• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部申し立て ただし書き1号特許請求の範囲の減縮  A61K
審判 全部申し立て 2項進歩性  A61K
管理番号 1343850
異議申立番号 異議2017-700796  
総通号数 226 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2018-10-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2017-08-15 
確定日 2018-07-09 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6082382号発明「二酸化炭素を発生する美容シート製品」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6082382号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1?5〕、6、7について訂正することを認める。 特許第6082382号の請求項1?7に係る特許を維持する。 
理由 第1 主な手続の経緯
特許第6082382号(以下、「本件特許」という。)の請求項1?7に係る特許についての出願は、平成25年2月26日に出願され、平成29年1月27日にその特許権の設定登録がされ、同年2月15日に特許掲載公報が発行されたものである。
その後、その特許の全請求項について、同年8月15日に特許異議申立人 水野 智之(以下、「申立人」という。)により特許異議の申立てがされ、同年10月19日付けで取消理由が通知され、同年12月25日に意見書が提出され、平成30年1月17日付けで取消理由(決定の予告)が通知され、同年3月22日に意見書の提出及び訂正の請求があり、その訂正の請求に対して申立人から同年5月18日に意見書が提出されたものである。

第2 訂正の適否
1 訂正の趣旨
特許権者は、本件特許の特許請求の範囲を平成30年3月22日付けの訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1?7について訂正(以下、「本件訂正」という。)することを求める。

2 訂正の内容
本件訂正の内容は以下の(1)?(4)のとおりである。なお、下線は訂正箇所を示す。

(1) 訂正事項1
請求項1に
「疎水変性アルキルセルロース、酸、及び水を含む液剤(I)と、炭酸塩を担持しているシート状基材(II)とを含み、用時に該液剤(I)を該シート状基材(II)に含浸させて使用され、
前記疎水変性アルキルセルロースが、ステアロキシヒドロキシプロピルメチルセルロースである、美容シート製品。」
と記載されているのを、
「疎水変性アルキルセルロース、酸、及び水を含む液剤(I)と、炭酸塩を担持しているシート状基材(II)とを含み、用時に該液剤(I)を該シート状基材(II)に含浸させて使用され、
前記疎水変性アルキルセルロースが、ステアロキシヒドロキシプロピルメチルセルロースであり、
前記液剤(I)に含まれる前記疎水変性アルキルセルロースの含有量が0.1?0.5重量%である、美容シート製品。」
に訂正する。
また、請求項1の記載を引用する請求項3?5も同様に訂正する。

(2) 訂正事項2
請求項2に
「液剤(I)に含まれる疎水変性アルキルセルロースの含有量が0.01?0.9重量%である、請求項1に記載の美容シート製品。」
と記載されているのを、
「液剤(I)に含まれる疎水変性アルキルセルロースの含有量が0.4?0.5重量%である、請求項1に記載の美容シート製品。」
に訂正する
また、請求項2の記載を引用する請求項3?5も同様に訂正する。

(3) 訂正事項3
請求項6に
「美容が必要とされる人の身体部位に、疎水変性アルキルセルロース、酸、及び水を含む液剤(I)を、炭酸塩を担持しているシート状基材(II)に含浸させたシートを適用する工程を含み、
前記疎水変性アルキルセルロースが、ステアロキシヒドロキシプロピルメチルセルロースである、美容方法。」
と記載されているのを、
「美容が必要とされる人の身体部位に、疎水変性アルキルセルロース、酸、及び水を含む液剤(I)を、炭酸塩を担持しているシート状基材(II)に含浸させたシートを適用する工程を含み、
前記疎水変性アルキルセルロースが、ステアロキシヒドロキシプロピルメチルセルロースであり、
前記液剤(I)に含まれる前記疎水変性アルキルセルロースの含有量が0.1?0.5重量%である、美容方法。」
に訂正する。

(4) 訂正事項4
請求項7に
「疎水変性アルキルセルロース、酸、及び水を含む液剤(I)と、炭酸塩を担持しているシート状基材(II)との、美容シート製品の製造のための使用であって、
前記疎水変性アルキルセルロースが、ステアロキシヒドロキシプロピルメチルセルロースである。」
と記載されているのを、
「疎水変性アルキルセルロース、酸、及び水を含む液剤(I)と、炭酸塩を担持しているシート状基材(II)との、美容シート製品の製造のための使用であって、
前記疎水変性アルキルセルロースが、ステアロキシヒドロキシプロピルメチルセルロースであり、
前記液剤(I)に含まれる前記疎水変性アルキルセルロースの含有量が0.1?0.5重量%である。」
に訂正する。

