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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04W
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H04W
管理番号 1343621
審判番号 不服2017-5470  
総通号数 226 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-10-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-04-17 
確定日 2018-08-30 
事件の表示 特願2016- 3906「ユーザ端末、無線基地局、プロセッサ、及び方法」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 6月 9日出願公開、特開2016-105621〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯

本願は、2013年(平成25年)3月15日(パリ条約による優先権主張 2012年3月19日 米国)を国際出願日として出願した特願2014-506189号の一部を、平成28年1月12日に新たな特許出願としたものであって、平成28年3月29日付けで拒絶理由が通知され、同年6月6日に意見書及び手続補正書が提出され、同年8月25日付けで最後の拒絶理由が通知され、同年10月20日に意見書が提出され、平成29年1月12日付けで拒絶査定されたところ、同年4月17日に拒絶査定不服審判の請求がされ、同時に手続補正されたものである。


第2 平成29年4月17日にされた手続補正についての補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]
平成29年4月17日にされた手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1.本件補正について
(1)本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、次のとおり補正された。

「 第1の無線基地局及び前記第1の無線基地局とは異なる周波数を用いる第2の無線基地局の両方と双方向での通信が可能なように、前記第1の無線基地局及び前記第2の無線基地局の両方に接続した状態において、前記第1の無線基地局からの信号を受信するタイミングと前記第2の無線基地局からの信号を受信するタイミングとの誤差を測定する測定部と、
前記誤差の測定結果を含む測定報告メッセージを前記第1の無線基地局へ送信する送信部と、を備え、
前記測定報告メッセージは、前記第1の無線基地局において、前記誤差の測定結果に基づく情報を基地局間インタフェース上で前記第2の無線基地局に送信するために用いられることを特徴とするユーザ端末。」(当審注:下線は補正箇所を示す。)

(2)本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の、平成28年6月6日に手続補正された特許請求の範囲の請求項1は次のとおりである。

「 第1の無線基地局及び前記第1の無線基地局とは異なる周波数を用いる第2の無線基地局の両方と双方向での通信が可能なように、前記第1の無線基地局及び前記第2の無線基地局の両方に接続した状態において、前記第1の無線基地局からの信号を受信するタイミングと前記第2の無線基地局からの信号を受信するタイミングとの誤差を測定する測定部と、
前記誤差の測定結果を含む測定報告メッセージをネットワークへ送信する送信部と、を備えることを特徴とするユーザ端末。」

2.補正の適否
(1)新規事項の有無、シフト補正の有無、補正の目的要件
上記補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である測定報告メッセージの送信先を「ネットワーク」から「第1の無線基地局」に限定し、更に、「測定報告メッセージ」について、「前記第1の無線基地局において、前記誤差の測定結果に基づく情報を基地局間インタフェース上で前記第2の無線基地局に送信するために用いられる」ものに限定する補正であるから、特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に該当する。
したがって、上記補正は特許法17条の2第5項2号(補正の目的)に規定された事項を目的とするものである。また、同法17条の2第3項(新規事項)及び同法17条の2第4項(シフト補正)の規定に違反するところはない。

(2)独立特許要件
上記補正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下、「本件補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるのか否かについて、以下に検討する。

ア.本件補正発明
本件補正発明は、上記1.(1)に記載したとおりのものと認める。

イ.引用例の記載事項及び引用発明
原査定の拒絶の理由で引用された、国際公開第2011/063047号(2011年5月26日国際公開。以下、「引用例」という。)には以下の記載がある。

(ア)「 [0056] The access terminal may report frame timing difference information via, for example, a UMTS observed time difference (OTD) report or via another type of message used by some other type of radio technology. This frame timing phase difference information may be indicative of, for example, the difference between a time at which a frame from the access point is received by the access terminal and a time at which a frame from a macro access point is received by the access terminal. For example, an access terminal may send a system frame number-connection frame number (SFN-CFN) OTD report to its serving cell to report the time difference between the serving cell and a neighbor cell (e.g., the timing difference between the times at which frames are received from the different cells). As another example, an idle access terminal may send an OTD report to report the time difference between two cells (e.g., the timing difference between the times at which frames are received from the different cells). Here, an access terminal may send a system frame number-system frame number (SFN-SFN) OTD report (Type 1 or Type 2) when the access terminal is in idle mode or in some other state where OTD reports are supported. 」(15ページ)(下線は当審で付加した。以下同様。)
(当審訳:[0056]
アクセス端末は、例えば、UMTS観測時間差(OTD)報告を介して、又は何らかの他のタイプの無線技術によって使用される別のタイプのメッセージを介して、フレームタイミング差情報を報告し得る。このフレームタイミング位相差情報は、例えば、アクセスポイントからのフレームがアクセス端末によって受信された時間と、マクロアクセスポイントからのフレームがアクセス端末によって受信された時間との間の差を示し得る。例えば、アクセス端末は、サービングセルとネイバーセルとの間の時間差(例えば、異なるセルからフレームが受信された時間の間のタイミング差)を報告するためのシステムフレーム番号-接続フレーム番号(SFN-CFN)OTD報告をそのサービングセルに送り得る。別の例として、アイドル状態のアクセス端末が、2つのセルの間の時間差(たとえば、異なるセルからフレームが受信された時間の間のタイミング差)を報告するためのOTD報告を送り得る。ここで、アクセス端末が、アイドルモードにあるか、又はOTD報告がサポートされる何らかの他の状態にあるとき、アクセス端末はシステムフレーム番号-システムフレーム番号(SFN-SFN)OTD報告(タイプ1又はタイプ2)を送り得る。)

