の前記コネクタから前記ハーネスを挿脱する挿脱方向とが異なるように構成した」ものであることを追加する補正

2 請求人の主張する補正の根拠
請求人は、審判請求書の請求の理由において、以下のように補正の根拠を主張している。
「<1>補正の根拠の明示
・・・略・・・
3)請求項1の「前記操作ユニットの着脱方向と、前記第1基板の前記コネクタから前記ハーネスを挿脱する挿脱方向とが異なるように構成した」の補正事項は、当初特許請求の範囲の請求項3の記載、当初明細書の段落0039の記載、当初図面の図7の記載に基づくものであります。」

3 新規事項の追加
(1)上記1(2)ウの補正に係る本件補正は、「操作ユニット」及び「コネクタ」に関して、「前記操作ユニットの着脱方向と、前記第1基板の前記コネクタから前記ハーネスを挿脱する挿脱方向とが異なるように構成した」としたものである。
しかしながら、「前記操作ユニットの着脱方向と、前記第1基板の前記コネクタから前記ハーネスを挿脱する挿脱方向とが異なるように構成した」との事項は、本願の願書に最初に添付された特許請求の範囲、明細書又は図面(以下「当初明細書等」という。)に記載されていない。

(2)当初明細書等には、次の記載がある。
ア 「【請求項1】
遊技者が操作可能な操作手段を有する操作ユニットを、遊技機本体の前側の操作ユニット装着部に着脱自在に装着した
遊技機において、
前記操作ユニットに、ユニット側コネクタを備えた中継基板と、該中継基板以外の複数の電子部品とを設け、
前記複数の電子部品から夫々引き出された複数のユニット側ハーネスを前記中継基板で前記ユニット側コネクタに集約し、該ユニット側コネクタに前記遊技機本体側の本体側ハーネスを接続した
ことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記ユニット側コネクタを1つとした
ことを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記遊技機本体側に、前記本体側ハーネスを前記操作ユニット装着部に対する前記操作ユニットの着脱方向と異なる方向に案内するハーネス案内部を設けた
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の遊技機。
【請求項4】
前記複数の電子部品は、前記操作手段が操作されたことを検出するための検出スイッチを含む
ことを特徴とする請求項1?3の何れかに記載の遊技機。
【請求項5】
前記複数の電子部品は、前記操作手段を振動させるための振動手段を含む
ことを特徴とする請求項1?4の何れかに記載の遊技機。」
イ 「【0039】
本体側ハーネス74は、その一端側が扉中継基板65に接続され、他端側がハーネス通路部材75内を経てハーネス挿通孔80から操作ユニット装着部45側に引き出されており、その他端側に、操作ユニット44側に接続するための本体側コネクタ74aが装着されている。また、例えば扉ベース51の前面側には、本体側ハーネス74を案内するためのハーネス案内部89が設けられている。ハーネス案内部89は、ハーネス挿通孔80に対して例えばその後方に設けられており、このハーネス案内部(係止部)89に本体側ハーネス74の長手方向所定部位を引っ掛けて(係止して)配線することにより、本体側ハーネス74の本体側コネクタ74a側が略前後方向に案内されるようになっている。なお、このハーネス案内部89による本体側ハーネス74の案内方向(前後方向)は、操作ユニット44に対する本体側ハーネス74の挿脱方向、及び操作ユニット装着部45に対する操作ユニット44の着脱方向である上下方向(後述する)と異なっている。
・・・略・・・
【0065】
このように、操作ユニット44上の各種電子部品から夫々引き出された複数のユニット側ハーネスが操作ユニット中継基板132で外部接続コネクタ135に集約され、その外部接続コネクタ135が、扉中継基板65等を介して演出制御基板133等に繋がる本体側ハーネス74に接続されている。なお、外部接続コネクタ135に対する本体側ハーネス74の挿脱方向が、操作ユニット装着部45に対する操作ユニット44の着脱方向(ここでは略上下方向)と略同じとなるように、外部接続コネクタ135は例えば操作ユニット中継基板132の板面に沿って例えば下向きに設けられている。
・・・略・・・
【0133】
実施形態では、操作ユニット44を操作ユニット装着部45に対して上下方向に着脱するように構成した例を示したが、その他の方向、例えば前後方向に着脱するように構成してもよい。例えば操作ユニット44を操作ユニット装着部45に対して後向きに装着する場合、外部接続コネクタ135はそれと略同じ後向きに配置し、またハーネス案内部89は、本体側ハーネス74を外部接続コネクタ135に対する挿脱方向(前後方向)とは異なる向き、例えば上下方向に案内するように設けることが望ましい。」
ウ 「【図7】

