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審決分類 審判 訂正 ただし書き1号特許請求の範囲の減縮 訂正する G01D
審判 訂正 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 訂正する G01D
管理番号 1343265
審判番号 訂正2018-390099  
総通号数 226 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-10-26 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2018-06-15 
確定日 2018-08-16 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第4725020号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第4725020号の明細書、特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。 
理由 第1 手続の経緯
特許第4725020号に係る出願は、平成16年2月4日に特願2004-28332号として出願されたものであって、平成23年4月22日に特許権の設定登録がなされ、平成30年6月15日に本件訂正審判の請求がなされたものである。

第2 請求の趣旨と訂正の内容
本件訂正審判の請求の趣旨は、特許第4725020号の明細書、及び特許請求の範囲を、本件審判請求書に添付した訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり訂正することを認める、との審決を求めるものであり、その訂正の内容は、次のとおりである(なお、下線は請求人が付したものである。)。

1 訂正事項1
特許請求の範囲の【請求項1】に「前記磁石材料の前記バインダが、ポリアミド12、ポリアミド612、ポリアミド11、ポリフェニレンサルファイドの群から選ばれた熱可塑性樹脂であって、数平均分子量が10000?18000であり、」とあるのを、「前記磁石材料の前記バインダが、ポリアミド12、ポリアミド612、ポリアミド11の群から選ばれた熱可塑性樹脂であって、数平均分子量が10000?18000であり、」に訂正する。

2 訂正事項2
明細書の段落【0007】に「前記磁石材料の前記バインダが、ポリアミド12、ポリアミド612、ポリアミド11、ポリフェニレンサルファイドの群から選ばれた熱可塑性樹脂であって、数平均分子量が10000?18000であり、」とある記載を、「前記磁石材料の前記バインダが、ポリアミド12、ポリアミド612、ポリアミド11の群から選ばれた熱可塑性樹脂であって、数平均分子量が10000?18000であり、」に訂正する。

3 訂正事項3
明細書の段落【0045】表1中の「実施例3」及び「実施例4」との記載を「参考例3」及び「参考例4」にそれぞれ訂正し、同段落【0033】の「実施例3」との記載を「参考例3」に訂正し、同段落の「第3の実施例」との記載を、「第3の参考例」に訂正し、同段落【0034】の「実施例4」との記載を「参考例4」に訂正し、同段落の「第4の実施例」との記載を「第4の参考例4」に訂正する。

4 訂正事項4
明細書の段落【0047】表3中の「実施例9」との記載を「参考例9」に訂正し、同段落【0039】の「実施例9」との記載を「参考例9」に訂正し、同段落の「第9の実施例」との記載を「第9の参考例」に訂正する。

5 訂正事項5
明細書の段落【0030】の「第1?第9の実施例及び第1?第4の比較例」との記載を「実施例1、2、5?8、参考例3、4、9、及び比較例1?4」に訂正し、同段落【0030】及び【0044】の「各実施例または比較例」との記載を「各実施例、参考例または比較例」に訂正し、同段落【0049】の「実施例1?実施例9」との記載を「実施例1、2、5?8、参考例3、4、9、」に訂正する(なお、審判請求書第3頁第6-12行の「オ 訂正事項5」では、「9」に続く読点が遺漏しているので、段落【0049】についての訂正事項5の訂正内容は、訂正明細書の段落【0049】のとおりに記載した。)。

第3 当審の判断
以下、訂正事項1-5の適否について判断する。
1 訂正事項1
(1)訂正の目的
訂正前の請求項1の発明特定事項である「前記磁石材料の前記バインダが、ポリアミド12、ポリアミド612、ポリアミド11、ポリフェニレンサルファイドの群から選ばれた熱可塑性樹脂であって、数平均分子量が10000?18000であり、」を、「前記磁石材料の前記バインダが、ポリアミド12、ポリアミド612、ポリアミド11の群から選ばれた熱可塑性樹脂であって、数平均分子量が10000?18000であり、」と訂正することは、磁石材料のバインダに用いられる熱可塑性樹脂についての択一的記載の要素を削除するものであるから、訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、請求項2-3は、上記訂正に係る請求項1の記載を直接的または間接的に引用するものであるから、請求項2-3についても、訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである(なお、本件訂正前の請求項3に係る発明は、訂正事項1による削除の対象とされた「ポリフェニレンサルファイド」を選択するものではないから、実質的な変更はない。)。

(2)新規事項の有無
訂正事項1は、磁石材料のバインダに用いられる熱可塑性樹脂について、訂正前にあった択一的記載の要素から、「ポリフェニレンサルファイド」を削除するものである。
よって、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてなされたものであり、特許法第126条第5項の規定を満たすものである。

(3)特許請求の範囲の拡張又は変更の有無
訂正事項1は、訂正前の請求項1に記載された、磁石材料のバインダに用いられる熱可塑性樹脂についての択一的記載の要素から、「ポリフェニレンサルファイド」を削除するものに過ぎず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第126条第6項の規定を満たすものである

