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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 F01N
管理番号 1343708
審判番号 不服2017-17488  
総通号数 226 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-10-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-11-27 
確定日 2018-09-19 
事件の表示 特願2016-132820「作業車両」拒絶査定不服審判事件〔平成28年10月13日出願公開、特開2016-180410、請求項の数(2)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成21年2月10日に出願した特願2009-28133号の一部を平成25年5月27日に新たな特願2013-110538号とし、さらにその一部を平成26年11月27日に新たな特願2014-240074号とし、さらにその一部を平成28年7月4日に新たな特許出願としたものであって、平成29年6月21日付けで拒絶の理由が通知され、その指定期間内の同年8月4日に意見書及び手続補正書が提出されたが、同年8月22日付けで拒絶査定がされ(発送日:同年8月30日)、これに対し、同年11月27日に拒絶査定不服審判が請求され、その審判の請求と同時に手続補正書が提出されたものである。

第2 原査定の概要
原査定の概要は次のとおりである。

請求項1?3に係る発明は、引用文献1?3に記載の事項より当業者が容易に想到し得るものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

1.国際公開第2008/136203号
2.特開2008-255838号公報
3.特開2004-340114号公報

第3 本願発明
本願の請求項1及び2に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」及び「本願発明2」という。)は、平成29年11月27日の手続補正により補正がされた特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。
1 本願発明1
「【請求項1】
吸気マニホールド及び排気マニホールドを有するディーゼルエンジンと、前記ディーゼルエンジンからの排気ガスを浄化するための排気ガス浄化装置と、前記排気ガス浄化装置の入口側排気圧と出口側排気圧との圧力差を検出する排気圧検出手段とを備え、
前記排気ガス浄化装置が、前記ディーゼルエンジンの一側部に設けられたフライホイール上方側に設けられ、
支持ブラケットを介して前記排気圧検出手段の検出本体を前記ディーゼルエンジンにおけるフライホイールハウジング寄りの後側外面に支持させており、
前記支持ブラケットは、前記ディーゼルエンジンのシリンダヘッド上部を覆うヘッドカバー上面に被さるように延設されており、前記支持ブラケットの前記ヘッドカバーと対峙する面とは反対側の面に前記検出本体を取り付け、前記検出本体を前記排気ガス浄化装置から離間させて前記シリンダヘッド上方に配置したことを特徴とする作業車両。」

2 本願発明2
本願発明2は、本願発明1の発明特定事項の全てを含み、さらに他の発明特定事項を備えるものである。

第4 引用文献
1 引用文献1
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1(国際公開第2008/136203号)には、「建設機械」に関し、図面(特に、Fig.2?Fig.6参照)とともに次の事項が記載されている。

ア 7ページ16行?21行
「まず、図1ないし図7は本発明に係る建設機械の第1の実施の形態を示している。この第1の実施の形態では、後処理装置のタンク内に酸化触媒とフィルタを収容し、排気ガス中の粒子状物質(PM)を捕集して除去するディーゼル微粒子除去装置(DPF)を構成した場合を例に挙げて説明する。」
イ 7ページ29行?8ページ16行
「ここで、上部旋回体4は、後述の旋回フレーム6、キャブ7、エンジン8、油圧ポンプ11、作動油タンク12、燃料タンク13等により大略構成されている。また、上部旋回体4には、別部材として予め組立てられた後述の後処理装置組立体18をエンジン8の右側に取付ける構成となっている。
6は上部旋回体4の旋回フレームで、該旋回フレーム6は、旋回装置3を介して下部走行体2上に取付けられている。また、旋回フレーム6は、図2に示す如く、前,後方向に延びる厚肉な底板6Aと、該底板6A上に立設され、左,右方向に所定の間隔をもって前,後方向に延びた左縦板6B,右縦板6Cと、該各縦板6B,6Cから左,右方向の外向きに延びた複数本の張出しビーム6Dと、左,右方向の外側に位置して各張出しビーム6Dの先端に取付けられ、前,後方向に延びた左サイドフレーム6E,右サイドフレーム6Fとにより大略構成されている。」

