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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06Q |
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管理番号 | 1342703 |
審判番号 | 不服2017-9731 |
総通号数 | 225 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2018-09-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2017-07-03 |
確定日 | 2018-08-21 |
事件の表示 | 特願2014- 22772「情報提供装置及び情報提供方法」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 8月20日出願公開、特開2015-149022、請求項の数(2)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成26年2月7日の出願であって、平成28年10月24日付けで拒絶理由通知がなされ、平成29年1月4日付けで手続補正がなされたが、平成29年4月13日付けで拒絶査定(原査定)がなされ、これに対し、平成29年7月3日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。 第2 原査定の概要 原査定(平成29年4月13日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。 請求項1及び2に係る発明は、引用文献1及び4に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者であれば容易になし得たものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 <引用文献等一覧> 1.特開2009-100391号公報 4.特開2011-138328号公報 第3 本願発明 本願請求項1、2に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」、「本願発明2」という。)は、平成29年7月3日の手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1、2に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1は以下のとおりの発明である。 「【請求項1】 ユーザによって携帯される通信端末の位置に基づいて、集客を目的とする施設毎に予め設定された条件を満たすか否か判定し、前記条件が満たされる場合に、前記通信端末に対して情報を提供する情報提供部を備え、 前記情報提供部は、前記通信端末と前記施設との間の距離が所定の値以内である場合に前記条件を満たすと判定し、前記通信端末と前記施設との距離に応じて前記施設に関する複数の提供情報が登録された情報提供記憶部から前記距離に応じた前記提供情報を取得し、前記通信端末に対して提供し、 前記情報提供部は、前記通信端末と前記施設との距離が第一の距離よりも短い領域である第一領域である場合には、当日に関する前記提供情報を提供し、 前記情報提供部は、前記通信端末と前記施設との距離が前記第一の距離よりも長く第二の距離よりも短い領域である第二領域である場合には、その週の週末に関する前記提供情報を提供し、 前記情報提供部は、前記通信端末と前記施設との距離が前記第二の距離よりも長く第三の距離よりも短い領域である第三領域である場合には、翌月に関する前記提供情報を提供する、情報提供装置。」 なお、本願発明2は、本願発明1に対応する方法の発明であり、本願発明1とカテゴリ表現が異なるだけの発明である。 第4 引用文献、引用発明等 1.引用文献1について 原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献1(特開2009-100391号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は、当審において付与した。)。 ア.『【0093】 〔この発明の実施例としての通信端末装置〕 前述した各実施形態のGPS手段30を備えた携帯電話装置1?3のように、GPS受信機を備えた通信端末装置を、以下単に「通信端末装置」と称すが、他装置と区別する必要があるときは「自装置」と称する場合もある。』 イ.『【0333】 3.リアルタイム広告とピンポイント広告 前述までのシステムでは広告情報を受け取るためには、通信端末装置がサーバ装置にアクセスする(ユーザが装置を操作する)必要があるという課題がある。次に記載する発明は、その課題を解決するものである。 まず広告情報を取得したいユーザ(通信端末装置)は、サーバ装置にその旨の登録とその他の登録情報{通信端末装置を特定するための識別情報(電話場号、メールアドレス、端末番号等)、名称、カテゴリー、キーワード、テキストデータ等}を登録する。