(4)独立特許要件
訂正事項1は、訂正前の請求項1に記載された、磁石材料のバインダに用いられる熱可塑性樹脂についての択一的記載の要素から、「ポリフェニレンサルファイド」を削除するものである。
よって、本件訂正後の請求項1-3に記載された事項により特定される発明について、特許要件の適否について見直すべき新たな事情は存在せず、また、この訂正により特許法第36条第4項第1号又は第6項(第4号を除く)に規定する要件を満たさなくなるようなものでもない。そして、本件訂正後の請求項1-3に記載された事項により特定される発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由を発見できない。したがって、訂正事項1は、特許法第126条第7項に規定する独立特許要件を満たすものといえる。

2 訂正事項2
(1)訂正の目的
訂正事項2は、上記訂正事項1に係る訂正(磁石材料のバインダに用いられる熱可塑性樹脂についての択一的記載の要素から、「ポリフェニレンサルファイド」を削除する訂正)に伴い、明細書の段落【0007】の記載を、訂正後の特許請求の範囲の記載に整合させるものであるから、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

(2)新規事項の有無
訂正事項2は、訂正前の明細書の段落【0007】に記載された、磁石材料のバインダに用いられる熱可塑性樹脂についての択一的記載の要素から、「ポリフェニレンサルファイド」を削除するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてなされたものであり、特許法第126条第5項の規定を満たすものである。

(3)特許請求の範囲の拡張又は変更の有無
訂正事項2は、明細書の段落【0007】の記載を、訂正後の特許請求の範囲の記載に整合させるものに過ぎず、この訂正によって、特許請求の範囲が実質的に拡張又は変更されることにはならないから、特許法第126条第6項の規定を満たすものである。

3 訂正事項3
(1)訂正の目的
本件訂正前の明細書の段落【0045】表1、段落【0033】及び段落【0034】には、磁石材料のバインダに用いられる熱可塑性樹脂として、訂正事項1による削除の対象とされた「ポリフェニレンサルファイド」を用いた例が、「実施例3」及び「実施例4」、あるいは「第3の実施例」及び「第4の実施例」として記載されているところ、訂正事項3は、上記訂正事項1による訂正に伴い、本件訂正後の請求項1-3に記載された事項により特定される発明には対応しないものとなった「実施例3」及び「実施例4」、あるいは「第3の実施例」及び「第4の実施例」を、「参考例3」及び「参考例4」、あるいは「第3の参考例」及び「第4の参考例」とすることにより、明細書の段落【0045】表1、段落【0033】及び段落【0034】における記載を、本件訂正後の請求項1-3に記載された事項により特定される発明に整合させるものである。
したがって、訂正事項3は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

(2)新規事項の有無
訂正事項3は、上記(1)のとおり、本件訂正後の請求項1-3に記載された事項により特定される発明に対応しない実施例を参考例とするものに過ぎないから、訂正事項3は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであって、特許法第126条第5項の規定を満たすものである。

(3)特許請求の範囲の拡張又は変更の有無
訂正事項3は、上記(1)のとおり、本件訂正後の請求項1-3に記載された事項により特定される発明に対応しないものとなった「実施例3」及び「実施例4」、あるいは「第3の実施例」及び「第4の実施例」を、「参考例3」及び「参考例4」、あるいは「第3の参考例」及び「第4の参考例」とするものに過ぎず、特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第126条第6項の規定を満たすものである。

4 訂正事項4
(1)訂正の目的
本件訂正前の明細書の段落【0047】表3、及び段落【0039】には、磁石材料のバインダに用いられる熱可塑性樹脂として、「ポリアミド6」を用いた例が「実施例9」あるいは「第9の実施例」として記載されているところ、特許請求の範囲の請求項1-4に係る発明は、磁石材料のバインダに用いられる熱可塑性樹脂として、「ポリアミド6」を用いるものではないことから、訂正事項4は、本件訂正前の明細書の段落【0047】表3、及び段落【0039】に記載された「実施例9」あるいは「第9の実施例」を、「参考例9」あるいは「第9の参考例」とすることにより、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを整合させるものである。
したがって、訂正事項4は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

(2)新規事項の有無
訂正事項4は、上記(1)のとおり、「実施例9」あるいは「第9の実施例」を、「参考例9」あるいは「第9の参考例」とするものに過ぎないから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであって、特許法第126条第5項の規定を満たすものである。

(3)特許請求の範囲の拡張又は変更の有無
訂正事項4は、上記(1)のとおり、特許請求の範囲の請求項1-4に係る発明に対応しない「実施例9」あるいは「第9の実施例」を、「参考例9」あるいは「第9の参考例」とするものに過ぎず、特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第126条第6項の規定を満たすものである。

