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審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1343831
審判番号 不服2017-14270  
総通号数 226 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-10-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-09-27 
確定日 2018-09-06 
事件の表示 特願2016- 24635号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 8月17日出願公開、特開2017-140279号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成28年2月12日の出願であって、平成28年11月29日付けで拒絶の理由が通知され、平成29年1月25日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、平成29年6月23日付けで拒絶査定がなされ、それに対して、平成29年9月27日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされ、平成29年12月12日付けで最後の拒絶の理由が通知され、平成30年2月15日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。

第2 平成30年2月15日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成30年2月15日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由](補正の適否の判断)
1 本件補正の概要
本件補正は、特許請求の範囲を補正する内容を含んでおり、本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、
(補正前:平成29年9月27日付け手続補正)
「【請求項1】
遊技者に有利な特別遊技を実行するか否かの判定を行う判定手段と、
遊技者が接触可能な接触手段と、
前記接触手段を含む所定の演出手段を用いて、所定の演出を実行可能な演出制御手段と、を備え、
前記接触手段は、遊技者が接触しているときの遊技者の触感が互いに異なる第1態様と第2態様とに変化可能に構成され、
前記演出制御手段は、所定期間にわたって前記接触手段への接触を促す接触演出を実行可能であり、前記接触演出の実行を終了した後において、前記判定の結果に基づいて、前記接触手段を前記第1態様から前記第2態様に変化させることを可能にすることを特徴とする遊技機。」
から、
(補正後:本件補正である平成30年2月15日付け手続補正)
「【請求項1】
遊技者に有利な特別遊技を実行するか否かの判定を行う判定手段と、
遊技者が接触可能な接触手段と、
前記接触手段を含む所定の演出手段を用いて、所定の演出を実行可能な演出制御手段と、を備え、
前記接触手段は、遊技者が接触しているときの遊技者の触感が互いに異なる第1態様と第2態様とに変化可能に構成され、
前記演出制御手段は、
所定期間にわたって前記接触手段への接触を促す接触演出を実行可能であり、前記接触演出の実行終了時において、前記判定の結果に基づいて、前記接触手段を前記第1態様から前記第2態様に変化させることが可能な接触演出制御手段と、
前記接触演出を実行した後、前記判定の結果に基づいて、所定の表示手段において変動表示していた複数の演出図柄を停止表示させる演出図柄制御手段と、
を有することを特徴とする遊技機。」
に補正された(下線は、補正箇所を明示するために当審で付した。)。

2 本件補正の適否
(1)補正事項
本件補正は、補正前の請求項1について、以下に挙げる補正事項を含むものである。

ア 「前記演出制御手段」に関して、「前記接触手段を前記第1態様から前記第2態様に変化」させることが可能な時について、補正前の「前記接触演出の実行を終了した後」という記載を、「前記接触演出の実行終了時」という記載にすると共に、「所定期間にわたって前記接触手段への接触を促す接触演出を実行可能であり」、「前記判定の結果に基づいて、前記接触手段を前記第1態様から前記第2態様に変化」させることを可能にするものを「接触演出制御手段」とする補正。

イ 「前記演出制御手段」に関して、「前記接触演出を実行した後、前記判定の結果に基づいて、所定の表示手段において変動表示していた複数の演出図柄を停止表示させる演出図柄制御手段と、を有する」という記載を追加する補正。

(2)補正の目的等についての検討
ア 補正事項アは、「前記演出制御手段」の「前記接触手段を前記第1態様から前記第2態様に変化させる」時に関して、接触演出の実行終了後を含む「前記接触演出の実行を終了した後」から、接触演出の実行終了後を含まない「前記接触演出の実行終了時」に減縮すると共に、「前記判定の結果に基づいて、前記接触手段を前記第1態様から前記第2態様に変化させることを可能にする」手段を「接触演出制御手段」と規定する補正であり、また、補正後の請求項1に記載された発明は、補正前の請求項1に記載された発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、特許法第17条の2第5項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

イ 補正事項イは、「前記演出制御手段」に関して、「前記接触演出を実行した後、前記判定の結果に基づいて、所定の表示手段において変動表示していた複数の演出図柄を停止表示させる演出図柄制御手段」「を有することを」限定することにより減縮する補正であり、また、補正後の請求項1に記載された発明は、補正前の請求項1に記載された発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、特許法第17条の2第5項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

また、本件補正は、当初明細書の【0110】の記載に基づくものであるから、新規事項を追加するものではなく、特許法第17条の2第3項に違反しない。

3 独立特許要件
そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について以下に検討する。

(1)本願補正発明
本願補正発明は、上記1の本件補正の概要において示した次のとおりのものである(A?Gは、本願補正発明を分説するため当審で付した。)。

「【請求項1】
A 遊技者に有利な特別遊技を実行するか否かの判定を行う判定手段と、
B 遊技者が接触可能な接触手段と、
C 前記接触手段を含む所定の演出手段を用いて、所定の演出を実行可能な演出制御手段と、を備え、
D 前記接触手段は、遊技者が接触しているときの遊技者の触感が互いに異なる第1態様と第2態様とに変化可能に構成され、
E 前記演出制御手段は、
所定期間にわたって前記接触手段への接触を促す接触演出を実行可能であり、前記接触演出の実行終了時において、前記判定の結果に基づいて、前記接触手段を前記第1態様から前記第2態様に変化させることが可能な接触演出制御手段と、
F 前記接触演出を実行した後、前記判定の結果に基づいて、所定の表示手段において変動表示していた複数の演出図柄を停止表示させる演出図柄制御手段と、を有することを特徴とする
G 遊技機。」

