• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 特29条特許要件(新規) 特許、登録しない。 G06Q
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06Q
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 G06Q
管理番号 1343626
審判番号 不服2017-10881  
総通号数 226 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-10-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-07-21 
確定日 2018-08-30 
事件の表示 特願2013-230844「印刷物、および画像の撮像方法」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 5月11日出願公開、特開2015- 90630〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成25年11月7日に出願された特許出願であって、平成28年11月28日付けで拒絶の理由が通知され、これに対して、平成29年1月26日に意見書及び手続補正書が提出されたが、同年4月18日付で拒絶の査定がなされ、同拒絶査定の謄本が請求人に送達された。
これに対して、同年7月21日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、それと同時に手続補正がなされたものである。

第2 平成29年7月21日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成29年7月21日にされた手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 本件補正について
本件補正は、特許請求の範囲等を変更するものであり、平成29年1月26日に提出された手続補正書に記載された特許請求の範囲(以下、「補正前の特許請求の範囲」という。)を同年7月21日に提出された手続補正書に記載された特許請求の範囲(以下、「補正後の特許請求の範囲」という。)に補正することをその一部に含むものである。(補正箇所に下線を付与した。)

(補正前の特許請求の範囲)
【請求項1】
商品の説明を記載した紙面と、
前記紙面上に表示され、前記商品に関する説明の動画データのネットワーク上での直接のロケーションを示す情報、または、当該動画データの当該ロケーションを示す情報が記録されたページのネットワーク上でのロケーションを示す情報をエンコードしていて、撮影により読み取ってデコードすることができる符号と、
を備え、
前記符号は前記紙面の綴じ代側に表示されていることを特徴とする印刷物。
【請求項2】
商品の説明を記載した紙面と、
前記紙面上に表示され、前記商品に関する説明の動画データのネットワーク上での直接のロケーションを示す情報、または、当該動画データの当該ロケーションを示す情報が記録されたページのネットワーク上でのロケーションを示す情報をエンコードしていて、撮影により読み取ってデコードすることができる符号と、
を備え、
前記紙面の前記符号が表示されている位置の裏側には印刷がされていないことを特徴と
する印刷物。
【請求項3】
商品に関する説明の動画データのネットワーク上での直接のロケーションを示す情報、または、当該動画データの当該ロケーションを示す情報が記録されたページのネットワーク上でのロケーションを示す情報をエンコードしていて、撮影により読み取ってデコードすることができる符号が、紙面上に記載された説明文に対応して備わる印刷物に対して、
前記紙面上の指示に従って携帯情報端末装置により前記符号を当該携帯情報端末装置のディスプレイにその長手方向を水平方向として表示して撮像することを特徴とする画像の撮像方法。

(補正後の特許請求の範囲)
【請求項1】
左ページ及び右ページにそれぞれ商品の説明を1つ以上の見出しによって記載した左右見開きの紙面と、
前記紙面上に表示され、前記商品に関する説明の動画データのネットワーク上での直接のロケーションを示す情報、または、当該動画データの当該ロケーションを示す情報が記録されたコンテンツのネットワーク上でのロケーションを示す情報をエンコードしていて、撮影により読み取ってデコードすることができる符号と、
を備え、
前記紙面における前記左ページ及び前記右ページとも、前記符号は前記紙面を見開いたときにおける前記紙面の綴じ代側に、前記見出しに対応づけて表示されていることを特徴とする印刷物。
【請求項2】
前記紙面の前記符号が表示されている位置の裏側には印刷がされていないことを特徴とする請求項1に記載の印刷物。
【請求項3】
商品に関する説明の動画データのネットワーク上での直接のロケーションを示す情報、または、当該動画データの当該ロケーションを示す情報が記録されたコンテンツのネットワーク上でのロケーションを示す情報をエンコードしていて、撮影により読み取ってデコードすることができる符号が、紙面上に記載された説明文に対応して備わる印刷物に対して、
前記紙面上の指示に従って携帯情報端末装置により前記符号を当該携帯情報端末装置のディスプレイにその長手方向を水平方向として表示して撮像させることで、当該符号が示すロケーションにある動画データが前記ディスプレイに長手方向を横方向として表示されることを特徴とする画像の表示方法。

