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審決分類 審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 B62K
審判 査定不服 特174条1項 特許、登録しない。 B62K
管理番号 1342509
審判番号 不服2017-11728  
総通号数 225 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-09-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-07-20 
確定日 2018-07-20 
事件の表示 特願2016- 69488号「ショックレス自転車」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 9月21日出願公開、特開2017-165385号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成28年3月14日に出願されたものであって、同年6月10日付けで1回目の拒絶理由が通知され、同年8月9日に手続補正書が提出され、同年10月12日付けで2回目の拒絶理由(最後)が通知され、同年11月22日に意見書及び手続補正書が提出され、平成29年4月24日付けで補正の却下の決定がされると共に、2回目の拒絶理由(最後)により拒絶査定(以下「原査定」という。)がされ、同年7月20日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正書が提出されたものである。
なお、平成28年11月15日にも意見書及び手続補正書が提出されているが、いずれも平成29年1月11日付けの手続補正指令に対し補正がなかったため、同年4月12日付けで手続却下の処分がなされている。

第2 平成29年7月20日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成29年7月20日の手続補正を却下する。
[理由]
1 補正の内容
平成29年7月20日付けの手続補正(以下「本件補正1」という。)は、特許請求の範囲について補正をすることを含むものであって、上記「第1 手続の経緯」で述べたように、平成28年11月22日付けの手続補正は、平成29年4月24日付けで却下されたため、本件補正1に対する補正前の特許請求の範囲は、平成28年8月9日付けの手続補正により補正されたものである。
そして、補正前の請求項1と、補正後の請求項1の記載を示すと以下のとおりである。

(補正前の請求項1)
「前輪ヘッドチューブから後輪ハブまでを各種断面の形状をしたスプリングバーである弾性体を左右平行に2本配置して、前記スプリングバーの中間部上にシートチューブが接続されたボトムブラケットと前記スプリングバーとボトムブラケットで固定接続し、前記ヘッドチューブ内にはスプライン軸受けとスプラインシャフトと上下にプライマリーとセカンダリーのリターンスプリングを2個配置して走行時の車輪からの衝撃の度合いに応じた係数で2段階で前記衝撃を緩和吸収する作用を成す構造を形成する構造のフロントサスペンションを内蔵し、シートチューブとサドルる間には自転車に乗る人の体重に応じて調整機構を有するショックアブソーバー内装したリアーサスペンションを有する構成の自転車。」

(補正後の請求項1)
「前輪ヘッドチューブから後輪ハブまでを各種断面の形状をした弾性体であるスプリングバーを左右平行に2本配置して、前記スプリングバーの中間部上にシートチューブが接続されたボトムブラケットを固定接続し、前記シートチューブ上部と前記後輪ハブ間にシートステーを配備し、その上部にサドルを設置して走行時の路面からのタイヤを経て乗輪者に伝わる衝撃振動を緩和する特徴を有する自転車。」

2 補正の適否
(1)補正の目的の適否について
ア まず、拒絶査定不服審判を請求する場合において、特許請求の範囲についてする補正は、特許法第17条の2第5項の規定により、次に掲げる事項を目的とするものに限る。
同項第1号 第36条第5項に規定する請求項の削除
同項第2号 特許請求の範囲の減縮
同項第3号 誤記の訂正
同項第4号 明りょうでない記載の釈明

イ ここで本件補正1を検討すると、補正前の請求項1の「前記ヘッドチューブ内にはスプライン軸受けとスプラインシャフトと上下にプライマリーとセカンダリーのリターンスプリングを2個配置して走行時の車輪からの衝撃の度合いに応じた係数で2段階で前記衝撃を緩和吸収する作用を成す構造を形成する構造のフロントサスペンションを内蔵し」いう事項を削除し、さらに、「シートチューブとサドルる間には自転車に乗る人の体重に応じて調整機構を有するショックアブソーバー内装したリアーサスペンションを有する」という事項も削除している。
上述した2つの事項を削除する補正は、上記アで示した「特許請求の範囲の減縮」を目的としたものとはいえず、また、「請求項の削除」、「誤記の訂正」、「明りょうでない記載の釈明」を目的としたものとはいえないことも明らかである。
したがって、本件補正1は、特許法第17条の2第5項に掲げられたいずれの事項も目的としない補正を含むものである。