(2)引用文献1に記載された事項
平成29年12月12日付けの最後の拒絶の理由で引用文献1として引用された、本願の出願前に頒布された特開2015-73670号公報(以下、「引用文献1」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審で付した。以下同様。)。

(ア)「【0017】
操作ボタン22は、遊技者により操作される操作手段の一例であって、遊技者の押下操作を受け付ける押しボタンである。そして、操作ボタン22は、操作ボタン22の押下操作の有無に応じて、後述の表示制御装置6に対する入力信号を切り換える操作スイッチ22a(図5参照)を備える。これにより、表示制御装置6では、操作スイッチ22aからの入力信号に応じて操作ボタン22の操作状態(操作あり及び操作なし)を判断することが可能である。なお、操作ボタン22は、後述する各種の演出処理(図14?図16参照)において、遊技者の意思を演出に反映させるために用いられる。また、操作ボタン22は、パチンコ機10の遊技に関するステージ選択、BGM選択、又はキャラ選択などの各種の選択操作にも利用可能である。ところで、本実施形態では、操作スイッチ22aが表示制御装置6に接続されている場合を例に挙げて説明するが、操作スイッチ22aが後述の音声ランプ制御装置5に接続されており、音声ランプ制御装置5が操作スイッチ22aからの入力信号に応じて操作ボタン22の操作状態を判断することも他の実施形態として考えられる。この場合には、操作スイッチ22aの入力信号又は操作ボタン22の操作状態が、音声ランプ制御装置5から表示制御装置6に入力されることになる。」

(イ)「【0030】
そして、パチンコ機10では、上作動口314又は下作動口315への遊技球の入球が入球センサ314a又は入球センサ315aによって検出されると、メイン制御ユニット331により大当たりの抽選が行われる。そして、メイン制御ユニット331による抽選結果は、サブ制御ユニット332に送信され、サブ制御ユニット332は、前記抽選結果に従って可変表示ユニット34及びメイン表示部37の表示を制御する。
【0031】
また、パチンコ機10では、一般入賞口313、上作動口314、下作動口315、及び可変入賞口316への遊技球の入球が、入球センサ313a?316aによって検出されると、予め設定された数の賞球が払い出される。例えば、一般入賞口313に入球した場合の賞球数は10個、上作動口314又は下作動口315に入球した場合の賞球数は3個、可変入賞口316に入球した場合の賞球数は15個である。特に、パチンコ機10では、メイン制御ユニット331で行われた抽選結果が大当たりである場合に、可変入賞口316が所定時間(例えば30秒)開放される状態が所定回数(例えば16回)繰り返されることにより、多量の賞球の払い出しが行われ、遊技者に遊技上の価値が与えられる。
【0032】
可変表示ユニット34は、遊技盤31の略中央部に形成されている開口31Aを通して視認可能に配置された液晶ディスプレイなどの図柄表示部341を有している。この図柄表示部341は、静止画又は動画を表示するものであり、図柄表示部341の表示内容は、サブ制御ユニット332によって制御される。具体的に、図柄表示部341では、上作動口314又は下作動口315への入球に応じてメイン制御ユニット331により行われる内部抽選の結果に応じた図柄変動表示及び演出表示のような各種の表示が行われる。なお、図柄表示部341は、プラズマディスプレイ又は有機ELディスプレイなどであってもよい。
・・・
【0034】
そして、図柄表示部341における図柄変動表示が停止すると、図柄表示部341では、1ライン又は複数ラインに主図柄が並んだ状態が表示される。このとき、主図柄の停止状態が、メイン制御ユニット331による内部抽選の結果を明示することになる。例えば、内部抽選の結果が確変大当たりの場合には、主図柄のうち予め確変大当たりを示す図柄として設定された奇数の図柄が1ラインに並んだ状態(例えば「333」又は「777」など)が表示される。一方、内部抽選の結果が通常大当たりの場合には、主図柄のうち予め通常大当たりを示す図柄として設定された偶数の図柄が1ラインに並んだ状態(例えば「222」又は「444」など)が表示される。また、内部抽選の結果が外れの場合には、異なる主図柄が1ラインに並んだ状態(例えば「323」又は「727」など)が表示される。」