3 訂正の目的の適否、新規事項の追加の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否、一群の請求項ごとか否か
(1) 訂正事項1、3、4について
請求項1、6、7についての訂正は、それぞれ請求項1、6、7に係る発明の液剤(I)に含まれる「疎水変性アルキルセルロース」について、訂正前にはその含有量が特定されていなかったものを、「含有量が0.1?0.5重量%であ」ると特定し限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、上記限定事項は、訂正前の請求項2に記載されている「0.01?0.9重量%」、及び、本件特許明細書【0022】、【0053】の【表1】の実施例1?4におけるステアロキシヒドロキシプロピルメチルセルロースの含有量に基くものである。
したがって、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
また、訂正後の請求項3?5は、訂正後の請求項1を引用するものであるから、訂正事項1に関する請求項3?5についての訂正は、請求項1についての訂正と同様に、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(2) 訂正事項2について
請求項2についての訂正は、「疎水変性アルキルセルロースの含有量」について、訂正前に「0.01?0.9重量%」とあったのを、より狭い数値範囲である「0.4?0.5重量%」に特定し限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、上記限定事項は、本件特許明細書【0053】の【表1】の実施例1、2におけるステアロキシヒドロキシプロピルメチルセルロースの含有量に基くものである。
したがって、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
また、訂正後の請求項3?5は、訂正後の請求項2を引用するものであるから、請求項3?5についての訂正は、請求項2についての訂正と同様に、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(3) 一群の請求項ごとか否か
本件訂正に係る訂正前の請求項1?5は、請求項2が訂正の請求の対象である請求項1を引用し、請求項3?5が訂正の請求の対象である請求項1、2を引用する関係にあるから、訂正前において一群の請求項に該当するものである。したがって、請求項1?5についての訂正の請求は一群の請求項ごとにされたものである。

4 小括
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
よって、訂正後の請求項〔1?5〕、6、7についての訂正を認める。

第3 特許異議の申立てについて
1 本件発明
上記第2で述べたように、本件訂正は認められるので、本件特許の請求項1?7に係る発明(以下、それぞれ「本件訂正発明1」などといい、まとめて「本件訂正発明」ともいう。)は、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1?7に記載された事項により特定される次のとおりのものである。

「【請求項1】
疎水変性アルキルセルロース、酸、及び水を含む液剤(I)と、炭酸塩を担持しているシート状基材(II)とを含み、用時に該液剤(I)を該シート状基材(II)に含浸させて使用され、
前記疎水変性アルキルセルロースが、ステアロキシヒドロキシプロピルメチルセルロースであり、
前記液剤(I)に含まれる前記疎水変性アルキルセルロースの含有量が0.1?0.5重量%である、美容シート製品。
【請求項2】
液剤(I)に含まれる疎水変性アルキルセルロースの含有量が0.4?0.5重量%である、請求項1に記載の美容シート製品。
【請求項3】
フェイスパックシートとして使用される、請求項1または2に記載の美容シート製品。
【請求項4】
シート状基材(II)において、炭酸塩を担持させるシート基剤が不織布である、請求項1?3のいずれかに記載の美容シート製品。
【請求項5】
外力により崩壊可能な隔離部を介して独立して存在する2つの収容部がある2剤型容器において、一方の収容部に前記液剤(I)が収容され、他方の収容部に前記シート状基材(II)が収容されている、請求項1?4のいずれかに記載の美容シート製品。
【請求項6】
美容が必要とされる人の身体部位に、疎水変性アルキルセルロース、酸、及び水を含む液剤(I)を、炭酸塩を担持しているシート状基材(II)に含浸させたシートを適用する工程を含み、
前記疎水変性アルキルセルロースが、ステアロキシヒドロキシプロピルメチルセルロースであり、
前記液剤(I)に含まれる前記疎水変性アルキルセルロースの含有量が0.1?0.5重量%である、美容方法。
【請求項7】
疎水変性アルキルセルロース、酸、及び水を含む液剤(I)と、炭酸塩を担持しているシート状基材(II)との、美容シート製品の製造のための使用であって、
前記疎水変性アルキルセルロースが、ステアロキシヒドロキシプロピルメチルセルロースであり、
前記液剤(I)に含まれる前記疎水変性アルキルセルロースの含有量が0.1?0.5重量%である。」

2 申立人の取消理由の概要
申立人は、証拠方法として以下の甲第1号証及び甲第2号証を提示し、概略、次の取消理由1を主張する。

(1) 取消理由1
本件特許の請求項1?7に係る発明は、本件特許の出願(優先日)前日本国内又は外国において頒布された甲第1号証及び甲第2号証に記載された発明に基いて、その出願(優先日)前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、これら請求項に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。

(2) 証拠方法
甲第1号証:特開2011-26249号公報(以下、「甲1」という。)
甲第2号証:国際公開第2011/162421号(以下、「甲2」という。)

