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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  A63B
管理番号 1343870
異議申立番号 異議2017-701073  
総通号数 226 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2018-10-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2017-11-14 
確定日 2018-07-05 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6140619号発明「電気刺激装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6140619号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-3〕について訂正することを認める。 特許第6140619号の請求項1乃至3に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6140619号の請求項1乃至3に係る特許は、平成26年1月24日に出願したものであって、平成29年5月12日にその特許権の設定登録がされ、その後、平成29年11月14日に特許異議申立人 佐藤幸代により特許異議の申立てがなされ、平成30年2月19日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である同年4月18日に意見書の提出及び訂正請求(以下、「本件訂正請求」という)がなされ、同年4月23日付けで訂正の請求を特許異議申立人に通知し、期間を指定して意見書を提出する機会を設けたが、特許異議申立人から何ら応答がなかったものである。


第2 訂正の適否についての判断
1.訂正の内容
本件訂正請求による訂正の内容は以下のとおりである。
特許請求の範囲の請求項1に「動作検知部は」と記載されているのを、「動作検知部は、大腿動作検知部、下腿動作検知部、爪先動作検知部、および、踵動作検知部を有し」に訂正する。(下線は、訂正箇所を示す。以下「訂正事項」という。)

2.訂正の目的の適否、特許請求の範囲の実質上の拡張又は変更の存否、及び新規事項追加の有無の適否
(1)訂正の目的の適否
訂正事項は、訂正前の請求項1に記載の「動作検知部」について、「動作検知部は、大腿動作検知部、下腿動作検知部、爪先動作検知部、および、踵動作検知部を有し」と具体的に限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(2)新規事項追加の有無
当該訂正事項に関連する記載として、願書に添付した明細書の発明の詳細な説明の段落【0021】に「動作検知部60は、使用者の下肢の動作を検知する。動作検知部60は、制御装置70と電気的に接続されている。動作検知部60は、大腿動作検知部61、下腿動作検知部62、爪先動作検知部63、および、踵動作検知部64を有する。」と記載され、また、願書に添付した図面の【図1】、及び【図2】には、動作検知部60として、大腿動作検知部61、下腿動作検知部62、爪先動作検知部63、および、踵動作検知部64が示されていることから、「動作検知部」について、「動作検知部は、大腿動作検知部、下腿動作検知部、爪先動作検知部、および、踵動作検知部を有し」とすることは、願書に添付した明細書、及び図面に記載された範囲内のものである。
したがって、当該訂正事項は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであって、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。

(3)特許請求の範囲の実質上の拡張又は変更の存否
訂正事項は、「動作検知部」について、上記(1)で述べたとおり「動作検知部は、大腿動作検知部、下腿動作検知部、爪先動作検知部、および、踵動作検知部を有し」と具体的に限定しようとするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではない。
したがって、訂正事項は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。

(4)一群の請求項について
本件訂正前の旧請求項2、及び3は、いずれも旧請求項1を直接的又は間接的に引用するものであるから、本件訂正前の請求項1乃至3は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。

(5)訂正に係る検討のまとめ
以上のとおり、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項及び同条第9項において準用する同法第126条第4項ないし第6項の規定に適合するので、訂正後の請求項〔1-3〕について訂正を認める。


第3 特許異議の申立てについて
1.本件特許に係る請求項に記載された事項
本件訂正請求により訂正された訂正請求項1乃至3に係る発明(以下「本件訂正特許発明1」乃至「本件訂正特許発明3」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1乃至3に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。

「【請求項1】
使用者の下肢に電気刺激を付与する電気刺激装置であって、
前記電気刺激装置は、装着部、正面電極部、背面電極部、動作検知部、歩容判定部、および、制御部を有し、
前記装着部は、使用者の下肢に装着するための構造を有し、膝関節を跨ぐ筋肉のうちの下肢の正面側に存在する下肢腹側筋群に対応する正面部分、および、膝関節を跨ぐ筋肉のうちの下肢の背面側に存在する下肢背側筋群に対応する背面部分を有し、
前記正面電極部は、前記正面部分に取り付けられ、
前記背面電極部は、前記背面部分に取り付けられ、
前記動作検知部は、大腿動作検知部、下腿動作検知部、爪先動作検知部、および、踵動作検知部を有し、使用者の歩行動作に応じて変化する動作検知信号を前記歩容判定部に出力し、
前記歩容判定部は、歩行動作のフェーズが遊脚期のとき、前記動作検知信号に基づいて遊脚検知信号を前記制御部に出力し、歩行動作のフェーズが立脚期のとき、前記動作検知信号に基づいて立脚検知信号を前記制御部に出力し、
前記制御部は、前記遊脚検知信号に基づいて前記背面電極部に電流を出力させ、前記立脚検知信号に基づいて前記正面電極部に電流を出力させる
電気刺激装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記遊脚検知信号に基づいて前記正面電極部および前記背面電極部に電流を出力させ、かつ、前記背面電極部に前記正面電極部よりも大きい電流を出力させる、
または、
前記遊脚検知信号に基づいて前記背面電極部に電流を出力させ、かつ、前記正面電極部に電流を出力させない
請求項1に記載の電気刺激装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記立脚検知信号に基づいて前記背面電極部および前記正面電極部に電流を出力させ、かつ、前記正面電極部に前記背面電極部よりも大きい電流を出力させる、
または、
前記立脚検知信号に基づいて前記正面電極部に電流を出力させ、かつ、前記背面電極部に電流を出力させない
請求項1または2に記載の電気刺激装置。」


