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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06Q |
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管理番号 | 1342630 |
審判番号 | 不服2017-12985 |
総通号数 | 225 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2018-09-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2017-09-04 |
確定日 | 2018-08-14 |
事件の表示 | 特願2013- 83034「デジタル保証書発行システム」拒絶査定不服審判事件〔平成26年10月30日出願公開、特開2014-206815、請求項の数(10)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成25年4月11日の出願であって、平成29年2月28日付けで拒絶理由通知がなされ、平成29年5月8日に手続補正がなされたが、平成29年5月31日付けで拒絶査定(原査定)がなされ、これに対し、平成29年9月4日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。 第2 原査定の概要 原査定(平成29年5月31日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。 本願請求項1-4、7、9-10に係る発明は、引用文献1に記載された発明及び引用文献2、5に記載された周知技術に基づいて、当業者であれば容易になし得たものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 本願請求項5-6に係る発明は、引用文献1に記載された発明及び引用文献2-3、5に記載された周知技術に基づいて、当業者であれば容易になし得たものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 本願請求項8に係る発明は、引用文献1に記載された発明及び引用文献2-5に記載された周知技術に基づいて、当業者であれば容易になし得たものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献等一覧 1.特開2003-303191号公報 2.特開2002-269254号公報 3.濱本 常義,第17回 セキュリティスキャナ「Nessus」,Windows Server World Vol.13 No.9,(株)IDGジャパン,2008年9月1日,pp.134?138 4.特表2003-530618号公報 5.特開2002-32635号公報 第3 本願発明 本願請求項1-10に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明10」という。)は、平成29年9月4日の手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-10に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1は以下のとおりの発明である。 「【請求項1】 商品の購入店舗で使用する店舗端末と、前記商品の購入者のユーザ端末と、前記商品に対するデジタル保証書を発行するデジタル保証書発行サーバと、を備えたデジタル保証書発行システムであって、前記ユーザ端末は、前記商品に付随する識別コードを入力する識別コード入力手段と、前記デジタル保証書を有効化するアクティベーションコードを入力するアクティベーションコード入力手段と、を有し、前記デジタル保証書発行サーバは、前記アクティベーションコードの認証を行う認証手段と、前記デジタル保証書を発行する保証書発行手段と、を有し、前記店舗端末が前記アクティベーションコードを発行し、前記デジタル保証書発行サーバは、ユーザ情報を格納する格納手段と、前記デジタル保証書が発行された際少なくとも保証条件を含む保証内容を前記ユーザ情報に更新する更新手段と、を具備し、且つ、前記更新手段は、前記デジタル保証書が譲渡された際に前記ユーザ情報を更新することを特徴とするデジタル保証書発行システム。」 なお、本願発明2-10は、本願発明1を減縮した発明である。 第4 引用文献、引用発明等 1.