3 合議体が通知した取消理由の概要
当合議体が、平成30年1月17日付けで通知した取消理由の概要は、上記申立人の取消理由1と同旨である。

4 取消理由1の当否について
(1) 刊行物の記載事項
ア 本件特許の出願(優先日)前に頒布された刊行物である甲1には、以下の記載がある。
(ア) 「【請求項1】
炭酸塩及び/又は炭酸水素塩を含有する薬品と水溶液中で酸性を示す化合物を含有する薬品とを水の存在下で接触させることにより二酸化炭素を発生させる機能性シートであって、この機能性シートは、前記炭酸塩及び/又は炭酸水素塩を含有する薬品、及び前記水溶液中で酸性を示す化合物を含有する薬品の少なくとも一方を担持体に担持させたことを特徴とする機能性シート。
・・・
【請求項6】
仕切り部によって複数に区分けされた密封性袋材における一の小室には、炭酸塩及び/又は炭酸水素塩を含有する薬品を担持した担持体を封入し、一方、他の小室には、水溶液中で酸性を示す化合物を含有する薬品を封入し、前記仕切り部を破壊することにより、炭酸塩及び/又は炭酸水素塩を含有する薬品と水溶液中で酸性を示す化合物を含有する薬品とを接触させることを特徴とする機能性シート。」
(イ) 「【0001】
本発明は、皮膚表面に施用することにより、皮膚の血行促進や賦活化等を図る機能性シートに関する。」
(ウ) 「【0015】
ここで、酸性化合物を含有する薬品とは、酸性化合物100%の薬品であっても、何らかの媒体に包含させた状態の薬品であっても良いことを意味する。又、酸性化合物を含有する薬品としては、粉末の状態であっても、何らかの流動体(粘性流動体を含む。)に含有された液状の薬品(薬液)の状態であっても良い。この流動体の好適な例としては、水、エタノール等のアルコール類、グリセリン等の多価アルコール類、キサンタンガムやエコーガムなどの多糖類、水溶性高分子及びこれらの流動体から選ばれた少なくとも一種以上の混合物を挙げることができる。」
(エ) 「【0020】
各薬品の一方を担持体に担持させる場合における本発明の機能性シートの使用方法としては、例えば、担持体をもう一方の薬品に浸漬したり、担持体にもう一方の薬品を塗りつけたり、スプレーしたりした後に皮膚表面に貼着する手段を挙げることができる。又、担持体を肌表面に貼着した上から、もう一方の薬品を塗りつけたり、スプレーしたりする手段も挙げることができる。更に、一方の薬品を肌表面に塗った上から担持体を貼着する手段も挙げることができる。」
(オ) 「【0022】
ここで、酸性化合物を含有する薬品を担持体に担持するか、炭酸塩等を含有する薬品を担持体に担持するか、或いは各薬品を各々担持体に担持するかは、化学反応上の観点からは別段の差異はない。従って、本発明においては、原則としていずれを選択しても良い。」
(カ) 「【0029】
本発明において用いられる前記担持体としては、薬品を担持することができるフィルム状ないしシート状の担持体であれば特に限定されるものではない。具体的に例えば、既知の天然繊維及び/又は人造繊維からなる布基材、又は高分子材料からなるフィルムないしシートを挙げることができる。
【0030】
前記天然繊維及び/又は人造繊維から成る布基材としては、一般的には、紙、布、タオル、毛布、編み物、キルト、不織布及び織布等を挙げることができる。」
(キ) 「【0059】
そして、仕切り部によって複数に区分けされた密封性袋材を利用した本発明の機能性シートは、密封性袋材における仕切り部を破壊することにより、炭酸塩等を含有する薬品と酸性化合物を含有する薬品とを接触させる。
【0060】
即ち、仕切り部によって複数に区分けされた密封性袋材を利用した本発明の機能性シートにおいては、使用者が使用時において仕切り部を破壊することにより、前記炭酸塩等を含有する薬品と酸性化合物を含有する薬品とを接触させて、二酸化炭素を発生させるのである。
【0061】
これより、仕切り部によって複数に区分けされた密封性袋材を利用した本発明の機能性シートは、使用上の煩雑な作業を必要とすることなく、仕切り部を破壊するといった簡単な作業のみで二酸化炭素を発生させることができる。又、一回分の用量の薬品を密封性袋材に個別包装しているから、使用者において使用毎に量り採る必要が無くなり、薬品の用量を誤ることも無くなる。更に、一回限りの使い捨てとなるため、薬品を常に新鮮で活性な状態に保つこともできる。
【0062】
その後、使用者は、当該袋材を開封して担持体を皮膚表面の所望の箇所に貼着する。これより、担持体を貼着した箇所において、炭酸ガスの発生による皮膚マッサージ効果や表皮下の毛細血管拡張効果等が得られ、皮膚の血行促進や賦活化などを図ることができる。」
(ク) 「【0084】
・・・
<炭酸塩等を含有する薬品>
下記表2に示す成分からなる炭酸塩等を含有する薬品(以下、「薬品A」と称する。)を得た。当該薬品AのpHは7.6であった。
【0085】
【表2】
┌──────────────┬──────────┐
│ 成分 │ 配合率(wt%) │
├──────────────┼──────────┤
│炭酸水素ナトリウム │ 5.00 │
├──────────────┼──────────┤
│1,3-ブチレングリコール │ 5.00 │
├──────────────┼──────────┤
│メチルパラベン │ 0.10 │
├──────────────┼──────────┤
│エチルパラベン │ 0.05 │
├──────────────┼──────────┤
│エコーガム │ 0.50 │
├──────────────┼──────────┤
│濃グリセリン │ 5.00 │
├──────────────┼──────────┤
│クエン酸二ナトリウム │ 2.00 │
├──────────────┼──────────┤
│精製水 │ 残 │
└──────────────┴──────────┘
【0086】
<酸性化合物を含有する薬品>
酸性化合物として、下記表3に示す成分からなる薬品(以下、「薬品B」と称する。)を得た。なお、当該薬品Bに含有される酸性化合物は、下記表3に示す各酸性化合物をそれぞれ用いた。又、比較例(プラセボ)として酸性化合物の代わりにクエン酸三ナトリウムを配合してなる薬品も得た。各酸性化合物を含有した際の薬品B及び比較例のpHを表4に併せて示す。
【0087】
【表3】
┌────────┬───────────┐
│ 成分 │ 配合率(wt%) │
├────────┼───────────┤
│酸性化合物 │ 2.00-5.00 │
├────────┼───────────┤
│濃グリセリン │ 13.00 │
├────────┼───────────┤
│キサンタンガム │ 0.70 │
├────────┼───────────┤
│エタノール │ 20.00 │
├────────┼───────────┤
│精製水 │ 残 │
└────────┴───────────┘
【0088】
【表4】
┌───────────┬──────────┬─────┐
│ 酸性化合物 │ 配合率(wt%) │ pH │
├───────────┼──────────┼─────┤
│サリチル酸 │ 2.00 │ 2.4│
├───────────┼──────────┼─────┤
│クエン酸 │ 5.00 │ 2.1│
├───────────┼──────────┼─────┤
│リンゴ酸 │ 5.00 │ 2.2│
├───────────┼──────────┼─────┤
│乳酸 │ 5.00 │ 2.3│
├───────────┼──────────┼─────┤
│コハク酸 │ 5.00 │ 2.9│
├───────────┼──────────┼─────┤
│酒石酸 │ 5.00 │ 2.0│
├───────────┼──────────┼─────┤
│アスコルビン酸 │ 5.00 │ 2.8│
┝━━━━━━━━━━━┿━━━━━━━━━━┿━━━━━┥
│クエン酸三ナトリウム │ 2.00 │ 7.9│
└───────────┴──────────┴─────┘
【0089】
<薬品Bを担持してなる布基材>
不織布(コットン製不織布(表面積約21cm^(2))、厚さ400μm、坪量60g/m^(2))表面に対し、前記薬品B及び比較例の薬品を500g/m^(2)となるように塗工し、十分に乾燥させた。
【0090】
<試料1>
前述の密封性袋材における一の小室に薬品A(約4ml)を封入し、他の小室に薬品B(約4ml)を封入することにより、本発明の機能性シート及び比較例に係る薬剤(試料1)を得た。即ち、この試料1には布基材を介在させていない。
【0091】
<試料2>
前述の密封性袋材における一の小室に薬品A(約4ml)を封入し、他の小室に薬品Bを担持してなる不織布を2枚重ねて封入することにより、本発明の機能性シート及び比較例に係る薬剤(試料2)を得た。
・・・
【0097】
<官能試験1>
試料1の密封性袋材における仕切り部を破壊することにより、薬品Aと薬品Bを反応させ、反応後の混合溶液を目元へ塗布した。その際の使用感等を項目別に評価した(被験者10人)。
【0098】
<官能試験2>
試料2の密封性袋材における仕切り部を破壊することにより、薬品Aを一の小室から他の小室に移動させ、当該他の小室内において、当該薬品Aと不織布に担持された薬品Bとを反応させた。袋材が膨らんできたところで、袋材から不織布を取り出し目元へ貼着した。その際の使用感等を、項目別に評価した(被験者10人)。
・・・
【0101】
表6に示す結果から、本発明の肌活性剤の有益性が確認された。又、布基材を介して皮膚に貼着した場合、薬品の垂れ等を抑制することができるうえ、穏やかな反応が長期間にわたって継続するため、より一層の肌活性効果を得ることも確認された。」