2.取消理由通知の概要
訂正前の請求項1乃至3に係る特許に対して、上記平成30年2月19日付けの取消理由通知で通知した取消理由の概要は、以下のとおりである。
理 由:特許法第29条第2項
請求項:1?3
証 拠:特開2013-123532号公報(甲第1号証)
[体育・スポーツ・健康科学テキストブックシリーズ]スポーツ動作学入門、石井喜八・西山哲成編著、2013年4月24日 9刷(2002年10月12日初版)、市村出版、p30-31 (甲第2号証)
特開2000-279536号公報(甲第3号証)

3.各甲号証の記載
(1)甲第1号証
本件特許の出願の日前の平成25年6月24日に頒布された特開2013-123532号公報(甲第1号証)には、以下の事項が記載されている。(下線は当審で付した。以下、同様。)
ア.「【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の1歩行周期を立脚期及び遊脚期に分割する体動検出装置であって、
前記使用者の歩行に応じた入力信号に基づいて前記立脚期及び遊脚期の少なくとも一方を複数の区間に分割する歩行周期分割部を、備えたことを特徴とする体動検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の体動検出装置において、
前記使用者の身体に装着され歩行に応じた信号を出力する検出部を備え、
前記歩行周期分割部は、歩行における前記検出部から出力される信号を前記入力信号として入力し、前記入力信号と歩行状態との関係を示す判別式及び閾値の少なくとも一方に基づいて前記立脚期及び遊脚期の少なくとも一方を複数の区間に分割することを特徴とする体動検出装置。
【請求項3】
請求項2に記載の体動検出装置において、
前記歩行周期分割部は、検出する前記区間に応じて前記判別式に含まれる設定値を変更することを特徴とする体動検出装置。
【請求項4】
請求項1?3のいずれか一項に記載の体動検出装置において、
前記使用者の身体に電気刺激を付与する電気刺激部と、
分割された前記区間に基づいて前記電気刺激部を制御して使用者の身体に電気刺激を付与する制御部と、
を備えたことを特徴とする体動検出装置。
【請求項5】
請求項4に記載の体動検出装置において、
前記電気刺激部は、複数の前記区間を組み合わせて電気刺激を付与することを特徴とする体動検出装置。
【請求項6】
請求項1?5のいずれか一項に記載の体動検出装置において、
前記使用者の身体に装着され歩行に応じた信号を出力する検出部を備え、
前記検出部は、関節の回転位置を検出するためのセンサであることを特徴とする体動検出装置。
【請求項7】
請求項6に記載の体動検出装置において、
前記検出部は、使用者の身体の関節を間に挟む位置に設けられることを特徴とする体動検出装置。
【請求項8】
請求項1?7のいずれか一項に記載の体動検出装置において、
前記使用者の身体に装着され歩行に応じた信号を出力する検出部を備え、
前記検出部は、角速度センサを含むことを特徴とする体動検出装置。
【請求項9】
請求項1?8のいずれか一項に記載の体動検出装置において、
前記使用者の身体に電気刺激を付与する電気刺激部と、
分割された前記区間に基づいて前記電気刺激部を制御して使用者の身体に電気刺激を付与する制御部と、
前記制御部に対して電気刺激を付与する前記区間を使用者が選択可能とする操作部と、を備えたことを特徴とする体動検出装置。」
イ.「【技術分野】
【0001】
本発明は、歩行状態を検出する体動検出装置に関するものである。」
ウ.「【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記したような体動検出装置では、身体のバランス等の評価をより適切に行うために、立脚期及び遊脚期の各期間をさらに詳細に検出できる装置が望まれている。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、歩行状態を詳細に検出可能な体動検出装置を提供することにある。」
エ.「【0014】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1(a)に示す体動検出装置10は、使用者の左右両足に取り付けられる装着部11と、本体部12とを有する。なお、左右両足に取り付けられる体動検出装置10は、同一の構造であるため左足のみを図示して説明する。
【0015】
図1(a)(b)に示すように、装着部11は、大腿部に取り付けられる大腿装着部21と、下腿部に取り付けられる下腿装着部22と、大腿装着部21及び下腿装着部22を互いに連結する一対の連結部23a,23bとを有している。大腿装着部21は、大腿部の正面部分及び側面の一部を覆う大腿正面部24と、大腿正面部24の両端部分(図1(b)において左右両端)に形成された一対の大腿背面部25,26とを有している。大腿正面部24は、大腿部の形状に合わせて形成され膝側部分(図1(b)において下端側)に凹部24aが形成されている。大腿背面部25,26は、大腿正面部24の両端から帯状に形成されて、各先端部25a,26aには接続部25b,26bが設けられている。接続部25b,26bは、例えばマジックテープ(登録商標)等の面ファスナーである。大腿装着部21は、各大腿背面部25,26の接続部25b,26bが大腿部の背面部分で互いに接続されて使用者の大腿部に装着される。
【0016】
下腿装着部22は、下腿部の正面部分及び側面の一部を覆う下腿正面部27と、下腿正面部27の両端部分(図1(b)において左右両端)に形成された一対の下腿背面部28,29とを有している。下腿正面部27は、下腿部の形状に合わせて形成され膝側部分(図1(b)において上端側)に凹部27aが形成されている。下腿背面部28,29は、下腿正面部27の両端から帯状に形成されて、各先端部28a,29aには接続部28b,29bが設けられている。接続部28b,29bは、例えばマジックテープ(登録商標)等の面ファスナーである。下腿装着部22は、各下腿背面部28,29の接続部28b,29bが下腿部の背面部分で互いに接続されて使用者の下腿部に装着される。