その場合、同じサーバ装置に複数の通信端末装置を登録することができる。 【0334】 次に、広告情報を送信する広告情報送信元の装置も、サーバ装置に登録情報{装置を特定するための識別情報(電話場号、メールアドレス、端末番号等)、名称、広告のカテゴリー、キーワード、テキストデータ等}を登録する。広告情報と広告情報に関する情報もあらかじめ登録しておいてもよいし、必要なときにあらためてサーバ装置に送信するようにしてもよい。 【0335】 その後、通信端末装置は自装置の位置情報と端末識別情報とを、定期的にあるいは設定した時刻に、もしくは自装置が移動したことを検出して移動と判断したときに、サーバ装置に送信する。あるいはサーバ装置が定期的に又は設定した時刻に、通信端末装置に問い合わせてもよい。サーバ装置は、取得した位置情報をその通信端末装置の登録情報として次々と記憶し、あるいは更新する。 【0336】 次に、広告情報送信元の装置は、位置情報(例えば広告主の店舗の位置情報など、複数の位置情報でもよい)と範囲情報(位置情報の中心とした半径等)、その位置情報に対応する広告情報とその他の広告情報に関連する情報、すなわちカテゴリー(好きなジャンル)、キーワード(手に入れたい物等を表すもの)、広告の有効期間や有効期限を表す情報等と端末識別情報を、サーバ装置に送信する。 【0337】 その情報を受信したサーバ装置は、送信してきた装置が広告情報送信元の装置として登録されているかどうか、記憶されている登録データに基づいて判断する。登録されていれば、広告の有効期間であって、受信した位置情報と範囲情報に基づいてその範囲内に位置している1以上の通信端末装置であって、同じカテゴリーが登録されている通信端末装置(あるいは同じキーワードを登録データに含んでいる通信端末装置)を登録情報から検索する。そして、検索された1以上の通信端末装置に対して、広告情報(広告内容の情報、店等の位置を示す位置情報、地図情報、地図情報が記憶されている位置を示すURL、店に関連した情報を記載したホームページのURL等)を直接メール手段、プッシュ手段などによって送信する。あるいは複数ある広告情報から選択した広告情報を送信通信端末装置に送信する。 【0338】 また、通信端末装置の過去の移動パターンを複数記憶した履歴情報(ある時刻における位置情報、年月日情報、曜日情報等)に基づいて、所定の時刻における通信端末装置の位置を予測し、所定のタイミング、例えばその所定の時刻からある一定の時間前の時刻で、広告情報を通信端末装置に送信するようにしてもよい。 さらに、広告情報送信元の装置が送信する位置情報が示す位置と、各通信端末装置の位置情報が示す位置の距離差に基づいて、広告情報を変えるようにしてもよい。たとえば、サーバ装置は、その距離差が1Km?5Kmであれば、広告情報1(例えば「10%割引中」)、1Km以内であれば広告情報2(例えば「20%割引中」)を、それぞれの通信端末装置に送信する。』 したがって、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。 <引用発明> 「広告情報を取得したいユーザの通信端末装置を特定する識別情報とカテゴリーとキーワードとを登録し(【0333】)、当該通信端末装置はGPS手段30を備えた携帯電話装置であり(【0093】)、 次に、広告情報送信元の装置を特定するための識別情報と広告のカテゴリーとキーワードとを登録し(【0334】)、 その後、通信端末装置から、当該装置の位置情報と端末識別情報とを受信すると、取得した位置情報をその通信端末装置の登録情報として次々と記憶し、あるいは更新し(【0335】)、 次に、広告情報送信元の装置から、広告主の店舗の位置情報と、当該位置情報を中心とした半径である範囲情報と、その位置情報に対応する広告情報と、広告情報に関連するカテゴリー、キーワードとを受信し(【0336】)、 送信してきた装置が広告情報送信元の装置として登録されていれば、受信した位置情報と範囲情報に基づいてその範囲内に位置している1以上の通信端末装置であって、同じカテゴリーが登録されている通信端末装置、あるいは、同じキーワードを登録データに含んでいる通信端末装置を検索し、検索された1以上の通信端末装置に対して、広告情報を送信し(【0337】)、 広告情報は、広告情報送信元の装置から送信された位置情報が示す位置と、各通信端末装置の位置情報が示す位置の距離差に基づいて変えるようにしてもよく、例えば、その距離差が1Km?5Kmであれば、10%割引中という広告情報1、1Km以内であれば20%割引中という広告情報2をそれぞれの通信端末装置に送信する(【0338】)、 サーバ装置(【0333】-【0338】)。」 2.引用文献4について 原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献4(特開2011-138328号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は、当審において付与した。)。 ア.「【0027】 ・・・(中略)・・・図1に示すように、第1実施形態の商取引システム1は、携帯型プリンタ2と、携帯型プリンタ2が接続される携帯端末3と、携帯端末3が通信可能なサーバ4と、RFIDリーダライタ7を備えた端末6を有する店舗からなる。」 