(2)むすび
上記(1)で検討したとおり、本件補正1は、特許法第17条の2第5項の規定に違反するものであり、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明等
本件補正1は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、平成28年8月9日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記「第2 1(補正前の請求項1)」に記載されたとおりである。
また、明細書も、平成28年8月9日付けの手続補正により補正されている。

第4 原査定の概要
平成28年8月9日付けの手続補正でした補正(以下「本件補正2」という。)は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、それぞれ「当初明細書」、「当初特許請求の範囲」、「当初図面」という。また、それらをまとめて「当初明細書等」という。)に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。

〔補足〕
なお、請求人は、審判請求書の「2.拒絶査定の理由の要点」において、「(1) 原査定の拒絶理由は、この出願の下記請求項1に係る発明は、引用文献1、引用文献2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。というものである。」と主張しているが、原査定については上述のとおりである。

第5 当審の判断
1 「フロントサスペンション」に係る補正について
本件補正2により、請求項1に「上下にプライマリーとセカンダリーのリターンスプリングを2個配置して走行時の車輪からの衝撃の度合いに応じた係数で2段階で前記衝撃を緩和吸収する作用を成す構造を形成する構造のフロントサスペンション」の記載を追加している。そして、それに伴い、補正後の明細書の段落【0006】に「二段階で衝撃を吸収するスプライン構造の振動吸収緩和装置(フロントサスペンション)」及び「衝撃振動等により2本のスプリングが衝撃の強さに応じて2段階で作用して吸収し」と記載し、さらに同段落【0015】に「軽度の路面からの衝撃はプライマリーリターンスプリング36の作用で緩衝作用を行い衝撃を緩和するがそれ以上の衝撃がフロントサスペンションに作用する場合はセコンダリースプリング30作用して衝撃を緩和吸収することになる。この機能が本願のフロントサスペンションの大きな特徴で従来にない進歩性を有する機能である。」と記載している。
当初明細書の段落【0006】には「前輪のヘッドチューブ内部にはスプライン構造の振動吸収緩和装置(フロントサスペンション)を配置して走行時の前輪の上下動の振動衝撃の緩和装置として作用するもので走行時前輪の路面からの衝撃等が前輪からフロントフォークへ突き上げられてこのヘッドチューブ内のフロントサスペンションでスプラインシャフトとスプライン軸がスプリングとの作用で緩和されハンドルバーに伝わる衝撃を消去して乗輪者に与える振動衝撃等の不快感を無くするものである。」と記載され、同段落【0015】には「この3つの緩和装置のそれぞれの作用動作を説明すると1つ目が図1のヘッドチューブ4の内部が図3のようになっており、図3のiの1点鎖線の断面が図4である。図4のように一番外側がヘッドチューブ34でその内側にスプライン軸受け31でそれにスプラインシャフト32がかみ合っているのでスプラインシャフトはフロントフォーク5と連結され、スプライン軸受けはハンドルポスト3と連結されている。自転車が道路等を走行中段差等でフロントフォークが突き上げられるとスプラインシャフトはフロントサスペンションのスプラインシャフトを押し下げているスプラインリターンスプリング30、36を押し上げてスプラインシャフトはスプライン軸受けの上部に滑りなから上昇するがハンドルシャフト29を押し上げることはない。そのため乗輪者が握っているハンドルには衝撃は伝達されずにスプライン構造の内部でスプラインシャフトが上下動をしてリターンスプリングとの作用で衝撃を機構内で解消が可能となり前輪の上下動の振動はハンドルバー1に直接作用せずにフロントサスペンション4内で緩和されることになる。スプライン構造であるため金属同士の接触面が多いのでヘッドチューブ外面にあるグリースニップル29から定期的にグリースを注入して摩耗防止対策が取られている。」(下線は当審で付加。以下同様。)と記載されている。
当初明細書の上記記載及び当初図面の【図3】の記載より、「フロントサスペンション」は、下に「スプラインリターンスプリング36」、上に「スプラインリターンスプリング30」が配置されていることは把握できるが、それらがプライマリー、セカンダリーとして2段階に作動することは記載されておらず、むしろ、特に上記段落【0015】の下線部の記載より、それらは同時に作動することが示唆されているといえる。したがって、当初明細書等における「フロントサスペンション」は、「自転車が道路等を走行中段差等でフロントフォークが突き上げられるとスプラインシャフトはフロントサスペンションのスプラインシャフトを押し下げているスプラインリターンスプリング30、36を押し上げてスプラインシャフトはスプライン軸受けの上部に滑りなから上昇するがハンドルシャフト29を押し上げることはない」ものであり、それにより「乗輪者が握っているハンドルには衝撃は伝達されずにスプライン構造の内部でスプラインシャフトが上下動をしてリターンスプリングとの作用で衝撃を機構内で解消が可能となり前輪の上下動の振動はハンドルバー1に直接作用せずにフロントサスペンション4内で緩和される」というものであって、「プライマリーとセカンダリーのリターンスプリング」により「2段階」で衝撃を吸収緩和するものとは認められず、かつ、出願時の技術常識に照らして当初明細書等の記載から自明な事項ともいえないので、当業者によって当初明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、当該補正は新たな技術的事項を導入するものといえる。