【0018】
大腿正面部24及び下腿正面部27には、略中央部分に挿入部32,33が設けられ、この挿入部32,33には変位センサHS1,HS2がそれぞれ配置されている。大腿正面部24に設けられた変位センサHS1は、例えば加速度センサである。下腿正面部27に設けられた変位センサHS2は、例えば角速度センサである。例えば、変位センサHS1(加速度センサ)は、歩行動作において股関節を中心に回転する大腿部の加速度を出力する。また、例えば、変位センサHS2(角速度センサ)は、膝関節を中心に回転する下腿部の角速度を出力する。体動検出装置10は、このように構成された変位センサHS1,HS2の出力信号を用いて歩行状態(膝関節の変位)を検出する。なお、変位センサHS1,HS2は、同じ種類のセンサを用いてもよい。また、各変位センサHS1,HS2は、ロータリーエンコーダ、ポテンショメータ、ゴニオメータ、角速度センサ、加速度センサなどを用いてもよい。
【0019】
図1(b)に示すように、大腿正面部24及び下腿正面部27には、使用者の身体に電気刺激を付与するための電極部34,35が設けられている。電極部34は、一対の陽極34a及び陰極34bを有する。また、電極部35は、一対の陽極35a及び陰極35bを有する。陽極34a,35a及び陰極34b,35bは、その一部が大腿正面部24及び下腿正面部27の背面24b,27bから露出しており、皮膚と直接接触して電気刺激を付与するように構成されている。変位センサHS1,HS2及び電極部34,35は、接続ケーブル13を介して本体部12と電気的に接続されている。
【0020】
図1及び図2に示すように、本体部12は、制御部41と、電気刺激部42と、表示部43と、操作部44と、電源部45とを有する。
制御部41は、演算処理部46と、判定部47と、電気刺激制御部48とを有している。演算処理部46は、変位センサHS1,HS2に接続されており、変位センサHS1の出力信号S1aと、変位センサHS2の出力信号S2aが入力される。演算処理部46は、出力信号S1a,S2aに対する信号処理を施して出力信号S1b,S2bとして判定部47に出力する。
【0021】
判定部47は、比較部49と、論理演算部50とを有する。判定部47は、比較部49及び論理演算部50を用いて出力信号S1b,S2bに対する判定を行い、図5に示す1歩行周期(立脚期及び遊脚期)から複数の判別区間H1a?H1cを検出する。そして、判定部47は、判別区間H1a?H1cが切り替わった旨の信号を電気刺激制御部48に出力する。例えば、判定部47は、歩行動作にともなって判別区間H1aから判別区間H1bに切り替わったと判定した場合に、出力信号をハイレベルからローレベルに変更する制御を行う。電気刺激制御部48は、電気刺激部42を制御可能に構成されている。電気刺激制御部48は、判定部47からの出力信号、即ち判別区間H1a?H1cに基づいて電気刺激部42を制御する。
【0022】
電気刺激部42は、上記した電極部34,35と、電極部34,35と電気的に接続されたパルス発生部51とを有する。電気刺激部42は、制御部41(電気刺激制御部48)からの制御信号に基づいてパルス発生部51を駆動して各電極部34,35の陽極34a,35a及び陰極34b,35b間に所定のパルス信号(電気刺激)を発生させ使用者に対して電気刺激を付与する。
【0023】
表示部43には、例えば、各判別区間H1a?H1cにおける電気刺激の有無などの設定が表示される。また、この設定は、操作部44を用いて使用者が変更可能となっている。電源部45は、変位センサHS1,HS2、電気刺激部42、制御部41及び操作部44に対して駆動電流を供給する。電源部45は、例えば充電式バッテリー、乾電池及び商用電源の供給に基づいて所要の駆動電流を生成する電源回路などである。」
オ.「【0030】
次に、図3に示すステップ64において、論理演算部50は、比較部49から入力された判定信号SH1,SH2の論理演算を行う。論理演算部50は、図4に示す対応関係に基づいた論理回路を有する。判定部47は、論理演算部50の出力結果から判別区間H1a?H1cを検出する(ステップ65)。例えば、判定部47は、論理演算部50により判定信号SH1,SH2の論理積を算出し、その結果が「1」となる場合には遊脚期後期(判別区間H1c)であると判定する。判定部47は、判別区間H1a?H1cを検出して各判別区間H1a?H1cが切り替わった旨の信号を電気刺激制御部48に出力する。
【0031】
次いで、電気刺激制御部48は、入力された判別区間H1a?H1cに基づいて、電気刺激部42のパルス発生部51を制御する(ステップ66)。図5に示すように、電気刺激制御部48は、立脚期に対応する判別区間H1aにおいて、電極部34から電気刺激が付与されるように制御する。また、電気刺激制御部48は、遊脚期前期に対応する判別区間H1bにおいては、パルス発生部51の駆動(電気刺激)を停止させる制御を行う。また、電気刺激制御部48は、遊脚期後期に対応する判別区間H1cにおいて、電極部35から電気刺激が付与されるように制御する。なお、電気刺激制御部48は、各電極部34,35に発生させるパルス信号の電流の大きさ・周波数などの制御を所定のプログラム等に基づいて行う。」
カ.「【0051】
また、図10に示すように、体動検出装置10は、電極部34により電気刺激を付与する区間を、判別区間H2a,H2bの両方の区間で行う。また、電極部35により電気刺激を付与する区間を、判別区間H2b?H2dの区間で行う。判別区間H2bにおいては、電極部34,35の両方から電気刺激が付与される。つまり、電気刺激を付与する区間を、複数の判別区間H2a?H2dを組み合わせて行うことができる。これにより、電気刺激の付与(フィードバック)を多様な区間(歩行状態)に応じて行うことができる。」
キ.「【0057】
・上記実施形態において、電極部34,35に発生させる電流の発生態様を適宜変更してもよい。例えば、電流値を時間の経過とともに徐々に高くする構成としてもよい。また、例えば、遅延回路等を用いて判別区間H1a?H1cの境界から所定時間遅らせて電流を発生させる構成としてもよい。また、例えば、電流の周期(パルス波形の周期)を適宜変更する構成としてもよい。また、例えば、電流を発生させる開始部分を徐々に大きく、終了部分を徐々に小さくするようにしてもよい。また、上記した発生態様を組み合わせた構成としてもよい。」