2 本件補正の目的について
(1)本件補正のうち、請求項3についての補正は、補正前には「携帯情報端末装置により前記符号を当該携帯情報端末装置のディスプレイに・・・表示して撮像することを特徴とする画像の撮像方法」であったものを、補正後には「携帯情報端末装置により前記符号を当該携帯情報端末装置のディスプレイに・・・表示して撮像させることで、当該符号が示すロケーションにある動画データが前記ディスプレイに長手方向を横方向として表示されることを特徴とする画像の表示方法」へと変更するものである。
まず、この補正は、補正前には「画像」の「撮像」方法であったものを補正後には「画像」の「表示」方法としようとするものであるところ、これは、「撮像」方法の発明を「表示」方法の発明へと変更するものであると同時に、「画像」の文言の技術的意義をも変更するものである。すなわち、この補正による補正前には、「画像」の文言が「撮像」される「画像」である「符号」の上位概念を示すものとして用いられているのに対し、補正後には、「画像」の「表示方法」の直前部分に「撮像」によって「動画データ」が「表示される」旨が記載され、「画像」の文言が、「撮像」の対象となっていない「動画データ」の上位概念としても用いられているから、この補正は、「画像」の文言を、「撮像」の対象の上位概念を示すものからこれを示さないものへと変更するものである。いうなれば、補正後の「画像の表示方法」は、補正前の「画像の撮像方法」により撮像される「画像」を表示する方法ですらないのであって、この補正は、方法発明の対象方法それ自体を変更しようとするものである。
さらに、補正後の「表示される」ように「撮像させ」る主体は、携帯情報端末装置により撮像を行う者(以下、「撮像者」という。)に対して「紙面上の指示」を行う者であって、補正前の「撮像する」主体である撮像者と異なっているから、この補正は、方法発明の発明特定事項であるステップを限定するものではなく、このようなステップを行う主体をも変更しようとするものである。
してみると、いずれの観点からみても、この補正は、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とした補正に該当しないし、のみならず、発明特定事項の限定による補正にも該当しない。
よって、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる事項を目的とするものではないし、また本件補正がステップを行う主体を変更しようとするものであることに照らせば、請求項の削除、誤記の訂正、明りょうでない記載の釈明のいずれにも該当しないことも明らかである。
してみると、本件補正は、特許請求の範囲についてする補正であるにもかかわらず特許法第17条の2第5項各号のいずれを目的とするものでもないものを含むものであり、同項に規定する要件(いわゆる目的要件)に違反してなされたものである。

(2) なお、本件補正のうち、請求項1及び請求項2についての補正は、「商品の説明を記載した紙面」について、左ページ及び右ページにそれぞれ商品の説明を1つ以上の見出しによって記載した左右見開きのものである旨の限定を付し、さらに、紙面上に表示された「符号」について、前記紙面における前記左ページ及び前記右ページとも、前記符号は前記紙面を見開いたときにおける前記紙面の綴じ代側に、前記見出しに対応づけて表示されている旨の限定を付するものであり、同項第2号に掲げる事項(特許請求の範囲の減縮)を目的とするものである。

3 本件補正の独立特許要件違反について
仮に、本件補正が、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる事項を目的とするものであるとしても、以下のとおり、本件補正による補正後の発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものではないから、同法第126条第7項の規定を準用する同法第17条の2第6項の規定する要件(いわゆる独立特許要件)に適合するものでない。

(1)請求項1について
ア 特許法第29条第1項柱書について
(ア) 請求項1に記載されたものは、以下の(A)、(B)及び(C)を有する。

(A)左ページ及び右ページにそれぞれ商品の説明を1つ以上の見出しによって記載した左右見開きの紙面を備えた印刷物

(B)(A)の紙面上に表示され(て印刷物に備えられ)、前記商品に関する説明の動画データのネットワーク上での直接のロケーションを示す情報、または、当該動画データの当該ロケーションを示す情報が記録されたコンテンツのネットワーク上でのロケーションを示す情報をエンコードしていて、撮影により読み取ってデコードすることができる符号

(C)(B)の符号が、(A)の紙面における前記左ページ及び前記右ページとも、前記紙面を見開いたときにおける前記紙面の綴じ代側に、前記見出しに対応づけて表示されていること

(イ) 上記の(A)、(B)及び(C)は、以下に示すとおり、いずれも情報の単なる提示を示すものであり、一般的な情報の記録や表示を超えた技術的特徴ではない。

(A)について
印刷物の見開きの紙面の左ページと右ページに「商品の説明」を「見出し」によって記載することは、印刷物の見開きに情報を記載するという一般的な情報の表示を超えた技術的特徴ではない。

(B)について
(A)の紙面上に表示された「符号」が「商品に関する説明の動画データのネットワーク上での直接のロケーションを示す情報、または、当該動画データの当該ロケーションを示す情報が記録されたコンテンツのネットワーク上でのロケーションを示す情報」を撮影により読み取ってデコードすることができるようにエンコードしたものである旨を示しており、いわば、この「符号」が動画データのありかを直接的又は間接的に示す情報を内容とするものである旨を示すにすぎない。
また、この「符号」は、これが撮像されて読み取られた「動画データのネットワーク上での直接のロケーション」又は「動画データの当該ロケーションを示す情報が記録されたコンテンツのネットワーク上でのロケーション」によって「動画データ」を「表示」する機能を有する「携帯情報端末装置」を介して「動画データ」を符号の撮像者に対して表示するものではあるものの、本願特許請求の範囲及び明細書の記載からみて、特許を受けるべく特許請求の範囲において記載された内容は、このような機能やこのような機能を有する携帯情報端末装置の実現のための技術的事項やコンピュータソフトウェアの利用という観点から把握される技術的事項に係るものではなく、このような機能を有する携帯情報端末装置を所与の前提として、「符号」の撮像者に「動画データ」に係る情報を表示するにすぎない。
いずれにしても、(B)は、情報を提示するための技術的特徴ではなく、提示された情報の内容を示すにすぎない。