(ウ)「【0070】
表示制御装置6は、主制御装置4から出力され、音声ランプ制御装置5を経て入力される各種のコマンド(制御信号)に基づいて、図柄表示部341における図柄変動表示を制御することにより演出表示を実行する。ここに、表示制御装置6が演出実行手段の一例である。表示制御装置6は、MPU61及び入出力I/F62などを備える。また、MPU61は、1チップマイコンとして構成された演算装置であり、MPU61には、ROM611及びRAM612が内蔵されている。また、表示制御装置6には、時間を計時するタイマ回路及び割込を受け付ける割込回路などの各種回路も内蔵されている。」

(エ)「【0111】
[表示制御装置6の処理]
次に、図10?図16を参照しつつ、表示制御装置6でMPU61によって実行される各種の処理について説明する。表示制御装置6において、MPU61は、音声ランプ制御装置5から受信するコマンドに従った処理を実行するコマンド受信処理、及び操作ボタン22の操作を伴う操作演出を実行するための各種の操作演出処理(図14?図16参照)を実行する。」

(オ)「【0138】
<ステップS1308>
また、ステップS1308では、変動開始コマンドに長押し操作演出を示す情報が含まれるか否かを判断する。例えば、変動開始コマンドに含まれる変動種別カウンタCS3の値が、ROM611に記憶された演出テーブル611dにおいて長押し操作演出を示す値と一致するか否かを判断する。一方、前述したように、音声ランプ制御装置5又は表示制御装置6が、主制御装置4から入力される変動パターンコマンドに基づいて演出内容を判断することも他の実施形態として考えられ、この場合、ステップS1308では、音声ランプ制御装置5又は表示制御装置6による判断結果に基づいて、今回実行する演出内容が長押し操作演出であるか否かを判断する。前記長押し操作演出とは、図柄表示部341で行われる演出表示の実行中に、操作有効期間内における操作ボタン22の長押し操作に応じて長押し演出画像が表示された後、操作ボタン22の操作時間を示す長押しカウンタ612mが第2規定値に達した場合に長押し操作結果画像が演出結果として表示されるタイプの演出である。ここで、変動開始コマンドに長押し操作演出を示す情報が含まれる場合は(S1308:Yes)、処理がステップS1309に移行し、変動開始コマンドに長押し操作演出を示す情報が含まれない場合は(S1308:No)、処理がステップS1310に移行する。なお、長押しカウンター612mは、操作ボタン22の操作が継続している操作時間を示すために用いられる数値の一例であり、操作ボタン22の操作時間が時間(msec)の単位で管理されてもよい。」

(カ)「【0141】
ここで、図17を参照しつつ、前記図柄変動表示態様として特殊リーチが実行される場合の図柄表示部341の表示例について説明する。また、ここでは、前記ステップS1308により変動開始コマンドに長押し操作演出を示す情報が含まれていると判断され(S1308:Yes)、前記ステップS1309により長押し操作設定処理が実行されることにより、特殊リーチにおいて、遊技者による操作ボタン22の長押し操作が演出に反映される長押し操作演出が実行される場合を例に挙げて説明する。
・・・
【0143】
その後、予め設定されたタイミングで、図17(B)に示すように、遊技者に操作ボタン22の操作方法や操作目的を告知するための長押し操作告知画像が表示される。図17(B)に示す例では、「ボタンを長押ししてパワーをためろ!」のメッセージと共に、パワーゲージ及びボタン図柄が表示されることにより、遊技者に操作ボタン22の操作方法が通知される。このような通知により、遊技者は、操作ボタン22を押してパワーゲージに貯まるパワーが多いほど大当たりの確立が高いことを認識することができる。
・・・
【0145】
その後、前記長押し操作告知画像が表示されてから所定時間が経過すると、図17(C)に示すように、遊技者に操作ボタン22の操作開始指示を告知するための長押し操作開始画像が表示される。図17(C)に示す例では、前記長押し操作開始画像として、「スタート!」のメッセージが表示されることにより、遊技者に操作ボタン22の操作開始指示が通知される。このような通知により、遊技者は、操作ボタン22を押すタイミングが到来したことを認識することができる。
・・・
【0148】
その後、図17(F)に示すように、操作有効期間内に図柄表示部341の前記パワーゲージが満タンになると、図17(G)に示すように、中央の図柄の変動が停止して1列に並ぶ同じ図柄及び「大当たり!」のメッセージを含む長押し操作結果画像が表示される。
【0149】
一方、図柄表示部341の前記パワーゲージが満タンになるまでの間に、操作有効期間が経過すると、図17(H)に示すように、前記パワーゲージのパワー量が一気になくなり、図17(I)に示すように、1列に並ぶ異なる図柄及び「残念!」のメッセージを含む長押し操作結果画像が表示される。」