イ 本件特許の出願(優先日)前に頒布された刊行物である甲2には、以下の記載がある。
「[0010] 本発明は、以下の発泡型皮膚外用剤を提供するものである。
項1.疎水化変性アルキルセルロースを必須成分とする発泡型皮膚外用剤。
項2.疎水化変性アルキルセルロース;炭酸塩及び重炭酸塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の塩;並びに水溶性酸を含む、前記項1に記載の発泡型皮膚外用剤。
・・・
項11.発泡型皮膚外用剤が、炭酸塩及び重炭酸塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の塩を含むA剤と、水溶性酸を含むB剤が、分離されており、使用時に混合されるものである、ことを特徴とする前記項2?10のいずれかに記載の発泡型皮膚外用剤。
発明の効果
[0013] 発泡型皮膚外用剤において、疎水化変性アルキルセルロースを必須成分とすることで、炭酸ガスの発泡量・保持力と、肌からの垂れ防止等の使用性の良さを両立することができる。
発明を実施するための形態
・・・
[0017] (1)疎水化変性アルキルセルロース
本発明の発泡型皮膚外用剤に用いられる疎水化変性アルキルセルロースは、セルロースエーテル誘導体に、疎水性基である長鎖アルキル基を導入したものである。
・・・
[0024] 疎水化変性アルキルセルロースに導入される疎水基である基:-CH_(2)CH(OH)CH_(2)OC_(j)H_(2j+1)のC_(j)H_(2j+1)は、ステアリル基(-C_(18)H_(37))であることが泡保持力の付与、肌からの垂れ防止、使用感の良さ等から好適である(これにより、基:-CH_(2)CH(OH)CH_(2)OC_(j)H_(2j+1)は、基:-CH_(2)CH(OH)CH_(2)O-C_(18)H_(37)となる)。
・・・
[0049] (7)発泡型皮膚外用剤の形態
・・・
[0050] また、本発明の発泡型皮膚外用剤は、炭酸塩等を含むA剤と、水溶性酸を含むB剤という、少なくとも2剤が分離されており、使用時に混合される方法(形態)が好ましい。このとき、疎水化変性アルキルセルロースは、A剤及び/又はB剤に含まれる。また、水は、A剤及び/又はB剤に含まれるか、使用時にA剤及びB剤を混合する際に随時・適量添加されても良い。
・・・
[0052] 本発明の発泡型皮膚外用剤は、炭酸塩及び重炭酸塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の塩を含むA剤と、水溶性酸を含むB剤が、分離されており、使用時に混合されるものであることが好ましい。このとき、炭酸塩及び重炭酸塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の塩を含むA剤及び水溶性酸を含むB剤は、液状もしくは粒状(粉状)の組成物であることが好ましい。
・・・
[0055] (8)2剤(A剤及びB剤)としての使用態様
2剤(炭酸塩等を含むA剤及び水溶性酸を含むB剤)として使用する場合の本発明の発泡型皮膚外用剤を説明する。
・・・
[0059] B剤が水を30?99.3質量%含む液状組成物であるときは、B剤中の疎水化変性アルキルセルロースの含有量は、粘性が高くなり過ぎて容器から出てきにくくなるという理由から、好ましくは0.1?10質量%、更に好ましくは0.1?5.0質量%である。
・・・
[0074] (10)泡型皮膚外用剤の使用態様の具体例
以下に炭酸塩等を含むA剤及び水溶性酸を含むB剤とする本発明の泡型皮膚外用剤の好ましい具体例を示す。
・・・
[0084] 本発明の発泡型皮膚外用剤の使用部位に制限はないが、ボディ用化粧料(例えば、頭皮育毛剤)として用いて、全身(頭皮)の血行促進を目的とすることも可能であるが、直接的に作用し効果が高いスキンケア化粧料として顔面に使用することが好ましい。スキンケア化粧料として、ローション、乳液、クリーム、軟膏、シート状等の剤形での使用が可能であるが、パック化粧料として、顔面を覆い炭酸ガスを閉塞して高濃度とすることで血行促進効果を高めることが出来るため、パック化粧料がもっとも好ましいといえる。
・・・
実施例
[0088] 次に、実施例および比較例により、本発明を製剤形態およびそれらにより得られる効果について具体的に説明する。
[0089] <実施例1>
下記(表1:処方)に示す発泡型パックA剤およびB剤を調製した。得られた発泡型パックについて、これらをA剤(30g)、B剤(1.0g)の割合で混合し、混合時の発泡の確認・泡保持力について評価した。また、実際に頬部に使用した時の頬からの液垂れの有無についても合わせて評価した。評価結果を下記(表2:結果)に示す。評価は目視にて行い、下記の項目にて判定した。
[0090] 〔混合時の発泡〕
○:有意に発泡を確認できた。
△:混合開始は確認できたが、混合中に泡の大気中への放出による減少が確認された。
×:混合開始は確認できたが、混合中に泡の大部分が大気中へ放出してしまった。
[0091] 〔泡保持力〕
○:初期状態(混合直後)から変化なし(泡が抜けていない)。
△:初期状態から若干の減少は見られるが、十分な泡の残存が確認できる。
×:あきらかに泡の減少が確認できる。
[0092] 〔使用時の液垂れの有無〕
○:液垂れは起こらなかった。
△:時間が経つと液垂れが起きた。
×:塗布直後から液垂れが起きた。
[0093][表1]
┏━━┳━━━━━━━━━━━┯━━━━━┯━━━━━┯━━━━━┓
┃ ┃ │実施例1 │比較例1 │比較例2 ┃
┃ ┃ 成分名 │成分構成 │成分構成 │成分構成 ┃
┃ ┃ │(質量%)│(質量%)│(質量%)┃
┣━━╋━━━━━━━━━━━┿━━━━━┿━━━━━┿━━━━━┫
┃ ┃水 │82.5 │82.5 │82.5 ┃
┃ ┠───────────┼─────┼─────┼─────┨
┃ ┃ステアロキシヒドロキシ│ 1.0 │ - │ - ┃
┃ ┃プロピルメチルセルロー│ │ │ ┃
┃ ┃ス │ │ │ ┃
┃ ┠───────────┼─────┼─────┼─────┨
┃ ┃カルボキシメチルセルロ│ - │ 1.0 │ - ┃
┃ ┃ース │ │ │ ┃
┃ ┠───────────┼─────┼─────┼─────┨
┃A剤┃アルギン酸ナトリウム │ - │ - │ 1.0 ┃
┃ ┠───────────┼─────┼─────┼─────┨
┃ ┃1,3-ブチレングリコ│15.0 │15.0 │15.0 ┃
┃ ┃ール │ │ │ ┃
┃ ┠───────────┼─────┼─────┼─────┨
┃ ┃炭酸水素ナトリウム │ 1.0 │ 1.0 │ 1.0 ┃
┃ ┠───────────┼─────┼─────┼─────┨
┃ ┃フェノキシエタノール │ 0.5 │ 0.5 │ 0.5 ┃
┣━━╋━━━━━━━━━━━┿━━━━━┿━━━━━┿━━━━━┫
┃ ┃クエン酸 │50.0 │50.0 │50.0 ┃
┃B剤┠───────────┼─────┼─────┼─────┨
┃ ┃マルチトール │50.0 │50.0 │50.0 ┃
┗━━┻━━━━━━━━━━━┷━━━━━┷━━━━━┷━━━━━┛
[0094] 上記表1では、ステアロキシヒドロキシプロピルメチルセルロース:大同化成工業(株)社製の商品名:サンジェロース60L、カルボキシメチルセルロース:ダイセルファインケム(株)の商品名:CMCダイセル1380、アルギン酸ナトリウム:(株)フードケミファの商品名:ダックアルギンNSPH、1,3‐ブチレングリコール:ダイセル化学工業(株)の商品名:1,3-BGK、炭酸水素ナトリウム:東ソー(株)の商品名:重炭酸ナトリウム(局方)、フェノキシエタノール:東邦化学工業(株)のハイソルブEPH、クエン酸:磐田化学工業(株)の商品名:クエン酸(結晶)及びマルチトール:(株)林原生物化学研究所の商品名:粉末マビットを用いた。
[0095]
[表2]

