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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G02B |
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管理番号 | 1343340 |
審判番号 | 不服2017-13952 |
総通号数 | 226 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2018-10-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2017-09-20 |
確定日 | 2018-09-04 |
事件の表示 | 特願2016-123776「光学フィルム、偏光板及びディスプレイの帯電防止方法」拒絶査定不服審判事件〔平成28年11月24日出願公開、特開2016-197243、請求項の数(8)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 特願2010-281788号(以下「もとの特許出願」という。)は、平成22年12月17日(優先権主張 平成21年12月28日)を出願日とする特許出願である。また、特願2014-209876号(以下「第2出願」という。)は、もとの特許出願の一部を平成26年10月14日に新たな特許出願としたものである。そして、本件拒絶査定不服審判事件に係る特願2016-123776号(以下「本願」という。)は、第2の特許出願の一部を平成28年6月22日に新たな特許出願としたものである。 本願は、もとの特許出願の時にしたものとみなされるところ、その手続等の経緯は、概略、以下のとおりである。 平成29年 3月28日付け:拒絶理由通知書 平成29年 5月24日付け:意見書、手続補正書 平成29年 6月23日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。) 平成29年 9月20日付け:審判請求書 第2 原査定の概要 原査定の拒絶の理由は、概略、本願の請求項1-8に係る発明は、その優先権主張の日(以下「優先日」という。)前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基づいて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない、というものである。 引用文献1:特開2008-26492号公報 第3 本願発明 本願の請求項1-8に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明8」という。)は、平成29年5月24日付けの手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1-8に記載された事項により特定されるとおりの、以下の発明である。 「 【請求項1】 光透過性基材の一面側に膜厚1?40μm、鉛筆硬度H以上のハードコート層が設けられた光学フィルムの帯電防止方法であって、 前記ハードコート層として、カチオンとアニオンからなるイオン液体を含み、当該ハードコート層の膜厚方向において、当該ハードコート層の前記光透過性基材とは反対側の界面から50?700nmの領域に、当該界面から700nmまでの領域に存在する前記イオン液体の存在量のピークが存在し、かつ、前記界面から700nmまでの領域に存在する前記イオン液体の存在量に対する当該界面から50nmまでの領域に存在する前記イオン液体の存在量の割合が、50%以下であるハードコート層を設けることを特徴とする、 帯電防止方法。 【請求項2】 前記ハードコート層は、メタクリロイル基及び/又はアクリロイル基を有するモノマー、オリゴマー及びプレポリマーよりなる群から選ばれる硬化性樹脂を含有する硬化性樹脂組成物の硬化物からなるハードコート層である、請求項1に記載の帯電防止方法。 【請求項3】 前記ピークの半値幅が25?500nmであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の帯電防止方法。 【請求項4】 前記カチオンが、第4級アンモニウム系カチオン、第4級ホスホニウム系カチオン、イミダゾリウム系カチオン、ピリジニウム系カチオン及びピロリジニウム系カチオンからなる群より選ばれる1種以上のカチオンであることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の帯電防止方法。 【請求項5】 前記ハードコート層の表面抵抗値が、1.0×10^(13)Ω/□以下であることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の帯電防止方法。 【請求項6】 前記ハードコート層の前記光透過性基材とは反対側の面に低屈折率層が設けられていることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の帯電防止方法。 