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審決分類 |
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 A63F 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F |
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管理番号 | 1343830 |
審判番号 | 不服2017-13608 |
総通号数 | 226 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2018-10-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2017-09-13 |
確定日 | 2018-09-06 |
事件の表示 | 特願2016- 21774号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 8月17日出願公開、特開2017-140083号〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成28年2月8日の出願であって、平成29年2月27日付けで拒絶の理由が通知され、同年4月25日に意見書及び手続補正書が提出されたが、同年6月19日付けで拒絶査定がなされ(発送日:同年6月23日)、それに対し、同年9月13日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正書が提出されたものである。 第2 平成29年9月13日付けの手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 平成29年9月13日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 補正の内容 本件補正により、平成29年4月25日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1における 「【請求項1】 所定の表示手段と、 遊技の制御を行う主制御手段と、 設定値情報を記憶可能な第1記憶手段と、 前記所定の表示手段に表示するための情報を記憶可能な第2記憶手段と、を備え、 前記主制御手段は、 当選役を決定するための当選役決定手段を備え、 前記主制御手段は、 「0」?「N」(但し、Nは1以上の整数)の範囲内の値を第1記憶手段に記憶可能とし、 第1記憶手段に「0」が記憶されているとき、前記所定の表示手段に「1」を示す情報が表示可能となる情報を第2記憶手段に記憶可能とし、 第1記憶手段に「N」が記憶されているとき、前記所定の表示手段に「N+1」を示す情報が表示可能となる情報を第2記憶手段に記憶可能とし、 所定の条件を満たしたときにおいて、 第1記憶手段に「0」が記憶されているときには、第2記憶手段に記憶された情報に基づいて前記所定の表示手段に「1」を示す情報を表示可能とし、 第1記憶手段に「N」が記憶されているときには、第2記憶手段に記憶された情報に基づいて前記所定の表示手段に「N+1」を示す情報を表示可能とする ことを特徴とする遊技機。」 は、審判請求時に提出された平成29年9月13日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1における、 「【請求項1】 所定の表示手段と、 遊技の制御を行う主制御手段と、 設定値情報を記憶可能な第1記憶手段と、 前記所定の表示手段に表示するための情報を記憶可能な第2記憶手段と、を備え、 前記主制御手段は、 当選役を決定するための当選役決定手段を備え、 前記主制御手段は、 「0」?「N」(但し、Nは1以上の整数)の範囲内の値を第1記憶手段に記憶可能とし、 第1記憶手段に「0」が記憶されているとき、前記所定の表示手段に「1」を示す情報が表示可能となる情報を第2記憶手段に記憶可能とし、 第1記憶手段に「N」が記憶されているとき、前記所定の表示手段に「N+1」を示す情報が表示可能となる情報を第2記憶手段に記憶可能とし、 所定の条件を満たしたときにおいて、 第1記憶手段に「0」が記憶されているときには、割込み処理により第2記憶手段に記憶された情報に基づいて前記所定の表示手段に「1」を示す情報を表示可能とし、 第1記憶手段に「N」が記憶されているときには、割込み処理により第2記憶手段に記憶された情報に基づいて前記所定の表示手段に「N+1」を示す情報を表示可能とし、 前記当選役決定手段により所定役に当選したか否かを判定するときにおいて、抽選テーブルの所定のアドレスと第1記憶手段に記憶されている設定値情報とに基づいてアドレスを指定し、乱数値と比較する情報を取得可能とする ことを特徴とする遊技機。」 に補正がなされた(下線は、補正箇所を明示するために当審にて付した。)。 上記補正は、 (1)補正前の特許請求の範囲の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「第1記憶手段に「0」が記憶されているとき」に、「第2記憶手段に記憶された情報に基づいて前記所定の表示手段に「1」を示す情報を表示可能」とするための処理を「割込み処理」によるものに限定し、 (2)補正前の特許請求の範囲の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「第1記憶手段に「N」が記憶されているとき」に、「第2記憶手段に記憶された情報に基づいて前記所定の表示手段に「N+1」を示す情報を表示可能」とするための処理を「割込み処理」によるものに限定し、 (3)補正前の特許請求の範囲の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「遊技機」について、「当選役決定手段により所定役に当選したか否かを判定するときにおいて、抽選テーブルの所定のアドレスと第1記憶手段に記憶されている設定値情報とに基づいてアドレスを指定し、乱数値と比較する情報を取得可能とする」と限定したものである。 さらに、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1に記載された発明と本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、上記補正は特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そして、本件補正は新規事項を追加するものではない。 2 独立特許要件について そこで、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明は、平成29年9月13日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について、以下に検討する。 (1) 本願補正発明 本願補正発明は、上記1 の補正の内容において示した次のとおりのものである(A?Iは、当審にて分説して付与した。)。 (本願補正発明) 「【請求項1】 A 所定の表示手段と、 B 遊技の制御を行う主制御手段と、 C 設定値情報を記憶可能な第1記憶手段と、 D 前記所定の表示手段に表示するための情報を記憶可能な第2記憶手段と、を備え、 E 前記主制御手段は、 当選役を決定するための当選役決定手段を備え、 F 前記主制御手段は、 F1 「0」?「N」(但し、Nは1以上の整数)の範囲内の値を第1記憶手段に記憶可能とし、 F2 第1記憶手段に「0」が記憶されているとき、前記所定の表示手段に「1」を示す情報が表示可能となる情報を第2記憶手段に記憶可能とし、 F3 第1記憶手段に「N」が記憶されているとき、前記所定の表示手段に「N+1」を示す情報が表示可能となる情報を第2記憶手段に記憶可能とし、 G 所定の条件を満たしたときにおいて、 G1 第1記憶手段に「0」が記憶されているときには、割込み処理により第2記憶手段に記憶された情報に基づいて前記所定の表示手段に「1」を示す情報を表示可能とし、 G2 第1記憶手段に「N」が記憶されているときには、割込み処理により第2記憶手段に記憶された情報に基づいて前記所定の表示手段に「N+1」を示す情報を表示可能とし、 H 前記当選役決定手段により所定役に当選したか否かを判定するときにおいて、抽選テーブルの所定のアドレスと第1記憶手段に記憶されている設定値情報とに基づいてアドレスを指定し、乱数値と比較する情報を取得可能とする I ことを特徴とする遊技機。」 (2)刊行物に記載された事項 ア 引用文献1 これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された刊行物であって、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2006-204627号公報(以下、「引用文献1」という。)