• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  A23L
管理番号 1342945
異議申立番号 異議2017-700478  
総通号数 225 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2018-09-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2017-05-16 
確定日 2018-06-20 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6026289号発明「ノンフライ即席麺製造方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6026289号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された、訂正後の請求項〔1-9〕について訂正することを認める。 特許第6026289号の請求項1ないし9に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6026289号の請求項1ないし9に係る特許についての出願は、平成28年10月21日付けでその特許権の設定登録がされ、その後、平成29年5月16日に特許異議申立人伊澤武登より特許異議の申立てがなされ、平成29年8月2日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である平成29年10月3日付けで意見書の提出及び訂正の請求がなされ、平成29年12月27日付けで取消理由(決定の予告)が通知され、その指定期間内である平成30年3月6日付けで意見書の提出及び訂正の請求がなされ(意見書右上の「平成29年3月6日」という記載は、「平成30年3月6日」の誤記と認める。)、平成30年4月16日付けで特許異議申立人伊澤武登より意見書の提出がなされたものである。
なお、平成29年10月3日付けの訂正請求書による訂正の請求は、特許法第120条の5第7項の規定により、取り下げられたものとみなす。

第2 訂正の適否
1.訂正の内容
平成30年3月6日付け訂正請求書による訂正の請求は、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを求めるものであり、訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は、以下のとおりである。
(1)訂正事項1
訂正前の特許請求の範囲の請求項1に「(c)麺線化→、(d)蒸し」とあるのを「(c)麺線化→(d)蒸し」と訂正する。
(2)訂正事項2
訂正前の特許請求の範囲の請求項1に「特徴とする、前記ノンフライ即席麺の製造方法。」とあるのを、「特徴とする、ここにおいて、(e)の予備乾燥は、麺線に35-100℃の熱風又は温風を当てることによって行う、ただし、(d)蒸し工程と(e)予備乾燥工程の間に調味液を付着させて麺線を着味する着味工程を含む方法を除く前記ノンフライ即席麺の製造方法。」と訂正する。
(3)訂正事項3
訂正前の特許請求の範囲の請求項6に「(h)均し工程において、少なくとも3段階」とあるのを、「(h)均し工程において、エアーノズルの円回転の回転径80mmの1回目、エアーノズルの円回転の回転径100mmの2回目、エアーノズルの円回転の回転径120mmの3回目、からなる3段階」と訂正する。

