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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06Q |
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管理番号 | 1343351 |
審判番号 | 不服2017-15917 |
総通号数 | 226 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2018-10-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2017-10-26 |
確定日 | 2018-09-04 |
事件の表示 | 特願2015-250769「物々交換支援システム、物々交換支援方法、及び、プログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 6月29日出願公開、特開2017-117134、請求項の数(6)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成27年12月23日を出願日としたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。 平成29年 5月15日付け:拒絶理由の通知 平成29年 7月21日 :意見書及び手続補正書の提出 平成29年 7月27日付け:拒絶査定 平成29年10月26日 :審判請求書及び手続補正書の提出 平成29年12月14日付け:前置報告書 第2 原査定の概要 原査定(平成29年7月27日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。 本願請求項1から7に係る発明は、以下の引用文献1に記載された発明並びに引用文献2及び3に記載された周知技術に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献等一覧 1.特開2005-100406号公報 2.特開2002-157529号公報 3.特開2002-63388号公報 第3 審判請求時の補正について 審判請求時の補正(以下、「本件補正」という。)は、下記(ア)から(エ)までに示すとおり、特許法第17条の2第3項から第6項までの要件に違反しているものとはいえない。 (ア)本件補正は、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「物品交換用に登録された物品である登録物品の市場価格を、前記物品の所有者による価格設定を要することなく算出する市場価格算出手段」について、「複数のWEBコンテンツから収集し、当該収集した市場価格に基づいて」との限定を付加するものである。すなわち、この補正は、補正前の請求項1を引用する補正前の請求項4を補正後の請求項1とした上で、更に「WEBコンテンツ」に「複数の」との限定を付加し、「価格情報」を「市場価格」と言い換えたものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 また、本願明細書の段落【0037】に、「市場価格算出手段202は、インターネット上の様々なWEBコンテンツ16から価格を収集し、その収集した価格に基づいて、登録物品の市場価格を算出してよい。」と記載されていることから、「WEBコンテンツ」に「複数の」との限定を付加する補正は、新規事項を追加するものではないといえる。 (イ)本件補正後の請求項2から4は、補正後の請求項1を引用するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 (ウ)本件補正後の請求項5及び6は、請求項1に係る発明と実質的に同様の構成を有するカテゴリ違いのものである。そして、本件補正は、請求項5及び6に記載した発明を特定するために必要な事項である「物々交換用に登録された物品である登録物品の市場価格を、前記物品の所有者による価格設定を要することなく算出する市場価格算出ステップ」について、「複数のWEBコンテンツから収集し、当該収集した市場価格に基づいて」との限定を付加するとともに、請求項5及び6に記載した発明を特定するために必要な事項である各「ステップ」について、その実行の主体を「物々交換支援システム」に限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 (エ)そして、下記「第4 本願発明」から「第6 対比・判断」までに示すように、補正後の請求項1から6に係る発明は、独立特許要件を満たすものである。 第4 本願発明 本願請求項1から6に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」等という。)は、平成29年10月26日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1から6に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりの発明である。 