【請求項7】 光透過性基材の一面側に膜厚1?40μm、鉛筆硬度H以上のハードコート層が設けられた光学フィルムの前記光透過性基材側の面に偏光素子が設けられた偏光板の帯電防止方法であって、 前記ハードコート層として、カチオンとアニオンからなるイオン液体を含み、当該ハードコート層の膜厚方向において、当該ハードコート層の前記光透過性基材とは反対側の界面から50?700nmの領域に、当該界面から700nmまでの領域に存在する前記イオン液体の存在量のピークが存在し、かつ、前記界面から700nmまでの領域に存在する前記イオン液体の存在量に対する当該界面から50nmまでの領域に存在する前記イオン液体の存在量の割合が、50%以下であるハードコート層を設けることを特徴とする、 帯電防止方法。 【請求項8】 光透過性基材の一面側に膜厚1?40μm、鉛筆硬度H以上のハードコート層が設けられた光学フィルムを備えるディスプレイの帯電防止方法であって、 前記ハードコート層として、カチオンとアニオンからなるイオン液体を含み、当該ハードコート層の膜厚方向において、当該ハードコート層の前記光透過性基材とは反対側の界面から50?700nmの領域に、当該界面から700nmまでの領域に存在する前記イオン液体の存在量のピークが存在し、かつ、前記界面から700nmまでの領域に存在する前記イオン液体の存在量に対する当該界面から50nmまでの領域に存在する前記イオン液体の存在量の割合が、50%以下であるハードコート層を設けることを特徴とする、 帯電防止方法。」 第4 引用文献、引用発明等 1 引用文献1の記載事項 原査定の拒絶の理由に引用され、本願の優先日前に頒布された刊行物である引用文献1には、以下の事項が記載されている。なお、下線は、当合議体が付したものであり、引用発明の認定に活用した箇所を示す。 (1) 「【技術分野】 【0001】 本発明は反射防止フィルム、さらに詳しくは、近赤外線吸収性能と反射防止性能を有し、かつ耐擦傷性及び帯電防止性に優れる上、層構成が簡単でコストが低く、特にプラズマディスプレイ用として好適な反射防止フィルムに関するものである。 ・・・(中略)・・・ 【発明が解決しようとする課題】 【0003】 本発明は、このような事情のもとで、近赤外線吸収性能と反射防止性能を有し、かつ耐擦傷性及び帯電防止性に優れる上、層構成が簡単でコストが低く、特にPDP用として好適なウエットプロセス法による反射防止フィルムを提供することを目的としてなされたものである。 ・・・(中略)・・・ 【発明の効果】 【0005】 本発明によれば、ハードコート層及び/又は低屈折率層の樹脂に高い相溶性を有するイオン性液体をハードコート層及び/又は低屈折率層に添加することにより、イオン性液体の添加量の多寡にかかわらず、耐擦傷性を損なうことなく、優れた帯電防止性を示す。これにより、近赤外線吸収性能と反射防止性能を有し、かつ耐擦傷性及び帯電防止性に優れる上、層構成が簡単でコストが低く、特にPDP用として好適なウエットプロセス法による反射防止フィルムを提供することができる。」 (2) 「【発明を実施するための最良の形態】 【0006】 本発明の反射防止フィルムは、ウエットプロセス法により、基材フィルムの一方の面に、(A)活性エネルギー線照射による硬化樹脂と近赤外線吸収剤を含む厚さ2?20μmのハードコート層(以下、(A)層と称す)、及び(B)活性エネルギー線照射による硬化樹脂を含む、屈折率が1.43以下の厚さ50?200nmの低屈折率層(以下、(B)層と称す)が順次積層された構造を有している。 本発明の反射防止フィルムにおける基材フィルムについては特に制限はなく、従来反射防止フィルムの基材として公知のプラスチックフィルムの中から適宜選択して用いることができる。 ・・・(中略)・・・ 【0008】 本発明の反射防止フィルムにおいては、前記基材フィルムの一方の面に、順次設けられた(A)層及び(B)層のいずれか一方、あるいはその両方にイオン性液体が含まれており、その結果、優れた帯電防止性能が付与されている。 本発明において、イオン性液体は室温(25℃)で液状を呈する溶融塩を指し、一般式(1) (Z^(a+))_(m)・(A^(b-))_(n) …(1) で表される化合物が用いられる。 前記一般式(1)において、Z^(a+)はカチオン、A^(b-)はアニオンを示し、a、b、m及びnは、それぞれ1?3の整数であり、a×m=b×nの関係を満たす。Z^(a+)が複数ある場合、複数のZ^(a+)は同一でも異なっていてもよく、A^(b-)が複数ある場合、複数のA^(b-)は同一でも異なっていてもよい。 前記Z^(a+)で表されるカチオンとしては特に制限はなく、従来イオン性液体のカチオンとして公知のカチオンの中から、任意のものを適宜選択することができる。このカチオンとしては、例えば下記式(2)?式(5)で表されるカチオンを挙げることができる。 【化3】 式(2)中のR^(1)は、炭素数4?20の炭化水素基を表し、ヘテロ原子を含んでも良く、R^(2)およびR^(3)は、それぞれ独立に水素原子または炭素数1?16の炭化水素基を表し、ヘテロ原子を含んでも良い。但し、窒素原子が2重結合を含む場合、R^(3)はない。 式(3)中のR^(4)は、炭素数2?20の炭化水素基を表し、ヘテロ原子を含んでも良く、R^(5)、R^(6)、およびR^(7)は、それぞれ独立に水素原子または炭素数1?16の炭化水素基を表し、ヘテロ原子を含んでも良い。 