・・・略・・・
【図18】

【図19】

【図20】



(3)上記(2)の記載から、次のア及びイのことが把握できる。
ア 【0039】、【0133】及び図7の記載から、ハーネス案内部89による本体側ハーネス74の案内方向は、操作ユニット44に対する本体側ハーネス74の挿脱方向、及び操作ユニット装着部45に対する操作ユニット44の着脱方向と異なっていること。
イ 【0065】及び図18ないし図20の記載から、操作ユニット44の外部接続コネクタ135に対する本体側ハーネス74の挿脱方向が、操作ユニット装着部45に対する操作ユニット44の着脱方向と略同じとなるように、外部接続コネクタ135は操作ユニット中継基板132の板面に沿って下向きに設けられていること。

(4)上記(3)からみて、ハーネス案内部89による本体側ハーネス74の案内方向が操作ユニット44に対する本体側ハーネス74の挿脱方向、及び操作ユニット装着部45に対する操作ユニット44の着脱方向と異なっていることは、当初明細書等の記載から把握できる事項であるが、当初明細書等の記載において、操作ユニット44の外部接続コネクタ135に対する本体側ハーネス74の挿脱方向が、操作ユニット装着部45に対する操作ユニット44の着脱方向と異なることについては記載も示唆もされていないだけでなく自明であるともいえない。
してみると、「前記操作ユニットの着脱方向と、前記第1基板の前記コネクタから前記ハーネスを挿脱する挿脱方向とが異なるように構成した」との事項を追加する補正は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものでない。
したがって、上記1(2)とする補正を含む本件補正は、当初明細書の等すべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものでないので、当初明細書等に記載した事項の範囲内でなされたものではない。

(5)本件補正は、以上のとおり、当初明細書等に記載した事項の範囲内でなされたものではないので、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。

4 本件補正の目的
(1)上記1(2)アの補正は、当初明細書等の【0063】、【0064】、図7、図14及び図20等の記載に基づいて、本件補正前の請求項1において記載されていた「第1基板」が「コネクタを有する」ものに限定するものである。

(2)上記1(2)イの補正は、当初明細書等の【0038】、【0039】、【0063】、【0087】及び図7等の記載に基づいて、本件補正前の請求項1において記載されていた「ハーネス」が「第1基板の前記コネクタと前記第2基板とを接続する」ものに限定するものである。

(3)上記1(2)ウの補正は、本件補正前の請求項1において記載されていた「操作ユニット」及び「コネクタ」について、「前記操作ユニットの着脱方向と、前記第1基板の前記コネクタから前記ハーネスを挿脱する挿脱方向とが異なるように構成した」ものに限定するものである。

(4)本件補正後の請求項1に係る本件補正は、上記3のとおり、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていないものであるが、上記(1)ないし(3)のとおり、本件補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項を限定する補正であるともいえる。
そこで、請求項1に係る本件補正が仮に特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるとして、本件補正後の請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)についても、一応以下検討する。

5 独立特許要件について
そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について以下検討する。

(1)本願補正発明
本願補正発明を再掲すると、次のとおりのものである。なお、記号AないしGは、分説するため合議体が付した。

「A 遊技者が操作可能な操作手段を有する操作ユニットを、遊技機本体に着脱可能に装着した遊技機において、
B 前記操作ユニットは、
B-1 コネクタを有する第1基板と、
B-2 前記操作手段が操作されたことを検出する検出手段と、
B-3 前記操作手段を発光させるための発光手段と、
B-4 前記操作手段を振動させるための振動手段と、を備え、
C 前記遊技機本体は、
第2基板を備え、
D 前記第1基板の前記コネクタと前記第2基板とをハーネスにより接続し、
前記検出手段の検出信号と、前記振動手段の駆動信号と、前記発光手段の制御信号と、を前記ハーネスを介して伝送可能とし、
E 前記検出手段と前記発光手段と前記振動手段と、を前記操作ユニットに装着した状態で該操作ユニットを着脱可能に構成し、
F 前記操作ユニットの着脱方向と、前記第1基板の前記コネクタから前記ハーネスを挿脱する挿脱方向とが異なるように構成した
G ことを特徴とする遊技機。」