ウ 8ページ22行?27行
「8は旋回フレーム6の後側に横置き状態で搭載された動力源をなすエンジンである。このエンジン8は、ディーゼルエンジンとして構成されている。また、エンジン8の右側には、図3に示すように、排気ガスを排出するための排気管9が設けられ、該排気管9の下流側には後述の後処理装置23が取付けられている。」

エ 9ページ23行?11ページ13行
「16,17は旋回フレーム6の後側に設けられた左,右の取付フレームで、この左,右の取付フレーム16,17は、上部旋回体4の一部を形成するものである。ここで、各取付フレーム16,17は、エンジン8の右側(油圧ポンプ11側)に位置し、左,右に間隔をもって、かつ前,後方向に延びて配設されている。また、各取付フレーム16,17は、後述する後処理装置組立体18の支持部材19を取付ける取付台として用いられるものである。
そして、左,右の取付フレーム16,17は、図2、図3に示す如く、後側に位置して上,下方向に延びた縦柱16A,17Aと、該縦柱16A,17Aの上部から屈曲して前側に延びた横柱16B,17Bとにより略L字状に形成されている。また、取付フレーム16,17は、例えば縦柱16A,17Aの下部が旋回フレーム6の右縦板6C、張出しビーム6D等にボルト止め、溶接等の固着手段を用いて一体的に固着されている。一方、横柱16B,17Bの前部は、エンジン室を画成する仕切板(図示せず)、作動油タンク12等の構造物にボルト止め、溶接等の固着手段で固着されている。
次に、上部旋回体4の右後側に設けられた第1の実施の形態による後処理装置組立体18について説明する。
この後処理装置組立体18は、車体を構成する上部旋回体4とは別部材として設けられ、予め別の場所で組立てることができる。そして、後処理装置組立体18は、図3ないし図7に示す如く、後述の支持部材19、後処理装置23、防振部材28、ハーネス31,33、コネクタ32,34、差圧センサ35等により構成されている。
19は後処理装置組立体18のベースをなす支持部材で、該支持部材19は、左,右の取付フレーム16,17上に取付けられている。また、支持部材19は、後処理装置組立体18を構成する後処理装置23、防振部材28、温度センサ29,30、差圧センサ35等を1つの組立体として纏めるものである。そして、支持部材19は、図4ないし図6に示す如く、後述の支持枠20、前側ブラケット21、後側ブラケット22等により構成されている。
20は支持部材19の枠体を構成する支持枠で、該支持枠20は、左,右の取付フレーム16,17の横柱16A,17Aに取付けられるものである。また、支持枠20は、図5、図6に示すように、アングル状の前枠部20A,後枠部20B、板状の左枠部20C,右枠部20Dにより長方形状の枠構造体として構成されている。また、支持枠20の四隅には、取付フレーム16,17に固定されるボルト挿通孔20Eがそれぞれ設けられている。さらに、支持枠20の左後部には、後述の差圧センサ35を取付けるためのセンサ取付部20Fが設けられている。」

オ 12ページ3行?22行
「23は支持部材19の下側に吊下げて設けられた後処理装置である。この後処理装置23は、排気ガス中の有害物質を除去するための排気ガス浄化手段を収容するもので、排気管9に接続されている。そして、後処理装置23は、後述のタンク24、前取付アーム25、後取付アーム26、ディーゼル微粒子除去装置27、温度センサ29,30等により大略構成されている。
24は後処理装置23の外形を構成するタンクである。このタンク24は、前,後方向に延びた中空な筒体として形成され、該タンク24の内部には後述のディーゼル微粒子除去装置27の酸化触媒27Aとフィルタ27Bとを収容している。また、タンク24は、軸方向の両側が緩やかに縮径して形成され、その端部には接続フランジ24A,24Bが設けられている。さらに、前側の接続フランジ24Aにはエンジン8の排気管9が接続され、後側の接続フランジ24Bには後述の尾管39(図2、図3参照)が接続されている。そして、タンク24は、支持部材19のブラケット21,22に後述の取付アーム25,26、防振部材28等を介して防振状態で吊下げられている。」