5 訂正事項5
(1)訂正の目的
上記訂正事項3、4に伴い、「実施例3」、「実施例4」、「第3の実施例」、「第4の実施例」、「実施例9」、及び「第9の実施例」が、それぞれ、「参考例3」、「参考例4」、「第3の参考例」、「第4の参考例」、「参考例9」、及び「第9の参考例」と書き改められたことから、訂正事項5は、本件訂正前の明細書の段落【0030】に「第1?第9の実施例及び第1?第4の比較例」と記載されていたところを「実施例1、2、5?8、参考例3、4、9、及び比較例1?4」と書き改め、同段落【0030】及び【0044】に「各実施例または比較例」と記載されていたところを「各実施例、参考例または比較例」と書き改め、さらに、同段落【0049】に「実施例1?実施例9」と記載されていたところを「実施例1、2、5?8、参考例3、4、9、」と書き改めることで、明細書の段落【0030】、【0044】、及び【0049】の記載を、上記訂正事項3、4による訂正後の明細書の記載に整合させるものである。
したがって、訂正事項5は、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

(2)新規事項の有無
訂正事項5は、上記(1)のとおり、上記訂正事項3、4に伴い、「第1?第9の実施例及び第1?第4の比較例」を「実施例1、2、5?8、参考例3、4、9、及び比較例1?4」と書き改め、「各実施例または比較例」を「各実施例、参考例または比較例」と書き改め、さらに、「実施例1?実施例9」を「実施例1、2、5?8、参考例3、4、9、」と書き改めるものに過ぎないから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであって、特許法第126条第5項の規定を満たすものである。

(3)特許請求の範囲の拡張又は変更の有無
訂正事項5は、上記(1)のとおり、上記訂正事項3、4によって、「実施例3」、「実施例4」、「第3の実施例」、「第4の実施例」、「実施例9」、及び「第9の実施例」が、それぞれ、「参考例3」、「参考例4」、「第3の参考例」、「第4の参考例」、「参考例9」、及び「第9の参考例」と書き改められたことに伴う、派生的な文章の訂正に過ぎず、特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第126条第6項の規定を満たすものである。