「 【請求項1】 複数の物品と市場価格とが登録されているデータベースと、 物品交換用に登録された物品である登録物品の市場価格を、複数のWEBコンテンツから収集し、当該収集した市場価格に基づいて、前記物品の所有者による価格設定を要することなく算出する市場価格算出手段と、 前記市場価格算出手段によって算出された登録物品の市場価格との差分が所定の閾値以下の市場価格を有する物品を、前記データベースから検索する検索手段と、 前記登録物品と、前記検索手段によって検索された物品である検索物品と、を関連つけて表示する表示手段と、 前記登録物品の登録者から、当該登録物品と交換したい検索物品の選択を受け付ける物品選択手段と、 前記物品選択手段によって選択された検索物品の所有者に、前記登録物品との交換要求を通知する交換通知手段と、 を備えることを特徴とする物々交換支援システム。 【請求項2】 前記表示手段は、前記登録物品の市場価格と、前記検索物品の市場価格と、を関連付けて表示する ことを特徴とする請求項1に記載の物々交換支援システム。 【請求項3】 前記データベースには、各物品のカテゴリが登録されており、 前記表示手段に表示させる選択物品のカテゴリの選択を受け付ける表示選択手段、 をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の物々交換支援システム。 【請求項4】 前記交換要求された検索物品の市場価格と、前記登録物品の市場価格との差分が所定の閾値以上の場合に、当該差分を金銭又はポイントで補填可能とする補填手段をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の物々交換支援システム。 【請求項5】 物々交換支援システムが実行する物々交換支援方法であって、 複数の物品の市場価格をデータベースに登録する登録ステップと、 物々交換用に登録された物品である登録物品の市場価格を、複数のWEBコンテンツから収集し、当該収集した市場価格に基づいて、前記物品の所有者による価格設定を要することなく算出する市場価格算出ステップと、 前記市場価格算出ステップによって算出された登録物品の市場価格との差分が所定の閾値以下の市場価格を有する物品を、前記データベースから検索する検索ステップと、 前記登録物品と、前記検索ステップによって検索された物品である検索物品と、を関連付けて表示する表示ステップと、 前記登録物品の登録者から、当該登録物品と交換したい検索物品の選択を受け付ける物品選択ステップと、 前記物品選択ステップによって選択された検索物品の所有者に、前記登録物品との交換要求を通知する交換通知ステップと、 を有することを特徴とする物々交換支援方法。 【請求項6】 物々交換支援システムに、 複数の物品の市場価格をデータベースに登録する登録ステップ、 物々交換用に登録された物品である登録物品の市場価格を、複数のWEBコンテンツから収集し、当該収集した市場価格に基づいて、前記物品の所有者による価格設定を要することなく算出する市場価格算出ステップ、 前記市場価格算出ステップによって算出された登録物品の市場価格との差分が所定の閾値以下の市場価格を有する物品を、前記データベースから検索する検索ステップ、 前記登録物品と、前記検索ステップによって検索された物品である検索物品と、を関連付けて表示する表示ステップ、 前記登録物品の登録者から、当該登録物品と交換したい検索物品の選択を受け付ける物品選択ステップ、 前記物品選択ステップによって選択された検索物品の所有者に、前記登録物品との交換要求を通知する交換通知ステップ、 を実行させるためのコンピュータ読み取り可能なプログラム。」 第5 引用発明等 1 引用文献1について 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、次の事項が記載されている。 (1)「【請求項1】 商品仲介するプラットフォームにおいて、第1インターネット消費者が与えた仲介待ち第1商品資料を受け取り、 価格評価するプラットフォームにおいて、第1商品資料の第1参考価格を提供し、 データーベースにおいて第1商品資料及び第1参考価格を記録し、 仲介プラットフォームは、第1インターネット消費者が提供された第1参考価格により自ら第1価格を定め、第2インターネット消費者が提供された第2商品資料及び自ら第2価格を定めることを設定し、該当する第1商品資料の実物と該当する第2商品の実物との物品交換の取引を行うことを特徴とするWEBサイトを用いた仲介及び取引システム。」(【請求項1】) (2)「図2は、webサイトを用いた仲介及び取引システムの構成図である。Webサイトシステム1が、オンラインショッピングにおいて、取引するプラットフォームを提供する。 」(【0020】、【図2】) (3)「データーベース13は、第1インターネット消費者4及び第2インターネット消費者5に関する資料と、第1商品及び第2商品の資料と、その個人が定めた第1商品価格及第2商品価格と、第1商品及び第2商品の参考価格をストレージする。」