(イ)「[0090] For purposes of illustration, assume without loss of generality that the femto cell FL frequency is F2, while a neighboring macro cell is on frequency Fl. 」(24ページ)
(当審訳:[0090]
説明のために、フェムトセルFL周波数はF2であり、近隣マクロセルは周波数F1上にあると、一般性の損失なしに仮定する。)

(ウ)「 [00157] FIG. 15 illustrates a wireless communication system 1500, configured to support a number of users, in which the teachings herein may be implemented. ・・・・・・ Each access terminal 1506 may communicate with one or more access points 1504 on a forward link (FL) and/or a reverse link (RL) at a given moment, depending upon whether the access terminal 1506 is active and whether it is in soft handoff, for example. 」(41ページ)
(当審訳:[00157]
図15は、本明細書の教示が実装され得る、いくつかのユーザをサポートするように構成されたワイヤレス通信システム1500を示す。・・・・・・各アクセス端末1506は、たとえば、アクセス端末1506がアクティブかどうか、およびアクセス端末1506がソフトハンドオフ中かどうかに応じて、所与の瞬間に順方向リンク(FL)および/又は逆方向リンク(RL)上で1つ又は複数のアクセスポイント1504と通信し得る。)

上記記載及び当業者の技術常識を考慮すると、引用例1には、次の技術的事項が記載されている。

a 上記(ア)によれば、アクセス端末はフレームタイミング差情報を得るためにアクセスポイントとマクロアクセスポイントからフレームを受信しているといえるから、アクセス端末はアクセスポイントとマクロアクセスポイントの両方と通信が可能な状態にあるといえる。そして上記(ア)によれば、アクセス端末は、cにおいて後述するようにフレームタイミング差情報をアクセスポイントに送信しているから、アクセス端末とアクセスポイントとは双方向の通信をしているといえる。
また、上記(イ)を踏まえれば、アクセスポイントとマクロアクセスポイントがアクセス端末との通信に使用する周波数は異なっているといえる。

b 上記(ア)において「フレームタイミング差情報」と「フレームタイミング位相差情報」は同義であると考えられる。そうすると、上記(ア)には、アクセスポイントからのフレームがアクセス端末によって受信された時間と、マクロアクセスポイントからのフレームがアクセス端末によって受信された時間との間の差を示すフレームタイミング差情報をアクセス端末が報告することが記載されているから、アクセス端末は当該フレームタイミング差情報を求める手段を有しているといえる。

c 上記(ア)によれば、アクセス端末は、UMTS観測時間差(OTD)報告、又は他のタイプの無線技術によって使用される別のタイプのメッセージを介して、フレームタイミング差情報を報告することが記載されており、当該報告はアクセスポイントに送信されることが明らかである。そして、アクセス端末は当該報告を送信するために送信手段を有しているといえる。
そうしてみると、アクセス端末は、UMTS観測時間差(OTD)報告、又は他のタイプの無線技術によって使用される別のタイプのメッセージを介して、フレームタイミング差情報をアクセスポイントへ送信する送信手段を有しているということができる。

したがって、引用例には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認める。

「 アクセスポイントと、前記アクセスポイントとは異なる周波数を用いるマクロアクセスポイントの両方と通信が可能であり、さらに、前記アクセスポイントとは双方向の通信が可能な状態において、前記アクセスポイントからのフレームがアクセス端末によって受信された時間と、前記マクロアクセスポイントからのフレームが前記アクセス端末によって受信された時間との間の差を示すフレームタイミング差情報を求める手段と、
UMTS観測時間差(OTD)報告、又は他のタイプの無線技術によって使用される別のタイプのメッセージを介して、前記フレームタイミング差情報を前記アクセスポイントへ送信する送信手段と、を有するアクセス端末。」