第4 むすび
以上のとおりであるから、本件訂正審判の請求に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第1号ないし第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第5項ないし第7項の規定を満たすものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
自動車車輪用センサ付転がり軸受及びその製造方法
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車車輪の回転数を検出するために用いられるエンコーダを備えた自動車車輪用センサ付転がり軸受とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車のスキッド(車輪が略停止状態で滑る現象)を防止するためのアンチスキッド、または有効に駆動力を路面に伝えるためのトラクションコントロール(発進や加速時に生じやすい駆動輪の不要な空転の制御)などに用いられる車輪回転数検出装置としては、N極とS極とを円周方向に交互に着磁された円環状のエンコーダと、該エンコーダの近傍における磁場の変化を検出するセンサとを有し、車輪を支持する軸受を密封するための密封装置に前記エンコーダを併設して配置することにより車輪の回転と共に前記エンコーダを回転せしめ、車輪の回転に同期した磁場の変化を前記センサにより検出するものが知られている。(例えば、特許文献1参照)
【特許文献1】特開2001-255337号公報(第2?3頁、第2図)
【0003】
特許文献1に開示されている車輪回転数検出装置は、図7に示すように、外輪1aに取り付けられたシール部材2と、内輪1bに嵌合されたスリンガ3と、スリンガ3の外面に取り付けられて内輪1bと共に回転するエンコーダ4と、エンコーダ4に近接して配置されたセンサ5とから構成されており、シール部材2とスリンガ3とにより、埃等の異物が軸受内部に進入することを防止し、軸受内部に充填された潤滑剤が軸受外部に漏洩することを防止している。そして、エンコーダ4は接着剤を塗布されたスリンガ3の前記外面に圧着して接合されており、軸受外部に露出して配置されている。エンコーダ4は、内輪1bが1回転する間に、極数に対応した数の磁気パルスを発生させ、この磁気パルスをセンサ5により検出することで内輪1bの回転数を検出している。一般に、エンコーダ4は、磁性粉を混入されたゴム又は樹脂等の弾性磁性材料から形成されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記の車輪回転数検出装置において、エンコーダ4は直接に外気に曝されると共に雨水や融雪剤に暴露されるため、エンコーダ中に含有される磁性粉や該磁性粉のバインダである樹脂が劣化して、エンコーダの磁気特性が低下する可能性があった。
【0005】
本発明は前述した事情に鑑みてなされたものであり、エンコーダ中に含有される磁性粉及びバインダの劣化を抑制して磁気特性や機械的強度の低下を防止し、信頼性を向上させたエンコーダを備えた自動車車輪用センサ付転がり軸受とその製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した目的を達成するために、本発明に係る自動車車輪用センサ付転がり軸受は、下記の(1)?(3)を特徴としている。
【0007】
(1)固定輪と、
回転輪と、
前記固定輪及び前記回転輪の間に形成される環状隙間で周方向に転動自在に配設された複数の転動体と、
前記回転輪に固定される略円筒状の嵌合部と、径方向に伸びる円板状のフランジ部と、を有する磁性材料製のスリンガと、
磁性粉と、該磁性粉のバインダとして熱可塑性樹脂と、を含有する磁石材料を円環状に成形して円周方向に多極に着磁されたエンコーダと、を備える自動車車輪用センサ付転がり軸受であって、
前記磁石材料の前記磁性粉が、フェライト系磁性粉であって、前記磁石材料に60?80体積%含有され、
前記磁石材料の前記バインダが、ポリアミド12、ポリアミド612、ポリアミド11の群から選ばれた熱可塑性樹脂であって、数平均分子量が10000?18000であり、
前記エンコーダが、前記スリンガをコアにしたインサート成形で前記フランジ部を被包するように形成され、前記スリンガと前記エンコーダとが機械的に接合していること。
(2)上記(1)に記載の自動車車輪用センサ付転がり軸受であって、前記エンコーダが、前記スリンガの外周縁部に、断面略L字形の円環状の係止片で係合していること。
(3)上記(1)または(2)に記載の自動車車輪用センサ付転がり軸受であって、前記エンコーダを形成する前記熱可塑性樹脂にポリアミド12、ポリアミド612またはポリアミド11が選択され、前記エンコーダが前記スリンガの接合面に、エポキシ基を有するシランカップリング剤で化学的にも接合されていること。
【0008】
(1)記載の自動車車輪用センサ付転がり軸受によれば、エンコーダがフェライト系磁性粉と該磁性粉のバインダとして熱可塑性樹脂とを含有し、熱可塑性樹脂の数平均分子量を10000?18000としたので、長期間の使用においてもエンコーダに含有される磁性粉やバインダの劣化を抑制してエンコーダの磁気特性や機械的強度の低下を防止することができる。尚、熱可塑性樹脂の数平均分子量が10000未満の場合には、熱可塑性樹脂の靭性が低下してエンコーダが脆くなり、一方、数平均分子量が18000を越える場合には、溶融した磁石材料の粘度が高いため、薄板状のエンコーダを射出成形する際に欠肉や変形等の欠陥が発生して、成形性が低下するので好ましくない。