(C)について
この点は、要するに、印刷物に「見出し」によって記載された「商品の説明」に対応して「符号」を紙面上に表示し、その際、紙面を見開いたときにおける紙面の綴じ代側に符号を表示する(見開き左ページでは「商品説明」に対して相対的に右に符号を表示し、右ページでは「商品の説明」に対して相対的に左に「符号」を表示する)ようにされた印刷物であるから、実質的には、印刷物において符号を所定位置において表示することによって情報を提示する旨を示すものであり、情報の内容についての特徴を示すにすぎない。

さらに、上記の(A)、(B)及び(C)を総合しても、全体として印刷物上での情報の単なる提示を示すものであり、一般的な情報の記録や表示を超えた技術的特徴を示すものではない。コンピュータソフトウェアを利用するものということもできず、この観点から「自然法則を利用した技術的思想の創作」であるということもできない。

(ウ) 審判請求人の主張に対し
審判請求人は、符号を見出しに対応づけることで情報を網羅的に提示でき迅速に情報にアクセスできると主張する。
しかし、これは印刷物に示された情報を見た人間の認識の作用にすぎないものであり、かつ、人間の認識は各人によって様々であることをも踏まえると、情報の提示に係る技術的特徴とはいえない。

また、審判請求人は、「紙面を見開いたとき」における「綴じ代側」は「印刷物の周縁部分」に比して経年変化によって傷みにくく、経年変化による読取の不具合が生じにくいとも主張する。
しかし、「紙面を見開いたとき」における「綴じ代側」が「印刷物の周縁部分」に比して経年変化によって傷みにくいのは、印刷物の綴じ代が容易に外れない構造であることによるものである。(このことは、綴じ代が容易に外れる構造の印刷物(例えば加除式の印刷物)において「紙面を見開いたとき」における「綴じ代側」が傷む場合があることから、明らかである。)これに対して、本願特許請求の範囲は、印刷物の綴じ代の構造について何ら記載していないし、本願明細書も「2次元コードの大部分」が「綴じ代5側」に印刷されている(【0033】)以上の内容を示していないのであり、本願特許請求の範囲における、紙面を見開いたときにおける紙面の綴じ代側に符号を表示する旨は、これのみによって経年変化による読取の不具合をより生じにくくするという課題に対する解決手段を示すものとなっていない。いわば、情報提示媒体としての所定の綴じ構造の印刷物において符号を所定位置において表示することによって情報を提示する旨を示すにとどまるのであり、審判請求人の主張する観点からみて情報の提示に係る技術的特徴があるということはできない。

審判請求人の主張は、いずれも採用することができない。

(エ) 小括
してみると、補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載されたものは、特許法上の「発明」でなく、特許法第29条第1項柱書の要件を満たさないから、独立して特許を受けることができない。

イ 特許法第29条第2項について(以下、補正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明を「本件補正発明1」という。)
(ア) 引用文献と引用発明
原査定の拒絶の理由において引用された、特開2003-30581号公報(以下、「引用文献」という。)は、平成15年1月31日に出願公開がなされた特許公報であり、次の事項が記載されている。(下線は当審で付与した。)

A「【0014】また、読取部11で読み取る情報媒体としては、名刺の他に、店、品物、テレビ、イベントなどのタウン情報を掲載した雑誌、新聞、広告、はがき、電話帳、レストランなどで用いられるメニュー、求人情報、賃貸情報などの情報を載せた情報誌、会社案内、学校案内などの各種パンフレットおよびカタログなどが挙げられる。例えば、雑誌にこのような二次元コードを載せるときには、図3に示したように、雑誌40の紙面上に記事41、42を載せて、この記事のそれぞれに対応するように二次元コード43、44を見出しのように印刷または添付してもよい。同様に、新聞、広告、はがきなどに印刷することもできる。なお、添付する場合には、二次元コードを予め印刷しておき、この印刷物を添付する。」