引用文献1について 原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献1(特開2003-303191号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は、当審において付与した。)。 「【0145】[他の実施形態]図29乃至図32は、ユーザがテレビなどの各種電子・電気機器を購入したときに、機器アイコン情報を情報管理サーバに登録し、購入者が機器の保守点検や修理を行う際に、この「機器アイコン情報(保証書アイコン情報ともいう。)」と、保守・修理を行うサービスセンターの情報を含む「修理アイコン情報(病院アイコン情報ともいう。)」とを用いるシステム(機器用病院システムともいう。)を示す図である。 【0146】図29は、本システムの全体図であり、ユーザ100の端末装置、情報管理サーバ600、ユーザ100が購入した機器に関する情報を蓄積したデータベース200、機器を販売した販売店もしくは機器の保守・修理を行うサービスセンターなどのサーバ(端末装置でもよい。)900及びこれらを接続するネットワーク300を少なくとも備える。 【0147】データベース200には、図30に示すようにユーザ100が購入した機器の機器型番、機器ID、購入日、購入者のID、氏名、住所、保証期間や修理などの履歴、故障などのエラーID等の情報が、機器型番別に記録されている。このデータベース200には、ユーザ100が販売店で機器を購入したときに、当該販売店がネットワーク300を介して情報管理サーバ600にアクセスし、購入者の氏名、住所、購入製品の機器型番や機器IDを入力することで蓄積される。また、履歴やエラーIDは、機器を購入後に故障が生じたときユーザ100が情報管理サーバ600にアクセスすることで蓄積される。・・・(中略)・・・。 【0148】本例では、上述した「アイコン情報」として「機器アイコン情報1661」と「修理アイコン情報1660」とを用いて機器の管理や保守点検・修理サービスを行う。機器アイコン情報1661は、購入した機器の画像情報と、この機器の型番や機器IDを関連情報として含むアイコン情報である。この機器アイコン情報1661は、たとえば機器を購入したときに付属品としてのCD-ROMなどの媒体に格納されている。 【0149】修理アイコン情報は、サービスセンターのイメージ画像情報と、サービスセンターのサイトのURLなどを関連情報として含むアイコン情報である。この修理アイコン情報1660も、たとえば機器を購入したときに付属品としてのCD-ROMなどの媒体に格納されている。 【0150】本システムは、図31に示すように実行される。まず、ユーザ100が機器の販売店にて機器、たとえばテレビを購入すると、当該販売店の担当者は販売店のサーバ900から情報管理サーバ600にアクセスし、購入者の氏名、住所、購入日、保証期間、購入製品の機器型番や機器ID等、当該販売店で知り得る情報を送信する(ステップ4001)。これを受けた情報管理サーバ600は、図30に示す機器用データベース200に新たな機器型番、機器ID及び購入者の氏名、住所、購入日などを登録する(ステップ4002)。このとき、情報管理サーバ600は、その登録情報に署名を付与するいみで、登録情報のIDとパスワードを付与し、販売店のサーバ900に送信する(ステップ4003)。この登録情報IDとパスワードが、情報管理サーバ600のデータベース200の該当する機器型番を参照する際の認証キーとなる。 【0151】この登録情報ID及びパスワードを受け取った販売店の担当者は、この情報を媒体に記録し、この媒体を機器とともに購入者に渡す(ステップ4004)。 【0152】購入者が機器を自宅に持ち帰りセットアップする際に、付属品として機器に含まれたCD-ROMを自分のパーソナルコンピュータなどの端末装置にセットし、機器アイコン情報と修理アイコン情報とを読み込む(ステップ4005)。このときの画面イメージを図32に示す。ここではパーソナルコンピュータの機器アイコン1661とデジタルカメラの機器アイコン1661は従来より存在するもので、テレビの機器アイコン1661と、修理アイコン1660とが今回CD-ROMから読み出されたものである。なお、図10乃至図13にて説明した手順で、これら機器アイコン情報1661及び修理アイコン情報1660を用いて関連情報を参照することができるが、このとき、販売店から手渡された媒体を用いて登録情報とID及びパスワードを読み込み、ユーザはこれを確認する。 