(2)引用例
原査定の拒絶の理由に引用文献1として引用され、本願出願前に頒布された刊行物である特開2008-237354号公報(以下「引用例」という。)には、次の事項が図とともに記載されている。
ア 「【技術分野】
【0001】
本発明は、ノイズ対策が施されたパチンコ遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
・・・略・・・
【0003】
ところで、近年のパチンコ遊技機では、高級感や華やかさを高めるために扉枠等に装飾メッキが施されている。この装飾メッキは、クロムメッキや硬質金メッキ等の貴金属メッキである。
・・・略・・・
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、貴金属メッキは導電性を有しており、遊技者が扉枠に施された装飾メッキに触れると、遊技者に帯電した静電気が遊技者から装飾メッキに伝わり、その装飾メッキが施された近傍に配置された装飾部材に伝わる。そうすると、装飾部材にはLED基板が取り付けられているため、その装飾メッキに伝わった静電気がLED基板の表面である部品面に伝わり、この部品面に実装された表面実装タイプの発光ダイオードに伝わりやすくなる。この伝わった静電気がノイズとして、光透過性樹脂で封印された発光素子にリード端子を介して侵入すると、発光素子が破損するおそれがある。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、発光ダイオードの発光素子の破損を防止することができるパチンコ遊技機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的を達成するための有効な解決手段を以下に示す。なお、必要に応じてその作用等の説明を行う。また、理解の容易のため、発明の実施の形態において対応する構成等についても適宜示すが、何ら限定されるものではない。
【0007】
(解決手段1)
遊技球が発射装置により打ち出されて流下する遊技領域が形成された遊技盤と、合成樹脂によって成形され、かつ、前記遊技盤を遊技盤設置凹部に着脱自在に取り付ける本体枠と、合成樹脂によって成形され、かつ、前記本体枠の一側に開閉自在に軸支されて前記遊技盤の遊技領域を視認可能な遊技窓の周囲に光装飾を行う装飾部材が前面側に取り付けられる扉枠と、を備えるパチンコ遊技機であって、前記装飾部材は、少なくとも、表面である部品面に表面実装タイプの発光ダイオードが複数実装されたLED基板と、該LED基板の表面である部品面に重なるように配置され、かつ、表裏全面に導電性の装飾メッキが施された装飾枠と、前記LED基板と前記装飾枠との間を所定間隔だけ離して電気的に切り離す非導電性のスペーサと、から構成されることを特徴とするパチンコ遊技機。」

