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審決分類 |
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H01R 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01R 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 H01R |
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管理番号 | 1342774 |
審判番号 | 不服2017-7820 |
総通号数 | 225 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2018-09-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2017-05-31 |
確定日 | 2018-08-02 |
事件の表示 | 特願2014-247569「コネクタ」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 6月20日出願公開、特開2016-110851〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本件出願は、平成26年12月8日の出願であって、平成28年12月2日付けで拒絶理由が通知され、平成29年1月6日に意見書及び手続補正書が提出されたが、同年4月6日付け(発送日:同年4月11日)で拒絶査定され、これに対し、同年5月31日に拒絶査定不服審判の請求がされるとともに、その審判の請求と同時に手続補正されたものである。 第2 平成29年5月31日付けの手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成29年5月31日付けの手続補正を却下する。 [理由] 1 本件補正の内容 平成29年5月31日付け手続補正(以下、「本件補正」という。)は、補正前の特許請求の範囲の請求項1の下記(1)に示す記載を下記(2)に示す記載へと補正することを含むものである。((2)の下線は出願人が付したものである。) (1)本件補正前の特許請求の範囲の請求項1 「【請求項1】 相手ハウジングが嵌合可能なハウジングと、このハウジングに揺動可能に設けられ前記相手ハウジングの被係止部に係止可能な係止部を有するロックアームと、前記ハウジングに設けられ少なくとも前記ロックアームの幅方向の両側に配置されるロックアーム保護壁とを備えたコネクタであって、 前記ロックアーム保護壁には、前記ロックアーム側に向けて係合突起が突設され、前記ロックアームには、前記ロックアーム保護壁との対向面に位置され前記係合突起の前記ロックアームの揺動方向一側の対向面と係合可能に前記係合突起が収容され前記ロックアームの揺動方向一側への変位を規制する係合凹部が設けられていることを特徴とするコネクタ。」 (2)本件補正後の特許請求の範囲の請求項1 「【請求項1】 相手ハウジングが嵌合可能なハウジングと、このハウジングに揺動可能に設けられ前記相手ハウジングの被係止部に係止可能な係止部を有するロックアームと、前記ハウジングに設けられ少なくとも前記ロックアームの幅方向の両側に配置されるロックアーム保護壁とを備えたコネクタであって、 前記ロックアーム保護壁には、前記ロックアーム側に向けて係合突起が突設され、前記ロックアームには、前記ロックアーム保護壁との対向面に位置され前記係合突起の前記ロックアームの揺動方向一側の対向面と係合可能に前記係合突起が収容され前記ロックアームの揺動方向一側への変位を規制する係合凹部が設けられ、 前記係合突起と前記係合凹部との係合は、互いの対向面である前記係合突起の下面と前記係合凹部の底壁の上面との係合であることを特徴とするコネクタ。」 2 本件補正の目的 本件補正は、補正前の請求項1に記載された発明特定事項である「係合突起」及び「係合凹部」に関し、「前記係合突起と前記係合凹部との係合は、互いの対向面である前記係合突起の下面と前記係合凹部の底壁の上面との係合である」との事項を限定するものであり、かつ、その補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、本件補正の請求項1に関する補正は、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 3 独立特許要件 そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下、「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について以下に検討する。 (1)引用文献・引用発明 原査定の拒絶理由に引用された、本件出願前に頒布された特開2008-269946号公報(以下、「引用文献」という。)には、図面とともに、以下のアないしウが記載されている。(下線は当審で付したものである。) ア「【0011】 <実施形態1> 本発明の実施形態1を図1ないし図5によって説明する。本実施形態のコネクタ10は、雌型コネクタを例示するものであり、コネクタハウジング20及び端子金具60を備えて構成される。」 イ「【0013】 コネクタハウジング20は合成樹脂製であって、図4に示すように、端子金具60を収容可能なキャビティ21を有する端子収容部22と、端子収容部22の周りを取り囲む筒部23とを備える。端子収容部22と筒部23との間には、相手側の雄型コネクタのフード部(図示せず)が嵌入可能となっている。端子収容部22のキャビティ21は、幅方向に一列となって複数配置され、その内壁に、端子金具60を抜け止めするランス24が撓み可能に形成されている。 【0014】 端子収容部22の上面の幅方向略中央にはロックアーム25が弾性撓み可能に形成されている。また、筒部23にはロックアーム25の周りを取り囲むように膨出する膨出部26が前後方向に形成されている。 【0015】 ロックアーム25は、図2に示すように、前後方向に延びるアーム部27と、アーム部27の長さ方向中間部の下面と端子収容部22の上面とに連係される左右一対の支持部28とを備え、支持部28を中心としてアーム部27がシーソ状に揺動変位可能(弾性変位可能)となっている。アーム部27にはその先端部を残してロック溝29が前後に貫通して形成され、アーム部27の先端部にはロック本体部31が形成されている。コネクタハウジング20が相手側の雄型コネクタに正規嵌合されると、相手側のロック突部がロック溝29に嵌ってロック本体部31に弾性係止され、これにより両コネクタハウジングが嵌合状態(離脱規制状態)にロックされるようになっている。 【0016】 また、アーム部27の後端部には両コネクタハウジングの離脱時にロック解除操作を行うための操作部32が形成されている。ロックアーム25のうち操作部32を除く部分は膨出部26によって隠蔽状態に包囲されている一方、操作部32は膨出部26の後端部に開口して形成された切欠凹部33を通して露出されている。 そして、アーム部27の後端部の両側縁には、図5に示すように、幅方向の両側外方に張り出す左右一対の張出部35が形成されている。各張出部35は、両側方へ張り出したあと前方へ向けて細帯状に延出され、その延出端が膨出部26の内壁に一体に連なっている。かかる張出部35は筒部23側との一体化によってロックアーム25全体に適度な剛性を付与する役割を担っている。 【0017】 さて、膨出部26には、ロックアーム25を挟んだ両側に、アーム部27の両側縁との間に間隔をあけつつ前後に沿設される左右一対のリブ36が形成されている。各リブ36は、筒部23の内向き円弧の端縁から上方へ立ち上げられた縦壁として構成されている。また、膨出部26には、切欠凹部33と対応する部位を除いて各リブ36の上端に対して段付き状に連なる梁部37が形成され、この梁部37がロックアーム25(操作部32を除く)の上方を被覆して配置されている。」 ウ「【0019】 また、各リブ36の上端(突出端)には、凹部41の上部を構成しつつ内向きに突出する覆い部43が形成されている。覆い部43の突出端部(内端部)は、幅方向(突出方向)について張出部35の側端部と部分的に重なり合うラップ配置となっており、張出部35の側端部の上方を被覆して配置される。各覆い部43の下面(凹部41の内面となる面)は、突出端側へ向けて上向き傾斜の斜面45となっており、ロックアーム25の操作部32が上方へ過度に変位しようとすると、この斜面45上に張出部35の側端部が当接してそれ以上の変位が規制されるようになっている。」 エ 上記記載事項イの「コネクタハウジング20は・・・端子収容部22と、・・・を備える。」(段落【0013】)、上記記載事項イの「端子収容部22の上面の幅方向略中央にはロックアーム25が弾性撓み可能に形成されている。」(段落【0014】)、上記記載事項イの「ロックアーム25は、図2に示すように、前後方向に延びるアーム部27と、アーム部27の長さ方向中間部の下面と端子収容部22の上面とに連係される左右一対の支持部28とを備え、支持部28を中心としてアーム部27がシーソ状に揺動変位可能(弾性変位可能)となっている。」(段落【0015】)との記載から、ロックアーム25はコネクタハウジング20にシーソー状に揺動変位可能に設けられていると認められる。 