(キ)「【0216】
例えば、前記長押し操作演出に対応して「成功!」の文字を含む長押し操作結果画像と「失敗!」の文字を含む長押し操作結果画像とがROM611に記憶されており、前記変動開始コマンドに大当たり発生ありの情報が含まれる場合に「成功!」の文字を含む前記長押し操作結果画像を表示させ、前記変動開始コマンドに大当たり発生なしの情報が含まれる場合に「失敗!」の文字を含む前記長押し操作結果画像を表示させることが考えられる。また、前記長押し操作結果画像は、大当たり発生の有無を示すものに限らず、例えば大当たり発生の期待度を示唆するためのメッセージ又はキャラクタなどの画像であってもよい。
【0217】
また、ステップS1618では、音声ランプ制御装置5に長押し操作コマンドが送信され、音声ランプ制御装置5は、前記長押し操作結果画像に対応する演出音声をスピーカ26から出力し、前記長押し操作結果画像に対応する点灯態様で電飾部27を点灯させる。これにより、前記長押し操作演出処理では、演出音声及び点灯態様によって演出効果が高められる。さらに、パチンコ機10が、操作ボタン22を振動させるための振動モーター又は圧電素子などの振動手段を備える場合、ステップS1618において、前記長押し操作結果画像の表示と共に、振動手段を制御して操作ボタン22を振動させることにより、大当たり発生又は大当たりの期待度が高いことを示すことも考えられる。」

(ク)【図16】には、「表示制御装置の処理」として、「S1618」として「長押し操作演出画像の表示」が行われる旨図示されており、上記【0111】の「図16・・・表示制御装置6でMPU61によって実行される各種の処理」との記載を参酌すれば、図16には、S1618が表示制御装置6のMPU61によって実行されることが図示されているといえる。

(ケ)【図17】には以下の図面が記載されており(図面については、当審によって時計回りに90度回転させた。)、

【0141】には、「図17・・・特殊リーチが実行される場合の図柄表示部341の表示例」と記載されている。
そして、上記【0143】の「図17(B)に示すように、・・・長押し操作告知画像が表示される。図17(B)に示す例では、「ボタンを長押ししてパワーをためろ!」のメッセージと共に、パワーゲージ及びボタン図柄が表示される」との記載、上記【0145】の「その後、・・・所定時間が経過すると、図17(C)に示すように、・・・長押し操作開始画像が表示される」との記載、上記【0148】の「その後、図17(F)に示すように、・・・前記パワーゲージが満タンになると、図17(G)に示すように、中央の図柄の変動が停止して1列に並ぶ同じ図柄及び「大当たり!」のメッセージを含む長押し操作結果画像が表示される」との記載、上記【0149】の「一方、図柄表示部341の前記パワーゲージが満タンになるまでの間に、操作有効期間が経過すると、図17(H)に示すように、前記パワーゲージのパワー量が一気になくなり、図17(I)に示すように、1列に並ぶ異なる図柄及び「残念!」のメッセージを含む長押し操作結果画像が表示される」との記載を参酌すると共に、図17(G)、(I)において、長押し操作結果画像の表示が行われる際には、ボタン図柄の表示が終了しているといえるから、図17には、図柄表示部341において、「ボタンを長押ししてパワーをためろ!」のメッセージと共に、ボタン図柄の上に下向きの矢印がある画像であるボタン画像を表示し(図17(B))、その後所定期間(図17(B)?(F)、(H))にわたって前記ボタン画像を表示した後、ボタン画像の表示が終了すると共に、中央の図柄の変動が停止して、1列に並ぶ同じ図柄及び長押し操作結果画像(図17(G))、又は1列に並ぶ異なる図柄及び長押し操作結果画像(図17(I))を表示することが図示されているといえる。

以上の記載事項(ア)?(キ)及び図示内容(ク)から、以下の事項が導かれる。

(a)上記【0030】?【0031】には、「メイン制御ユニット331により大当たりの抽選が行われ・・・メイン制御ユニット331で行われた抽選結果が大当たりである場合に、可変入賞口316が所定時間(例えば30秒)開放される状態が所定回数(例えば16回)繰り返されることにより・・・遊技者に遊技上の価値が与えられる」と記載されているから、引用文献1には、可変入賞口316が所定時間(例えば30秒)開放される状態が所定回数(例えば16回)繰り返されることにより、遊技者に遊技上の価値が与えられるかの大当たり抽選が行われるメイン制御ユニット331が記載されているといえる。

(b)上記【0017】には、「操作ボタン22は・・・遊技者の押下操作を受け付ける押しボタンである」と記載されているから、引用文献1には、遊技者の押下操作を受け付ける操作ボタン22が記載されているといえる。

(c)上記【0138】には「図柄表示部341で行われる演出表示の実行中に、操作有効期間内における操作ボタン22の・・・操作に応じて・・・演出結果画像が演出結果として表示される」と記載され、上記【0111】には「表示制御装置6において、MPU61は・・・操作ボタン22の操作を伴う操作演出を実行するための各種の操作演出処理・・・を実行する」と記載されているから、引用文献1には、図柄表示部341で行われる演出表示の実行中に、操作有効期間内における操作ボタン22の操作に応じて、演出結果画像が演出結果として表示されるように制御する表示制御装置6のMPU61が記載されているといえる。