2 「引用文献1」に係る補正について
本件補正2により、補正後の明細書の段落【0003】に【先行技術文献】として「【特許文献1】 特開平1-105028号広報」(合議体注;「広報」は「公報」の誤記と認めるので、判断にあたっては「公報」と表記する。後述する「3」、「4」においても同様。)を記載している。そして、それに伴い、同段落【0005】に「引用文献1の図2では板ばねで本願と同様に前輪部と後輪部を固着して全体を構成する自転車が提示されているが本願との相違点は引用文献1の構成では板ばねが1枚で自転車の骨格を構成する方式であるが本願では2本のスプリングバーによる左右二本配置する構成である点が大きな相違点である。この相違点は一本の板ばねでは走行中に部材の金属疲労や欠陥部品であった場合に板ばねが万が一の場合走行中に折損した時に一本では自転車が前輪、後輪が分解して乗輪者は地面等に転倒接触して頭部やその他の部位を打撲して人体に重大な損傷を受けることが想定できるが本願のように2本のスプリングバーで構成されている場合は2本同時に折損することはまず想定できず、まず一本が折損すればその時点で何らかの車体の異常の予兆を察知が可能でその時点で自転車を制止して事故防止策をとることが可能であり、よって本願方式では安全防止策に寄与する事が出きるので重要な安全対策が図られている点が大きな特徴である。。」(合議体注;「。。」は「。」の誤記と認める。)との記載を追加している。
上記「特開平1-105028号公報」は、1回目の拒絶理由通知における「引用文献1」であり、当初明細書の段落【0003】には【先行技術文献】として記載されておらず、本願発明と上記文献に係る技術と対比して本願発明を評価する上記段落【0005】の補正に係る事項は、当初明細書等のいずれにも記載されておらず、かつ、出願時の技術常識に照らして当初明細書等の記載から自明な事項ともいえないので、当業者によって当初明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、当該補正は新たな技術的事項を導入するものといえる。
(必要であれば、特許・実用新案審査基準第IV部第2章3.3.2(1)bを参照されたい。後述する「3」?「5」においても同様。)