【0009】
また、フェライト系磁性粉としては、ストロンチウムフェライトやバリウムフェライトが用いられるが、より磁力の高いストロンチウムフェライト磁性粉が好ましい。尚、磁性粉としては前記フェライト系磁性粉の他に、ネオジウム-鉄-ボロン、サマリウム-コバルト、サマリウム-鉄、等の希土類系磁性粉も用いることができるが、エンコーダが水や融雪剤(例えば、岩塩、塩化カルシウム等)に曝されて磁性粉が酸化劣化され易い使用環境であることを考慮すると、ネオジウム-鉄-ボロン、及びサマリウム-鉄磁性粉は酸化し易いため好ましくなく、サマリウム-コバルト磁性粉は酸化し難いが非常に高価であるため実用的でない。
【0010】
また、熱可塑性樹脂として吸水性に乏しいポリアミド12(PA12)、ポリアミド612(PA612)、ポリアミド11(PA11)またはポリフェニレンサルファイド(PPS)を用いたので、融雪剤として使用される塩化カルシウムの加水反応による発熱で磁性粉やバインダが劣化することを抑制し、エンコーダの磁気特性や機械的強度が低下することを防止することができる。尚、熱可塑性樹脂としては射出成形を可能とするポリアミド12、ポリアミド612、ポリアミド11、またはポリフェニレンサルファイドの他に、ポリアミド6(PA6)等を用いることができるが、ポリアミド6はポリアミド12、ポリアミド612、ポリアミド11、ポリフェニレンサルファイドに比べ吸水性が高いので好ましくない。
【0011】
また、磁性粉の含有量を60?80体積%としたので、エンコーダの磁気特性と機械的強度とを両立させることができる。尚、磁性粉の含有量が60体積%未満の場合には、磁性粉の含有量が低く十分な磁気特性を得ることが困難となり、一方、磁性粉の含有量が80体積%を越える場合には、バインダ量が不足してエンコーダ全体の機械的強度(例えば、衝撃強度など)が低下し、異物と衝突して破損する虞があると共に、溶融した磁石材料の粘度が高いため射出成形による成形が困難となる。
【0012】
(2)に記載の転がり軸受によれば、エンコーダがスリンガの外周縁部でも機械的に接合される。
【0013】
(3)に記載の転がり軸受によれば、エンコーダとスリンガとが機械的及び化学的に接合される。
【0014】
また、本発明に係る自動車車輪用センサ付転がり軸受の製造方法は、下記の(4)を特徴としている。
(4)固定輪と、回転輪と、前記固定輪及び前記回転輪の間に形成される環状隙間で周方向に転動自在に配設された複数の転動体と、前記回転輪に固定される略円筒状の嵌合部と、径方向に伸びる円板状のフランジ部と、を有する磁性材料製のスリンガと、磁性粉と、該磁性粉のバインダとして熱可塑性樹脂と、を含有する磁石材料を円環状に成形して円周方向に多極に着磁されたエンコーダと、を備える自動車車輪用センサ付転がり軸受の製造方法であって、
磁性粉としてフェライト系磁性粉を60?80体積%含有し、バインダとしてポリアミド12、ポリアミド612、ポリアミド11の群から選ばれた、数平均分子量が10000?18000である熱可塑性樹脂を含有する磁石材料を用いて、前記スリンガをコアにしたインサート成形で前記フランジ部を被包するように前記エンコーダを形成するとともに、前記インサート成形の前に、前記スリンガのフランジ部の前記エンコーダとの接合面にエポキシ基を有するシランカップリング剤を塗布し、前記インサート成形の後に、前記エンコーダを高周波加熱して、前記スリンガと前記エンコーダとを機械的及び化学的に接合すること。
(4)に記載の自動車車輪用センサ付転がり軸受の製造方法によれば、エンコーダとスリンガとが機械的及び化学的に接合される。
【0015】
尚、磁性粉のバインダにポリアミド6やポリアミド12等のポリアミド樹脂を用いた場合に、スリンガとエンコーダとの接合面にγ?グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のエポキシ基を有するシランカップリング剤を塗布した後に高周波加熱を行うことにより、シランカップリング剤に含有されるメトキシ基の加水分解によって生成されるシラノール基(Si-OH)がスリンガ表面のヒドロキシル基(OH)と脱水縮合反応を起こして新たな結合を形成すると共に、エポキシ基がバインダのアミド結合と反応を起こして新たな結合を形成する。これにより、エンコーダとスリンガとが化学的に完全に接合され、エンコーダがスリンガから脱落することを確実に防止して、信頼性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、従来のような、エンコーダが外気に曝されると共に雨水や融雪剤に暴露されて、エンコーダ中に含有される磁性粉や該磁性粉のバインダである樹脂が劣化し、エンコーダの磁気特性が低下するという問題を解消することができ、これによりエンコーダの信頼性を向上させることができるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明に係る好適な実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0018】
図1は本発明に係る第1実施形態であるエンコーダを組み付けられた転がり軸受の断面図、図2は図1に示す転がり軸受の要部拡大断面図、図3は図1に示すエンコーダの着磁パターンを示す模式図、図4は本発明に係る第2実施形態であるエンコーダを組み付けられたハブユニットの断面図、図5はバインダの数平均分子量とエンコーダの引張強度との関係を示すグラフ、そして図6は磁性粉の含有量とエンコーダの残留磁束密度との関係を示すグラフである。