イ 「【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
[1.パチンコ遊技機の全体構造]
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について、図面を参照して説明する。まず、図1乃至図5を参照して実施形態に係るパチンコ遊技機の全体について説明する。図1は、実施形態に係るパチンコ遊技機1の外枠2に対して本体枠3を閉塞し、本体枠3に対して扉枠5を開放した状態を示す斜視図であり、図2は、パチンコ遊技機1の正面から見た斜視図であり、図3は、パチンコ遊技機1の正面図であり、図4は、パチンコ遊技機1の背面図であり、図5は、パチンコ遊技機1の平面図である。
【0021】
図1及び図2において、本実施形態に係るパチンコ遊技機1は、島(図示しない)に設置される外枠2と、該外枠2に開閉自在に軸支され且つ遊技盤4を装着し得る本体枠3と、該本体枠3に開閉自在に軸支され且つ前記遊技盤4に形成されて球が打ち込まれる遊技領域20を遊技者が視認し得るガラスユニット190と該ガラスユニット190の下方に配置され且つ遊技の結果発生した賞球を受け入れて発射レール38の発射位置に供給する皿ユニット300とを備えた扉枠5と、を備えて構成されている。
・・・略・・・
【0045】
[1-2.扉枠]
・・・略・・・
【0046】
図7、図8、図16及び図17に示すように、扉枠5は、方形状に形成される扉枠本体100の上部に縦長六角形状の遊技窓101が形成され、該遊技窓101の前面周囲に扉レンズユニット120が取り付けられ、また、遊技窓101の下方の板状部の前面に扉枠本体100に皿ユニット300が設けられ、その皿ユニット300の一側(開放側)にハンドルユニット318が突設固定されている。また、扉枠本体100の裏面には、遊技窓101の周囲に補強板金160が固定され、遊技窓101を閉塞するようにガラスユニット190が取り付けられると共に、前記遊技窓101の下方の板状部の裏面に、前記ハンドルユニット318に対応するスライドユニット230、装着台220、及び枠装飾中継基板240がそれぞれ取り付けられている。なお、ガラスユニット190の裏面下部には、防犯機能を有する防犯カバー210も装着されている。以下、扉枠5を構成する上記の各構成部材のより詳細な構造について説明する。
【0047】
[1-2-1.扉枠本体]
図16及び図17に示すように、扉枠本体100は、合成樹脂によって額縁状に形成され、前述したように上方部に縦長六角形状の遊技窓101が形成され、その遊技窓101の下方が板状部となっている。遊技窓101の上部左右には、後述するスピーカ144a,144bを貫通させる円形状のスピーカ用開口102が形成され、そのスピーカ用開口102の下方に後述するガラスユニット190の止め片194を係止するための止めレバー108(図23参照)が回動自在に設けられている。
・・・略・・・
【0091】
[1-2-6.装着台]
装着台220は、図8、図16、及び図17に示すように、扉枠本体100の板部裏面の上半分を覆うように取り付けられるものであり、防犯カバー210と同様に透明な合成樹脂によって前方が開放した横長直方体状に形成されるものである。この装着台220は、発射レール38から発射された球をスムーズに遊技盤4に導くために、扉枠5を閉めたときに装着台220の後面と板部32とによって発射レール38を挟持するように形成されるものであり、このため、装着台220の後面に球飛送誘導面227が形成されている。ところで、本実施形態に係る装着台220には、その軸支側上部に下側補強板金164に形成される賞球通過口被覆部の後方突出部を貫通させる賞球通過口用開口221が形成され、その開放側下部に球送りユニット226を取り付ける球送りユニット取付凹部222が形成されている。この球送りユニット取付凹部222から斜め方向の領域が前記球飛送誘導面227となっている。また、球送りユニット取付凹部222に取り付けられる球送りユニット226は、発射装置57の打球杆の往復動差に対応して揺動する球送り部材が設けられ、この球送り部材の揺動動作によって皿ユニット300の誘導通路部362(図38参照)の流下端にある球を発射レール38の発射位置に1個ずつ供給するものである。また、装着台220の中程下部に後述する側面開口蓋383(図38参照)を取り外す際に指を入れることができる蓋用開口223が形成されている。更に、装着台220の上辺の一部に垂直に立設される立壁224が形成されている。この立壁224は、図8に示すように、前記防犯カバー210を取り付けたときに、該防犯カバー210の前面と当接して防犯カバー210の下部が前方に移動しないように規制するためのものである。
・・・略・・・
【0094】
[1-2-8.枠装飾中継基板]
上記した装着台220の下部の軸支側には、図8及び図16に示すように、枠装飾中継基板240が取り付けられ、その枠装飾中継基板240の後面を覆う中継基板カバー241が取り付けられている。この枠装飾中継基板240は、扉枠5に設けられる電飾部品や電気部品(冷陰極管132,134a,134b、LED基板137,138a,138b,308、スピーカ144a,144b,341a,341b、ハンドルユニット318内に設けられるスイッチ、貸球ユニット324、操作ボタンユニット326等)からの配線が集約して接続され、その枠装飾中継基板240からの配線が本体枠3の裏面に取り付けられる基板ユニット54に組み込まれる中継基板等を介して賞球払出基板ボックス55の賞球払出基板や遊技盤4に取り付けられる遊技制御基板ボックス25の遊技制御基板に接続されている。
【0095】
[1-2-9.皿ユニット]
次に、図33乃至図58を参照して皿ユニット300の構成について説明する。図37及び図38に示すように、皿ユニット300は、大きく分けて外殻を構成するユニット枠301と、該ユニット枠301の内部空間に取り付けられる下部スピーカボックス330と、該下部スピーカボックス330の上部に配置され且つ前記ユニット枠301の上面に臨むように設けられる皿体360と、該皿体360に設けられる第2球抜弁375の球抜き動作をするための第2球抜リンクユニット400(図49参照)と、ユニット枠301の後面を閉塞する皿蓋体430と、から構成されている。そこで、まずユニット枠301について説明する。
【0096】
図33、図34、図37、及び図38に示すように、ユニット枠301は、上面が手前側に向って緩やかに傾斜する平面視半楕円形状の上面カバー部302と、該上面カバー部302の手前側から連続して前面と底面とを構成する前面カバー部303と、が合成樹脂によって一体的に成形されている。上面カバー部302の奥側には、扉枠本体100の前面側に当接する垂直カバー部302aも一体的に形成されている。この垂直カバー部302aには、その中央に貸球ボタンユニット用開口323が開設され、この貸球ボタンユニット用開口323に貸球ユニット324が裏面側から装着し得るようになっている。貸球ユニット324は、パチンコ遊技機1に隣接して球貸し機が設けられている場合に、貸出指令を導出するスイッチや貸出残表示器等が設けられるものである。
【0097】
また、上面カバー部302の垂直カバー部302aの立ち上がり部から前方に皿体上面開口部305が開設され、その前方中央に操作ボタンユニット用凹空間部306が形成され、該操作ボタンユニット用凹空間部306から左右の上面カバー部302の前端部に沿ってLED装飾空間部307が穿設され、さらに皿体上面開口部305の側方に第1球抜ボタン313を取り付けるための第1球抜ボタン用開口313aが設けられている。上記した皿体上面開口部305には、後述する皿体360の貯留部361及びこれに連通する誘導通路部362の上面開口と同一形状に形成され、ユニット枠301に皿体360を取り付けたときに、皿体上面開口部305に皿体360の貯留部361及び誘導通路部362が臨むようになっている。なお、皿体360については後に詳述する。
【0098】
上記した操作ボタンユニット用凹空間部306には、空間部形成部材310が取り付けられ、該空間部形成部材310に操作ボタンユニット326が装着されるようになっている。空間部形成部材310には、操作ボタンユニット326の係合突片329(図53参照)を係合するための係合穴312と、操作ボタンユニット326の固定ネジ穴328(図53参照)を止着するためのネジ止め部311と、さらに操作ボタンユニット326を空間部形成部材310内に差し込んだときに操作ボタンユニット326の底面に設けられるコネクタ326a(図53参照)と接続される配線のコネクタ310aを収納する配線収納開口310bが形成されている。しかして、操作ボタンユニット326を空間部形成部材310に取り付けるためには、コネクタ310aが設けられる配線を引き出して操作ボタンユニット326のコネクタ326aと接続した後、操作ボタンユニット326を空間部内に挿入しつつ係合突片329と係合穴312とを係合させ且つ相互のコネクタ326a,310aを配線収納開口310bに収納した後、図36に示すように、前面カバー部303の底面部に形成される締具挿入穴325からネジ351をドライバー工具352によって差し込み当該ネジ351をネジ止め部311及び固定ネジ穴328に螺着することにより取り外しできないように固定する。また、操作ボタンユニット326を取り外す場合には、上記と逆の順序によって行うことができる。このように操作ボタンユニット326を固定するためのネジ止め部を表面ではなく内部に設けたので、簡単に取り外すことができず、結果的に操作ボタンユニット326を取り外して操作ボタンユニット用凹空間部306を利用した不正な行為を防止することができる。なお、操作ボタンユニット326は、複数(図示の場合は3個)の操作ボタン327を有して構成されているが、この複数の操作ボタン327は、遊技盤4に設けられる液晶表示器等で行われる遊技内容に遊技者が参加する際に操作されるものである。
・・・略・・・
【0112】
ところで、第2球抜ユニット371の通路主体372の奥側側壁に第2球抜通路部374と連通する長方形状の側面開口382が開設され、該側面開口382は、後述するように皿蓋体430の開口蓋取付窓432に着脱自在に取り付けられる視認窓384が形成された側面開口蓋383によって閉塞されるようになっている。なお、皿体360の一端部と他端部であって貯留部361の下方には、皿ユニット300内に設けられる配線を整理するための配線処理用爪387が形成されている。なお、図44?図47及び図50に示す側面開口蓋383(二点鎖線で示す)は、該側面開口蓋383が皿蓋体430の開口蓋取付窓432に取り付けられた状態で側面開口382を閉塞している状態を想像線で示すものである。
・・・略・・・
【図面の簡単な説明】
【0139】
・・・略・・・
【図53】皿ユニットに設けられる操作ボタンユニットの斜視図である。」

