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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1342779
審判番号 不服2017-11242  
総通号数 225 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-09-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-07-28 
確定日 2018-08-02 
事件の表示 特願2015-211973号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 2月18日出願公開、特開2016- 26780号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成23年7月8日に出願した特願2011-152359号の一部を平成26年2月26日に新たな特許出願(特願2014-35482号)とし、さらにその一部を平成27年10月28日に新たな特許出願(特願2015-211973号)としたものであって、平成28年8月29日付けで拒絶の理由が通知され、平成28年11月2日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、平成29年4月28日付け(発送日:平成29年5月9日)で拒絶査定がなされ、それに対して、平成29年7月28日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。

第2 平成29年7月28日付け手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成29年7月28日付け手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 本件補正の概要
本件補正は、特許請求の範囲の請求項1の記載の補正を含む補正であり、本件補正前の平成28年11月2日付けの手続補正書における請求項1の記載と、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載は、それぞれ次のとおりである。
(補正前:平成28年11月2日付け手続補正)
「【請求項1】
可変表示を行い、遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であって、
演出態様に応じて前記有利状態に制御される可能性を報知する報知演出を実行可能な報知演出実行手段と、
前記報知演出が終了した後の特定タイミングにて、前記報知演出実行手段により実行された前記報知演出の演出態様を示す演出を表示した後に、該表示した演出態様に対して所定の作用を実行することにより前記有利状態に制御される可能性がより高い演出態様を示す演出に変更して表示する変更演出実行手段とを備え、
前記報知演出実行手段は、前記報知演出として、演出態様を1段階から複数段階まで段階的に変化させ、前記有利状態に制御される場合に前記有利状態に制御されない場合よりも高い割合で多い段階まで演出態様が変化する予告演出を実行可能であり、
前記予告演出の段階数に応じて、特定演出の実行割合が異なり、
前記変更演出実行手段は、前記予告演出の段階数を示す演出を、より多い段階数を示す演出に変更して表示することにより、前記有利状態に制御される可能性が高いことを報知する、
ことを特徴とする遊技機。」

(補正後:平成29年7月28日付け手続補正)
「【請求項1】
A 可変表示を行い、遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であって、
B 演出態様に応じて前記有利状態に制御される可能性を報知する報知演出を実行可能な報知演出実行手段と、
C 前記報知演出が終了した後の特定タイミングにて、遊技媒体の検出を条件とせずに、前記報知演出実行手段により実行された前記報知演出の演出態様を示す演出を表示した後に、該表示した演出態様に対して他の表示画像の作用による演出を実行することにより前記有利状態に制御される可能性がより高い演出態様を示す演出に変更して表示する変更演出実行手段とを備え、
D 前記報知演出実行手段は、前記報知演出として、演出態様を1段階から複数段階まで段階的に変化させ、前記有利状態に制御される場合に前記有利状態に制御されない場合よりも高い割合で多い段階まで演出態様が変化する予告演出を実行可能であり、
E 前記予告演出の段階数に応じて、特定演出の実行割合が異なり、
F 前記変更演出実行手段は、前記予告演出の段階数を示す演出を、より多い段階数を示す演出に変更して表示することにより、前記有利状態に制御される可能性が高いことを報知する、
ことを特徴とする遊技機。」
(下線部は補正箇所を示す。ただし、A?Fは分説するために当審で付した。)

2 補正の適否
本件補正に係る補正事項は、補正前の請求項1における「変更演出実行手段」が実行する、「前記報知演出実行手段により実行された前記報知演出の演出態様を示す演出を表示した後に、該表示した演出態様に対して所定の作用を実行することにより前記有利状態に制御される可能性がより高い演出態様を示す演出に変更して表示する」ことに関して、「遊技媒体の検出を条件とせずに」実行することを限定し、かつ「所定の作用」を「他の表示画像の作用による演出」に限定するものである。
また、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1に記載された発明と補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一である。
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

そして、上記補正事項は、願書に最初に添付した明細書の段落【0346】、【0385】-【0395】、又は図面の図35、図36、図40、図41等との関係において、新たな技術的事項を導入するものではないから、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法第17条の2第3項の規定に適合し、新規事項を追加するものではない。

3 独立特許要件について
本件補正後の請求項1に記載された発明(以下、「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(1)本件補正発明について
本件補正発明は、「1 本件補正の概要」に記載したとおりのものである。

(2)刊行物
本願の出願遡及日前に頒布され、原査定の拒絶の理由において提示された刊行物である特開2011-87667号公報(以下、「刊行物1」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は、当審にて付した。以下、同じ。)。

(ア)「【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の識別情報による変動表示ゲームを表示する変動表示装置を備え、乱数の抽選結果が特別結果となった場合に、変動表示ゲームの結果態様を特別結果態様にするとともに遊技者にとって有利な特別遊技状態を発生するようにした遊技機に関する。」

(イ)「【0051】
また、図2に示すように、遊技機100は、特図1表示器8、特図2表示器9において行われる特図変動表示ゲームの制御を行う遊技制御手段としての遊技制御装置30と、この遊技制御装置30からの演出制御指令に基づき、表示装置43における飾り特図変動表示ゲームの演出の制御などを行う演出制御手段としての演出制御装置40と、を備えている。」

(ウ)「【0067】
ここで、リーチ(リーチ状態)とは、表示状態が変化可能な表示装置43を有し、該表示装置43が時期を異ならせて複数の表示結果を導出表示し、該複数の表示結果が予め定められた特別結果態様となった場合に、遊技状態が遊技者にとって有利な遊技状態(特別遊技状態)となる遊技機において、前記複数の表示結果の一部がまだ導出表示されていない段階で、既に導出表示されている表示結果が特別結果態様となる条件を満たしている表示状態をいう。また、別の表現をすれば、リーチ状態とは、表示装置43の変動表示制御が進行して表示結果が導出表示される前段階にまで達した時点でも、特別結果態様となる表示条件からはずれていない表示態様をいう。そして、例えば、特別結果態様が揃った状態を維持しながら複数の変動表示領域による変動表示を行う状態(いわゆる全回転リーチ)もリーチ状態に含まれる。また、リーチ状態とは、表示装置43の表示制御が進行して表示結果が導出表示される前段階にまで達した時点での表示状態であって、前記表示結果が導出表示される以前に決定されている前記複数の変動表示領域の表示結果の少なくとも一部が特別結果態様となる条件を満たしている場合の表示状態をいう。」

(エ)「【0078】
特図変動表示ゲームが開始されると、リーチ状態となるまでの前半変動時間において予告演出として初期演出が実行される(図3のt1からt2)。この初期演出は、複数の単位演出からなり当該単位演出が順次進行することで、結果が特別結果態様となる可能性の高さである信頼度が高まるステップアップ演出となっている。この実施形態でのステップアップ演出で実行可能な段階は4段階(ステップ4まで)であり、下位の段階(ステップ1)から所定の段階まで順次実行される。すなわち、より上位の段階まで進行すれば信頼度が高いことが示唆されることとなる。また、各段階の演出は、例えば、図4(b)、(c)に示すように、段階に応じた単位演出をなす予告画像53を順次表示することで実行される。この例では初期演出として2段階目まで実行されるステップアップ演出が実行されている。
【0079】
前半変動時間が終了し、図4(d)に示すように変動表示している識別情報の一部が停止してリーチ状態となると、演出用ゲートSW46での遊技球の検出が有効となる有効期間が開始される(図3のt2)。有効期間の長さである有効時間には、長さが異なる複数種類の有効時間が用意されており、この複数種類の有効時間から一つが選択されて設定される。なお、再演出を行う必要があるため、有効期間はSPリーチ表示の開始(図3のt4)よりも前に終了するようにされている。」

(オ)「【0082】
一方、有効期間において演出用ゲートSW46で遊技球を検出した場合は、停止していた識別情報を再度変動表示するとともに、SPリーチ表示が開始されるまでの期間において再演出が実行される(図3のt3からt4)。この再演出では、図4(g)、(h)に示すように、前半変動時間での初期演出と同様のステップアップ演出が行われるが、初期演出でのステップアップ演出で実行された段階数(この例では2段階)以上の段階数、すなわち、信頼度が同じもしくは高い段階までステップアップ演出を実行する(この例では4段階)。これにより、仮に初期演出で信頼度が低く遊技者の期待感を高められない演出が行われた場合でも、その後の再演出で信頼度の高い演出が実行される可能性があるので、信頼度の低い演出が実行された時点で遊技者の期待感が低下してしまうといった課題を解決でき、遊技者の遊技に対する興趣と共に期待感を高めることができる。また、演出用ゲートSW46が遊技球を検出することを契機に演出が行われるので、所謂止め打ちを防止することができ遊技機の稼働率を高めることができる。なお、後述するように結果が特別結果態様である場合は、初期演出でのステップアップ演出で実行された段階数よりも少ない段階数のステップアップ演出を実行可能である。」

(カ)「【0089】
次に、初期演出におけるステップアップ演出で実行する段階数である初期ステップを決定する処理(ステップS4)を行う。初期ステップを決定する処理(ステップS4)では、結果情報を取得する処理(ステップS2)で取得した特図変動表示ゲームの結果及び有効時間を決定する処理(ステップS3)で決定された有効時間に基づき初期ステップを決定する。
【0090】
具体的には、図7に示すような割合となっており、例えば、図7(a)に示すように、結果が外れの場合であって選択された有効時間が5秒である場合は、初期ステップとして1が選択される確率が60%、2が選択される確率が35%、3が選択される確率が5%、4が選択される確率が0%となっている。この初期ステップの選択においては同じ長さの有効時間が選択されていても、図7(a)に示す結果がはずれの場合よりも図7(b)に示す結果が当りの場合の方が、初期ステップが多くなるようにされている。例えば、上述した図7(a)に示す結果が外れの場合であって選択された有効時間が5秒である場合に対して、図7(b)に示すように結果が当りの場合であって選択された有効時間が5秒である場合は、初期ステップとして1が選択される確率が50%、2が選択される確率が40%、3が選択される確率が7%、4が選択される確率が3%となっている。これにより、初期演出におけるステップアップ演出での段階数により、特別結果態様となる可能性の高さである信頼度が遊技者に報知されることとなる。
【0091】
また、図7(a)に示す結果がはずれの場合及び図7(b)に示す結果が当りの場合の何れにおいても、決定された有効時間が長い方が、初期ステップが多くなるようにされている。例えば、上述した図7(a)に示す結果が外れの場合であって選択された有効時間が5秒である場合に対して、結果が外れの場合であって選択された有効時間が20秒である場合は、初期ステップとして1が選択される確率が30%、2が選択される確率が45%、3が選択される確率が18%、4が選択される確率が7%となっている。これにより、初期演出におけるステップアップ演出で信頼度の高い演出(段階数の多い演出)が行われて期待感が高められた場合に再演出が実行され易くすることができ、遊技者の期待感をさらに高めることができる。」