イ.「【0032】 また、本実施形態のサーバ4は、図4のブロック図のように、装置全体を統括する処理制御部31、上述のインターネットに接続して通信を行うための通信部32、各種データやプログラムを記憶するデータ記憶部34、多数の店舗の位置に係る店位置情報41を格納する店舗データベース35、各店舗の割引設定に係る第1割引設定情報42が格納された割引設定データベース36、各地域の地図情報が格納された地図データベース37により構成される。」 ウ.「【0033】 ・・・(中略)・・・図6の例では、第1割引設定情報42は、店舗名と、各店舗の客に来店して欲しい各時間帯と、各時間帯に対応して設定される割引額とからなる」 エ.「【0034】 ・・・(中略)・・・ まずステップ(以下Sと略記する)1において、携帯端末3から、サーバ4へ情報の送信が行われる。 S1のサーバ4への情報送信は、例えば、携帯端末3の利用者が、サーバ4が管理するインターネット上の店舗検索サイトにアクセスして、携帯端末3の表示装置24に表示されるホームページ上で利用者が所望する検索条件(たとえば、店のジャンルや店へ到着するために許容できる時間等)による検索を行うことにより当該検索条件に係る情報がサーバ4に送信されることであってもよいし、単に携帯端末3の利用者が行きたいと思う店舗名等の情報がサーバ4に送信されることであってもよい。 そして検索条件に係る情報や店舗名に係る情報が送信される際には、携帯端末3の現在位置を特定するGPS情報が位置特定部26により取得されて、上記検索条件に係る情報等と共にサーバ4に送信される。」 オ.『【0035】 サーバ4の通信部32においてS1で携帯端末3から送信された検索条件等の情報(又は店舗名等の情報)及びGPS情報が受信されると、サーバ4の処理制御部31によりS2の処理が行われる。S2では、S1で送信された検索条件に係る情報(又は店舗名に係る情報)やGPS情報を基に店舗位置情報41、店舗のロゴ、店舗IDが取得され、データ記憶部34に記憶されると共に、その店舗位置情報41とGPS情報から店舗への到達に必要な最短時間が計算される。 例えば、S1において「徒歩30分以内」という店舗へ到達するために許容できる時間に係る検索条件と「和食」という店にジャンルに係る検索条件がサーバ4に送信された場合に、店舗位置データベース35から、当該検索条件に該当する店A、店B及び店Cが検索されたとする。なお、「現在位置から徒歩30分以内」との許容時間に係る検索は、S1で送信されたGPS情報と各店舗の店位置情報41に基づく計算により行われる。 すると、当該検索条件に該当する店A、店B及び店Cの各店位置情報41(図5のように、店Aの店位置情報41は緯度133.34.56.89、経度134.78.59.08、店Bは緯度133.34.56.75、経度134.78.59.45、店Cは緯度133.34.56.23、経度134.78.59.15)が各店舗のロゴ、各店舗IDと共にデータ記憶部34に記憶されると共に、各店位置情報41とGPS情報とを基に、店A、店B、店Cのそれぞれについて携帯端末3の現在位置からの到着に必要な最短時刻が、所定の経路計算ソフトウェアを利用することにより計算される。』 カ.『【0036】 次に処理制御部31はS3に進む。S3では、S2で検索された各店舗に係る各第1割引設定情報42が割引設定データベース36から読み出される。そして当該各第1割引設定情報42(図6参照)に基づいて、S2で計算された最短時間に対応する割引設定時間51と、該割引設定時間における割引額50(図8参照)がそれぞれ取得される。 具体的には、第1割引設定情報42に設定された店が来てほしい各時間帯のうち、現在時刻から最短時間分の時間を進めた「最早予測時刻」を含む時間帯があればその時間帯、当該「最早予測時刻」を含む時間帯がなければ、「最早予測時刻」よりも遅く、且つ最も早く始まる時間帯が「最早予測時刻」に対応する割引設定時間51として選択されるとともに、その時間帯に係る割引額が当該割引設定時間に係る割引額50として特定される。』 キ.『【0037】 次にサーバ4の処理制御部31はS4に進む。S4では、S2?S3で取得された、各店舗へ到達する「最早予測時刻」に対応する割引設定時間51と該割引設定時間に係る割引額50と店舗のロゴ52とが書き込まれた割引店地図45を示す割引店地図情報が作成される(図8参照)。 具体的には、まず、S3で割引額50が取得された店舗の店位置情報41とS1で送信されたGPS情報に基づき、地図データベース37から、携帯端末3の現在位置と店舗の位置(例えば店A、B、Cの位置)が含まれる地図に係る地図情報が検索される。そして検索された地図情報に示される地図上に、現在位置と店舗の位置が明示されるとともに、店舗の位置に対応してS3で取得された「最早予測時刻」に対応する割引設定時間51と割引額50と、S2で記憶された店舗のロゴ52とが書き込まれることによって、図8に示す割引店地図45を示す割引店地図情報が作成され、サーバ4のデータ記憶部34に記憶される。』 ク.「【0040】 次に、サーバ4の処理制御部31はS5に進む。