【0019】
図1?図3に示すように、本発明の第1実施形態であるエンコーダを組み付けられた転がり軸受10は、固定輪である外輪11と、回転輪である内輪12と、外輪11及び内輪12により画成された環状隙間に転動自在に配置され且つ保持器14により円周方向に等間隔に保持された複数の転動体である玉13と、前記環状隙間の開口端部に配設された密封装置15と、内輪12の回転数を検出するためのエンコーダ30とを備えている。密封装置15は、外輪11の内周面に固定されたシール部材40と、シール部材40よりも開口端部外側に配置され且つ内輪12の外周面に固定されたスリンガ20とを有しており、シール部材40とスリンガ20とによって前記環状隙間の開口端部を塞ぎ、埃等の異物が軸受内部に進入することを防止すると共に軸受内部に充填された潤滑剤が軸受外部に漏洩することを防止している。そして、エンコーダ30はスリンガ20に接合されて内輪12と共に回転する。
【0020】
スリンガ20は磁性材料を断面L字形の円環状に形成したものであり、内輪1bの外周面に外嵌する略円筒状の嵌合部22と、嵌合部22の前記開口端部側の一端から半径方向に伸びる略円板状のフランジ部21とを有している。フランジ部21の開口端部外方の端面には、内輪12の回転に同期して近傍の磁場(例えば、磁束密度等)を変化させるエンコーダ30が接合されている。
【0021】
エンコーダ30には、断面略矩形の円環状の着磁部31と、フランジ部21の外周縁部と係合する断面略L字形の円環状の係止片32とが設けられている。エンコーダ30は、熱可塑性樹脂をバインダとしてフェライト系磁性粉を60?80体積%の範囲内で適宜含有した磁石材料を射出成形して形成されており、金型中に保持されたスリンガ20をコアとしてインサート成形されている。インサート成形とすることにより、エンコーダ30がフランジ部21を被包するように形成されるので、エンコーダ30とスリンガ20とが機械的に接合される。これにより、エンコーダ30がスリンガ20から脱落することを確実に防止して信頼性を高めることができる。尚、射出成形時に、エンコーダ30の厚さ方向に磁場をかけるようにする(即ち、磁場配向する)と、磁性粉の配向度を高めることができ、エンコーダ30の磁気特性を高めることができる。
【0022】
エンコーダ30の着磁部31は、円周方向に等間隔にS極とN極とが交互に(即ち、多極に)着磁されている。内輪12が一回転する間に、エンコーダ30近傍の一点における磁束密度が、その極数に対応したピーク数を有して周期的に変化する。そして、軸受外方に面するエンコーダ30の軸方向端面に対向して配置された不図示のセンサにより前記磁束密度の変化を検出して内輪12の回転数を検出している。
【0023】
シール部材40は、断面略L字形の円環状に形成された芯金41により、同じく断面略L字形の円環状に形成されたシールリップ42を補強して構成されており、外輪11に内嵌して固定されている。シールリップ42の先端部は複数の摺接部に分岐しており、該複数の摺接部は、スリンガ20のフランジ部21の前記内方側面または嵌合部22の外周面に、全周に亙ってそれぞれ摺接している。これにより高い密封力を得ることができる。
【0024】
次に、図4を参照して、本発明の第2実施形態であるエンコーダを組み込んだハブユニットを説明する。尚、前述の転がり軸受10と共通する構成部分の説明は同一符号を付すことで簡略化あるいは省略する。
【0025】
ハブユニット102は、ハブ107の取り付けフランジ112に固定された不図示の車輪を回転自在に支持するものである。外輪105の内周面には、互いに平行な2列の外輪軌道110a,110bが形成されており、また回転体であるハブ107及び内輪部材106の外周面には、外輪軌道110a,110bにそれぞれ対向する内輪軌道114a,114bが形成されている。外輪軌道110aと内輪軌道114aとの隙間、および外輪軌道110bと内輪軌道114bとの隙間には、保持器118によって円周方向に等間隔に保持された転動体117がそれぞれ転動自在に配置されている。外輪105の内周面と内輪部材106との隙間において、転動体117に関して車輪側とは反対側(即ち、車両側)の開口端部には密封装置15が組み付けられている。密封装置15のスリンガ20にはエンコーダ30が接合されている。そして、エンコーダ30の軸受外方に面する軸方向端面に対向してセンサ109が配置されており、センサ109により磁束密度の変化を検出することにより車輪の回転数を検出している。
【0026】
尚、本発明の磁気エンコーダは、上述した各実施形態に限定されるものでなく、適宜な変形、改良等が可能である。
【0027】
例えば、バインダにポリアミド6、ポリアミド12等のポリアミド樹脂を用い、フランジ部21のエンコーダ30との接合面にエポキシ系シランカップリング剤を塗布して乾燥させた後、スリンガ20をコアとしてエンコーダ30をインサート成形し、200?350℃に瞬時に高周波加熱してスリンガ20とエンコーダ30とを接合してもよい。これにより、スリンガ20とエンコーダ30とを機械的にも化学的にも完全に接合させることができ、エンコーダ30がスリンガ20から脱落することを確実に防止して信頼性を高めることができる。
【0028】