ウ 「【図37】

・・・略・・・
【図53】

・・・略・・・
【図58】



エ 【0098】(上記イ)の記載、及び、皿ユニットに設けられる操作ボタンユニットの斜視図である図53(上記ウ)の記載から、技術常識に照らせば、操作ボタンユニット326の底面の基板にコネクタ326aを有することが看取できる。
また、【0098】(上記イ)、図53及び図58(上記ウ)の記載並びに技術常識からみて、操作ボタンユニット326の着脱方向が、図58における矢印の方向、すなわち扉枠5の上下方向に対し所定の角度で前方に傾いた方向であり、コネクタ326aは、配線を挿脱する挿脱方向が、前記着脱方向と同じ方向か又は前記着脱方向に対して直交する方向である。

オ 上記アないしエからみて、引用例1には、次の発明が記載されている。なお、aないしgについては本願補正発明のAないしGに対応させて付与し、引用箇所の段落番号を併記した。
「a 皿ユニット300を備えた扉枠5を含み、遊技内容に遊技者が参加する際に操作される操作ボタンユニット326がネジ止めにより取り外し可能に前記皿ユニット300に設けられる、パチンコ遊技機1であって(【0021】、【0095】ないし【0098】、【0139】)、
b 操作ボタンユニット326は、
b-1 その底面にコネクタ326aを有する基板を備え(【0098】、上記エ)、
c 前記扉枠5は、前記扉枠5を構成する扉枠本体100の下方の板部裏面の上半分を覆うように取り付けられた装着台220の下部の軸支側に取り付けられた枠装飾中継基板240を備え(【0046】、【0094】)、
d 枠装飾中継基板240は、操作ボタンユニット326からの配線が接続され(【0094】)、
e 操作ボタンユニット326がネジ止めにより取り外し可能に前記皿ユニット300に設けられ(【0098】)、
f 操作ボタンユニット326の着脱方向が、扉枠5の上下方向に対し所定の角度で前方に傾いた方向であり、コネクタ326aは、配線を挿脱する挿脱方向が、前記着脱方向と同じ方向か又は前記着脱方向に対して直交する方向(上記エ)である、
g パチンコ遊技機1。」(以下「引用発明」という。)