【0153】機器アイコン情報1661を参照すると、この登録情報ID及びパスワードを入力する画面が表示されるので、ここに先ほど確認したIDとパスワードを入力して情報管理サーバ600に送信する(ステップ4007)。 【0154】これにより、情報管理サーバ600は、データベースに記録されたID及びパスワードとの認証を実行し、適切なものであればデータベース200の履歴の項目に「登録確認」と記録する(ステップ4007)。 【0155】以上の処理を完了することにより、それまでの機器アイコン情報1661が、販売店でテレビを購入したユーザにとっての保証書アイコン情報に変わることになる。つまり、情報管理サーバ600に、販売店から媒体で渡された登録情報IDとパスワードを認証してもらうことで、そのユーザ(その機器アイコン情報)が、その販売店からその型番のテレビを購入した購入者であると認証され、以後の保守点検や修理依頼を行う際に、この機器アイコン情報が、いわゆる保証書アイコン情報の機能を司ることになる。 【0156】たとえば、ユーザ100が購入した機器が故障したら、図32に示すように、修理依頼を行うテレビの機器アイコン情報(保証書アイコン情報)1661を、マウスを操作して修理アイコン情報1660にドラッグアンドドロップして移動させる。この操作によって、情報管理サーバ600を介して販売店のサーバ900に、購入者のID、氏名、住所、対象となる機器の型番、機器ID等々、データベース200に蓄積された情報が送信され、販売店は即座にユーザに連絡を取ることができる。 【0157】このように、本例の機器の病院システムを利用すると、実際の保証書では紛失したりすることが多々あったが、そうしたことがなくなり、いつでも且つ迅速に保守点検や修理を受けることができる。また、販売店にとってもどういうユーザがどういう機器を購入しているかといった情報を参照することができるので、商品販売の一助ともなる。」 したがって、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。 <引用発明> 「ユーザが各種電子・電気機器を購入したときに、機器アイコン情報を情報管理サーバに登録し、購入者が機器の保守点検や修理を行う際に、この機器アイコン情報と、保守・修理を行うサービスセンターの情報を含む修理アイコン情報を用いるシステムであって(【0145】)、 ユーザ100の端末装置、情報管理サーバ600、ユーザ100が購入した機器に関する情報を蓄積したデータベース200、機器を販売した販売店もしくは機器の保守・修理を行うサービスセンターのサーバ900、及び、これらを接続するネットワーク300を備え、前記サーバ900は端末装置でもよく(【0146】)、 データベース200には、ユーザ100が購入した機器の機器型番、機器ID、購入日、購入者のID、氏名、住所、保証期間や修理などの履歴の情報が機器型番別に記録され(【0147】)、 ユーザ100が販売店にて機器を購入すると、当該販売店の担当者は販売店のサーバ900から情報管理サーバ600にアクセスし、購入者の氏名、住所、購入日、保証期間、購入製品の機器型番や機器IDの情報を送信し(【0150】)、 これを受けた情報管理サーバ600は、データベース200に新たな上記情報を登録して、その登録情報にIDとパスワードとを付与し、当該登録情報IDとパスワードとを販売店のサーバ900に送信し(【0150】)、 この登録情報IDとパスワードは、データベース200の該当する機器型番を参照する際の認証キーとなり(【0150】)、 販売店の担当者は、登録情報ID及びパスワードの情報を媒体に記録し、この媒体を機器とともに購入者に渡し(【0151】)、 購入した機器にはCD-ROMが付属し、当該CD-ROMには、機器の画像情報と機器の型番や機器IDを関連情報として含む機器アイコン情報1661と、サービスセンターのイメージ画像情報とサービスセンターのサイトのURLを関連情報として含む修理アイコン情報1660が格納されており(【0148】、【0149】)、 購入者がCD-ROMを端末装置にセットし、機器アイコン情報と修理アイコン情報とを読み込むと、端末装置の画面には機器アイコンと修理アイコンとが表示され(【0152】)、 機器アイコン情報1661を用いて関連情報を参照すると(【0152】)、この登録情報ID及びパスワードを入力する画面が表示され、ここに登録情報ID及びパスワードを入力して情報管理サーバ600に送信し(【0153】)、 情報管理サーバ600は、データベースに記録されたID及びパスワードとの認証を実行し、適切なものであればデータベース200の履歴の項目に登録確認と記録し(【0154】)、 