また、比較的硬質な樹脂系のエンコーダ30とフランジ部21との密着性を向上させるために、間にゴム等のフィルム状の弾性部材を介在させてもよい。また、ハブユニット102において、エンコーダ30は、互いに平行な2列の内輪軌道114aと114bとの間に配置され、取り付け部材を介して回転体に固定されてもよい。この場合、センサ109は、エンコーダ30の外周面と対向するように配置され、外輪105に保持される。
【0029】
また、スリンガ20や前記取り付け部材はフランジ部のない単純な円環形状としてもよい。そして、エンコーダ30をスリンガ20や前記取り付け部材とは別個に形成し、接着剤等を用いてスリンガ20や前記取り付け部材と接合してもよい。また、エンコーダ30を、スリンガ20や前記取り付け部材、又は回転体に圧入して固定してもよく、接着剤による接合と圧入による固定とを併用してエンコーダ30を固定してもよい。
【0030】
次に、本発明に基づいて製作したエンコーダを説明する。実施例1、2、5?8、参考例3、4、9、及び比較例1?4のエンコーダは、磁性粉とバインダとの混合粉末をヘンシェルミキサで攪拌し、その後、2軸押し出し機で両者を混練りして作成したペレットを内径60mm、外径70mm、厚さ0.9mmの円環状に射出成形したものである。各実施例、参考例または比較例に用いた磁性粉又はバインダの種類、含有量、及びバインダの数平均分子量は下記の通りである。
【実施例】
【0031】
(実施例1)
第1の実施例におけるエンコーダは、ストロンチウムフェライトを磁性粉として70体積%含有し、該磁性粉のバインダとしてポリアミド12を30体積%含有しており、ポリアミド12の数平均分子量は12000である。
【0032】
(実施例2)
第2の実施例におけるエンコーダは、バリウムフェライトを磁性粉として70体積%含有し、該磁性粉のバインダとしてポリアミド12を30体積%含有しており、ポリアミド12の数平均分子量は12000である。
【0033】
(参考例3)
第3の参考例におけるエンコーダは、ストロンチウムフェライトを磁性粉として70体積%含有し、該磁性粉のバインダとしてポリフェニレンサルファイドを30体積%含有しており、ポリフェニレンサルファイドの数平均分子量は12000である。
【0034】
(参考例4)
第4の参考例におけるエンコーダは、バリウムフェライトを磁性粉として70体積%含有し、該磁性粉のバインダとしてポリフェニレンサルファイドを30体積%含有しており、ポリフェニレンサルファイドの数平均分子量は12000である。
【0035】
(実施例5)
第5の実施例におけるエンコーダは、ストロンチウムフェライトを磁性粉として80体積%含有し、該磁性粉のバインダとしてポリアミド12を20体積%含有しており、ポリアミド12の数平均分子量は18000である。
【0036】
(実施例6)
第6の実施例におけるエンコーダは、バリウムフェライトを磁性粉として80体積%含有し、該磁性粉のバインダとしてポリアミド12を20体積%含有しており、ポリアミド12の数平均分子量は18000である。
【0037】
(実施例7)
第7の実施例におけるエンコーダは、ストロンチウムフェライトを磁性粉として60体積%含有し、該磁性粉のバインダとしてポリアミド12を40体積%含有しており、ポリアミド12の数平均分子量は18000である。
【0038】
(実施例8)
第8の実施例におけるエンコーダは、ストロンチウムフェライトを磁性粉として80体積%含有し、該磁性粉のバインダとしてポリアミド12を20体積%含有しており、ポリアミド12の数平均分子量は12000である。
【0039】
(参考例9)
第9の参考例におけるエンコーダは、ストロンチウムフェライトを磁性粉として70体積%含有し、該磁性粉のバインダとしてポリアミド6を30体積%含有しており、ポリアミド6の数平均分子量は12000である。
【0040】
(比較例1)
第1の比較例におけるエンコーダは、ネオジウム-鉄-ボロンを磁性粉として70体積%含有し、該磁性粉のバインダとしてポリアミド12を30体積%含有しており、ポリアミド12の数平均分子量は12000である。
【0041】
(比較例2)
第2の比較例におけるエンコーダは、サマリウム-鉄を磁性粉として70体積%含有し、該磁性粉のバインダとしてポリアミド12を30体積%含有しており、ポリアミド12の数平均分子量は12000である。
【0042】
(比較例3)
第3の比較例におけるエンコーダは、ストロンチウムフェライトを磁性粉として85体積%含有し、該磁性粉のバインダとしてポリアミド12を15体積%含有しており、ポリアミド12の数平均分子量は12000である。
【0043】
(比較例4)
第4の比較例におけるエンコーダは、ストロンチウムフェライトを磁性粉として60体積%含有し、該磁性粉のバインダとしてポリアミド12を40体積%含有しており、ポリアミド12の数平均分子量は20000である。
【0044】
上記の各実施例、参考例または比較例のエンコーダにおいて、射出成形時の成形性、耐塩水性、耐塩化カルシウム性を評価した。成形性の評価は、欠肉や変形等の欠陥の有無を評価した。また、耐塩水性及び耐塩化カルシウム性の評価は、20重量%濃度の塩水、又は20重量%濃度の塩化カルシウム溶液に1分間浸漬した後に80℃で1時間乾燥させてから冷却する工程を10回繰り返し、その後、引張試験により引張強度を測定した。そして、初期引張強度より20%以内の強度低下である場合に耐塩水性及び耐塩化カルシウム性に優れるものと判定し、20%を超える強度低下である場合に耐塩水性及び耐塩化カルシウム性に劣るものと判定した。以上の評価結果を表1?表4に示す。
【0045】
【表1】