S5では、サーバ4の通信部32から携帯端末3の通信部25へ割引店地図情報をダウンロードするためのダウンロード用URLが送信され、当該URLは携帯端末3の処理制御部22により表示装置24に表示される。 【0041】 するとS6において、携帯端末3の利用者は、入力部27を介して表示装置24に表示されたURLをクリックして、該URLにアクセスする。すると目的の割引店地図情報がダウンロードされ、表示装置24に表示される。」 したがって、上記引用文献4には次の発明が記載されている。 <引用文献4に記載された発明> 「携帯端末3と、携帯端末3が通信可能なサーバ4とからなり(【0027】)、 サーバ4は、多数の店舗の位置に係る店位置情報41を格納する店舗データベース35と、各店舗の割引設定に係る第1割引設定情報42が格納された割引設定データベース36により構成され(【0032】)、 前記第1割引設定情報42は、店舗名と、各店舗の客に来店して欲しい各時間帯と、各時間帯に対応して設定される割引額とからなり(【0033】)、 携帯端末3の利用者は、サーバ4が管理するインターネット上の店舗検索サイトにアクセスして、検索条件に係る情報と、携帯端末3の現在位置を特定するGPS情報とを当該サーバ4に送信し(【0034】)、 サーバ4は、 店舗位置データベース35から当該検索条件に該当する店を検索し、当該店の各店位置情報41とGPS情報とを基に、各店のそれぞれについて携帯端末3の現在位置からの到着に必要な最短時間を、所定の経路計算ソフトウェアを利用することにより計算し(【0035】)、 検索された各店舗に係る各第1割引設定情報42を割引設定データベース36から読み出し、第1割引設定情報42に設定された各時間帯のうち、現在時刻から最短時間分の時間を進めた最早予測時刻を含む時間帯があればその時間帯、当該最早予測時刻を含む時間帯がなければ、最早予測時刻よりも遅く且つ最も早く始まる時間帯を最早予測時刻に対応する割引設定時間51として選択するとともに、その時間帯に係る割引額を当該割引設定時間に係る割引額50として特定し(【0036】)、 取得した割引設定時間51と該割引設定時間に係る割引額50と店舗のロゴ52とを書き込んだ割引店地図情報を作成し、当該割引店地図情報をサーバ4のデータ記憶部34に記憶し(【0037】)、 携帯端末3へ、割引店地図情報をダウンロードするためのダウンロード用URLを送信し(【0040】)、 携帯端末3は、当該URLを表示装置24に表示し(【0040】)、利用者が当該URLをクリックすると該URLにアクセスし、割引店地図情報をダウンロードして表示装置24に表示する(【0041】)、 商取引システム1(【0027】)。」 第5 対比・判断 1.本願発明1について (1)対比 本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。 ・引用発明の「サーバ装置」は広告情報を提供するから、本願発明1の「情報提供装置」に相当する。 ・引用発明の「通信端末装置」はユーザの携帯電話装置であるから、本願発明1の「ユーザによって携帯される通信端末」に相当する。 ・引用発明の「範囲情報」は、広告情報送信元の装置から、広告主の店舗の位置情報とともに受信されることから、集客を目的とする施設毎に予め設定されるといえる。 また、引用発明は、範囲内に位置している通信端末装置に広告情報を送信することからこの「範囲情報」は、広告情報が提供される通信端末装置の位置に関する「条件」といえる。したがって、当該「範囲情報」は、本願発明1の「集客を目的とする施設毎に予め設定された条件」に相当する。 ・引用発明は、店舗の位置情報と、当該位置情報を中心とした半径である範囲情報とに基づいて、その範囲内に位置している通信端末装置に広告情報を送信する。このような広告情報の送信手段は、本願発明1の「ユーザによって携帯される通信端末の位置に基づいて、集客を目的とする施設毎に予め設定された条件を満たすか否か判定し、前記条件が満たされる場合に、前記通信端末に対して情報を提供する情報提供部」に相当する。 また、引用発明の当該送信手段は、通信端末装置と店舗のとの間の距離が上記範囲内である場合に、範囲情報の条件を満たすと判定するといえる。当該判定は、本願発明1の「前記情報提供部は、前記通信端末と前記施設との間の距離が所定の値以内である場合に前記条件を満たすと判定し」に相当する。 ・引用発明の「広告情報は、広告情報送信元の装置から送信された位置情報が示す位置と、各通信端末装置の位置情報が示す位置の距離差に基づいて変えるようにしてもよく、例えば、その距離差が1Km?5Kmであれば、10%割引中という広告情報1、1Km以内であれば20%割引中という広告情報2をそれぞれの通信端末装置に送信する」は、通信端末と施設との間の距離に応じた提供情報を通信端末に対して提供することといえる。 したがって、引用発明の上記構成と、本願発明1の「前記通信端末と前記施設との距離に応じて前記施設に関する複数の提供情報が登録された情報提供記憶部から前記距離に応じた前記提供情報を取得し、前記通信端末に対して提供し」は、「距離に応じた提供情報を前記通信端末に対して提供し」の点で共通する。 したがって、本願発明1と引用発明との一致点・相違点は、次のとおりである。 <一致点> 「ユーザによって携帯される通信端末の位置に基づいて、集客を目的とする施設毎に予め設定された条件を満たすか否か判定し、前記条件が満たされる場合に、前記通信端末に対して情報を提供する情報提供部を備え、 前記情報提供部は、前記通信端末と前記施設との間の距離が所定の値以内である場合に前記条件を満たすと判定し、距離に応じた提供情報を前記通信端末に対して提供する、情報提供装置。」 <相違点1> 本願発明1は「前記通信端末と前記施設との距離に応じて前記施設に関する複数の提供情報が登録された情報提供記憶部」を有し、情報提供部は、この情報提供記憶部から提供情報を取得するのに対し、引用発明では上記情報提供記憶部を有するかどうか不明な点。 <相違点2> 情報提供部が、本願発明1では「前記情報提供部は、前記通信端末と前記施設との距離が第一の距離よりも短い領域である第一領域である場合には、当日に関する前記提供情報を提供し、 前記情報提供部は、前記通信端末と前記施設との距離が前記第一の距離よりも長く第二の距離よりも短い領域である第二領域である場合には、その週の週末に関する前記提供情報を提供し、 前記情報提供部は、前記通信端末と前記施設との距離が前記第二の距離よりも長く第三の距離よりも短い領域である第三領域である場合には、翌月に関する前記提供情報を提供する」ものであるのに対し、引用発明では、「距離差が1Km?5Kmであれば、10%割引中という広告情報1、1Km以内であれば20%割引中という広告情報2をそれぞれの通信端末装置に送信する」ものであり、上記のような提供情報を提供するものではない点。 (2)相違点についての判断 上記相違点2について検討する。 引用文献4に記載された発明は、最早予測時刻に対応する割引設定時間と、その時間帯に係る割引額を携帯端末に送信するものであり、相違点2に係る「前記情報提供部は、前記通信端末と前記施設との距離が第一の距離よりも短い領域である第一領域である場合には、当日に関する前記提供情報を提供し、 前記情報提供部は、前記通信端末と前記施設との距離が前記第一の距離よりも長く第二の距離よりも短い領域である第二領域である場合には、その週の週末に関する前記提供情報を提供し、 前記情報提供部は、前記通信端末と前記施設との距離が前記第二の距離よりも長く第三の距離よりも短い領域である第三領域である場合には、翌月に関する前記提供情報を提供する」という構成は、引用文献4に記載されておらず、示唆もされていない。 また、相違点2に係る構成は周知技術でもない。 したがって、本願発明1は、引用発明、引用文献4に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 2.本願発明2について 本願発明2は、本願発明1に対応する方法の発明であり、本願発明1の「前記情報提供部は、前記通信端末と前記施設との距離が第一の距離よりも短い領域である第一領域である場合には、当日に関する前記提供情報を提供し、 前記情報提供部は、前記通信端末と前記施設との距離が前記第一の距離よりも長く第二の距離よりも短い領域である第二領域である場合には、その週の週末に関する前記提供情報を提供し、 前記情報提供部は、前記通信端末と前記施設との距離が前記第二の距離よりも長く第三の距離よりも短い領域である第三領域である場合には、翌月に関する前記提供情報を提供する」に対応する構成を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献4に記載された発明及び周知技術に基づいて容易に発明できたものとはいえない。 第6 原査定について 審判請求時の補正により、本願発明1は「前記情報提供部は、前記通信端末と前記施設との距離が第一の距離よりも短い領域である第一領域である場合には、当日に関する前記提供情報を提供し、 前記情報提供部は、前記通信端末と前記施設との距離が前記第一の距離よりも長く第二の距離よりも短い領域である第二領域である場合には、その週の週末に関する前記提供情報を提供し、 前記情報提供部は、前記通信端末と前記施設との距離が前記第二の距離よりも長く第三の距離よりも短い領域である第三領域である場合には、翌月に関する前記提供情報を提供する」という構成を有し、本願発明2はこれに対応する構成を有するものとなっており、当業者であっても、引用発明、引用文献4に記載された発明及び周知技術に基づいて、容易に発明できたものとはいえない。したがって、原査定の理由を維持することはできない。 第7 むすび 以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2018-08-06 |
出願番号 | 特願2014-22772(P2014-22772) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(G06Q)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 関 博文 |
特許庁審判長 |
渡邊 聡 |
特許庁審判官 |
佐藤 智康 石川 正二 |
発明の名称 | 情報提供装置及び情報提供方法 |
代理人 | 特許業務法人 志賀国際特許事務所 |
代理人 | 三好 秀和 |