(キ)「【0092】
その後、再演出でのステップアップ演出で実行する演出の段階数である再ステップを決定する処理(ステップS5)を行い、演出表示決定処理を終了する。再ステップを決定する処理(ステップS5)では、結果情報を取得する処理(ステップS2)で取得した特図変動表示ゲームの結果及び初期ステップを決定する処理(ステップS4)で決定された初期ステップに基づき再ステップを決定する。
【0093】
具体的には、図8に示すような割合となっており、例えば、図8(a)に示すように結果が外れの場合であって初期ステップが1である場合に、再ステップとして1が選択される確率が20%、2が選択される確率が70%、3が選択される確率が10%、4が選択される確率が0%となっている。この再ステップの選択においては、図8(a)に示す結果がはずれの場合よりも図8(b)に示す結果が当りの場合の方が、初期ステップが同じであっても再ステップが多くなるようにされている。すなわち、図8(a)に示す結果がはずれの場合よりも図8(b)に示す結果が当りの場合の方が、初期ステップと再ステップの差が大きくなり易くされている。例えば、上述した図8(a)に示す結果が外れの場合であって初期ステップが1である場合に対して、図8(b)に示すように結果が当りの場合であって初期ステップが1である場合は、再ステップとして1が選択される確率が5%、2が選択される確率が70%、3が選択される確率が20%、4が選択される確率が5%となっている。これにより、再演出におけるステップアップ演出で実行される段階数及び初期演出におけるステップアップ演出の段階数との差により、特別結果態様となる可能性の高さである信頼度が遊技者に報知されることとなる。」

(ク)「【0103】
また、演出制御手段(演出制御装置40)は、変動表示ゲームがリーチ状態となる前に初期演出を実行し、その後、遊技球検出手段が(演出用ゲートSW46)遊技球を検出した場合に再演出として該初期演出よりも信頼度の高い演出を実行可能としたこととなる。」

(ケ)「【0106】
また、演出制御手段(演出制御装置40)は、リーチ状態となった場合に、最初にノーマルリーチ表示を実行した後、該ノーマルリーチ表示とはリーチ表示態様を異ならせたスペシャルリーチ表示を実行可能とし、ノーマルリーチ表示の実行中に有効期間を設定するようにしたこととなる。」

(コ)上記段落【0078】の「また、各段階の演出は、例えば、図4(b)、(c)に示すように、段階に応じた単位演出をなす予告画像53を順次表示することで実行される。この例では初期演出として2段階目まで実行されるステップアップ演出が実行されている。」との記載をふまえて図4(b)、(c)を見れば、初期演出としてのステップアップ演出の1段階目(図4(b))においては、「STEP1」と示された予告画像53が表示され、2段階目(図4(c))においては、「STEP1」及び「STEP2」と示された予告画像53がそれぞれ表示されているところ、「STEP1」、「STEP2」といった予告画像53の表示が、ステップアップ演出が現在何段階目であるか(段階数)と対応していることが示されているといえる。
したがって、図4(b)、(c)においては、予告画像53により、初期演出のステップアップ演出の段階数が示されているといえる。

(サ)
(サ-1)上記段落【0078】の「この実施形態でのステップアップ演出で実行可能な段階は4段階(ステップ4まで)であり、下位の段階(ステップ1)から所定の段階まで順次実行される。」、「各段階の演出は、例えば、図4(b)、(c)に示すように、段階に応じた単位演出をなす予告画像53を順次表示することで実行される。この例では初期演出として2段階目まで実行されるステップアップ演出が実行されている。」との記載をふまえると、図4(b)、(c)には、初期演出として2段階目まで実行されるステップアップ演出の場合、ステップ1において、「STEP1」と示された予告画像53が存在する状態を表示し、ステップ2において、「STEP1」と示された予告画像53の左隣に「STEP2」と示された予告画像53が存在する状態を表示することが示されているといえる。
(サ-2)上記段落【0078】の「各段階の演出は、例えば、図4(b)、(c)に示すように、段階に応じた単位演出をなす予告画像53を順次表示することで実行される。この例では初期演出として2段階目まで実行されるステップアップ演出が実行されている。」との記載より、初期演出として実行されるステップアップ演出の各段階の演出は、単位演出をなす予告画像53を順次表示することで実行されるものであるから、段階が進むにつれ単位演出をなす予告画像53を順次追加的に表示することで実行されるといえる。したがって、図4(b)、(c)には、初期演出として2段階目まで実行されるステップアップ演出の場合、ステップ2において、ステップ1で表示した「STEP1」と示された予告画像53に対して、その左隣に「STEP2」と示された予告画像53を追加して表示することが示されているといえる。

(シ)上記段落【0082】の「この再演出では、図4(g)、(h)に示すように、前半変動時間での初期演出と同様のステップアップ演出が行われる」との記載より、図4(g)、(h)に示される再演出のステップアップ演出は、初期演出のステップアップ演出と同様であるといえる。
そうすると、図4(g)、(h)が示す再演出に関する内容は、初期演出に関する上記(サ-1)の内容と同様であるといえるから、図4(g)、(h)に加えて上記段落【0082】の「初期演出でのステップアップ演出で実行された段階数(この例では2段階)以上の段階数、すなわち、信頼度が同じもしくは高い段階までステップアップ演出を実行する(この例では4段階)。」との記載をふまえると、刊行物1には、初期演出の段階数が2段階で再演出の段階数が4段階の場合、再演出として、ステップ1において、「STEP1」と示された予告画像53が存在する状態を表示し、ステップ2において、「STEP1」と示された予告画像53の左隣に「STEP2」と示された予告画像53が存在する状態を表示し、ステップ4において、「STEP1」と示された予告画像53の左隣に、「STEP2」と示された予告画像53、「STEP3」と示された予告画像53、「STEP4」と示された予告画像53が順に存在する状態を表示することが記載されているといえる。
同様に、図4(g)、(h)が示す再演出に関する内容は、初期演出に関する上記(サ-2)の内容と同様であるといえるから、ステップ2においては、「STEP1」と示された予告画像53の左隣に「STEP2」と示された予告画像53が存在する状態を表示することをふまえれば、刊行物1には、初期演出の段階数が2段階で再演出の段階数が4段階の場合、再演出として、ステップ3において、ステップ2で表示した「STEP1」と示された予告画像53、及びその左隣に存在する「STEP2」と示された予告画像53に対して、その左隣に「STEP3」と示された予告画像53を追加して表示することが記載されているといえる。
まとめると、刊行物1には、初期演出の段階数が2段階で再演出の段階数が4段階の場合、再演出として、ステップ1において、「STEP1」と示された予告画像53が存在する状態を表示し、ステップ2において、「STEP1」と示された予告画像53の左隣に「STEP2」と示された予告画像53が存在する状態を表示し、ステップ3において、ステップ2で表示した「STEP1」と示された予告画像53、及びその左隣に存在する「STEP2」と示された予告画像53に対して、その左隣に「STEP3」と示された予告画像53を追加して表示し、ステップ4において、「STEP1」と示された予告画像53の左隣に、「STEP2」と示された予告画像53、「STEP3」と示された予告画像53、「STEP4」と示された予告画像53が順に存在する状態を表示することが記載されているといえる。

上記(ア)?(ケ)の記載事項、及び上記(コ)?(シ)の図面に関する認定から、以下の事項が導かれる。

(あ)
(あ-1)上記段落【0051】の「遊技機100は、・・・演出制御手段としての演出制御装置40と、を備えている。」との記載、上記段落【0103】の「演出制御手段(演出制御装置40)は、変動表示ゲームがリーチ状態となる前に初期演出を実行し」との記載より、刊行物1には、遊技機100が備える演出制御装置40は、初期演出を実行することが記載されているといえる。

(あ-2)上記段落【0067】の「該複数の表示結果が予め定められた特別結果態様となった場合に、遊技状態が遊技者にとって有利な遊技状態(特別遊技状態)となる遊技機」との記載、上記段落【0078】の「リーチ状態となるまでの前半変動時間において予告演出として初期演出が実行される」との記載、上記段落【0090】の「初期演出におけるステップアップ演出での段階数により、特別結果態様となる可能性の高さである信頼度が遊技者に報知されることとなる。」との記載より、刊行物1には、リーチ状態となるまでの前半変動時間において、ステップアップ演出での段階数により、遊技状態が遊技者にとって有利な遊技状態(特別遊技状態)となる可能性の高さである信頼度が遊技者に報知される初期演出が実行されることが記載されているといえる。
また、上記(コ)より、刊行物1の図4(b)、(c)においては、予告画像53により、初期演出のステップアップ演出の段階数が示されているといえる。
したがって、刊行物1には、リーチ状態となるまでの前半変動時間において、予告画像53により遊技状態が遊技者にとって有利な遊技状態(特別遊技状態)となる可能性の高さである信頼度が遊技者に報知される初期演出が実行されることが記載されているといえる。

(あ-3)上記(あ-1)、(あ-2)での検討、及び上記(サ-1)の「初期演出として2段階目まで実行されるステップアップ演出の場合、ステップ1において、「STEP1」と示された予告画像53が存在する状態を表示し、ステップ2において、「STEP1」と示された予告画像53の左隣に「STEP2」と示された予告画像53が存在する状態を表示すること」より、刊行物1には、遊技機100が備える演出制御装置40は、リーチ状態となるまでの前半変動時間において、予告画像53により遊技状態が遊技者にとって有利な遊技状態(特別遊技状態)となる可能性の高さである信頼度が遊技者に報知される初期演出を実行し、初期演出として2段階目まで実行されるステップアップ演出の場合、ステップ1において、「STEP1」と示された予告画像53が存在する状態を表示し、ステップ2において、「STEP1」と示された予告画像53の左隣に「STEP2」と示された予告画像53が存在する状態を表示することが記載されていると認められる。

(い)
(い-1)上記段落【0103】の「また、演出制御手段(演出制御装置40)は、・・・、その後、遊技球検出手段が(演出用ゲートSW46)遊技球を検出した場合に再演出として該初期演出よりも信頼度の高い演出を実行可能としたこととなる。」との記載より、刊行物1には、演出制御装置40は、再演出を実行可能であることが記載されているといえる。

(い-2)上記段落【0079】の「前半変動時間が終了し、図4(d)に示すように変動表示している識別情報の一部が停止してリーチ状態となると、演出用ゲートSW46での遊技球の検出が有効となる有効期間が開始される」との記載、上記段落【0082】の「有効期間において演出用ゲートSW46で遊技球を検出した場合は、停止していた識別情報を再度変動表示するとともに、SPリーチ表示が開始されるまでの期間において再演出が実行される」との記載より、刊行物1には、前半変動時間が終了して開始される有効期間において演出用ゲートSW46で遊技球を検出した場合は、再演出が実行されることが記載されているといえる。

(い-3)上記段落【0082】の「この再演出では、・・・、初期演出でのステップアップ演出で実行された段階数(この例では2段階)以上の段階数、すなわち、信頼度が同じもしくは高い段階までステップアップ演出を実行する(この例では4段階)。」との記載より、刊行物1には、初期演出でのステップアップ演出で実行された段階数より信頼度が高い段階数まで、ステップアップ演出である再演出を実行することが記載されているといえる。