(d)上記【0217】には「操作ボタン22を振動させる・・・振動手段を備え・・・長押し操作結果画像の表示と共に、振動手段を制御して操作ボタン22を振動させることにより、大当たり発生又は大当たりの期待度が高いことを示す」と記載されているから、引用文献1には、操作ボタン22は、大当たり発生又は大当たりの期待度が高いことを示すために、振動手段を制御して振動させられることが記載されているといえる。

(e)上記(c)において既に検討したように、引用文献1には、「図柄表示部341で行われる演出表示の実行中に、操作有効期間内における操作ボタン22の操作に応じて、演出結果画像が演出結果として表示されるように制御する表示制御装置6のMPU61」が記載され、上記(カ)には図17の図示内容として「図柄表示部341において、「ボタンを長押ししてパワーをためろ!」のメッセージと共に、ボタン図柄の上に下向きの矢印がある画像であるボタン画像を表示し(図17(B))、その後所定期間(図17(B)?(F)、(H))にわたって前記ボタン画像を表示した後、ボタン画像の表示が終了すると共に、中央の図柄の変動が停止して、1列に並ぶ同じ図柄及び長押し操作結果画像(図17(G))、又は1列に並ぶ異なる図柄及び長押し操作結果画像(図17(I))を表示すること」が図示され、上記【0217】には「ステップS1618において、前記長押し操作結果画像の表示と共に、振動手段を制御して操作ボタン22を振動させることにより、大当たり発生又は大当たりの期待度が高いことを示す」と記載され、上記(ク)には、図16の図示内容として、「S1618が表示制御装置6のMPU61によって実行され」ることが図示されているのであるから、引用文献1には、表示制御装置6のMPU61は、「ボタンを長押ししてパワーをためろ!」のメッセージと共に、ボタン図柄の上に下向きの矢印がある画像であるボタン画像を表示し(図17(B))、その後所定期間(図17(B)?(F)、(H))にわたって前記ボタン画像を表示した後、ボタン画像の表示が終了すると共に、長押し操作結果画像を表示し、長押し操作結果画像の表示と共に、振動手段を制御して操作ボタン22を振動させることにより、大当たり発生又は大当たりの期待度が高いことを示すことが記載されているといえる。

(f)上記【0032】の「内部抽選の結果に応じた図柄変動表示」、及び【0034】の「内部抽選の結果・・・奇数の図柄が1ラインに並んだ状態が表示」との記載から、図柄表示部341で行われる図柄の変動は、複数の図柄によって行われているといえる。そして、上記(c)において既に検討したように、引用文献1には、「図柄表示部341で行われる演出表示の実行中に、操作有効期間内における操作ボタン22の操作に応じて、演出結果画像が演出結果として表示されるように制御する表示制御装置6のMPU61」が記載され、上記(ケ)には図17の図示内容として「図柄表示部341において、「ボタンを長押ししてパワーをためろ!」のメッセージと共に、ボタン図柄の上に下向きの矢印がある画像であるボタン画像を表示し(図17(B))、その後所定期間(図17(B)?(F)、(H))にわたって前記ボタン画像を表示した後、中央の図柄の変動が停止して、1列に並ぶ同じ図柄及び長押し操作結果画像(図17(G))、又は1列に並ぶ異なる図柄及び長押し操作結果画像(図17(I))を表示すること」が図示され、上記【0032】には「図柄表示部341では、・・・内部抽選の結果に応じた図柄変動表示・・・が行われる」と記載され、上記【0034】には「内部抽選の結果が確変大当たりの場合には、・・・奇数の図柄が1ラインに並んだ状態(例えば「333」又は「777」など)が表示される・・・内部抽選の結果が外れの場合には、異なる主図柄が1ラインに並んだ状態(例えば「323」又は「727」など)が表示される」と記載されているので、引用文献1には、表示制御装置6のMPU61は、所定期間(図17(B)?(F)、(H))にわたって前記ボタン画像を表示した後、内部抽選の結果に応じて、図柄表示部341において、複数の図柄の変動が停止して、1列に並ぶ同じ図柄(図17(G))、又は1列に並ぶ異なる図柄(図17(I))を表示することが記載されているといえる。

(g)上記【0030】には、「パチンコ機10」と記載されている。

以上の検討から、引用文献1には、次の発明が記載されていると認められる(以下、「引用発明」という。a?gは引用発明を分説するため当審で付した。)。

「a 可変入賞口316が所定時間(例えば30秒)開放される状態が所定回数(例えば16回)繰り返されることにより、遊技者に遊技上の価値が与えられるかの大当たり抽選が行われるメイン制御ユニット331と、
b 遊技者の押下操作を受け付ける操作ボタン22と、
c 図柄表示部341で行われる演出表示の実行中に、操作有効期間内における操作ボタン22の操作に応じて、演出結果画像が演出結果として表示されるように制御する表示制御装置6のMPU61とを備え、
d 操作ボタン22は、大当たり発生又は大当たりの期待度が高いことを示すために、振動手段を制御して振動させられ、
e 表示制御装置6のMPU61は、「ボタンを長押ししてパワーをためろ!」のメッセージと共に、ボタン図柄の上に下向きの矢印がある画像であるボタン画像を表示し(図17(B))、その後所定期間(図17(B)?(F)、(H))にわたって前記ボタン画像を表示した後、ボタン画像の表示が終了すると共に、長押し操作結果画像を表示し、長押し操作結果画像の表示と共に、振動手段を制御して操作ボタン22を振動させることにより、大当たり発生又は大当たりの期待度が高いことを示し、
f 表示制御装置6のMPU61は、所定期間(図17(B)?(F)、(H))にわたって前記ボタン画像を表示した後、内部抽選の結果に応じて、図柄表示部341において、複数の図柄の変動が停止して、1列に並ぶ同じ図柄(図17(G))、又は1列に並ぶ異なる図柄(図17(I))を表示する、
g パチンコ機10。」