3 「引用文献2」に係る補正について
本件補正2により、補正後の明細書の段落【0003】に【先行技術文献】として「【特許文献2】 特開2013-86776号広報」を記載している。そして、それに伴い、同段落【0007】に「引用文献2に於いて段落0024、図2,3には2本の弾性ロッド30Aを備えているが本願方式のように2本だけで前輪ヘッドチューブからボトムブラケットやシートチューブをえて後輪ハブに固定接続される方式でなく前記引用文献2では下部にフロントアンダーフレーム6やリアーアンダーフレーム8が接続され堅固な構造が構成されている。しかし本願ではスプリングバー2本のみで引用文献2と同様な堅固さを保持されており、引用文献2よりも部材の削減、製造価格の低減等の効果があり、引用文献2よりもはるかに進歩性が見られる。引用文献2での弾性フレーム30の構成要素はフレーム構造の一部であるが本願における構成要素は主要なフレームである点が異なり、極めて簡素な構成になっているのが大きな特徴である。」との記載を追加している。
上記「特開2013-86776号公報」は、1回目の拒絶理由通知における「引用文献2」であり、当初明細書の段落【0003】には【先行技術文献】として記載されておらず、本願発明と上記文献に係る技術と対比して本願発明を評価する上記段落【0007】の補正に係る事項は、当初明細書等のいずれにも記載されておらず、かつ、出願時の技術常識に照らして当初明細書等の記載から自明な事項ともいえないので、当業者によって当初明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、当該補正は新たな技術的事項を導入するものといえる。

4 「引用文献3」に係る補正について
本件補正2により、補正後の明細書の段落【0003】に【先行技術文献】として「【特許文献3】 特開平7-228777号広報」を記載している。そして、それに伴い、同段落【0008】に「引用文献3の於いて図6のような本願と類似したスプライン軸受とスプリングシャフトで構成された緩衝装置がヘッドパイプ(ヘッドチューブ)内に配設されているがスプリングが一本でこれは発生する衝撃を一本のスプリングで衝撃を緩和するもので本願のように2本のスプリング作用で緩和する方式と比較して大雑把なものとなるが本願方式では発生する衝撃を二段階に分けて緩衝するので引用文献3よりもソフトな緩衝作用が得られることになり、引用文献3よりも進歩性がある。本願方式では走行中の軽微な振動に対してはフロントサスペンションのプライマリーリターンスプリングが衝撃を緩和するが大きな衝撃時にはセコンダリーリターンスプリングも作用して衝撃の緩和に寄与することになり、2段階での緩和作用が働くことになるので明らかに進歩性がみられる。」との記載を追加している。
上記「特開平7-228777号公報」は、1回目の拒絶理由通知における「引用文献3」であり、当初明細書の段落【0003】には【先行技術文献】として記載されておらず、本願発明と上記文献に係る技術と対比して本願発明を評価する上記段落【0008】の補正に係る事項は、当初明細書等のいずれにも記載されておらず、かつ、出願時の技術常識に照らして当初明細書等の記載から自明な事項ともいえないので、当業者によって当初明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、当該補正は新たな技術的事項を導入するものといえる。

5 「引用文献4」に係る補正について
本件補正2により、補正後の明細書の段落【0003】に【先行技術文献】として「【特許文献4】 実願平2-26457号(実開平3-118885号)のマイクロフィルム」を記載している。そして、それに伴い、同段落【0008】に「また引用文献4の第1、4図の立ち上がりパイプ2内にコイルばね3によるクッション装置が記載されているがこの方式を本願方式のリヤ?サスペンションと比較すると引用文献4の方式は単にスプリング立ち上がりパイプ2内に緩衝用のコイルばねが配置されているだけであるが本願方式では走行時に自転車に乗る人の体重に合わせて図5のリヤ?サスペンションの体重調整ネジ20を回転させて乗る人の体重数値25に合わせて走行すると最も快適な緩衝作用の状態で走行することが可能となる。また油圧式ショックアブソーバー27が内装されているので快適性がさらに上昇する結果が得られるので引用文献4よりも改良された緩衝作用をする効果が得られることになる。」との記載を追加している。
上記「実願平2-26457号(実開平3-118885号)のマイクロフィルム」は、1回目の拒絶理由通知における「引用文献4」であり、当初明細書の段落【0003】には【先行技術文献】として記載されておらず、本願発明と上記文献に係る技術と対比して本願発明を評価する上記段落【0008】の補正に係る事項は、当初明細書等のいずれにも記載されておらず、かつ、出願時の技術常識に照らして当初明細書等の記載から自明な事項ともいえないので、当業者によって当初明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、当該補正は新たな技術的事項を導入するものといえる。