カ 15ページ9行?25行
「35は支持部材19を構成する支持枠20のセンサ取付部20Fに取付けられた差圧センサである。この差圧センサ35は、ディーゼル微粒子除去装置27のフィルタ27Bに捕集されたPMの量を検出するものである。この場合、差圧センサ35には、2本のチューブ35A,35Bが接続され、一方のチューブ35Aの先端は、フィルタ27Bの上流側の圧力を導くように後処理装置23のタンク24に接続されている。また、他方のチューブ35Bの先端は、フィルタ27Bの下流側の圧力を導くように後処理装置23のタンク24に接続されている。
これにより、差圧センサ35は、タンク24内に収容されたフィルタ27Bの前側(上流側)の圧力と後側(下流側)の圧力との差を検出することができる。そして、差圧センサ35が検出した圧力差が大きくなったときには、フィルタ27Bによって多くのPMを捕集したことになる。」

キ 16ページ17行?17ページ28行
「第1の実施の形態による油圧ショベル1は上述の如き構成を有するもので、次に、その組立作業について説明する。
まず、メインの組立ラインで上部旋回体4を組立てる場合には、旋回フレーム6上にキャブ7、エンジン8、熱交換器10、油圧ポンプ11、作動油タンク12、燃料タンク13等を組付け、これらに油圧配管作業、電気配線作業を施す。一方、後処理装置組立体18は、メインの組立ラインとは別の場所で予め組立てられる。
ここで、後処理装置組立体18の組立作業では、タンク24にディーゼル微粒子除去装置27を収容し、各取付アーム25,26、各温度センサ29,30を取付けて後処理装置23を組立てる。次に、後処理装置23の各取付アーム25,26を支持部材19の各ブラケット21,22に防振部材28,28を介して防振状態で取付ける。また、上流側温度センサ29のコネクタ32と下流側温度センサ30のコネクタ34とを支持枠20の左枠部20Cの前側に纏めて取付ける。さらに、差圧センサ35を支持枠20のセンサ取付部20Fに取付け、そのチューブ35A,35Bをタンク24に接続する。
これにより、後処理装置組立体18は、メインの組立ラインとは別の作業がし易い場所でアッセンブリ化する(予め組立てる)ことができる。そして、組立てた後処理装置組立体18は、支持部材19の支持枠20を旋回フレーム6側の各取付フレーム16,17の横柱16B,17B上に載置する。この状態で、支持枠20の四隅のボルト挿通孔20Eにそれぞれボルト40を挿通し、各ボルト40を横柱16B,17Bに締着することにより、後処理装置組立体18を各取付フレーム16,17に一体的に固定する。これにより、後処理装置23は支持枠20から吊下げられた状態で取付けられる。
また、後処理装置組立体18を各取付フレーム16,17に取付けたら、コントローラから延びるハーネス36を上流側温度センサ29のコネクタ32に接続し、ハーネス37を下流側温度センサ30のコネクタ34に接続し、ハーネス38を差圧センサ35に接続する。このときに、コネクタ32,34、差圧センサ35は、支持枠20の左枠部20C側に集中して配置されているから、混み合っているエンジン8の周囲でも、各ハーネス36,37,38をコネクタ32,34,差圧センサ35に簡単に接続することができる。」

ク Fig.2及びFig.3からみて、支持部材19及び取付フレーム16,17を介して差圧センサ35をエンジン8より上方に支持することが理解できる。また、Fig.2及びFig.3からみて、支持部材19及び取付フレーム16,17の一部は、エンジン8の上部を覆うように設けられることが理解できる。

ケ Fig.4からみて、差圧センサ35を後処理装置23から離間させて配置することが理解できる。

上記記載事項及び図面の図示内容を総合して、本願発明1の記載ぶりに則って整理すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「ディーゼルエンジン8と、前記ディーゼルエンジン8からの排気ガスを浄化するための後処理装置23と、前記後処理装置23のフィルタ27Bの上流側の圧力とフィルタ27Bの下流側の圧力との圧力差を検出するチューブ35A,35B及び差圧センサ35とを備え、
前記後処理装置23が、ディーゼルエンジン8の右側に設けられ、
支持部材19及び取付フレーム16,17を介して前記差圧センサ35を前記ディーゼルエンジン8より上方に支持させており、
前記支持部材19及び取付フレーム16,17の一部は、前記ディーゼルエンジン8の上部を覆うように設けられており、前記差圧センサ35を前記後処理装置23から離間させて配置した建設機械。」

