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審決分類 |
審判 全部申し立て 2項進歩性 B29C 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 B29C |
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管理番号 | 1342998 |
異議申立番号 | 異議2017-701059 |
総通号数 | 225 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2018-09-28 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2017-11-10 |
確定日 | 2018-07-06 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第6126351号発明「原料供給装置及びそれを用いた樹脂組成物の製造装置,並びに樹脂組成物の製造方法」の特許異議申立事件について,次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第6126351号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり,訂正後の請求項〔1?7〕,〔8,9〕,10,11,12,13について訂正することを認める。 特許第6126351号の請求項1?5に係る特許についての本件特許異議の申立てを却下する。 特許第6126351号の請求項6?13に係る特許を維持する。 |
理由 |
第1 手続の経緯 特許第6126351号(請求項の数9。以下,「本件特許」という。)は,平成24年10月18日を出願日とする特許出願(特願2012-231129号)に係るものであって,平成29年4月14日に設定登録されたものである(特許掲載公報の発行日は,同年5月10日である。)。 その後,平成29年11月10日に,本件特許の請求項1?9に係る特許に対して,特許異議申立人である星正美(以下,「申立人」という。)により,特許異議の申立てがされた。 本件特許異議の申立てにおける手続の経緯は,以下のとおりである。 平成29年11月10日 特許異議申立書 平成30年 1月24日 取消理由通知書 3月29日 意見書,訂正請求書 4月 9日 通知書(訂正請求があった旨の通知) 5月11日 意見書(申立人) 第2 訂正の請求について 1 訂正の内容 平成30年3月29日付けの訂正請求書による訂正(以下,「本件訂正」という。)の請求は,本件特許の特許請求の範囲を上記訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり,訂正後の請求項1?13について訂正することを求めるものであり,その内容は,以下のとおりである。下線は,訂正箇所を示す。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1を削除する。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項2を削除する。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項3を削除する。 (4)訂正事項4 特許請求の範囲の請求項4を削除する。 (5)訂正事項5 特許請求の範囲の請求項5を削除する。 (6)訂正事項6 特許請求の範囲の請求項6に「請求項1?5のいずれか一項に記載の原料供給装置と,前記原料供給装置に接続された押出機と,を有する,樹脂組成物の製造装置。」とあるうち,請求項1を引用するものについて,独立形式に改め,「減圧手段と,第1の不活性ガス供給部と,原料に振動を与える加振手段と,を備える真空タンクと,前記真空タンクに接続され,第2の不活性ガス供給部を備えるフィーダと,を有し,前記減圧手段により減圧された前記真空タンク内に,前記第1の不活性ガス供給部から不活性ガスが供給され,前記加振手段が,原料を撹拌する撹拌手段であり,前記撹拌手段が,撹拌羽根を回転させることで原料を撹拌するものであり,前記フィーダ内部には,前記第2の不活性ガス供給部により不活性ガスが供給される原料供給装置と,前記原料供給装置に接続された二軸押出機と,を有し,前記二軸押出機は,少なくとも1つの真空ベントを有し,前記二軸押出機の押出機ギアシャフトとスクリュシャフト接合部に不活性ガス供給部を有する,樹脂組成物の製造装置。」に訂正する。請求項6の記載を引用する請求項7も同様に訂正する。 (7)訂正事項7 特許請求の範囲の請求項6に「請求項1?5のいずれか一項に記載の原料供給装置と,前記原料供給装置に接続された押出機と,を有する,樹脂組成物の製造装置。」とあるうち,請求項2を引用するものについて,独立形式に改め,「減圧手段と,第1の不活性ガス供給部と,原料に振動を与える加振手段と,を備える真空タンクと,前記真空タンクに接続され,第2の不活性ガス供給部を備えるフィーダと,を有し,前記減圧手段により減圧された前記真空タンク内に,前記第1の不活性ガス供給部から不活性ガスが供給され,前記加振手段が,原料を撹拌する撹拌手段であり,前記撹拌手段が,撹拌羽根を回転させることで原料を撹拌するものであり,前記フィーダ内部には,前記第2の不活性ガス供給部により不活性ガスが供給される原料供給装置と,前記原料供給装置に接続された二軸押出機と,を有し,真空タンク用酸素濃度測定装置が前記真空タンクと接続されており,前記二軸押出機は,少なくとも1つの真空ベントを有し,前記二軸押出機の押出機ギアシャフトとスクリュシャフト接合部に不活性ガス供給部を有する,樹脂組成物の製造装置。」と記載し,新たに請求項10とする。 (8)訂正事項8 特許請求の範囲の請求項6に「請求項1?5のいずれか一項に記載の原料供給装置と,前記原料供給装置に接続された押出機と,を有する,樹脂組成物の製造装置。」とあるうち,請求項3を引用するものについて,独立形式に改め,「減圧手段と,第1の不活性ガス供給部と,原料に振動を与える加振手段と,を備える真空タンクと,前記真空タンクに接続され,第2の不活性ガス供給部を備えるフィーダと,を有し,前記減圧手段により減圧された前記真空タンク内に,前記第1の不活性ガス供給部から不活性ガスが供給され,前記加振手段が,原料を撹拌する撹拌手段であり,前記撹拌手段が,撹拌羽根を回転させることで原料を撹拌するものであり,前記フィーダ内部には,前記第2の不活性ガス供給部により不活性ガスが供給される原料供給装置と,前記原料供給装置に接続された二軸押出機と,を有し,前記フィーダが,重量式フィーダであり,前記二軸押出機は,少なくとも1つの真空ベントを有し,前記二軸押出機の押出機ギアシャフトとスクリュシャフト接合部に不活性ガス供給部を有する,樹脂組成物の製造装置。」と記載し,新たに請求項11とする。 (9)訂正事項9 特許請求の範囲の請求項6に「請求項1?5のいずれか一項に記載の原料供給装置と,前記原料供給装置に接続された押出機と,を有する,樹脂組成物の製造装置。」とあるうち,請求項4を引用するものについて,独立形式に改め,「減圧手段と,第1の不活性ガス供給部と,原料に振動を与える加振手段と,を備える真空タンクと,前記真空タンクに接続され,第2の不活性ガス供給部を備えるフィーダと,を有し,前記減圧手段により減圧された前記真空タンク内に,前記第1の不活性ガス供給部から不活性ガスが供給され,前記加振手段が,原料を撹拌する撹拌手段であり,前記撹拌手段が,撹拌羽根を回転させることで原料を撹拌するものであり,前記フィーダ内部には,前記第2の不活性ガス供給部により不活性ガスが供給される原料供給装置と,前記原料供給装置に接続された二軸押出機と,を有し,前記真空タンクの下流に,遮断弁が設けられており,前記二軸押出機は,少なくとも1つの真空ベントを有し,前記二軸押出機の押出機ギアシャフトとスクリュシャフト接合部に不活性ガス供給部を有する,樹脂組成物の製造装置。」と記載し,新たに請求項12とする。 (10)訂正事項10 特許請求の範囲の請求項6に「請求項1?5のいずれか一項に記載の原料供給装置と,前記原料供給装置に接続された押出機と,を有する,樹脂組成物の製造装置。」