には、「遊技機」の発明に関し、図面と共に以下の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。 (ア)「【0006】 本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、・・・設定値表示手段は、所定の遊技状態、有利な遊技状態または不利な遊技状態のうちのいずれかの遊技状態であるときに、出玉率設定手段によって設定された設定値を表示し、特別遊技状態であるときには出玉率設定手段によって設定された設定値を表示しないことを特徴とする。」 ・・・ 【発明の効果】 【0008】 本発明による遊技機によれば、上記のように、出玉率の設定値の確認時における設定値の表示の有無および演出の態様から、遊技状態が不利な遊技状態であることが判明してしまうといったことはなくなるため、遊技者は、現在の設定値を確認しても、遊技意欲を失うことなく同じ遊技台で継続して遊技を行うようになり、ホール側の利益が確保されるようになる。」 (イ)「【0009】 次に、本発明の最良の実施形態によるパチスロ機1について説明する。」 (ウ)「【0014】 また、表示窓5?7の右方には、上部から、ボーナスカウント表示部18、WINランプ19、配当枚数表示部20、およびインサートランプ21が設けられている。ボーナスカウント表示部18は、3桁の7セグメントLEDからなり、ボーナスゲーム入賞時に、RBゲームの残り入賞可能回数などをデジタル表示する。WINランプ19は有効化入賞ラインに入賞組み合わせのシンボルが揃った時などに点灯する。配当枚数表示部20は、3桁の7セグメントLEDからなり、入賞によるメダル払い出し枚数を表示すると共に、出玉率設定値を表示する。出玉率設定値は、機械に投入されたメダルの総数に対する遊技者に払い出されたメダルの総数の割合を示す出玉率の値を設定するのに用いられ、“1”?“6”のいずれかの値に設定される。インサートランプ21はメダル投入口8にメダルの投入が受付可能な時に点灯する。 ・・・ 【0017】 また、パチスロ機1の正面下部にはメダル受皿37が設けられている。このメダル受皿37はメダル払出口38から払い出されるメダルを貯めるものである。また、パチスロ機1の正面上部には、入賞に対してどれだけのメダルが払い出されるかを示す配当表示部39が設けられており、この配当表示部39の左右には一対のスピーカ96,96が設けられている。また、パチスロ機1の筐体内部には、上述した出玉率設定値を設定する際に操作される図示しない設定ボタン、および、出玉率設定値を選択する際に操作される図示しないリセットボタンが設けられている。出玉率設定値は“1”?“6”までが設けられており、図12を使って後述するように、設定ボタンが操作された後にリセットボタンが1回操作される度に配当枚数表示部20に表示される出玉率設定値が1つ繰り上がり、出玉率設定値が“6”の状態でリセットボタンが操作されると出玉率設定値が“1”に戻る。」 (エ)「【0027】 図6および図7は、上述したパチスロ機1の遊技処理動作を制御するメイン制御基板61およびサブ制御基板62に構成された回路構成を示している。 【0028】 図6に示すメイン制御基板61における制御部はマイクロコンピュータ(以下、マイコンという)63を主な構成要素とし、これに乱数サンプリングのための回路を加えて構成されている。マイコン63は、予め設定されたプログラムに従って制御動作を行うメインCPU(中央演算処理装置)64と、プログラム記憶手段であるプログラムROM(リード・オンリ・メモリ)65およびバックアップ機能付き制御RAM(ランダム・アクセス・メモリ)66とを含んで構成されている。」 (オ)「【0032】 また、マイコン63が制御信号を生成するために必要な入力信号を発生する主な入力信号発生手段としては、メダル投入口8から投入されたメダルを検出する投入メダルセンサ8S、スタートレバー30の操作を検出するスタートスイッチ30S、貯留メダル投入ボタン26?28の操作を検出する貯留メダル投入スイッチ26S?28S、貯留メダル精算ボタン29の操作を検出する貯留メダル精算スイッチ29S、設定ボタンの操作を検出する設定スイッチ34S、およびリセットボタンの操作を検出するリセットスイッチ35Sがある。スタートレバー30およびスタートスイッチ30Sは、メダルが投入された後に行われる開始操作に基づいて単位遊技の開始を指令する信号を出力する開始信号出力手段を構成している。また、マイコン63、乱数発生器69、およびサンプリング回路70は、開始信号出力手段により出力された信号に基づいて当選役を決定する当選役決定手段を構成している。また、マイコン63は、投入されたメダルの総数に対する払い出されたメダルの総数の割合を示す出玉率を、リセットボタンの設定操作に基づいて、予め定められた“1”?“6”の複数段階のうちの1つに設定する出玉率設定手段を構成している。また、配当枚数表示部20、マイコン63および各表示部駆動回路75は、出玉率設定手段によって設定された“1”?“6”のうちのいずれかの設定値を表示する設定値表示手段を構成している。」 (カ)「【0059】 図10は、メイン制御基板61の制御RAM66に設けられたワークエリアを概念的に示す図である。 【0060】 ワークエリアは、メインCPU64の制御処理に用いられるデータが格納される複数の格納領域を備えており、各格納領域には999番地までのアドレスが割り当てられている。各格納領域のうち100番地の格納領域には出玉率設定値が格納されている。なお、この設定値に“1”を加算した値が出玉率設定値として配当枚数表示部20に表示される。・・・ 【0061】 次に、図11に示すメインフローチャートを参照して、メイン制御基板61のメインCPU64の制御動作について説明する。 【0062】 初めに、メインCPU64は、遊技開始時の初期化を行う(図11,S1参照)。具体的には、制御RAM66の記憶内容の初期化、通信データの初期化等を行う。次に、メインCPU64は、設定スイッチ34Sが“オン”であるか否かを判別し(S2)、この判別が“Yes”であるときは、後述する設定変更処理を行う(S3)。S2の判別が“No”の場合、または、S3の処理の後、メインCPU64は、ゲーム終了時に指定されている制御RAM66の所定の記憶内容を消去する(S4)。具体的には、301番地?999番地までのワークエリア(図10参照)にセットされたデータの消去を行うと共に、これらの番地への次のゲームに必要なパラメータの書き込み、次のゲームのシーケンスプログラムの開始アドレスの指定等を行う。」 (キ)「【0075】 次に、図12を参照して、図11,S3で行われる設定変更処理について説明する。 ・・・ 【0077】 S42またはS43の処理の後、メインCPU64は、100番地のワークエリア(図10参照)にセットされた設定値を制御RAM66からレジスタに取得し(S44)、続いて、取得した設定値は“6”より下であるか否かを判別する(S45)。この判別が“No”のときは、メインCPU64は、取得した設定値をクリアして設定値を“0”にする。S45の判別が“Yes”の場合、またはS46の処理が行われた後、メインCPU64は、払出枚数の表示領域である配当枚数表示部20に、そのときの設定値に“1”を加算した値を出玉率設定値として表示する(S47)。なお、設定値1?6は内部的には0?5の値として処理されている。続いて、設定値を確定するためにスタートレバー30が操作されて、スタートスイッチ30Sが“オン”になったか否かを判別する(S48)。この判別が“No”の場合、メインCPU64は、設定値を変更するためにリセットボタンが操作されて、リセットスイッチ35Sが“オン”になったか否かを判別し(S49)、この判別が“No”であるときは処理をS48に戻し、上述の処理を繰り返す。一方、リセットスイッチ35Sが“オン”になってS49の判別が“Yes”であるときは、設定値に“1”を加算した後(S50)、処理をS45に戻し、上述の処理を繰り返す。スタートスイッチ30Sが“オン”になってS48の判別が“Yes”の場合には、メインCPU64は、設定値を制御RAM66のワークエリア(図10参照)にセットし(S51)、設定変更処理を終了する。」 (ク)「【0078】 次に、図13を参照して、図11,S5で行われるメダル投入・スタートチェック処理について説明する。 ・・・ 【0080】 メダルが賭けられていなくてS66の判別が“No”の場合、メインCPU64は、RB作動中フラグが“オン”であるか否か、つまり、201番地のワークエリア(図10参照)にRB作動中フラグがセットされているか否かを判別する(S67)。この判別が“No”の場合、次に、設定スイッチ34Sが“オン”であるか否かを判別する(S68)。この判別が“Yes“の場合、メインCPU64は、払出枚数の表示領域である配当枚数表示部20にそのときの設定値に“1”を加算した値を出玉率設定値として表示した後、S68に処理を戻す。・・・」 (ケ)「【0093】 本実施形態によるパチスロ機1によれば、図13のS66?S69で説明したように、メダルが賭けられていなくて、RB遊技状態でなく、設定スイッチ34Sがオンになっている場合、出玉率設定手段によって設定された“1”?