2 引用文献2
同じく、原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2(特開2008-255838号公報)には、図面(特に、図2、図3参照)とともに次の事項が記載されている。

「【0007】
前記エンジン2から排出される排気ガスは、排気パイプ9を経由してマフラー5に導かれ、該マフラー5で消音されてからテールパイプ10を経由して機外に排出されるが、該テールパイプ10は、基端側が前記マフラー5の排出管5aにクランプ11を介して接続される一方、先端側は、カウンタウエイト8に開設された開口8aから機外に望むように配されていると共に、該テールパイプ10の中間部は、後述する支持装置12によって前記フライホイールハウジング6に支持されている。尚、マフラー5は、ブラケット13を介してフライホイールハウジング6の上部に取付支持されている。」

3 引用文献3
同じく、原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3(特開2004-340114号公報)には、図面(特に、図8?図11参照)とともに次の事項が記載されている。

「【0008】
9は建屋カバー8内に収容された原動機としてのエンジンで、該エンジン9は、左,右方向に延びる横置き状態となって旋回フレーム5上に配設されている。そして、エンジン9の左側には、フライホイール等(図示せず)を収容したフライホイールハウジング10を介して油圧ポンプ11が設けられ、該油圧ポンプ11は、エンジン9によって駆動されることにより、走行用油圧モータ、旋回用油圧モータ、油圧シリンダ等の油圧アクチュエータ(いずれも図示せず)に作動用の圧油を供給するものである。
【0009】
12はエンジン9の排気管9Aの先端側に接続されたマフラで、該マフラ12は、後述のマフラ支持装置13を用いてエンジン9のフライホイールハウジング10に取付けられている。ここで、マフラ12は、中空な円筒状の筒部12Aと、該筒部12Aの軸方向の両側を閉塞する蓋部12Bとにより形成され、その内部には消音材(図示せず)が充填されている。そして、エンジン9の作動時における排気は、排気管9Aを通じてマフラ12内に導入され、該マフラ12によって騒音が低減された状態で外部に排出される構成となっている。
【0010】
13はマフラ12と該マフラ12が取付けられるフライホイールハウジング10(取付部材)との間に設けられたマフラ支持装置で、該マフラ支持装置13は、フライホイールハウジング10にマフラ12を取付けて支持するものである。ここで、マフラ支持装置13は、図10および図11に示すように、後述のベース部材14と、支持ブラケット16とにより大略構成されている。」

第5 対比・判断
1 本願発明1について
本願発明1と引用発明とを対比すると、後者の「ディーゼルエンジン8」は前者の「ディーゼルエンジン」に相当し、以下同様に、「後処理装置23」は「排気ガス浄化装置」に、「フィルタ27Bの上流側の圧力」は「入口側排気圧」に、「フィルタ27Bの下流側の圧力」は「出口側排気圧」に、「チューブ35A,35B及び差圧センサ35」は「排気圧検出手段」に、「差圧センサ35」は排気圧検出手段の「検出本体」に、「建設機械」は「作業車両」にそれぞれ相当する。

また、後者の「支持部材19及び取付フレーム16,17」と前者の「支持ブラケット」とは、「支持部材」という限りで一致する。

したがって、両者は、
「ディーゼルエンジンと、前記ディーゼルエンジンからの排気ガスを浄化するための排気ガス浄化装置と、前記排気ガス浄化装置の入口側排気圧と出口側排気圧との圧力差を検出する排気圧検出手段とを備え、
支持部材を介して前記排気圧検出手段の検出本体を支持させており、
前記検出本体を前記排気ガス浄化装置から離間させて配置した作業車両。」
で一致し、次の点で相違する。

〔相違点1〕
本願発明1は、ディーゼルエンジンが「吸気マニホールド及び排気マニホールドを有する」のに対し、
引用発明は、ディーゼルエンジン8が「吸気マニホールド及び排気マニホールドを有する」か否か不明である点。