【0046】
【表2】

【0047】
【表3】

【0048】
【表4】

【0049】
表1?表4によれば、磁性粉に関して、フェライト系磁性粉を用いたものが強度低下を防止することができ、塩水や耐塩化カルシウムによる酸化劣化を生じ難く(実施例1又は実施例2参照)、一方、ネオジウム-鉄-ボロンやサマリウム-鉄を用いたものは強度低下がみられ、塩水や耐塩化カルシウムによる酸化劣化が生じ易い(比較例1又は比較例2参照)ことが判る。また、バインダに関して、ポリアミド12やポリフェニレンサルファイドを用いたものが強度低下を防止することができ、塩化カルシウムによる酸化劣化を生じ難い(実施例1又は実施例2参照)ことが判る。そして、磁性粉の含有量及びバインダの数平均分子量に関して、磁性粉の含有量が60?80体積%の範囲であり、且つバインダの数平均分子量が10000?18000の範囲であるものは、欠肉や変形等の欠陥が発生せず成形性に優れ(実施例1、2、5?8、参考例3、4、9、及び比較例1?比較例2参照)、一方、磁性粉の含有量が85体積%であると、バインダの数平均分子量を12000まで低下させても正常に成形できず成形性に劣り(比較例3参照)、また、バインダの数平均分子量が20000であると、磁性粉の含有量を60体積%としても微小な欠肉が発生し成形性に劣る(比較例4参照)ことが判る。
【0050】
次に、バインダの数平均分子量とエンコーダの機械的強度との関係を評価した。磁性粉としてストロンチウムフェライトを、また、バインダとしてポリアミド12を用い、ストロンチウムフェライトを80体積%含有した磁石材料から内径60mm、外径70mm、厚さ0.9mmのエンコーダを成形し、引張強度を測定した。バインダの数平均分子量を変化させた際のエンコーダの引張強度の変化を図5に示す。
【0051】
図5に示されるように、ポリアミド12の数平均分子量が12000以下になると、エンコーダの引張強度が急激に低下する。従って、バインダの数平均分子量は12000以上が好ましいことが判る。
【0052】
次に、磁性粉の含有量とエンコーダの磁気特性との関係を評価した。磁性粉としてストロンチウムフェライトを、また、バインダとしてポリアミド12を用いた磁石材料から試験片を形成し、磁気特性測定装置を用いて試験片の残留磁束密度を測定した。磁性粉の含有量を変化させた際の残留磁束密度の変化を図6に示す。
【0053】
一般に、エンコーダの磁気特性として2500G以上の残留磁束密度が必要とされるので、図6に示されるように、磁性粉の含有量は60体積%以上が好ましいことが判る。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明に係る第1実施形態であるエンコーダを組み付けられた転がり軸受の断面図である。
【図2】図1に示す転がり軸受の要部拡大断面図である。
【図3】図1に示すエンコーダの着磁パターンを示す模式図である。
【図4】本発明に係る第2実施形態であるエンコーダを組み付けられたハブユニットの断面図である。
【図5】バインダの数平均分子量とエンコーダの引張強度との関係を示すグラフである。
【図6】磁性粉の含有量とエンコーダの残留磁束密度との関係を示すグラフである。
【図7】従来の車輪回転数検出装置の断面図である。
【符号の説明】
【0055】
10 転がり軸受
11 外輪
12 内輪
13 玉
14 保持器
15 密封装置
20 スリンガ
30 エンコーダ
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定輪と、
回転輪と、
前記固定輪及び前記回転輪の間に形成される環状隙間で周方向に転動自在に配設された複数の転動体と、
前記回転輪に固定される略円筒状の嵌合部と、径方向に伸びる円板状のフランジ部と、を有する磁性材料製のスリンガと、
磁性粉と、該磁性粉のバインダとして熱可塑性樹脂と、を含有する磁石材料を円環状に成形して円周方向に多極に着磁されたエンコーダと、を備える自動車車輪用センサ付転がり軸受であって、
前記磁石材料の前記磁性粉が、フェライト系磁性粉であって、前記磁石材料に60?80体積%含有され、
前記磁石材料の前記バインダが、ポリアミド12、ポリアミド612、ポリアミド11の群から選ばれた熱可塑性樹脂であって、数平均分子量が10000?18000であり、
前記エンコーダが、前記スリンガをコアにしたインサート成形で前記フランジ部を被包するように形成され、前記スリンガと前記エンコーダとが機械的に接合していることを特徴とする自動車車輪用センサ付転がり軸受。
【請求項2】
請求項1に記載の転がり軸受であって、前記エンコーダが、前記スリンガの外周縁部に断面略L字形の円環状の係止片で係合していることを特徴とする自動車車輪用センサ付転がり軸受。
【請求項3】
請求項1または2に記載の転がり軸受であって、前記エンコーダを形成する前記熱可塑性樹脂にポリアミド12、ポリアミド612またはポリアミド11が選択され、前記エンコーダが前記スリンガの接合面に、エポキシ基を有するシランカップリング剤で化学的にも接合されていることを特徴とする自動車車輪用センサ付転がり軸受。
【請求項4】
固定輪と、
回転輪と、
前記固定輪及び前記回転輪の間に形成される環状隙間で周方向に転動自在に配設された複数の転動体と、
前記回転輪に固定される略円筒状の嵌合部と、径方向に伸びる円板状のフランジ部と、を有する磁性材料製のスリンガと、
磁性粉と、該磁性粉のバインダとして熱可塑性樹脂と、を含有する磁石材料を円環状に成形して円周方向に多極に着磁されたエンコーダと、を備える自動車車輪用センサ付転がり軸受の製造方法であって、
磁性粉としてフェライト系磁性粉を60?80体積%含有し、バインダとしてポリアミド12、ポリアミド612、ポリアミド11の群から選ばれた、数平均分子量が10000?18000である熱可塑性樹脂を含有する磁石材料を用いて、前記スリンガをコアにしたインサート成形で前記フランジ部を被包するように前記エンコーダを形成するとともに、前記インサート成形の前に、前記スリンガのフランジ部の前記エンコーダとの接合面にエポキシ基を有するシランカップリング剤を塗布し、前記インサート成形の後に、前記エンコーダを高周波加熱して、前記スリンガと前記エンコーダとを機械的及び化学的に接合することを特徴とする自動車車輪用センサ付転がり軸受の製造方法。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2018-07-20 
結審通知日 2018-07-25 
審決日 2018-08-08 
出願番号 特願2004-28332(P2004-28332)
審決分類 P 1 41・ 851- Y (G01D)
P 1 41・ 853- Y (G01D)
最終処分 成立  
前審関与審査官 岡田 卓弥  
特許庁審判長 小林 紀史
特許庁審判官 中村 説志
清水 稔
登録日 2011-04-22 
登録番号 特許第4725020号(P4725020)
発明の名称 自動車車輪用センサ付転がり軸受及びその製造方法  
代理人 松山 美奈子  
代理人 松山 美奈子  
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