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審決分類 審判 査定不服 特174条1項 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1342937
審判番号 不服2017-15632  
総通号数 225 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-09-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-10-20 
確定日 2018-08-09 
事件の表示 特願2017- 5017「プログラム、制御方法、および情報処理装置」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 4月12日出願公開、特開2018- 57801〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成28年9月30日に出願した特願2016-194221号の一部を平成29年1月16日に新たな出願としたものであって、同年1月31日付けで拒絶理由が通知され、同年3月6日付けで手続補正がされ、同年5月9日付けで拒絶理由が通知され、同年7月26日付けで拒絶の査定がなされ、これに対し、同年10月20日付けで拒絶査定に対する審判請求がなされたものである。


第2 本願発明
本願の請求項1?10に係る発明は、平成29年3月6日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1?10に記載された事項により特定されるものであり、そのうち請求項1に係る発明は、次のとおりのものである。
「【請求項1】
ゲーム媒体を表示する表示部と、ユーザが前記ゲーム媒体を選択する第1の入力操作および前記第1の入力操作により選択されたゲーム媒体に対する処理を指示する第2の入力操作を受け付けて、前記第1の入力操作を座標情報と関連付けた第1の入力操作データおよび前記第2の入力操作を座標情報と関連付けた第2の入力操作データを出力する操作部と、前記ゲーム媒体に対する処理と向きとを対応付けた情報を記憶する記憶部と、を備える情報処理装置に、
前記第1の入力操作データに基づいて、前記選択されたゲーム媒体を特定するゲーム媒体特定ステップと、
前記記憶部から前記情報を取得するステップと、
前記第2の入力操作データに基づいて、前記第2の入力操作の始点から終点への向きを特定するステップと、
前記第2の入力操作の始点から終点までの距離が閾値を超える場合に、前記情報で前記第2の入力操作の始点から終点への向きに対応付けられた一の処理を前記選択されたゲーム媒体に対して行い、前記第2の入力操作の始点から終点までの距離が閾値を超えない場合に前記一の処理を行わない、判定ステップと、を実行させ、
前記判定ステップは、特定された前記第2の入力操作の始点から終点への向きが所定の向きである場合に実行されない、プログラム。」(以下「本願発明」という。)


第3 原査定の拒絶の理由
拒絶査定の理由である、平成29年5月9日付け拒絶理由通知の理由は、概略、次のとおりのものである。
(新規事項)平成29年3月6日付け手続補正書でした補正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。


第4 当審の判断
平成29年3月6日付け手続補正書により、請求項1に、「前記判定ステップは、特定された前記第2の入力操作の始点から終点への向きが所定の向きである場合に実行されない」との事項(以下「補正事項」という。)が追加された。
上記補正事項を含む本願発明における補正は、判定ステップが、特定された前記第2の入力操作の始点から終点への向きが所定の向きである場合に実行されない、プログラム、であると、さらに限定するものである。
そうすると、上記補正事項により、本願発明には、第2の入力操作が所定の向きである場合には、第2の入力操作の始点から終点までの距離が閾値を超えたか否かに関わらず、判定ステップが実行されない、という新たな事項が包含されることとなった。