“6”のうちのいずれかの設定値が配当枚数表示部20に表示される。つまり、一般遊技状態、第1BB遊技状態または第2BB遊技状態のうちのいずれかの遊技状態であるときに、設定値が配当枚数表示部20に表示される。・・・」 (コ) 図面の図6には、メイン制御基板61が、マイコン63のほか、乱数発生器69、サンプリング回路70を備えることが図示されている。 ここで、上記記載事項(ア)?(ケ)、図面に記載された事項(コ)から、以下の事項が導かれる。 (サ)上記【0077】には、 「S42またはS43の処理の後、メインCPU64は、100番地のワークエリア(図10参照)にセットされた設定値を制御RAM66からレジスタに取得し(S44)、続いて、取得した設定値は“6”より下であるか否かを判別する(S45)。この判別が“No”のときは、メインCPU64は、取得した設定値をクリアして設定値を“0”にする。S45の判別が“Yes”の場合、またはS46の処理が行われた後、メインCPU64は、払出枚数の表示領域である配当枚数表示部20に、そのときの設定値に“1”を加算した値を出玉率設定値として表示する(S47)。なお、設定値1?6は内部的には0?5の値として処理されている。続いて、設定値を確定するためにスタートレバー30が操作されて、スタートスイッチ30Sが“オン”になったか否かを判別する(S48)。この判別が“No”の場合、メインCPU64は、設定値を変更するためにリセットボタンが操作されて、リセットスイッチ35Sが“オン”になったか否かを判別し(S49)、この判別が“No”であるときは処理をS48に戻し、上述の処理を繰り返す。一方、リセットスイッチ35Sが“オン”になってS49の判別が“Yes”であるときは、設定値に“1”を加算した後(S50)、処理をS45に戻し、上述の処理を繰り返す。スタートスイッチ30Sが“オン”になってS48の判別が“Yes”の場合には、メインCPU64は、設定値を制御RAM66のワークエリア(図10参照)にセットし(S51)、設定変更処理を終了する。」 と記載されている。当該記載中には、「設定値」および「出玉率設定値」との記載がある。 ここで、両者記載の違いがあるのか否かについて、引用文献1をさらにみてみる。すると、上記【0017】には、 「出玉率設定値は“1”?“6”までが設けられており、」 と記載され、さらに【0032】には、 「また、・・・出玉率設定手段によって設定された“1”?“6”のうちのいずれかの設定値を表示する設定値表示手段を構成している。」(下線は当審で付した。) と記載されている。当該記載より、「設定値」とは、「出玉率設定値」と同じ意味で使用されていることは明らかである。 そこで、以後「設定値」については、「設定値(出玉率設定値)」または「出玉率設定値」と置き換えて表記する。 (シ) 上記【0059】の 「メイン制御基板61の制御RAM66に設けられたワークエリア」 との記載と、【0060】の 「ワークエリアは、・・・複数の格納領域を備えており、・・・各格納領域のうち100番地の格納領域には出玉率設定値が格納されている。」 との記載から、 「複数の格納領域を備えており、各格納領域のうち100番地の格納領域には出玉率設定値が格納されているワークエリアを設けた、メイン制御基板61の制御RAM66、」 との事項が導かれる。 (ス) 上記【0077】の 「メインCPU64は、100番地のワークエリア(図10参照)にセットされた設定値を制御RAM66からレジスタに取得し(S44)、続いて、取得した設定値は“6”より下であるか否かを判別する(S45)。・・・S45の判別が“Yes”の場合、・・・メインCPU64は、払出枚数の表示領域である配当枚数表示部20に、そのときの設定値に“1”を加算した値を出玉率設定値として表示する(S47)。」 との記載から、 「100番地のワークエリアにセットされた出玉率設定値を制御RAM66から取得(S44)するレジスタであって、取得した出玉率設定値が“6”より下の場合、払出枚数の表示領域である配当枚数表示部20に、そのときの出玉率設定値に“1”を加算した値を出玉率設定値として表示される(S47)、レジスタ、を備え」 との事項が導かれる。 (セ) 上記【0032】には、 「マイコン63、乱数発生器69、およびサンプリング回路70は、開始信号出力手段により出力された信号に基づいて当選役を決定する当選役決定手段を構成している。」 と記載され、上記(コ)のように図6には、メイン制御基板61が、マイコン63のほか、乱数発生器69、サンプリング回路70を備えることが図示されている。 これら記載事項から、 「メイン制御基板61は、当選役を決定する当選役決定手段を構成するマイコン63、乱数発生器69、サンプリング回路70を備え、」 との事項が導かれる。 (ソ) a 上記【0062】の 「メインCPU64は、設定スイッチ34Sが“オン”であるか否かを判別し(S2)、この判別が“Yes”であるときは、後述する設定変更処理を行う(S3)。」と、 上記【0075】の 「・・・S3で行われる設定変更処理について説明する。」と、 上記【0077】の 「・・・メインCPU64は、100番地のワークエリア(図10参照)にセットされた設定値を制御RAM66からレジスタに取得し(S44)、続いて、取得した設定値は“6”より下であるか否かを判別する(S45)。・・・S45の判別が“Yes”の場合、・・・メインCPU64は、払出枚数の表示領域である配当枚数表示部20に、そのときの設定値に“1”を加算した値を出玉率設定値として表示する(S47)。・・・続いて、設定値を確定するためにスタートレバー30が操作されて、スタートスイッチ30Sが“オン”になったか否かを判別する(S48)。・・・スタートスイッチ30Sが“オン”になってS48の判別が“Yes”の場合には、メインCPU64は、設定値を制御RAM66のワークエリア(図10参照)にセットし(S51)、」 から、 「メインCPU64は、 設定スイッチ34Sが“オン”であるか否かを判別し(S2)、この判別が“Yes”であるときは、設定変更処理を行い(S3)、 設定変更処理では、メインCPU64は、 100番地のワークエリアにセットされた設定値(出玉設定値)を制御RAM66からレジスタに取得し(S44)、続いて、取得した設定値(出玉設定値)が“6”より下であるか否かを判別し(S45)、S45の判別が“Yes”の場合、メインCPU64は、払出枚数の表示領域である配当枚数表示部20に、そのときの設定値(出玉設定値)に“1”を加算した値を出玉率設定値1?6として表示し(S47)、続いて、設定値を確定するためにスタートレバー30が操作されて、スタートスイッチ30Sが“オン”になったか否かを判別し(S48)、スタートスイッチ30Sが“オン”になってS48の判別が“Yes”の場合には、設定値(出玉設定値)を制御RAM66のワークエリアにセットし(S51)、」 との事項が導かれる。 b 一方、【0077】には、 「・・・メインCPU64は、100番地のワークエリア(図10参照)にセットされた設定値を制御RAM66からレジスタに取得し(S44)、続いて、取得した設定値は“6”より下であるか否かを判別する(S45)。・・・S45の判別が“Yes”の場合、・・・メインCPU64は、払出枚数の表示領域である配当枚数表示部20に、そのときの設定値に“1”を加算した値を出玉率設定値として表示する(S47)。」 との記載に続けて 「なお、設定値1?6は内部的には0?5の値として処理されている。」 と記載されている。 上記の「設定値1?6は内部的には0?5の値として処理されている。」との記載から、「100番地のワークエリアにセットされた設定値(出玉設定値)」、「制御RAM66からレジスタに取得」した設定値(出玉設定値)、「“1”を加算した値を出玉率設定値として表示する」ための加算対象である「そのときの設定値(出玉設定値)」は、いずれも「0?5」の値であることは明らかなことである。 c 仮に、【0077】の記載からただちに、「“1”を加算した値を出玉率設定値として表示する」ための加算対象である「そのときの設定値」が、「0?5」の値であるということができないとして、さらに引用文献1をみてみると、引用文献1には、以下の記載がある。 「【0006】 本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、・・・設定値表示手段は、所定の遊技状態、有利な遊技状態または不利な遊技状態のうちのいずれかの遊技状態であるときに、出玉率設定手段によって設定された設定値を表示し、特別遊技状態であるときには出玉率設定手段によって設定された設定値を表示しないことを特徴とする。」 ・・・ 【発明の効果】 【0008】 本発明による遊技機によれば、上記のように、出玉率の設定値の確認時における設定値の表示の有無および演出の態様から、遊技状態が不利な遊技状態であることが判明してしまうといったことはなくなるため、遊技者は、現在の設定値を確認しても、遊技意欲を失うことなく同じ遊技台で継続して遊技を行うようになり、ホール側の利益が確保されるようになる。」 