オ 上記記載事項イの「コネクタハウジング20は・・・筒部23とを備える。」(段落【0013】)、上記記載事項イの「また、筒部23には・・・膨出部26が前後方向に形成されている。」(段落【0014】)、上記記載事項イの「さて、膨出部26には、ロックアーム25を挟んだ両側に、アーム部27の両側縁との間に間隔をあけつつ前後に沿設される左右一対のリブ36が形成されている。」(段落【0017】)との記載から、リブ36はコネクタハウジング20に設けられていると認められる。 カ 【図1】、【図3】及び【図5】からは、上下方向に関して操作部32の上面より下に凹み、幅方向に関して張出部35の側端よりも内側に凹んでいる凹み部が、操作部32の側端から張出部35の上面にかけて、リブ36との対向面に位置されるよう、ロックアーム25に形成された状態が見て取れる。 キ 【図1】、【図3】及び【図5】からは、張出部35が、上記図示内容カの凹み部の底壁となるよう、ロックアーム25に形成された状態が見て取れる。 ク 上記記載事項ウの「覆い部43の突出端部(内端部)は、幅方向(突出方向)について張出部35の側端部と部分的に重なり合うラップ配置となっており、張出部35の側端部の上方を被覆して配置される。」(段落【0019】)との記載に照らせば、【図1】、【図3】及び【図5】からは、上記図示内容カの凹み部に、上下方向に関して操作部32の上面よりも低い下面と、幅方向に関して張出部35の側端よりも内側に突出した端面を持つ覆い部43の突出端部が収容されている状態が見て取れる。 ケ【図1】、【図3】及び【図5】からは、覆い部43の突出端部の下面と張出部35の上面とが互いに対向面となっている状態が見て取れる。 コ 上記記載事項ウの「覆い部43の突出端部(内端部)は、幅方向(突出方向)について張出部35の側端部と部分的に重なり合うラップ配置となっており、張出部35の側端部の上方を被覆して配置される。各覆い部43の下面(凹部41の内面となる面)は、突出端側へ向けて上向き傾斜の斜面45となっており、ロックアーム25の操作部32が上方へ過度に変位しようとすると、この斜面45上に張出部35の側端部が当接してそれ以上の変位が規制されるようになっている。」(段落【0019】)との記載並びに【図1】、【図3】及び【図5】の図示内容から、張出部35の上面の側端部が、覆い部43の突出端部の下面の斜面45と当接することで、張出部35の上面と覆い部43の突出端部の下面とは係合すると認められる。 上記アないしコの記載事項、認定事項及び図示内容を総合して、本件補正発明の記載ぶりに則って整理すると、引用文献には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。 「雄形コネクタのコネクタハウジングが嵌合可能なコネクタハウジング20と、このコネクタハウジング20にシーソ状に揺動変位可能に設けられ、前記雄形コネクタのコネクタハウジングの相手側のロック突部に弾性係止されるロック本体部31を有し前後方向に延びるアーム部27を備えるロックアーム25と、前記コネクタハウジング20に設けられロックアーム25を挟んだ両側に、アーム部27の両側縁との間に間隔をあけつつ前後に沿設されるリブ36とを備えたコネクタ10であって、 前記リブ36には、内向きに突出する覆い部43が形成され、前記覆い部43の突出端部は、操作部32の上面よりも低い下面と張出部35の側端よりも内側の端面を持ち、 前記ロックアーム25には、アーム部27の後端部に、ロック解除を行うための操作部32と、その両端縁に幅方向の両側外方に張り出す左右一対の張出部35とが形成され、操作部32から張出部35にかけて形成された、操作部32の上面より下に凹み、張出部35の側端よりも内側に凹んでいる凹み部であって、 前記リブ36に対向して位置し前記覆い部43の突出端部が幅方向について張出部35の側端部と部分的に重なり合うラップ配置となって収容されており、ロックアーム25の操作部32が上方への過度の変位を規制する凹み部が設けられ、 前記覆い部43と前記凹み部との係合は、互いの対向面である前記覆い部43の下面と前記張出部35の上面との係合であるコネクタ10。」 (2)対比・判断 本件補正発明と引用発明とを対比すると、引用発明の「雄形コネクタのコネクタハウジング」は、本件補正発明の「相手ハウジング」に相当し、以下同様に「コネクタハウジング20」は「ハウジング」に、「シーソ状に揺動変位可能」であることは「揺動可能」であることに、「相手側のロック突部」は「被係止部」に、「弾性係止されるロック本体部31」は「係止可能な係止部」に、「ロック本体部31」を有した「アーム部27を備える、ロックアーム25」は「係止部を有するロックアーム」に、「ロックアーム25を挟んだ両側に、アーム部27の両側縁との間に間隔をあけつつ前後に沿設される」ことは「少なくとも前記ロックアームの幅方向の両側に配置される」ことに、「リブ36」は「ロックアーム保護壁」に、「コネクタ10」は「コネクタ」に、「覆い部43」は「係合突起」に、「内向きに突出する覆い部43が形成され」ることは「前記ロックアーム側に向けて係合突起が突設され」ることに、「覆い部43の下面」は「係合突起のロックアームの揺動方向一側の対向面」に、「ロックアーム25の上方への過度の変位」は「ロックアームの揺動方向一側への変位」に、それぞれ相当する。 また、引用発明の「操作部32の上面より下に凹み、張出部35の側端よりも内側に凹んでいる凹み部」において張出部35の側端はリブ36に対向した面を有しているといえる。そうすると、引用発明の「凹み部」に関して「リブ36に対向して位置」することは、本件補正発明の「係合凹部」に関して「ロックアーム保護壁との対向面に位置され」ることに相当する。 そして、引用発明の「凹み部」に関して、「操作部32の上面よりも低い下面と張出部35の側端よりも内側の端面を持」っている「覆い部43の突出端部」が、「幅方向について張出部35の側端部と部分的に重なり合うラップ配置となって収容されて」いることは、覆い部43の突出端部の少なくとも一部が凹み部内に入り込んでいることを意味し、覆い部43は凹み部に収容されているといえる。そうすると、引用発明の「凹み部」に関して「覆い部43の突出端部が幅方向について張出部35の側端部と部分的に重なり合うラップ配置となって」いることは、「前記覆い部43と前記凹み部との係合は、互いの対向面である前記覆い部43の下面と前記張出部35の上面との係合である」ことと併せみて、本件補正発明の「係合凹部」に関して「前記係合突起の前記ロックアームの揺動方向一側の対向面と係合可能に前記係合突起が収容され」ることに相当するといえる。 以上を踏まえると、引用発明の「操作部32の上面より下に凹み、張出部35の側端よりも内側に凹んでいる凹み部」は本件補正発明の「係合凹部」に相当する。 そして、引用発明の「凹み部」を形成している「張出部35」の「上面」は、本件補正発明の「係合凹部の底壁の上面」に相当するといえる。 したがって、本件補正発明と引用発明とは、 「相手ハウジングが嵌合可能なハウジングと、このハウジングに揺動可能に設けられ前記相手ハウジングの被係止部に係止可能な係止部を有するロックアームと、前記ハウジングに設けられ少なくとも前記ロックアームの幅方向の両側に配置されるロックアーム保護壁とを備えたコネクタであって、 前記ロックアーム保護壁には、前記ロックアーム側に向けて係合突起が突設され、前記ロックアームには、前記ロックアーム保護壁との対向面に位置され前記係合突起の前記ロックアームの揺動方向一側の対向面と係合可能に前記係合突起が収容され前記ロックアームの揺動方向一側への変位を規制する係合凹部が設けられ、 前記係合突起と前記係合凹部との係合は、互いの対向面である前記係合突起の下面と前記係合凹部の底壁の上面との係合であるコネクタ。」 で一致し、相違点はない。 請求人は、審判請求書において、 ア 引用文献1に記載のものは、張出部35に覆い部43を収容する凹部が設けられていない旨主張し(「4.請求項1に係る発明と引用発明との対比」の第1段落ないし第9段落を参照。)、 イ 本件補正発明は、係合突起と係合凹部との係合が、互いの対向面である係合突起の下面と係合凹部の底壁の上面との係合となっており、係合突起と係合凹部との係合が平面と平面との係合となっている旨主張している(「4.請求項1に係る発明と引用文献との対比」の第10段落ないし第14段落を参照)。 上記アについて検討すると、上述の「対比」中で述べたとおり、引用発明の「凹み部」が、本件補正発明の「係合凹部」に相当するものである。 上記イについて検討すると、本件補正発明においては、「係合突起の下面」と「係合凹部の底壁の上面」とがいずれも平面であるとは特定されておらず、文言上、引用発明の「覆い部43の下面」と「張出部35の上面」と相違するものではない。 以上のとおりであるから、審判請求人の審判請求書における主張を採用することはできない。 したがって、本件補正発明は、引用発明と同一であるから、特許法第29条第1項第3号の規定に該当し、特許出願の際に独立して特許を受けることができないものである。 また、本件補正後の請求項1の記載から直接は読み取れないものの、本願補正発明の「前記係合突起が収容され」る態様において引用発明と相違するとしても、小型化、コンパクト化は一般的な課題であり、引用発明の「覆い部43」をその機能の発揮する範囲で「凹み部」内に入り込ませ、全体として小型化することは、当業者が適宜になし得る設計事項といえる。 