(【0024】) (4)「本システムは、仲介プラットフォーム2及び評価プラットフォーム3を備えており、仲介プラットフォーム2において、第1インターネット消費者4がオークションページ11を立ち上げ与えた仲介待ち商品及びインターネットにてその個人が定めた価格に基づき、データーベースの中で商品価値を対比し、取引をする可能性がある全ての商品をリストアップし、自動的に第2インターネット消費者5に商品を仲介又取引し、評価プラットフォーム3において、第1インターネット消費者4及び第2インターネット消費者5がオークションページ11を立ち上げ、第1商品資料及び第2商品資料をインターネットにて与えると、サーバー12は直接インターネットで予め設定した著名なショッピングページ及びオークションページに連結し、近似した商品を選択及び対比し、第1参考価格及び第2参考価格を算出することができる。例えば、P4級のコンピューターの価格を定めるため、光華市場(台湾の台北では著名なコンピューターに関連するマーケット)、或いは著名なコンピューターを仕入れするインターネット市場にてP4級のコンピューターに関する資料が選択され、減価償却後、商品重要率の価格平均に基づき、参考価格を算出し、インターネット消費者に自ら価格を定める際の参考価格として提供することができる。」(【0025】) 上記摘記した(1)から(4)の記載を参酌すると、上記引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「仲介プラットフォーム2と評価プラットフォーム3とオークションページ11とサーバ装置12とデータベース13を備える、物品交換の取引を行うことを特徴とするWEBサイトシステムであって、 評価プラットフォーム3において、第1インターネット消費者4及び第2インターネット消費者5が、第1商品資料及び第2商品資料をインターネットにて与えると、サーバー12は直接インターネットで予め設定した著名なショッピングページ及びオークションページに連結し、近似した商品を選択及び対比し、第1参考価格及び第2参考価格を算出することができ、 前記第1参考価格及び第2参考価格は、インターネット消費者に自ら価格を定める際の参考価格として提供することができるものであり、 データーベース13は、第1インターネット消費者4及び第2インターネット消費者5に関する資料と、第1商品及び第2商品の資料と、その個人が定めた第1商品価格及第2商品価格と、第1商品及び第2商品の参考価格をストレージし、 仲介プラットフォーム2において、第1インターネット消費者4がオークションページ11を立ち上げ、与えた仲介待ち商品及びインターネットにてその個人が定めた価格に基づき、データーベースの中で商品価値を対比し、取引をする可能性がある全ての商品をリストアップし、自動的に第2インターネット消費者5に商品を仲介又は取引を行うことができる、 WEBサイトシステム。」 2 引用文献2及び3について 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2の段落【0105】の「ここで、出品者600の当該物品と受入者700の交換品との間に差額の代金が発生する場合があるが、この差額の代金の徴収を物流業者900に委託することも可能である。この場合、配達員は、受入者700に当該物品「モデムXXXX」を配達する際、または出品者600に交換品「モデムYYYY」を配達する際に、当該物品または交換品と引き換えに、差額の代金を徴収し、その後出品者600または受入者700に対して、この差額の代金を適宜の方法で送金する。なお、このような差額の代金が発生する場合、出品者600または受入者700のうち、物流業者900は、先に差額を徴収しない方から当該物品または交換品を引き取って、当該物品または交換品を配達する際に差額の代金を徴収するようにすればよい。また、差額の代金が発生しない場合、物流業者900は、出品者600または受入者700のうち、配達拠点から近い方から当該物品または交換品を引き取って、当該物品または交換品を配達する際に、交換品または当該物品を引き取るようにすれば、配送に必要な距離が短くて済むことになる。」との記載からみて、引用文献2には、「物品の交換を行う際に、出品者の物品と受入者の交換品との間に差額の代金が発生する場合、その差額の代金の徴収を行う」という技術事項が記載されていると認められる。 また、原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3の段落【0060】の「(3)物々交換 あるユーザ(A)が品物(a)を出品する。 他のユーザ(B)が品物(b)を出品する。 ユーザ(A)と(B)との間で物々交換をする。この際に、品物(a)、(b)の価値が異なる場合には、その差額をポイントにて支払う。 品物、および、必要な場合にはポイントを受け取った後に、相互を評価する。」との記載からみて、引用文献3には、「物々交換を行う際に、あるユーザが出品した品物と他のユーザが出品した品物の価値が異なる場合、その差額をポイントにて支払う」という技術事項が記載されていると認められる。 