(3)対比
本願補正発明と引用発明とを対比する(対比の見出しとしての(a)?(g)は引用発明の分説構成と対応させた。)。

(a)引用発明における、「可変入賞口316が所定時間(例えば30秒)開放される状態が所定回数(例えば16回)繰り返されることにより、遊技者に遊技上の価値が与えられ」ること、及び、「大当たり抽選が行われる」ことは、それぞれ、本願補正発明における「遊技者に有利な特別遊技を実行」すること、及び、「特別遊技を実行するか否かの判定を行う」ことに相当するので、引用発明における「可変入賞口316が所定時間(例えば30秒)開放される状態が所定回数(例えば16回)繰り返されることにより、遊技者に遊技上の価値が与えられるかの大当たり抽選が行われるメイン制御ユニット331」は、本願補正発明における「遊技者に有利な特別遊技を実行するか否かの判定を行う判定手段」に相当する。

(b)遊技者が操作ボタン22を押下操作するにあたっては、遊技者が操作ボタン22に接触することは明らかであるから、引用発明における「遊技者の押下操作を受け付ける操作ボタン22」は、本願補正発明における「遊技者が接触可能な接触手段」に相当する。

(c)引用発明における「操作ボタン22」及び「図柄表示部341」は、本願補正発明における、「前記接触手段」及び「所定の演出手段」に相当し、引用発明における「表示制御装置6のMPU61」は、操作ボタン22の操作に応じて図柄表示部341で行われる演出表示を制御するので、操作ボタン22や図柄表示部341を用いた演出を実行しているといえるから、本願補正発明における「演出制御手段」に相当する。
してみれば、引用発明における「図柄表示部341で行われる演出表示の実行中に、操作有効期間内における操作ボタン22の操作に応じて、演出結果画像が演出結果として表示されるように制御する表示制御装置6のMPU61」は、本願補正発明における「前記接触手段を含む所定の演出手段を用いて、所定の演出を実行可能な演出制御手段」に相当する。

(d)引用発明における、「操作ボタン22は、大当たり発生又は大当たりの期待度が高いことを示すために、振動させられることがあ」るという構成は、大当たり発生の時、又は、大当たりの期待度が高い時に、操作ボタン22が振動していない態様から、操作ボタン22が振動させられた態様にする、ということを意味している。
操作ボタン22が振動していない態様と操作ボタン22が振動させられた態様では、遊技者が操作ボタン22に接触しているときの遊技者の触感が互いに異なっていることは明らかなので、操作ボタン22は、遊技者が操作ボタン22に接触しているときの遊技者の触感が互いに異なる、振動していない態様と振動させられた態様とをとることができるといえる。
つまり、引用発明における「操作ボタン22は、大当たり発生又は大当たりの期待度が高いことを示すために、振動させられることがあ」ることは、本願補正発明における「前記接触手段は、遊技者が接触しているときの遊技者の触感が互いに異なる第1態様と第2態様とに変化可能に構成され」ることに相当する。