式(4)中のR^(8)は、炭素数2?20の炭化水素基を表し、ヘテロ原子を含んでも良く、R^(9)、R^(10)、およびR^(11)は、それぞれ独立に水素原子または炭素数1?16の炭化水素基を表し、ヘテロ原子を含んでも良い。 【0009】 式(5)中のEは、窒素、硫黄、又はリン原子を表し、R^(12)、R^(13)、R^(14)、およびR^(15)は、それぞれ独立に炭素数1?20の炭化水素基を表し、ヘテロ原子を含んでも良い。但しEが硫黄原子の場合、R^(15)はない。 ・・・(中略)・・・ 【0011】 一方、前記一般式(1)において、A^(b-)で表されるアニオンとしては、前記カチオンとイオン結合してイオン性液体を形成し得るものであればよく、特に制限されず、例えばCl^(-)、Br^(-)、I^(-)、AlCl_(4)^(-)、Al_(2)Cl_(7)^(-)、BF_(4)^(-)、PF_(6)^(-)、ClO_(4)^(-)、NO_(3)^(-)、CH_(3)COO^(-)、CF_(3)COO^(-)、CH_(3)SO_(3)^(-)、CF_(3)SO_(3)^(-)、(CF_(3)SO_(2))_(2)N^(-)、(CF_(3)SO_(2))_(3)C^(-)、AsF_(6)^(-)、SbF_(6)^(-)、NbF_(6)^(-)、TaF_(6)^(-)、F(HF)_(n)^(-)、(CN)_(2)N^(-)、C_(4)F_(9)SO_(3)^(-)、(C_(2)F_(5)SO_(2))_(2)N^(-)、C_(3)F_(7)COO^(-)、(CF_(3)SO_(2))(CF_(3)CO)N^(-)などが用いられる。なかでも、フッ素原子を含むアニオンは、低融点のイオン性化合物を与えるので好ましく、特に(CF_(3)SO_(2))_(2)N^(-)が好適である。 このようなイオン性液体は、(A)層及び/又は(B)層を構成する樹脂との相溶性が高く、(A)層及び/又は(B)層に配合された場合に、(A)層及び/又は(B)層の耐擦傷性を低下させることがなく、かつ優れた帯電防止性を示す。 ・・・(中略)・・・ 【0012】 ・・・(中略)・・・ (A)層及び/又は(B)層中の前記イオン性液体の含有量及び所望によりイオン性液体と併用される前記反応性導電剤の含有量は、用いるイオン性液体や反応性導電剤の種類により異なるが、本発明の反射防止フィルムの表面抵抗率が、通常5×10^(13)Ω/□以下になるように選定される。(A)層及び(B)層に使用した全成分中におけるイオン性液体の全含有量は、通常2?20質量%、好ましくは3?15質量%、より好ましくは5?12質量%である。一方、反応性導電剤の全含有量は、(A)層及び(B)層の合計量に基づき、通常0?20質量%、好ましくは2?15質量%、より好ましくは4?12質量%である。 ・・・(中略)・・・ 【0018】 ・・・(中略)・・・ 本発明において用いられる(A)層用塗工液は、必要に応じ、適当な溶媒中に、前記の活性エネルギー線硬化性化合物と、近赤外線吸収剤と、前述のイオン性液体又は該イオン性液体と前述の反応性導電剤を含有したものに、所望により用いられる前記の光重合開始剤、防眩性付与剤、さらには各種添加剤、例えば酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、レベリング剤、消泡剤などを、それぞれ所定の割合で加え、溶解又は分散させることにより、調製することができる。 ・・・(中略)・・・ 【0019】 このようにして調製された塗工液の濃度、粘度としては、コーティング可能な濃度、粘度であればよく、特に制限されず、状況に応じて適宜選定することができる。 次に、基材フィルムの一方の面に、上記塗工液を、従来公知の方法、例えばバーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法などを用いて、コーティングして塗膜を形成させ、乾燥後、これに活性エネルギー線を照射して該塗膜を硬化させることにより、(A)層が形成される。 ・・・(中略)・・・ 【0020】 本発明の反射防止フィルムにおいては、(A)層上に、(B)活性エネルギー線照射による硬化樹脂を含む屈折率が1.43以下の厚さ50?200nmの低屈折率層が設けられる。 (B)層は、例えば活性エネルギー線硬化性化合物と、好ましくは多孔性シリカ粒子と、前述のイオン性液体又は該イオン性液体と前述の反応性導電剤を含有した層の上に、所望により光重合開始剤などを含む(B)層用塗工液を、(A)層上にコーティングして塗膜を形成させ、活性エネルギー線を照射して、該塗膜を硬化させることにより、形成することができる。 ・・・(中略)・・・ 【0021】 本発明において用いられる(B)層用塗工液は、必要に応じ、適当な溶媒中に、前記の活性エネルギー線硬化性化合物と、好ましくは多孔性シリカ粒子と、前述のイオン性液体又は該イオン性液体と前述の反応性導電剤を含有したものに、所望により用いられる前記の光重合開始剤、さらには各種添加剤、例えば酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、レベリング剤、消泡剤などを、それぞれ所定の割合で加え、溶解又は分散させることにより、調製することができる。 