「【0078】 次に、図13を参照して、図11,S5で行われるメダル投入・スタートチェック処理について説明する。 ・・・ 【0080】 メダルが賭けられていなくてS66の判別が“No”の場合、メインCPU64は、RB作動中フラグが“オン”であるか否か、つまり、201番地のワークエリア(図10参照)にRB作動中フラグがセットされているか否かを判別する(S67)。この判別が“No”の場合、次に、設定スイッチ34Sが“オン”であるか否かを判別する(S68)。この判別が“Yes“の場合、メインCPU64は、払出枚数の表示領域である配当枚数表示部20にそのときの設定値に“1”を加算した値を出玉率設定値として表示した後、S68に処理を戻す。・・・」 【0093】 本実施形態によるパチスロ機1によれば、図13のS66?S69で説明したように、メダルが賭けられていなくて、RB遊技状態でなく、設定スイッチ34Sがオンになっている場合、出玉率設定手段によって設定された“1”?“6”のうちのいずれかの設定値が配当枚数表示部20に表示される。つまり、一般遊技状態、第1BB遊技状態または第2BB遊技状態のうちのいずれかの遊技状態であるときに、設定値が配当枚数表示部20に表示される。・・・」(下線は当審で付した。) そうすると、引用文献1において、“1”を加算した値を出玉率設定値として表示することの技術的意味は、「現在の設定値(出玉率設定値)」を「1”?“6”のうちのいずれか」の値で配当枚数表示部20に表示することにあるということができる。 そして、「“1”を加算」する加算対象(加算前の値)が、現在の設定値(出玉率設定値)1”?“6”では、「“1”を加算した値」は、2?7となってしまい、現在の設定値(出玉率設定値)1”?“6”とならないことが明らかであることからみて、「“1”を加算した値」を「現在の設定値(出玉率設定値)」として「1”?“6”のうちのいずれか」の値で配当枚数表示部20に表示するためには、「“1”を加算した値を出玉率設定値として表示する」ための加算対象(加算前の値)は、出玉率設定値1?6ではなく、内部的に処理に利用している出玉設定値0?5の値でなければならないことは明らかなことである。 このことをふまえると、【0077】の記載における、「“1”を加算した値を出玉率設定値として表示する」ための加算対象である「そのときの設定値」が、「0?5」の値であることは、引用文献1の記載全体からみても明らかである。 d してみると、上記【0077】の上記aに加え、上記bおよびcから、 「メインCPU64は、 設定スイッチ34Sが“オン”であるか否かを判別し(S2)、この判別が“Yes”であるときは、設定変更処理を行い(S3)、 設定変更処理では、メインCPU64は、 100番地のワークエリアにセットされた設定値(出玉設定値)0?5を制御RAM66からレジスタに取得し(S44)、続いて、取得した設定値(出玉設定値)0?5が“6”より下であるか否かを判別し(S45)、S45の判別が“Yes”の場合、メインCPU64は、払出枚数の表示領域である配当枚数表示部20に、そのときの設定値(出玉設定値)0?5に“1”を加算した値を出玉率設定値1?6として表示し(S47)、続いて、設定値を確定するためにスタートレバー30が操作されて、スタートスイッチ30Sが“オン”になったか否かを判別し(S48)、スタートスイッチ30Sが“オン”になってS48の判別が“Yes”の場合には、設定値(出玉設定値)0?5を制御RAM66のワークエリアにセットする(S51)、」 との事項が導かれる。 そして、上記上記記載事項(ア)?(ケ)、図面に記載された事項(コ)、及び(ア)?(コ)に基づく認定事項(サ)?(ソ)を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる(a?iは、本願補正発明のA?Iに対応させて当審にて付与した。)。 (引用発明) 「a 3桁の7セグメントLEDからなる、配当枚数表示部20と(【0014】)、 b メインCPU64を含んで構成され、パチスロ機1の遊技処理動作を制御するメイン制御基板61と(【0027】、【0028】)、 c 複数の格納領域を備えており、各格納領域のうち100番地の格納領域には出玉率設定値が格納されているワークエリアを設けた、メイン制御基板61の制御RAM66と(【0059】、【0060】に基づく認定事項(シ))、 d 100番地のワークエリアにセットされた出玉率設定値を制御RAM66から取得(S44)するレジスタであって、取得した出玉率設定値1?6が“6”より下の場合、払出枚数の表示領域である配当枚数表示部20に、そのときの出玉率設定値に“1”を加算した値を出玉率設定値として表示される(S47)、レジスタ、を備え(【0077】に基づく認定事項(ス)) 、 e メイン制御基板61は、当選役を決定する当選役決定手段を構成するマイコン63、乱数発生器69、サンプリング回路70を備え(【0032】、図6に基づく認定事項(セ))、 f?g2 メインCPU64は、 設定スイッチ34Sが“オン”であるか否かを判別し(S2)、この判別が“Yes”であるときは、設定変更処理を行い(S3)、 設定変更処理では、メインCPU64は、 100番地のワークエリアにセットされた設定値(出玉設定値)0?5を制御RAM66からレジスタに取得し(S44)、続いて、取得した設定値(出玉設定値)0?5が“6”より下であるか否かを判別(S45)し、S45の判別が“Yes”の場合、メインCPU64は、払出枚数の表示領域である配当枚数表示部20に、そのときの設定値(出玉設定値)0?5に“1”を加算した値を出玉率設定値1?6として表示(S47)し、続いて、設定値を確定するためにスタートレバー30が操作されて、スタートスイッチ30Sが“オン”になったか否かを判別し(S48)、スタートスイッチ30Sが“オン”になってS48の判別が“Yes”の場合には、設定値(出玉設定値)0?5を制御RAM66のワークエリアにセットする(S51)(【0006】、【0008】、【0062】、【0075】、【0077】、【0078】、【0080】、【0093】に基づく認定事項(ソ))、 i パチスロ機1(【0009】)。」 イ 引用文献2 同じく本願の出願前に頒布された刊行物である特開2016-10552号公報(以下、「引用文献2」という。)には、図面と共に以下の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。 (ア)「【発明を実施するための最良の形態】 【0009】 次に、本発明の最良の実施形態によるパチスロ機1について説明する。」 (イ)「【0058】 図6及び図7は、メイン制御基板60、表示基板70、デジット1?5と、状態表示LED73との電気信号の配線を示す回路図である。 本実施形態では、デジットは、デジット1?5の5個を備える。・・・さらに、デジット5は、設定値表示LED63に相当する7セグである。」 (ウ)「【0120】 設定変更手段62aは、設定値を変更・決定する手段である。 ここで、設定値とは、遊技者の有利度、より具体的にはメダルの投入枚数に対する払出し枚数の期待値(遊技者が獲得できるメダル)の程度を定めるものであり、本実施形態では設定1?設定6の6段階を設けている。」 (エ)「【0331】 図21は、ステップS22における設定変更処理(M_RANK_SET)を示すフローチャートである。 ・・・ 【0334】 ステップS36では、割込み処理の起動設定を行う。ここでは、ステップS12で指定した割込み処理に対応する各種レジスタの設定を行う。本実施形態では割込み処理としてタイマ割込み処理を使用しているため、タイマ割込みの周期(本実施形態では、「2.235ms」)を設定する処理等が対応する。そして、このステップS36の処理後に割込み処理が実行される。」 (オ)「【0343】 ステップS43では、設定変更中に特有のLED表示制御を行う。具体的には、第1に、LED表示要求フラグ(図9)の値を、「00011100」に更新する処理である。これにより、デジット3?5の点灯が可能となる。また第2に、獲得枚数表示データを「FF」に更新する処理を実行する。ここでの「F」は、図10のオフセット値に相当する。したがって、デジット3及び4の表示データがいずれも「F」となるので、実際の表示は、「--」となる。 これにより、当該処理以降に割込み処理が実行されたとき、LED表示要求フラグが「1」となっているデジットの点灯が可能となる。 ・・・ 【0344】 ・・・ ステップS45では、設定値を更新する。具体的には、設定値をRWM61の所定領域に記憶(更新)する。また、設定値が更新された後に割込み処理が実行されることにより、設定値表示LED63の表示値は更新された値を表示する。 【0345】 次のステップS46では、スタートスイッチ41の操作を検出したか否かを判断する。本実施形態では、設定変更中にスタートスイッチ41が操作されたときは、その時点における設定値を確定させる。」 そして、上記記載事項(ア)?