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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F02D
審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 F02D
管理番号 1342605
審判番号 不服2017-14121  
総通号数 225 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-09-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-09-25 
確定日 2018-07-26 
事件の表示 特願2013-106363「車両の運転支援装置」拒絶査定不服審判事件〔平成26年12月8日出願公開、特開2014-227866〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成25年5月20日の出願であって、平成29年3月14日(発送日)で拒絶の理由が通知され、その指定期間内の同年4月17日に意見書及び手続補正書が提出されたが、同年8月14日付けで拒絶査定がなされ(発送日:同年8月22日)、これに対し、同年9月25日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに、その審判の請求と同時に手続補正書が提出され、同年12月5日に上申書が提出されたものである。

第2 平成29年9月25日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成29年9月25日にされた手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1.本件補正について
(1)本件補正前の平成29年4月17日の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。

「【請求項1】
運転者の要求加速度を予測する要求加速度予測手段と、
前記要求加速度を得るアクセルペダル操作量である許可操作量を演算する許可操作量演算手段と、
車速および操舵角にかかわらず、アクセルペダル操作量が前記許可操作量に達するまでは、あらかじめ設定されたアクセルペダル反力特性に基づくアクセルペダル反力を付与し、アクセルペダル操作量が前記許可操作量を超えた場合、前記アクセルペダル反力特性に基づくアクセルペダル反力に対し、アクセルペダル反力を大きくするアクセルペダル反力制御手段と、
を備えたことを特徴とする車両の運転支援装置。」

(2)そして、本件補正により、上述の本件補正前の特許請求の範囲の請求項1の記載は、以下の通り補正された(下線部は、補正箇所である。)。
「【請求項1】
運転者の要求加速度を予測する要求加速度予測手段と、
前記要求加速度を得るアクセルペダル操作量である許可操作量を演算する許可操作量演算手段と、
自車速度および操舵角にかかわらず、アクセルペダル操作量が前記許可操作量に達するまでは、あらかじめ設定されたアクセルペダル反力特性に基づくアクセルペダル反力を付与し、アクセルペダル操作量が前記許可操作量を超えた場合、前記アクセルペダル反力特性に基づくアクセルペダル反力に対し、アクセルペダル反力を大きくするアクセルペダル反力制御手段と、
を備え、
前記許可操作量演算手段は、自車速度が低いほど前記許可操作量を大きくすることを特徴とする車両の運転支援装置。」

2.補正の適否
本件補正により追加された、「前記許可操作量演算手段は、自車速度が低いほど前記許可操作量を大きくすること」について検討すると、本願の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、これらを「当初明細書等」という。)には、許可操作量の演算に関して、

(1)「許可操作量演算部8は、要求加速度予測部7で演算された要求加速度が得られるようなアクセルペダル操作量を許可操作量として演算する。このとき、アクセルペダル操作量に対する車両の加速度は、走行抵抗(車速、道路勾配等)が大きいほど小さくなるため、走行抵抗が大きいほど許可操作量を増加補正することにより、走行抵抗にかかわらず、要求加速度に合致した許可操作量を演算できる。」(段落【0010】)

(2)「自車速度とアクセルペダル操作量から要求加速度を予測する。アクセルペダル操作量が大きいほど、自車速度が低いほど要求加速度を高い値とする。」(段落【0015】)

と記載されているのみであり、本件補正により追加された「自車速度が低いほど前記許可操作量を大きくすること」は記載されていない。しかも、一般に、走行抵抗は自車速度が高いほど大きくなることが技術常識(必要ならば、特開2009-214609号公報(段落【0015】)又は特開2004-120877号公報(段落【0018】)を参照。)であって、かかる技術常識を参酌しつつ当初明細書等の段落【0010】をみると、自車速度が高く、走行抵抗が大きくなるほど許可操作量を大きくすることが理解できるのであって、「自車速度が低いほど前記許可操作量を大きくすること」は、当初明細書等の記載から自明な事項ではない。
そうすると、本件補正により追加された「自車速度が低いほど前記許可操作量を大きくすること」は、当初明細書等に記載がなく、当初明細書等の記載から自明な事項でもないから、当初明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものである。
したがって、本件補正は、当初明細書等に記載された事項の範囲内においてしたものとはいえず、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。

3.むすび
上記のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について
1.本願発明
平成29年9月25日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし7に係る発明は、平成29年4月17日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし7に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、前記第2 1.(1)に記載のとおりのものである。

2.原査定における拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、本願の請求項1に係る発明は、本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった以下の引用文献に記載された発明に基づいて、その出願前に発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

引用文献:国際公開第2013/005374号

3.引用文献
本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった上記引用文献には、「アクセルペダル反力制御装置」に関して、図面とともに次の記載が記載されている。