B「【0020】また、図4の携帯端末装置50において、所定の情報を蓄積した記録媒体の再生を行うためのドライバとしての記録媒体再生部56が、データ処理部53に接続している。さらに、当該データ処理部53は、所定の情報を蓄積したサーバであるデータベースサーバ62にネットワークシステム61を介して接続している。
【0021】読取部51は、図1に示した情報提供システムにおける読取部11と同様に、情報媒体に印刷または添付された二次元コードを読み取って、このデータをデコード部52に送る。ここで、正確に読み取るために、読取部51はCCD(charge coupled device)を用いた撮像素子を用いることが好ましい。・・・
【0022】また、読取部51で読み取る情報媒体としては、図1で示した情報提供システムの場合と同様に、名刺の他に、店、品物、テレビ、イベントなどのタウン情報を掲載した雑誌、新聞、広告、はがきなど、および料理のレシピ本または記事を載せた情報媒体、商品カタログなどが挙げられる。デコード部52は、図1のデコード部12と同様に、読取部51でコードを読み取って得られたデータを、エンコードした際の取り決めに従ってデコードする。ROM55には、このデコードを行うために必要なプログラムが格納され、デコード部52は、このROM55にアクセスして、ROM55内のデータを参照しながら二次元コードのデコード処理を行う。なお、二次元コードにデコード処理を施して得られたデータは、データ処理部53に送られる。
【0023】データ処理部53は、デコード部52で得られたデータ、すなわち記録媒体、データベースなどに蓄積された情報にアクセスするためのデータである所定のアドレスを含むデータを処理して、処理して得られたデータを出力部54に送る。なお、データ中にアドレスを含まないものについては、特に何も処理せずに出力部54に送る。
【0024】データ処理部53での処理は、例えば図5に示したように、デコード処理したデータ中にアドレスがあるか否かを判別するステップS10と、当該アドレスがIP(internet protocol)アドレスであるか否かを判別するステップS20と、CD-ROMから所定のデータを取り出すステップS210?S230と、インターネット上のデータベースを検索して所定のデータを取り出すステップS110?S130とから構成される手順を行われる。
【0025】ステップS10では、前記デコード部52でデコード処理したデータに、所定の情報を蓄積した場所を特定するためのアドレスが含まれるか否かを判別する。この判別結果がYESである場合にはステップS20に進み、判別結果がNOである場合にはデータ処理は終了する。ステップS20では、データに含まれるアドレスがIPアドレスか否かが判別される。この判別結果がYES、すなわち当該アドレスがIPアドレスである場合にはステップS110に進み、判別結果がNO、すなわち当該アドレスがIPアドレスでない場合にはステップS210に進む。
【0026】ステップS110では、ネットワーク(図4においてはネットワークシステム61)に接続して、ステップS120に進む。ここで、ネットワークシステム61としては、インターネット、ローカルエリアネット、ワイドエリアネットなどが挙げられる。ステップS120では、IPアドレスを用いてネットワーク上のデータベース(図4においてはデータベース62)を検索して、ステップS130に進む。
【0027】ステップS130では、データベース62からIPアドレスで特定された領域から所定の情報が蓄積された領域を取り出して、データ処理部53にダウンロードして、データ処理は終了する。また、ステップS210では、CD-ROMを再生させて(図4においては記録媒体再生部56を動作させる)、ステップS220に進む。
【0028】ステップS220では、アドレスを用いて、この再生中のCD-ROMから所定の情報が蓄積された領域を検索して、ステップS230に進む。ステップS230では、ステップS220で検索した領域に蓄積された所定の情報をデータ処理部53に取り込んで、データ処理を終了する。出力部54は、図1の出力部13と同様に、例えばディスプレイなどの表示手段、プリンタなどであり、データ処理部53から送られたデータを視覚化して出力する。」

C「【0035】また、電気機器、電子機器、車両などの複雑な操作、作業などを必要とされる装置のマニュアルに二次元コードを付す場合、その具体的な操作を動画または静止画で示したデータを記録媒体またはデータベースサーバに蓄積しておき、この装置を操作、作業などを行うユーザは、二次元コードをデコードすることで、文字では理解しにくい、具体的な操作、運転方法を画像を以て視覚的に理解することが可能になる。
【0036】また、商品カタログなどに二次元コードを付す場合においても、カタログに載せられた写真などによっても分かりにくい、商品の特性、例えば使用上の注意点、すでに購入した他のユーザの声、実際の使用状況などの情報を文字および画像で所定の記録媒体およびデータベースサーバに蓄積しておき、商品カタログを見て商品の購入を検討しているユーザは、この二次元コードをデコードすることで、これらの文字および画像による情報を取り出すことが可能になる。」

D 上記Cの「電気機器、電子機器、車両などの複雑な操作、作業などを必要とされる装置のマニュアル」や「商品カタログ」は、、図3に示された「雑誌」とともに例示された上記Aの「各種パンフレットおよびカタログなど」や上記Bの「商品カタログなど」の例であり、「雑誌」と同様に「紙面上」に載せられた「記事」のそれぞれに「対応する」ように「二次元コード」を「見出しのように印刷または添付」することが可能なものである。

E してみると、引用文献1には、次のとおりの発明が記載されている。

(引用発明)
電気機器、電子機器などの複雑な操作などを必要とされる装置のマニュアルや商品カタログなどの情報媒体であって、
その紙面上に載せられた記事のそれぞれに対応するように二次元コードを見出しのように印刷または添付されたものであり、
この二次元コードは、エンコードした際の取り決めに従ってデコードされ、処理されて、デコード処理したデータ中にアドレスがあるか否かが判別され、当該アドレスがIP(internet protocol)アドレスであれば、そのIPアドレスを用いてネットワーク上のデータベースを検索し、データベースからIPアドレスで特定された領域から所定の情報が蓄積された領域が取り出されてダウンロードされてディスプレイなどの表示手段などに送られて視覚化されて出力されるために携帯端末装置の撮像素子を用いて読み取られるものであり、
電気機器、電子機器などの複雑な操作などを必要とされる装置のマニュアルに二次元コードを付す場合には、その具体的な操作を動画または静止画で示したデータをデータベースサーバに蓄積しておき、この装置を操作、作業などを行うユーザは、二次元コードをデコードすることで、文字では理解しにくい、具体的な操作、運転方法を画像を以て視覚的に理解することが可能になるものであり、商品カタログなどに二次元コードを付す場合においても、商品の使用上の注意点のような商品の特性などを文字および画像で所定の記録媒体およびデータベースサーバに蓄積しておき、商品カタログを見て商品の購入を検討しているユーザは、この二次元コードをデコードすることで、これらの文字および画像による情報を取り出すことが可能になるものである、情報媒体。