この際用いる溶媒については、(A)層の説明において示したものから選択できる。 このようにして調製された塗工液の濃度、粘度としては、コーティング可能な濃度、粘度であればよく、特に制限されず、状況に応じて適宜選定することができる。 (A)層上に、この塗工液を、従来公知の方法、例えばバーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法などを用いて、コーティングして塗膜を形成させ、乾燥後、これに活性エネルギー線を照射して該塗膜を硬化させることにより、(B)層が形成される。 活性エネルギー線については、(A)層の説明において示したものから選択できる。 本発明においては、(A)層及び(B)層の形成は、以下に示す方法で行うのが有利である。 まず、基材フィルムの一方の面に(A)層用塗工液をコーティングして塗膜を形成させ、活性エネルギー線を照射してハーフキュア状態に硬化させる。この際、紫外線を照射する場合には、光量は、通常50?150mJ/cm^(2)程度である。次いで、このようにして形成されたハーフキュア状態の硬化層上に、(B)層用塗工液をコーティングして塗膜を形成させ、活性エネルギー線を十分に照射し、前記ハーフキュア状態の硬化層と共に完全に硬化させる。この際、紫外線を照射する場合、光量は、通常400?1000mJ/cm^(2)程度である。なお、(A)層及び/又は(B)層を完全に硬化させる際は、酸素による硬化阻害を防ぐために、窒素ガスなどの雰囲気下で、活性エネルギー線を照射することができる。この場合、酸素濃度は低い方がよく、2容量%以下が好ましい。 基材フィルム上に、(A)層をハーフキュア状態で(B)層を塗工し、最終的に(A)層と(B)層を完全硬化させることにより、(A)層と(B)層の密着性を増大させることができる。」 (3) 「【実施例】 ・・・(中略)・・・ 【0025】 実施例1 (1)(A)層用塗工液の調製 活性エネルギー線硬化性化合物としてトリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート[東亜合成化学社製、商品名「アロニックスM-315」、固形分濃度100%]40質量部とペンタエリスリトールトリアクリレート[東亜合成化学社製、商品名「アロニックスM-305」、固形分濃度100%]30質量部とポリエチレングリコールジアクリレート[新中村化学社製、商品名「NKエステルA-400」、固形分濃度100%]30質量部とからなる混合物に、光重合開始剤(2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン)[チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名「イルガキュア907」]2質量部を添加し、次いで近赤外線吸収剤[住友金属鉱山(株)製、商品名「YMF-01」、平均粒径23nmのセシウム含有酸化タングステン(モル比でCs:W:O=0.33:1:3)含有量10質量%懸濁液、全固形分濃度14質量%]270質量部と、イオン性液体[広栄化学社製、商品名「IL-A5」(カチオン種:[化1](5)、アニオン種:(CF_(3)SO_(2))_(2)N^(-))、固形分濃度100質量%]10質量部を混合したのち、全体の固形分濃度が30質量%になるようにメチルイソブチルケトン(MIBK)で希釈して、(A)層用塗工液を調製した。 (2)(B)層用塗工液の調製 多官能アクリレート混合物(ポリウレタンアクリレート)[荒川化学(株)製、商品名「ビームセット577CB」、固形分濃度100%]100質量部に、光重合開始剤[チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名「イルガキュア907」]5質量部を添加し、次いで多孔性シリカ粒子のメチルイソブチルケトン(MIBK)分散体[触媒化成工業(株)製、商品名「ELCOM RT-1002SIV」、固形分濃度21質量%、多孔性シリカ粒子:比重1.8、屈折率1.30、平均粒径60nm]1200質量部を混合したのち、全体の固形分濃度が2質量%になるようにMIBKで希釈して、(B)層用塗工液を調製した。 (3)反射防止フィルムの作製 基材フィルムとして厚さ100μmの両面易接着処理ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム[東洋紡績(株)製、商品名「A4300」]表面に、前記(1)で得た(A)層用塗工液を硬化後の厚さが6μmになるように、マイヤーバーNo.16で塗布した。次いで、90℃で1分間乾燥したのち、紫外線を光量100mJ/cm^(2)で照射して、ハーフキュア状態に硬化させた。 次に、このハーフキュアしたコート表面に、前記(2)で得た(B)層用塗工液を硬化後の厚さが100nmになるようにマイヤーバーNo.4で塗布した。次いで、80℃で1分間乾燥したのち、窒素ガス雰囲気下(酸素濃度0.5容量%)で紫外線を光量500mJ/cm^(2)で照射して、完全硬化させ、PETフィルム上に、屈折率1.54の近赤外線吸収性ハードコート層及び屈折率1.38の低屈折率層を順次形成させることにより、反射防止フィルムを作製した。 