(1)「[0005] しかしながら、特許文献1に開示されるロックアップクラッチの締結・開放の動作点、あるいは燃料増量域に入った動作点で初めてアクセルペダルの踏込反力が増加する構成では、運転者が急激に加速しようとする瞬間まで踏込反力の増加は行われず、一定速度を保つような巡航時に燃費を向上させる効果を発揮することが困難である。また、運転者が加速しようとする際にも急加速を抑制することができず、燃費の悪化を防止することができない。

[0006] 本発明は、このような背景に鑑みなされたもので、運転者が急激に加速しようとする前に踏込反力を増加させることにより、一定速度を保つような巡航時や加速時に燃費を向上させることができるアクセルペダル反力制御装置を提供することを目的とする。」

(2)「[0019] また、本発明の一側面によれば、現在の車速において前記自動車を加速させるためのアクセルペダルの踏込量を加速時踏込量(θβ)として設定する加速時踏込量設定手段(13)を更に備え、前記目標反力設定手段は、前記ペダル踏込量が前記加速時踏込量を超えた場合、前記第1増大量よりも大きな第2増大量(Frβ)をもって前記目標踏込反力を増大させる第2増大処理を実行する(ステップST7)ように構成することができる。

[0020] このような構成とすることにより、運転者が車速維持踏込量を超えてアクセルペダルを踏み込んで加速しようとする際に、車速維持踏込量よりも大きな加速時踏込量を超えてアクセルペダルを踏み込もうとすると、より大きな踏込反力が付与されるため、必要以上にアクセルペダルを踏み込んで燃費を悪化させることを抑制することができる。」

(3)「[0037] 反力制御ユニット4は、CPUやROM、RAM、周辺回路、入出力インタフェース、各種ドライバなどから構成されており、図3に示すように、自動車の走行状態を判定する走行状態判定部11と、車速維持踏込量θαを設定する車速維持踏込量設定部12と、加速時踏込量θβを設定する加速時踏込量設定部13と、自動車が巡航状態にあることを判定する巡航状態判定部14と、自動車が加速状態にあることを判定する加速状態判定部15と、目標踏込反力Frtを設定する目標反力設定部16とを備えており、設定した目標踏込反力Frtがアクセルペダル2に付与されるように反力アクチュエータ3を駆動制御する。」

(4)「[0040] 車速維持踏込量設定部12は、車速Vをアドレスとして図4に示すマップを検索し、現在の車速Vを維持するためのアクセルペダル2の踏込量を車速維持踏込量θαとして設定する。車速維持踏込量θαは、車速Vが増加するにつれて増加する値となっている。

[0041] ここで、車速維持踏込量θαは、平坦路走行時に現在の車速Vを維持するためのアクセルペダル2の踏込量である平坦路車速維持踏込量θα’(車速Vが大きくなるほど大きくなる値)に所定値θpを加えた値として設定されている。これは、車速維持踏込量θαとして平坦路車速維持踏込量θα’をそのまま一律に設定しまうと、路面勾配やエンジンの出力、自動車への積載状態などが変化したときに、車速Vを維持できる踏込量まで到達していないにも拘わらず、後述するクルーズアシスト踏込反力Frαがアクセルペダル2に付加されてしまい、運転者に違和感や煩わしさを与える虞があるからである。

[0042] なお、平坦路車速維持踏込量θα’に加える所定値θpは、上記路面勾配やエンジンの出力、自動車への積載状態など、自動車の走行状態が多少変化したとしたときにも一定速度を維持する駆動力を得られる程度の大きさであり、平坦路車速維持踏込量θα’と同様に車速Vが大きくなるほど大きく設定されている。車速維持踏込量θαをこのように設定することにより、多少の走行状態の変化があった場合であっても、車速Vを維持する程度の踏込量までは踏込反力を付与しないようにすることができる。

[0043] 加速時踏込量設定部13は、車速Vをアドレスとして図4に示すマップを検索し、自動車を加速させるためのアクセルペダル2の踏込量を加速時踏込量θβとして設定する。なお、図4中の数字は自動変速機の変速段を示しており、加速時踏込量θβは、略全車速域において、シフトダウンがなされるペダル踏込量θaよりも小さな値に設定される。

[0044] また、加速時踏込量θβは、車速Vの増大に応じたその増大勾配Sが低速域にいて高速域よりも小さくなるように設定されている。ここでは、増大勾配Sは、第2所定車速V2よりも低速の領域において0とされ、第2所定車速V2よりも高速の領域において0よりも大きな一定値となっている。

[0045] これは、図5に示すように、停止状態からの発進時や低速域(第2所定車速V2よりも低速域)では、自動車を加速させるために要求される要求加速度、すなわち駆動力増大分が大きく、高速域(第2所定車速V2よりも高速域)では、更に自動車を加速させるために要求される要求加速度(駆動力増大分)が小さいからであり、加速時踏込量θβをこのような設定とすることにより、加速時踏込量θβを車速Vに対応する適正な値とし、運転者の要求を満たしつつより広い車速域で運転者が必要以上にアクセルペダル2を踏み込むことを抑制することができる。」