第6 対比・判断 1 本願発明1について (1)対比 本願発明1と引用発明とを対比する。 (ア)本願発明1に係る『市場価格』は、請求項1に記載されている通り、市場価格算出手段によって算出されたものであり、具体的には、本願明細書の段落【0037】に「市場価格算出手段202は、登録物品の市場価格を算出する。市場価格算出手段202は、インターネット上の様々なWEBコンテンツ16から価格を収集し、その収集した価格に基づいて、登録物品の市場価格を算出してよい。この市場価格は、収集した価格の平均値であっても良いし、収集した価格の最安値又は最高値であっても良いし、それ以外であってもよい。WEBコンテンツ16の例は、ECサイト、価格比較サイト、オークションサイト、農業協同組合のサイト、漁協共同組合のサイト等である。市場価格算出手段202は、登録物品のカテゴリに応じたWEBコンテンツ16を選択して登録物品の市場価格を算出してもよい。」と記載されている。 一方、引用発明に係る「第1参考価格及び第2参考価格」は、「評価プラットフォーム3において、第1インターネット消費者4及び第2インターネット消費者5が、第1商品資料及び第2商品資料をインターネットにて与えると、サーバー12は直接インターネットで予め設定した著名なショッピングページ及びオークションページに連結し、近似した商品を選択及び対比し、第1参考価格及び第2参考価格を算出」されたものである。 してみると、本願発明1に係る『市場価格』と引用発明に係る「第1参考価格及び第2参考価格」は、いずれも、インターネット上の様々なコンテンツから収集した価格に基づいて算出されたものであるから、引用発明に係る「第1参考価格及び第2参考価格」は本願発明1に係る『市場価格』に相当する。 (イ)引用発明に係る「データベース13」は、「第1インターネット消費者4及び第2インターネット消費者5に関する資料と、第1商品及び第2商品の資料と、その個人が定めた第1商品価格及第2商品価格と、第1商品及び第2商品の参考価格をストレージ」しているのであり、前記「第1商品及び第2商品の資料」は本願発明1に係る『複数の商品』に対応することは明らかであり、上記(ア)で言及した様に、引用発明に係る「第1参考価格及び第2参考価格」は、本願発明1に係る『市場価格』に相当するのであるから、引用発明に係る「データベース13」は、本願発明1に係る『複数の物品と市場価格とが登録されているデータベース』に相当する。 (ウ)引用発明の「評価プラットフォーム3において、第1インターネット消費者4及び第2インターネット消費者5が、第1商品資料及び第2商品資料をインターネットにて与えると、サーバー12は直接インターネットで予め設定した著名なショッピングページ及びオークションページに連結し、近似した商品を選択及び対比し、第1参考価格及び第2参考価格を算出することができ、」との記載を参酌するに、サーバ12が第1参考価格及び第2参考価格を算出するに際して、第1インターネット消費者4及び第2インターネット消費者5による第1参考価格及び第2参考価格の設定を要していないことは明らかである。 してみると、上記(ア)で言及した様に、引用発明に係る「第1参考価格及び第2参考価格」は、本願発明1に係る『市場価格』に相当するのであるから、引用発明に係る「サーバ12」は、本願発明1に係る『物品交換用に登録された物品である登録物品の市場価格を、複数のWEBコンテンツから収集し、当該収集した市場価格に基づいて、前記物品の所有者による価格設定を要することなく算出する市場価格算出手段』に相当する機能を備えているといえる。 (エ)引用発明の「仲介プラットフォーム2において、第1インターネット消費者4がオークションページ11を立ち上げ、与えた仲介待ち商品及びインターネットにてその個人が定めた価格に基づき、データーベースの中で商品価値を対比し、取引をする可能性がある全ての商品をリストアップし、自動的に第2インターネット消費者5に商品を仲介又は取引を行うことができる、」なる記載において、前記「与えた仲介待ち商品及びインターネットにてその個人が定めた価格に基づき、データーベースの中で商品価値を対比し、取引をする可能性がある全ての商品をリストアップし、」は、本願発明1に係る『(物々交換の対象となりうる)物品をデータベースから検索し、検索された(物々交換の対象となりうる)物品を表示する』 との機能に対応するものといえることは明らかであるから、引用発明には、本願発明1に係る『物品をデータベースから検索する検索手段』と『検索手段によって検索された物品である検索物品を表示する表示手段』が備わっているといえる。 (オ)引用発明のWEBサイトシステムは、「仲介プラットフォーム2と評価プラットフォーム3とオークションページ11とサーバ装置12とデータベース13を備える、」ものであり、そして、「物品交換の取引を行う」ことを特徴とするものであるから、本願発明1に係る『物々交換支援システム』といえる。 