以上の記載によれば、甲第1号証には以下の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。
「使用者の左右両足に取り付けられる装着部11と、本体部12とを有する体動検出装置10であって、
装着部11は、大腿部に取り付けられる大腿装着部21と、下腿部に取り付けられる下腿装着部22と、大腿装着部21及び下腿装着部22を互いに連結する一対の連結部23a,23bとを有し、大腿装着部21は、大腿部の正面部分及び側面の一部を覆う大腿正面部24と、大腿正面部24の両端部分に形成された一対の大腿背面部25,26とを有し、
下腿装着部22は、下腿部の正面部分及び側面の一部を覆う下腿正面部27と、下腿正面部27の両端部分に形成された一対の下腿背面部28,29とを有し、
大腿正面部24及び下腿正面部27には、略中央部分に挿入部32,33が設けられ、この挿入部32,33には変位センサHS1,HS2がそれぞれ配置され、
大腿正面部24及び下腿正面部27には、使用者の身体に電気刺激を付与するための電極部34,35が設けられ、
本体部12は、制御部41と、電気刺激部42と、表示部43と、操作部44と、電源部45とを有し、
制御部41は、演算処理部46と、判定部47と、電気刺激制御部48とを有しており、演算処理部46は、変位センサHS1,HS2に接続されており、変位センサHS1の出力信号S1aと、変位センサHS2の出力信号S2aが入力され、演算処理部46は、出力信号S1a,S2aに対する信号処理を施して出力信号S1b,S2bとして判定部47に出力し、
判定部47は、比較部49と、論理演算部50とを有し、判定部47は、比較部49及び論理演算部50を用いて出力信号S1b,S2bに対する判定を行い、1歩行周期(立脚期及び遊脚期)から複数の判別区間H1a?H1cを検出し、
電気刺激制御部48は、判定部47からの出力信号、即ち判別区間H1a?H1cに基づいて電気刺激部42を制御し、
電気刺激制御部48は、立脚期に対応する判別区間H1aにおいて、電極部34から電気刺激が付与されるように制御し、また、電気刺激制御部48は、遊脚期前期に対応する判別区間H1bにおいては、パルス発生部51の駆動(電気刺激)を停止させる制御を行い、また、電気刺激制御部48は、遊脚期後期に対応する判別区間H1cにおいて、電極部35から電気刺激が付与されるように制御する、体動検出装置10。」

(2)甲第2号証
本件特許の出願の日前の2013年4月24日に頒布された「[体育・スポーツ・健康科学テキストブックシリーズ]スポーツ動作学入門、石井喜八・西山哲成編著、2013年4月24日 9刷(2002年10月12日初版)、市村出版、p30-31」(甲第2号証)には、以下の事項が記載されている。
ア.「歩行動作中の…立脚後半期には、股関節と膝関節はやや屈曲力を発揮しながら足底屈力を大きく発揮させている。続く遊脚期には、股関節は屈曲力を維持しながら膝関節は伸展力に変換する。」 (30頁10?16行参照。)