(オ)を総合すると、引用文献2には、次の事項(以下、「引用文献2記載の技術」という。)が記載されているといえる。 (引用文献2記載の技術) 「g 割込み処理の起動設定を行い、割込み処理が実行され(【0334】)、 遊技者の有利度の程度を定め設定1?6の6段階が設けられた設定値の設定変更中に、LED表示要求フラグの値を更新し、設定値表示LED63に相当するデジット5の点灯を可能とし(【0058】、【0120】、【0343】)、 設定値が更新された後に割込み処理が実行されることにより、設定値表示LED63の表示値は更新された値を表示し(【0344】)、 次のステップS46で、スタートスイッチ41の操作を検出したか否かを判断し、設定変更中にスタートスイッチ41が操作されたときは、その時点における設定値を確定させる(【0345】)、 i パチスロ機1(【0009】)。」 ウ 引用文献3 同じく本願の出願前に頒布された刊行物である特開2006-340832号公報(以下、「引用文献3」という。)には、図面と共に以下の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。 (ア)「【0075】 本実施例のスロットマシン1は、設定値に応じてメダルの払出率が変わるものであり、後述する内部抽選の当選確率は、設定値に応じて定まるものとなる。以下、設定値の変更操作について説明する。」 (イ)「【0095】 以下、内部抽選について説明する。内部抽選は、上記した各役への入賞を許容するかどうかを、全てのリール2L、2C、2Rの表示結果が導出表示される以前に(実際には、スタートスイッチ7の検出時)決定するものである。内部抽選では、まず、後述するように内部抽選用の乱数(0?16383の整数)が取得される。そして、遊技状態に応じて定められた各役について、取得した内部抽選用の乱数と、遊技者が設定した賭数と、リセット/設定スイッチ38により設定された設定値に応じて定められた各役の判定値数に応じて行われる。本実施例においては、通常遊技状態において小役及び再遊技役の抽選と特別役の抽選とが個別に行われるので、内部抽選における当選は、排他的なものではなく、1ゲームにおいて小役と特別役とが同時に当選することがあり得る。」 (ウ)「【0103】 内部抽選では、内部抽選の対象役について定められた判定値数を、内部抽選用の乱数に順次加算し、加算の結果がオーバーフローしたときに、当該役に当選したものと判定される。当選と判定されると、当該役の当選フラグがメイン制御部41のRAM41cに設定される。判定値数は、メイン制御部41のROMに予め格納された役別テーブルに登録されている判定値数の格納アドレスに従って読み出されるものとなる。」 (エ)「【0109】 小役及び再遊技役用の役別テーブルには、図6(b)に示すように、JAC、チェリー、スイカ、ベル、リプレイの判定値数の格納アドレスが参照される順番に登録されている。」 (オ)「【0159】 設定値ワーク1は、・・・内部抽選処理で抽選を行う際に用いる設定値が格納されるワークであり、・・・設定終了時(設定変更モードへの終了時)に新たに設定された設定値が格納されることとなる。」 (カ)「【0211】 図20?図22は、CPU41aがSd2のステップにおいて実行する内部抽選処理の制御内容を示すフローチャートである。 【0212】 内部抽選処理では、まず、詳細を後述する乱数取得処理を行う(Sg1)。この乱数取得処理においては、乱数発生回路(図示略)が発生する乱数に基づいて、内部抽選用の乱数の値が取得されることとなる。 【0213】 そして、RAM41cの設定値ワーク1?3に格納されている設定値をそれぞれを読み出し(Sg2)、・・・ ・・・ 【0215】 ・・・共通フラグが設定されていなければ、当該役、当該BET数について、設定値ワーク1から読み出した設定値に対応して小役及び再遊技役用の役別テーブルに登録されているアドレスに格納されている判定値数を取得する(Sg10)。・・・ 【0216】 ・・・Sg10のステップにおいて取得した判定値数を内部抽選用の乱数の値に加算し、加算の結果を新たな内部抽選用の乱数の値とする。ここで、判定値数を内部抽選用の乱数の値に加算したときにオーバーフローが生じたかどうかを判定する(Sg12)。オーバーフローが生じた場合には、当該役の当選フラグをRAM41cに設定する(Sg13)。」 (キ)「【0368】 また、前記実施例では、設定値等に応じて取得した判定値数を内部抽選用の乱数の値に順次加算していたが、取得した判定値数を取得した内部抽選用の乱数の値から順次減算して、減算の結果を新たな内部抽選用の乱数の値とするものとしても良い。判定値数を内部抽選用の乱数の値から減算するときには、内部抽選用の乱数の第15ビットと第14ビットとを「0」として、減算の結果にオーバーフロー(ここでは、減算結果がマイナスとなること)が生じたかどうかを判定するものとすることができる。」 (ク)図面の図6(b)には、小役及び再遊技役用の役別テーブルとして、ベルの判定値数のアドレスが設定値1?6に応じて設定され、 当該小役及び再遊技役用の役別テーブルに登録されているアドレスは、 対象役がベルであって賭数が1のときにおいて抽選の設定値が1?6のときにそれぞれ、アドレスADD+10、ADD+12、ADD+14、ADD+16、ADD+18、ADD+20であり、 対象役がベルであって賭数が3のときにおいて抽選の設定値が1?6のときにそれぞれ、アドレスADD+22、ADD+24、ADD+26、ADD+28、ADD+30、ADD+32であることが図示されている。 そして、上記記載事項(ア)?(キ)及び図面に記載された事項(ク)を総合すると、引用文献3には、次の事項(以下、「引用文献3記載の技術」という。)が記載されているといえる。 (引用文献3記載の技術) 「h ベルの判定値数の格納アドレスが設定値1?6に応じて順番に登録されている、小役及び再遊技役用の役別テーブルを備え(【0109】、図6(b))、 当該小役及び再遊技役用の役別テーブルに登録されているアドレスは、 対象役がベルであって賭数が1のときにおいて抽選の設定値が1?6のときにそれぞれ、アドレスADD+10、ADD+12、ADD+14、ADD+16、ADD+18、ADD+20であり(図6(b))、 対象役がベルであって賭数が3のときにおいて抽選の設定値が1?6のときにそれぞれ、アドレスADD+22、ADD+24、ADD+26、ADD+28、ADD+30、ADD+32であり(図6(b))、 各役への入賞を許容するかどうかを、スタートスイッチ7の検出時に決定する内部抽選では(【0095】)、 まず、内部抽選用の乱数の値を取得し(【0212】)、 RAM41cの設定値ワーク1?3に格納されている設定値をそれぞれを読み出し(Sg2)(【0213】)、 内部抽選処理で抽選を行う際に用いる設定値が格納されるワークである設定値ワーク1から読み出した設定値に対応して小役及び再遊技役用の役別テーブルに登録されているアドレスに格納されている判定値数を取得し(【0159】、【0215】)、 内部抽選の対象役について定められた判定値数を、取得した内部抽選用の乱数の値から順次減算し、減算の結果がマイナスとなるときに、当該役に当選したものと判定される(【0103】、【0216】、【0368】)、 i スロットマシン1【0075】。」 (3)対比 本願補正発明と引用発明とを、分説に従い対比する(対比の見出しとしての(a)?(i)は、引用発明の分説構成と対応させた。)。 (a) 引用発明における構成aの「3桁の7セグメントLEDからなる、配当枚数表示部20」は、本願補正発明の構成Aの「所定の表示手段」に相当する。 してみると、引用発明における構成aは、本願補正発明における構成Aに相当する構成を備えているといえる。 (b) 引用発明における構成bの「パチスロ機1の遊技処理動作を制御する」、「メイン制御基板61」は、それぞれ本願補正発明の構成Bの「遊技の制御を行う」、「主制御手段」に相当する。 してみると、引用発明における構成bは、本願補正発明における構成Bに相当する構成を備えているといえる。 (c) 引用発明の構成cの「制御RAM66」に設けられた「出玉率設定値が格納されているワークエリア」は、本願補正発明の構成Cの「設定値情報を記憶可能な第1記憶手段」に相当する。 してみると、引用発明における構成cは、本願補正発明における構成Cに相当する構成を備えているといえる。 (d) 引用発明の構成dの「出玉率設定値」は、出玉率設定値1?6が“6”より下の場合、払出枚数の表示領域である配当枚数表示部20(所定の表示手段)に、そのときの出玉率設定値に“1”を加算した値を出玉率設定値として表示しているのだから、本願補正発明の構成Dの「所定の表示手段に表示するための情報」に相当するものといえる。 そして、レジスタが記憶手段として機能することは何らの例示をするまでもない技術常識であるのだから、引用発明の構成dの「出玉率設定値を」「取得(S44)するレジスタ」は、本願補正発明における構成Dの「所定の表示手段に表示するための情報を記憶可能な第2記憶手段」に相当するものである。 