(3)対比
ア 本願補正発明と引用発明とを対比する。なお、以下の見出し(a)ないし(g)は、本願補正発明のAないしGに対応させている。

(a)引用発明の「遊技内容に遊技者が参加する際に操作される操作ボタンユニット326」及び「パチンコ遊技機1」は、それぞれ本願補正発明の「遊技者が操作可能な操作手段を有する操作ユニット」及び「遊技機」に相当する。また、引用発明の「皿ユニット300を備えた扉枠5」は、その皿ユニット300に操作ボタンユニット326(操作ユニット)が設けられるのであるから、本願補正発明の「遊技機本体」に相当することは明らかである。また、引用発明は、操作ボタンユニット326(操作ユニット)がネジ止めにより取り外し可能に皿ユニット300(遊技機本体)に設けられているから、本願補正発明の「遊技者が操作可能な操作手段を有する操作ユニットを、遊技機本体に着脱可能に装着した」との構成を備えることは明らかである。してみると、引用発明の特定事項aは、本願補正発明Aに相当する。

(b)上記(a)、後述する(b-1)及び(b-2)からみて、引用発明の特定事項bと、本願補正発明の特定事項Bとは、「前記操作ユニットは」、「コネクタを有する第1基板」と、「前記操作手段が操作されたことを検出する検出手段」とを備える点で一致する。

(b-1)引用発明の「コネクタ326a」及び「基板」は、それぞれ本願補正発明の「コネクタ」及び「第1基板」に相当する。引用発明の特定事項b-1は、操作ボタンユニット326(操作ユニット)が、その底面にコネクタ326a(コネクタ)を有する基板(第1基板)を備えているから、本願補正発明の特定事項B-1に相当する。

(b-2)引用発明の操作ボタンユニット326は、技術的にみて、操作ボタンを操作したことの検出をする手段を備えることは明らかであるから、引用発明の操作ボタンユニット326(操作ユニット)が、本願補正発明の「B-2 前記操作手段が操作されたことを検出する検出手段」を備えることは明らかである。

(c)上記(a)のとおり、引用発明の「皿ユニット300を備えた扉枠5」は、本願補正発明の「遊技機本体」に相当する。また、引用発明の「枠装飾中継基板240」は、本願補正発明の「第2基板」に相当する。してみると、引用発明の特定事項cは、本願補正発明の特定事項Cに相当する。

(d)引用発明は、枠装飾中継基板240(第2基板)に、操作ボタンユニット326(操作ユニット)からの配線(ハーネス)が接続されているから、本願補正発明の特定事項Dの「前記第1基板の前記コネクタと前記第2基板とをハーネスにより接続」したことに相当する構成を備える。また、引用発明の前記配線(ハーネス)が検出手段の検出信号を伝送可能としていることは技術的にみて明らかである。してみると、引用発明の特定事項dと、本願補正発明の特定事項Dとは、「前記第1基板の前記コネクタと前記第2基板とをハーネスにより接続し、前記検出手段の検出信号を前記ハーネスを介して伝送可能とし」ている点で一致する。

(e)上記(a)と同様に、引用発明の操作ボタンユニット326(操作ユニット)が着脱自在に構成されているとともに、着脱する際に、検出手段が操作ボタンユニット326に装着されていることは自明であるから、引用発明の特定事項eと、本願補正発明の特定事項Eとは、「前記検出手段を前記操作ユニットに装着した状態で操作ユニットを着脱可能に構成し」ている点で一致する。

(g)上記(a)のとおり、引用発明の「パチンコ遊技機1」は、本願補正発明の「遊技機」に相当する。

イ 上記アからみて、本願補正発明と引用発明とは、
「A 遊技者が操作可能な操作手段を有する操作ユニットを、遊技機本体に着脱可能に装着した遊技機において、
B’ 前記操作ユニットは、
B-1 コネクタを有する第1基板と、
B-2 前記操作手段が操作されたことを検出する検出手段と、
を備え、
C 前記遊技機本体は、
第2基板を備え、
D’ 前記第1基板の前記コネクタと前記第2基板とをハーネスにより接続し、前記検出手段の検出信号を前記ハーネスを介して伝送可能とし、
E’前記検出手段を前記操作ユニットに装着した状態で該操作ユニットを着脱可能に構成し、
G 遊技機。」である点で一致し、次の点で相違する。