[0096] 表2からもわかるように、実施例1は混合時の発泡、泡保持力に優れており、また発泡した泡の弾力により、使用時に頬から垂れることはなかった。一方、比較例1および比較例2は発泡、泡保持力ともに不十分であり、また使用時に頬から垂れるという結果になった。
[0097] <実施例2>
・・・
[0101]
[表3]
┏━━━┳━━━━━━━━━━━━━┯━━━━━┯━━━━━┓
┃ ┃ │実施例2 │比較例3 ┃
┃ ┃ 成分名 │成分構成 │成分構成 ┃
┃ ┃ │(質量%)│(質量%)┃
┣━━━╋━━━━━━━━━━━━━┿━━━━━┿━━━━━┫
┃ ┃水 │81.0 │79.5 ┃
┃ ┠─────────────┼─────┼─────┨
┃ ┃ステアロキシヒドロキシプロ│ 2.5 │ - ┃
┃ ┃ピルメチルセルロース │ │ ┃
┃ ┠─────────────┼─────┼─────┨
┃A剤 ┃アルギン酸ナトリウム │ - │ 4.0 ┃
┃ ┠─────────────┼─────┼─────┨
┃ ┃1,3-ブチレングリコール│14.0 │14.0 ┃
┃ ┠─────────────┼─────┼─────┨
┃ ┃炭酸水素ナトリウム │ 1.5 │ 1.5 ┃
┃ ┠─────────────┼─────┼─────┨
┃ ┃1,2-ペンタンジオール │ 1.0 │ 1.0 ┃
┣━━━╋━━━━━━━━━━━━━┿━━━━━┿━━━━━┫
┃ ┃水 │49.5 │49.5 ┃
┃ ┠─────────────┼─────┼─────┨
┃B剤 ┃クエン酸 │50.0 │50.0 ┃
┃ ┠─────────────┼─────┼─────┨
┃ ┃フェノキシエタノール │ 0.5 │ 0.5 ┃
┗━━━┻━━━━━━━━━━━━━┷━━━━━┷━━━━━┛
・・・
[0103]
[表4]