ちなみに、本願明細書の発明の詳細な説明をみると、【0012】に、 「なお、メインCPU102には、プログラムの実行で用いる数値等を記憶したり、演算処理の結果を記憶したりするためのレジスタを有しており、以下の説明では、このレジスタを用いた処理について説明するが、これらの処理は一例であって、メインCPU102のレジスタとRAM104とは適宜使用することができる。換言すると、レジスタとRAMはデータを記憶することが可能な記憶領域であることから、記憶手段と称することができる。」(下線は当審にて付した。)と記載されており、レジスタもまた記憶手段であることは審判請求人もまた認めることである。 してみると、引用発明における構成dは、本願補正発明における構成Dに相当する構成を備えているといえる。 (e) 引用発明の「メイン制御基板61」が本願補正発明の「主制御手段」に相当することは上記bにて説示のとおりである。 また、引用発明の構成eにおける「当選役を決定する当選役決定手段を構成するマイコン63、乱数発生器69、サンプリング回路70」は本願補正発明の構成Eの「当選役を決定するための当選役決定手段」に相当する。 してみると、引用発明における構成eは、本願補正発明における構成Eに相当する構成を備えているといえる。 (f、f1) 引用発明の構成bによれば、メイン制御基板61(主制御手段)は、メインCPU64を含んで構成されるのだから、当該メインCPU64もまた本願補正発明の主制御手段に相当するといえる。 そして、引用発明の構成f?g2における、「メインCPU64は、・・・設定値(出玉設定値)0?5を制御RAM66のワークエリアにセットする(S51)」ことは、本願補正発明の構成F、F1の「主制御手段は、「0」?「N」(但し、Nは1以上の整数)の範囲内の値を第1記憶手段に記憶可能と」することに相当する。 してみると、引用発明における構成f?g2は、本願補正発明における構成F、F1に相当する構成を備えているといえる。 (f、f2) 引用発明の構成f?g2における「100番地のワークエリアにセットされた設定値(出玉設定値)0?5」のうち「0」、「制御RAM66からレジスタに取得(S44)」することは、それぞれ本願補正発明の構成F2の「第1記憶手段」に記憶されている「0」、「第2記憶手段に記憶」することに相当する。 そして、引用発明の構成f?g2における「レジスタに取得」した「設定値(出玉設定値)0?5」のうち「0」は、“6”より下であるか否かを判別し(S45)、S45の判別が“Yes”の場合、メインCPU64は、払出枚数の表示領域である配当枚数表示部20(所定の表示手段)に、そのときの設定値(出玉設定値)0に“1”を加算した値を出玉率設定値1として表示(「1」を示す情報を表示)(S47)しているのだから、引用発明の構成f?g2における「レジスタに取得」した「設定値(出玉設定値)0?5」のうち「0」は、本願補正発明の構成F2の「所定の表示手段に「1」を示す情報が表示可能となる情報」に相当するといえる。 してみると、引用発明の構成f?g2の「メインCPU64」が「100番地のワークエリアにセットされた設定値(出玉設定値)0?5」のうち「0」を「制御RAM66からレジスタに取得(S44)」することは、本願補正発明の構成F、F2の 「前記主制御手段は、 第1記憶手段に「0」が記憶されているとき、前記所定の表示手段に「1」を示す情報が表示可能となる情報を第2記憶手段に記憶」することに相当し、引用発明の構成f?g2は本願補正発明における構成F、F2に相当する構成を備えているといえる。 (f、f3) 引用発明の構成f?g2における「100番地のワークエリアにセットされた設定値(出玉設定値)0?5」のうち「1?5」、「制御RAM66からレジスタに取得(S44)」することは、それぞれ本願補正発明の構成F3の「第1記憶手段」に記憶されている「N」、「第2記憶手段に記憶」することに相当する。 そして、引用発明の構成f?g2における「レジスタに取得」した「設定値(出玉設定値)0?5」のうち「1?5」は、“6”より下であるか否かを判別し(S45)、S45の判別が“Yes”の場合、メインCPU64は、払出枚数の表示領域である配当枚数表示部20(所定の表示手段)に、そのときの設定値(出玉設定値)1?5に“1”を加算した値を出玉率設定値2?6として表示(「N+1」を示す情報を表示)(S47)しているのだから、引用発明の構成f?g2における「レジスタに取得」した「設定値(出玉設定値)0?5」のうち「1?5」は、本願補正発明の構成F3の「所定の表示手段に「N+1」を示す情報が表示可能となる情報」に相当するといえる。 してみると、引用発明の構成f?g2の「メインCPU64」が「100番地のワークエリアにセットされた設定値(出玉設定値)0?5」のうち「1?5」を「制御RAM66からレジスタに取得(S44)」することは、本願補正発明の構成F、F3の 「前記主制御手段は、 第1記憶手段に「N」が記憶されているとき、前記所定の表示手段に「N+1」を示す情報が表示可能となる情報を第2記憶手段に記憶」とすることに相当し、引用発明の構成f?g2は本願補正発明における構成F、F3に相当する構成を備えているといえる。 (g、g1) 引用発明の構成f?g2の「設定スイッチ34Sが“オン”であるか否かを判別し(S2)、この判別が“Yes”であるとき」は、本願補正発明の構成Gの「所定の条件を満たしたとき」に相当する。 また、引用発明の構成f?g2の「100番地のワークエリアにセットされた設定値(出玉設定値)0?5」のうち「0」を「制御RAM66からレジスタに取得(S44)」したときに、ワークエリア(第1記憶手段)に「0」が記憶されていることは明らかなのだから、そのときは本願補正発明の「第1記憶手段に「0」が記憶されているとき」に相当する。 また、引用発明の構成f?g2の「レジスタに取得(S44)」「した設定値(出玉設定値)0?5」のうち「0」は、本願補正発明の「第2記憶手段に記憶された情報」に相当する。 そして、引用発明の構成f?g2の「レジスタに取得(S44)」「した設定値(出玉設定値)0?5」のうち「0」が「“6”より下であるか否かを判別し(S45)、S45の判別が“Yes”の場合、メインCPU64は、払出枚数の表示領域である配当枚数表示部20に、そのときの設定値(出玉設定値)0?5」のうち「0」に「“1”を加算した値を出玉率設定値1?6」のうち「1」「として表示(S47)」することは、本願補正発明の構成G1の「第2記憶手段に記憶された情報に基づいて前記所定の表示手段に「1」を示す情報を表示」することに相当する。 そうすると、引用発明の構成f?g2は本願補正発明における構成G、G1と、 「所定の条件を満たしたときにおいて、 第1記憶手段に「0」が記憶されているときには、第2記憶手段に記憶された情報に基づいて前記所定の表示手段に「1」を示す情報を表示可能」とする点で共通するといえる。 (g、g2) 引用発明の構成f?g2の「100番地のワークエリアにセットされた設定値(出玉設定値)0?5」のうち「1?5」を「制御RAM66からレジスタに取得(S44)」したときに、ワークエリア(第1記憶手段)に「1?5」が記憶されていることは明らかなのだから、そのときは本願補正発明の「第1記憶手段に「N」が記憶されているとき」に相当する。 また、引用発明の構成f?g2の「レジスタに取得(S44)」「した設定値(出玉設定値)0?5」のうち「1?5」は、本願補正発明の「第2記憶手段に記憶された情報」に相当する。 そして、引用発明の構成f?g2の「レジスタに取得(S44)」「した設定値(出玉設定値)0?5」のうち「1?5」が「“6”より下であるか否かを判別し(S45)、S45の判別が“Yes”の場合、メインCPU64は、払出枚数の表示領域である配当枚数表示部20に、そのときの設定値(出玉設定値)0?5」のうち「1?5」に「“1”を加算した値を出玉率設定値1?6」のうち「2?6」「として表示(S47)」することは、本願補正発明の構成G1の「第2記憶手段に記憶された情報に基づいて前記所定の表示手段に「N+1」を示す情報を表示」することに相当する。 そうすると、引用発明の構成f?g2は本願補正発明における構成G、G2と、 「所定の条件を満たしたときにおいて、 第1記憶手段に「N」が記憶されているときには、割込み処理により第2記憶手段に記憶された情報に基づいて前記所定の表示手段に「N+1」を示す情報を表示可能」とする点で共通するといえる。 (i) 引用発明の構成iの「パチスロ機1」は本願補正発明の「遊技機」に相当する。 引用発明の構成iは本願補正発明における構成Iに相当するものである。 してみると、上記(a)?(i)によれば、本願補正発明と引用発明との一致点及び相違点は以下のとおりである。 (一致点) 「A 所定の表示手段と、 B 遊技の制御を行う主制御手段と、 C 設定値情報を記憶可能な第1記憶手段と、 D 前記所定の表示手段に表示するための情報を記憶可能な第2記憶手段と、を備え、 E 前記主制御手段は、 当選役を決定するための当選役決定手段を備え、 F 前記主制御手段は、 F1 「0」?