そこで、上記第2の入力操作について検討すると、願書に添付した明細書、特許請求の範囲、及び図面(以下「当初明細書等」という。)には、以下のとおり記載されている。
「【0082】
上記の実施形態において、所定の条件(例えば閾値を超える長さであって、かつ意図的な向きの転換がないこと)が満たされたスライド操作が行われると、一の処理が直ちに実行された。ここで、所定の条件が満たされたスライド操作が行われても、1回目は処理の準備が行われて、もう一度ユーザが同じ向きにスライド操作をした場合に処理が実行されてもよい。例えば、ユーザが行ったスライド操作の向きに対応付けられた処理が倉庫であるとする。このとき、1回目のスライド操作では倉庫への保管は実行されず、準備画面が示されてもよい。準備画面は、例えば選択されたゲーム媒体と「保管してもよいですか?」との確認メッセージとを含むものでもよい。また、1回目のスライド操作の後にユーザが行う処理を実行させる操作は、同じ向きへのスライド操作に代えて、長押し、所定時間のスライド操作の停止等が用いられてもよい。
【0083】
上記の実施形態において、スライド操作の向きに対応付けられているのは、ゲーム媒体に対して実行される処理であった。ここで、スライド操作の1つの向きにはキャンセルが対応付けられてもよい。例えば、ゲーム媒体の種類にかかわらず、左下向きにキャンセルが対応付けられてもよい。このとき、ゲーム媒体の選択で過不足があったことに気付いた場合等に、ユーザは左下向きのスライド操作をすることによって直ちにキャンセルをするができる。また、スライド操作の1つの向きにはヘルプ情報122の表示が対応付けられてもよい。例えば、ゲーム媒体の種類にかかわらず、左上向きにヘルプ情報122の表示が対応付けられてもよい。このとき、ユーザはいつでも直ちにヘルプ情報122を確認することができる。また、上記のように処理の準備(例えば倉庫の準備、売却の準備等)が行われる場合に、スライド操作の1つの向きに最終的な実行が対応付けられてもよい。このとき、複数の処理の準備の後でまとめて処理を実行することが可能になる。」

上記【0082】、及び【0083】の記載より、当初明細書等に記載の「スライド操作」は、本願発明の「第2の入力操作」に対応している。そして、上記【0083】の記載より、「ゲーム媒体に対して実行される処理」は、「スライド操作の向き」に対応付けられていると共に、「キャンセル」、「ヘルプ情報122の表示」、及び「最終的な実行」も、「スライド操作の向き」に対応付けられていることが記載されている。
そして、上記【0082】に「所定の条件(例えば閾値を超える長さであって、かつ意図的な向きの転換がないこと)が満たされたスライド操作が行われると、一の処理が直ちに実行された。」と記載され、上記のとおりであるから、上記「キャンセル」、「ヘルプ情報122の表示」、及び「最終的な実行」は、「ゲーム媒体に対して実行される処理」と同様に、「所定の条件(例えば閾値を超える長さであって、かつ意図的な向きの転換がないこと)が満たされ」ると、その処理が実行されるものであると理解するのが自然である。
また、上記【0082】に「所定の条件(例えば閾値を超える長さであって、かつ意図的な向きの転換がないこと)が満たされたスライド操作が行われると、一の処理が直ちに実行された。」と記載されていることから、上記【0083】の「ユーザは左下向きのスライド操作をすることによって直ちにキャンセルをするができる。」は、所定の条件(例えば閾値を超える長さであって、かつ意図的な向きの転換がないこと)が満たされると、一の処理、すなわち、キャンセルが直ちに実行されるものであると理解するのが自然である。
そうすると、発明の詳細な説明に記載の「キャンセル」は、「スライド操作の向き」が対応付けられるものであって、「所定の条件(例えば閾値を超える長さであって、かつ意図的な向きの転換がないこと)が満たされ」ると、その処理が実行されるものであるといえる。
してみると、本願発明の「判定ステップは、特定された前記第2の入力操作の始点から終点への向きが所定の向きである場合に実行されない」との事項に対応する事項は、発明の詳細な説明に記載されていない。また、当初明細書等の記載事項から自明の事項といえる理由もない。
よって、本願発明は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものであって、当初明細書等に記載した事項の範囲内でなされたものではない。

したがって、上記補正事項により補正された本願発明は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものであって、当初明細書等に記載した事項の範囲内でなされたものではない。


第5 むすび
以上のとおりであって、平成29年3月6日付け手続補正書による補正が、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてなされたものであるとはいえないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2018-06-05 
結審通知日 2018-06-12 
審決日 2018-06-25 
出願番号 特願2017-5017(P2017-5017)
審決分類 P 1 8・ 55- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 櫻井 茂樹彦田 克文東 芳隆  
特許庁審判長 黒瀬 雅一
特許庁審判官 森次 顕
藤本 義仁
発明の名称 プログラム、制御方法、および情報処理装置  
代理人 岡野 大和  
代理人 鈴木 俊樹  
代理人 杉村 憲司  

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