[0104] 表4からもわかるように、実施例2は混合時の発泡、泡保持力に優れていた。また、使用時にも十分な粘性を保っており、頬から垂れることもなかった。一方、比較例3は時用時に液が頬から垂れなかったものの、混合時の泡の発泡、泡保持力ともに不十分であった。
・・・
[0109] <実施例4>
下記(表6:処方)に示す液垂れを起こさないような高粘度の発泡型パックA剤およびB剤を調製した(実施例4-1?4-5)。この処方は、A剤(炭酸塩等を含む剤)及びB剤(水溶性酸を含む剤)にステアロキシヒドロキシプロピルメチルセルロースを含み、B剤に水を含むものである。得られた発泡型パックについて、これらをA剤(2.0g)、B剤(20.0g)の割合で混合し、混合時の発泡の確認・泡保持力について評価した。また、実際に頬部に使用した時の頬からの液垂れの有無についても合わせて評価した。
[0110]
[表6]

・・・
[0112] 実施例4-1?4-5は、実施例1と同様に混合時の発泡、泡保持力に優れていた。また、使用時にも十分な粘性を保っており、頬から垂れることもなかった。
[0113] <実施例5>
下記(表7:処方)に示す液垂れを起こさないような高粘度の発泡型パックA剤およびB剤を調製した(実施例5-1?5-5)。この処方は、A剤(炭酸塩等を含む剤)及びB剤(水溶性酸を含む剤)に、夫々ステアロキシヒドロキシプロピルメチルセルロース及び水を含むものである。得られた発泡型パックについて、これらをA剤(10.0g)、B剤(10.0g)の割合で混合し、混合時の発泡の確認・泡保持力について評価した。また、実際に頬部に使用した時の頬からの液垂れの有無についても合わせて評価した。
[0114]
[表7]