(い-4)上記(い-1)?(い-3)での検討、及び上記(シ)の「初期演出の段階数が2段階で再演出の段階数が4段階の場合、再演出として、ステップ1において、「STEP1」と示された予告画像53が存在する状態を表示し、ステップ2において、「STEP1」と示された予告画像53の左隣に「STEP2」と示された予告画像53が存在する状態を表示し、ステップ3において、ステップ2で表示した「STEP1」と示された予告画像53、及びその左隣に存在する「STEP2」と示された予告画像53に対して、その左隣に「STEP3」と示された予告画像53を追加して表示し、ステップ4において、「STEP1」と示された予告画像53の左隣に、「STEP2」と示された予告画像53、「STEP3」と示された予告画像53、「STEP4」と示された予告画像53が順に存在する状態を表示」することより、刊行物1には、演出制御装置40は、前半変動時間が終了して開始される有効期間において演出用ゲートSW46で遊技球を検出した場合は、初期演出でのステップアップ演出で実行された段階数より信頼度が高い段階数まで、ステップアップ演出である再演出を実行し、初期演出の段階数が2段階で再演出の段階数が4段階の場合、再演出として、ステップ1において、「STEP1」と示された予告画像53が存在する状態を表示し、ステップ2において、「STEP1」と示された予告画像53の左隣に「STEP2」と示された予告画像53が存在する状態を表示し、ステップ3において、ステップ2で表示した「STEP1」と示された予告画像53、及びその左隣に存在する「STEP2」と示された予告画像53に対して、その左隣に「STEP3」と示された予告画像53を追加して表示し、ステップ4において、「STEP1」と示された予告画像53の左隣に、「STEP2」と示された予告画像53、「STEP3」と示された予告画像53、「STEP4」と示された予告画像53が順に存在する状態を表示することが記載されていると認められる。

(う)
(う-1)上記段落【0078】の「この初期演出は、・・・ステップアップ演出となっている。この実施形態でのステップアップ演出で実行可能な段階は4段階(ステップ4まで)であり、下位の段階(ステップ1)から所定の段階まで順次実行される。すなわち、より上位の段階まで進行すれば信頼度が高いことが示唆されることとなる。」、「各段階の演出は、例えば、図4(b)、(c)に示すように、段階に応じた単位演出をなす予告画像53を順次表示することで実行される。」との記載より、刊行物1には、初期演出では、段階に応じた単位演出をなす予告画像53を下位の段階(ステップ1)から上位の段階まで順次表示することが記載されているといえる。

(う-2)上記段落【0067】の「該複数の表示結果が予め定められた特別結果態様となった場合に、遊技状態が遊技者にとって有利な遊技状態(特別遊技状態)となる遊技機」との記載、上記段落【0078】の「この初期演出は、複数の単位演出からなり当該単位演出が順次進行することで、結果が特別結果態様となる可能性の高さである信頼度が高まるステップアップ演出となっている。・・・。すなわち、より上位の段階まで進行すれば信頼度が高いことが示唆されることとなる。」との記載、上記段落【0090】の「初期演出におけるステップアップ演出での段階数により、特別結果態様となる可能性の高さである信頼度が遊技者に報知されることとなる。」との記載より、刊行物1には、初期演出では、より上位の段階まで演出が進行すれば、遊技状態が遊技者にとって有利な遊技状態(特別遊技状態)となる可能性の高さである信頼度が高いことが示唆されることが記載されているといえる。

(う-3)上記(あ-1)での検討より、初期演出を実行するのは「演出制御装置40」であり、また、上記段落【0078】の「リーチ状態となるまでの前半変動時間において予告演出として初期演出が実行される」との記載より、初期演出は予告演出として実行される。

(う-4)上記(う-1)?(う-3)での検討より、刊行物1には、演出制御装置40は、初期演出として、段階に応じた単位演出をなす予告画像53を下位の段階(ステップ1)から上位の段階まで順次表示し、より上位の段階まで演出が進行すれば、遊技状態が遊技者にとって有利な遊技状態(特別遊技状態)となる可能性の高さである信頼度が高いことを示唆する予告演出を実行することが記載されていると認められる。

(え)
(え-1)上記段落【0082】の「この再演出では、・・・、初期演出でのステップアップ演出で実行された段階数(この例では2段階)以上の段階数、すなわち、信頼度が同じもしくは高い段階までステップアップ演出を実行する(この例では4段階)。」との記載より、刊行物1には、初期演出でのステップアップ演出の段階より、再演出でのステップアップ演出の段階の方が信頼度が高いことが記載されているといえる。
また、上記段落【0091】の「初期演出におけるステップアップ演出で信頼度の高い演出(段階数の多い演出)が行われて期待感が高められた場合」との記載より、ステップアップ演出において、信頼度の高い演出とは、段階数の多い演出のことであるといえる。
したがって、刊行物1には、初期演出でのステップアップ演出の段階数より、再演出でのステップアップ演出の段階数の方が多いことが記載されているといえる。

(え-2)上記段落【0089】の「初期演出におけるステップアップ演出で実行する段階数である初期ステップ」との記載、上記段落【0092】の「再演出でのステップアップ演出で実行する演出の段階数である再ステップ」との記載、上記段落【0093】の「すなわち、図8(a)に示す結果がはずれの場合よりも図8(b)に示す結果が当りの場合の方が、初期ステップと再ステップの差が大きくなり易くされている。」との記載より、刊行物1には、再演出では、結果がはずれの場合よりも結果が当りの場合の方が、初期演出におけるステップアップ演出の段階数と再演出におけるステップアップ演出の段階数の差が大きくなり易いことが記載されているといえる。
ここで、上記(え-1)での検討より、初期演出でのステップアップ演出の段階数より、再演出でのステップアップ演出の段階数の方が多いことをふまえると、上記「初期演出におけるステップアップ演出の段階数と再演出におけるステップアップ演出の段階数の差」は、再演出におけるステップアップ演出の段階数から、初期演出におけるステップアップ演出の段階数を引いた差であることが明らかである。
したがって、刊行物1には、再演出では、結果がはずれの場合よりも結果が当りの場合の方が、再演出におけるステップアップ演出の段階数から初期演出におけるステップアップ演出の段階数を引いた差が大きくなり易いことが記載されているといえる。

(え-3)上記段落【0067】の「該複数の表示結果が予め定められた特別結果態様となった場合に、遊技状態が遊技者にとって有利な遊技状態(特別遊技状態)となる遊技機」との記載、上記段落【0093】の「再演出におけるステップアップ演出で実行される段階数及び初期演出におけるステップアップ演出の段階数との差により、特別結果態様となる可能性の高さである信頼度が遊技者に報知されることとなる。」との記載より、刊行物1には、再演出におけるステップアップ演出の段階数及び初期演出におけるステップアップ演出の段階数との差により、遊技状態が遊技者にとって有利な遊技状態(特別遊技状態)となる可能性の高さである信頼度が報知されることが記載されているといえる。
ここで、上記(え-2)と同様の検討より、上記「再演出におけるステップアップ演出の段階数及び初期演出におけるステップアップ演出の段階数との差」は、再演出におけるステップアップ演出の段階数から、初期演出におけるステップアップ演出の段階数を引いた差であることが明らかである。
したがって、刊行物1には、再演出におけるステップアップ演出の段階数から初期演出におけるステップアップ演出の段階数を引いた差により、遊技状態が遊技者にとって有利な遊技状態(特別遊技状態)となる可能性の高さである信頼度が報知されることが記載されているといえる。

(え-4)上記(い-1)での検討より、再演出を実行するのは「演出制御装置40」であること、及び上記(え-2)、(え-3)での検討より、刊行物1には、演出制御装置40は、再演出では、結果がはずれの場合よりも結果が当りの場合の方が、再演出におけるステップアップ演出の段階数から初期演出におけるステップアップ演出の段階数を引いた差が大きくなり易くし、再演出におけるステップアップ演出の段階数から初期演出におけるステップアップ演出の段階数を引いた差により、遊技状態が遊技者にとって有利な遊技状態(特別遊技状態)となる可能性の高さである信頼度を報知することが記載されていると認められる。

上記(ア)?(ケ)の記載事項、上記(コ)?(シ)の図面に関する認定、及び上記(あ)?(え)の認定事項より、刊行物1には、次の発明(以下、「刊行物1発明」という。)が記載されていると認められる(記号a?fは、本件補正発明の記号A?Fに対応させて付した。)。

「a 表示状態が変化可能な表示装置43を有し、該表示装置43が時期を異ならせて複数の表示結果を導出表示し、該複数の表示結果が予め定められた特別結果態様となった場合に、遊技状態が遊技者にとって有利な遊技状態(特別遊技状態)となる遊技機100であって、(段落【0051】、【0067】)
b 遊技機100が備える演出制御装置40は、リーチ状態となるまでの前半変動時間において、予告画像53により遊技状態が遊技者にとって有利な遊技状態(特別遊技状態)となる可能性の高さである信頼度が遊技者に報知される初期演出を実行し、初期演出として2段階目まで実行されるステップアップ演出の場合、ステップ1において、「STEP1」と示された予告画像53が存在する状態を表示し、ステップ2において、「STEP1」と示された予告画像53の左隣に「STEP2」と示された予告画像53が存在する状態を表示し、(認定事項(あ))
c’、f 演出制御装置40は、前半変動時間が終了して開始される有効期間において演出用ゲートSW46で遊技球を検出した場合は、初期演出でのステップアップ演出で実行された段階数より信頼度が高い段階数まで、ステップアップ演出である再演出を実行し、初期演出の段階数が2段階で再演出の段階数が4段階の場合、再演出として、ステップ1において、「STEP1」と示された予告画像53が存在する状態を表示し、ステップ2において、「STEP1」と示された予告画像53の左隣に「STEP2」と示された予告画像53が存在する状態を表示し、ステップ3において、ステップ2で表示した「STEP1」と示された予告画像53、及びその左隣に存在する「STEP2」と示された予告画像53に対して、その左隣に「STEP3」と示された予告画像53を追加して表示し、ステップ4において、「STEP1」と示された予告画像53の左隣に、「STEP2」と示された予告画像53、「STEP3」と示された予告画像53、「STEP4」と示された予告画像53が順に存在する状態を表示し、(認定事項(い))
d 演出制御装置40は、初期演出として、段階に応じた単位演出をなす予告画像53を下位の段階(ステップ1)から上位の段階まで順次表示し、より上位の段階まで演出が進行すれば、遊技状態が遊技者にとって有利な遊技状態(特別遊技状態)となる可能性の高さである信頼度が高いことを示唆する予告演出を実行し、(認定事項(う))
e 演出制御装置40は、スペシャルリーチ表示を実行し、(段落【0106】)
f 演出制御装置40は、再演出では、結果がはずれの場合よりも結果が当りの場合の方が、再演出におけるステップアップ演出の段階数から初期演出におけるステップアップ演出の段階数を引いた差が大きくなり易くし、再演出におけるステップアップ演出の段階数から初期演出におけるステップアップ演出の段階数を引いた差により、遊技状態が遊技者にとって有利な遊技状態(特別遊技状態)となる可能性の高さである信頼度を報知する、(認定事項(え))
遊技機100。(段落【0051】)」