さらに、本件補正発明の「前記係合突起の下面と前記係合凹部の底壁の上面との係合」が、上記「イ」のとおり、「係合突起と係合凹部の係合が平面と平面との係合」を意味するものであったとしても、係合突起と係合凹部の係合を平面と平面の係合とすることは、従来周知の技術手段(以下、「周知技術」という。必要であれば、特開平2-112180号公報のFIG.5のアーム152、154及び台部156、158や、実願平2-21263号(実開平3-112887号)のマイクロフィルムの第1図のロック用舌片12a及び係止突起12b等参照。)であるから、引用発明の「前記覆い部43の下面と前記張出部35の上面との係合」を、平面と平面の係合に変更することは、当該周知技術に基いて当業者が適宜なし得た程度のことと認められ、このように変更したことによる効果は、当業者が予測し得る程度のものと認められる。 そうすると、本件補正発明は、引用発明及び上記周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるといえるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際に独立して特許を受けることができないものである。 (4)まとめ 以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明の内容 平成29年5月31日付けの手続補正は上記のように却下されたので、本件出願の請求項1ないし3に係る発明は、平成29年1月6日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された事項により特定されるとおりのものと認められ、そのうち、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、前記第2[理由]1(1)に記載したとおりである。 2 原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、又は、下記の引用文献に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない、というものである。 引用文献:特開2008-269946号公報 3 引用文献・引用発明 原査定の拒絶理由に引用された引用文献の記載事項及び引用発明は、前記第2[理由]3(1)に記載したとおりである。 4 対比、判断 本件補正発明は、前記第2[理由]2で検討したように、本願発明の発明特定事項を限定したものに相当する。 そして、本願発明の発明特定事項を全て含む本件補正発明が、前記第2[理由]3(2)に記載したとおり、引用発明と同一であるか、又は、引用発明及び上記周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、実質的に同様の理由により、引用発明と同一であるか、又は、引用発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。 5 まとめ したがって、本願発明は、引用発明と同一であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、又は、引用発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、同法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。 第4 むすび 以上のことから、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し、又は、同法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものであるから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2018-05-30 |
結審通知日 | 2018-06-05 |
審決日 | 2018-06-18 |
出願番号 | 特願2014-247569(P2014-247569) |
審決分類 |
P
1
8・
113-
Z
(H01R)
P 1 8・ 121- Z (H01R) P 1 8・ 575- Z (H01R) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 片岡 弘之 |
特許庁審判長 |
平田 信勝 |
特許庁審判官 |
内田 博之 小関 峰夫 |
発明の名称 | コネクタ |
代理人 | 三好 秀和 |