以上の記載によれば、甲第2号証には以下の技術事項(以下「甲第2号証に記載の技術事項」という。)が記載されていると認められる。
「歩行動作中の立脚後半期には、股関節と膝関節はやや屈曲力を発揮しながら足底屈力を大きく発揮させ、続く遊脚期には、股関節は屈曲力を維持しながら膝関節は伸展力に変換すること。」

(3)甲第3号証
本件特許の出願の日前の平成12年10月10日に頒布された特開2000-279536号公報(甲第3号証)には、以下の事項が記載されている。
ア.「【特許請求の範囲】
【請求項1】 主動筋である筋肉が収縮し、拮抗筋である筋肉が伸張しているときに、電気的刺激を与えて主動筋である筋肉または拮抗筋である筋肉を収縮させる手段を有することを特徴とする、
筋力増強器。
【請求項2】 電気的刺激を与えて筋肉を収縮させる手段と、
主動筋である筋肉の収縮または拮抗筋である筋肉の伸張を直接的または間接的に感知する手段と、
上記感知手段が感知したとき、上記筋肉を収縮させる手段を作動させる制御手段と、を有していることを特徴とする、
筋力増強器。
【請求項3】 筋肉を収縮させる手段を任意に作動させる制御手段と、
各制御手段を選択するための手段と、を有していることを特徴とする、
請求項2記載の筋力増強器。
【請求項4】 電気的刺激を与えて筋肉を収縮させる電極部(40,41) と、
主動筋である筋肉の収縮または拮抗筋である筋肉の伸張を直接的または間接的に感知する感知装置と、
上記電極部(40,41) に電気を供給するコントローラー(42)と、を有していることを特徴とする、
筋力増強器。
【請求項5】 電気的刺激を与えて筋肉を収縮させる電極部(40,41) を備えた鍛錬部用装具と、
上記鍛錬部用装具と協働する支持部用装具と、
上記鍛錬部用装具と上記支持部用装具の間に介在させてあり、上記両装具が有する角度を可変可能にする連結装置と、
上記鍛錬部用装具と上記支持部用装具の有する角度が所定の角度から変わったことを感知する感知装置と、
上記電極部(40,41) に電気を供給するコントローラー(42)と、を有していることを特徴とする、筋力増強器。
【請求項6】 コントローラー(42)は、
感知装置が感知したとき、主動筋となる筋肉または拮抗筋となる筋肉に電気的刺激が与えられるように電極部(40,41) に電気を供給する制御回路と、
任意に上記電極部(40,41) に電気を供給する制御回路と、
上記各制御回路を選択するための切換スイッチ(420) と、を有していることを特徴とする、
請求項4または5記載の筋力増強器。」
イ.「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は筋力増強器に関するものである。更に詳しくは、構造が簡単で持ち運び可能な程度に小型化でき、かつ、特定の体位をとる必要がなく使用者に無理のない姿勢で使用できる、閉鎖性運動連鎖による運動が可能な筋力増強器に関する。」
ウ.「【0015】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために講じた本発明の手段は次のとおりである。第1の発明にあっては、主動筋である筋肉が収縮し、拮抗筋である筋肉が伸張しているときに、電気的刺激を与えて主動筋である筋肉または拮抗筋である筋肉を収縮させる手段を有することを特徴とする、筋力増強器である。
【0016】第2の発明にあっては、電気的刺激を与えて筋肉を収縮させる手段と、主動筋である筋肉の収縮または拮抗筋である筋肉の伸張を直接的または間接的に感知する手段と、上記感知手段が感知したとき、上記筋肉を収縮させる手段を作動させる制御手段と、を有していることを特徴とする、筋力増強器である。
【0017】第3の発明にあっては、筋肉を収縮させる手段を任意に作動させる制御手段と、各制御手段を選択するための手段と、を有していることを特徴とする、第2の発明に係る筋力増強器である。
【0018】第4の発明にあっては、電気的刺激を与えて筋肉を収縮させる電極部と、主動筋である筋肉の収縮または拮抗筋である筋肉の伸張を直接的または間接的に感知する感知装置と、上記電極部に電気を供給するコントローラーと、を有していることを特徴とする、筋力増強器である。
【0019】第5の発明にあっては、電気的刺激を与えて筋肉を収縮させる電極部を備えた鍛錬部用装具と、上記鍛錬部用装具と協働する支持部用装具と、上記鍛錬部用装具と上記支持部用装具の間に介在させてあり、上記両装具が有する角度を可変可能にする連結装置と、上記鍛錬部用装具と上記支持部用装具の有する角度が所定の角度から変わったことを感知する感知装置と、上記電極部に電気を供給するコントローラーと、を有していることを特徴とする、筋力増強器である。