上記(ア)から(オ)で検討した事項を踏まえると、本願発明1と引用発明とは、 「複数の物品と市場価格とが登録されているデータベースと、 物品交換用に登録された物品である登録物品の市場価格を、複数のWEBコンテンツから収集し、当該収集した市場価格に基づいて、前記物品の所有者による価格設定を要することなく算出する市場価格算出手段と、 物品を前記データベースから検索する検索手段と、 前記検索手段によって検索された物品である検索物品を表示する表示手段と を備えることを特徴とする物々交換支援システム。」で一致し、以下の点で相違している。 [相違点1] 本願発明1は、「市場価格算出手段によって算出された登録物品の市場価格との差分が所定の閾値以下の市場価格を有する物品を、データベースから検索する」のに対し、引用発明では、「市場価格」を参考にして「インターネット消費者」が定めた「商品価格」に基づいて検索を行い、価格の差分が所定の閾値以下の物品を検索することは明示されていない点。 [相違点2] 本願発明1は、「登録物品と、検索手段によって検索された物品である検索物品と、を関連つけて表示する」のに対し、引用発明では、「検索された物品である検索物品を表示する」ものの、「登録物品」と関連づけて表示していない点。 [相違点3] 本願発明1は、「登録物品の登録者から、当該登録物品と交換したい検索物品の選択を受け付ける物品選択手段」及び「前記物品選択手段によって選択された検索物品の所有者に、前記登録物品との交換要求を通知する交換通知手段」を有するのに対し、引用発明は当該手段を有していない点。 (2)相違点についての判断 上記相違点1について検討すると、データベースから物品を検索する際、引用発明の「市場価格」を参考にしてユーザが定めた「商品価格」を用いる構成に代えて、「市場価格」そのものを用いる構成を採用した場合、検索に用いる「商品価格」をユーザが自由に設定することができるという裁量を失わせることになるため、引用発明についてそのような設計変更を行うことには、阻害要因があるといえる。したがって、上記相違点2及び3について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても、引用発明並びに引用文献2及び3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。 2 本願発明2から4について 本願発明2から4も、本願発明1の「市場価格算出手段によって算出された登録物品の市場価格との差分が所定の閾値以下の市場価格を有する物品を、データベースから検索する検索手段」と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明並びに引用文献2及び3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。 3 本願発明5及び6について 本願発明5及び6は、本願発明1と実質的に同様の構成を有するカテゴリ違いのものであり、本願発明1の「市場価格算出手段によって算出された登録物品の市場価格との差分が所定の閾値以下の市場価格を有する物品を、データベースから検索する検索手段」に対応する構成を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明並びに引用文献2及び3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。 第7 原査定について 原査定の理由では、本願発明1と引用発明とを対比し、引用発明は「検索手段において、前記データベースから、前記登録物品の市場価格との差分が所定の閾値以下の市場価格を有する物品を検索する構成および物品交換用に登録された物品である登録物品の市場価格を、前記物品の所有者による価格設定を要することなく算出する構成を有しない点」で相違するとしつつ、当該相違点について「同等の価値の物品を交換することは、取引において一般的なことであるとともに、所有者による価格設定を行うか否かは、当業者が適宜決め得たことである。」としている。 しかしながら、当該相違点については上記「第6 対比・判断」の「1(2)」で検討したとおりであるから、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献1から3に基づいて、容易に発明できたものとはいえない。したがって、原査定の理由を維持することはできない。 第8 むすび 以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2018-08-20 |
出願番号 | 特願2015-250769(P2015-250769) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(G06Q)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 塩田 徳彦 |
特許庁審判長 |
佐藤 智康 |
特許庁審判官 |
上嶋 裕樹 相崎 裕恒 |
発明の名称 | 物々交換支援システム、物々交換支援方法、及び、プログラム |
代理人 | 小木 智彦 |