(イ) 対比
引用発明の「電気機器、電子機器などの複雑な操作などを必要とされる装置」や「商品」は、本件補正発明1の「商品」に相当し、引用発明は、このような商品の「マニュアルや「商品カタログ」などの情報媒体は、このような商品についての説明である「記事」と「二次元コード」を印刷したものであるから、本件補正発明1の「商品の説明を記載した紙面」を備えた「印刷物」に相当する。

引用発明の、商品についての具体的な操作を動画等で示したデータや商品の使用上の注意点のような商品の特性などのデータは、本件補正発明1の、「動画データ」に相当する。そして、引用発明の、このような動画データを取り出すデータベースサーバと領域を特定するIPアドレス等の情報は、本件補正発明1の、「動画データのネットワーク上での直接のロケーションを示す情報」に相当する。
そうすると、引用発明の「二次元コード」は、「動画データのネットワーク上での直接のロケーションを示す情報」がエンコードされて印刷物の紙面上に表示されたものであって、撮像素子を用いた読み取りである「撮像」によって読み取られデコードされるものであるから、本件補正発明1の「前記紙面上に表示され、前記商品に関する説明の動画データのネットワーク上での直接のロケーションを示す情報、または、当該動画データの当該ロケーションを示す情報が記録されたコンテンツのネットワーク上でのロケーションを示す情報をエンコードしていて、撮影により読み取ってデコードすることができる符号」に相当する。

してみると、本件補正発明1と引用発明とは、以下の一致点で一致し、相違点で相違する。

(一致点)
商品の説明を記載した紙面と、
前記紙面上に表示され、前記商品に関する説明の動画データのネットワーク上での直接のロケーションを示す情報、または、当該動画データの当該ロケーションを示す情報が記録されたコンテンツのネットワーク上でのロケーションを示す情報をエンコードしていて、撮影により読み取ってデコードすることができる符号と、
を備えた、印刷物。

(相違点)
A 商品の説明を記載した紙面が、本件補正発明1では、「左ページ及び右ページにそれぞれ商品の説明を1つ以上の見出しによって記載した左右見開きの紙面」であるのに対し、引用発明では、その旨明示されていない点。

B 本件補正発明1では、「前記紙面における前記左ページ及び前記右ページとも、前記符号は前記紙面を見開いたときにおける前記紙面の綴じ代側に、前記見出しに対応づけて表示されている」のに対し、引用発明では、その旨明示されていない点。

(ウ) 相違点の判断
相違点A及び相違点Bは、関連する相違点であるので、まとめて検討する。
「電気機器、電子機器などの複雑な操作などを必要とされる装置」に係る「マニュアル」や「商品カタログ」において、商品の説明である記事やその見出しとの関係で二次元コードのようなそれらと関連づけて記載されるべき情報をどこに配置するかは、商品の説明を記載した紙面が提供する情報の内容に応じて、当業者が任意に決定し得ることである。
また、記事や記事の見出しと二次元コードの具体的な配置について検討すると、記事に関連する二次元コードを見出しに対応づけるレイアウトや左右見開きの左ページ及び右ページにそれぞれ商品の説明を1つ以上の見出しによって記載するレイアウトは、いずれも一般的なものであり、また、引用文献の図3には、左ページについて見開きの綴じ代側となる右側に二次元コードを表示する例が図示されている。これらに照らせば、引用発明においてこれらの一般的なレイアウトを採用するにあたっては、左ページについて同図に倣って符号を綴じ代側となる右側に配置し、同図中に明示がない右ページについて、二次元コードを右ページのどこに配置するか(綴じ代側となる左側とそうでない右側のいずれに配置するか)は、当業者が適宜決定し得る事項であり、綴じ代側に配置することに格別の困難性があるとは認められない。いうなれば、商品の説明を記載した紙面を、左ページ及び右ページにそれぞれ商品の説明を1つ以上の見出しによって記載した左右見開きの紙面とし、この紙面における左ページ及び右ページとも、紙面を見開いたときにおける紙面の綴じ代側に見出しに対応づけて符号を表示することは、一般的なレイアウトについての知識を有する者が通常想定する選択肢の一つにすぎず、これを選択することは、適宜なし得たことである。
さらには、ア(ウ)において上述したとおり、本願特許請求の範囲は、経年変化による読取の不具合をより生じにくくするという課題に対する解決手段を示すものでなく、また、このことをさておくとしても、引用文献における雑誌やマニュアルは、多くの場合綴じ代が容易に外れない構造の印刷物であるから、本願明細書の段落【0033】に示された点も、当業者の予測の範囲内のものである。この点を含め、本件補正発明1の構成の採用による効果は、当業者の予測の範囲内のものであって、格別のものではない。
してみると、引用発明において、商品の説明を記載した紙面を、左ページ及び右ページにそれぞれ商品の説明を1つ以上の見出しによって記載した左右見開きの紙面とし、この紙面における左ページ及び右ページとも、紙面を見開いたときにおける紙面の綴じ代側に見出しに対応づけて符号を表示することは、当業者が容易になし得たことである。