(3)対比
本件補正発明と刊行物1発明とを対比する(下記の(a)?(f)は、刊行物1発明の構成a?fに対応している。)。

(a)刊行物1発明において、「表示装置43」が行う「表示状態が変化可能な」表示は、本件補正発明の「可変表示」に相当する。
また、刊行物1発明の「遊技者にとって有利な遊技状態(特別遊技状態)」は、本件補正発明の「遊技者にとって有利な有利状態」に相当する。したがって、刊行物1発明において「該表示装置43が時期を異ならせて複数の表示結果を導出表示し、該複数の表示結果が予め定められた特別結果態様となった場合に、遊技状態が遊技者にとって有利な遊技状態(特別遊技状態)となる」ことは、本件補正発明において「遊技者にとって有利な有利状態に制御可能」であることに相当する。
よって、刊行物1発明の「表示状態が変化可能な表示装置43を有し、該表示装置43が時期を異ならせて複数の表示結果を導出表示し、該複数の表示結果が予め定められた特別結果態様となった場合に、遊技状態が遊技者にとって有利な遊技状態(特別遊技状態)となる遊技機100」は、本件補正発明の「可変表示を行い、遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機」に相当する。

(b)「初期演出として2段階目まで実行されるステップアップ演出の場合、ステップ1において、「STEP1」と示された予告画像53が存在する状態を表示し、ステップ2において、「STEP1」と示された予告画像53の左隣に「STEP2」と示された予告画像53が存在する状態を表示」することより、刊行物1発明の「予告画像53」は、「STEP1」、「STEP2」といった表示により初期演出の内容を示しているといえる。したがって、刊行物1発明の「予告画像53」は本件補正発明の「演出態様」に相当し、刊行物1発明の「予告画像53により」は本件補正発明の「演出態様に応じて」に相当する。
また、刊行物1発明の「遊技状態が遊技者にとって有利な遊技状態(特別遊技状態)となる可能性の高さである信頼度が遊技者に報知される初期演出」は、本件補正発明の「前記有利状態に制御される可能性を報知する報知演出」に相当する。
故に、刊行物1発明の「予告画像53により遊技状態が遊技者にとって有利な遊技状態(特別遊技状態)となる可能性の高さである信頼度が遊技者に報知される初期演出」は、本件補正発明の「演出態様に応じて前記有利状態に制御される可能性を報知する報知演出」に相当する。
よって、刊行物1発明の「予告画像53により遊技状態が遊技者にとって有利な遊技状態(特別遊技状態)となる可能性の高さである信頼度が遊技者に報知される初期演出を実行」する「演出制御装置40」は、本件補正発明の「演出態様に応じて前記有利状態に制御される可能性を報知する報知演出を実行可能な報知演出実行手段」としての機能を有する。

(c)
(c-1)刊行物1発明においては、初期演出は前半変動時間において実行される(構成b)ことを考慮すれば、「前半変動時間が終了して開始される有効期間」は、初期演出が終了した後のタイミングであるといえるところ、本件補正発明の「前記報知演出が終了した後の特定タイミング」に相当する。

(c-2)刊行物1発明の「初期演出として2段階目まで実行されるステップアップ演出の場合」において、「ステップ1において、「STEP1」と示された予告画像53が存在する状態を表示し、ステップ2において、「STEP1」と示された予告画像53の左隣に「STEP2」と示された予告画像53が存在する状態を表示」(構成b)した際には、最終的に、「STEP1」と示された予告画像53の左隣に「STEP2」と示された予告画像53が存在する状態が表示されることとなる。そうすると、上記(b)において検討したように、刊行物1発明の「予告画像53」が本件補正発明の「演出態様」に相当することをふまえれば、刊行物1発明の「初期演出として2段階目まで実行されるステップアップ演出の場合」において最終的に表示される、「STEP1」と示された予告画像53、及びその左隣に存在する「STEP2」と示された予告画像53は、本件補正発明の「前記報知演出実行手段により実行された前記報知演出の演出態様」に相当する。
同様に、刊行物1発明の「初期演出の段階数が2段階で再演出の段階数が4段階の場合」において、「再演出として、ステップ1において、「STEP1」と示された予告画像53が存在する状態を表示し、ステップ2において、「STEP1」と示された予告画像53の左隣に「STEP2」と示された予告画像53が存在する状態を表示」する演出では、最終的に、「STEP1」と示された予告画像53、及びその左隣に存在する「STEP2」と示された予告画像53が表示されることとなり、これらの予告画像53は、既に示した、「初期演出として2段階目まで実行されるステップアップ演出の場合」において最終的に表示される、「STEP1」と示された予告画像53、及びその左隣に存在する「STEP2」と示された予告画像53と同じである。
したがって、刊行物1発明の「初期演出の段階数が2段階で再演出の段階数が4段階の場合」において、「再演出として、ステップ1において、「STEP1」と示された予告画像53が存在する状態を表示し、ステップ2において、「STEP1」と示された予告画像53の左隣に「STEP2」と示された予告画像53が存在する状態を表示」する演出は、本件補正発明の「前記報知演出実行手段により実行された前記報知演出の演出態様を示す演出」に相当する。

(c-3)本件補正発明の「該表示した演出態様」がその前の「前記報知演出実行手段により実行された前記報知演出の演出態様」を受けていること、及び上記(c-2)で検討したように「「STEP1」と示された予告画像53、及びその左隣に存在する「STEP2」と示された予告画像53」が、本件補正発明の「前記報知演出実行手段により実行された前記報知演出の演出態様」に相当することをふまえれば、刊行物1発明の「ステップ3」についての「「STEP1」と示された予告画像53、及びその左隣に存在する「STEP2」と示された予告画像53」は、本件補正発明の「該表示した演出態様」に相当する。

(c-4)
(c-4-1)刊行物1発明の「ステップ3」における「「STEP3」と示された予告画像53」は、本件補正発明の「他の表示画像」に相当する。
(c-4-2)刊行物1発明は、「初期演出の段階数が2段階で再演出の段階数が4段階の場合」における再演出で、「ステップ2において、「STEP1」と示された予告画像53の左隣に「STEP2」と示された予告画像53が存在する状態を表示し」、その後に「ステップ3において、ステップ2で表示した「STEP1」と示された予告画像53、及びその左隣に存在する「STEP2」と示された予告画像53に対して、その左隣に「STEP3」と示された予告画像53を追加して表示」すると、「ステップ4において、「STEP1」と示された予告画像53の左隣に、「STEP2」と示された予告画像53、「STEP3」と示された予告画像53、「STEP4」と示された予告画像53が順に存在する状態を表示」するものである。
すなわち、ステップ3における「「STEP3」と示された予告画像53」を表示することなくステップ2からステップ4に移行することはないのであるから、ステップ2とステップ4とに介在するステップ3で表示される「「STEP3」と示された予告画像53」は、「ステップ2で表示した「STEP1」と示された予告画像53、及びその左隣に存在する「STEP2」と示された予告画像53」に対して、その左隣に追加して表示されることにより、その後の「ステップ4」の「「STEP1」と示された予告画像53の左隣に、「STEP2」と示された予告画像53、「STEP3」と示された予告画像53、「STEP4」と示された予告画像53が順に存在する状態」の表示をもたらすという一定の作用を有するものと見ることができる。また、その作用は、「STEP3」や「STEP4」と示された「予告画像53」の表示がなされる前の、「ステップ2で表示した「STEP1」と示された予告画像53、及びその左隣に存在する「STEP2」と示された予告画像53」に対して向けられていると見ることができる。
(c-4-3)よって、上記(c-3)での検討より、「ステップ3」についての「「STEP1」と示された予告画像53、及びその左隣に存在する「STEP2」と示された予告画像53」が、本件補正発明の「該表示した演出態様」に相当することをふまえれば、刊行物1発明の「初期演出の段階数が2段階で再演出の段階数が4段階の場合」において、「再演出として、」「ステップ3において、ステップ2で表示した「STEP1」と示された予告画像53、及びその左隣に存在する「STEP2」と示された予告画像53に対して、その左隣に「STEP3」と示された予告画像53を追加して表示」する演出を行うことは、本件補正発明の「該表示した演出態様に対して他の表示画像の作用による演出を実行する」ことに相当する。

(c-5)刊行物1発明においては、「初期演出でのステップアップ演出で実行された段階数より信頼度が高い段階数まで、ステップアップ演出である再演出を実行」するものであるから、「初期演出の段階数が2段階で再演出の段階数が4段階の場合」においては、再演出の段階数である4段階の方が、初期演出の段階数である2段階より信頼度が高いといえる。
そうすると、刊行物1発明の「初期演出の段階数が2段階で再演出の段階数が4段階の場合」の再演出において「ステップ4において、「STEP1」と示された予告画像53の左隣に、「STEP2」と示された予告画像53、「STEP3」と示された予告画像53、「STEP4」と示された予告画像53が順に存在する状態を表示」する演出は4段階に対応することより、当該演出で表示される「STEP1」、「STEP2」、「STEP3」「STEP4」と示された予告画像53の信頼度は、2段階の初期演出に対応する「ステップ1において、「STEP1」と示された予告画像53が存在する状態を表示し、ステップ2において、「STEP1」と示された予告画像53の左隣に「STEP2」と示された予告画像53が存在する状態を表示」する演出で表示される「STEP1」、「STEP2」と示された予告画像53の信頼度よりも高いといえる。
したがって、「信頼度」が「遊技状態が遊技者にとって有利な遊技状態(特別遊技状態)となる可能性の高さ」である(構成b)ことをふまえれば、「初期演出でのステップアップ演出で実行された段階数より信頼度が高い段階数まで、ステップアップ演出である再演出を実行」する刊行物1発明の「初期演出の段階数が2段階で再演出の段階数が4段階の場合」において、「再演出として、」「ステップ4において、「STEP1」と示された予告画像53の左隣に、「STEP2」と示された予告画像53、「STEP3」と示された予告画像53、「STEP4」と示された予告画像53が順に存在する状態を表示」する演出は、本件補正発明の「前記有利状態に制御される可能性がより高い演出態様を示す演出」に相当する。