・相違点1(特定事項B-3、B-4)
「操作ユニット」が、
本願補正発明では、「前記操作手段を発光させるための発光手段」と、「前記操作手段を振動させるための振動手段」とを備えているのに対し、
引用発明では、発光手段と振動手段を備えていない点。

・相違点2(特定事項E)
「操作ユニットを着脱可能に構成し」ているのが、
本願補正発明では、「前記検出手段と前記発光手段と前記振動手段と、を前記操作ユニットに装着した状態で」であるのに対し、
引用発明では、そのような特定がない点。

・相違点3(特定事項D)
「ハーネスを介して伝送可能」としているのが、
本願補正発明では、「前記振動手段の駆動信号と、前記発光手段の制御信号」であるのに対し、
引用発明では、そのような特定がない点

・相違点4(特定事項F)
本願補正発明では、「前記操作ユニットの着脱方向と、前記第1基板の前記コネクタから前記ハーネスを挿脱する挿脱方向とが異なるように構成した」のに対し、
引用発明では、操作ボタンユニット326(操作ユニット)の着脱方向と基板のコネクタ326aから配線を挿脱する方向とが異なるかどうか明らかでない点。

(4)判断
ア 相違点1ないし3について、まとめて検討する。
(ア)遊技機における演出ボタンユニットに、ボタンを発光させるためのLEDと、ボタンを振動させるための振動手段を備えることは周知(以下「周知技術1」という。例.原査定の拒絶の理由で引用した特開2015-223486号公報(【0001】、【0042】、【0043】、【0053】、【0068】、図5、図6の記載参照。)、特開2016-41171号公報(【0001】、【0053】、図5の記載参照。))である。
引用発明のように、遊技者が操作する操作ボタンユニットを遊技機に備えた当業者であれば、上記周知技術1を当然心得ているものである。そうすると、引用発明において、操作ボタンユニット(操作ユニット)に、ボタンを発光させるための発光手段と、ボタンを振動させるための振動手段とを備えるようになすことは、当業者が周知技術1に基づいて適宜なし得たことである。
(イ)上記(ア)のように、引用発明の操作ボタンユニット(操作ユニット)に発光手段と振動手段とを備えるのであれば、操作ボタンユニット(操作ユニット)を着脱可能に構成するのが、「発光手段と振動手段を操作ボタンユニット(操作ユニット)に装着した状態で」であるとすることは当業者に自明である。
(ウ)上記(ア)のように、引用発明の操作ボタンユニット(操作ユニット)に発光手段と振動手段とを備えるのであれば、前記発光手段の発光とその制御を行うとともに、前記振動手段の振動とその制御を行うことは技術的に明らかであり、操作ボタンユニットに対し、発光手段及び振動手段の駆動・制御を行うための信号を配線(ハーネス)を介して伝送することも当業者に自明である。
(エ)以上のとおり、引用発明において、上記相違点1ないし3に係る本願補正発明の構成となすことは当業者が周知技術1に基づいて適宜なし得たことである。

イ 相違点4について検討する。
(ア)遊技機において、操作ボタンユニットの着脱方向と、該操作ボタンユニットに設けられたコネクタからハーネスを挿脱する挿脱方向とが異なることは周知(以下「周知技術2」という。例.特開2013-70746号公報(【0001】、【0045】、【0046】、図7、図8の記載参照。)、特開2008-149055号公報(【0001】、【0069】ないし【0072】、図21の記載参照。)、特開2010-99399号公報(【0001】、【0100】ないし【0102】、図10ないし図12の記載参照。))である。
(イ)引用発明のコネクタ326aは、配線を挿脱する挿脱方向が、操作ボタンユニット326の着脱方向と同じ方向であるか、前記着脱方向と異なる方向であるかは特定できないが、上記周知技術2に接した当業者であれば、コネクタ326aの配線を挿脱する挿脱方向を操作ボタンユニット326の着脱方向と異なる方向となすこと、すなわち、引用発明において、上記相違点4に係る本願補正発明の構成となすことは、当業者が適宜なし得たことである。