2.訂正の目的の適否、新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)訂正事項1について
ア 訂正前の請求項1に「(c)麺線化→、(d)蒸し」と読点「、」が記載されていたところ、同じく請求項1に「(b)麺帯の作成→(c)麺線化」及び「(d)蒸し→(e)予備乾燥」と記載されていて、「→」の直後に読点「、」が付されていないことからみて、「→、」は、「→」の誤記であることは明らかである。よって、訂正事項1は、誤記の訂正を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことについて
上記「ア」に記載したとおり、訂正事項1は、誤記の訂正を行うものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
ウ 願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることについて
上記「ア」に記載したとおり、訂正事項1は、訂正前の特許請求の範囲の請求項1に「(c)麺線化→、(d)蒸し」とあるのを「(c)麺線化→(d)蒸し」と誤記の訂正を行うものであるから、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内であることは明らかである。
(2)訂正事項2について
ア 訂正の目的について
訂正事項2は、請求項1に「ここにおいて、(e)の予備乾燥は、麺線に35-100℃の熱風又は温風を当てることによって行う、ただし、(d)蒸し工程と(e)予備乾燥工程の間に調味液を付着させて麺線を着味する着味工程を含む方法を除く」との限定を加えるものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことについて
訂正事項2は、上記「ア」に記載したとおり、「(e)予備乾燥」について、より具体的に特定するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。また、「ただし、(d)蒸し工程と(e)予備乾燥工程の間に調味液を付着させて麺線を着味する着味工程を含む方法を除く」ものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることについて
「(e)予備乾燥」を「麺線に35-100℃の熱風又は温風を当てることによって行う、」ことについては、本件特許明細書の【0010】に「(e)の予備乾燥を、麺線に熱風又は温風を30秒-120秒当てることによって行う」、【0017】に「予備乾燥工程のための具体的手段は、・・・熱風乾燥、高速風力乾燥、高温多湿下における乾燥、等が含まれる。好ましくは、熱風乾燥である。」及び【0018】に「熱風乾燥における熱風の温度は、限定されるわけではないが、好ましくは、35-100℃、」と記載されている。
また、「ただし、(d)蒸し工程と(e)予備乾燥工程の間に調味液を付着させて麺線を着味する着味工程を含む方法を除く」ことについては、ノンフライ即席麺の製造方法における特定の工程を、いわゆる「除くクレーム」により除くものであり、実施例においても、(d)蒸し工程と(e)予備乾燥工程の間に調味液を付着させて麺線を着味する着味工程を行うものではなく(【0064】ないし【0068】)、新たな技術的事項を導入するものではないから、訂正事項2は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。
(3)訂正事項3について
ア 訂正の目的について
訂正事項3は、特許請求の範囲の請求項6の(h)均し工程の3段階のエアー流について「エアーノズルの円回転の回転径80mmの1回目、エアーノズルの円回転の回転径100mmの2回目、エアーノズルの円回転の回転径120mmの3回目、からなる」と特定することにより限定を加えるものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことについて
訂正事項3は、上記「ア」に記載したとおり、(h)均し工程をより具体的に特定するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることについて
(h)均し工程において、「エアーノズルの円回転の回転径80mmの1回目、エアーノズルの円回転の回転径100mmの2回目、エアーノズルの円回転の回転径120mmの3回目、からなる3段階のエアー流を当てる」ことについては、本件特許明細書の
「【0083】
3回(3段階)のエアー流を当てた場合、麺表面の凹凸が平らに均された状態となった。
本実施例より、3段階のエアー均し工程で麺塊を平らに均すことが可能であることが示された。
【0084】
実施例4 段階毎のエアー流の回転径及びエアー圧力の検討
実施例3において、エアー均し工程は1回(1段階)では不十分で、少なくとも3回(3段階)行うことが望ましいことが明らかになった。本実施例では各段階におけるエアー流の回転径及びエアー圧力の検討を行った。
【0085】
(1)1回目の回転径及びエアー圧力の設定
a.回転径の直径120mmのエアー流を当てたところ、麺塊にエアーが接触する時間が少ないため、麺塊を崩す効果が少なかった。むしろ麺塊に合わせより小さい直径80mmで行った結果、麺塊にエアーが接触している時間が長くなり、麺塊を効率よく崩すことができた。
【0086】
b.エアー圧は、高圧設定(0.2?0.3Mpa程度)を用いて実施した。この圧力であれば、麺塊を崩すことができ、トレーに麺塊を装填した際に発生する麺数本のはみ出しも、トレー内に引き込むことができた。
【0087】
(2)2回目の回転径及びエアー圧力の設定
a.回転径の直径80mmのエアー流を当てたところ、トレー供給方向前後では、麺はトレーの隅にまで入り込むが、左右方向には隙間が出来てしまった。直径100mmで行った結果、トレー中央の麺を左右にも押し出しでき、トレーの前後・左右においても隅々に入れることができた。
【0088】
b.エアー圧は中圧設定(0.2?0.3Mpa程度)を用いて実施した。この中圧により1回目エアー流で麺塊を崩したものを。大きく乱すこと無く、左右に麺を押し出し、麺をトレーの隅々にまで均すことができた。
【0089】
(3)3回目の回転径及びエアー圧力の設定
a.回転径の直径100mmのエアー流を当てたところ、エアーが当たる部分の麺は平らに均されるが、トレー左右の麺は凹凸が残ったままとなっていた。直径120mmのトレー径に近いもので行った結果、前後左右の麺の凸凹が平らに均された。
【0090】
b.エアー圧力は、低圧設定(0.15?0.25Mpa程度)を用いて実施した。この低圧により2回目エアーでトレー隅々に入れた状態を維持しつつ、麺上部の凹凸を平らに均すことができた。」
と記載されている。
よって、訂正事項3は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。

3.一群の訂正であること
本件訂正請求は、一群の請求項1ないし9になされたものである。

4.まとめ
したがって、本件訂正の請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び2号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、訂正後の請求項〔1-9〕について訂正を認める。