ウ.引用発明との対比
本件補正発明と引用発明とを対比する。
a 引用発明において、アクセスポイントとマクロアクセスポイントの周波数は異なっているから、引用発明の「アクセスポイント」及び「マクロアクセスポイント」は、それぞれ本件補正発明の「第1の無線基地局」及び「前記第1の無線基地局とは異なる周波数を用いる第2の無線基地局」に相当する。また、引用発明の「アクセス端末」は本件補正発明の「ユーザ端末」に対応する。

b 本件補正発明ではユーザ端末が第1の無線基地局及び第2の無線基地局の両方と通信が可能といえるから、本件補正発明と引用発明とは、ユーザ端末が第1の無線基地局及び第2の無線基地局の両方と通信可能といえる点で共通する。
また、引用発明では、アクセスポイントとアクセス端末は双方向の通信が可能であるが、アクセス端末とマクロアクセスポイントとの通信は、マクロアクセスポイントからアクセス端末へフレームが伝送されているものの、双方向での通信が可能な接続した状態であるか否かは明らかではない。
本件補正発明の「前記第1の無線基地局及び前記第2の無線基地局の両方に接続した状態」における「接続」の意味は、本件補正発明に対応する実施例について記載された本願明細書【0120】の記載からみて、「同期を検出/確立する」ことを「接続」と表現していると解されるところ、請求人も平成28年10月20日に提出された意見書において「本願明細書においては、・・・『UEが無線基地局と同期を確立する』ことが『UEが無線基地局と接続する』ことと同様な意味で用いられております。」と述べている。
そうしてみると、引用発明において、アクセス端末はアクセスポイント及びマクロアクセスポイントからフレームを受信しているから、アクセス端末と、アクセスポイント及びマクロアクセスポイントとは同期が取れていると考えられ、上述した接続の意味を踏まえると、接続されているといえる。そうすると、引用発明も本件補正発明の「前記第1の無線基地局及び前記第2の無線基地局の両方に接続した状態」に相当する構成を有しているといえる。

c 引用発明の「アクセスポイントからのフレームがアクセス端末によって受信された時間」及び「マクロアクセスポイントからのフレームがアクセス端末によって受信された時間」は、本件補正発明の「前記第1の無線基地局からの信号を受信するタイミング」及び「前記第2の無線基地局からの信号を受信するタイミング」にそれぞれ相当する。そして、引用発明の「前記アクセスポイントからのフレームがアクセス端末によって受信された時間と、前記マクロアクセスポイントからのフレームが前記アクセス端末によって受信された時間との間の差を示すフレームタイミング差情報を求める」ことは、本件補正発明の「前記第1の無線基地局からの信号を受信するタイミングと前記第2の無線基地局からの信号を受信するタイミングとの誤差を測定する」ことに相当する。
したがって、引用発明の「前記アクセスポイントからのフレームがアクセス端末によって受信された時間と、前記マクロアクセスポイントからのフレームが前記アクセス端末によって受信された時間との間の差を示すフレームタイミング差情報を求める手段」が、本件補正発明の「前記第1の無線基地局からの信号を受信するタイミングと前記第2の無線基地局からの信号を受信するタイミングとの誤差を測定する測定部」に相当する。

d 引用発明では、アクセス端末が「UMTS観測時間差(OTD)報告、又は他のタイプの無線技術によって使用される別のタイプのメッセージを介して、前記フレームタイミング差情報を前記アクセスポイントへ送信」しているから、「フレームタイミング差情報」を含む「UMTS観測時間差(OTD)報告、又は他のタイプの無線技術によって使用される別のタイプのメッセージ」をアクセスポイントへ送信しているということもできる。
そうしてみると、引用発明の「UMTS観測時間差(OTD)報告、又は他のタイプの無線技術によって使用される別のタイプのメッセージ」は、本件補正発明の「測定報告メッセージ」に相当し、引用発明の「UMTS観測時間差(OTD)報告、又は他のタイプの無線技術によって使用される別のタイプのメッセージを介して、前記フレームタイミング差情報を前記アクセスポイントへ送信する送信手段」は、本件補正発明の「前記誤差の測定結果を含む測定報告メッセージを前記第1の無線基地局へ送信する送信部」に相当する。