実施例5-1?5-5は、実施例2と同様に混合時の発泡、泡保持力に優れていた。また、使用時にも十分な粘性を保っており、頬から垂れることもなかった。」

(2) 甲1に記載された発明
上記(1)ア(ア)?(ク)より、甲1には次のとおりの発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されていると認める。
「炭酸塩と酸を水の存在下で接触させることにより二酸化炭素を発生させる機能性シートであって、この機能性シートは、前記炭酸塩を担持させたシート状の担持体と、水、多糖類等から選ばれた少なくとも一種以上の混合物である流動体(粘性流動体を含む。)に酸を含有させた液状の薬品(薬液)とを含み、前記担持体を前記薬液に浸漬することによって使用されるものであり、皮膚表面に施用することによって皮膚の血行促進や賦活化等を図るものである、機能性シート。」

(3) 本件訂正発明1と甲1発明との対比
ア 甲1発明における「液状の薬品(薬液)」、「シート状の担持体」は、本件訂正発明1における「液剤(I)」、「シート状基剤(II)」にそれぞれ相当する。

イ 甲1発明における「前記担持体を前記薬液に浸漬することによって使用され」は、本件訂正発明1の「用時に該液剤(I)を該シート状基材(II)に含浸させて使用され」に相当する。

ウ 甲1発明における「皮膚表面に施用することによって皮膚の血行促進や賦活化等を図る」ことは、本件特許の出願(優先日)前の技術常識に照らして、当然ヒトの容姿を美しくするものと認められ、本件訂正発明1の「美容」に相当し、よって、甲1発明の「機能性シート」は本件訂正発明1の「美容シート製品」に相当する。

エ 本件訂正発明1の「疎水変性アルキルセルロース」は多糖類である。

オ そうすると、本件訂正発明1と甲1発明とは、
「多糖類、酸、及び水を含む液剤(I)と、炭酸塩を担持しているシート状基材(II)とを含み、用時に該液剤(I)を該シート状基材(II)に含浸させて使用される、美容シート製品。」
の点で一致し、次の点で相違する。

相違点1:液剤(I)に含まれる多糖類が、本件訂正発明1では疎水変性アルキルセルロースであるステアロキシヒドロキシプロピルメチルセルロースであるのに対し、甲1発明ではその旨特定されていない点。

相違点2:本件訂正発明1では、液剤(I)に含まれる疎水変性アルキルセルロースの含有量が0.1?0.5重量%と特定されているのに対し、甲1発明ではそのような特定がされていない点

(4) 相違点についての検討
ア 相違点1について
(ア) 上記(1)イのとおり、甲2には、炭酸塩と酸とを混合して炭酸ガスを発生させ、顔面等に使用することで血行促進効果を得るための発泡型皮膚外用剤において、ステアロキシヒドロキシプロピルメチルセルロースを含有させた場合に、カルボキシメチルセルロース又はアルギン酸ナトリウムを含有させた場合と比較して優れた発泡及び泡保持力を得られることが記載されている。ここで、ステアロキシヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース及びアルギン酸ナトリウムは、いずれも多糖類及び増粘剤として当業者に周知のものである。

(イ) そうすると、甲1発明と甲2に記載された発明はともに、炭酸塩と、酸及び多糖類を含有する薬液とを混合して炭酸ガスを発生させ、顔面等に使用することで血行促進効果を得るための発泡型皮膚外用剤という点で技術分野が共通するものであるから、甲1発明において酸を含む薬液に含有させる多糖類として、発泡及び泡保持力に優れる甲2に記載のステアロキシヒドロキシプロピルメチルセルロースを採用することは、当業者が容易になしうることであるといえる。

イ 相違点2について
上記(1)イのとおり、甲2には、「[0059]・・・B剤中の疎水化変性アルキルセルロースの含有量は、・・・好ましくは0.1?10質量%、更に好ましくは0.1?5.0質量%である」という広範な数値範囲が記載され、その具体的な実施態様としては、1.0質量%、1.5質量%、又は2.5質量%という高含有量のものが実施例に開示されるに留まり、特に本件訂正発明1の「0.1?0.5重量%」とする動機付けは存在しない。
そして、本件訂正発明1は、実施例に示されるように酸を含む液剤(I)にステアロキシヒドロキシプロピルメチルセルロースを0.1?0.5重量%の量で配合することにより、当該酸を含む液剤を炭酸塩を担持させたシート状基材に含浸させた際に、微細な気泡状の二酸化炭素を均一且つ持続的に発生できるという効果を奏するものであり、そのような効果は甲1、2の記載からは予測できない顕著なものである。

(5) 小括
以上のとおりであるから、本件訂正発明1は、甲1発明及び甲2の記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。

(6) 本件訂正発明2?5について
本件訂正発明2?5は、本件訂正発明1を引用してさらに特定するものであるから、本件訂正発明1と同様の理由により、甲1発明及び甲2の記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。