(e)引用発明における、ボタン図柄の上に下向きの矢印がある画像であるボタン画像は、「ボタンを長押ししてパワーをためろ!」のメッセージと共に表示され、ボタン図柄は操作ボタン22を意味し、ボタン図柄の上の下向きの矢印は、ボタンの操作方向である押下方向と同じものであるから、遊技者にボタンを長押しすることを促している画像であるといえる。
そして、上記(b)において既に検討したように、遊技者が操作ボタン22を押下操作するにあたっては、遊技者が操作ボタン22に接触することは明らかであるから、引用発明において、「ボタン図柄の上に下向きの矢印がある画像であるボタン画像を表示し(図17(B))、その後所定期間(図17(B)?(F)、(H))にわたって前記ボタン画像を表示」することは、本願補正発明における、「所定期間にわたって前記接触手段への接触を促す接触演出を実行」することに相当する。
また、引用発明において、長押し操作結果画像の表示と共に操作ボタン22を振動させるタイミングである、「ボタン画像の表示が終了する」時は、本願補正発明における「前記接触演出の実行終了時」に相当する。
そして、引用発明における「長押し操作結果画像を表示し、長押し操作結果画像の表示と共に、振動手段を制御して操作ボタン22を振動させることにより、大当たり発生」「を示す」ことについて、上記(d)においても検討したように「操作ボタン22を振動させる」ことは、操作ボタン22が振動していない態様から、振動させられた態様にするということを意味している。
また、引用発明における、ボタンの振動により「大当たり発生」「を示す」ことは、大当たり時にボタンを振動させることであり、大当たりはメイン制御ユニット331における大当たり抽選に基づいて発生するので、ボタンの振動が「大当たり抽選」に基づいているといえる。
そうすると、引用発明の「長押し操作結果画像を表示し、長押し操作結果画像の表示と共に、振動手段を制御して操作ボタン22を振動させることにより、大当たり発生」を示すことは、本願補正発明における、「判定の結果に基づいて、前記接触手段を前記第1態様から前記第2態様に変化させる」ことに相当する。
してみれば、引用発明における「「ボタンを長押ししてパワーをためろ!」のメッセージと共に、ボタン図柄の上に下向きの矢印がある画像であるボタン画像を表示し(図17(B))、その後所定期間(図17(B)?(F)、(H))にわたって前記ボタン画像を表示した後、ボタン画像の表示が終了すると共に、長押し操作結果画像を表示し、長押し操作結果画像の表示と共に、振動手段を制御して操作ボタン22を振動させることにより、大当たり発生又は大当たりの期待度が高いことを示」す「表示制御装置6のMPU61」は、本願発明の「所定期間にわたって前記接触手段への接触を促す接触演出を実行可能であり、前記接触演出の実行終了時において、前記判定の結果に基づいて、前記接触手段を前記第1態様から前記第2態様に変化させることが可能な接触演出制御手段」に相当する。

(f)引用発明における「所定期間(図17(B)?(F)、(H))にわたって前記ボタン画像を表示した後」について、上記(e)において検討したように、「所定期間(図17(B)?(F)、(H))にわたって前記ボタン画像を表示」することが、本願補正発明における、「(所定期間にわたって前記接触手段への接触を促す)接触演出を実行」することに相当するので、「所定期間(図17(B)?(F)、(H))にわたって前記ボタン画像を表示した後」は、本願補正発明における「接触演出を実行した後」に相当する。
また、「内部抽選の結果に応じて、図柄表示部341において、複数の図柄の変動が停止して、1列に並ぶ同じ図柄(図17(G))、又は1列に並ぶ異なる図柄(図17(I))を表示する」ことは、本願発明における「前記判定の結果に基づいて、所定の表示手段において変動表示していた複数の演出図柄を停止表示させる」ことに相当する。
そして、複数の図柄の変動が停止して1列に並ぶ同じ図柄又は1列に並ぶ異なる図柄を表示するタイミングは、所定期間(図17(B)?(F)、(H))にわたって前記ボタン画像を表示した後であるので、引用発明における、「所定期間(図17(B)?(F)、(H))にわたって前記ボタン画像を表示した後、内部抽選の結果に応じて、図柄表示部341において、複数の図柄の変動が停止して、1列に並ぶ同じ図柄(図17(G))、又は1列に並ぶ異なる図柄(図17(I))を表示する」「表示制御装置6のMPU61」は、本願発明の「記接触演出を実行した後、前記判定の結果に基づいて、所定の表示手段において変動表示していた複数の演出図柄を停止表示させる演出図柄制御手段」に相当する。

(g)引用発明における「パチンコ機10」は、本願補正発明における「遊技機」に相当する。

以上の検討より、本願補正発明と引用発明とは、
「【請求項1】
A 遊技者に有利な特別遊技を実行するか否かの判定を行う判定手段と、
B 遊技者が接触可能な接触手段と、
C 前記接触手段を含む所定の演出手段を用いて、所定の演出を実行可能な演出制御手段と、を備え、
D 前記接触手段は、遊技者が接触しているときの遊技者の触感が互いに異なる第1態様と第2態様とに変化可能に構成され、
E 前記演出制御手段は、
所定期間にわたって前記接触手段への接触を促す接触演出を実行可能であり、前記接触演出の実行終了時において、前記判定の結果に基づいて、前記接触手段を前記第1態様から前記第2態様に変化させることが可能な接触演出制御手段と、
F 前記接触演出を実行した後、前記判定の結果に基づいて、所定の表示手段において変動表示していた複数の演出図柄を停止表示させる演出図柄制御手段と、を有することを特徴とする
G 遊技機。」である点で一致し、相違する点はない。