(c-6)刊行物1発明の「初期演出の段階数が2段階で再演出の段階数が4段階の場合」における再演出では、「ステップ1において、「STEP1」と示された予告画像53が存在する状態を表示し、ステップ2において、「STEP1」と示された予告画像53の左隣に「STEP2」と示された予告画像53が存在する状態を表示」した後に、「ステップ3」の表示を介して、「ステップ4において、「STEP1」と示された予告画像53の左隣に、「STEP2」と示された予告画像53、「STEP3」と示された予告画像53、「STEP4」と示された予告画像53が順に存在する状態を表示」するから、「ステップ1において、「STEP1」と示された予告画像53が存在する状態を表示し、ステップ2において、「STEP1」と示された予告画像53の左隣に「STEP2」と示された予告画像53が存在する状態を表示」する演出を、「ステップ4において、「STEP1」と示された予告画像53の左隣に、「STEP2」と示された予告画像53、「STEP3」と示された予告画像53、「STEP4」と示された予告画像53が順に存在する状態を表示」する演出に変更して表示しているといえる。
このことと、上記(c-2)、(c-4)、(c-5)での検討を総合すると、刊行物1発明において、「初期演出でのステップアップ演出で実行された段階数より信頼度が高い段階数まで、ステップアップ演出である再演出を実行し、初期演出の段階数が2段階で再演出の段階数が4段階の場合、再演出として、ステップ1において、「STEP1」と示された予告画像53が存在する状態を表示し、ステップ2において、「STEP1」と示された予告画像53の左隣に「STEP2」と示された予告画像53が存在する状態を表示し、ステップ3において、ステップ2で表示した「STEP1」と示された予告画像53、及びその左隣に存在する「STEP2」と示された予告画像53に対して、その左隣に「STEP3」と示された予告画像53を追加して表示し、ステップ4において、「STEP1」と示された予告画像53の左隣に、「STEP2」と示された予告画像53、「STEP3」と示された予告画像53、「STEP4」と示された予告画像53が順に存在する状態を表示」することは、本件補正発明において「前記報知演出実行手段により実行された前記報知演出の演出態様を示す演出を表示した後に、該表示した演出態様に対して他の表示画像の作用による演出を実行することにより前記有利状態に制御される可能性がより高い演出態様を示す演出に変更して表示する」ことに相当する。

(c-7)上記(c-1)、(c-6)での検討より、刊行物1発明の「前半変動時間が終了して開始される有効期間において演出用ゲートSW46で遊技球を検出した場合は、初期演出でのステップアップ演出で実行された段階数より信頼度が高い段階数まで、ステップアップ演出である再演出を実行し、初期演出の段階数が2段階で再演出の段階数が4段階の場合、再演出として、ステップ1において、「STEP1」と示された予告画像53が存在する状態を表示し、ステップ2において、「STEP1」と示された予告画像53の左隣に「STEP2」と示された予告画像53が存在する状態を表示し、ステップ3において、ステップ2で表示した「STEP1」と示された予告画像53、及びその左隣に存在する「STEP2」と示された予告画像53に対して、その左隣に「STEP3」と示された予告画像53を追加して表示し、ステップ4において、「STEP1」と示された予告画像53の左隣に、「STEP2」と示された予告画像53、「STEP3」と示された予告画像53、「STEP4」と示された予告画像53が順に存在する状態を表示」する「演出制御装置40」は、本件補正発明の「前記報知演出が終了した後の特定タイミングにて、遊技媒体の検出を条件とせずに、前記報知演出実行手段により実行された前記報知演出の演出態様を示す演出を表示した後に、該表示した演出態様に対して他の表示画像の作用による演出を実行することにより前記有利状態に制御される可能性がより高い演出態様を示す演出に変更して表示する変更演出実行手段」と、「前記報知演出が終了した後の特定タイミングにて、前記報知演出実行手段により実行された前記報知演出の演出態様を示す演出を表示した後に、該表示した演出態様に対して他の表示画像の作用による演出を実行することにより前記有利状態に制御される可能性がより高い演出態様を示す演出に変更して表示する変更演出実行手段」としての機能を有する点で共通する。

(d)
(d-1)刊行物1発明の「下位の段階(ステップ1)」、「上位の段階」は、それぞれ本件補正発明の「1段階」、「複数段階」に相当する。
また、刊行物1発明の「段階に応じた単位演出をなす予告画像53を下位の段階(ステップ1)から上位の段階まで順次表示」することにおいて、「予告画像53」は「段階に応じた」ものとなっているところ、「予告画像53」が「下位の段階(ステップ1)から上位の段階まで」において段階的に変化していることは明らかである。
これらのことと、上記(b)での検討より刊行物1発明の「予告画像53」が本件補正発明の「演出態様」に相当することから、刊行物1発明の「段階に応じた単位演出をなす予告画像53を下位の段階(ステップ1)から上位の段階まで順次表示」する「予告演出」は、本件補正発明の「演出態様を1段階から複数段階まで段階的に変化させ」る「予告演出」に相当する。

(d-2)刊行物1発明において、「予告演出」は、「より上位の段階まで演出が進行すれば、遊技状態が遊技者にとって有利な遊技状態(特別遊技状態)となる可能性の高さである信頼度が高いことを示唆する」ものであるから、遊技状態が遊技者にとって有利な遊技状態(特別遊技状態)となる場合に、遊技状態が遊技者にとって有利な遊技状態(特別遊技状態)とならない場合よりも高い割合で上位の段階まで演出が進行するものであることは明らかである。
また、上記(d-1)での検討より、刊行物1発明の「予告演出」においては、上位の段階まで演出が進行すると「予告画像53」(本件補正発明の「演出態様」)が変化するといえる。
したがって、刊行物1発明の「より上位の段階まで演出が進行すれば、遊技状態が遊技者にとって有利な遊技状態(特別遊技状態)となる可能性の高さである信頼度が高いことを示唆する予告演出」は、本件補正発明の「前記有利状態に制御される場合に前記有利状態に制御されない場合よりも高い割合で多い段階まで演出態様が変化する予告演出」に相当する。

(d-3)上記(d-1)、(d-2)での検討より、刊行物1発明の「初期演出として、段階に応じた単位演出をなす予告画像53を下位の段階(ステップ1)から上位の段階まで順次表示し、より上位の段階まで演出が進行すれば、遊技状態が遊技者にとって有利な遊技状態(特別遊技状態)となる可能性の高さである信頼度が高いことを示唆する予告演出を実行」する「演出制御装置40」は、本件補正発明の「前記報知演出として、演出態様を1段階から複数段階まで段階的に変化させ、前記有利状態に制御される場合に前記有利状態に制御されない場合よりも高い割合で多い段階まで演出態様が変化する予告演出を実行可能であ」る「前記報知演出実行手段」としての機能を有する。

(e)刊行物1発明の「スペシャルリーチ表示」は、本件補正発明の「特定演出」に相当する。
したがって、刊行物1発明の「演出制御装置40は、スペシャルリーチ表示を実行し」は、本件補正発明の「前記予告演出の段階数に応じて、特定演出の実行割合が異なり」と、「特定演出」を「実行」可能である点で共通する。

(f)
(f-1)刊行物1発明の「初期演出の段階数が2段階で再演出の段階数が4段階の場合」において、「再演出として、ステップ1において、「STEP1」と示された予告画像53が存在する状態を表示し、ステップ2において、「STEP1」と示された予告画像53の左隣に「STEP2」と示された予告画像53が存在する状態を表示」する演出は、段階数が2であることを示しているが、「初期演出の段階数が2段階」であることをふまえると、初期演出の段階数を示す演出であるといえる。
また、刊行物1発明においては、初期演出として予告演出が実行されるところ(構成d)、初期演出の段階数を示す演出とはすなわち、予告演出の段階数を示す演出であるといえる。
したがって、刊行物1発明の「初期演出の段階数が2段階で再演出の段階数が4段階の場合」において、「再演出として、ステップ1において、「STEP1」と示された予告画像53が存在する状態を表示し、ステップ2において、「STEP1」と示された予告画像53の左隣に「STEP2」と示された予告画像53が存在する状態を表示」する演出は、本件補正発明の「前記予告演出の段階数を示す演出」に相当する。

(f-2)刊行物1発明の「初期演出の段階数が2段階で再演出の段階数が4段階の場合」において、「再演出として、」「ステップ4において、「STEP1」と示された予告画像53の左隣に、「STEP2」と示された予告画像53、「STEP3」と示された予告画像53、「STEP4」と示された予告画像53が順に存在する状態を表示」する演出は、再演出の段階数が4であることを示しているから、上記(f-1)で検討した、段階数が2であることを示す「ステップ1において、「STEP1」と示された予告画像53が存在する状態を表示し、ステップ2において、「STEP1」と示された予告画像53の左隣に「STEP2」と示された予告画像53が存在する状態を表示」する演出よりも、多い段階数を示していることは明らかである。
したがって、刊行物1発明の「初期演出の段階数が2段階で再演出の段階数が4段階の場合」において「再演出として、」「ステップ4において、「STEP1」と示された予告画像53の左隣に、「STEP2」と示された予告画像53、「STEP3」と示された予告画像53、「STEP4」と示された予告画像53が順に存在する状態を表示」する演出は、本件補正発明の「より多い段階数を示す演出」に相当する。

(f-3)上記(c-6)で検討したように、刊行物1発明の「初期演出の段階数が2段階で再演出の段階数が4段階の場合」における再演出で、「ステップ1において、「STEP1」と示された予告画像53が存在する状態を表示し、ステップ2において、「STEP1」と示された予告画像53の左隣に「STEP2」と示された予告画像53が存在する状態を表示」する演出の後に、「ステップ4において、「STEP1」と示された予告画像53の左隣に、「STEP2」と示された予告画像53、「STEP3」と示された予告画像53、「STEP4」と示された予告画像53が順に存在する状態を表示」する演出を行うことは、前者の演出を後者の演出に変更して表示することであるといえる。
したがって、上記(f-1)、(f-2)での検討をふまえると、刊行物1発明の「初期演出の段階数が2段階で再演出の段階数が4段階の場合」において「再演出として、」「ステップ1において、「STEP1」と示された予告画像53が存在する状態を表示し、ステップ2において、「STEP1」と示された予告画像53の左隣に「STEP2」と示された予告画像53が存在する状態を表示し、」「ステップ4において、「STEP1」と示された予告画像53の左隣に、「STEP2」と示された予告画像53、「STEP3」と示された予告画像53、「STEP4」と示された予告画像53が順に存在する状態を表示」することは、本件補正発明において「前記予告演出の段階数を示す演出を、より多い段階数を示す演出に変更して表示する」ことに相当する。