とあるうち,請求項5を引用するものについて,独立形式に改め,「減圧手段と,第1の不活性ガス供給部と,原料に振動を与える加振手段と,を備える真空タンクと,前記真空タンクに接続され,第2の不活性ガス供給部を備えるフィーダと,前記真空タンクと前記フィーダの間に配置された中間タンクと,前記真空タンクと前記中間タンクと前記フィーダとを接続する均圧用配管と,を有し,前記減圧手段により減圧された前記真空タンク内に,前記第1の不活性ガス供給部から不活性ガスが供給され,前記加振手段が,原料を撹拌する撹拌手段であり,前記撹拌手段が,撹拌羽根を回転させることで原料を撹拌するものであり,前記フィーダ内部には,前記第2の不活性ガス供給部により不活性ガスが供給される原料供給装置と,前記原料供給装置に接続された二軸押出機と,を有し,前記二軸押出機は,少なくとも1つの真空ベントを有し,前記二軸押出機の押出機ギアシャフトとスクリュシャフト接合部に不活性ガス供給部を有する,樹脂組成物の製造装置。」と記載し,新たに請求項13とする。 (11)訂正事項11 特許請求の範囲の請求項8に「下記(1)?(3)工程を酸素濃度が0.5体積%以下で,順不同で行う原料供給工程と,前記原料供給工程を経た原料を,押出機により溶融混練する押出工程と,を有し,下記(1)工程における真空タンクの内部を減圧すること及び下記(2)工程を2回以上行う,樹脂組成物の製造方法;(1)真空タンクに前記樹脂組成物の前記原料を入れ,前記真空タンクの内部を減圧する工程,(2)前記真空タンクの内部に不活性ガスを供給する工程,(3)前記真空タンクの内部にある前記原料に振動を与える工程。」と記載されているのを,「下記(1)?(3)工程を酸素濃度が0.5体積%以下で,順不同で行う原料供給工程と,前記原料供給工程を経た原料を,二軸押出機により溶融混練する押出工程と,を有し,下記(1)工程における真空タンクの内部を減圧すること及び下記(2)工程を2回以上行い,前記押出工程において,前記二軸押出機内を真空ベントにより減圧し,かつ前記二軸押出機の押出機ギアシャフトとスクリュシャフト接合部に不活性ガスを供給する,樹脂組成物の製造方法;(1)真空タンクに前記樹脂組成物の前記原料を入れ,前記真空タンクの内部を減圧する工程,(2)前記真空タンクの内部に不活性ガスを供給する工程,(3)前記真空タンクの内部にある前記原料に振動を与える工程。」に訂正する。請求項8の記載を引用する請求項9も同様に訂正する。 2 訂正の適否についての当審の判断 (1)訂正事項1?5について 訂正事項1?5に係る訂正は,訂正前の請求項1?5を削除するものであるから,特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。また,これらの訂正は,本件特許の願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面(以下,「本件明細書」という。)に記載した事項の範囲内においてするものであり,また,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものではない。 (2)訂正事項6について ア 訂正事項6に係る訂正は,訂正前の請求項6のうち,請求項1を引用するものについて,引用形式の記載から独立形式の記載に改める訂正を含むものである。 この訂正は,請求項の記載について,訂正前の引用形式の記載を独立形式の記載に改めるものであるから,「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものに該当する。また,この訂正は,本件明細書に記載した事項の範囲内においてするものであり,また,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものではない。 イ 訂正事項6に係る訂正は,訂正前の請求項6に対して,「二軸」及び「前記二軸押出機は,少なくとも1つの真空ベントを有し,前記二軸押出機の押出機ギアシャフトとスクリュシャフト接合部に不活性ガス供給部を有する」との記載を追加する訂正を含むものである。 (ア)この訂正は,押出機について,「二軸」押出機に限定するとともに,「少なくとも1つの真空ベント」及び「押出機ギアシャフトとスクリュシャフト接合部に不活性ガス供給部」を有するものに限定するものであるから,特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 (イ)本件明細書には,以下の記載がある 「押出機12の種類は,特に限定されないが,二軸同方向回転押出機等の二軸押出機が好ましい。」(【0035】) 「そのような場合に押出機12内を真空ベントにより減圧すると,これらのわずかな隙間から大気が入り込んでしまい,溶融樹脂等を酸化劣化させる場合がある。そのため,押出機ギアシャフトとスクリュシャフト接合部11に不活性ガス供給部1を設け,そこから不活性ガスを供給することで,不活性ガス排出部3から,過剰な不活性ガスを排出することが好ましい。」(【0038】) 「押出機ベント13は,大気ベントであってもよいし,真空ベントであってもよい。」(【0048】) 以上の記載によれば,本件明細書には,押出機について,二軸押出機が好ましいこと,真空ベントを有すること,押出機ギアシャフトとスクリュシャフト接合部に不活性ガス供給部を有することが記載されているといえる。 以上によれば,上記訂正は,本件明細書に記載した事項の範囲内においてするものであり,また,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものではない。 (3)訂正事項7?10について ア 訂正事項7に係る訂正は,訂正前の請求項6のうち,請求項2を引用するものについて,引用形式の記載から独立形式の記載(新請求項10)に改める訂正を含むものである。 訂正事項8に係る訂正は,訂正前の請求項6のうち,請求項3を引用するものについて,引用形式の記載から独立形式の記載(新請求項11)に改める訂正を含むものである。 訂正事項9に係る訂正は,訂正前の請求項6のうち,請求項4を引用するものについて,引用形式の記載から独立形式の記載(新請求項12)に改める訂正を含むものである。 訂正事項10に係る訂正は,訂正前の請求項6のうち,請求項5を引用するものについて,引用形式の記載から独立形式の記載(新請求項13)に改める訂正を含むものである。 これらの訂正は,いずれも,請求項の記載について,訂正前の引用形式の記載を独立形式の記載に改めるものであるから,「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものに該当する。また,これらの訂正は,本件明細書に記載した事項の範囲内においてするものであり,また,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものではない。 イ 訂正事項7?10に係る訂正は,いずれも,訂正前の請求項6に対して,「二軸」及び「前記二軸押出機は,少なくとも1つの真空ベントを有し,前記二軸押出機の押出機ギアシャフトとスクリュシャフト接合部に不活性ガス供給部を有する」との記載を追加する訂正を含むものである。 これらの訂正は,いずれも,上記(2)イで訂正事項6について述べたのと同様の理由により,特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。また,これらの訂正は,本件明細書に記載した事項の範囲内においてするものであり,また,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものではない。 (4)訂正事項11について 訂正事項11に係る訂正は,訂正前の請求項8に対して,「二軸」及び「前記押出工程において,前記二軸押出機内を真空ベントにより減圧し,かつ前記二軸押出機の押出機ギアシャフトとスクリュシャフト接合部に不活性ガスを供給する」との記載を追加するものである。 (ア)この訂正は,押出機について,「二軸」押出機に限定するとともに,押出工程について,「前記二軸押出機内を真空ベントにより減圧し,かつ前記二軸押出機の押出機ギアシャフトとスクリュシャフト接合部に不活性ガスを供給する」ものに限定するものであるから,特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 (イ)本件明細書には,上記(2)イで指摘したとおりの記載(【0035】,【0038】,【0048】)がある。これらの記載によれば,本件明細書には,押出機について,二軸押出機が好ましいこと,押出機内を真空ベントにより減圧すること,押出機ギアシャフトとスクリュシャフト接合部に不活性ガスを供給することが記載されているといえる。 以上によれば,上記訂正は,本件明細書に記載した事項の範囲内においてするものであり,また,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものではない。 (5)一群の請求項について 訂正前の請求項1?7について,請求項2?7は,請求項1を直接又は間接的に引用するものであり,上記の訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。したがって,訂正前の請求項1?7に対応する訂正後の請求項1?7及び10?13は,一群の請求項である。そして,本件訂正は,その一群の請求項ごとに請求がされたものである。 訂正前の請求項8及び9について,請求項9は,請求項8を引用するものであり,上記の訂正事項11によって記載が訂正される請求項8に連動して訂正されるものである。したがって,訂正前の請求項8及び9に対応する訂正後の請求項8及び9は,一群の請求項である。そして,本件訂正は,その一群の請求項ごとに請求がされたものである。 3 まとめ 上記2のとおり,各訂正事項に係る訂正は,特許法120条の5第2項ただし書き1号又は4号に掲げる事項を目的とするものに該当し,同条4項に適合するとともに,同条9項において準用する同法126条5項及び6項に適合するものである。 また,訂正後の請求項10?13に係る訂正事項7?10は,引用関係の解消を目的とする訂正を含むものであるが,上記2のとおり,これらの訂正はいずれも認められるものである。特許権者は,訂正後の請求項10?13についての訂正が認められる場合には,これらの請求項については,一群の請求項の他の請求項とは別途訂正することを求めている。 したがって,結論のとおり,訂正後の請求項〔1?7〕,〔8,9〕,10,11,12,13について訂正することを認める。 第3 本件発明 前記第2で述べたとおり,本件訂正は認められるので,本件特許の請求項1?13に係る発明は,本件訂正後の特許請求の範囲の請求項1?13に記載された事項により特定される以下のとおりのものである(以下,それぞれ「本件発明1」等という。)。 【請求項1】 (削除) 【請求項2】 (削除) 【請求項3】 (削除) 【請求項4】 (削除)。 【請求項5】 (削除) 【請求項6】 減圧手段と,第1の不活性ガス供給部と,原料に振動を与える加振手段と,を備える真空タンクと, 前記真空タンクに接続され,第2の不活性ガス供給部を備えるフィーダと, を有し, 前記減圧手段により減圧された前記真空タンク内に,前記第1の不活性ガス供給部から不活性ガスが供給され,前記加振手段が,原料を撹拌する撹拌手段であり,前記撹拌手段が,撹拌羽根を回転させることで原料を撹拌するものであり, 前記フィーダ内部には,前記第2の不活性ガス供給部により不活性ガスが供給される原料供給装置と, 前記原料供給装置に接続された二軸押出機と, を有し, 前記二軸押出機は,少なくとも1つの真空ベントを有し,前記二軸押出機の押出機ギアシャフトとスクリュシャフト接合部に不活性ガス供給部を有する, 樹脂組成物の製造装置。 【請求項7】 前記原料供給装置と前記押出機とを接続する接続部が密閉されており, 前記真空タンクの下流領域に不活性ガスを供給する第3の不活性ガス供給部を,更に有する,請求項6に記載の樹脂組成物の製造装置。 【請求項8】 下記(1)?(3)工程を酸素濃度が0.5体積%以下で,順不同で行う原料供給工程と, 前記原料供給工程を経た原料を,二軸押出機により溶融混練する押出工程と, を有し, 下記(1)工程における真空タンクの内部を減圧すること及び下記(2)工程を2回以上行い,前記押出工程において,前記二軸押出機内を真空ベントにより減圧し,かつ前記二軸押出機の押出機ギアシャフトとスクリュシャフト接合部に不活性ガスを供給する,樹脂組成物の製造方法; (1)真空タンクに前記樹脂組成物の前記原料を入れ,前記真空タンクの内部を減圧する工程, (2)前記真空タンクの内部に不活性ガスを供給する工程, (3)前記真空タンクの内部にある前記原料に振動を与える工程。 【請求項9】 前記原料供給工程を経た前記原料を,不活性ガス雰囲気下で前記押出工程に供する,請求項8に記載の樹脂組成物の製造方法。 【請求項10】 減圧手段と,第1の不活性ガス供給部と,原料に振動を与える加振手段と,を備える真空タンクと,前記真空タンクに接続され,第2の不活性ガス供給部を備えるフィーダと,を有し,前記減圧手段により減圧された前記真空タンク内に,前記第1の不活性ガス供給部から不活性ガスが供給され,前記加振手段が,原料を撹拌する撹拌手段であり,前記撹拌手段が,撹拌羽根を回転させることで原料を撹拌するものであり,前記フィーダ内部には,前記第2の不活性ガス供給部により不活性ガスが供給される原料供給装置と,前記原料供給装置に接続された二軸押出機と,を有し,真空タンク用酸素濃度測定装置が前記真空タンクと接続されており,前記二軸押出機は,少なくとも1つの真空ベントを有し,前記二軸押出機の押出機ギアシャフトとスクリュシャフト接合部に不活性ガス供給部を有する,樹脂組成物の製造装置。 【請求項11】 減圧手段と,第1の不活性ガス供給部と,原料に振動を与える加振手段と,を備える真空タンクと,前記真空タンクに接続され,第2の不活性ガス供給部を備えるフィーダと,を有し,前記減圧手段により減圧された前記真空タンク内に,前記第1の不活性ガス供給部から不活性ガスが供給され,前記加振手段が,原料を撹拌する撹拌手段であり,前記撹拌手段が,撹拌羽根を回転させることで原料を撹拌するものであり,前記フィーダ内部には,前記第2の不活性ガス供給部により不活性ガスが供給される原料供給装置と,前記原料供給装置に接続された二軸押出機と,を有し,前記フィーダが,重量式フィーダであり,前記二軸押出機は,少なくとも1つの真空ベントを有し,前記二軸押出機の押出機ギアシャフトとスクリュシャフト接合部に不活性ガス供給部を有する,樹脂組成物の製造装置。 【請求項12】 減圧手段と,第1の不活性ガス供給部と,原料に振動を与える加振手段と,を備える真空タンクと,前記真空タンクに接続され,第2の不活性ガス供給部を備えるフィーダと,を有し,前記減圧手段により減圧された前記真空タンク内に,前記第1の不活性ガス供給部から不活性ガスが供給され,前記加振手段が,原料を撹拌する撹拌手段であり,前記撹拌手段が,撹拌羽根を回転させることで原料を撹拌するものであり,前記フィーダ内部には,前記第2の不活性ガス供給部により不活性ガスが供給される原料供給装置と,前記原料供給装置に接続された二軸押出機と,を有し,前記真空タンクの下流に,遮断弁が設けられており,前記二軸押出機は,少なくとも1つの真空ベントを有し,前記二軸押出機の押出機ギアシャフトとスクリュシャフト接合部に不活性ガス供給部を有する,樹脂組成物の製造装置。 【請求項13】 減圧手段と,第1の不活性ガス供給部と,原料に振動を与える加振手段と,を備える真空タンクと,前記真空タンクに接続され,第2の不活性ガス供給部を備えるフィーダと,前記真空タンクと前記フィーダの間に配置された中間タンクと,前記真空タンクと前記中間タンクと前記フィーダとを接続する均圧用配管と,を有し,前記減圧手段により減圧された前記真空タンク内に,前記第1の不活性ガス供給部から不活性ガスが供給され,前記加振手段が,原料を撹拌する撹拌手段であり,前記撹拌手段が,撹拌羽根を回転させることで原料を撹拌するものであり,前記フィーダ内部には,前記第2の不活性ガス供給部により不活性ガスが供給される原料供給装置と,前記原料供給装置に接続された二軸押出機と,を有し,前記二軸押出機は,少なくとも1つの真空ベントを有し,前記二軸押出機の押出機ギアシャフトとスクリュシャフト接合部に不活性ガス供給部を有する,樹脂組成物の製造装置。 