以上の処理を完了することにより、それまでの機器アイコン情報1661が、ユーザにとっての保証書アイコン情報に変わり、すなわち、登録情報IDとパスワードを認証してもらうことで、そのユーザがその販売店からの機器の購入者であると認証され、保守点検や修理依頼を行う際には、この機器アイコン情報が保証書アイコン情報の機能を司り(【0155】)、 機器が故障したら、修理依頼を行う機器アイコン情報(保証書アイコン情報)1661を、マウスを操作して修理アイコン情報1660にドラッグアンドドロップして移動させ、この操作によって、情報管理サーバ600を介して販売店のサーバ900に、購入者のID、氏名、住所、対象となる機器の型番、機器ID等々、データベース200に蓄積された情報が送信され、販売店は即座にユーザに連絡を取ることができ(【0156】)、 当該システムを利用すると、実際の保証書では紛失したりすることが多々あったが、そうしたことがなくなり、いつでも且つ迅速に保守点検や修理を受けることができる(【0157】)、 システム。」 2.引用文献2について 原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献2(特開2002-269254号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は、当審において付与した。)。 ア.「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、ユーザが所有品を登録する所有品データベース、すなわちオーナーシップデータベースを備えたサーバシステムに関する。」 イ.「【0020】同図に示すように、本発明は、インターネット等のネットワーク(NW)を介して接続されるサーバ(管理サーバと製造メーカーサーバ)と、ユーザ端末とによって構成されている。 【0021】管理サーバ(MSV)は、汎用のコンピュータ装置を用いて実現することができる。管理サーバ(MSV)は、ハードディスク装置等の大規模記憶装置に登録されたオーナーシップデータベース(ONDB)を有しており、」 ウ.「【0024】図3は、ユーザがユーザ端末(UT)を用いてオーナーシップデータベース(ONDB)への所有品の登録を行う手順を示すフロー図である。また、図28は、図3の処理手順に対応したオーナーシップデータベース(ONDB)のユーザ情報と所有品情報の情報の変化状態を示した表図である。 【0025】ユーザはユーザ端末(UT)をネットワーク(NW)に接続し、管理サーバ(MSV)のアドレスを指定して管理サーバ(MSV)に対してログインする。 【0026】このとき管理サーバ(MSV)は、オーナーシップデータベース(ONDB)に登録されたユーザ情報を参照し、ユーザの認証を行う。 【0027】またこれと並行して所有品情報の登録も受け付ける。」 エ.「【0040】前記のように所有品情報の登録が完了した後、管理サーバ(MSV)の中央処理装置(CPU)は、製造メーカーサーバ(SSV)に対してユーザ登録要求と電子保証書発行要求を行う。」 オ.「【0042】次に、製造メーカーサーバ(SSV)からユーザ登録、電子保証書の発行または承認が返信されてくると中央処理装置(CPU)は、この電子保証書の内容を所有品情報の電子保証情報ブロック(図16参照)に登録する。」 カ.「【0049】図5は、前記保証書の発行に際して必要な証明事項を列挙したものである。 【0050】たとえば、ユーザ端末(UT)からのユーザ自身による所有品情報の登録において、製品のシリアル番号が入力された場合、これは製造メーカーサーバ(SSV)において当該シリアル番号の正当性がチェックされる。 【0051】同様に、製品購入時の領収書番号や伝票が入力された場合、管理サーバ(MSV)の中央処理装置(CPU)は、ネットワーク(NW)を介して図示しない販売店サーバに接続し、当該領収書番号や伝票番号の正当性のチェックを受ける。」 キ.「【0054】ユーザからユーザ端末(UT)を介して、登録されていた所有品の売却または廃棄情報が入力されると、この売却・廃棄情報はネットワーク(NW)を介して管理サーバ(MSV)に受信され、該情報に基づいてオーナーシップデータベース(ONDB)の所有品情報が更新される。」 したがって、上記引用文献2には次の事項が記載されている。 <引用文献2の記載事項> 「ユーザが所有品を登録するオーナーシップデータベースを備えたサーバシステムであって(【0001】)、 ネットワークを介して接続される、管理サーバと、製造メーカーサーバと、ユーザ端末とによって構成され(【0020】)、 管理サーバは、オーナーシップデータベースを有し(【0021】)、 ユーザは、ユーザ端末をネットワークに接続して管理サーバにログインし、オーナーシップデータベースへの所有品の登録を行い(【0024】?【0027】)、 管理サーバは、所有品情報の登録が完了した後、製造メーカーサーバに対してユーザ登録要求と電子保証書発行要求を行い(【0040】)、製造メーカーサーバから電子保証書の発行または承認が返信されてくると、電子保証書の内容を所有品情報の電子保証情報ブロックに登録し(【0042】)、 保証書の発行に際して必要な証明事項として、例えば、ユーザ端末からのユーザ自身による所有品情報の登録において、製品購入時の領収書番号や伝票が入力された場合、管理サーバは販売店サーバに接続して当該領収書番号や伝票番号の正当性のチェックを受け(【0049】、【0051】)、 ユーザからユーザ端末を介して、登録されていた所有品の売却または廃棄情報が入力されると、この売却・廃棄情報は管理サーバに受信され、該情報に基づいてオーナーシップデータベースの所有品情報が更新される(【0054】)、 サーバシステム。」 2.引用文献3について 原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献3(「Windows Server World」)には、次の事項が記載されている。 「Nessusをインストールする 前述したとおり、Nessusの最新バージョンは無償でも利用できる。インストーラは開発元のWebサイトからダウンロードすることが可能だ(下記のURLを参照)。 ・・・(中略)・・・ また、インストール時には、製品のアクティベーションコードを入力する必要がある(画面3)。まず、コード入力画面に記載されているURLをクリックし、アクティベーションコード取得用のWebサイトにアクセスする。無償で使う場合は、リンク先のWebページで「Registered」欄にある「Register」をクリックする(次ページの画面4)。 続いて、使用許諾の確認後、アクティベーションコードの通知メールを受け取るために、受信用のメールアドレスを入力する。すると、コードを記載した電子メールがそのメールアドレス宛てに送られてくる。そこで、電子メールに記載されたコードをコード入力画面(前出の画面3)に入力し、「OK」をクリックする。」(134ページ右欄11行?136ページ左欄2行) 4.引用文献4について 原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献4(特表2003-530618号公報)には、次の事項が記載されている(下線は、当審において付与した。)。 ア.「【0002】 (発明の分野及び背景) 本発明はコンピュータネットワークにおける安全な購買を実現するためのシステム及び方法に関する。」 イ.「【0023】 例示的な実施形態は、特定の取引に対して以下の当事者の構成をとる:[a]ユーザは、通常、モデムを通して電話回線、ケーブルTV回線、衛星又はデータラインを通してユーザPC又はクライアントによりインターネットに接続され、ユーザのクライアントPCには、マイクロソフト社のインターネット・エクスプローラ(登録商標)又はネットスケープ社のナビゲータ又はコミュニケータ(登録商標)等のブラウザプログラムがインストールされており、その内の一つは取引の前に作動する;[b]ベンダーはユーザのブラウザにアクセス可能なウェブサイトを構成又は伝達するインターネットと通信状態にあるサーバを有する;[c]安全管理システムはセキュリティサーバ又はツールボックス(以下TB)を介して操作され、以下に記述するようにその物理的な位置は変更可能である;[ d] 債権者又は支払い保証人は支払い用サーバを有するが、この機能はセキュリティサーバによって選択的に実行され得る。」 ウ.「【0054】 ・・・(中略)・・・特に、この典型的な実施形態では、アカウントは以下のように用意される: 【0055】 インストールの工程: 1) ユーザは、HTTPS接続を通じて、ウェブサーバ上のASPページを介して、システムへの接続を要求する。 2) 申込者はアカウントIDを受信し、申込者の申し込み情報はファイアウォールに保護されたアプリケーション及びデータベースサーバ上の申込者データベースに格納される。・・・(中略)・・・ 【0056】 3) システム所有者がユーザの申し込みを承認する際、システムはユーザが登録処理を開始することができる固有のURLへのリンクを含んだ電子メールをユーザに自動的に送信する。