第3 取消理由についての判断
1.本件発明
本件訂正の請求により訂正された訂正請求項1ないし9に係る発明(以下「本件発明1」ないし「本件発明9」という。)は、以下のとおりである。
【請求項1】
ノンフライ即席麺の製造方法であって、
当該製造方法は、(a)麺材料の混合→(b)麺帯の作成→(c)麺線化→(d)蒸し→(e)予備乾燥→(f)麺線の切り出し→(g)麺塊成型用トレーへの装填→(h)エアー均し工程→(i)保形乾燥→(j)本乾燥→(k)冷却、を含み、そして、
麺水分が35-55重量%になるまで麺線を乾燥する、(e)予備乾燥工程、並びに
麺塊成型用トレーへの装填された麺に、エアー圧力及び/又はエアー流のかかる範囲を段階的にあるいは徐々に変化させたエアー流を当てることによって麺塊を均す、(h)エアー均し工程、
ことを含むことを特徴とする、
ここにおいて、(e)の予備乾燥は、麺線に35-100℃の熱風又は温風を当てることによって行う、
ただし、(d)蒸し工程と(e)予備乾燥工程の間に調味液を付着させて麺線を着味する着味工程を含む方法を除く
前記ノンフライ即席麺の製造方法。
【請求項2】
(e)の予備乾燥を、麺線に熱風又は温風を30秒-120秒当てることによって行う、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
(h)均し工程において、ピンポイントノズルを円回転させて生じたエアー流を当てる、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
(h)均し工程のエアー圧力が0.2-0.5MPaである、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
(h)均し工程において、エアーノズルの円回転の回転径を段階的に又は徐々に大きくしていく、請求項3又は4に記載の方法。
【請求項6】
(h)均し工程において、エアーノズルの円回転の回転径80mmの1回目、エアーノズルの円回転の回転径100mmの2回目、エアーノズルの円回転の回転径120mmの3回目、からなる3段階のエアー流を当てる、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
(h)均し工程において、最終段階でエアー流の圧力を徐々に下げていく、請求項1-6のいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
(h)均し工程において、エアーを合計6-20秒当てる、請求項1-7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
ピンポイントノズルを有するエアー流発生装置の、請求項1-8のいずれか1項に記載の方法への使用。

2.当審の判断
(1)取消理由通知に記載した取消理由について
取消理由の概要は、以下のとおりである。
本件特許発明1ないし9は、その特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の引用例1に記載された発明並びに引用例2及び3に記載された事項に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。

引用例1:特開2011-244725号公報(特許異議申立人提出の甲第1号証。以下「甲1」という。)
引用例2:特開平1-191633号公報(同第2号証)
引用例3:特開平3-251149号公報(同第3号証)