「N」(但し、Nは1以上の整数)の範囲内の値を第1記憶手段に記憶可能とし、 F2 第1記憶手段に「0」が記憶されているとき、前記所定の表示手段に「1」を示す情報が表示可能となる情報を第2記憶手段に記憶可能とし、 F3 第1記憶手段に「N」が記憶されているとき、前記所定の表示手段に「N+1」を示す情報が表示可能となる情報を第2記憶手段に記憶可能とし、 G 所定の条件を満たしたときにおいて、 G1′ 第1記憶手段に「0」が記憶されているときには、第2記憶手段に記憶された情報に基づいて前記所定の表示手段に「1」を示す情報を表示可能とし、 G2′ 第1記憶手段に「N」が記憶されているときには、割込み処理により第2記憶手段に記憶された情報に基づいて前記所定の表示手段に「N+1」を示す情報を表示可能とした、 I 遊技機。」 (相違点1) 構成G1、G2に関し、本願補正発明では「第2記憶手段に記憶された情報に基づいて前記所定の表示手段に「1」を示す情報を表示可能」とし、「第2記憶手段に記憶された情報に基づいて前記所定の表示手段に「N+1」を示す情報を表示可能」とすることが、割込み処理により可能とされているのに対し、引用発明では、当該「表示可能」とすることが割込み処理により可能とされているか否か不明である点。 (相違点2) 構成Hに関し、本願補正発明が、「前記当選役決定手段により所定役に当選したか否かを判定するときにおいて、抽選テーブルの所定のアドレスと第1記憶手段に記憶されている設定値情報とに基づいてアドレスを指定し、乱数値と比較する情報を取得可能とする」のに対し、引用発明は係る構成を有するのか不明である点。 (4)判断 上記相違点について検討する。 (相違点1について) 引用文献2記載の技術のとおり、引用文献2には、 「g 割込み処理の起動設定を行い、割込み処理が実行され、 遊技者の有利度の程度を定め設定1?6の6段階が設けられた設定値の設定変更中に、LED表示要求フラグの値を更新し、設定値表示LED63(所定の表示手段)に相当するデジット5の点灯を可能とし、 設定値が更新された後に割込み処理が実行されることにより、設定値表示LED63(所定の表示手段)の表示値は更新された値を表示(設定値を示す情報を表示)し、 次のステップS46で、スタートスイッチ41の操作を検出したか否かを判断し、設定変更中にスタートスイッチ41が操作されたときは、その時点における設定値を確定させる、 i パチスロ機1」 が記載されており、上記記載事項から、設定値を確定させる前に、所定の表示手段に設定値を示す情報を表示する処理を、割込み処理により実行する遊技機が、本願出願前において公知であったということができる。 そして、引用発明のf?g2における、「設定値を確定するためにスタートレバー30が操作されて、スタートスイッチ30Sが“オン”になったか否かを判別し(S48)、スタートスイッチ30Sが“オン”になってS48の判別が“Yes”の場合には、設定値(出玉設定値)0?5を制御RAM66のワークエリアにセットする(S51)」(設定値を確定させる)よりも前の処理である、同構成f?g2の「レジスタに取得(S44)」「した設定値(出玉設定値)0?5」のうち「0」が「“6”より下であるか否かを判別し(S45)、S45の判別が“Yes”の場合、メインCPU64は、払出枚数の表示領域である配当枚数表示部20に、そのときの設定値(出玉設定値)0?5」のうち「0」に「“1”を加算した値を出玉率設定値1として表示(S47)」すること(第2記憶手段に記憶された情報に基づいて前記所定の表示手段に「1」を示す情報を表示すること)と、引用文献2記載の技術の、割込み処理が実行されることにより、設定値表示LED63(所定の表示手段)の表示値に更新された値を表示(設定値を示す情報を表示)することとは、いずれも、遊技機における、スタートスイッチが操作されて設定値が確定される前の設定値の表示に係る処理である点で共通するのだから、引用発明において、引用発明の構成f?g2の「レジスタに取得(S44)」「した設定値(出玉設定値)0?5」のうち「0」が「“6”より下であるか否かを判別し(S45)、S45の判別が“Yes”の場合、メインCPU64は、払出枚数の表示領域である配当枚数表示部20に、そのときの設定値(出玉設定値)0?5」のうち「0」に「“1”を加算した値を出玉率設定値1?6」のうち「1」「として表示(S47)」すること(第2記憶手段に記憶された情報に基づいて前記所定の表示手段に「1」を示す情報を表示すること)を、引用文献2記載の技術と同様に、割込み処理が実行されることにより行い、本願補正発明の構成G1の構成とすることは、当業者が容易に想到することである。 また、同様に、引用発明の構成f?g2の「レジスタに取得(S44)」「した設定値(出玉設定値)0?5」のうち「1?5」が「“6”より下であるか否かを判別し(S45)、S45の判別が“Yes”の場合、メインCPU64は、払出枚数の表示領域である配当枚数表示部20に、そのときの設定値(出玉設定値)0?5」のうち「1?5」に「“1”を加算した値を出玉率設定値1?6」のうち「2?6」「として表示(S47)」すること(第2記憶手段に記憶された情報に基づいて前記所定の表示手段に「N+1」を示す情報を表示すること)を、引用文献2記載の技術と同様に、割込み処理が実行されることにより行い、本願補正発明の構成G2の構成とすることは、当業者が容易に想到することである。 (相違点2について) 引用文献3記載の技術のとおり、引用文献3には、 「h ベルの判定値数の格納アドレスが設定値1?6に応じて順番に登録されている、小役及び再遊技役用の役別テーブルを備え、 当該小役及び再遊技役用の役別テーブルに登録されているアドレスは、 対象役がベルであって賭数が1のときにおいて抽選の設定値が1?6のときにそれぞれ、アドレスADD+10、ADD+12、ADD+14、ADD+16、ADD+18、ADD+20であり、 対象役がベルであって賭数が3のときにおいて抽選の設定値が1?6のときにそれぞれ、アドレスADD+22、ADD+24、ADD+26、ADD+28、ADD+30、ADD+32であり、 各役への入賞を許容するかどうかを、スタートスイッチ7の検出時に決定する内部抽選では、 まず、内部抽選用の乱数の値を取得し、 RAM41cの設定値ワーク1?3に格納されている設定値をそれぞれを読み出し(Sg2)、 内部抽選処理で抽選を行う際に用いる設定値が格納されるワークである設定値ワーク1から読み出した設定値に対応して小役及び再遊技役用の役別テーブルに登録されているアドレスに格納されている判定値数を取得し、 内部抽選の対象役について定められた判定値数を、取得した内部抽選用の乱数の値から順次減算し、減算の結果がマイナスとなるときに、当該役に当選したものと判定される、 i スロットマシン1。」 が記載されている。 ここで、引用文献3記載の事項における「各役への入賞を許容するかどうかを、スタートスイッチ7の検出時に決定する内部抽選」、「RAM41cの設定値ワーク1?3」の「設定値ワーク1から読み出した設定値」、「ベルの判定値数の格納アドレスが設定値1?6に応じて順番に登録されている、小役及び再遊技役用の役別テーブル」はそれぞれ本願補正発明の「所定役に当選したか否かを判定する」こと、「記憶手段に記憶されている設定値情報」、「抽選テーブル」に相当する。 また、引用文献3記載の事項における、小役及び再遊技役用の役別テーブルに登録されているアドレスにおける「ADD」は、本願補正発明の「抽選テーブルの所定のアドレス」に相当する。そして、引用文献3記載の事項における、設定値が1?6のときのアドレス「ADD+10、ADD+12、ADD+14、ADD+16、ADD+18、ADD+20」(以下、「ADD+10?20」という)は、いずれも 式「ADD+10+(設定値-1)*2」 で表されるアドレス(設定値情報に基づいたアドレス)であり、「ADD+22、ADD+24、ADD+26、ADD+28、ADD+30、ADD+32」(以下、「ADD+22?32」という)は、いずれも 式「ADD+22+(設定値-1)*2」 で表されるアドレス(設定値情報に基づいたアドレス)であることからして、当該アドレス「ADD+10?20」および「ADD+22?32」は、いずれも本願補正発明の「抽選テーブルの所定のアドレス」と「設定値情報に基づい」た「アドレス」に相当するものということができる。 さらに、引用文献3記載事項における「判定値数」は、取得した内部抽選用の乱数の値(乱数値)から順次減算し、減算の結果がマイナスとなるときに、役に当選したものと判定されるのだから、当該「判定値数」は本願補正発明の「乱数値と比較する情報」に相当するものということができる。 そうすると、引用文献3記載の事項において、「設定値ワーク1から読み出した設定値(記憶手段に記憶されている設定値情報)に対応して小役及び再遊技役用の役別テーブル(抽選テーブル)に登録されているアドレス」である「ADD+10?20」および「ADD+22?32」「に格納されている判定値数(乱数値と比較する情報)を取得」することは、本願補正発明の「抽選テーブルの所定のアドレスと第1記憶手段に記憶されている設定値情報とに基づいてアドレスを指定し、乱数値と比較する情報を取得」することに相当することは明らかである。 