(5)「[0047] 加速状態判定部15は、加速度Gが所定値(例えば0.1G)以上となる状態が所定時間(例えば1s)継続した場合に、自動車が加速状態にあると判定する。

[0048] 目標反力設定部16は、ペダル踏込量θa、走行状態判定部11の判定結果、車速維持踏込量θα、加速時踏込量θβ、並びに巡航状態判定部14および加速状態判定部15の判定結果に基づいて目標踏込反力Frtを設定する。

[0049] 例えば目標反力設定部16は、ペダル踏込量θaが車速維持踏込量θαを超えた場合に、図6に示すように設定された踏込反力(第1増大量。以下、クルーズアシスト踏込反力Frαと称する。)を目標踏込反力Frtに設定することで、アクセルペダル2の踏込反力Frを増大させるクルーズアシスト(第1増大処理)を行ったり、ペダル踏込量θaが加速時踏込量θβを超えた場合に、図7に示すように設定された踏込反力(第2増大量。以下、エコ加速アシスト踏込反力Frβと称する。)を目標踏込反力Frtに設定することで、アクセルペダル2の踏込反力Frを増大させるエコ加速アシスト(第2増大処理)を行ったりする。

[0050] 次に、図8のフロー図を参照して目標反力設定部16による目標踏込反力Frtの設定手順について説明する。目標反力設定部16は先ず、巡航状態判定部14によって自動車が巡航状態にあると判定されているか否かを判断する(ステップST1)。自動車が巡航状態にない場合(ステップST1:No)、目標反力設定部16は次に、加速状態判定部15によって自動車が加速状態にあると判定されているか否かを判断し(ステップST2)、自動車が加速状態にない場合(No)、目標踏込反力Frtを0に設定する(ステップST3)。」

(6)「[0052] 他方、ステップST2で自動車が加速状態にあるにある場合(Yes)、目標反力設定部16は、図7のマップを参照してペダル踏込量θaが加速時踏込量θβを超えたときに目標踏込反力Frtをエコ加速アシスト踏込反力Frβの値に設定する(ステップST7)。

[0053] クルーズアシスト踏込反力Frαおよびエコ加速アシスト踏込反力Frβは、それぞれ車速Vおよびペダル踏込量θaをアドレスとして、上記したように図6および図7のマップを検索することで設定される。なお、クルーズアシスト踏込反力Frαおよびエコ加速アシスト踏込反力Frβは共に、車速Vが高くなるにつれてグラフ中の右側へ移動する、すなわち図4のマップに従って、より大きなペダル踏込量θaでなければ増大設定されない特性となっている。」

(7)「[0056] したがって、低中速域では、図10に示すように、ペダル踏込量θaが車速Vに応じて変化する加速時踏込量θβよりも小さい領域においては、付勢力Fsのみがアクセルペダル2に作用し、ペダル踏込量θaが加速時踏込量θβよりも大きい領域においては、付勢力Fsにエコ加速アシスト踏込反力Frβが付加された総踏込反力Fが作用する。

[0057] 一方、高速域では、図11に示すように、ペダル踏込量θaが車速Vに応じて変化する車速維持踏込量θαよりも小さい領域においては、付勢力Fsのみがアクセルペダル2に作用し、ペダル踏込量θaが車速維持踏込量θαよりも大きく且つ加速時踏込量θβよりも小さい領域においては、付勢力Fsにクルーズアシスト踏込反力Frαが付加された総踏込反力Fが作用し、ペダル踏込量θaが加速時踏込量θβよりも大きい領域においては、付勢力Fsにエコ加速アシスト踏込反力Frβが付加された総踏込反力Fが作用する。」

(8)「[0061] 加えて、ペダル踏込量θaが車速維持踏込量θαよりも大きな加速時踏込量θβを超えた場合、クルーズアシスト踏込反力Frαよりも大きなエコ加速アシスト踏込反力Frβに目標踏込反力Frtを設定するエコ加速アシストを実行することにより、運転者が加速時踏込量θβを超えてアクセルペダル2を踏み込もうとすると、より大きな踏込反力Frが付与されるため、必要以上にアクセルペダル2を踏み込んで燃費が悪化することが防止される。」

(9)[図10]及び[図11]からみて、総踏込反力Fは、各速度域において、車速及び操舵角にかかわらず、ペダル踏込量θaのみから決定されることが看て取れる。

(10)上記(5)の特に段落[0048]及び[0049]の記載からみて、ペダル踏込量θaが加速時踏込量θβを超えるまで、目標反力設定部16は目標踏込反力Frtに第2増大量Frβを設定しないものと理解できる。