このようにして作製された反射防止フィルムの物性を第1表に示す。この反射防止フィルムの波長800?1200nmの全領域における分光透過率は30%以下であった。 実施例2 ・・・(中略)・・・ 実施例3 実施例1(1)における(A)層用塗工液の調製において、シリカゲル[東ソー・シリカ社製、商品名「ニップシールE-200」、平均粒径3μm]5質量部を加えた以外は、実施例1と同様にして(A)層用塗工液を調製し、さらに反射防止フィルムを作製した。この反射防止フィルムの物性を第1表に示す。 実施例4 実施例1(1)における(A)層用塗工液の調製において、イオン性液体を、[広栄化学社製、商品名「IL-C3」(カチオン種:[化1](2)、アニオン種:(CF_(3)SO_(2))_(2)N^(-))]に変更した以外は、実施例1と同様にして(A)層用塗工液を調製し、さらに反射防止フィルムを作製した。この反射防止フィルムの物性を第1表に示す。 実施例5 実施例1(1)における(A)層用塗工液の調製を、下記のように変更した以外は、実施例1と同様にして反射防止フィルムを作製した。この反射防止フィルムの物性を第1表に示す。 <(A)層用塗工液の調製> 活性エネルギー線硬化性化合物としてトリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート[東亜合成化学社製、商品名「アロニックスM-315」、固形分濃度100%]40質量部とペンタエリスリトールトリアクリレート[東亜合成化学社製、商品名「アロニックスM-305」、固形分濃度100%]30質量部とポリエチレングリコールジアクリレート[新中村化学社製、商品名「NKエステルA-400」、固形分濃度100%]30質量部とからなる混合物に、光重合開始剤[チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名「イルガキュア907」]2質量部を添加し、次いで近赤外線吸収剤[住友金属鉱山(株)製、商品名「YMF-04」、平均粒径23nmのセシウム含有酸化タングステン(モル比でCs:W:O=0.33:1:3)含有量17.5質量%懸濁液、全固形分濃度28質量%]160質量部とイオン性液体[広栄化学社製、商品名「IL-A5」、固形分濃度100質量%]10質量部混合し、さらに反応性導電剤としてアクリロキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド水溶液[興人社製、商品名「DMAEA-Q」、固形分濃度79質量%]12質量部を加えたのち、全体の固形分濃度が30質量%になるようにMIBKで希釈して、(A)層用塗工液を調製した。 比較例1 実施例1(1)の(A)層用塗工液の調製において、イオン性液体を添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にして(A)層用塗工液を調製し、さらに反射防止フィルムを作製した。この反射防止フィルムの物性を第1表に示す。 【0026】 【表1】 【0027】 第1表から、本発明の反射防止フィルム(実施例1?5)は、いずれも反射防止性に優れると共に、近赤外線吸収性に優れ、耐擦傷性にも優れており、かつ表面抵抗率が低く、優れた帯電防止性を有している。また、実施例3は、ハードコート層に防眩性付与剤を含有させているので、60°グロス値が80となっている。 これに対し、比較例1は、ハードコート層及び低屈折率層のいずれにも、イオン性液体及び反応性導電剤が共に含有されていないため、表面抵抗率が高く、帯電防止性が悪い。」 2 引用発明 (1)引用発明1 引用文献1の【0001】には、引用文献1にいう本発明は、「帯電防止性に優れる」「反射防止フィルム」に関するものであることが記載されている。また、引用文献1の【0026】及び【0027】には、「本発明の反射防止フィルム(実施例1-5)」は、比較例よりも「表面抵抗率が低く、優れた帯電防止性を有」することが記載されている。 そうしてみると、引用文献1の【0025】に実施例1として記載された「反射防止フィルムの作製方法」は、その「(A)層用塗工液を調整」する工程において「イオン性液体」を「混合し」ており、この点において、「反射防止フィルムの帯電防止方法」と理解することができる。 したがって、引用文献1の【0025】には、実施例1として、次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されている。 