ウ 本願補正発明の奏する効果は、引用発明の奏する効果の奏する効果、周知技術1の奏する効果及び周知技術2の奏する効果から予測することができた程度のものである。

エ 審判請求人の主張について
(ア)審判請求人は、審判請求書において、「<3>本願発明と引用文献1に記載の発明との対比 ・・・ 5)何故ならば、引用文献1に記載の発明は、コネクタ310a側から配線収納開口310bの開口縁に至る配線を、操作ボタンユニット326のコネクタ326aに対してコネクタ310aを挿脱する挿脱方向に沿って案内するため、操作ボタンユニット326の着脱時にコネクタ310a,326aが外れ易くなる欠点があります。 このような引用文献1に記載の発明が有する問題点を解消するのが本願発明であります。本願発明は、操作ユニットの着脱方向と、第1基板のコネクタか らハーネスを挿脱する挿脱方向とが異なるように構成しているため、操作ユニットの着脱時のコネクタの不測の外れを防止できる利点があります。」と、概略主張している。
(イ)しかしながら、上記イのとおり、操作ユニットの着脱方向と、第1基板のコネクタからハーネスを挿脱する挿脱方向とが異なることは周知技術であり、当該周知技術を引用発明に適用した際に、操作ユニットの着脱時のコネクタの不測の外れを防止できるという効果は当業者が予測可能なものである。

(5)独立特許要件のむすび
以上のとおりであるから、本願補正発明は、当業者が引用例1に記載された発明、周知技術1及び周知技術2に基づいて容易に発明をすることができたものである。
よって、本願補正発明は、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

6 小括
本件補正は、上記3のとおり、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
また、仮に本件補正が特許法第17条の2第3項の規定に違反しないものだとしても、本願補正発明は、上記5のとおり、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、平成29年4月17日付けで補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項によって特定されるものであるところ、請求項1に係る発明は、上記第2〔理由〕1(1)に本件補正前の請求項1として記載したとおりのものである。

2 原査定の理由の概略
この出願の平成29年4月17日付けの手続補正書により補正された請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記引用文献に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献1.特開2008-237354号公報
引用文献2.特開2011-245106号公報(周知技術を示す文献)
引用文献3.特開2015-223486号公報(周知技術を示す文献)
引用文献4.特開2015-208403号公報(周知技術を示す文献)

操作ユニットが、操作手段を振動させる振動手段を有する点は、引用文献2(特に段落[0130]参照)及び引用文献3(特に段落[0042]参照)に記載されているように周知技術であり、また、操作ユニットが、発光手段を発光させるための発光手段を有する点は、引用文献4(特に段落[0021]参照)に記載されているように周知技術であるから、引用文献1に記載された発明にこれらの周知技術を適用して、操作ボタンユニット326が、発光手段及び振動手段を備えるすることは当業者であれば容易に想到できたものである。
コネクタを基板に配置する点は、例示するまでも無く周知の技術であるから、引用文献1に記載された発明に当該周知技術を適用して、コネクタ310aに接続されるコネクタ326aを基板(「第1基板」に相当)に配置して、当該基板と枠装飾中継基板240とを上記配線で接続することは、当業者ならば容易に想到することができたものであるし、その際、上記配線を介して、検出手段の検出信号と、振動手段の駆動信号と、発光手段の制御信号と、を伝送するように構成することに格別の困難性は認められない。

3 引用文献
(1)引用文献1(引用例)の記載事項は、上記第2〔理由〕3(2)に記載したとおりである。

4 対比・判断
本願発明は、上記「第2〔理由〕1(2)」で検討した本願補正発明から、「前記操作ユニットの着脱方向と、前記第1基板の前記コネクタから前記ハーネスを挿脱する挿脱方向とが異なるように構成した」に係る限定事項及び「第1基板」における「コネクタ」に係る限定事項を削除したものである。
そうすると、本願発明と引用発明とは、上記「第2〔理由〕5(3)イ」に記載した相違点1ないし3でのみ相違する。
そして、上記「第2〔理由〕5(4)」に記載したとおり、引用発明において、相違点1ないし3に係る本願補正発明の構成となすことは、当業者が周知技術1に基づいて適宜なし得たものであるから、本願発明も同様に、当業者が引用例に記載された発明及び周知技術1に基づいて容易に発明をすることができたものである。

5 むすび
本願発明は、以上のとおり、当業者が引用文献1に記載された発明及び周知技術1に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2018-05-18 
結審通知日 2018-05-22 
審決日 2018-06-04 
出願番号 特願2016-77522(P2016-77522)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
P 1 8・ 575- Z (A63F)
P 1 8・ 561- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 進藤 利哉  
特許庁審判長 瀬津 太朗
特許庁審判官 樋口 宗彦
鉄 豊郎
発明の名称 遊技機  
代理人 特許業務法人谷藤特許事務所  

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