【0020】第6の発明にあっては、コントローラーは、感知装置が感知したとき、主動筋となる筋肉または拮抗筋となる筋肉に電気的刺激が与えられるように電極部に電気を供給する制御回路と、任意に上記電極部に電気を供給する制御回路と、上記各制御回路を選択するための切換スイッチと、を有していることを特徴とする、第4または第5の発明に係る筋力増強器である。
【0021】本発明に係る筋力増強器は、主動筋と拮抗筋の関係にあり、電気的刺激が伝わる筋肉に対して使用することができる。この主動筋と拮抗筋の関係にある筋肉は、例えば、肩関節であれば広背筋、三角筋後部線維と三角筋前部線維、三角筋中部線維と大胸筋、肘関節であれば上腕三頭筋と上腕二頭筋、手関節であれば長・短橈側手根伸筋と橈側手根屈筋、尺側手根伸筋と尺側手根屈筋、股関節であれば大臀筋と大腿四頭筋、中臀筋と大・短・長内転筋、膝関節であれば大腿四頭筋と大腿屈筋、足関節であれば前脛骨と腓腹筋やヒラメ筋、などが挙げられる。
【0022】(作 用)椅子に座って膝関節を屈曲状態から略水平に伸展する場合を例にとって、本発明に係る筋力増強器の作用及び筋肉の運動を説明する。なお、この運動は、主動筋である大腿四頭筋が収縮することにより行われる。このように大腿四頭筋が収縮すると、拮抗筋である大腿屈筋は伸張する。
【0023】本発明に係る筋力増強器を大腿部に装着し、主動筋である大腿四頭筋を収縮する。大腿四頭筋が収縮しているときに、拮抗筋である大腿屈筋に電気的刺激を与える。これにより伸張している拮抗筋である大腿屈筋に収縮方向への抵抗を生じさせることができる。そして、この状態のまま大腿四頭筋を更に収縮して膝関節を完全伸展することで、大腿屈筋に筋肉の収縮方向と運動方向が逆になる運動、すなわち遠心性収縮による運動を行わせることができるようになる。このとき大腿屈筋の遠心性収縮による運動は、大腿四頭筋の収縮による運動と同時に行われているので、この膝関節の伸展運動は閉鎖性運動連鎖による運動となる。」
エ.「【0032】大腿部用基材10の内側には、電気的刺激を与えて筋肉を収縮させる手段であり、柔軟性を有する薄板状の電極部40,41が二箇所に設けてある。各電極部40,41は、大腿部用装具1を大腿部90に装着したときに、それぞれ大腿四頭筋と大腿屈筋に対応するような位置に設けてある。電極部40,41は、金属糸を織り込んで形成された電極基材と、電極基材の表面に設けてあり、通電可能なゲル状の粘着層を有している。なお、電極部は、上記したものに限定せず、筋肉に電気して刺激を与えることができるような構成であれば良い。大腿部用装具1は、大腿部用基材10を撓ませて大腿部90に巻き付け、粘着層を皮膚に密着させて装着される。」
オ.「【0038】コントローラー42には、センサー31が感知したときに電極部40,41に電気を供給して筋肉に電気的刺激を与える制御回路と、センサー31とは関係なく、任意に電極部40,41に電気を供給して筋肉に電気的刺激を与える制御回路が備えてある。更に、これら制御回路を選択するための手段が備えてある。この選択手段は、コントローラー42に設けてある切換スイッチ420により操作される。そして、切換スイッチ420を操作することで、電極部40,41へは次の6つの態様で電気を供給することができる。
膝関節の伸展をセンサーが感知したときに、拮抗筋である大腿屈筋の側に設けてある電極部に電気を供給する。
膝関節の伸展をセンサーが感知したときに、主動筋である大腿四頭筋の側に設けてある電極部に電気を供給する。
膝関節の屈曲をセンサーが感知したときに、拮抗筋である大腿四頭筋の側に設けてある電極部に電気を供給する。
膝関節の屈曲をセンサーが感知したときに、主動筋である大腿屈筋の側に設けてある電極部に電気を供給する。
センサーの作動とは関係なく、任意の筋肉である大腿四頭筋の側に設けてある電極部に電気を供給する。
センサーの作動とは関係なく、任意の筋肉である大腿屈筋の側に設けてある電極部に電気を供給する。」
カ.「【0057】筋力増強器Kは、切換スイッチ420が上記した態様に設定されていれば、ゴニオメーター30の腕部材300,300が回動することでセンサー31が主動筋及び拮抗筋の運動を感知し、拮抗筋に電気的刺激を与えるようになっている。そのため、膝関節の屈曲伸展による筋肉の運動が行われていない状態では、拮抗筋には電気的刺激が与えられないようになっている。しかし、本発明に係る筋力増強器は、拮抗筋に電気的刺激を与えるタイミングを限定するものではなく、関節の屈曲伸展による筋肉の運動が行われていない状態であっても、予め拮抗筋に電気的刺激を与えておき、その後に主動筋である筋肉を収縮する場合も含むものである。即ち、本発明に係る筋力増強器は、主動筋である筋肉が収縮し、拮抗筋である筋肉が伸張している状態のときに、拮抗筋である筋肉に電気的刺激が与えられていれば良い。」