第4 取消理由の概要 1 特許異議申立書に記載した特許異議の申立ての理由 本件訂正前の請求項1?9に係る発明は,下記(1)?(3)のとおりの取消理由があるから,本件特許の請求項1?9に係る特許は,特許法113条2号に該当し,取り消されるべきものである。証拠方法として,下記(4)の甲第1号証?甲第13号証(以下,それぞれ「甲1」等という。)を提出する。 (1)取消理由1(進歩性) 本件訂正前の請求項1?9に係る発明は,甲1に記載された発明及び周知技術(甲1,3?10,12及び13)に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものである。 (2)取消理由2(進歩性) 本件訂正前の請求項1及び3?7に係る発明は,甲3に記載された発明及び周知技術(甲1?3,8,9,12及び13)に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものである。 (3)取消理由3(進歩性) 本件訂正前の請求項1,3,4,6及び7に係る発明は,甲11に記載された発明及び周知技術(甲1,3?7,10及び13)に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものである。 (4)証拠方法 ・甲1 特開2004-155050号公報 ・甲2 特開平8-207048号公報 ・甲3 特表2008-528325号公報 ・甲4 特開2001-225326号公報 ・甲5 特開昭50-39348号公報 ・甲6 特開2011-194623号公報 ・甲7 特開2001-150436号公報 ・甲8 特開2000-15662号公報 ・甲9 特開2006-35489号公報 ・甲10 特開2011-37164号公報 ・甲11 特開2001-353750号公報 ・甲12 特開2007-31107号公報 ・甲13 特開2011-79936号公報 2 取消理由通知書に記載した取消理由 上記1の取消理由1(進歩性)と同旨。 3 平成30年5月11日付けの意見書における申立人の主張 (1)本件訂正後の請求項6では,押出機を「少なくとも1つの真空ベントを有する二軸押出機」に特定するとともに,その二軸押出機が「押出機ギアシャフトとスクリュシャフト接合部に不活性ガス供給部を有する」ものに特定し,また,本件訂正後の請求項8では,押出機を「二軸押出機」に特定するとともに,「押出工程において,前記二軸押出機内を真空ベントにより減圧し,かつ前記二軸押出機の押出機ギアシャフトとスクリュシャフト接合部に不活性ガスを供給する」との要件を付加している。 しかしながら,これらの要件は,いずれも周知技術であるか,または単なる設計事項である(下記(3)の参考資料1?6を参照。)から,本件発明6?13は,甲1に記載された発明及び周知技術(甲1,3?10,12及び13並びに参考資料1?6)に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものである。 (2)本件発明6?13は,いずれも,「前記二軸押出機の押出機ギアシャフトとスクリュシャフト接合部に不活性ガス供給部を有する」との要件を含むものであるが,本件明細書の発明の詳細な説明には,不活性ガス供給部が具体的にどのような形態のものであるかについて何ら説明されていない。 したがって,本件明細書の発明の詳細な説明は,当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものとはいえない。 よって,本件発明6?13は,特許請求の範囲の記載が特許法36条6項1号に適合するものではない。 (3)証拠方法 ・参考資料1 特開平4-250005号公報 ・参考資料2 特開平6-206216号公報 ・参考資料3 特開平11-165342号公報 ・参考資料4 特開2007-38587号公報 ・参考資料5 特開2001-79830号公報 ・参考資料6 特開2001-293720号公報 第5 当審の判断 本件特許の請求項1?5が本件訂正により削除された結果,同請求項1?5に係る特許についての本件特許異議の申立ては対象を欠くこととなったため,特許法120条の8第1項において準用する同法135条の規定により決定をもって却下すべきものである。 また,以下に述べるように,取消理由通知書に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議の申立ての理由によっては,本件特許の請求項6?13に係る特許を取り消すことはできない。 1 取消理由通知書に記載した取消理由(取消理由1(進歩性)) (1)甲1に記載された発明 ア 甲1の記載(請求項1,【0010】,【0033】,【0038】,【0039】,図1)によれば,甲1には,以下の発明が記載されていると認められる。 「射出成型機の射出シリンダ内に材料を供給する材料供給装置であって, 材料を収容する待機室と, 該待機室の下方に設置された処理室と, 該処理室の下方に設置されて前記射出シリンダ内に連通した供給室と, 前記処理室の天井部を開閉する天井バルブと, 前記処理室の床部を開閉する床バルブと, 前記処理室内のガスを排出する排気手段と, 前記処理室に不活性ガスを注入する注気手段と, 前記材料を収容した前記処理室内のガスを前記排気手段によって排出した後,前記注気手段によって不活性ガスを注入する処理を,複数回繰り返す制御をする制御手段とを有し, 前記供給室は,上方が前記処理室に下方が前記射出シリンダにそれぞれ気密的に連通しており,前記処理室から投入された材料を一旦収容して,前記射出シリンダに払い出すものであり, 前記供給室は,底部近くに不活性ガスを流入するための不活性ガス流入口と,側壁上部に不活性ガスを流出するための不活性ガス流出口が設けられており,不活性ガスが不活性ガス流入口から常時流入されて不活性ガス流出口からオーバーフローしている, 射出成型機の材料供給装置と, この材料供給装置に接続された射出成型機と を有する, 樹脂組成物の製造装置。」(以下,「甲1発明1’」という。) イ 甲1の請求項8には,射出成型機の材料供給制御方法が記載されている。この射出成型機の材料供給制御方法は,射出成型機の射出シリンダ内へ材料を供給するものであるが,この材料が,射出成型機の射出シリンダ内で溶融混練され,金型内に射出されるものであることは,当業者にとって明らかである(甲1【0002】)。また,甲1には,材料が一般樹脂でも実施できることが記載されている(【0017】)。 以上によれば,甲1には,上記の射出成型機の材料供給制御方法により供給室に搬出された材料を,射出成型機の射出シリンダ内へ供給し,その材料を,射出成型機の射出シリンダ内で溶融混練し,金型内に射出する,樹脂組成物の製造方法の発明が記載されているといえる。 すなわち,甲1には,以下の発明が記載されていると認められる。 「射出成型機の射出シリンダ内への材料の供給を制御する,射出成型機の材料供給制御方法であって, 開口および密閉自在な処理室に材料を搬入する搬入工程と, 前記処理室を密閉して内部のガスを排出する排気工程と, 前記処理室に不活性ガスを注入する注気工程と, 前記排気工程および注気工程を複数回繰り返す繰り返し工程と, 前記処理室を開口して,前記処理室に連通して前記射出シリンダ内へ供給される前の材料を収容する供給室に前記材料を搬出する搬出工程と, を有する,射出成型機の材料供給制御方法により供給室に搬出された前記材料を,射出成型機の射出シリンダ内へ供給し, その材料を,射出成型機の射出シリンダ内で溶融混練し,金型内に射出する, 樹脂組成物の製造方法。」(以下,「甲1発明2」という。) (2)本件発明6について ア 対比 本件発明6と甲1発明1’とを対比する。 甲1発明1’における「射出成型機の射出シリンダ内に材料を供給する材料供給装置」及び「射出成型機の材料供給装置」は,本件発明6における「原料供給装置」に相当する。 甲1発明1’における「処理室」は,「処理室内のガスを排出する排気手段」と「処理室に不活性ガスを注入する注気手段」とを備えるものであるから,本件発明6における「減圧手段」と「第1の不活性ガス供給部」とを備える「真空タンク」に相当する。