したがって、引用文献3記載の事項から、 所定役に当選したか否かを判定するときにおいて、抽選テーブルの所定のアドレスと記憶手段に記憶されている設定値情報とに基づいてアドレスを指定し、乱数値と比較する情報を取得可能とする遊技機が、本願出願前において公知であったということができる。 そして、引用発明と引用文献3記載の事項は、ともに設定値を記憶した遊技機である点で共通するのだから、引用発明に対し、引用文献3記載事項の上記構成を適用することは、当業者が容易に想到することである。 また、引用発明に対し、引用文献3記載の事項を適用するにあたり、アドレスの指定の際に基づく設定値情報を、引用発明の構成cの「制御RAM66」に設けられた「出玉率設定値が格納されているワークエリア」(設定値情報を記憶可能な第1記憶手段)に記憶されている設定値情報とすることは、当業者にしてみれば当然のことであり、引用発明に対し引用文献3記載の事項を適用し、本願補正発明の構成Hとすることは、当業者が容易に想到することである。 したがって、本願補正発明は、当業者が引用発明、引用文献2記載の技術および引用文献3記載の技術に基づいて容易に想到することができたものである。 (5) 請求人の主張及び本願補正発明が奏する効果について ア 審判請求人は、審判請求書において、 本願発明は、「第1記憶手段に「0」が記憶されているとき、前記所定の表示手段に「1」を示す情報が表示可能となる情報を第2記憶手段に記憶可能とし、第1記憶手段に「N」が記憶されているとき、前記所定の表示手段に「N+1」を示す情報が表示可能となる情報を第2記憶手段に記憶可能とし、」という構成を有している旨を主張している。 上記主張は本願補正発明が、上記構成F2、F3を備えていることを主張するものといえるが、引用発明もまた、上記(3)対比(f、f2)(f、f3)にて説示のとおり、構成F2、F3を備えているものである。 イ また、審判請求人は、審判請求書において、本願補正発明の所定の表示手段への表示は、「割込み処理により、第2記憶手段に記憶された情報に基づいて」表示可能なように構成されているため、第1記憶手段の値が更新されると、それに併せて第2記憶手段の値も所定の表示手段に「N+1」を示す情報が表示可能となるように更新される旨を主張している。 上記主張は本願補正発明が、上記構成G1、G2を備えていることを主張するものといえるが、上記(4)判断(相違点1について)において説示のとおり、引用発明を、引用文献2記載の技術により、本願補正発明の構成G1、G2の構成を備えたものとすることは、当業者が容易に想到することである。 ウ また、審判請求人は、審判請求書において、本願補正発明に係る遊技機は、「前記当選役決定手段により所定役に当選したか否かを判定するときにおいて、抽選テーブルの所定のアドレスと第1記憶手段に記憶されている設定値情報とに基づいてアドレスを指定し、乱数値と比較する情報を取得可能とする」という構成を有している旨を主張している。 上記主張は本願補正発明が、上記構成Hを備えていることを主張するものといえるが、上記(4)判断(相違点2について)において説示のとおり、引用発明に対し引用文献3記載の事項を適用し、本願補正発明の構成Hとすることは、当業者が容易に想到することである。 また、本願補正発明の作用効果は、当業者が引用発明、引用文献2記載の技術および引用文献3記載の技術から予測し得るものであって、格別のものということはできない。 (6) まとめ 以上のように、本願補正発明は、当業者が引用発明、引用文献2記載の技術および引用文献3記載の技術に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。 4 補正の却下の決定についてのむすび 上記3.より、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明について 1 本願発明 本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成29年4月25日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである(A?Iは本願発明を分説するため当審で付すとともに、分説した各構成のうち本願補正発明と同じ構成については、本願補正発明と同じ英文字を用いた。)。 「【請求項1】 A 所定の表示手段と、 B 遊技の制御を行う主制御手段と、 C 設定値情報を記憶可能な第1記憶手段と、 D 前記所定の表示手段に表示するための情報を記憶可能な第2記憶手段と、を備え、 E 前記主制御手段は、 当選役を決定するための当選役決定手段を備え、 F 前記主制御手段は、 F1 「0」?「N」(但し、Nは1以上の整数)の範囲内の値を第1記憶手段に記憶可能とし、 F2 第1記憶手段に「0」が記憶されているとき、前記所定の表示手段に「1」を示す情報が表示可能となる情報を第2記憶手段に記憶可能とし、 F3 第1記憶手段に「N」が記憶されているとき、前記所定の表示手段に「N+1」を示す情報が表示可能となる情報を第2記憶手段に記憶可能とし、 G 所定の条件を満たしたときにおいて、 G3 第1記憶手段に「0」が記憶されているときには、第2記憶手段に記憶された情報に基づいて前記所定の表示手段に「1」を示す情報を表示可能とし、 G4 第1記憶手段に「N」が記憶されているときには、第2記憶手段に記憶された情報に基づいて前記所定の表示手段に「N+1」を示す情報を表示可能とする I ことを特徴とする遊技機。」 2 刊行物に記載された事項 これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された刊行物である上記引用文献1の記載事項、認定事項及び引用文献1に記載された発明(引用発明)については、上記「第2 3(2)」に示したとおりである。 3 対比 本願発明の構成A?Iのうち、A?F3、Iは、本願補正発明の構成A?F3、Iと一致しており、引用発明が構成A?F3、Iに相当する構成を備えていることは「第2 3(3)」にて説示のとおりであるから、本願発明におけるその他の構成G、G3、G4について、本願発明と引用発明とを対比する。 (構成G、G3について) 本願発明の構成G、G3は、本願補正発明の構成G、G1から、「第1記憶手段に「0」が記憶されているとき」に、「第2記憶手段に記憶された情報に基づいて前記所定の表示手段に「1」を示す情報を表示可能」とするための処理について、「割込み処理」によるとの限定を外したものである。 一方、引用発明の構成f?g2が、本願補正発明における構成G、G1と、 「所定の条件を満たしたときにおいて、 第1記憶手段に「0」が記憶されているときには、第2記憶手段に記憶された情報に基づいて前記所定の表示手段に「1」を示す情報を表示可能」とする点で共通することは、上記「第2 3(3)」のとおりである。 してみると、引用発明の構成f?g2は、本願発明における構成G、G3に相当する構成を備えているものといえる。 (構成G、G4について) 本願発明の構成G、G4は、本願補正発明の構成G、G2から、「第1記憶手段に「N」が記憶されているとき」に、「第2記憶手段に記憶された情報に基づいて前記所定の表示手段に「N+1」を示す情報を表示可能」とするための処理について、「割込み処理」によるとの限定を外したものである。 一方、引用発明の構成f?g2が、本願補正発明における構成G、G2と、 「所定の条件を満たしたときにおいて、 第1記憶手段に「N」が記憶されているときには、第2記憶手段に記憶された情報に基づいて前記所定の表示手段に「N+1」を示す情報を表示可能」とする点で共通することは、上記「第2 3(3)」のとおりである。 してみると、引用発明の構成f?g2は、本願発明における構成G、G4に相当する構成を備えているものといえる。 してみると、本願発明と引用発明との間に差異はなく、本願発明は引用発明である。 仮に相違点をみることができるとしても、本願発明は、当業者が引用発明に基づいて容易に想到することができたものである。 4 むすび 以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し、又は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2018-07-12 |
結審通知日 | 2018-07-13 |
審決日 | 2018-07-25 |
出願番号 | 特願2016-21774(P2016-21774) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(A63F)
P 1 8・ 113- Z (A63F) P 1 8・ 575- Z (A63F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 井海田 隆 |
特許庁審判長 |
服部 和男 |
特許庁審判官 |
田付 徳雄 石井 哲 |
発明の名称 | 遊技機 |
代理人 | 保坂 丈世 |