なお、取消理由通知は特許異議の申立ての全理由を含むものである。

(2)取消理由についての判断
ア 引用例
甲1には、以下の事項が記載されている(下線は、当審で付与した。)。
「【0001】
本発明は、味付けを施した後に麺を乾燥させる即席麺の製造方法に関し、特に油で揚げていないいわゆるノンフライ麺、及びその製造方法に関するものである。」
「【0013】
本発明は、ノンフライ麺の製造方法において、調味液を付着させて麺線を着味する着味工程と、着味された前記麺線を、付着した前記調味液中の水分が蒸発するとともに前記麺線が膨化しないように、過熱蒸気により加熱する加熱工程と、加熱された前記麺線を乾燥させる乾燥工程とを備えたことを特徴とする。
【0014】
この場合において、前記加熱工程は、前記着味された麺線を、145℃から280℃の過熱蒸気で10秒間から60秒間加熱してもよい。前記加熱工程は、前記着味された麺線を、170℃から250℃の過熱蒸気で20秒間から45秒間加熱してもよい。前記着味された麺線は、38%から52%の水分含有率を有してもよい。前記加熱された麺線は、30%から40%の水分含有率を有してもよい。前記乾燥工程は、前記加熱された麺線を、60℃から200℃の熱風で乾燥させてもよい。前記乾燥工程は、前記加熱された麺線を、前記麺線が膨化するように熱風で乾燥させてもよい。前記乾燥工程は、前記加熱された麺線を、通気性を有する乾燥用容器に収容した状態で乾燥させてもよい。」
「【0025】
蒸された麺線1は、先ず、連続した一本の長い麺線1の状態で、着味装置10による着味工程に送られる。着味工程では、例えば、浸漬により調味液が麺線1に付着される。」
「【0029】
次に、着味工程で着味された麺線1は、連続した一本の長い麺線1のままで、加熱装置20による加熱工程に送られる。
【0030】
加熱工程では、付着した調味液中の水分が蒸発するとともに麺線1が膨化しないように、麺線1が過熱蒸気を用いて加熱される。
【0031】
本実施形態では、約170℃から約250℃の過熱蒸気を用いて約20秒間から約45秒間、麺線1を加熱している。なお、付着した調味液中の水分が蒸発するとともに麺線1が膨化しないようにすることは、着味された麺線1を、約145℃から約280℃の過熱蒸気を用いて約10秒間から約60秒間加熱すれば実現できる。」
「【0043】
麺線1に過熱蒸気が当てられると、麺線1に含まれる蛋白質が加熱変性し、麺線1の柔軟性が下がることにより、麺線1は屈曲しにくくなる。このため、次工程である乾燥工程で乾燥用容器2内に収容された際に、同じ分量であっても、過熱蒸気が当てられていない場合の麺線1の麺塊3よりも大きな麺塊3となる。すなわち、麺線間の隙間が大きな麺塊3となるため、熱風乾燥時に麺塊1の中を流れる熱風や水分が通過し易くなり、乾燥時間を短縮させることができる。さらには、乾燥後の麺塊3を湯戻しする際には、湯が麺塊3の内部や麺線間に浸透し易くなり、湯戻りが均一で速いという利点が生じる。特に過熱蒸気で乾燥した後の麺線1の水分含有率が約30%から約40%である場合に、麺線間に隙間が多く出来るため、ほぐれの良い麺塊3となり、好ましい。」
「【0048】
次に、加熱工程で加熱された麺線1は、適当な長さ及び重量に切断されて乾燥装置30による乾燥工程に送られる。
【0049】
乾燥工程に送られた麺線1は、通気性を有する乾燥用容器2に収容され、この乾燥用容器2に収容された状態で、熱風を用いて乾燥される。」
「【0055】
本実施形態における乾燥工程では、1次乾燥装置30aによる1次乾燥と2次乾燥装置30bによる2次乾燥とに分けて、段階的に麺塊3を乾燥させている。
【0056】
先ず、1次乾燥では、低い温度により麺線1が膨化するのを抑えながら乾燥を進め、麺線組織の固さが増した時点でより高い温度により麺線1を膨化させることで、均質な膨化組織とすることが出来る。
【0057】
次に、2次乾燥では、高い温度で麺線表面の呈味成分等をローストすることで、油揚げ麺のような風味を得ることも可能となる。
【0058】
このように乾燥工程を1次乾燥と2次乾燥とに分けた場合、1次乾燥は、約120℃から約140℃の温度の熱風で麺線1の乾燥を行ない、2次乾燥は、約140℃から約180℃の温度の熱風で麺線1の膨化乾燥を行う事が望ましく、本実施形態では、この条件で麺線1を乾燥させている。
【0059】
乾燥工程で乾燥された麺線1は、冷却装置40による冷却工程に送られて冷却された後に、パッケージに収納される。」
「【0065】
(実施例1)
実施例1においては、先ず、表1に示す配合1の粉体600重量部に、表2に示す配合2の練り込み液204重量部を加え、ミキサーで約15分間混捏した後に圧延して厚み約0.7mm(ミリメートル)の麺帯とし、18番の角刃の切刃で麺線状にし、約2分間蒸気で蒸して蒸し麺を得た。」
「【0066】
【表1】