(4)判断
したがって、本願補正発明は、引用発明であり、引用文献1に記載された発明である。

(5)請求人の主張について
請求人は、平成30年2月15日付け意見書において、「補正後の本願発明は、演出制御手段は、所定期間にわたって接触手段への接触を促す接触演出を実行可能であり、接触演出の実行終了時において、判定の結果に基づいて、接触手段を第1態様から第2態様に変化させることが可能な接触演出制御手段と、接触演出を実行した後、判定の結果に基づいて、所定の表示手段において変動表示していた複数の演出図柄を停止表示させる演出図柄制御手段と、を有する点に特徴があります。
補正後の本願発明と引用文献1とを対比しますと、本願発明では、接触演出において接触手段を第1態様から第2態様に変化させるタイミングを接触演出の実行終了時とし、接触演出を実行した後、判定の結果に基づいて、所定の表示手段において変動表示していた複数の演出図柄を停止表示させるようにしております。
これに対して、引用文献1では、演出図柄が停止するタイミングにおいて、本願発明の接触手段を第1態様から第2態様に変化させる接触演出に相当する長押し操作結果画像(段落[0217]参照)を停止表示させるようにしております。
よって、本願発明は、引用文献1とは判定の結果に基づいて、接触手段を第1態様から第2態様に変化させるタイミングが異なります。」(以下、「主張1」という。)及び「このような本願発明によれば、接触演出の実行終了時において、接触手段に接触している遊技者の手に振動を与えて大当たり期待度を示唆する遊技演出を実現することが可能になります。」(以下、「主張2」という。)と主張している。
しかしながら、主張1について、本願補正発明において、接触手段を第1態様から第2態様に変化させるタイミングは、「接触演出の実行終了時」であり、引用発明において、操作ボタン22を振動させるタイミングは、「ボタン画像の表示が終了」するタイミングであるので、請求人のいう「接触手段を第1態様から第2態様に変化させるタイミング」は、本願補正発明と引用発明で異なっていない。
また、主張2について、「遊技者の手に振動を与えて大当たり期待度を示唆する遊技演出を実現する」ためには、「遊技者の手に振動を与え」るタイミングが、大当たりとなることが確実となる前、つまり、演出図柄を停止表示させる前である必要がある。
しかしながら、本願補正発明において、接触手段を第1態様から第2態様に変化させるタイミング、及び、所定の表示手段において変動表示していた複数の演出図柄を停止表示させるタイミングは、それぞれ、「接触演出の実行終了時」、及び、「接触演出を実行した後」であって、接触手段を第1態様から第2態様に変化させるタイミングと、所定の表示手段において変動表示していた複数の演出図柄を停止表示させるタイミングとの関係が特定されているわけではない。
このため、本願発明は「遊技者の手に振動を与えて大当たり期待度を示唆する」ことができるとは限らず、当該主張2は請求項の記載に基づいたものではない。

(6)まとめ
以上のように、本願補正発明は、引用発明と同一の発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

4 補正却下の決定についてのむすび
上記3より、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正(平成30年2月15日付け手続補正)は上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成29年9月27日付け手続補正書により補正された、上記「第2[理由]1」で前述した特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。
「【請求項1】
遊技者に有利な特別遊技を実行するか否かの判定を行う判定手段と、
遊技者が接触可能な接触手段と、
前記接触手段を含む所定の演出手段を用いて、所定の演出を実行可能な演出制御手段と、を備え、
前記接触手段は、遊技者が接触しているときの遊技者の触感が互いに異なる第1態様と第2態様とに変化可能に構成され、
前記演出制御手段は、所定期間にわたって前記接触手段への接触を促す接触演出を実行可能であり、前記接触演出の実行を終了した後において、前記判定の結果に基づいて、前記接触手段を前記第1態様から前記第2態様に変化させることを可能にすることを特徴とする遊技機。」

2.前置審査段階における拒絶の理由
前置審査段階において通知された平成29年12月12日付け拒絶理由は、この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないというもの、及び、この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

引用文献1:特開2015-73670号公報

3.引用文献1に記載された事項
平成29年12月12日付け拒絶理由に引用された本願出願前に頒布された引用文献1の記載事項及び引用発明の認定については、上記「第2[理由]3(2)」に記載したとおりである。

4.対比・判断
本願補正発明は、上記「第2[理由]1」で検討したように、本願発明に対して、「前記演出制御手段」に関して、「前記接触手段を前記第1態様から前記第2態様に変化」させることが可能な時について、「接触演出の実行を終了した後」から、「接触演出の実行終了時」へと限定すると共に、「所定期間にわたって前記接触手段への接触を促す接触演出を実行可能であり」「前記判定の結果に基づいて、前記接触手段を前記第1態様から前記第2態様に変化」させることを行うものを「接触演出制御手段」とし、さらに、「前記演出制御手段」について、「前記接触演出を実行した後、前記判定の結果に基づいて、所定の表示手段において変動表示していた複数の演出図柄を停止表示させる演出図柄制御手段と、を有する」という特定事項で限定したものである。
そうすると、本願発明の構成要件をすべて含み、さらに「接触手段を前記第1態様から前記第2態様に変化」させうる時の取り得る範囲をさらに減縮したものに相当する本願補正発明が、上記「第2[理由]3(4)に記載したとおり、引用発明と同一の発明であるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明と同一の発明である。

5 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
したがって、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2018-07-09 
結審通知日 2018-07-10 
審決日 2018-07-23 
出願番号 特願2016-24635(P2016-24635)
審決分類 P 1 8・ 113- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 柳 重幸  
特許庁審判長 瀬津 太朗
特許庁審判官 川崎 優
井海田 隆
発明の名称 遊技機  
代理人 鈴木 均  

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