(f-4)刊行物1発明は、「再演出では、結果がはずれの場合よりも結果が当りの場合の方が、再演出におけるステップアップ演出の段階数から初期演出におけるステップアップ演出の段階数を引いた差が大きくなり易くし、再演出におけるステップアップ演出の段階数から初期演出におけるステップアップ演出の段階数を引いた差により、遊技状態が遊技者にとって有利な遊技状態(特別遊技状態)となる可能性の高さである信頼度を報知する」ものであるから、再演出におけるステップアップ演出の段階数から初期演出におけるステップアップ演出の段階数を引いた差が大きい場合には、遊技状態が遊技者にとって有利な遊技状態(特別遊技状態)となる可能性が高いことが報知されるといえる。
他方、上記(f-1)での検討より、刊行物1発明の「初期演出の段階数が2段階で再演出の段階数が4段階の場合」において、「再演出として、ステップ1において、「STEP1」と示された予告画像53が存在する状態を表示し、ステップ2において、「STEP1」と示された予告画像53の左隣に「STEP2」と示された予告画像53が存在する状態を表示」する演出は、初期演出の段階数を示しており、上記(f-2)での検討より、「ステップ4において、「STEP1」と示された予告画像53の左隣に、「STEP2」と示された予告画像53、「STEP3」と示された予告画像53、「STEP4」と示された予告画像53が順に存在する状態を表示」する演出は、再演出の段階数を示している。したがって、再演出の段階数から初期演出の段階数を引いた差は、「再演出として、ステップ1において、「STEP1」と示された予告画像53が存在する状態を表示し、ステップ2において、「STEP1」と示された予告画像53の左隣に「STEP2」と示された予告画像53が存在する状態を表示」する演出の後に、「ステップ4において、「STEP1」と示された予告画像53の左隣に、「STEP2」と示された予告画像53、「STEP3」と示された予告画像53、「STEP4」と示された予告画像53が順に存在する状態を表示」する演出を行うことにより、示されるといえる。
そうすると、刊行物1発明においては、「初期演出の段階数が2段階で再演出の段階数が4段階の場合」のように、再演出の段階数から初期演出の段階数を引いた差が大きい場合には、「再演出として、ステップ1において、「STEP1」と示された予告画像53が存在する状態を表示し、ステップ2において、「STEP1」と示された予告画像53の左隣に「STEP2」と示された予告画像53が存在する状態を表示し、」「ステップ4において、「STEP1」と示された予告画像53の左隣に、「STEP2」と示された予告画像53、「STEP3」と示された予告画像53、「STEP4」と示された予告画像53が順に存在する状態を表示」して、再演出の段階数から初期演出の段階数を引いた差を示すことにより、遊技状態が遊技者にとって有利な遊技状態(特別遊技状態)となる可能性が高いことを報知しているといえ、このことは本件補正発明の「前記有利状態に制御される可能性が高いことを報知する」ことに相当する。

(f-5)上記(f-3)、(f-4)での検討、及び上記(c-7)での検討より刊行物1発明の「演出制御装置40」は本件補正発明の「変更演出実行手段」としての機能を有することより、刊行物1発明の「演出制御装置40」を「備え」、「演出制御装置40は、」「再演出を実行し、初期演出の段階数が2段階で再演出の段階数が4段階の場合、再演出として、ステップ1において、「STEP1」と示された予告画像53が存在する状態を表示し、ステップ2において、「STEP1」と示された予告画像53の左隣に「STEP2」と示された予告画像53が存在する状態を表示し、」「ステップ4において、「STEP1」と示された予告画像53の左隣に、「STEP2」と示された予告画像53、「STEP3」と示された予告画像53、「STEP4」と示された予告画像53が順に存在する状態を表示し、」「演出制御装置40は、再演出では、結果がはずれの場合よりも結果が当りの場合の方が、再演出におけるステップアップ演出の段階数から初期演出におけるステップアップ演出の段階数を引いた差が大きくなり易くし、再演出におけるステップアップ演出の段階数から初期演出におけるステップアップ演出の段階数を引いた差により、遊技状態が遊技者にとって有利な遊技状態(特別遊技状態)となる可能性の高さである信頼度を報知する、遊技機100」は、本件補正発明の「前記変更演出実行手段は、前記予告演出の段階数を示す演出を、より多い段階数を示す演出に変更して表示することにより、前記有利状態に制御される可能性が高いことを報知する」「遊技機」に相当する。

上記(a)?(f)の対比より、本件補正発明と刊行物1発明とは、次の点で一致している。
「A 可変表示を行い、遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であって、
B 演出態様に応じて前記有利状態に制御される可能性を報知する報知演出を実行可能な報知演出実行手段と、
C’前記報知演出が終了した後の特定タイミングにて、前記報知演出実行手段により実行された前記報知演出の演出態様を示す演出を表示した後に、該表示した演出態様に対して他の表示画像の作用による演出を実行することにより前記有利状態に制御される可能性がより高い演出態様を示す演出に変更して表示する変更演出実行手段とを備え、
D 前記報知演出実行手段は、前記報知演出として、演出態様を1段階から複数段階まで段階的に変化させ、前記有利状態に制御される場合に前記有利状態に制御されない場合よりも高い割合で多い段階まで演出態様が変化する予告演出を実行可能であり、
E’特定演出を実行可能であり、
F 前記変更演出実行手段は、前記予告演出の段階数を示す演出を、より多い段階数を示す演出に変更して表示することにより、前記有利状態に制御される可能性が高いことを報知する、遊技機。」

そして、本件補正発明と刊行物1発明とは、次の点で相違している。

(相違点1)
「変更演出実行手段」が「前記報知演出が終了した後の特定タイミングにて」「前記報知演出実行手段により実行された前記報知演出の演出態様を示す演出を表示した後に、該表示した演出態様に対して他の表示画像の作用による演出を実行することにより前記有利状態に制御される可能性がより高い演出態様を示す演出に変更して表示する」ことに関して、本件補正発明は、遊技媒体の検出を条件とせずに行うのに対して、刊行物1発明は、演出用ゲートSW46で遊技球を検出した場合に行う点。(構成C)

(相違点2)
本件補正発明においては、「前記予告演出の段階数に応じて、特定演出の実行割合が異な」るのに対して、刊行物1発明においては、「予告演出」の段階数に応じて、「スペシャルリーチ表示」の実行割合が異なることが特定されていない点。(構成E)

(4)判断
ア 上記相違点1について検討する。
遊技機の技術分野において、段階数の少ないステップアップ演出を実行した後に、特段の条件なしに、当該段階数の少ないステップアップ演出の内容を含む、段階数がより多いステップアップ演出を実行することは、例えば、特開2010-46274号公報(段落【0159】?【0164】、図11には、例えば、再変動3回の擬似連が実行される場合に、変動1回目にステップアップ予告として予告演出Aのみが実行され、変動2回目にステップアップ予告として予告演出Aから予告演出Bまで発展する予告演出が実行され、変動3回目にステップアップ予告として予告演出Aから予告演出Cまで発展する予告演出が実行され、変動4回目にステップアップ予告として予告演出Aから予告演出Dまで発展する予告演出が実行されるなど、1回の擬似連の中で、前回の再変動時のステップアップ予告の演出内容を含むステップアップ予告を行うことが記載されている。)、及び特開2010-137003号公報(段落【0220】?【0222】、図19、図20には、擬似連の変動開始から仮停止までの期間および各再変動中におけるステップアップ予告の態様(予告パターン)として、再変動の回数が増える毎に再変動中に実行されるステップアップ予告のステップ数が増える関係(規則性のある関係)である通常予告パターンを設け、例えば、再変動2回の予告パターンでは、変動開始から最初の仮停止までにステップ1のみのステップアップ予告を実行し、1回目の再変動でステップ1およびステップ2を実行するステップアップ予告を実行し、2回目の再変動でステップ1?ステップ3を実行するステップアップ予告を実行するなど、1回の擬似連の中で、前回の再変動時のステップアップ予告の演出内容を含むステップアップ予告を行うことが記載されている。)に示されるように、本願の出願遡及日前における周知技術である。
他方、刊行物1発明は、初期演出としてステップアップ演出を実行した後に、再演出として段階数がより多いステップアップ演出を実行するものである。
そうすると、ステップアップ演出を実行した後に段階数がより多いステップアップ演出を実行することについての上記周知技術を刊行物1発明に適用して、遊技媒体の検出を条件とせずに再演出を実行するようにし、上記相違点1に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得ることである。

イ 上記相違点2について検討する。
(ア)特開2010-42122号公報においては、段落【0059】-【0060】、図8(a)、(b)より、外れの場合、パターン抽選値0?10に「スーパー1」というスーパーリーチが対応付けられ、パターン抽選値11?20に「スーパー2」というスーパーリーチが対応付けられ、15R大当たりの場合、パターン抽選値0?120に「スーパー1」が対応付けられ、パターン抽選値121?240に「スーパー2」が対応付けられているから、「外れ」及び「15R大当たり」のいずれの場合においても、「スーパー1」、「スーパー2」の実行割合はほぼ等しいといえる。
また、段落【0121】-【0123】、図24より、特殊予告演出の3段階に移り変わるシーンSN1?SN3について、SN1にて終了する確率、及びSN2まで表示される確率は、「スーパー1」、「スーパー2」のいずれが選択されるときも、それぞれ10%、20%で互いに等しく、他方、SN3まで表示される確率は、「スーパー1」が選択されるときには40%に、「スーパー2」が選択されるときには30%に設定されている。
したがって、SN1又はSN2まで表示される場合、「スーパー1」、「スーパー2」の実行割合はそれぞれほぼ1/2ずつであるのに対して、SN3まで表示される場合、「スーパー1」の実行割合はほぼ4/7(40/(40+30))で、「スーパー2」の実行割合はほぼ3/7(30/(40+30))である。
よって、特開2010-42122号公報には、3段階に移り変わるシーンSN1?SN3のどの段階まで表示されるか(予告演出の段階数)に応じて、「スーパー1」、「スーパー2」(特定演出)の実行割合が異なることが記載されているといえる。

(イ)特開2010-137003号公報の段落【0220】-【0222】、図19、図20から、変動開始から仮停止までの期間(再変動(1回目)の前)において、ステップアップ予告の「ステップ1」、「ステップ1,2」、「ステップ1?3」は「(C)スーパーリーチ」以外(「(A)非リーチはずれ」又は「(B)ノーマルリーチ」)において実行される可能性があるのに対して、「ステップ1?4」は「(C)スーパーリーチ」においてのみ実行されることが把握できる。
したがって、変動開始から仮停止までの期間において、ステップアップ予告の「ステップ1」、「ステップ1,2」、「ステップ1?3」のいずれかが実行された場合の「(C)スーパーリーチ」の実行割合は1未満(「(C)スーパーリーチ」が実行されない可能性がある)であるのに対して、「ステップ1?4」が実行された場合の「(C)スーパーリーチ」の実行割合は1(「(C)スーパーリーチ」が必ず実行される)であるから、特開2010-137003号公報には、ステップアップ予告の段階数(予告演出の段階数)に応じて、「(C)スーパーリーチ」(特定演出)の実行割合が異なることが記載されているといえる。

(ウ)上記(ア)、(イ)に例示したように、予告演出の段階数に応じてリーチ演出の実行割合を異ならせることは、本願の出願遡及日前における周知技術である。
したがって、下位の段階から上位の段階まで順次表示する予告演出(構成d)、及びスペシャルリーチ表示を実行する刊行物1発明に、上記周知技術を適用して、予告演出の段階数に応じてスペシャルリーチ表示の実行割合が異なるようにし、上記相違点2に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得ることである。

ウ 本件補正発明が奏する効果について
本件補正発明が奏する効果は、当業者が刊行物1発明及び上記ア、イで検討した各周知技術から予測しうる程度のものであって、格別のものではない。