(エ) 小括
以上のとおり、本件補正発明1は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、独立して特許を受けることができない。

(2)請求項2について
ア 特許法第29条第1項柱書について
(ア) 請求項2に記載されたものは、(1)ア(ア)で示した(A)、(B)及び(C)に加え、下記の(D)を有する。

(D) (A)の紙面の(B)の符号の表示位置の裏側に印刷がされていないこと

(イ) (1)ア(イ)で示したように、(1)ア(ア)で示した(A)、(B)及び(C)は、いずれも情報の単なる提示を示すものであり、一般的な情報の記録や表示を超えた技術的特徴ではないところ、上記(D)も同様に、一般的な情報の記録や表示を超えた技術的特徴ではない。
いわゆる裏写りを避けるため所定の情報掲載位置の裏側に印刷を行わないことは、一般的な情報の表示の手法にすぎないのであって、これを超えた技術的特徴ではない。

さらに、上記の(A)、(B)、(C)及び(D)を総合しても、全体として印刷物上での情報の単なる提示を示すものであり、一般的な情報の記録や表示を超えた技術的特徴を示すものではない。コンピュータソフトウェアを利用するものということもできず、この観点から「自然法則を利用した技術的思想の創作」であるということもできない。

(ウ) 小括
してみると、補正後の特許請求の範囲の請求項2に記載されたものは、特許法上の「発明」でなく、特許法第29条第1項柱書の要件を満たさないから、独立して特許を受けることができない。

イ 特許法第29条第2項について(以下、補正後の特許請求の範囲の請求項2に係る発明を「本件補正発明2」という。)
(ア) 引用文献及び引用発明について
(1)イ(ア)のとおりである。

(イ) 対比
本件補正発明2と引用発明とを対比すると、両者は、(1)イ(イ)であげた一致点において一致する。そして、(1)イ(イ)であげた相違点A,Bに加え、次の相違点Cにおいて相違する。

(相違点)
C 本件補正発明2は、「前記紙面の前記符号が表示されている位置の裏側には印刷がされていない」のに対し、引用発明ではその旨明示されていない点

(ウ) 相違点の判断
(1)イ(ウ)で示したことに加え、いわゆる裏写りを避けるため所定の情報掲載位置の裏側に印刷を行わないことは、常套手段であり、これを採用することは、適宜なし得ることである。
また、本件補正発明2の構成を採用することの効果も、格別のものでない。

(エ) 小括
以上のとおり、本件補正発明2は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、独立して特許を受けることができない。

(3) 請求項3について
ア 特許法第29条第1項柱書について
(ア) 請求項3に記載されたものは、以下の(E)、(F)及び(G)を有する。

(E)「符号が、紙面上に記載された説明文に対応して備わる印刷物」に備わる「符号」を「携帯情報端末装置」により「撮像させる」ことで「動画データ」が「表示される」「画像の表示方法」であること

(F)(E)の「符号」が「商品に関する説明の動画データのネットワーク上での直接のロケーションを示す情報、または、当該動画データの当該ロケーションを示す情報が記録されたコンテンツのネットワーク上でのロケーションを示す情報をエンコードしていて、撮影により読み取ってデコードすることができる」ものであること

(G)(E)の印刷物の「紙面上」に「携帯情報端末装置により前記符号を当該携帯情報端末装置のディスプレイにその長手方向を水平方向として表示して撮像させる」旨の撮像する者に対する「指示」を提示し、このように提示された「指示」に従って撮像することによって「当該符号が示すロケーションにある動画データが前記ディスプレイに長手方向を横方向として表示される」ものであること

(イ) (E)、(F)及び(G)は、以下に示すとおり、情報の内容に特徴を有するものないし人間の精神的活動を利用するものであって、いずれの観点からみても、情報の単なる提示を示すものであり、一般的な情報の記録や表示を超えた技術的特徴ではない。

(E)について
(E)は、「(F)について」で後述する機能を有する携帯情報端末装置を所与の前提として、動画データを表示しようとする人間にその符号の撮像という行為を行わせることであり、専ら、人間の精神的活動に向けられ、これを利用する旨を示すにすぎない。