そして,甲1発明1’において,「前記材料を収容した前記処理室内のガスを前記排気手段によって排出した後,前記注気手段によって不活性ガスを注入する処理を,複数回繰り返す」ことは,本件発明6において,「前記減圧手段により減圧された前記真空タンク内に,前記第1の不活性ガス供給部から不活性ガスが供給され」ることに相当する。 甲1発明1’における「供給室」は,「該処理室の下方に設置されて前記射出シリンダ内に連通した」ものであって,「上方が前記処理室に下方が前記射出シリンダにそれぞれ気密的に連通しており」,「前記処理室から投入された材料を一旦収容して,前記射出シリンダに払い出す」ものであるから,本件発明6における「前記真空タンクに接続され」た「フィーダ」に相当する。 甲1発明1’における「供給室」の底部近くに設けられた「不活性ガスを流入するための不活性ガス流入口」は,本件発明6における「フィーダ」に備えられた「第2の不活性ガス供給部」に相当する。そして,甲1発明1’において,供給室に「不活性ガスが不活性ガス流入口から常時流入されて」いることは,本件発明6において,「前記フィーダ内部には、前記第2の不活性ガス供給部により不活性ガスが供給される」ことに相当する。 本件発明6における「二軸押出機」と,甲1発明1’における「射出成型機」とは,「所定の加工機」の限りで共通する。 そうすると,本件発明6と甲1発明1’とは, 「減圧手段と,第1の不活性ガス供給部と,を備える真空タンクと, 前記真空タンクに接続され,第2の不活性ガス供給部を備えるフィーダと, を有し, 前記減圧手段により減圧された前記真空タンク内に,前記第1の不活性ガス供給部から不活性ガスが供給され, 前記フィーダ内部には,前記第2の不活性ガス供給部により不活性ガスが供給される原料供給装置と, 前記原料供給装置に接続された所定の加工機と, を有する, 樹脂組成物の製造装置。」 の点で一致し,以下の点で相違する。 ・相違点1 本件発明6では,真空タンクが「原料に振動を与える加振手段」を備え,「前記加振手段が,原料を撹拌する撹拌手段であり,前記撹拌手段が,撹拌羽根を回転させることで原料を撹拌するもの」であるのに対して,甲1発明1’では,処理室がこのような加振手段を備えるものではない点。 ・相違点5 本件発明6では,所定の加工機が「二軸押出機」であり,その「二軸押出機は,少なくとも1つの真空ベントを有し,前記二軸押出機の押出機ギアシャフトとスクリュシャフト接合部に不活性ガス供給部を有する」ものであるのに対して,甲1発明1’では,所定の加工機が「射出成型機」である点。 イ 相違点5の検討 事案に鑑み,まず,相違点5について検討する。 甲1発明1’に係る樹脂組成物の製造装置は,材料供給装置に射出成型機が接続されたものであるが,甲1には,押出機について何ら記載されておらず,「二軸押出機は,少なくとも1つの真空ベントを有し,前記二軸押出機の押出機ギアシャフトとスクリュシャフト接合部に不活性ガス供給部を有する」ことについても何ら記載されていない。 また,甲2?13のほか,参考資料1?6にも,「二軸押出機は,少なくとも1つの真空ベントを有し,前記二軸押出機の押出機ギアシャフトとスクリュシャフト接合部に不活性ガス供給部を有する」ことについて何ら記載されていない。また,このような事項が技術常識(周知技術)であったともいえない。 そうすると,甲1発明1’において,「射出成型機」に代えて,「二軸押出機」を用いることとし,その二軸押出機を,「少なくとも1つの真空ベントを有し,前記二軸押出機の押出機ギアシャフトとスクリュシャフト接合部に不活性ガス供給部を有する」ものとすることが,当業者が容易に想到することができたということはできない。 ウ 小括 したがって,相違点1について検討するまでもなく,本件発明6は,甲1に記載された発明及び周知技術に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (3)本件発明7及び10?13について 本件発明7は,本件発明6を引用するものである。また,本件発明10?13は,独立項に係るものであるが,本件発明6と同様の構成を有するものであり,甲1発明1’と対比すると,少なくとも,上記(2)アで認定した相違点1及び5の点で相違する。 そうすると,上記(2)で述べたとおり,本件発明6が,甲1に記載された発明及び周知技術に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない以上,本件発明7及び10?13についても同様に,甲1に記載された発明及び周知技術に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (4)本件発明8について ア 対比 本件発明8と甲1発明2とを対比する。 甲1発明2における「開口および密閉自在な処理室に材料を搬入する搬入工程」及び「前記処理室を密閉して内部のガスを排出する排気工程」,「前記処理室に不活性ガスを注入する注気工程」は,それぞれ,本件発明8における「(1)真空タンクに前記樹脂組成物の前記原料を入れ,前記真空タンクの内部を減圧する工程」,「(2)前記真空タンクの内部に不活性ガスを供給する工程」に相当する。そして,甲1発明2における「前記排気工程および注気工程を複数回繰り返す繰り返し工程」は,本件発明8における「下記(1)工程における真空タンクの内部を減圧すること及び下記(2)工程を2回以上行う」に相当する。 本件発明8における「前記原料供給工程を経た原料を,二軸押出機により溶融混練する押出工程」と,甲1発明2における「射出成型機の材料供給制御方法により供給室に搬出された前記材料を,射出成型機の射出シリンダ内へ供給し,その材料を,射出成型機の射出シリンダ内で溶融混練し,金型内に射出する」ことは,「前記原料供給工程を経た原料を,所定の加工機により溶融混練する加工工程」の限りで共通する。 そうすると,本件発明8と甲1発明2とは, 「下記(1)?(2)工程を順不同で行う原料供給工程と, 前記原料供給工程を経た原料を,所定の加工機により溶融混練する加工工程と, を有し, 下記(1)工程における真空タンクの内部を減圧すること及び下記(2)工程を2回以上行う,樹脂組成物の製造方法; (1)真空タンクに前記樹脂組成物の前記原料を入れ,前記真空タンクの内部を減圧する工程, (2)前記真空タンクの内部に不活性ガスを供給する工程。」 の点で一致し,以下の点で相違する。 ・相違点2 本件発明8では,原料供給工程において,「(3)前記真空タンクの内部にある前記原料に振動を与える工程」を行うのに対して,甲1発明2では,このような工程を行うことが特定されていない点。 ・相違点3 本件発明8では,原料供給工程を「酸素濃度が0.5体積%以下」で行うのに対して,甲1発明2では,酸素濃度について特定されていない点。 ・相違点4’ 本件発明8では,所定の加工機が「二軸押出機」であって,加工工程が「押出工程」であり,その「押出工程において,前記二軸押出機内を真空ベントにより減圧し,かつ前記二軸押出機の押出機ギアシャフトとスクリュシャフト接合部に不活性ガスを供給する」のに対して,甲1発明2では,所定の加工機が「射出成型機」であって,加工工程が「金型内に射出する」射出工程である点。 イ 相違点4’の検討 事案に鑑み,まず,相違点4’について検討する。 甲1発明2に係る樹脂組成物の製造方法は,材料を射出成型機の射出シリンダ内へ供給し,その材料を射出成型機の射出シリンダ内で溶融混練し,金型内に射出するものであるが,甲1には,押出機について何ら記載されておらず,「押出工程において,前記二軸押出機内を真空ベントにより減圧し,かつ前記二軸押出機の押出機ギアシャフトとスクリュシャフト接合部に不活性ガスを供給する」ことについても何ら記載されていない。 また,甲2?13のほか,参考資料1?6にも,「押出工程において,前記二軸押出機内を真空ベントにより減圧し,かつ前記二軸押出機の押出機ギアシャフトとスクリュシャフト接合部に不活性ガスを供給する」ことについて何ら記載されていない。また,このような事項が技術常識(周知技術)であったともいえない。 そうすると,甲1発明2において,「射出成型機」に代えて,「二軸押出機」を用いることとし,「押出工程において,前記二軸押出機内を真空ベントにより減圧し,かつ前記二軸押出機の押出機ギアシャフトとスクリュシャフト接合部に不活性ガスを供給する」ことが,当業者が容易に想到することができたということはできない。 