したがって、本件補正発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりと認める。

[一致点]
「 第1の無線基地局及び前記第1の無線基地局とは異なる周波数を用いる第2の無線基地局の両方と通信が可能であり、前記第1の無線基地局と双方での通信が可能なように、前記第1の無線基地局及び前記第2の無線基地局の両方に接続した状態において、前記第1の無線基地局からの信号を受信するタイミングと前記第2の無線基地局からの信号を受信するタイミングとの誤差を測定する測定部と、
前記誤差の測定結果を含む測定報告メッセージを前記第1の無線基地局へ送信する送信部と、を備えるユーザ端末。」

[相違点1]
本件補正発明では、ユーザ端末は、第1の無線基地局及び第2の無線基地局の両方と双方向での通信が可能なようにされているのに対して、引用発明ではマクロアクセスポイントとアクセス端末とが双方向の通信を行うか否かが不明な点。

[相違点2]
本件補正発明では「前記測定報告メッセージは、前記第1の無線基地局において、前記誤差の測定結果に基づく情報を基地局間インタフェース上で前記第2の無線基地局に送信するために用いられる」のに対して、引用発明では「UMTS観測時間差(OTD)報告、又は他のタイプの無線技術によって使用される別のタイプのメッセージ」はアクセスポイントにおいてどのように用いられるか特定されていない点。

エ.判断
上記相違点1について検討する。
引用発明では、アクセス端末とマクロアクセスポイントは同期が取れ、接続されている。このような状態において、例えば確認のための信号を送り合ったりするため、双方向の通信を可能とすることは、必要に応じて当業者が成し得た事項にすぎない。
また、上記イ.(ウ)に摘記したように、引用例にはアクセス端末が複数のアクセスポイントと順方向リンク(FL)および/又は逆方向リンク(RL)上で通信することが記載され、アクセス端末と複数のアクセスポイントとが双方向に通信することが示唆されていることからみて、当該記載を参照すれば、引用発明においてアクセス端末とマクロアクセスポイントが双方向の通信を可能に構成することは、当業者が容易に想到し得た事項にすぎない。
そして、引用発明において、アクセス端子とマクロアクセスポイントが双方向に通信可能な状態となれば、アクセス端末はアクセスポイント及びマクロアクセスポイントの両方と双方向での通信が可能なように、両方に接続された状態となっているといえる。

上記相違点2について検討する。
本件補正発明は「ユーザ端末」に係る発明であるところ、相違点2とした「前記測定報告メッセージ」が「前記第1の無線基地局において、前記誤差の測定結果に基づく情報を基地局間インタフェース上で前記第2の無線基地局に送信するために用いられること」は、測定報告メッセージが第1の無線局においてどのように用いられるかということに係るものであって、どのように用いられるかによってユーザ端末の構成に影響を与えるというものではないから、ユーザ端末自体の構成に係る相違点ではない。そうしてみると、相違点2はユーザ端末の発明である本件補正発明の構成に係る相違点とはいえないから、実質的な相違点ではない。(「審査基準」第III部第2章第4節4.1.2及び4.2.2を参照。)

そして、本件補正発明が奏する効果も、当業者が引用発明から容易に予想できる範囲内のものである。

したがって、本件補正発明は、引用発明に基づき、当業者が容易に想到できたものであるから、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。


3.本件補正についてのむすび
よって、本件補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するので、同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。


第3 本願発明について

1.本願発明
平成29年4月17日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、平成28年6月6日に手続補正された特許請求の範囲の請求項1ないし5に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、前記第2[理由]1.(2)に記載のとおりのものと認める。


2.原査定の拒絶の理由
原査定は平成28年3月29日付け拒絶理由通知の理由2によって拒絶をすべきものとするものであって、当該理由2の概要は、「(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。」というものであり、本願発明に対応する補正前の請求項1に係る発明に対して、次の引用文献3又は4から容易に発明をすることができたとするものである。

3.国際公開第2011/063047号
4.特表2001-517892号公報


3.引用発明
引用文献3の場合、引用発明は、前記第2[理由]2.(2)イ.の項で認定したとおりである。


4.対比・判断
本願発明は本件補正後の発明から本件補正に係る限定を省いたものである。
そうすると、相違点は上記第2[理由]2.(2)ウの相違点1であるところ、本願発明の構成に本件補正に係る限定を付加した本件補正発明が、上記第2[理由]2.(2)の「独立特許要件」の項で検討したとおり、引用発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により当業者が容易に発明をすることができたものである。


第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2018-06-28 
結審通知日 2018-07-03 
審決日 2018-07-17 
出願番号 特願2016-3906(P2016-3906)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H04W)
P 1 8・ 575- Z (H04W)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 青木 健  
特許庁審判長 北岡 浩
特許庁審判官 倉本 敦史
山本 章裕
発明の名称 ユーザ端末、無線基地局、プロセッサ、及び方法  
代理人 キュリーズ特許業務法人  

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