(F)について
(F)は、「商品に関する説明の動画データのネットワーク上での直接のロケーションを示す情報、または、当該動画データの当該ロケーションを示す情報が記録されたコンテンツのネットワーク上でのロケーションを示す情報」を撮影により読み取ってデコードすることができるようにエンコードした(E)の「符号」として提示されている旨を示しており、いわば、この「符号」が動画データのありかを直接的又は間接的に示す情報を内容とするものである旨を示すにすぎない。
また、この「符号」は、これが撮像されて読み取られた「動画データのネットワーク上での直接のロケーション」又は「動画データの当該ロケーションを示す情報が記録されたコンテンツのネットワーク上でのロケーション」によって「動画データ」を「表示」する機能を有する「携帯情報端末装置」を介して「動画データ」を符号の撮像者に対して表示するものではあるものの、本願特許請求の範囲及び明細書の記載からみて、特許を受けるべく特許請求の範囲において記載された内容は、このような機能やこのような機能を有する携帯情報端末装置の実現のための技術的事項やコンピュータソフトウェアの利用という観点から把握される技術的事項に係るものではなく、このような機能を有する携帯情報端末装置を所与の前提として、「符号」の撮像者に「動画データ」に係る情報を表示するにすぎない。
いずれにしても、(F)は、情報を提示するための技術的特徴ではなく、提示された情報の内容を示すにすぎない。

(G)について
(E)の「印刷物」の「紙面上」に「提示」される「指示」の内容は、実質的には、「符号」の「撮像」により「動画データ」を「表示」する機能を有する「携帯情報端末装置」において、符号が携帯情報端末装置のディスプレイにその長手方向を水平方向として表示された状態において撮像されることによって動画データがディスプレイに長手方向を横方向として表示される機能が備わっていることを前提として、撮像者にそのような撮像を指示するというものであって、専ら、このような「指示」が提示された撮像者の精神的活動を利用するものである。また、「印刷物」の「紙面上」に「指示」を「提示」することも、情報の提示に係る技術的特徴とはいえない。

さらに、上記の(E)、(F)及び(G)を総合しても、情報の内容に特徴を有するものないし人間の精神的活動を利用するものであって、全体として情報の単なる提示を示すものであり、一般的な情報の記録や表示を超えた技術的特徴ではない。コンピュータソフトウェアを利用するものということもできず、この観点から「自然法則を利用した技術的思想の創作」であるということもできない。

(ウ) 小括
してみると、補正後の特許請求の範囲の請求項3に記載されたものは、特許法上の「発明」でなく、特許法第29条第1項柱書の要件を満たさないから、独立して特許を受けることができない。

4 補正の却下の決定のまとめ
以上のとおりであるから、本件補正は、「2」において上述したとおり、特許法第17条の2第5項各号に掲げる事項を目的とするものではないから、同項の規定する要件(目的要件)に適合するものでない。
また、仮に、本件補正が同項第2号に掲げる事項(特許請求の範囲の減縮)を目的とするものであるとしても、「3」において上述したとおり、本件補正による補正後の発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものではないから、同法第126条第7項の規定を準用する同法第17条の2第6項の規定する要件に適合するものでない。
したがって、本件補正は、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について
1 本願発明と査定の理由
(1) 「第2」の補正の却下の決定により、本件補正は却下された。よって、本願の請求項1ないし3に係る発明は、平成29年1月26日に提出された手続補正書の特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された事項により特定されるとおりのものである。

(2) 拒絶の査定の理由は、請求項1、請求項2について、特許法第29条第1項柱書に規定する要件を満たしていない旨、及び、請求項1及び請求項2に係る発明は、「第2」の「3」の(1)イ(ア)において上述した引用文献に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない旨を含むものである。

2 請求項1について(以下、請求項1に係る発明を「本願発明1」という。)
請求項1(本願発明1)は、「第2」の「3」の(1)で検討した補正後の請求項1(本件補正発明1)の「商品の説明を記載した紙面」が「左ページ及び右ページにそれぞれ商品の説明を1つ以上の見出しによって記載した左右見開きの」ものである旨の限定を省き、「紙面の綴じ代側に表示されている」ものである「符号」について、紙面における左ページ及び右ページとも、紙面を見開いたときにおける紙面の綴じ代側に、見出しに対応づけて表示されている旨の限定を省いたものである。

(1)特許法第29条第1項柱書について
(ア) 請求項1に記載されたものは、以下の(A’)、(B’)及び(C’)を有する。

(A’)商品の説明を記載した紙面を備えた印刷物

(B’)(A’)の紙面上に表示され(て印刷物に備えられ)、前記商品に関する説明の動画データのネットワーク上での直接のロケーションを示す情報、または、当該動画データの当該ロケーションを示す情報が記録されたコンテンツのネットワーク上でのロケーションを示す情報をエンコードしていて、撮影により読み取ってデコードすることができる符号

(C’)(B’)の符号が、(A’)の紙面の綴じ代側に表示されていること

(イ) 上記の(A’)、(B’)及び(C’)は、以下に示すとおり、いずれも情報の単なる提示を示すものであり、一般的な情報の記録や表示を超えた技術的特徴ではない。

(A’)について
印刷物の紙面に「商品の説明」を記載することは、一般的な情報の表示を超えた技術的特徴ではない。

(B’)について
「第2」の「3」の(1)ア(イ)中の「(B)について」のとおりである。

(C’)について
符号を紙面の綴じ代側に表示することは、実質的に、印刷物において符号を所定位置において表示することによって情報を提示する旨を示すものであり、情報の内容についての特徴を示すにすぎない。