ウ 小括 したがって,相違点2及び3について検討するまでもなく,本件発明8は,甲1に記載された発明及び周知技術に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (5)本件発明9について 本件発明9は,本件発明8を引用するものであるが,上記(4)で述べたとおり,本件発明8が,甲1に記載された発明及び周知技術に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない以上,本件発明9についても同様に,甲1に記載された発明及び周知技術に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (6)まとめ 以上のとおり,本件発明6?13は,いずれも,甲1に記載された発明及び周知技術に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 したがって,取消理由1(進歩性)によっては,本件特許の請求項6?13に係る特許を取り消すことはできない。 2 取消理由通知において採用しなかった特許異議の申立ての理由 (1)取消理由2(進歩性) ア 甲3に記載された発明 甲3の記載(請求項1,15,【0002】,【0010】,【0016】,【0019】,図1)によれば,甲3には,以下の発明が記載されていると認められる。 「熱可塑性合成樹脂材料の予備処理用に,移動する,特に回転することによって,熱可塑性合成樹脂材料を混合加熱する,複数個の器具(7)を内部に設けた,少なくとも1個の排気可能な収容容器(1)を有し,この予備処理は,当該合成樹脂材料の乾燥及び所望により結晶化又は部分結晶化であり,当該収容容器(1)は,好ましくは少なくとも部分的に結晶化された合成樹脂材料用の取り出し口(18)を備え,当該取り出し口(18)は,当該二軸押出機(36)の充填口(35)に,当該合成樹脂材料に関して流れ的に接続されている,予備処理された熱可塑性合成樹脂材料,特にPETを二軸押出機(36)に充填する装置と, 当該装置に接続された二軸押出機(36) を有する, リサイクルされた熱可塑性合成樹脂材料の製造装置であって, 当該収容容器(1)内で予備処理される合成樹脂材料の流動状態を維持する,転送部(31)が,当該収容容器(1)の取り出し口(18)に,当該合成樹脂材料が密閉状態で流動する接続状態となるように接続され, 当該収容容器(1)は,所望により,複数個の収容容器ステージを構成するとともに, 当該転送部(31)は,その出口に,当該押出機(36)の充填口(35)に密閉状態で直接接続可能な継手(69)を備え, 前記転送部(31)は,少なくとも1個の非排気領域を備え,当該非排気領域は,好ましくは,当該領域内にある前記合成樹脂材料を保護する,不活性ガス,乾燥空気又は熱風等の気体状媒体で洗浄され, 前記二軸押出機は,ガス抜きできるように構成してもよい, リサイクルされた熱可塑性合成樹脂材料の製造装置。」(以下,「甲3発明」という。) イ 本件発明6について (ア)対比 本件発明6と甲3発明とを対比する。 甲3発明における「予備処理された熱可塑性合成樹脂材料,特にPETを二軸押出機(36)に充填する装置」と,「当該装置に接続された二軸押出機(36)」を有する,「リサイクルされた熱可塑性合成樹脂材料の製造装置」は,本件発明6における「原料供給装置」と,「前記原料供給装置に接続された二軸押出機」を有する,「樹脂組成物の製造装置」に相当する。 甲3発明における「排気可能な収容容器(1)」は,本件発明6における「減圧手段」「を備える真空タンク」に相当する。 甲3発明における「複数個の器具(7)」は,甲3の図1によれば,羽根状のものとも解し得るものであり,「移動する,特に回転することによって,熱可塑性合成樹脂材料を混合加熱する」ものであるから,本件発明6における「原料に振動を与える加振手段」であって,「前記加振手段が,原料を撹拌する撹拌手段であり,前記撹拌手段が,撹拌羽根を回転させることで原料を撹拌するもの」に相当する。 甲3発明における「転送部(31)」は,「収容容器(1)の取り出し口(18)に」「接続され」るとともに,「その出口に,当該押出機(36)の充填口(35)に密閉状態で直接接続可能な継手(69)を備え」るものであるから,本件発明6における「前記真空タンクに接続され」る「フィーダ」に相当する。そして,甲3発明においては,その「転送部(31)」は,「少なくとも1個の非排気領域を備え,当該非排気領域は,好ましくは,当該領域内にある前記合成樹脂材料を保護する,不活性ガス」「等の気体状媒体で洗浄され」るものであるから,本件発明6において,「フィーダ」が「第2の不活性ガス供給部を備え」,「前記フィーダ内部には,前記第2の不活性ガス供給部により不活性ガスが供給される」ことに相当する。 そうすると,本件発明6と甲3発明とは, 「減圧手段と,原料に振動を与える加振手段と,を備える真空タンクと, 前記真空タンクに接続され,第2の不活性ガス供給部を備えるフィーダと, を有し, 前記加振手段が,原料を撹拌する撹拌手段であり,前記撹拌手段が,撹拌羽根を回転させることで原料を撹拌するものであり, 前記フィーダ内部には,前記第2の不活性ガス供給部により不活性ガスが供給される原料供給装置と, 前記原料供給装置に接続された二軸押出機と, を有する, 樹脂組成物の製造装置。」 の点で一致し,以下の点で相違する。 ・相違点6 本件発明6では,真空タンクが「第1の不活性ガス供給部」を備え,「前記減圧手段により減圧された前記真空タンク内に,前記第1の不活性ガス供給部から不活性ガスが供給され」るのに対して,甲3発明では,このような不活性ガス供給部を備えるものではない点。 ・相違点7 本件発明6では,二軸押出機が,「少なくとも1つの真空ベントを有し,前記二軸押出機の押出機ギアシャフトとスクリュシャフト接合部に不活性ガス供給部を有する」ものであるのに対して,甲3発明では,「ガス抜きできるように構成してもよい」ものの,上記のような真空ベント及び不活性ガス供給部を有するものではない点。 (イ)相違点7の検討 事案に鑑み,まず,相違点7について検討する。 甲3発明に係るリサイクルされた熱可塑性合成樹脂材料の製造装置は,二軸押出機が「ガス抜きできるように構成してもよい」ものであるが,甲3には,その二軸押出機が,「少なくとも1つの真空ベントを有し,前記二軸押出機の押出機ギアシャフトとスクリュシャフト接合部に不活性ガス供給部を有する」ことについても何ら記載されていない。 また,甲1,2及び4?13のほか,参考資料1?6にも,二軸押出機が,「少なくとも1つの真空ベントを有し,前記二軸押出機の押出機ギアシャフトとスクリュシャフト接合部に不活性ガス供給部を有する」ことについて何ら記載されていない。また,このような事項が技術常識(周知技術)であったともいえない。 そうすると,甲3発明において,二軸押出機について,「少なくとも1つの真空ベントを有し,前記二軸押出機の押出機ギアシャフトとスクリュシャフト接合部に不活性ガス供給部を有する」ものとすることが,当業者が容易に想到することができたということはできない。 (ウ)小括 したがって,相違点6について検討するまでもなく,本件発明6は,甲3に記載された発明及び周知技術に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 ウ 本件発明7及び11?13について 本件発明7は,本件発明6を引用するものである。また,本件発明11?13は,独立項に係るものであるが,本件発明6と同様の構成を有するものであり,甲3発明と対比すると,少なくとも,上記イ(ア)で認定した相違点6及び7の点で相違する。 そうすると,上記イで述べたとおり,本件発明6が,甲3に記載された発明及び周知技術に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない以上,本件発明7及び11?13についても同様に,甲3に記載された発明及び周知技術に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 エ まとめ 以上のとおり,本件発明6,7及び11?13は,いずれも,甲3に記載された発明及び周知技術に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものとはいえないから,申立人が主張する取消理由2(進歩性)は理由がない。 