6 「油圧式ショックアブソーバー」に係る補正について
本件補正2により、補正後の明細書の段落【0008】に「また油圧式ショックアブソーバー27が内装されているので快適性がさらに上昇する結果が得られるので」(上記「5」の指摘箇所と重複。)という記載を追加し、同段落【0010】に「シートチューブ上部に体重調整ネジと油圧式ショックアブソーバーを装備したリヤーサスペンションを配備して」と記載し、同段落【0016】に「しかしこの前記したシートチューブとボトムブラケットの接合部が回転する構成になっている技術は公知のものであり、本ショックレス自転車を製造する場合の設計者は図9の油圧式ショックアブソーバー27の方式を採用するのも選択肢である。」という記載を追加し、当初明細書の段落【0017】に記載の「ショックアブソーバ-7」(合議体注;符号7は27の誤記と認める。)を「油圧ショックアブソーバー27」と変更し、同段落【0021】に記載の「27 ショックアブソーバー」を「27 油圧式ショックアブソーバー27」と変更している。
すなわち、当初明細書において「ショックアブソーバー」の具体的型式の特定がなかったのに対し、本件補正2により「油圧式ショックアブソーバー」(ないし「油圧ショックアブソーバー」)となっている。そして、一般に、「ショックアブソーバー」とは振動を減衰する装置であるところ、油圧式、(油ではない液体を用いた)液圧式、気体式、摩擦式あるいはゴムを用いたもの等種々の型式のものが知られており、当初図面の【図7】、【図9】、【図11】?【図13】の符号27を付された部材をみても、内部構造は不明であることから、それら図面に示されるものが必ずしも油圧式であるとはいえないし、かつ、出願時の技術常識に照らして当初明細書等の記載から自明な事項ともいえないので、当業者によって当初明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、当該補正は新たな技術的事項を導入するものといえる。

7 「シートステー」に係る補正について
本件補正2により、補正後の明細書の段落【0010】に「ボトムブラケットにシートチューブとシートステーを配置して」の記載を追加することを含むものである。」と記載している。
しかしながら、当初明細書の段落【0005】の「ボトムブラケットの上部にシートチューブを配置し」等の記載及び当初図面の【図1】等の記載より、当初明細書等には「ボトムブラケット」に「シートチューブ」を配置することは記載されているといえるが、「ボトムブラケット」に「シートステー」までも配置することについては記載されておらず、かつ、出願時の技術常識に照らして当初明細書等の記載から自明な事項ともいえないので、当業者によって当初明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、当該補正は新たな技術的事項を導入するものといえる。

8 「公知技術」に係る補正について
本件補正2により、補正後の明細書の段落【0016】に「しかしこの前記したシートチューブとボトムブラケットの接合部が回転する構成になっている技術は公知のものであり」という記載を追加し(上記「6」の指摘箇所と重複。)、同段落【0017】に「この第2実施例も部分的に公知の技術が含まれているので次の実施例3とともに部分的に設計製造者はこれ等の技術を随時選択採用することが考察できる。」という記載を追加している。
しかしながら、当初明細書等にはそれら技術が「公知」であるということは記載されておらず、かつ、出願時の技術常識に照らして当初明細書等の記載から自明な事項ともいえないので、当業者によって当初明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、当該補正は新たな技術的事項を導入するものといえる。

第6 むすび
以上のとおり、本件補正2は、少なくとも上記「第5 1?8」で指摘した点で新たな技術的事項を導入するものといえ、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。
したがって、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2018-04-27 
結審通知日 2018-05-15 
審決日 2018-05-28 
出願番号 特願2016-69488(P2016-69488)
審決分類 P 1 8・ 55- Z (B62K)
P 1 8・ 572- Z (B62K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 岸 智章  
特許庁審判長 和田 雄二
特許庁審判官 一ノ瀬 覚
氏原 康宏
発明の名称 ショックレス自転車  

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