「 活性エネルギー線硬化性化合物としてトリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート[東亜合成化学社製、商品名「アロニックスM-315」、固形分濃度100%]40質量部とペンタエリスリトールトリアクリレート[東亜合成化学社製、商品名「アロニックスM-305」、固形分濃度100%]30質量部とポリエチレングリコールジアクリレート[新中村化学社製、商品名「NKエステルA-400」、固形分濃度100%]30質量部とからなる混合物に、光重合開始剤(2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン)[チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名「イルガキュア907」]2質量部を添加し、次いで近赤外線吸収剤[住友金属鉱山(株)製、商品名「YMF-01」、平均粒径23nmのセシウム含有酸化タングステン(モル比でCs:W:O=0.33:1:3)含有量10質量%懸濁液、全固形分濃度14質量%]270質量部と、イオン性液体[広栄化学社製、商品名「IL-A5」(カチオン種:[化1](5)(当合議体注:[化1](5)の化学式は末尾参照)、アニオン種:(CF_(3)SO_(2))_(2)N^(-))、固形分濃度100質量%]10質量部を混合したのち、全体の固形分濃度が30質量%になるようにメチルイソブチルケトン(MIBK)で希釈して、(A)層用塗工液を調製する第1の工程、 多官能アクリレート混合物(ポリウレタンアクリレート)[荒川化学(株)製、商品名「ビームセット577CB」、固形分濃度100%]100質量部に、光重合開始剤[チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名「イルガキュア907」]5質量部を添加し、次いで多孔性シリカ粒子のメチルイソブチルケトン(MIBK)分散体[触媒化成工業(株)製、商品名「ELCOM RT-1002SIV」、固形分濃度21質量%]1200質量部を混合したのち、全体の固形分濃度が2質量%になるようにMIBKで希釈して、(B)層用塗工液を調整する第2の工程、 厚さ100μmの両面易接着処理ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム[東洋紡績(株)製、商品名「A4300」]を基材フィルムとして、その表面に、(A)層用塗工液を硬化後の厚さが6μmになるように、マイヤーバーNo.16で塗布し、90℃で1分間乾燥したのち、紫外線を光量100mJ/cm^(2)で照射して、ハーフキュア状態に硬化させる第3の工程、 このハーフキュアしたコート表面に、(B)層用塗工液を硬化後の厚さが100nmになるようにマイヤーバーNo.4で塗布し、80℃で1分間乾燥したのち、窒素ガス雰囲気下(酸素濃度0.5容量%)で紫外線を光量500mJ/cm^(2)で照射して、完全硬化させる第4の工程からなり、 PETフィルム上に、近赤外線吸収性ハードコート層及び低屈折率層を順次形成させることにより反射防止フィルムを作製してなる、 反射防止フィルムの帯電防止方法。」 【[化1](5)】 (2)引用発明3 引用文献1の【0025】には、実施例3として、次の発明が記載されている(以下「引用発明3」という。)。 「 引用発明1の第1の工程において、 さらに、シリカゲル[東ソー・シリカ社製、商品名「ニップシールE-200」、平均粒径3μm]5質量部を加えてなる、 反射防止フィルムの帯電防止方法。」 (3)引用発明4 引用文献1の【0025】には、実施例4として、次の発明が記載されている(以下「引用発明4」という。)。 「 引用発明1の第1の工程において、 イオン性液体を、[広栄化学社製、商品名「IL-C3」(カチオン種:[化1](2)(当合議体注:[化1](2)の化学式は末尾参照)、アニオン種:(CF_(3)SO_(2))_(2)N^(-))]に変更した、 反射防止フィルムの帯電防止方法。」 【[化1](2)】 (4)引用発明5 引用文献1の【0025】には、実施例5として、次の発明が記載されている(以下「引用発明5」という。)。 「 引用発明1の第1の工程において、 近赤外線吸収剤[住友金属鉱山(株)製、商品名「YMF-01」、平均粒径23nmのセシウム含有酸化タングステン(モル比でCs:W:O=0.33:1:3)含有量10質量%懸濁液、全固形分濃度14質量%]270質量部にかえて、近赤外線吸収剤[住友金属鉱山(株)製、商品名「YMF-04」、平均粒径23nmのセシウム含有酸化タングステン(モル比でCs:W:O=0.33:1:3)含有量17.5質量%懸濁液、全固形分濃度28質量%]160質量部とし、さらに反応性導電剤としてアクリロキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド水溶液[興人社製、商品名「DMAEA-Q」、固形分濃度79質量%]12質量部を加えた、 反射防止フィルムの帯電防止方法。」 第5 対比・判断 1 本願発明1について (1)対比 本願発明1と引用発明1を対比すると、以下のとおりとなる。 ア 光透過性基材、光学フィルム、帯電防止方法、イオン液体 引用発明1の「基材フィルム」、「反射防止フィルム」、「帯電防止方法」及び「イオン性液体」は、その文言が意味する技術的事項及びその構成から理解される機能からみて、本願発明1の「光透過性基材」、「光学フィルム」、「帯電防止方法」及び「カチオンとアニオンからなるイオン液体」に相当する。 イ ハードコート層 引用発明1の「近赤外線吸収性ハードコート層及び低屈折率層」は、いずれも光硬化性の多官能アクリレートを主成分とするものである。 そうしてみると、引用発明1の「近赤外線吸収性ハードコート層及び低屈折率層」は、全体としてハードコート層をなすものと理解できる。 