システムは更に、ユーザのアカウントにリンクする使い捨てアクティベーションキーを生成する。システム所有者は、ユーザにこの使い捨てアクティベーションキーを安全な方法(例えば、自ら、又は自分の現金自動入出金機からの印刷物を介して)で、与えなければならない。使い捨てアクティベーションキーの所有は、ユーザが起動段階中に誰であるかを示す証明の構成要素となる。 【0057】 4) ユーザがそのURLに行き、「稼動」ボタンを押す際、稼動処理は、COMオブジェクトを含むDLLをユーザのコンピュータにダウンロードすることにより開始する。ダイナミック・リンク・ライブラリ(DLL)は、実行可能メモリに予めリンクしていないソフトウェアライブラリー(即ち、サブルーチン、又は特定のファンクションを達成するためのコード)を呼び出すための実行可能なメモリに対するウィンドウズ(登録商標)及びOS/2(登録商標)の性能に関連する。・・・(中略)・・・ 【0058】 5) このCOMオブジェクトはユーザのアカウントID(ユーザが固有のURLに案内されているためオブジェクトはアカウントIDを認識している)を「リスナー」に中継する。・・・(中略)・・・リスナーは、アカウントIDが合法的に与えられ、まだ稼動されていないことを確認するように、ファイアウォールに保護された申込者データベースに要求する。もしそうであるなら、リスナーは、ユーザにポップアップを送信するようにCOMオブジェクトに伝え、使い捨てアクティベーションキーを収集する。そうでなければ、アクティベーション工程は終了する。・・・(中略)・・・ 【0059】 6) ポップアップにより収集されたキーがユーザのアカウント用のデータベースに格納されているものと一致する場合、DLLはユーザハードウェア署名(CPUのID、BIOSのID、ディスクボリューム情報、多様なシリアルナンバー等を含む12のパラメータ)を収集し、それをデータベースに送信するように進行する。キーが一致しないか、ユーザが所定の時間内に応答しない場合、稼動処理は停止する。一定数の試みが失敗すると、ユーザアカウントは無効になる。 【0060】 7) キーが一致した場合、DLLは、次に接触する際に使用するために、暗号化された使い捨てパスワード(OTP)のためのシード(種)を戻す。別のポップアップが個人用パスワードを収集するために送信され、そのパスワードはユーザのみが知り、いかなる場所にも格納されない。 【0061】 8) 個人用パスワードが収集された後、特に、交換されたばかりのOTPを含んだ環境設定ファイルが暗号化される。次に、アカウントがアクティブと表される。次の接触では、交換されたばかりの使い捨てパスワードが認証プロセスの一部として使用される。環境設定ファイルを開くためのキーは、ユーザのコンピュータのハードウェア部分と組み合せたユーザの個人用パスワードである。」 エ.「【0072】・・・(中略)・・・TB上の「リスナー」」 したがって、上記引用文献4には次の事項が記載されている。 <引用文献4の記載事項> 「コンピュータネットワークにおける安全な購買を実現するためのシステムであって、 ユーザのクライアントPC、ウェブサイトを構成するベンダーのサーバ、安全管理システムのツールボックス(TB)、債権者又は支払い保証人は支払い用サーバとを有し(【0023】)、 ユーザは、ウェブサーバ上のASPページを介して、システムへの接続を申し込むと、アカウントIDを受信し(【0055】)、 システム所有者がユーザの申し込みを承認すると、システムは、ユーザが登録処理を行うためのURLへのリンクを含んだ電子メールを、ユーザに送信するとともに、使い捨てアクティベーションキーを生成し(【0056】)、 システム所有者は、生成された使い捨てアクティベーションキーを安全な方法でユーザに与え(【0056】)、 ユーザが前記URLへアクセスし、そこでアクティベーション処理を開始するためのアクティベートボタンを押すと、ユーザのクライアントPCは、COMオブジェクトを含むDLL(ダイナミック・リンク・ライブラリ)をダウンロードし(【0057】)、 COMオブジェクトは、ユーザのアカウントIDを、ツールボックス上(【0072】)のリスナーに送信し(【0058】)、 リスナーは、受信したアカウントIDが正規のものであり、まだアクティベーションされていないことを確認すると、COMオブジェクトに、使い捨てアクティベーションキーを収集するためのポップアップを表示させ(【0058】)、 