以上の記載によれば、甲第3号証には以下の発明(以下「引用発明3」という。)が記載されていると認められる。
「電気的刺激を与えて筋肉を収縮させる電極部(40,41) を備えた鍛錬部用装具と、
上記鍛錬部用装具と協働する支持部用装具と、
上記鍛錬部用装具と上記支持部用装具の間に介在させてあり、上記両装具が有する角度を可変可能にする連結装置と、
上記鍛錬部用装具と上記支持部用装具の有する角度が所定の角度から変わったことを感知する感知装置と、
上記電極部(40,41) に電気を供給するコントローラー(42)と、を有し、
コントローラー(42)は、
感知装置が感知したとき、主動筋となる筋肉または拮抗筋となる筋肉に電気的刺激が与えられるように電極部(40,41) に電気を供給する制御回路と、
任意に上記電極部(40,41) に電気を供給する制御回路と、
上記各制御回路を選択するための切換スイッチ(420) と、を有している、
筋力増強器。」


4.当審の判断
取消理由通知に記載した取消理由(特許法第29条第2項)について
(1)対比
本件訂正特許発明1と引用発明1とを対比すると、
ア.後者の「使用者の左右両足」、「電気刺激」、「装着部11」、「判定部47」、「電気刺激制御部48」、「下腿部の正面部分及び側面の一部を覆う下腿正面部27」、「下腿正面部27の両端部分に形成された一対の下腿背面部28,29」、「変位センサHS1」、及び「変位センサHS2」は、それぞれ、前者の「使用者の下肢」、「電気刺激」、「装着部」、「歩容判定部」、「制御部」、「膝関節を跨ぐ筋肉のうちの下肢の正面側に存在する下肢腹側筋群に対応する正面部分」、「膝関節を跨ぐ筋肉のうちの下肢の背面側に存在する下肢背側筋群に対応する背面部分」、「大腿動作検知部」、及び「下腿動作検知部」に相当する。
イ.後者の「電極部34」は、大腿正面部24に設けられるものであるから、前者の「正面電極部」に相当し、「正面電極部は、前記正面部分に取り付けられ」といえる。
ウ.後者の「変位センサHS1」、及び「変位センサHS2」は、「大腿動作検知部」、及び「下腿動作検知部」に限って、前者の「動作検知部」に相当する。
エ.後者の「装着部11」は、「大腿部に取り付けられる大腿装着部21と、下腿部に取り付けられる下腿装着部22と、大腿装着部21及び下腿装着部22を互いに連結する一対の連結部23a,23bとを有し、大腿装着部21は、大腿部の正面部分及び側面の一部を覆う大腿正面部24と、大腿正面部24の両端部分に形成された一対の大腿背面部25,26とを有し、下腿装着部22は、下腿部の正面部分及び側面の一部を覆う下腿正面部27と、下腿正面部27の両端部分に形成された一対の下腿背面部28,29とを有」するものであるから、後者の「装着部11」は、「使用者の下肢に装着するための構造を有」するといえる。
オ.後者の「『変位センサHS1の出力信号S1a』、及び『変位センサHS2の出力信号S2a』」は、大腿正面部24、及び下腿正面部27に、それぞれ設けられた変位センサHS1、及び変位センサHS2の出力信号であるから、「使用者の歩行動作に応じて変化する動作検知信号」といえる。そして、後者の「出力信号S1b,S2b」は、判定部47に出力されるものであるから、後者の「『変位センサHS1』、及び『変位センサHS2』」は、「使用者の歩行動作に応じて変化する動作検知信号を前記歩容判定部に出力」するといえる。
カ.後者の「判定部47」は、「比較部49と、論理演算部50とを有し、判定部47は、比較部49及び論理演算部50を用いて出力信号S1b,S2bに対する判定を行い、1歩行周期(立脚期及び遊脚期)から複数の判別区間H1a?H1cを検出」するものである。そして、後者の「電気刺激制御部48」は、「判定部47からの出力信号、即ち判別区間H1a?H1cに基づいて電気刺激部42を制御」するものであって、判定部47は出力信号を電気刺激制御部48に出力するものであるから、後者の「判定部47」は、「歩行動作のフェーズが遊脚期のとき、前記動作検知信号に基づいて遊脚検知信号を前記制御部に出力し、歩行動作のフェーズが立脚期のとき、前記動作検知信号に基づいて立脚検知信号を前記制御部に出力」するといえる。
キ.後者の「電気刺激制御部48」は、「立脚期に対応する判別区間H1aにおいて、電極部34から電気刺激が付与されるように制御」するものであるから、後者の「電気刺激制御部48」は、「前記立脚検知信号に基づいて前記正面電極部に電流を出力させる」といえる。
ク.後者の「体動検出装置10」は、「電気刺激部42」を有するものであるから、「電気刺激装置」といえる。