(5)請求人の主張について
ア 審判請求書の「1. 補正事項の説明」「(1)」「イ.」には、「報知演出実行手段により実行された報知演出の演出態様を示す演出を実行した後に、該表示した演出態様に対して「他の表示画像の作用による演出」を実行することにより、有利状態に制御される可能性がより高い演出態様を示す演出に変更して表示するという事項を限定する補正を行いました。」、「そして、[図40]-[図41]には、例えば[図40](B)の演出画像(1個の星形記号を含んだ擬似連図柄)を、[図40](C)のように一旦左下に小さく表示し、矢印によって、変更された演出画像(2個の星形記号を含んだ擬似連図柄)へと導いているため、「該表示した演出態様に対して他の表示画像の作用による演出を実行することにより前記有利状態に制御される可能性がより高い演出態様を示す演出に変更して表示する」ことになります。」と記載され、「矢印」の表示が本件補正発明の「他の表示画像の作用による演出」に対応する旨の説明がなされている。
しかしながら、上記「他の表示画像の作用による演出」が矢印の画像による演出であると限定して解釈する理由はない。

イ 請求人は、審判請求書の「3. 本願発明と引用発明との対比」の項において、「しかしながら、引用文献1には、再演出を実行する場合に、初期演出のステップアップ演出で実行された段階数といった、終了したステップアップ演出の演出態様を示す演出を表示することについて、開示や示唆となり得る記載がありません。」、また「本願の請求項1に係る発明では、変更演出実行手段による演出が行われることにより、終了した報知演出の演出態様を遊技者が確実に認識可能となり、・・・という有利な効果が得られます。」と主張している。
しかしながら、上記(3)(c-2)において検討したように、刊行物1発明の「初期演出の段階数が2段階で再演出の段階数が4段階の場合」において、「再演出として、ステップ1において、「STEP1」と示された予告画像53が存在する状態を表示し、ステップ2において、「STEP1」と示された予告画像53の左隣に「STEP2」と示された予告画像53が存在する状態を表示」する演出は、本件補正発明の「前記報知演出実行手段により実行された前記報知演出の演出態様を示す演出」に相当し、終了した初期演出のステップアップ演出の演出態様を示す演出である。したがって、刊行物1には、「再演出を実行する場合に、初期演出のステップアップ演出で実行された段階数といった、終了したステップアップ演出の演出態様を示す演出を表示すること」について記載されているといえる。
また、本件補正発明は「前記報知演出の演出態様を示す演出を表示」するものであるが、その後の「他の表示画像の作用による演出」との区切りが曖昧であるなど、報知演出の演出態様の認識が遊技者にとって困難であるものを含みうるから、請求人の主張する「終了した報知演出の演出態様を遊技者が確実に認識可能とな」るという効果は、本件補正発明において必ずしも得られるものではない。加えて、刊行物1発明は、「初期演出でのステップアップ演出で実行された段階数より信頼度が高い段階数まで、ステップアップ演出である再演出を実行」して、「再演出時には信頼度が高まったことを確実に遊技者に報知することができる」(段落【0020】)ものであるから、再演出において、初期演出の段階数と同じ段階数まで演出が進んだ時点で、終了した初期演出の態様を遊技者が認識することに困難性はないといえる。
よって、請求人が主張する「有利な効果」は、本件補正発明において必ずしも得られるものとはいえず、かつ刊行物1発明においても得られるものであるから、請求人の主張は採用することができない。

ウ 請求人は、審判請求書の「3. 本願発明と引用発明との対比」の項において、「引用文献1に記載された再演出は、初期演出と同様のステップアップ演出を最初から繰り返して、初期演出で実行された段階数以上の段階数まで実行するので、遊技者に飽きが生じやすく、遊技者の興味が低下しやすくなるという問題も生じます。」とした上で、「本願の請求項1に係る発明では、変更演出実行手段による演出が行われることにより、・・・、報知演出の繰り返し実行を防止してメリハリのある演出を実行し、遊技者の期待感や興味を円滑に高めて、・・・という有利な効果が得られます。」と主張している。
しかしながら、本件補正発明の「前記報知演出実行手段により実行された前記報知演出の演出態様を示す演出」には、報知演出と同じ演出を繰り返すことによって報知演出の演出態様を示すような演出も含まれるといえるから、請求人の主張する「報知演出の繰り返し実行を防止してメリハリのある演出を実行し、遊技者の期待感や興味を円滑に高め」るという効果は、本件補正発明において必ずしも得られるものではない。加えて、刊行物1発明の再演出は、初期演出で実行された段階数までは初期演出と同じ演出を行うものの、それより先は初期演出とは異なる演出を行うものであるから、刊行物1発明は、全く同じ演出を繰り返し実行するものではなく、メリハリのある演出を実行するものといえる。さらに、刊行物1発明は、再演出を実行することにより、「遊技者の遊技に対する興趣と共に期待感を高めることができる。」(段落【0082】)という効果が得られるものであるから、請求人の主張する「遊技者の期待感や興味を円滑に高め」るという効果と同じ効果が得られるものである。
よって、請求人が主張する「有利な効果」は、本件補正発明において必ずしも得られるものとはいえず、かつ刊行物1発明においても得られるものであるから、請求人の主張は採用することができない。

(6)まとめ
以上のように、本件補正発明は、当業者が刊行物1発明、及び周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

4 補正却下の決定についてのむすび
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成28年11月2日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである(ただし、A?Fは、分説するために当審で付した。)。
「【請求項1】
A 可変表示を行い、遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であって、
B 演出態様に応じて前記有利状態に制御される可能性を報知する報知演出を実行可能な報知演出実行手段と、
C’’前記報知演出が終了した後の特定タイミングにて、前記報知演出実行手段により実行された前記報知演出の演出態様を示す演出を表示した後に、該表示した演出態様に対して所定の作用を実行することにより前記有利状態に制御される可能性がより高い演出態様を示す演出に変更して表示する変更演出実行手段とを備え、
D 前記報知演出実行手段は、前記報知演出として、演出態様を1段階から複数段階まで段階的に変化させ、前記有利状態に制御される場合に前記有利状態に制御されない場合よりも高い割合で多い段階まで演出態様が変化する予告演出を実行可能であり、
E 前記予告演出の段階数に応じて、特定演出の実行割合が異なり、
F 前記変更演出実行手段は、前記予告演出の段階数を示す演出を、より多い段階数を示す演出に変更して表示することにより、前記有利状態に制御される可能性が高いことを報知する、
ことを特徴とする遊技機。」

2 刊行物
刊行物1の記載事項並びに刊行物1発明は、構成「a」、「b」、「d」、「f」については上記「第2 3(2)」において認定したとおりであり、構成「c’、f」、「e」については改めて認定する。

刊行物1には、「第2 3(2)」で検討した(ア)?(ケ)の記載事項、(コ)?(シ)の図面に関する認定に加えて、次の事項が記載されている。

(ス)「【0083】
また、再演出を行う時間が、前半変動時間において当該再演出と同様の演出を行う場合に必要な時間よりも短い場合には、再演出を行う時間に合わせて演出の進行速度を変更する(速くする)ようになっている。図4に示すように単位演出をなす予告画像53を順次表示することによりステップアップ演出を行う場合は、単位演出の表示後に次の単位演出を表示するまでの時間を変更する(短くする)ことで行う。」

(セ)「【0087】
その後、演出用ゲートSW46で遊技球の検出を有効とする有効期間の長さである有効時間を決定する処理(ステップS3)を行う。有効時間を決定する処理(ステップS3)では、結果情報を取得する処理(ステップS2)で取得した特図変動表示ゲームの結果に基づき有効時間を決定する。具体的には、図6に示すような割合となっており、例えば、結果が外れの場合は、有効時間として5秒を選択する確率が50%、10秒を選択する確率が30%、15秒を選択する確率が15%、20秒を選択する確率が5%となっている。そして、例えば、有効時間として20秒を選択する確率が、外れの場合は5%となっているのに対して当りの場合は15%となっているように、結果がはずれとなる場合よりも当り(特別結果態様)となる場合の方が長い有効時間を選択する割合が高くされている。
【0088】
これにより、結果が特別結果態様となる場合の方が、演出用ゲートSW46で遊技球が検出され易くなるので再演出が実行され易くなり、演出により特別結果態様が導出される際の興趣を効果的に向上できるようになる。また、有効時間の長さにより特別結果態様となる可能性の高さである信頼度が遊技者に報知されることにもなり、有効期間における興趣を向上できる。なお、有効時間として最も長い20秒が選択された場合は、スペシャルリーチ表示の背景として特別な画像(ムービー)を表示するようにする。」

上記「第2 3(2)」の記載事項(カ)、及び上記記載事項(セ)から、図面に関して以下の事項が導かれる。

(ソ)上記段落【0087】の「特図変動表示ゲームの結果に基づき有効時間を決定する。具体的には、図6に示すような割合となっており、例えば、結果が外れの場合は、有効時間として5秒を選択する確率が50%、10秒を選択する確率が30%、15秒を選択する確率が15%、20秒を選択する確率が5%となっている。」との記載より、刊行物1には、結果が外れの場合は、有効時間として5秒を選択する確率が50%、10秒を選択する確率が30%、15秒を選択する確率が15%、20秒を選択する確率が5%となっていることが記載されているといえる。
また、図6から、上記「結果が外れの場合」と同様に結果が当りの場合について読み取ると、刊行物1には、結果が当りの場合は、有効時間として5秒を選択する確率が30%、10秒を選択する確率が40%、15秒を選択する確率が15%、20秒を選択する確率が15%となっていることが記載されているといえる。

(タ)上記段落【0090】の「例えば、図7(a)に示すように、結果が外れの場合であって選択された有効時間が5秒である場合は、初期ステップとして1が選択される確率が60%、2が選択される確率が35%、3が選択される確率が5%、4が選択される確率が0%となっている。」との記載、上記段落【0091】の「結果が外れの場合であって選択された有効時間が20秒である場合は、初期ステップとして1が選択される確率が30%、2が選択される確率が45%、3が選択される確率が18%、4が選択される確率が7%となっている。」との記載より、刊行物1には、結果が外れの場合について、選択された有効時間が5秒である場合は、初期ステップとして1が選択される確率が60%、2が選択される確率が35%、3が選択される確率が5%、4が選択される確率が0%となっていること、及び選択された有効時間が20秒である場合は、初期ステップとして1が選択される確率が30%、2が選択される確率が45%、3が選択される確率が18%、4が選択される確率が7%となっていることが記載されているといえる。また、図7(a)から、同様に、選択された有効時間が10秒、15秒の場合について読み取ると、刊行物1には、結果が外れの場合について、選択された有効時間が10秒である場合は、初期ステップとして1が選択される確率が50%、2が選択される確率が40%、3が選択される確率が7%、4が選択される確率が3%となっていること、及び選択された有効時間が15秒である場合は、初期ステップとして1が選択される確率が40%、2が選択される確率が40%、3が選択される確率が15%、4が選択される確率が5%となっていることが記載されているといえる。
さらに、図7(b)から、結果が当りの場合についても読み取ると、刊行物1には、結果が当りの場合について、選択された有効時間が5秒である場合は、初期ステップとして1が選択される確率が50%、2が選択される確率が40%、3が選択される確率が7%、4が選択される確率が3%となっていること、選択された有効時間が10秒である場合は、初期ステップとして1が選択される確率が40%、2が選択される確率が45%、3が選択される確率が10%、4が選択される確率が5%となっていること、選択された有効時間が15秒である場合は、初期ステップとして1が選択される確率が30%、2が選択される確率が50%、3が選択される確率が13%、4が選択される確率が7%となっていること、選択された有効時間が20秒である場合は、初期ステップとして1が選択される確率が20%、2が選択される確率が55%、3が選択される確率が15%、4が選択される確率が10%となっていることが記載されているといえる。