したがって、引用発明1の「近赤外線吸収性ハードコート層及び低屈折率層」は、本願発明1の「ハードコート層」に相当するといえる。 そして、引用発明1の「近赤外線吸収性ハードコート層」及び「低屈折率層」の厚さは、それぞれ「6μm」及び「100nm」である。また、両者は、「PETフィルム上に」、「順次形成させ」たものであるから、PETフィルムの一面側に設けられたものといえる。 そうしてみると、引用発明1の「反射防止フィルム」は、本願発明1の「光学フィルム」の「光透過性基材の一面側に膜厚1?40μm」の「ハードコート層が設けられた」という要件を満たすものである。 さらに、引用発明1の「(A)層用塗工液」は、「イオン性液体」を含有するものである。 そうしてみると、引用発明1の(A)層用塗工液及び(B)層用塗工液を塗布、乾燥及び硬化した「近赤外線吸収性ハードコート層及び低屈折率層」は、本願発明1の「ハードコート層として、カチオンとアニオンからなるイオン液体を含」むという要件を満たすものである。 (2)一致点及び相違点 ア 本願発明1と引用発明1は、次の構成で一致する。 (一致点) 「 光透過性基材の一面側に膜厚1?40μm、のハードコート層が設けられた光学フィルムの帯電防止方法であって、 前記ハードコート層として、カチオンとアニオンからなるイオン液体を含む、ハードコート層を設けた、 帯電防止方法。」 イ 本願発明1と引用発明1は、次の点で相違する。 (相違点1) 本願発明1の「ハードコート層」は、「鉛筆硬度H以上」であるのに対し、引用発明1は、「鉛筆硬度H以上」であるのかどうか不明である点。 (相違点2) 「ハードコート層」について、本願発明1は、「当該ハードコート層の膜厚方向において、当該ハードコート層の前記光透過性基材とは反対側の界面から50?700nmの領域に、当該界面から700nmまでの領域に存在する前記イオン液体の存在量のピークが存在し、かつ、前記界面から700nmまでの領域に存在する前記イオン液体の存在量に対する当該界面から50nmまでの領域に存在する前記イオン液体の存在量の割合が、50%以下である」のに対し、引用発明1は、このような構成となっているかどうか不 明である点。 (3)相違点についての判断 事案に鑑み相違点2について検討する。 引用発明1のイオン性液体が、ハードコート層として機能する層の膜厚方向において、当該層の基材とは反対側の界面から50?700nmの領域に、当該界面から700nmまでの領域に存在する前記イオン液体の存在量のピークが存在し、かつ、当該界面から700nmまでの領域に存在するイオン液体の存在量に対する当該界面から50nmまでの領域に存在するイオン液体の存在量の割合が50%以下であるかについて検討すると、以下のとおりとなる。 ア まず、引用文献1には、イオン性液体が、形成後の反射防止フィルムの膜厚方向において、どのように分布しているかについて、何ら記載がない。 したがって、引用文献1の記載からは、引用発明1の反射防止フィルムが、相違点2に係る本願発明の構成を具備するものと理解することはできない。 イ 次に、引用発明1の反射防止フィルム製造方法と、本願の明細書の【0101】?【0103】に記載された実施例1?実施例3の製造方法を比較すると、両者は同一ではない。 まず、本願の実施例1及び実施例2においては、第一のHC用組成物1及び第二のHC用組成物1が同時塗布されているのに対して、引用発明1においては、(A)層用塗工液の塗布、乾燥及び硬化後に、(B)層用塗工液が塗布、乾燥及び硬化されている(以下「逐次塗工」という。)。 次に、本願の実施例3においては逐次塗工が行われているが、本願の実施例3の第二のHC用組成物2と引用発明1の(B)層用塗工液は、固形分濃度及び膜厚が全く異なる。すなわち、本願の実施例3の第二のHC用組成物2は、溶剤により希釈されておらず(材料に含まれる溶剤のみ)、また、(乾燥後)膜厚約1μmであるのに対して、引用発明1の(B)層用塗工液は、固形分濃度が2%になるように希釈されたものであり、また、膜厚は100nmである。 ウ さらに、引用発明1の「反射防止フィルム」の製造方法と、本願の明細書の【0104】?【0106】に記載された比較例1及び比較例2の製造方法を比較すると、以下のとおりである。 すなわち、本願の比較例1及び比較例2においては、多官能アクリレートとイオン液体を含有する、第一のHC層用組成物(当合議体注:下層用組成物)と、イオン液体を含まず多官能アクリレートを含有する、第二のHC層用組成物(当合議体注:上層用組成物)を用い、両者が同じ溶剤を含み、両者を逐次塗布にて形成しており、深さ方向のイオン液体の分布が、上記相違点2の条件を満たさないことが示されている。これは、多官能アクリレートとイオン液体との親和性が低いことによって、イオン液体が上層に移行したためであるといえる。 そして、引用発明1の(A)層用塗工液(当合議体注:下層用組成物)及び(B)層用塗工液(当合議体注:上層用組成物)の組成は、それぞれ、本願の比較例1及び比較例2の第一のHC層用組成物及び第二のHC層用組成物の組成と相違するが、引用発明1と本願の比較例1及び比較例2は、いずれも多官能アクリレートとイオン液体を含有する、下層用組成物と、イオン液体を含まず多官能アクリレートを含有する上層用組成物を用い、両者が同じ溶剤を含み、両者を逐次塗布にて形成されたものである点で一致する。 