したがって,取消理由2(進歩性)によっては,本件特許の請求項6,7及び11?13に係る特許を取り消すことはできない。 (2)取消理由3(進歩性) ア 甲11に記載された発明 甲11の記載(請求項13,14,【0012】,図1,3)によれば,甲11には,以下の発明が記載されていると認められる。 「材料サイロと繋がり,材料の吸着水分と油脂分等を除去する,真空ポンプと除湿装置,不活性ガス供給装置とからなる,前処理装置, 前処理装置と繋がり,不活性ガスボンベと減圧装置,安全弁,ガス計量装置,ガス流量計,ヒーター,圧力センサ,圧力制御機,温度センサ,温度制御機,圧力容器からなる不活性ガス浸透装置, 不活性ガス浸透装置とつながる材料給送ポンプ,材料給送ポンプとつながる材料ホッパ, 不活性ガス浸透装置と材料ホッパの開閉バルブとつながる開閉バルブコントローラ, 成形機可塑化装置の計量部分とガス供給管で連結しているガス供給制御装置, 射出成形機,真空ポンプと繋がり,シール部材を持つ金型 から構成され, 除湿装置に運ばれた樹脂材料は,材料により決められた真空度で除湿され、その後,不活性ガスに置換し、所定の圧力と温度に制御された状態で、所定時間維持され, ガス供給管は,材料ホッパと材料ホッパ中の材料が順次送られて行く成形機可塑化装置の連結部付近に連結してあり,ガス供給制御装置により,不活性ガスが成形機可塑化装置の計量部分及び材料ホッパに所定の圧力と温度で供給される, 発泡成形品の成形装置。」(以下,「甲11発明」という。) イ 本件発明6について (ア)対比 本件発明6と甲11発明とを対比する。 甲11発明における「前処理装置」は,「材料の吸着水分と油脂分等を除去する」ものであって,「真空ポンプと除湿装置,不活性ガス供給装置とからなる」ものであるから,本件発明6における「減圧手段と,第1の不活性ガス供給部と」「を備える真空タンク」に相当する。そして,甲11発明において,「除湿装置に運ばれた樹脂材料は,材料により決められた真空度で除湿され、その後,不活性ガスに置換し、所定の圧力と温度に制御された状態で、所定時間維持され」ることは,本件発明6において,「前記減圧手段により減圧された前記真空タンク内に,前記第1の不活性ガス供給部から不活性ガスが供給され」ることに相当する。 甲11発明における「材料ホッパ」は,その「材料ホッパ中の材料が」成形機可塑化装置に「順次送られて行く」ものであるから,本件発明6における「フィーダ」に相当する。そして,甲11発明における「材料ホッパ」は,不活性ガス浸透装置及び材料給送ポンプを介して,「前処理装置」とつながっており,また,「ガス供給管は,材料ホッパと」「成形機可塑化装置の連結部付近に連結してあり,ガス供給制御装置により,不活性ガスが」「材料ホッパに所定の圧力と温度で供給される」から,本件発明6における「フィーダ」が,「前記真空タンクに接続され,第2の不活性ガス供給部を備え」,その「フィーダ内部には,前記第2の不活性ガス供給部により不活性ガスが供給される」ことに相当する。 以上によれば,甲11発明における「前処理装置」及び「材料ホッパ」は,本件発明6における「真空タンク」と「フィーダ」を有する「原料供給装置」に相当するといえる。また,本件発明6における「前記原料供給装置に接続された二軸押出機」と,甲11発明における「材料ホッパ」に接続されていることが明らかな「射出成形機」とは,「前記原料供給装置に接続された所定の加工機」の限りで共通する。 そうすると,本件発明6と甲11発明とは, 「減圧手段と,第1の不活性ガス供給部と,を備える真空タンクと, 前記真空タンクに接続され,第2の不活性ガス供給部を備えるフィーダと, を有し, 前記減圧手段により減圧された前記真空タンク内に,前記第1の不活性ガス供給部から不活性ガスが供給され, 前記フィーダ内部には,前記第2の不活性ガス供給部により不活性ガスが供給される原料供給装置と, 前記原料供給装置に接続された所定の加工機と, を有する, 装置。」 の点で一致し,以下の点で相違する。 ・相違点8 本件発明6では,真空タンクが「原料に振動を与える加振手段」を備え,「前記加振手段が,原料を撹拌する撹拌手段であり,前記撹拌手段が,撹拌羽根を回転させることで原料を撹拌するもの」であるのに対して,甲11発明では,前処理装置がこのような加振手段を備えるものではない点。 ・相違点9 本件発明6では,所定の加工機が「二軸押出機」であり,その「二軸押出機は,少なくとも1つの真空ベントを有し,前記二軸押出機の押出機ギアシャフトとスクリュシャフト接合部に不活性ガス供給部を有する」ものであるのに対して,甲11発明では,所定の加工機が「射出成形機」であり,「ガス供給管は,材料ホッパと」「成形機可塑化装置の連結部付近に連結してあり,ガス供給制御装置により,不活性ガスが成形機可塑化装置の計量部分」「に所定の圧力と温度で供給される」点。 ・相違点10 本件発明6は,「樹脂組成物の製造装置」であるのに対して,甲11発明は,「発泡成形品の成形装置」である点。 (イ)相違点9の検討 事案に鑑み,まず,相違点9について検討する。 甲11発明に係る発泡成形品の成形装置は,材料ホッパに射出成形機が接続されたものであるが,甲11には,押出機について何ら記載されておらず,「二軸押出機は,少なくとも1つの真空ベントを有し,前記二軸押出機の押出機ギアシャフトとスクリュシャフト接合部に不活性ガス供給部を有する」ことについても何ら記載されていない。 また,甲1?10,12及び13のほか,参考資料1?6にも,「二軸押出機は,少なくとも1つの真空ベントを有し,前記二軸押出機の押出機ギアシャフトとスクリュシャフト接合部に不活性ガス供給部を有する」ことについて何ら記載されていない。また,このような事項が技術常識(周知技術)であったともいえない。 そうすると,甲11発明において,「射出成形機」に代えて,「二軸押出機」を用いることとし,その二軸押出機を,「少なくとも1つの真空ベントを有し,前記二軸押出機の押出機ギアシャフトとスクリュシャフト接合部に不活性ガス供給部を有する」ものとすることが,当業者が容易に想到することができたということはできない。 (ウ)小括 したがって,相違点8及び10について検討するまでもなく,本件発明6は,甲11に記載された発明及び周知技術に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 ウ 本件発明7及び11及び12について 本件発明7は,本件発明6を引用するものである。また,本件発明11及び12は,独立項に係るものであるが,本件発明6と同様の構成を有するものであり,甲11発明と対比すると,少なくとも,上記イ(ア)で認定した相違点8?10の点で相違する。 そうすると,上記イで述べたとおり,本件発明6が,甲11に記載された発明及び周知技術に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない以上,本件発明7,11及び12についても同様に,甲11に記載された発明及び周知技術に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 エ まとめ 以上のとおり,本件発明6,7,11及び12は,いずれも,甲11に記載された発明及び周知技術に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものとはいえないから,申立人が主張する取消理由3(進歩性)は理由がない。 したがって,取消理由3(進歩性)によっては,本件特許の請求項6,7,11及び12に係る特許を取り消すことはできない。 3 平成30年5月11日付けの意見書における申立人の主張 申立人は,本件発明6?13における「前記二軸押出機の押出機ギアシャフトとスクリュシャフト接合部に不活性ガス供給部を有する」との要件について,本件明細書の発明の詳細な説明には,不活性ガス供給部が具体的にどのような形態のものであるかについて何ら説明されていないから,本件発明6?13は,特許請求の範囲の記載が特許法36条6項1号に適合するものではないと主張する。 