上記「第2 3(2)」の記載事項(カ)、上記記載事項(セ)、及び上記(ソ)、(タ)の図面に関する認定から、以下の事項が導かれる。

(お)
(お-1)上記(ソ)、(タ)で認定された確率より、結果が外れの場合に関して、初期ステップとして1が選択された場合に有効時間が20秒である割合は、計算式(5/100*30/100)/(50/100*60/100+30/100*50/100+15/100*40/100+5/100*30/100)により、1/35(約2.9%)と求められる。また、同様の計算により、結果が外れの場合に関して、初期ステップとして2、3、4が選択された場合に有効時間が20秒である割合は、それぞれ、9/151(約6.0%)、18/155(約11.6%)、7/40(17.5%)と求められる。したがって、結果が外れの場合に関して、初期ステップに応じて有効時間が20秒である割合が異なることは明らかである。
さらに、上記(ソ)、(タ)で認定された確率より、結果が当りの場合に関しても同様の計算を行うと、初期ステップとして1、2、3、4が選択された場合に有効時間が20秒である割合は、それぞれ6/77(約7.8%)、11/61(約18.0%)、45/206(約21.8%)、30/109(約27.5%)と求められる。したがって、結果が当りの場合に関しても、初期ステップに応じて有効時間が20秒である割合が異なることは明らかである。
よって、刊行物1には、初期ステップに応じて、有効時間が20秒である割合が異なることが記載されているといえる。

(お-2)上記(お-1)での検討、及び上記段落【0088】の「有効時間として最も長い20秒が選択された場合は、スペシャルリーチ表示の背景として特別な画像(ムービー)を表示するようにする。」との記載より、刊行物1には、初期ステップに応じて、スペシャルリーチ表示の背景として特別な画像(ムービー)を表示する割合が異なることが記載されているといえる。

(お-3)上記段落【0089】の「初期演出におけるステップアップ演出で実行する段階数である初期ステップ」との記載、及び上記「第2 3(2)(う-3)」での検討より初期演出は予告演出として実行されることより、刊行物1において、「初期ステップ」は、予告演出の段階数のことであるといえる。

(お-4)上記(お-2)、(お-3)での検討より、刊行物1には、予告演出の段階数に応じて、スペシャルリーチ表示の背景として特別な画像(ムービー)を表示する割合が異なることが記載されていると認められる。

したがって、刊行物1には、次の発明(以下、「刊行物1’発明」という。)が記載されていると認められる(記号a?fは、本願発明の記号A?Fに対応させて付した。)。
「a 表示状態が変化可能な表示装置43を有し、該表示装置43が時期を異ならせて複数の表示結果を導出表示し、該複数の表示結果が予め定められた特別結果態様となった場合に、遊技状態が遊技者にとって有利な遊技状態(特別遊技状態)となる遊技機100であって、(段落【0051】、【0067】)
b 遊技機100が備える演出制御装置40は、リーチ状態となるまでの前半変動時間において、予告画像53により遊技状態が遊技者にとって有利な遊技状態(特別遊技状態)となる可能性の高さである信頼度が遊技者に報知される初期演出を実行し、初期演出として2段階目まで実行されるステップアップ演出の場合、ステップ1において、「STEP1」と示された予告画像53が存在する状態を表示し、ステップ2において、「STEP1」と示された予告画像53の左隣に「STEP2」と示された予告画像53が存在する状態を表示し、(認定事項(あ))
c、f 演出制御装置40は、前半変動時間が終了して開始される有効期間において演出用ゲートSW46で遊技球を検出した場合は、初期演出でのステップアップ演出で実行された段階数より信頼度が高い段階数まで、ステップアップ演出である再演出を実行し、初期演出の段階数が2段階で再演出の段階数が4段階の場合、再演出として、ステップ1において、「STEP1」と示された予告画像53が存在する状態を表示し、ステップ2において、「STEP1」と示された予告画像53の左隣に「STEP2」と示された予告画像53が存在する状態を表示し、ステップ3において、ステップ2で表示した「STEP1」と示された予告画像53、及びその左隣に存在する「STEP2」と示された予告画像53に対して、その左隣に「STEP3」と示された予告画像53を追加して表示し、ステップ4において、「STEP1」と示された予告画像53の左隣に、「STEP2」と示された予告画像53、「STEP3」と示された予告画像53、「STEP4」と示された予告画像53が順に存在する状態を表示し、再演出では、単位演出をなす予告画像53の表示後に次の単位演出をなす予告画像53を表示するまでの時間を短く変更し、(認定事項(い)、段落【0083】)
d 演出制御装置40は、初期演出として、段階に応じた単位演出をなす予告画像53を下位の段階(ステップ1)から上位の段階まで順次表示し、より上位の段階まで演出が進行すれば、遊技状態が遊技者にとって有利な遊技状態(特別遊技状態)となる可能性の高さである信頼度が高いことを示唆する予告演出を実行し、(認定事項(う))
e 予告演出の段階数に応じて、スペシャルリーチ表示の背景として特別な画像(ムービー)を表示する割合が異なり、(認定事項(お))
f 演出制御装置40は、再演出では、結果がはずれの場合よりも結果が当りの場合の方が、再演出におけるステップアップ演出の段階数から初期演出におけるステップアップ演出の段階数を引いた差が大きくなり易くし、再演出におけるステップアップ演出の段階数から初期演出におけるステップアップ演出の段階数を引いた差により、遊技状態が遊技者にとって有利な遊技状態(特別遊技状態)となる可能性の高さである信頼度を報知する、(認定事項(え))
遊技機100。(段落【0051】)」

3 対比・判断
本願発明は、上記「第2 3(1)」で検討した本件補正発明から、「変更演出実行手段」に関して、「遊技媒体の検出を条件とせずに、」との限定を省き、また「他の表示画像の作用による演出」との限定を省いて「所定の作用」としたものである。

本願発明と刊行物1’発明とを対比する。

(1)上記「第2 3(3)」における検討をふまえると、刊行物1’発明は、本願発明の構成A、B、D、Fに相当する構成を有している。

(2)本願発明の構成C’’と、刊行物1’発明の構成c、fとを対比する。
刊行物1’発明は、「再演出では、単位演出をなす予告画像53の表示後に次の単位演出をなす予告画像53を表示するまでの時間を短く変更」するものであるから、「ステップ1において、「STEP1」と示された予告画像53が存在する状態を表示し、ステップ2において、「STEP1」と示された予告画像53の左隣に「STEP2」と示された予告画像53が存在する状態を表示」する演出での予告画像53に関して、「単位演出をなす予告画像53の表示後に次の単位演出をなす予告画像53を表示するまでの時間を短く変更」するという作用が実行され、それにより、その後の信頼度がより高い「STEP3」や「STEP4」と示された予告画像53による演出に変更して表示されるものと見ることができる。
このことと、上記「第2 3(3)」の(c-1)?(c-3)、(c-5)での検討より、刊行物1’発明の「前半変動時間が終了して開始される有効期間において演出用ゲートSW46で遊技球を検出した場合は、初期演出でのステップアップ演出で実行された段階数より信頼度が高い段階数まで、ステップアップ演出である再演出を実行し、初期演出の段階数が2段階で再演出の段階数が4段階の場合、再演出として、ステップ1において、「STEP1」と示された予告画像53が存在する状態を表示し、ステップ2において、「STEP1」と示された予告画像53の左隣に「STEP2」と示された予告画像53が存在する状態を表示し、ステップ3において、ステップ2で表示した「STEP1」と示された予告画像53、及びその左隣に存在する「STEP2」と示された予告画像53に対して、その左隣に「STEP3」と示された予告画像53を追加して表示し、ステップ4において、「STEP1」と示された予告画像53の左隣に、「STEP2」と示された予告画像53、「STEP3」と示された予告画像53、「STEP4」と示された予告画像53が順に存在する状態を表示し、再演出では、単位演出をなす予告画像53の表示後に次の単位演出をなす予告画像53を表示するまでの時間を短く変更」する「演出制御装置40」は、本願発明の「前記報知演出が終了した後の特定タイミングにて、前記報知演出実行手段により実行された前記報知演出の演出態様を示す演出を表示した後に、該表示した演出態様に対して所定の作用を実行することにより前記有利状態に制御される可能性がより高い演出態様を示す演出に変更して表示する変更演出実行手段」(構成C’’)としての機能を有する。

(3)本願発明の構成Eと、刊行物1’発明の構成eとを対比する。
刊行物1’発明の構成eの「予告演出の段階数に応じて」、「スペシャルリーチ表示の背景として」の「特別な画像(ムービー)」は、それぞれ本願発明の構成Eの「前記予告演出の段階数に応じて」、「特定演出」に相当する。
したがって、刊行物1’発明の構成eの「予告演出の段階数に応じて、スペシャルリーチ表示の背景として特別な画像(ムービー)を表示する割合が異なり」は、本願発明の構成Eの「前記予告演出の段階数に応じて、特定演出の実行割合が異なり」に相当する。

上記(1)?(3)の対比より、本願発明と刊行物1’発明とは、
「A 可変表示を行い、遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であって、
B 演出態様に応じて前記有利状態に制御される可能性を報知する報知演出を実行可能な報知演出実行手段と、
C’’前記報知演出が終了した後の特定タイミングにて、前記報知演出実行手段により実行された前記報知演出の演出態様を示す演出を表示した後に、該表示した演出態様に対して所定の作用を実行することにより前記有利状態に制御される可能性がより高い演出態様を示す演出に変更して表示する変更演出実行手段とを備え、
D 前記報知演出実行手段は、前記報知演出として、演出態様を1段階から複数段階まで段階的に変化させ、前記有利状態に制御される場合に前記有利状態に制御されない場合よりも高い割合で多い段階まで演出態様が変化する予告演出を実行可能であり、
E 前記予告演出の段階数に応じて、特定演出の実行割合が異なり、
F 前記変更演出実行手段は、前記予告演出の段階数を示す演出を、より多い段階数を示す演出に変更して表示することにより、前記有利状態に制御される可能性が高いことを報知する、遊技機。」
の点で一致しており、相違点はない。

したがって、本願発明は刊行物1’発明である。
また、仮に相違点があったとしても、本願発明は当業者が刊行物1’発明に基づいて容易に発明をすることができたものである。

4 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し、または同条第2項の規定により、特許を受けることができない。

したがって、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2018-05-31 
結審通知日 2018-06-05 
審決日 2018-06-19 
出願番号 特願2015-211973(P2015-211973)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (A63F)
P 1 8・ 121- Z (A63F)
P 1 8・ 113- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小河 俊弥  
特許庁審判長 石井 哲
特許庁審判官 櫻井 茂樹
樋口 宗彦
発明の名称 遊技機  
代理人 木村 満  

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