「【0067】 【表2】


上記の記載事項から、甲1には、以下の発明が記載されている(以下「甲1発明」という。)。
「ノンフライ麺の製造方法において、小麦粉、澱粉、食塩、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、グルタミン酸ソーダ、濃口醤油及び水をミキサーで約15分間混捏した後に圧延して厚み約0.7mmの麺帯とし、切刃で麺線状にし、約2分間蒸気で蒸して蒸し麺を得、蒸された麺線は、先ず、連続した一本の長い麺線の状態で、着味装置10による着味工程に送られ着味され、加熱工程は、着味された麺線を、145℃から280℃の過熱蒸気で10秒間から60秒間加熱し、着味された麺線は、38%から52%の水分含有率を有し、加熱工程で加熱された麺線は、適当な長さ及び重量に切断されて乾燥装置30による乾燥工程に送られ、乾燥工程に送られた麺線は、通気性を有する乾燥用容器2に収容され、この乾燥用容器2に収容された状態で、熱風を用いて乾燥され、乾燥工程では、1次乾燥装置30aにより、低い温度により麺線が膨化するのを抑えながら乾燥を進め、麺線組織の固さが増す1次乾燥と2次乾燥装置30bによる2次乾燥とに分けて、段階的に麺塊を乾燥し、乾燥工程で乾燥された麺線は、冷却装置40による冷却工程に送られて冷却された後に、パッケージに収納されるノンフライ麺の製造方法。」

イ 対比・判断
(ア)本件発明1について
本件発明1と甲1発明とを対比すると、
甲1発明の「ノンフライ麺」は、甲1に「本発明は、味付けを施した後に麺を乾燥させる即席麺の製造方法に関し、特に油で揚げていないいわゆるノンフライ麺、及びその製造方法に関するものである。」(【0001】)と記載されているように、即席麺の一種であるから、本件発明1の「ノンフライ即席麺」に相当する。
同様に、甲1発明の「小麦粉、澱粉、食塩、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、グルタミン酸ソーダ、濃口醤油及び水をミキサーで約15分間混捏」の態様は、本件発明1の「(a)麺材料の混合」に相当する。
甲1発明の「圧延して厚み約0.7mmの麺帯と」することは、本件発明1の「(b)麺帯の作成」に相当する。
甲1発明の「切刃で麺線状に」する態様は、本件発明1の「(c)麺線化」に相当する。
甲1発明の「約2分間蒸気で蒸して蒸し麺を得」ることは、本件発明1の「(d)蒸し」に相当する。
甲1発明の「前記着味された麺線を、145℃から280℃の過熱蒸気で10秒間から60秒間加熱し、前記着味された麺線は、38%から52%の水分含有率」とする「加熱工程」は、本件発明1の「麺水分が35-55重量%になるまで麺線を乾燥する、(e)予備乾燥工程」に相当する。
甲1発明の「加熱工程で加熱された麺線は、適当な長さ及び重量に切断され」る態様は、本件発明1の「(f)麺線の切り出し」に相当する。
甲1発明の「麺線」を「通気性を有する乾燥用容器2に収容」する態様は、本件発明1の「(g)麺塊成型用トレーへの装填」に相当する。
甲1発明の「乾燥工程」における「1次乾燥装置30aにより、低い温度により麺線が膨化するのを抑えながら乾燥を進め、麺線組織の固さが増す1次乾燥」は、麺線組織の固さが増すように乾燥させていることから、本件発明1の「(i)保形乾燥」に相当する。
甲1発明の「乾燥工程」における「2次乾燥装置30bによる2次乾燥」は、本件発明1の「(j)本乾燥」に相当する。
甲1発明の「冷却装置40による冷却工程」は、本件発明1の「(k)冷却」に相当する。
そうすると、本件発明1と甲1発明とは、
「 ノンフライ即席麺の製造方法であって、
当該製造方法は、(a)麺材料の混合→(b)麺帯の作成→(c)麺線化→(d)蒸し→(e)予備乾燥→(f)麺線の切り出し→(g)麺塊成型用トレーへの装填→(i)保形乾燥→(j)本乾燥→(k)冷却、を含み、そして、
麺水分が35-55重量%になるまで麺線を乾燥する、(e)予備乾燥工程、を含む、前記ノンフライ即席麺の製造方法。」
で一致し、以下の点で少なくとも相違する。
相違点
本件発明1は 、「(d)蒸し工程と(e)予備乾燥工程の間に調味液を付着させて麺線を着味する着味工程を含む方法を除く」と特定しているのに対して、甲1発明は、麺を蒸す工程と加熱工程の間に「着味装置10による着味工程」を備えている、すなわち本件発明1において除くとされた「着味工程」を備えている点。
前記相違点について検討する。
本件発明1は、甲1発明の「着味工程」を除くものである。一方、甲1発明については、甲1の特許請求の範囲及び発明の詳細な説明の記載(【0001】、【0013】ないし【0016】、【0029】ないし【0034】)を参酌すると、ノンフライ麺の製造方法において、「着味工程」を備えることが甲1発明の課題解決に必要な構成であることが理解できる。
そうすると、甲1発明に接した当業者にとって、甲1発明において「着味工程」を備えないようにする動機は生じ得ないし、また、甲1発明の「着味工程」を備えないようにすることには、阻害要因があるともいえる。
したがって、甲1発明において、上記相違点に係る本件発明1の構成を採用することは、当業者が容易に想到し得るものとはいえない。
よって、本件発明1は甲1発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