(7) 本件訂正発明6、7について
本件訂正発明6は、美容が必要とされる人の身体部位に、疎水変性アルキルセルロース、酸、及び水を含む液剤(I)を、炭酸塩を担持しているシート状基材(II)に含浸させたシートを適用する工程を含み、前記疎水変性アルキルセルロースが、ステアロキシヒドロキシプロピルメチルセルロースであり、前記液剤(I)に含まれる前記疎水変性アルキルセルロースの含有量が0.1?0.5重量%である、美容方法である。
本件訂正発明7は、疎水変性アルキルセルロース、酸、及び水を含む液剤(I)と、炭酸塩を担持しているシート状基材(II)との、美容シート製品の製造のための使用であって、前記疎水変性アルキルセルロースが、ステアロキシヒドロキシプロピルメチルセルロースであり、前記液剤(I)に含まれる前記疎水変性アルキルセルロースの含有量が0.1?0.5重量%である。
すなわち、本件訂正発明6、7もまた、本件訂正発明1と同様、酸を含む液剤(I)にステアロキシヒドロキシプロピルメチルセルロースを0.1?0.5重量%配合したものを、炭酸塩を担持させたシート状基材と組み合わせるものであって、そのことにより微細な気泡状の二酸化炭素を均一且つ持続的に発生できるという効果を奏するものである。
したがって、本件訂正発明6、7についても、上記(4)イで述べたのと同様の理由により、甲1発明及び甲2の記載事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。

(8) 取消理由1についてのまとめ
以上のとおりであるから、申立人の主張する取消理由1には理由がない。

(9) 申立人の意見について
平成30年5月18日提出の意見書の12頁下から9行?14頁10行(「意見12」?「意見14」)において申立人は、甲2には、水溶性酸を含むB剤が水を含む液状組成物であるとき、B剤中の疎水化変性アルキルセルロースの含有量は0.1?5.0質量や、0.5?3質量%が好ましい旨記載されるところ、これらの数値範囲は本件明細書【0022】において好適とされる含有量(あるいは、本件訂正発明の含有量)と重複すると述べるとともに、甲1の機能性シートにおける酸性化合物を含む薬品を「液状」とするための「粘性流動体」として、甲2の「液状組成物」であるときの「疎水変性アルキルセルロース」を適用する動機付けがあると主張する。
しかしながら、甲2には、0.1?5.0質量%の数値範囲のうち、0.1?0.5質量%の範囲であれば液状の組成物となることは記載されておらず、甲2の「液状組成物」であるときとは、申立人の独自の見解にすぎない。
よって、申立人の上記主張は採用できない。

第4 むすび
以上のとおり、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、請求項1?7に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1?7に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
疎水変性アルキルセルロース、酸、及び水を含む液剤(I)と、炭酸塩を担持しているシート状基材(II)とを含み、用時に該液剤(I)を該シート状基材(II)に含浸させて使用され、
前記疎水変性アルキルセルロースが、ステアロキシヒドロキシプロピルメチルセルロースであり、
前記液剤(I)に含まれる前記疎水変性アルキルセルロースの含有量が0.1?0.5重量%である、美容シート製品。
【請求項2】
液剤(I)に含まれる疎水変性アルキルセルロースの含有量が0.4?0.5重量%である、請求項1に記載の美容シート製品。
【請求項3】
フェイスパックシートとして使用される、請求項1または2に記載の美容シート製品。
【請求項4】
シート状基材(II)において、炭酸塩を担持させるシート基剤が不織布である、請求項1?3のいずれかに記載の美容シート製品。
【請求項5】
外力により崩壊可能な隔離部を介して独立して存在する2つの収容部がある2剤型容器において、一方の収容部に前記液剤(I)が収容され、他方の収容部に前記シート状基材(II)が収容されている、請求項1?4のいずれかに記載の美容シート製品。
【請求項6】
美容が必要とされる人の身体部位に、疎水変性アルキルセルロース、酸、及び水を含む液剤(I)を、炭酸塩を担持しているシート状基材(II)に含浸させたシートを適用する工程を含み、
前記疎水変性アルキルセルロースが、ステアロキシヒドロキシプロピルメチルセルロースであり、
前記液剤(I)に含まれる前記疎水変性アルキルセルロースの含有量が0.1?0.5重量%である、美容方法。
【請求項7】
疎水変性アルキルセルロース、酸、及び水を含む液剤(I)と、炭酸塩を担持しているシート状基材(II)との、美容シート製品の製造のための使用であって、
前記疎水変性アルキルセルロースが、ステアロキシヒドロキシプロピルメチルセルロースであり、
前記液剤(I)に含まれる前記疎水変性アルキルセルロースの含有量が0.1?0.5重量%である。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2018-06-28 
出願番号 特願2014-502257(P2014-502257)
審決分類 P 1 651・ 851- YAA (A61K)
P 1 651・ 121- YAA (A61K)
最終処分 維持  
前審関与審査官 松元 麻紀子  
特許庁審判長 大熊 幸治
特許庁審判官 関 美祝
長谷川 茜
登録日 2017-01-27 
登録番号 特許第6082382号(P6082382)
権利者 株式会社メディオン・リサーチ・ラボラトリーズ
発明の名称 二酸化炭素を発生する美容シート製品  
代理人 立花 顕治  
代理人 山田 威一郎  
代理人 水谷 馨也  
代理人 田中 順也  
代理人 田中 順也  
代理人 山田 威一郎  
代理人 松井 宏記  
代理人 立花 顕治  
代理人 松井 宏記  
代理人 水谷 馨也  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