〔相違点2〕
本願発明1は、「排気ガス浄化装置が前記ディーゼルエンジンの一側部に設けられたフライホイール上方側に設けられ」るのに対し、
引用発明は、後処理装置23がディーゼルエンジン8の右側に設けられる点。

〔相違点3〕
本願発明1は、支持部材が「支持ブラケット」であり、「支持ブラケット」を介して検出本体を「前記ディーゼルエンジンにおけるフライホイールハウジング寄りの後側外面に」支持させ、「前記支持ブラケットは、前記ディーゼルエンジンのシリンダヘッド上部を覆うヘッドカバー上面に被さるように延設されており、前記支持ブラケットの前記ヘッドカバーと対峙する面とは反対側の面に前記検出本体を取り付け」、前記検出本体を「前記シリンダヘッド上方に」配置したのに対し、
引用発明は、支持部材が「支持部材19及び取付フレーム16,17」であり、支持部材19及び取付フレーム16,17を介して差圧センサ35をディーゼルエンジン8より上方に支持させており、前記支持部材19及び取付フレーム16,17の一部は、前記ディーゼルエンジン8の上部を覆うように設けられるものであり、差圧センサ35を「前記シリンダヘッド上方に」配置したか否か不明である点。

事案に鑑み、まず相違点3について検討する。
本願発明1は「支持ブラケットを介して検出本体を前記ディーゼルエンジンにおけるフライホイールハウジング寄りの後側外面に支持させ」るものであるから、検出本体はディーゼルエンジンに支持させるものである。
他方、引用発明は「支持部材19及び取付フレーム16,17を介して前記差圧センサ35を前記エンジン8より上方に支持させ」るものである。これに関して、引用文献1には「各取付フレーム16,17は、後述する後処理装置組立体18の支持部材19を取付ける取付台として用いられるものである。そして、左,右の取付フレーム16,17は、図2、図3に示す如く、後側に位置して上,下方向に延びた縦柱16A,17Aと、該縦柱16A,17Aの上部から屈曲して前側に延びた横柱16B,17Bとにより略L字状に形成されている。また、取付フレーム16,17は、例えば縦柱16A,17Aの下部が旋回フレーム6の右縦板6C、張出しビーム6D等にボルト止め、溶接等の固着手段を用いて一体的に固着されている。一方、横柱16B,17Bの前部は、エンジン室を画成する仕切板(図示せず)、作動油タンク12等の構造物にボルト止め、溶接等の固着手段で固着されている。」(前記「第4 1 エ」)との記載がある。この記載によれば、引用文献1の取付フレーム16,17は旋回フレーム6及び構造物に固着されるものであるから、引用発明の支持部材19及び取付フレーム16,17を介して支持させる差圧センサ35は、ディーゼルエンジン8ではなく、旋回フレーム6及び構造物に支持させるものである。
そして、引用文献1には、差圧センサ35をディーゼルエンジン8に支持させることについて何ら記載や示唆されておらず、また、当業者にとって自明であるともいえない。
また、引用文献2及び3にも、差圧センサをエンジンに支持させることについて記載はない。
そうすると、引用発明において、引用文献1?3に記載された事項を参酌して、相違点3に係る本願発明1の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たことであるとはいえない。

したがって、本願発明1は、相違点1及び2を検討するまでもなく、引用発明及び引用文献2及び3に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

3 本願発明2について
本願発明2は、本願発明1の発明特定事項を全て含むものであるから、本願発明1と同様の理由により、引用発明及び引用文献2及び3に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

4 まとめ
以上のとおり、本願発明1及び2は、引用発明及び引用文献2及び3に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

第6 原査定について
前記「第5」のとおり、本願発明1及び2は、引用発明及び引用文献2及び3に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
したがって、原査定の理由を維持することはできない。

第7 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2018-09-04 
出願番号 特願2016-132820(P2016-132820)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (F01N)
最終処分 成立  
前審関与審査官 菅家 裕輔  
特許庁審判長 金澤 俊郎
特許庁審判官 鈴木 充
冨岡 和人
発明の名称 作業車両  
代理人 渡辺 隆一  

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