(イ)本件発明2ないし9について
本件発明2ないし9は、本件発明1の発明特定事項をすべて含むものであるところ、上記(ア)のとおり、本件発明1は甲1発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえないから、本件発明2ないし9も甲1発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

(ウ) まとめ
以上のとおり、本件発明1ないし9は、甲1発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものとすることはできない。
したがって、本件発明1ないし9に係る特許は、特許法第113条第2号に該当せず、取り消されるべきものとすることはできない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノンフライ即席麺の製造方法であって、
当該製造方法は、(a)麺材料の混合→(b)麺帯の作成→(c)麺線化→(d)蒸し→(e)予備乾燥→(f)麺線の切り出し→(g)麺塊成型用トレーへの装填→(h)エアー均し工程→(i)保形乾燥→(j)本乾燥→(k)冷却、を含み、そして、
麺水分が35-55重量%になるまで麺線を乾燥する、(e)予備乾燥工程、並びに
麺塊成型用トレーへの装填された麺に、エアー圧力及び/又はエアー流のかかる範囲を段階的にあるいは徐々に変化させたエアー流を当てることによって麺塊を均す、(h)エアー均し工程、
ことを含むことを特徴とする、
ここにおいて、(e)の予備乾燥は、麺線に35-100℃の熱風又は温風を当てることによって行う、
ただし、(d)蒸し工程と(e)予備乾燥工程の間に調味液を付着させて麺線を着味する着味工程を含む方法を除く
前記ノンフライ即席麺の製造方法。
【請求項2】
(e)の予備乾燥を、麺線に熱風又は温風を30秒-120秒当てることによって行う、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
(h)均し工程において、ピンポイントノズルを円回転させて生じたエアー流を当てる、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
(h)均し工程のエアー圧力が0.2-0.5MPaである、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
(h)均し工程において、エアーノズルの円回転の回転径を段階的に又は徐々に大きくしていく、請求項3又は4に記載の方法。
【請求項6】
(h)均し工程において、エアーノズルの円回転の回転径80mmの1回目、エアーノズルの円回転の回転径100mmの2回目、エアーノズルの円回転の回転径120mmの3回目、からなる3段階のエアー流を当てる、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
(h)均し工程において、最終段階でエアー流の圧力を徐々に下げていく、請求項1-6のいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
(h)均し工程において、エアーを合計6-20秒当てる、請求項1-7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
ピンポイントノズルを有するエアー流発生装置の、請求項1-8のいずれか1項に記載の方法への使用。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2018-06-08 
出願番号 特願2013-931(P2013-931)
審決分類 P 1 651・ 121- YAA (A23L)
最終処分 維持  
前審関与審査官 福間 信子  
特許庁審判長 田村 嘉章
特許庁審判官 莊司 英史
山崎 勝司
登録日 2016-10-21 
登録番号 特許第6026289号(P6026289)
権利者 テーブルマーク株式会社
発明の名称 ノンフライ即席麺製造方法  
代理人 小野 新次郎  
代理人 竹内 茂雄  
代理人 小林 泰  
代理人 山本 修  
代理人 廣瀬 しのぶ  
代理人 廣瀬 しのぶ  
代理人 山本 修  
代理人 小野 新次郎  
代理人 泉谷 玲子  
代理人 泉谷 玲子  
代理人 竹内 茂雄  
代理人 小林 泰  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