(11)上記(4)の特に段落[0044]及び[0045]の記載から、加速時踏込量θβは、要求加速度を満たすように設定されると理解できる。

これらの記載事項、認定事項及び図面の図示内容を総合し、本願発明の記載ぶりに則り整理すると、引用文献には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。

「要求加速度を得るペダル踏込量θaである加速時踏込量θβを設定する加速時踏込量設定部13と、
車速および操舵角にかかわらず、ペダル踏込量θaが前記加速時踏込量θβに達するまでは、目標踏込反力Frtに第2増大量Frβを設定せず、ペダル踏込量θaが前記加速時踏込量θβを超えた場合、前記目標踏込反力Frtに第2増大量Frβを設定し、アクセルペダルの踏み込み反力Frを増大させる目標反力設定部16と、
を備えたアクセルペダル反力制御装置。」

4. 引用発明との対比
本願発明と引用発明とを対比すると、後者の「ペダル踏込量θa」はその機能、構成および技術的意義からみて前者の「アクセルペダル操作量」に相当し、以下同様に、「加速時踏込量θβ」は「許可操作量」に、「加速時踏込量設定部13」は「許可操作量演算手段」に、「目標踏込反力Frtに第2増大量Frβを設定せず」は「あらかじめ設定されたアクセルペダル反力特性に基づくアクセルペダル反力を付与し」に、「目標踏込反力Frtに第2増大量Frβを設定し、アクセルペダルの踏み込み反力Frを増大させる」は「アクセルペダル反力特性に基づくアクセルペダル反力に対し、アクセルペダル反力を大きくする」に、「目標反力設定部16」は「アクセルペダル反力制御手段」に、「アクセルペダル反力制御装置」は「車両の運転支援装置」にそれぞれ相当する。

したがって、両者は、
「要求加速度を得るアクセルペダル操作量である許可操作量を演算する許可操作量演算手段と、
車速および操舵角にかかわらず、アクセルペダル操作量が前記許可操作量に達するまでは、あらかじめ設定されたアクセルペダル反力特性に基づくアクセルペダル反力を付与し、アクセルペダル操作量が前記許可操作量を超えた場合、前記アクセルペダル反力特性に基づくアクセルペダル反力に対し、アクセルペダル反力を大きくするアクセルペダル反力制御手段と、
を備えた車両の運転支援装置。」
である点で一致し、次の点で相違する。

[相違点]
「要求加速度」に関し、前者は「運転者の要求加速度を予測する要求加速度予測手段」に基づき予測された「要求加速度」であるのに対し、後者の「要求加速度」はかかる事項を備えているか否か不明である点。

5.判断
相違点について検討すると、上記(4)の段落[0045]の記載からみて、引用発明の要求加速度も、運転者の要求を満たすものと解される。そして、上記(4)の段落[0043]の記載をみると、加速時踏込量θβはマップを検索して設定されており、これと、段落[0045]の記載を併せみると、引用発明において、加速時踏込量θβを設定する際に用いるマップは、運転者の要求を満たす要求加速度に基づき作られたものといえる。
してみると、このような要求加速度に基づき作られたマップの要求加速度を、運転者の要求加速度を予測して作成することは、当業者の通常の創作活動の範囲内で容易になし得たことである。
そうすると、このような引用発明に基づいて、当業者の通常の創作活動により上記相違点にかかる本願発明の構成とすることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。

また、本願発明は、全体としてみても、引用発明から予測し得ない格別な効果を奏するものではない。

したがって、本願発明は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって、以上のとおり審決する。

なお、請求人は、平成29年12月5日の上申書において、願書に最初に添付した明細書の段落【0010】を根拠とした特許請求の範囲の請求項1の補正案を示し、補正の準備がある旨主張している。しかしながら、補正案の「許可操作量演算手段は、道路勾配が大きいほど前記許可操作量を大きくすること」という事項は当初明細書等に記載されていない。また、「道路勾配」には上り勾配と下り勾配があり、うち下り勾配の走行抵抗は、勾配が大きくても大きくならないことが技術常識(必要であれば引用文献(段落[0039]を参照。)であることから、「道路勾配」が大きいほど走行抵抗が大きくなることを前提とした上記補正案は、段落【0010】から自明ではない。そうすると、この事項を含む請求項1の補正案は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていないから、採用しない。
 
審理終結日 2018-05-21 
結審通知日 2018-05-22 
審決日 2018-06-04 
出願番号 特願2013-106363(P2013-106363)
審決分類 P 1 8・ 561- Z (F02D)
P 1 8・ 121- Z (F02D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山村 和人  
特許庁審判長 金澤 俊郎
特許庁審判官 鈴木 充
水野 治彦
発明の名称 車両の運転支援装置  
代理人 綾田 正道  
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