したがって、本件訂正特許発明1と引用発明1とは、
「使用者の下肢に電気刺激を付与する電気刺激装置であって、
前記電気刺激装置は、装着部、正面電極部、動作検知部、歩容判定部、および、制御部を有し、
前記装着部は、使用者の下肢に装着するための構造を有し、膝関節を跨ぐ筋肉のうちの下肢の正面側に存在する下肢腹側筋群に対応する正面部分、および、膝関節を跨ぐ筋肉のうちの下肢の背面側に存在する下肢背側筋群に対応する背面部分を有し、
前記正面電極部は、前記正面部分に取り付けられ、
前記動作検知部は、大腿動作検知部、下腿動作検知部を有し、使用者の歩行動作に応じて変化する動作検知信号を前記歩容判定部に出力し、
前記歩容判定部は、歩行動作のフェーズが遊脚期のとき、前記動作検知信号に基づいて遊脚検知信号を前記制御部に出力し、歩行動作のフェーズが立脚期のとき、前記動作検知信号に基づいて立脚検知信号を前記制御部に出力し、
前記制御部は、前記立脚検知信号に基づいて前記正面電極部に電流を出力させる
電気刺激装置」
である点で一致し、以下の点で相違している。

[相違点1]
本件訂正特許発明1が、「背面電極部」を有し、「背面電極部は、前記背面部分に取り付けられ」、「前記遊脚検知信号に基づいて前記背面電極部に電流を出力させ」るものであるのに対し、引用発明1では、そのような事項が特定されていない点。

[相違点2]
本件訂正特許発明1が、「爪先動作検知部、および、踵動作検知部」を有するのに対し、引用発明1では、そのような事項が特定されていない点。

(2)相違点についての判断
上記相違点2について検討する。
甲第2号証に記載の技術事項、及び引用発明3には、上記相違点2に係る本件訂正特許発明1の発明特定事項は記載も示唆もされていないし、設計的事項とする理由もない。

したがって、上記相違点1について検討するまでもなく、本件訂正特許発明1は、引用発明1、甲第2号証に記載の技術事項、及び引用発明3に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

また、本件訂正特許発明2、及び本件訂正特許発明3は、本件訂正特許発明1の発明特定事項に加えてさらなる発明特定事項を追加して限定を付したものであるから、本件訂正特許発明2、及び本件訂正特許発明3は、引用発明1、甲第2号証に記載の技術事項、及び引用発明3に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

(3)まとめ
よって、特許異議申立人の本件特許異議の申立てにおける上記取消理由に係る主張は、採用することができない。


5.むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由によっては、本件請求項1乃至3に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1乃至3に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。


よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の下肢に電気刺激を付与する電気刺激装置であって、
前記電気刺激装置は、装着部、正面電極部、背面電極部、動作検知部、歩容判定部、および、制御部を有し、
前記装着部は、使用者の下肢に装着するための構造を有し、膝関節を跨ぐ筋肉のうちの下肢の正面側に存在する下肢腹側筋群に対応する正面部分、および、膝関節を跨ぐ筋肉のうちの下肢の背面側に存在する下肢背側筋群に対応する背面部分を有し、
前記正面電極部は、前記正面部分に取り付けられ、
前記背面電極部は、前記背面部分に取り付けられ、
前記動作検知部は、大腿動作検知部、下腿動作検知部、爪先動作検知部、および、踵動作検知部を有し、使用者の歩行動作に応じて変化する動作検知信号を前記歩容判定部に出力し、
前記歩容判定部は、歩行動作のフェーズが遊脚期のとき、前記動作検知信号に基づいて遊脚検知信号を前記制御部に出力し、歩行動作のフェーズが立脚期のとき、前記動作検知信号に基づいて立脚検知信号を前記制御部に出力し、
前記制御部は、前記遊脚検知信号に基づいて前記背面電極部に電流を出力させ、前記立脚検知信号に基づいて前記正面電極部に電流を出力させる
電気刺激装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記遊脚検知信号に基づいて前記正面電極部および前記背面電極部に電流を出力させ、かつ、前記背面電極部に前記正面電極部よりも大きい電流を出力させる、
または、
前記遊脚検知信号に基づいて前記背面電極部に電流を出力させ、かつ、前記正面電極部に電流を出力させない
請求項1に記載の電気刺激装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記立脚検知信号に基づいて前記背面電極部および前記正面電極部に電流を出力させ、かつ、前記正面電極部に前記背面電極部よりも大きい電流を出力させる、
または、
前記立脚検知信号に基づいて前記正面電極部に電流を出力させ、かつ、前記背面電極部に電流を出力させない
請求項1または2に記載の電気刺激装置。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2018-06-26 
出願番号 特願2014-11583(P2014-11583)
審決分類 P 1 651・ 121- YAA (A63B)
最終処分 維持  
前審関与審査官 藤井 達也  
特許庁審判長 黒瀬 雅一
特許庁審判官 森次 顕
藤本 義仁
登録日 2017-05-12 
登録番号 特許第6140619号(P6140619)
権利者 パナソニック株式会社
発明の名称 電気刺激装置  
代理人 恩田 誠  
代理人 恩田 博宣  
代理人 恩田 誠  
代理人 恩田 博宣  
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