ポップアップにより収集された使い捨てアクティベーションキーが、ユーザのアカウント用のデータベースに格納されているものと一致する場合、DLLは、クライアントPCからCPUのIDなどのハードウエア情報を収集してデータベースに送信し(【0059】)、さらに、次の接触に使用する、暗号化されたワンタイムパスワード(OTP)のためのシードを戻し(【0060】)、別のポップアップが個人用パスワードを収集するために表示され(【0060】)、 個人用パスワードが収集された後、ワンタイムパスワードを含んだ環境設定ファイルが暗号化され、また、アカウントIDがアクティベートされ(【0061】)、 次の接触では、ワンタイムパスワードが認証プロセスで使用され、環境設定ファイルを開くためのキーは、クライアントPCのハードウエア部品と、個人用パスワードである(【0061】)、 システム。」 5.引用文献5について 原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献5(特開2002-32635号公報)には、次の事項が記載されている。 「【0003】また、高価な製品でなくても電気製品等については、製品の新規購入時に販売店舗がメーカの保証書を有効にする手続きを行うことで、メーカ側が利用者に対して購入後1年間の故障を無料で保守するというような内容の保守契約を結ぶことができる。利用者はこのような保証を利用することで、購入直後の製品の故障については無料で保守を受けることができる。」 第5 対比・判断 1.本願発明1について (1)対比 本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。 ・引用発明の販売店の「サーバ900」は端末装置でもよく、これが端末装置である場合、本願発明1における「商品の購入店舗で使用する店舗端末」に相当する。 ・引用発明の「ユーザ100の端末装置」は、販売店で電子・電気機器を購入したユーザの端末装置であり、本願発明1の「前記商品の購入者のユーザ端末」に相当する。 ・引用発明は、「当該システムを利用すると、実際の保証書では紛失したりすることが多々あったが、そうしたことがなくなり、いつでも且つ迅速に保守点検や修理を受けることができる」という効果を有することから、修理依頼の際に販売店のサーバに送信される、保証期間等の登録情報は、実際の保証書に代わるデジタル保証書といえる。 また、登録情報ID及びパスワードの認証が適切なものであれば、機器アイコン情報が保証書アイコン情報に変わることから、情報管理サーバは、当該認証によりデジタル保証書を有効化し、発行するといえる。 したがって、引用発明の、登録情報を管理し上記認証を行う情報管理サーバと、その登録情報を格納するデータベース200は、全体として、本願発明1の「前記商品に対するデジタル保証書を発行するデジタル保証書発行サーバ」に相当する。 ・引用発明は、前記の通り、登録情報ID及びパスワードの認証が適切なものであれば、デジタル保証書を有効化するといえるから、この登録情報ID及びパスワードは、本願発明1の「デジタル保証書を有効化するアクティベーションコード」に相当する。 ・引用発明の購入者の端末装置における、登録情報ID及びパスワードの入力手段は、本願発明1の「前記デジタル保証書を有効化するアクティベーションコードを入力するアクティベーションコード入力手段」に相当する。 ・引用発明の情報管理サーバ900における「登録情報ID及びパスワードとの認証を実行」する手段は、本願発明1の「前記アクティベーションコードの認証を行う認証手段」に相当する。 ・引用発明は、処理が完了すると機器アイコン情報1661が保証書アイコン情報に変わることから、保証書アイコン情報に変えるための手段は、本願発明1の「前記デジタル保証書を発行する保証書発行手段」に相当する。 ・引用発明の、「ユーザ100が購入した機器の機器型番、機器ID、購入日、購入者のID、氏名、住所、保証期間や修理などの履歴の情報が機器型番別に記録」された「データベース200」は、本願発明1の「ユーザ情報を格納する格納手段」に相当する。 ・引用発明の「ユーザが各種電子・電気機器を購入したときに、機器アイコン情報を情報管理サーバに登録し、購入者が機器の保守点検や修理を行う際に、この機器アイコン情報と、保守・修理を行うサービスセンターの情報を含む修理アイコン情報を用いるシステム」は、購入者が機器の保守点検や修理を行う際のデジタル保証書を発行するものであり、本願発明1の「デジタル保証書発行システム」に相当する。 したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。 <一致点> 「商品の購入店舗で使用する店舗端末と、前記商品の購入者のユーザ端末と、前記商品に対するデジタル保証書を発行するデジタル保証書発行サーバと、を備えたデジタル保証書発行システムであって、前記ユーザ端末は、前記デジタル保証書を有効化するアクティベーションコードを入力するアクティベーションコード入力手段を有し、前記デジタル保証書発行サーバは、前記アクティベーションコードの認証を行う認証手段と、前記デジタル保証書を発行する保証書発行手段と、を有し、前記デジタル保証書発行サーバは、ユーザ情報を格納する格納手段を具備する、デジタル保証書発行システム。」 <相違点1> ユーザ端末が、本願発明1では「前記商品に付随する識別コードを入力する識別コード入力手段」を有するのに対し、引用発明では当該識別コード入力手段を有しない点。 <相違点2> 本願発明1は「前記店舗端末が前記アクティベーションコードを発行」するのに対し、引用発明は、情報管理サーバが、登録情報IDとパスワード、すなわち、アクティベーションコードを発行する点。 <相違点3> デジタル保証書発行サーバが、本願発明1では「前記デジタル保証書が発行された際少なくとも保証条件を含む保証内容を前記ユーザ情報に更新する更新手段」を具備し、且つ、「前記更新手段は、前記デジタル保証書が譲渡された際に前記ユーザ情報を更新する」のに対し、引用発明は、当該更新手段を備えていない点。 (2)相違点についての判断 上記相違点2について検討する。 引用発明の登録情報IDとパスワードは本願発明1のアクティベーションコードに相当するが、この登録情報IDとパスワードを販売店の端末装置が発行することは引用文献2?5に記載も示唆もされていない。さらに、登録情報IDとパスワードは、情報管理サーバが、データベースに新たな情報を登録した際に、その登録情報に付与するIDであるから、このような付与は、情報管理サーバでしか行えないことであり、販売店の端末装置が付与することは容易に想到し得ない。 なお、引用文献2には、ユーザ端末からのユーザ自身による所有品情報の登録において、製品購入時の領収書番号や伝票が入力された場合、管理サーバは販売店サーバに接続して当該領収書番号や伝票番号の正当性のチェックを受けることが記載されているものの、このような正当性のチェックは、購入者が所有品情報を登録する場合に必要となるものである。これに対して、引用発明は、販売店の担当者が販売店のサーバ(端末装置)から送信した情報を登録するものであり、このような登録情報に対して、販売店サーバに接続して正当性をチェックする必要はなく、引用発明に引用文献2記載の上記チェックを適用する動機がない。 したがって、本願発明1は、当業者であっても、引用発明及び引用文献2ー5に記載された周知技術に基づいて容易に発明できたものとはいえない。 2.本願発明2-10について 本願発明2-10も、本願発明1の「前記店舗端末が前記アクティベーションコードを発行し」と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2-5に記載された周知技術に基づいて容易に発明できたものとはいえない。 第6 原査定について 審判請求時の補正により、本願発明1-10は「前記店舗端末が前記アクティベーションコードを発行し」という事項を有するものとなっており、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献1-5に基づいて、容易に発明できたものとはいえない。したがって、原査定の理由を維持することはできない。 第7 むすび 以上のとおり、本願発明1-10は、当業者が引用発明及び引用文献2-5に記載された周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものではない。したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2018-07-30 |
出願番号 | 特願2013-83034(P2013-83034) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(G06Q)
|
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 塩田 徳彦 |
特許庁審判長 |
渡邊 聡 |
特許庁審判官 |
金子 幸一 宮久保 博幸 |
発明の名称 | デジタル保証書発行システム |
代理人 | 青木 宏義 |
代理人 | 天田 昌行 |
代理人 | 木村 晋朗 |