さらに、上記の(A’)、(B’)及び(C’)を総合しても、全体として印刷物上での情報の単なる提示を示すものであり、一般的な情報の記録や表示を超えた技術的特徴を示すものではない。コンピュータソフトウェアを利用するものということもできず、この観点から「自然法則を利用した技術的思想の創作」であるということもできない。

(ウ) 小括
してみると、特許請求の範囲の請求項1に記載されたものは、特許法上の「発明」でなく、特許法第29条第1項柱書の要件を満たさないから、特許を受けることができない。

(2)特許法第29条第2項について
ア 引用文献及び引用発明について
「第2」の「3」の(1)イ(ア)のとおりである。

イ 対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、両者は、「第2」の「3」の(1)イ(イ)に示した一致点において一致しており、下記の点で相違する。

(相違点)
本願発明1は、「前記符号は前記紙面の綴じ代側に表示されている」のに対し、引用発明は、その旨明示していない点

相違点の判断
引用文献の図3には、左ページについて見開きの綴じ代側となる右側に二次元コードを表示する例が図示されており、これにならって、符号を紙面の綴じ代側に表示するようにすることは、当業者が容易になし得たことである。
また、本願発明1の構成による効果も格別のものではない。

エ小括
してみると、本願発明1は、引用発明に基づいて、当業者が容易になし得たものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。

3 請求項2について(以下、請求項2に係る発明を「本願発明2」という。)
請求項2(本願発明2)は、「第2」の「3」の(2)で検討した補正後の請求項2(本件補正発明2)の「商品の説明を記載した紙面」が「左ページ及び右ページにそれぞれ商品の説明を1つ以上の見出しによって記載した左右見開きの」ものである旨の限定を省き、さらに、紙面上に表示された「符号」について、紙面における左ページ及び右ページとも、紙面を見開いたときにおける紙面の綴じ代側に、見出しに対応づけて表示されている旨の限定を省いたものである。

(1)特許法第29条第1項柱書について
ア 請求項2に記載されたものは、1の(1)アで示した(A’)及び(B’)に加え、下記の(D’)を有する。

(D’) (A’)の紙面の(B’)の符号の表示位置の裏側に印刷がされていないこと

イ 1の(1)イで示したように、1の(1)アで示した(A’)及び(B’)は、いずれも情報の単なる提示を示すものであり、一般的な情報の記録や表示を超えた技術的特徴ではないところ、上記(D’)も同様に、一般的な情報の記録や表示を超えた技術的特徴ではない。
いわゆる裏写りを避けるため所定の情報掲載位置の裏側に印刷を行わないことは、一般的な情報の表示の手法にすぎないのであって、これを超えた技術的特徴ではない。

さらに、上記の(A’)、(B’)及び(D’)を総合しても、全体として印刷物上での情報の単なる提示を示すものであり、一般的な情報の記録や表示を超えた技術的特徴を示すものではない。コンピュータソフトウェアを利用するものということもできず、この観点から「自然法則を利用した技術的思想の創作」であるということもできない。

ウ 小括
してみると、特許請求の範囲の請求項2に記載されたものは、特許法上の「発明」でなく、特許法第29条第1項柱書の要件を満たさないから、特許を受けることができない。

(2)特許法第29条第2項について
ア 引用文献及び引用発明について
「第2」の「3」の(2)イ(ア)のとおりである。

イ 対比
本願発明2と引用発明とを対比すると、両者は、「第2」の「3」の(2)イ(イ)に示した一致点において一致しており、「第2」の「3」の(2)イ(イ)の相違点Cにおいて相違する。

相違点の判断
いわゆる裏写りを避けるため所定の情報掲載位置の裏側に印刷を行わないことは、常套手段であり、これを採用することは、適宜なし得ることである。
また、本件補正発明2の構成を採用することの効果も、格別のものでない。

エ 小括
以上のとおり、本願発明2は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。

3 まとめ
以上のとおり、特許請求の範囲の請求項1及び請求項2に記載されたものは、特許法上の「発明」でなく特許法第29条第1項柱書の要件を満たさないものであり、また、本願発明1及び本願発明2は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
よって、結論のとおり審決する。。
 
審理終結日 2018-07-02 
結審通知日 2018-07-03 
審決日 2018-07-17 
出願番号 特願2013-230844(P2013-230844)
審決分類 P 1 8・ 1- Z (G06Q)
P 1 8・ 121- Z (G06Q)
P 1 8・ 572- Z (G06Q)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 田付 徳雄  
特許庁審判長 佐藤 智康
特許庁審判官 石川 正二
相崎 裕恒
発明の名称 印刷物、および画像の撮像方法  
代理人 特許業務法人磯野国際特許商標事務所  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