そうしてみると、前述の多官能アクリレートとイオン液体との親和性が低いことに基づけば、引用発明1のイオン性液体は、本願の比較例1及び比較例2と同様、上層に移行するものといえる。 また、引用発明1の(B)層用塗工液を乾燥・硬化してなる「低屈折率層」の厚さは0.1μmで、本願の比較例1及び比較例2の第二のHC層用の厚さよりも低いものである(当合議体注:比較例1の第二のHC層用の厚さは0.5μm、比較例2の第二のHC層用の厚さは0.3μmである)。 そうしてみると、引用発明1において、上層に移行したイオン性液体は、本願の比較例1及び比較例2と同程度又はそれ以上に最表面に近い領域(最表面から50nm未満の領域)に存在しているものの割合が高いものといえる。 エ したがって、引用発明1が、「当該ハードコート層の膜厚方向において、当該ハードコート層の前記光透過性基材とは反対側の界面から50?700nmの領域に、当該界面から700nmまでの領域に存在する前記イオン液体の存在量のピークが存在し、かつ、前記界面から700nmまでの領域に存在する前記イオン液体の存在量に対する当該界面から50nmまでの領域に存在する前記イオン液体の存在量の割合が、50%以下である」という構成を具備するものであるということはできず、上記相違点2は実質的な相違点を構成する。 オ さらに、引用文献1には、上記記載事項イ(第4 1(2)参照)にイオン性液体を用いることや、組成物全量に対する好ましい含量について記載されているものの、形成された層における膜厚方向における存在量のピーク及び存在割合について何ら記載がなく、膜厚方向におけるイオン性液体の存在領域が偏在する可能性や偏在によって生じる課題及び効果についても何ら記載されていない。 そして、他に、ハードコート層に含まれるイオン液体の膜厚方向における存在量を制御することを示唆する文献や技術常識を見いだすことはできない。 したがって、引用発明1のハードコート層において、イオン性液体の膜厚方向における存在量のピークの領域及び存在量の割合を上記相違点2に係る領域及び割合に変更することが当業者において容易に想到し得たということはできない。 以上より、引用発明1は、本願の比較例1及び比較例2と同様に上記相違点2の条件を満たさないものといえる。 また、上記オのとおりであるから、たとえ当業者といえども、引用発明1に基づいて相違点2の条件を満たす構成とすることを容易に想到することができたとはいえない。 したがって、上記相違点1について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用発明1及び引用文献1に記載された技術的事項に基づいて発明できたものであるとはいえない。 2 本願発明2-本願発明6について 本願発明2-本願発明6は、本願発明1の「帯電防止方法」と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明1及び引用文献1に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 3 本願発明7について 本願発明7は、本願発明1における「光学フィルム」の「光透過性基材側の面に偏光素子が設けられた偏光板の帯電防止方法」であって、「光学フィルム」は、本願発明1と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明1及び引用文献1に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 4 本願発明8について 本願発明8は、本願発明1における「光学フィルム」を備える「ディスプレイ帯電防止方法」であって、「光学フィルム」は、本願発明1と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明1及び引用文献1に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 5 本願発明1-8について/主引例:引用発明3-引用発明5 上記1?4について、引用発明1に替えて引用発明3-引用発明5を主引用発明としても同様である。 第6 むすび 以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由もない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2018-08-17 |
出願番号 | 特願2016-123776(P2016-123776) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(G02B)
|
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 吉川 陽吾、福村 拓 |
特許庁審判長 |
樋口 信宏 |
特許庁審判官 |
河原 正 川村 大輔 |
発明の名称 | 光学フィルム、偏光板及びディスプレイの帯電防止方法 |
代理人 | 岸本 達人 |