しかしながら,二軸押出機における「押出機ギアシャフトとスクリュシャフト」やこれらの「接合部」が具体的にどのようなものであるのかは,当業者にとって自明の事項であり,このような「押出機ギアシャフトとスクリュシャフト接合部」に「不活性ガス供給部を有する」ものが具体的にどのようなものであるのかについても,当業者にとって自明の事項といえる。 したがって,本件発明6?13は,特許請求の範囲の記載が特許法36条6項1号に適合するものではないということはできず,申立人の主張は理由がない。 第6 むすび 以上のとおり,本件特許の請求項1?5が本件訂正により削除された結果,同請求項1?5に係る特許についての本件特許異議の申立ては対象を欠くこととなったため,特許法120条の8第1項において準用する同法135条の規定により決定をもって却下すべきものである。 また,取消理由通知書に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議の申立ての理由によっては,本件特許の請求項6?13に係る特許を取り消すことはできない。 また,他に本件特許の請求項6?13に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 (削除) 【請求項2】 (削除) 【請求項3】 (削除) 【請求項4】 (削除) 【請求項5】 (削除) 【請求項6】 減圧手段と、第1の不活性ガス供給部と、原料に振動を与える加振手段と、を備える真空タンクと、 前記真空タンクに接続され、第2の不活性ガス供給部を備えるフィーダと、 を有し、 前記減圧手段により減圧された前記真空タンク内に、前記第1の不活性ガス供給部から不活性ガスが供給され、前記加振手段が、原料を撹拌する撹拌手段であり、前記撹拌手段が、撹拌羽根を回転させることで原料を撹拌するものであり、 前記フィーダ内部には、前記第2の不活性ガス供給部により不活性ガスが供給される原料供給装置と、 前記原料供給装置に接続された二軸押出機と、 を有し、 前記二軸押出機は、少なくとも1つの真空ベントを有し、前記二軸押出機の押出機ギアシャフトとスクリュシャフト接合部に不活性ガス供給部を有する、 樹脂組成物の製造装置。 【請求項7】 前記原料供給装置と前記押出機とを接続する接続部が密閉されており、 前記真空タンクの下流領域に不活性ガスを供給する第3の不活性ガス供給部を、更に有する、請求項6に記載の樹脂組成物の製造装置。 【請求項8】 下記(1)?(3)工程を酸素濃度が0.5体積%以下で、順不同で行う原料供給工程と、 前記原料供給工程を経た原料を、二軸押出機により溶融混練する押出工程と、 を有し、 下記(1)工程における真空タンクの内部を減圧すること及び下記(2)工程を2回以上行い、前記押出工程において、前記二軸押出機内を真空ベントにより減圧し、かつ前記二軸押出機の押出機ギアシャフトとスクリュシャフト接合部に不活性ガスを供給する、樹脂組成物の製造方法; (1)真空タンクに前記樹脂組成物の前記原料を入れ、前記真空タンクの内部を減圧する工程、 (2)前記真空タンクの内部に不活性ガスを供給する工程、 (3)前記真空タンクの内部にある前記原料に振動を与える工程。 【請求項9】 前記原料供給工程を経た前記原料を、不活性ガス雰囲気下で前記押出工程に供する、請求項8に記載の樹脂組成物の製造方法。 【請求項10】 減圧手段と、第1の不活性ガス供給部と、原料に振動を与える加振手段と、を備える真空タンクと、 前記真空タンクに接続され、第2の不活性ガス供給部を備えるフィーダと、 を有し、 前記減圧手段により減圧された前記真空タンク内に、前記第1の不活性ガス供給部から不活性ガスが供給され、前記加振手段が、原料を撹拌する撹拌手段であり、前記撹拌手段が、撹拌羽根を回転させることで原料を撹拌するものであり、 前記フィーダ内部には、前記第2の不活性ガス供給部により不活性ガスが供給される原料供給装置と、 前記原料供給装置に接続された二軸押出機と、 を有し、 真空タンク用酸素濃度測定装置が前記真空タンクと接続されており、 前記二軸押出機は、少なくとも1つの真空ベントを有し、前記二軸押出機の押出機ギアシャフトとスクリュシャフト接合部に不活性ガス供給部を有する、 樹脂組成物の製造装置。 【請求項11】 減圧手段と、第1の不活性ガス供給部と、原料に振動を与える加振手段と、を備える真空タンクと、 前記真空タンクに接続され、第2の不活性ガス供給部を備えるフィーダと、 を有し、 前記減圧手段により減圧された前記真空タンク内に、前記第1の不活性ガス供給部から不活性ガスが供給され、前記加振手段が、原料を撹拌する撹拌手段であり、前記撹拌手段が、撹拌羽根を回転させることで原料を撹拌するものであり、 前記フィーダ内部には、前記第2の不活性ガス供給部により不活性ガスが供給される原料供給装置と、 前記原料供給装置に接続された二軸押出機と、 を有し、 前記フィーダが、重量式フィーダであり、 前記二軸押出機は、少なくとも1つの真空ベントを有し、前記二軸押出機の押出機ギアシャフトとスクリュシャフト接合部に不活性ガス供給部を有する、 樹脂組成物の製造装置。 【請求項12】 減圧手段と、第1の不活性ガス供給部と、原料に振動を与える加振手段と、を備える真空タンクと、 前記真空タンクに接続され、第2の不活性ガス供給部を備えるフィーダと、 を有し、 前記減圧手段により減圧された前記真空タンク内に、前記第1の不活性ガス供給部から不活性ガスが供給され、前記加振手段が、原料を撹拌する撹拌手段であり、前記撹拌手段が、撹拌羽根を回転させることで原料を撹拌するものであり、 前記フィーダ内部には、前記第2の不活性ガス供給部により不活性ガスが供給される原料供給装置と、 前記原料供給装置に接続された二軸押出機と、 を有し、 前記真空タンクの下流に、遮断弁が設けられており、 前記二軸押出機は、少なくとも1つの真空ベントを有し、前記二軸押出機の押出機ギアシャフトとスクリュシャフト接合部に不活性ガス供給部を有する、 樹脂組成物の製造装置。 【請求項13】 減圧手段と、第1の不活性ガス供給部と、原料に振動を与える加振手段と、を備える真空タンクと、 前記真空タンクに接続され、第2の不活性ガス供給部を備えるフィーダと、 前記真空タンクと前記フィーダの間に配置された中間タンクと、 前記真空タンクと前記中間タンクと前記フィーダとを接続する均圧用配管と、 を有し、 前記減圧手段により減圧された前記真空タンク内に、前記第1の不活性ガス供給部から不活性ガスが供給され、前記加振手段が、原料を撹拌する撹拌手段であり、前記撹拌手段が、撹拌羽根を回転させることで原料を撹拌するものであり、 前記フィーダ内部には、前記第2の不活性ガス供給部により不活性ガスが供給される原料供給装置と、 前記原料供給装置に接続された二軸押出機と、 を有し、 前記二軸押出機は、少なくとも1つの真空ベントを有し、前記二軸押出機の押出機ギアシャフトとスクリュシャフト接合部に不活性ガス供給部を有する、 樹脂組成物の製造装置。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2018-06-25 |
出願番号 | 特願2012-231129(P2012-231129) |
審決分類 |
P
1
651・
121-
YAA
(B29C)
P 1 651・ 537- YAA (B29C) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 辰己 雅夫 |
特許庁審判長 |
加藤 友也 |
特許庁審判官 |
長谷部 智寿 井上 猛 |
登録日 | 2017-04-14 |
登録番号 | 特許第6126351号(P6126351) |
権利者 | 旭化成株式会社 |
発明の名称 | 原料供給装置及びそれを用いた樹脂組成物の製造装置、並びに樹脂組成物の製造方法 |
代理人 | 伊東 有道 |
代理人 | 稲葉 良幸 |
代理人 | 江口 昭彦 |
代理人 | 内藤 和彦 |
代理人 | 内藤 和彦 |
代理人 | 大貫 敏史 |
代理人 | 大貫 敏史 |
代理人 | 江口 昭彦 |
代理人 | 伊東 有道 |
代理人 | 稲葉 良幸 |